『DUEL TRIANGLE』






第六十六章 迫る時





膝を着いた状態のままでも、リリィは魔法を放ちダウニーの接近をそう簡単には許さない。
ダウニーもそれを見越してか、接近戦から魔法による戦いへと変えると、応戦するように魔法を放つ。
二人の間で魔法同士がぶつかり合い、相殺されていく。
相殺されず、余波が二人を襲う事もあり、その力は拮抗しているかのようにも見えた。
リリィは着いていた片膝を上げて立ち上がると、静かにライテウスを着けた左手を上げて構える。
大きな魔法を放つつもりなのか、その全身からゆらりと魔力が光となり立ち昇る。
ライテウスを着けた左手には一際大きな魔力が集まり、赤く輝き出す。
それに対抗するため、ダウニーも手を胸の前に持ってきて呪文を唱える。
二人の魔力の大きさに、辺りの空気が震え出す。
共に魔法を放ったのは同時。
リリィの手から放たれたのは、拳大の大きさの火炎玉。
ただし、その数は数十に及ぶ。
それを見て、ダウニーは小さく笑う。

「一発の威力を落とす代わりに、量で勝負ですか。良い判断ですね。
 確かに、私の大きな魔法と力比べをするよりも理に適っている。
 ただし、私の魔法はその程度の数、問題にしませんが」

ダウニーの放った魔法は、地面へと落ちるとドーム状に広がっていく。
二メートル以上の大きさまで膨れ上がると、リリィを放った火炎玉ごと飲み込まんと進み出す。
それを見て、今度はリリィが小さくバカにするように笑う。

「そうやって、すぐに鼻につくような態度を取るから人気がなかったんですよ、ダウニー先生。
 力よりも量? いいえ、違うわ。ブレイク!」

リリィが指を鳴らすと、無数の火炎玉の一つが爆発を起こす。
と、それに連鎖されるように、その周囲の火炎玉が爆発を起こし、更にその周囲のと連鎖していく。
爆発の連鎖は、ダウニーの放った魔法に幾つかは飲み込まれるが、飲み込まれなかったものがダウニーへと向かう。
いや、飲み込まれたものも、その内側で爆発連鎖を起こし、ダウニーの魔法を内側から打ち破る。
ダウニーの魔法を打ち破った爆発が、先行する爆発に追いつき、更に大きな爆発となってダウニーを襲う。
リリィの魔法がダウニーを捉え、その身体を吹き飛ばす。

「やはり、その先走って判断を鈍らせるという性格は治っていないようですね」

可笑しそうに喉の奥で笑いながら、吹き飛ばされたはずのダウニーはリリィの背後に立ち、
手にした剣をリリィへと突き立てんとする。

「幻影っ!?」

最初に見せられており、更にはそれを見破ったという事実があった所為で、
リリィは幻影の事を考えていなかったのか、完全に無防備となった背後を簡単に取られる。
その心臓へと、今まさにダウニーの刃が振り下ろされる。





 § §





美由希が走り、メイが矢を放つ。
しかし、その矢を落とすと思われた未亜の攻撃はない。
それ所か、未亜の姿は美由希のすぐ後ろにあった。
完全に予想もしていなかった未亜の行動に驚くも、即座にメイは美由希と未亜目掛けて矢を放つ。
迫る矢を未亜ではなく、美由希が両腕に握った小太刀で、飛針で叩き落す。
その後ろ、美由希の後ろを走りながら、未亜はジャスティとトレイターを手にする。

