『涼宮ハルヒの挑戦、高町恭也の消失』






第四話 生徒会からの挑戦状





部室へと入ってくるなり生徒会長さんは高町さんへと視線を向ける。
嫌みったらしく眼鏡を手で掛け直しながら、ハルヒの奴へと顔を戻す。

「こちらの記憶違いでなければ、彼は関係者ではないですよね。
 しかも、うちの制服を着ていないことから考えてもこの学校の生徒でもない。
 さて、いつからここは部外者が勝手に立ち入り出来るようになったのかな」

事情を知る俺が聞いていても嫌味たっぷりの言葉に、当然ながらハルヒが黙っているはずもなく。

「別に立ち入り出来るようになった訳ではないわよ。
 でも、うちに依頼に来るのが校内に居る生徒たちだけじゃなくなったって事は、それだけ実績があるって事よ」

何の実績だ、何の。
大体、今までにうちに来た依頼なんて長門のお仲間によるコピ研部長のアレと、
本当にどうしようなくなって、藁をも掴む思いでやって来たうちの生徒による犬のあの件だけじゃなかったか?
改めて考えてみれば、どっちも簡単に言えば宇宙人絡みだったんだよな。
いやはや、何ともグローバルな事で。と、それは兎も角、今回に関しては生徒会長の言い分の方が正しい。
例え依頼者だとしても、無許可で部外者を入れるのはどうかと思うしな。
とは言え、その辺りの事情は当然ながら古泉の奴から聞いているはずだから、
これもまた何か意味あることなんだろうな。とは言え、手加減を頼むぜ。
お前らがハルヒを退屈させないように娯楽を提供するのは勝手だが、
実際に走り回らされるこっちの身も少しは考えろってんだ。
挑発的な笑みさえ浮かべるハルヒに、生徒会長は微塵も動揺する事なく許可を出していない事と、
部外者が入るなんて聞いていない事を告げる。
まあ、正論だな。で、それを聞いた高町さんが謝ろうとするのを俺たちが制するよりも先にハルヒの奴が制する。
困ったようにこちらを見てくる高町さんに、これも古泉の策の一つだと伝える。
伝えるが声に出すわけにもいかず、身振り手振りだとハルヒに気付かれてしまう。
なので、口パクをした訳なんだが。
バカか、俺は。こんなので通じたら苦労しないっての。
とりあえずは大人しくしててくれるように手を広げて高町さんに向ける。
が、高町さんは理解したのか一つ頷く。
……もしかして、読唇術ですか?
そう口にした俺に頷く高町さん。あはは、まあ良いか。今回はそれで助かった訳だし。
と、それはさておき、ハルヒの奴は偉そうに胸を逸らしながら高町さんへと指を突きつける。
って、中々に失礼な行為だぞ、それ。

「この人はそこに居る有希の親戚なのよ。有希の事を心配してきたわけ。
 どうよ、ちゃんとした理由があるでしょう」

ふふんと鼻を鳴らすハルヒではあったが、生徒会長はそれさえも想定内とばかりに慌てもせずに反論だけを口にする。

「例え親族の方であったとしても、寧ろそれならば最初に職員へと連絡をするべきでは?
 このように勝手に校内に入られると、治安という意味でも問題なんだが。
 まあ、事情は分かったから今回は見逃しますが、今後は…」

「ああ、もうごちゃごちゃと煩いわね!」

いや、まったくもって正論だと思うぞ。
だが、今回に関しては高町さんに校内の出入りを認めてもらわないといけないしな。
そもそも、そっちの方向で話をつけてたんじゃないのか、古泉。
…だから、その意味ありげな笑みを向けるな。
俺はお前と目と目で通じ合うような仲になりたいと微塵も思っちゃいないんだからな。

「どうせもうすぐ春休みなんだから良いでしょう。
 大体、心配して来ているんだから、明日ぐらいはもう一度来ても良いでしょう。
 減るもんじゃないし」

「そういう問題ではないんだが」

うーん、高町さんの意見を聞く事もなく勝手に明日も来るって話になっているんだが。
いや、実際に来る事になるんだが。しかし、ハルヒ。
他の団員には優しいのに、何故俺の扱いだけは酷いんだ。
俺は何よりも先にそこの改善を頼みたいぞ。
俺の愚痴は兎も角、ハルヒと生徒会長は睨み合ったままである。
さて、ここからどうなるのやら。