「ジャスティ、トレイター。今こそ、真の姿をっ!」

未亜が二つの召還器を合わせるように重ねると、二つの召還器は姿を変えるように光り輝き、
次の瞬間には一振りの剣へと変貌していた。
剣と化したジャスティを手に、未亜が美由希の肩を蹴って宙に舞う。
未亜の向かう先にはセレナの姿が。
当然、メイの攻撃は空中で回避行動の取れない未亜へと向かうが、当然の事ながら、美由希もそれは承知している。
美由希はセリティの切っ先をメイへと向ける。
瞬間、美由希の眼前、セリティを中心として魔法陣が浮かび上がる。
それが何かしらの攻撃だと気付いたメイは、やむなく、攻撃を美由希へと切り替えて矢を放つ。
同時に、美由希がセリティを振り下ろすと、魔法陣から幅数十センチ、
長さは優に二メートルを超える大剣が生まれ、真っ直ぐにメイへと飛来する。
その巨大な刃で迫る矢を全て弾く大剣を前に、メイは大きく回避行動を取らざるを得ない。
メイが回避行動を取るその隙に、未亜は頭上からジャスティを振り下ろす。
セレナはインサニックの刃で未亜の斬撃を受け止めるが、受け止めた瞬間に剣から三節根へと変化し、
インサニックの刃を基点に、三節根の第二部分が内側、セレナの頭上へと落ちる。
それを空いた手で受け止め、力任せに放り投げようとしたセレナの元へ、二本の雷が飛来する。
飛び退くセレナを追うように、今度は氷の槍が襲い掛かる。
先ほどとは完全に前衛と後衛を入れ替えた美由希と未亜の攻撃に、セレナとメイは一旦後ろへと下がる。
今までにない攻撃パターン、それも、状況に応じては今まで同様に前衛を美由希、
後衛を未亜にも出来る二人の戦い方に、メイはどちらの動きを封じるべきか一瞬だけ悩む。
だが、その一瞬さえもセレナにはなく、自分に向かってくる方を迎撃すると未亜へと駆け出す。
その為、メイの援護が僅かだが遅れてしまう。
セレナと未亜の剣がぶつかる瞬間、未亜の手にしたジャスティがまたしてもその形を変える。
今度は斧へと姿を変えたジャスティの柄を、美由希と二人で握ると力いっぱいセレナを弾き飛ばす。
吹き飛ばされたセレナは、空中で態勢を整えると足から着地を決めてメイの隣に静かに立つ。
そこへ、今度は弓の形状と化したジャスティから、まるで豪雨のように矢が降り注ぐ。
ただの矢ではなく、地面に突き刺さるなり小さな爆発を起こすソレを前に、
メイもセレナを前へと出る事が出来ず、自分たちへと迫る矢を弾く事に専念する。
速射できる分、正確さが鈍るのか、半分近い矢は二人に当たる事なく通り過ぎて行くか、
地面へと突き刺さり爆発を起こす。
だが、その数や次の矢の飛来する速さがそれを補って余るほどの攻撃に、メイは唇を噛み締め、
反撃の隙を窺うように未亜を見る。
が、ふと疑問を感じる。
先程からの攻撃は、未亜によるもの。
であれば、美由希は何を。
はっきりとは見えないが、美由希はただ未亜の後ろで立っているだけである。
この矢の雨を前にしては、美由希とてこちらへと飛び込む事は出来ないのだろう。
だが、黙って見ているだけなのか。
その事を不審に思いつつ、反撃のチャンスを待つメイの視界が徐々に悪くなっていく。
地面に突き刺さった矢が、小さいとは言え、周辺で爆発を繰り返しているのだ。
その影響で土煙や土埃が舞う。
ここに至り、メイは美由希が何もしていないのではなく、攻撃の前準備をしていると悟る。
そして、この攻撃は足止めと目晦ましの二つを兼ねているのだと。
そう判断したメイの行動は早く、セレナの背中に隠れるようにしてシェルの弦を引く。
集中するために目を閉じ、未亜からの攻撃は全てセレナに任せる。

「荒れ狂え、真空」

メイを中心に空気が唸り、風が吹き荒れる。
その風によって、メイの周囲に真空が生まれ、メイはそれを撃ち出す。
真空の刃が周囲の空気を掻き乱し、風を起こして土埃を消し去る。
真空の刃は、そのまま美由希と未亜へと襲い掛かるが、ジャスティの姿が大きなハンマーへと変わる。
城攻兵器として、門などを打ち破るために数人で抱えるような巨大なハンマーを未亜は一人で肩に担ぐと、
そのまま床へと振り下ろす。
床が抉れ、瓦礫などが勢い良く吹き上がる。
それらの瓦礫とその衝撃によって生まれた衝撃波によって、真空の刃は全て防がれる。
あまりの力技にメイも驚愕の表情を見せ、すぐさま攻撃に転じようとしていたセレナは、
その衝撃波にその場に足止めされる。
そこへ、未亜の後ろに隠れていた美由希が前に、いや、美由希の後ろに未亜が移動する。
美由希の頭上、左右の肩付近、腹、左右の腰付近に直径20センチにも満たない程度の魔法陣が。
更にそれら六つの魔法陣よりも向こう、美由希の胸辺り、正面には他の六つよりも明かに大きな魔法陣。
合計七つの魔法陣が浮かび上がり、そこが蒼白く淡い光を放っている。
小さな六つの魔法陣から光が零れ、吸い寄せられるように大きな正面の魔法陣へと伸びている。
まるで、小さな魔法陣から力を吸い取っているようにも見えるソレは、時折パチパチと放電するかのように、
蒼白い火花めいたものを散らす。
動きの止まっているセレナとメイを見て、一瞬だけ美由希と未亜の顔にやるせないような表情が浮かぶが、
それを振り払うように、美由希は頭上に掲げていたセリティを振り下ろす。
それを合図に、六つの小さな魔法陣が回り出し、大きな魔法陣へと更に光が注がれる。
程なくして、大きな魔法陣からレベリオンよりも威力は劣るが、それに似た光線が吐き出される。
大きな音を立てる事もなく、高速で走った光線は、
メイを庇おうと両手を広げてメイの前に立ったセレナの胸を貫き、威力を減じる事無く、後ろに立つメイの胸も貫く。
ゆっくりと倒れるセレナとメイを、美由希と未亜は僅かに悲しそうに見遣る。
そんな二人を気遣うように、メイはその腕にしっかりとセレナを抱きしめ、二人へと笑みを見せる。
その唇が、声には出なかったけれども『ありがとう』と呟いたように見えたのは、二人の勘違いだったのか。
だが、完全に息絶えた二人の顔は、何かから解放されたかのように清々しいものだった。
セレナの顔からも、今まで見てきたような狂気めいた、獣じみたものは見られなかった。
そんな二人のマスターを元気付けるためか、イムニティがその傍にいつの間にか立ち、二人へと声を掛ける。

「そんな顔をしなくても良いと思いますよ、マスターたち。
 この二人は…」

「うん、その辺りの事情は知っている」

「だからこそ、助ける方法が他になかったのかな、ってね」

美由希と未亜の言葉にイムニティは口を噤むが、二人はすぐに気を取り直すように頷き合う。

「今はそれよりも先にしないといけない事があるから」

「行こう、美由希ちゃん」

二人は消え行くセレナとメイへと一度だけ黙祷を捧げると、神の座へと駆け出す。

「そう言えば、イムニティは破滅側の人間じゃなかったの」

足を止め、警戒する美由希にイムニティは悲しそうな顔を見せる。
リコに似た少女のその顔に、美由希も未亜も戸惑う。

「私はあくまでもマスターたちの味方です。マスターたちの考えに従うまで。
 二人の意見が対立した場合は、私の意見を述べさせて頂きますが、二人のご意志が同じなら」

「じゃあ、破滅軍ではなく、私たちに協力してくれるって事?」

「マスターたちがそれをお望みならば。私の願いは、マスターと共にある事ですから」

美由希と未亜は暫し、この言葉を信じるかどうか考え込む。
そこへフォローを出したのは、意外にもリコだった。
リコの口添えもあり、美由希たちはとりあえずイムニティを信用する事にする。
美由希と未亜から信用すると言われ、イムニティは少し嬉しそうに笑みを見せた後、
ぶっきらぼうにリコにおざなりな感じで礼を言うと、自ら道案内を買って出る。