「そんな事よりも、わざわざここまで来たのはまた何か無茶難題でも言いつけるためかしら?」

「無茶難題とはこれまた失礼な言い方だな。
 そもそも前回の件は…、いや既に済んだ事は良いな。まあ、今日も用があって来たのだが。
 しかし、こうも好き勝手にやっているとは…」

言って高町さんを再び見て嘆息する。
ハルヒの奴はハルヒの奴で既に喧嘩を買う気満々だし。
おいおい、穏便に頼むぜ。

「ふふん、あたしは誰の指図も受けないわ。やりたいようにやるのよ!」

「それは単なる我侭というんだ」

「そうよ、悪い」

「悪いに決まっているだろう。学校を出て好き勝手にするのならそれこそ勝手だが、
 校内で、それも部活動として勝手なこと…」

「いちいちあたしに指図するな!」

あー、ハルヒさん。明らかにあなたの方がおかしいですよ。
勿論、口になど絶対に出せないから心の中でだけ突っ込んでおく。
それはそうと、いい加減話を進めろよ生徒会長さん。

「そうよ、そうよ。キョン、あんた良いこと言ったわ。
 で、今日は何の用よ。また文集でも作れっていうの?」

「違う。今日は別の用件で来たんだ。だが、ふむ」

一人納得したように頷く生徒会長に思わず身構えてしまう。
今度は一体何を言い出すつもりなんだ。
心配する俺を余所に会長はハルヒ一人に向けて言い放つ。

「良いだろう。そちらの方の出入りを認めようではないか。
 朝方、少し世話になった恩もあるしな」

「なに、顔見知りなの?」

「顔見知りという程ではない。ちょっと手助けしてもらった程度だ」

そう言って高町さんの出入りを認める生徒会長に、ハルヒの奴はまるで自分が何かしたかのようにふんぞり返る。
何故、そこまで勝ち誇れるのかが不思議だが、まあこれで問題は解決か。
の割には嫌な予感がひしひしと感じられるんだが。
案の定、ただしと付け足しやがった。おい、古泉、今度は何を仕掛けるつもりだ。
じろりと睨んでやるも、古泉の奴は涼しい顔をして肩を竦めるのみ。
くそ、忌々しい。

「今日、こちらに伺ったのは文芸部の部室に関してでね」

「ここはSOS団の部室よ!」

「くどいようだが、我々はそれを認めていない。
 と、この件に関してはいずれ決着をつけるとして、今は別件が先だ。
 こちらの部室の一角を借りたいという同好会があってね。
 彼らは基本的に教室か外での活動をメインとしているので、早い話が倉庫代わりという訳だ。
 元々倉庫代わりとして借りていた部が急に部員の増加で、借りれなくなってしまってね」

「お断りよ!」

即座に却下を出す我らが団長様。
だがまあ、それに関しては俺も賛成だな。
何より、ここでは朝比奈さんがお着替えあそばされるのだ。
そいつらに一角とはいえ貸し出すということは、当然鍵も渡す事になり、
さもすれば嬉し恥ずかしいハプニングなんて事になるかもしれんしな。
それに、その同好会の荷物によってスペースが占領されるぐらいなら、
朝比奈さんの新しいコスチュームが増える方が嬉しいに決まっている。
という訳で、却下だ却下。

「私としてはあくまでも文芸部の長門さんに聞いたつもりなんだが…」

「私が駄目って言ってるんだから、有希だって駄目に決まってるわよ。
 そうよね」

ハルヒが勢い良く振り返るそこには、今までのやり取りなど全く意に返さずに、
ただいつも通りに黙々と本を捲る長門の姿が。
流石のハルヒも少し呆れたようであったが、もう一度尋ねると長門はページを捲る手を止めて顔を上げ、
何も言わずに頷く。それを見てそれ見たことかと生徒会長に再び対峙するハルヒ。
というか、長門さん。
あなたはまた読書に戻られるんですね。
一応、名目上はここ文芸部部室に関する話なんですが。
生徒会長の方も長門と話をするのを早々に諦めたのか、またしてもハルヒと向かい合う。