「ねえ、神の座に着くまでに聞いておきたい事があるんだけれど」

「何ですか、美由希マスター」

「そう、それ。どうして、私まで」

「……そうですね。この件に関しては、赤の主も一緒の方が良いと判断しますが」

どうするかと問われ、美由希と未亜は顔を合わせる。

「うん、その方が良いと思うんなら、それで良いよ。恭也さんも関係しているって事なんでしょう」

「まあ、完全に無関係とは言いませんが」

「そう。じゃあ、もう一つだけ。同じ事の繰り返しになるけれど、
 私たちは本当にイムニティを信用して良いんだよね」

「はい。それはこの身に誓っても。何があっても私はマスターたちの味方です」

念を押すようにイムニティへと投げかけた美由希の言葉に、イムニティは真剣な表情でそう返すのだった。





 § §





ダウニーの振り下ろす刃を目に映しながら、リリィはそれでも身体を反転させる。
リリィの胸に突き刺さるかと思われたダウニーの剣は、しかし、リリィが腰より抜いた短剣によって受け止められる。
驚くダウニーの隙を付き、リリィは手にした短剣でダウニーの剣を弾くと、そのまま身体を沈めるようにして、
ダウニーの懐へと飛び込み、一気に斬り上げる。
ダウニーは後ろへと跳んで躱すが、そこへ追撃するようにリリィが踏み込む。
腕の力だけでなく、腰も使った横薙ぎにダウニーの腕から鮮血が飛び散る。

「私だって、何もしてなかった訳じゃないのよ。
 恭也たちには足元にも及ばないけれど、俄仕込みの剣術にしてはまあまあ及第点じゃないかしら?」

リリィは血の付いた短剣を手にそう口にする。

「残念だけれど、ちゃんとここまで考え済みよ。
 本当は心臓を一刺しするつもりだったんだけど、先生もそれなりに体術できるみたいですね」

不敵に笑うリリィに、しかしダウニーは余裕の笑みを見せる。

「なるほど。成長していないと言ったのは取り消しましょう。
 ですが、私の勝利に変わりはありませんよ。いきますよ」

ダウニーは笑みを薄っすらとそら寒いものに変えると地面を蹴る。
今までにない速度で迫るダウニーに、リリィは反応するも簡単に短剣を弾かれる。

「くっ」

咄嗟に横に身を躱すと、そこをダウニーの剣が通過する。
僅かに肩を切り裂かれつつ、リリィは反撃を試みるが、ダウニーの蹴りがリリィを吹き飛ばす。
地面を擦りながら数メートル吹き飛び、止まったリリィの前にダウニーが既に立っていた。
地面を転がって攻撃を避けつつ、リリィはダウニーと距離を開ける。
しかし、ダウニーはいとも簡単に追いつき、リリィへと攻撃を繰り出す。
それを無様と笑われようと、地面を転がり、手で地面を這いながらも紙一重で切り抜けていく。
小さな切り傷を作りながらも、何とか攻撃を躱すリリィだったが、
ダウニーの速度が段々と上がってきている事に気付いていた。
今まで避けれた攻撃が当たりだし、紙一重だったものが更に深く当たるようになっているのだ。
自分の体力の低下もあるが、それだけではなく、間違いなく速度が上がっていた。

「ちっ。このサド教師が」

吐き捨てるリリィの言葉を聞き流しながら、ダウニーはリリィの頭をかち割るように剣を振り下ろす。
それを短剣で受け止めるも簡単に弾かれ、短剣が手から離れる。
ダウニーとリリィの中間に突き刺さった短剣へとリリィが手を伸ばすが、
それよりも早くダウニーの足が短剣を踏み付ける。

「くっ」

ダウニーの足から短剣を引き抜こうと必死に力を込めるリリィの肩へ、ダウニーの剣が下ろされる。

「武器の使い方を覚えたばかりで、武器に頼りたくなるのも分かりますが、
 その為にその身を危険に晒すなど、考えが足りませんね」

「そんな訳ないでしょう。この距離なら、外さないわよね。ヴォルテクス!」

こっそりと唱えていた雷の魔法を解き放つ。
足を素早く引き戻すも、ふくらはぎを掠める魔法に顔を顰める。
足が離れた隙に、リリィは短剣を引き抜いてダウニーへと攻撃を仕掛けようとするが、
思った以上に深く突き刺さっていた短剣は、すぐに抜けずに地面を擦り、速度が僅かに鈍る。
その僅かな差に、ダウニーは胸を浅く斬られる程度の傷で距離を開ける。
悔しそうな顔を見せるリリィへと、先程よりも速さを増した攻撃を連続で放つ。
完全に防戦となるリリィは、苦し紛れに蹴りを繰り出す。
が、簡単に受け止められる。
襟首を掴まれて放り投げられて地面を転がるリリィ。
立つほどの体力ももうないのか、地面に膝を付いたままのリリィへと、ダウニーはすぐに近づかない。
今までの事で、リリィを警戒する。
しかし、本当に体力的に限界が着たのか、リリィは荒く呼吸を繰り返し、何とか立ち上がるも、
片足を引き摺ったままゆっくりとした動作でしか動けていない。

「左足を痛めましたか」

それを見て、ダウニーは止めの一撃を加えるべく刃にそっと手を滑らせる。
すると、刀身が輝きを放つ。

「塵一つ残らずに消し去ってあげましょう」

言ってリリィへと最後の攻撃を加えようとするダウニーへ、リリィは逆に余裕の笑みを見せる。
それに怪訝な表情を浮かべ、ダウニーは足を止める。

「何が可笑しいのですか」

「別に大した事じゃないわ。自分の最後を気付かないバカがちょっと可笑しくてね」

「ふむ、貴女の事ですか、リリィ・シアフィルード」

「アンタの事よ。い、今までの私の攻撃は全て、これから放つ攻撃のための布石。
 全ての攻撃は、たった一つ…。今からの攻撃魔法を悟らせないためだけのものだったのよ」

不敵に笑いながら、リリィは左手を持ち上げる。

「ライテウス! 魔力解放!」

リリィの言葉を受けてライテウスが赤く輝く。
それに合わせ、リリィたちのいる部屋、その床が同じように赤く光り出す。

「なっ!? これは魔法陣。しかも、この大きさに複雑さ。
 儀式魔法にすら匹敵する程のかなり大規模なもの!? そんな、いつの間…まさか」

「ようやく気付いたみたいね。言ったでしょう。全てはこのためだってね。
 他の方法では、アンタは倒せそうもないからね」

言ってニヤリと笑うリリィをダウニーは忌々しげに睨み付ける。
今まで、リリィが蹴りを放つ際に、短剣を抜く際、攻撃を受けて吹き飛ぶ際、躱す際など、度々、床を擦っていた。
そして、最後に怪我をしたと思わせて引き摺った足。
あれがこの魔法陣を完成させる最後の一筆だったのだ。
それに気付いたダウニーは、リリィが魔法を放つよりも先にリリィを殺すべく動き出す。
しかし、既に魔法陣から立ち昇る魔力は充分で、リリィはダウニーを静かに見据える。

「残念だけれど、私の方が早いわ」

リリィは両手を胸の前で合わせ、幾つかの印を結ぶと両掌をパンと合わせる。

「ディスパーイグニクション!」

魔法陣から天へと光が立ち上り、中の空間が歪む。
いや、高度の熱に空間が歪んで見えているだけ。
リリィの放った魔法は、その内部にいる者全てを焼き尽くす。
それは灰すらも残さないほどに
術者であるリリィだけは、結界に守られているのか無事だった。
魔法の発動が止まると、そこには何も、本当に何も残っておらず、ただリリィが立つのみだった。

「強力な魔法なんだけれど、敵味方の区別がないのが欠点なのよね。
 おまけに、魔力もバカにならないし」

肩で息をしながら、リリィは座り込むと少しだけ休息を取るのだった。





つづく




<あとがき>

あちこちで決着!
美姫 「いよいよ、恭也たちの番ね」
えっと、もう残ってないよね、他の人たち。
美姫 「いや、自分で書いておいて何を」
あははは。冗談だって。さーて、それじゃあ、頑張るぞ〜。
美姫 「はいはい、頑張って〜」
それじゃあ、また次回で。
美姫 「まったね〜」




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