「そういうだろうと思ったからこそ、一つ条件を考えてきた」

「まさか、この人の出入りを自由にする代わりにそっちの条件を呑めとか言わないわよね」

不穏な空気を隠そうともせず、ハルヒの奴は返答次第ではここから無事に帰さないとばかりに睨み付ける。
こいつの事だから、高町さんの件と部室の件、両方呑ませるつもりなんだろう。
それにしても、どこか嬉しそうに見えるのは気のせいかハルヒ。
そんなに悪役生徒会長の出現が気に入ったのか。
だとすれば、古泉の奴もさぞかし大喜びだろうよ。
生徒会長の奴はしたり顔で頷きながら、そんな手もあったかと呟き腕を組む。

「まあ、流石にそこまでは言わん。ただ、その同好会と勝負してもう。
 向こうが勝てば一角を貸し出し、そちらが勝てばそちらの方の自由な出入りを許可しよう。
 どうだ、悪い条件ではなかろう」

そう言って笑う生徒会長にハルヒの奴も笑顔を見せ、その条件を呑むかと思ったが。
よくも悪くもこいつは涼宮ハルヒであった。いやー、改めて思ったね。

「それじゃあ、駄目よ。こっちが勝ったら何か報酬がないとね」

ハルヒさん? 話を聞いてましたか。
だから、こっちが勝てば高町さんの校内立ち入りの自由が…。

「そんなの分かってるわよ、このバカキョン。
 良い、よく考えなさい。そんなのにいちいち許可なんていらないのよ」

いや、普通は居ると思うが…。

「普通なんて面白くもない事はこの際ほっときなさい!」

いやいや、駄目だろう、それ。

「兎に角! こいつは今、ここに来て高町くんの事を知ったのよ!」

いや、いきなり君付けですか。どう見ても年上だろうに。

「そんな細かい事いちいち気にしないの!」

気にしてないのはお前だけだと言いかけて止める。
言うだけ無駄だから。だったら、そこは聞き流してさっさと進めるに限る。

「つまり、元々この勝負を持ちかけてくるつもりだったのなら、別の報酬があったはずなのよ!
 ねえ、そうでしょう」

言ってニヤリと笑いかけるハルヒ。
いや、そもそも今回の件はこうなるように古泉が手を回したものだから、別の報酬なんてある訳…。

「流石に鋭いな」

あるのかよ! って、もしかして高町さんの事がなくてもこうする予定だったのか古泉?
ってその含みのある笑みはそうだったみたいだな。おいおい…。

「それで、こっちが勝った場合にはどんな報酬が貰えるのかしら。
 勿論、高町くんの自由は勝負を受けた時点で貰えるのよね。
 何せ、そちらから持ちかけた勝負なんだもの。
 本当なら、前回と違ってそんな挑戦を受ける必要はないものね。
 しかも、もし受けるとしたら余計な事に時間を割かなければならないんだし」

時間を割くも何も、元々特にする事もなく怠惰に過ごしているというのに、大した言い草だな。
いつの間にか、勝ったら高町さんの出入り自由許可ではなく、勝負したらになってやがるし。
これなら、例え負けても高町さんの出入り自由は認められるのか。
ハルヒは知らないが当然、古泉たちの狙いもそれだから、この条件を向こうも呑む。
にしても、なんて強引な。
文化祭の時と良い、ハルヒの強引とも取れる交渉がどうしてこうも上手くいくのか不思議で仕方ない。
今回は予め分かっていた事だが。
ともあれ、俺たちがその同好会と勝負するって事で話は落ち着いたらしい。
というか、その勝負事には当然のように俺たちSOS団も借り出されるわけで、
高町さんもご自分の出入りに関する問題だけに全くの部外者とはいかないだろう。
なのに、ハルヒの奴は一人でポンポンと話を進めてやがるし。
完全に当事者たちは置き去りですか。

「良いだろう。そっちの意見を受け入れようじゃないか。
 その上で、そちらが勝てば今後部室に関しては何も口出ししないってのはどうだ?」

「つまり、今回みたいな事はもうないって事ね」

「ああ」

「うーん、それだけだと面白くないわね」

ああ、こいつの考えている事が手にとるように分かる。
間違いなく、また同じような事が起こることを少しは期待してやがる。
そんな事をしなくても、何かと理由を付けては退屈しのぎに勝負を吹っかけてくるってのに。

「そうだわ。私たちが勝てば予算ちょうだい」

文芸部の予算を勝手にSOS団のものにしているというのに図々しい奴だな。
だが、それは言わない。
何故なら、ハルヒが続けて言った言葉があまりにも魅力的だったからな。

「そろそろ新しいコスチュームが欲しい所だったのよね。
 メイド服ももう一つ違うデザインのを買って二パターンにするのも良いし」

一層の事、長門やお前の分も買ったらどうだ。

「何、あんた。私のメイド姿をそんなに見たいの?
 でも、却下よ。団長である私が使用人の恰好なんて出来る訳ないでしょう」

言うと思ったよ。まあ、俺も半分冗談だから気にするな。

「…ふーん。でも半分は本気なんだ。
 そうね、予算が余ってどうしてもって言うのなら考えてあげなくもないわよ」

いやいや、予算を余らすぐらいなら使ってしまえ。
それで麗しい朝比奈さんの色んなお姿を拝見できるのなら本望だ。

「バカじゃないの?」

痛烈な言葉も今なら許せる気がするね。
何せ俺の頭の中では様々な衣装が浮かんでは消え、浮かんでは消えとしているのだから。
だが、そんな俺たちを邪魔するように会長の奴が割って入ってくる。
何だ、邪魔をするなよな。

「盛り上がっている所申し訳ないが、それは出来ないな。
 部活として認めても居ない所に予算など出せるはずもなかろう」

「だったら、部として認めなさいよ」

「それは今回の件とは別だ」

むむと睨み合う二人であったが、ハルヒは不意に表情を緩める。

「だったら良いわ。文芸部の予算をアップしなさい。
 文芸部なら部として認められているから問題ないわよね」

問題ないも何も、それは結局のところは同じじゃないのか。

「違うわよ。あくまでも文芸部に支払われるんだもの。
 それをどう使うかまでは生徒会が関知する所じゃないもの」

いや、何か間違っていると思うんだが。
そもそも、文芸部は長門一人な訳で、そうなると長門の奴が予算を気にするかということになるよな。
当然ながら長門の事だから頓着しないだろうから、ハルヒの思い通りに…。
そんな事は当然、向こうも分かっているだろう。だとすれば、これも却下されるにきまって…。

「良いだろう」

良いのか!?
思わず生徒会長を凝視してしまうが、不敵な笑みを浮かべるばかり。

「要はこちらが勝てば良いのだからな」

それはそうなんだが。
まあ、例え負けても部室の一角が潰れるだけだしな。
それはそれで嫌だが、そう悪い条件ではないか。
なんて事を考えている間にもハルヒと生徒会長の間では話は進んでいき。

「じゃあ、勝負は明日の放課後って事で良いのね」

「ええ、こちらは構いませんよ」

って、ちょっと待てハルヒ。
何で勝負するのかも分かってないのに勝手に決めていくな。

「何だって大丈夫よ。SOS団に敵はないわ!」

いや、お前な。運動系なら朝比奈さんは少し苦手のご様子だし、頭を使うものなら俺は戦力外だぞ。
そもそも、大人数でやるようなものならどうするつもりだ。

「それこそ大丈夫よ。同好会っていうぐらいだから、向こうも人数が少ないはずよ」

あ、そうか。だが、何で勝負するんだ。
向こうの言う勝負だと、こっちが不利だろう。
そう思って生徒会長を見れば、眼鏡を弄りながら、

「勝負方法はサバイバルゲームだ」

サバイバルゲーム?

「正確な名称はゾリオンというものだ」

「モデルガンと違い、赤い光線を発射する銃で、専用のセンサーを狙うゲームですね」

古泉が解説してくれるが、つまり俺たちが対戦するのは…。

「サバイバルゲー研究会だ。そちらは初めてだろうから、ゾリオンで対戦という形にしたのだが」

おいおい。それってどう違うんだ。
どっちにせよ不利なのは変わらないんじゃないのか。

「どうする、止めるかね?」

ああ、そんな挑発的な言い方をしたら…。

「そんな訳ないじゃない! 良いじゃない、面白そうだわ。
 受けてたってやろうじゃない!」

ああ、やっぱりな。いや、どっちにしろ受けない事には高町さんの校内出入りが禁止されるわけだしな。
で、ルールとかはどうなるんだ。前にコピ研とやった時みたいに大将をやれば勝ちなのか。

「いや、全滅させた方が勝ちだ。
 因みに、予算が掛かっている以上、我々生徒会も参加する。
 本来なら、我々は参加しないはずだったんだがね。
 というのも、この勝負で勝てばサバ研の部室の一角の貸し出しの他にも部への昇格も関わっているからね」

そんな事情は知らん。と言うか、部への昇格と聞いてハルヒの顔が引き攣っているんだが。
ああ、何故こうも余計な事を言ってくれるかねこいつは。
しかし、生徒会も参加ね。
いざとなれば長門がいると思ったんだが、生徒会にはその長門のお仲間の喜緑さんが居るじゃないか。
こりゃあ、簡単に勝つのは無理かもな。
だと言うのに、こいつは何でこんなに楽しそうなのかね。

「ふふん、良いわよ。そうこないとね。
 私たちが勝って予算を頂いた上で、そんな訳の分からない同好会の部への昇格も邪魔してやるわ」

完全に私怨入ってますよ、ハルヒさん。
まあ、良いけどよ。正直、勝って予算のアップは美味しいが絶対に何が何でもじゃないしな。
問題は負けそうになった時のこいつの無意識での暴走なんだよな。
まあその辺はその時に考えるとするか。ここでグダグダ考えていてもしょうがないしな。

「我々生徒会から五人。サバ研の全部員で五人。計十人がこちらの戦力だが」

「こっちは私たちSOS団だけで…もがもがっ!」

流石に半分の戦力、しかも経験者なしばかりはきつすぎるって。
咄嗟に口を塞いだまでは良かったが、こんな時に臨時の戦力として考えれるのはあの四人。
うち一人は妹だから、今回は却下だな。
って、噛むな! 俺の手を噛むんじゃない!
全く、何て事をしやがる。
俺が手を離した瞬間、ハルヒは高町さんを見て、ってまさかお前。

「じゃあ、うちはSOS団メンバーに高町君を加えた六人よ!
 あ、みくるちゃん、鶴屋さんに声掛けといてくれる?
 大丈夫なようなら宜しくって。という訳で、場合によって七人で勝負よ」

ハルヒ、鶴屋さんを呼ぶのならあいつらも一応は呼んでやれ。
まあ、戦力になるかどうかは怪しいが。
とは言え、もう宣言してしまったしな。はぁ、果たして何処までやれるのやら。
ハルヒの言葉を受けて生徒会長は片手を上げる。
すると、今までずっと黙って立っていた喜緑さんが廊下に出て、何やら持って戻ってくる。

「これはゾリオンの道具ですね」

「そうだ。これを君たちに進呈しよう。
 勝負は明日だから、あまり意味はないかもしれないがね」

「吠え面かかせてやるわ!」

あくまでも自信たっぷりに言い放つハルヒ。
いやはや、本当に何処からそんな自信が出てくるんだろうね、こいつは。
まあ何はともあれ、こうして慌しく始まった高町さんのこっちの世界での二日目は、
朝と同じぐらいに慌しい感じで終わるのだった。
完全に人事とは言い切れないけれど、高町さんには同情を禁じえないな。
本当にハルヒの奴は。て、今回の件では全面的にそう言い切れないんだったな。はぁぁ。





つづく




<あとがき>

いやー、今回はキョンとハルヒ、そして生徒会長ばっかり。
美姫 「このバカ!」
ぶべらっ!
い、いや、こういう事もあるだろう…。
美姫 「まあ、あるわね」
だったら、なして殴られるの?
美姫 「何となくよ、何となく」
ひ、酷い!
美姫 「ともあれ、次回はゾリオン勝負ね」
多分。練習風景を書いても。いや、練習なしのぶっつけ本番かも。
いやいや、ちょっとぐらいは練習風景が出るかも?
美姫 「つまり、まだ決めてないと」
いやいや、そうじゃないよ。と、とりあえずはまた次回で!
美姫 「それじゃ〜ね〜」




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