『マリアさまはとらいあんぐる 〜2nd〜』



第31話 「千客万来?」






九時になり、一般の方の入場が始まる。
まだ、九時なったばかりだというのに、早速、数人の来客があり、校門の所でチケットを確認している生徒たちも動き始める。
入場開始から三十分と経ってもいないうちから、次々と来客が現われ、校門は俄かに騒がしくなっていく。
そんな中、人目を惹く人物たちが現われる。
その者たちは受付へと行くと、持っていた入場チケットを見せる。
何処か茫然とした様子でこちらを見ている係りの少女に、チケットを差し出した人物は苦笑を浮かべる。

「ごめんなさい、入場しても良いかしら」

「あ、はい。し、失礼しました。紅薔……、いえ、よ、蓉子さま」

「うふふふ。そんなに緊張しなくても良いのよ。
 別にとって食べる訳でもないのだから」

そう言って微笑む蓉子の横から、聖がからかい気味に声を掛ける。

「案外、とって食べるかもね、蓉子なら」

「失礼ね、聖」

「おおー、怖い、怖い」

「はぁー。あなたたちと居ると、いつも以上に疲れるわ」

「またまた〜。蓉子はすぐにそんな事を言って」

「馬鹿な事やってないで、さっさと行くわよ聖、江利子」

呆れたように中へと入って行く蓉子に続き、聖と江利子もチケットを見せて中へと入る。
少し先を行く蓉子に早足で追いつくと、

「で、何処から周るの」

「そうね、何処から周りましょうか」

「勿論、面白い所からに決まってるじゃない」

江利子は入場の際に貰ったパンフレットを開け、何をやっているのかざっと見ていく。
そんな江利子の様子に苦笑しながら、二人は江利子が目的地を決めるのを待つ事にする。

「ん〜、令の所は喫茶店か。何か捻りが無いわね。
 それに比べたら、流石は由乃ちゃんと祐巳ちゃんね。あら、志摩子の所と合同だわ」

江利子の言葉に、蓉子と聖も気になってパンフレットを覗き込む。
そこには、確かに江利子の言う通り、二クラス合同で催し物をしていた。
内容は、中庭一体を使っての縁日の屋台となっていた。

「最初はここにしましょう」

江利子の言葉に、蓉子も聖も異はなく、三人の最初の目的地が決まる。
そうと決まれば、一年程前までここに通っていた彼女たちにとって、ここはよく見知った場所。
迷う事も無く、中庭を目指して歩いて行く。



三年松組の教室では、準備を終えた生徒たちがほっと一息吐いていた。

「こんな所ですかね」

教室の入り口の高い所に看板をつけ終えた恭也が、床へと降りつつ尋ねる。
それにクラスメイトの一人である秋子が頷きながら笑みを浮かべて答える。

「ええ、そうですね。恭也さん、ありがとうございました」

「いえ、そんなに大した事ではないですよ。
 それに、高い所の作業は危ないですから、女性よりも男の方が良いでしょうし」

「あら、別に女性にだって出来ますよ」

「あ、別にそんな意味で言った訳では。ただ、万が一にも落ちた時に傷でも付いてしまわれたらと」

「ふふふ。分かってますよ。ちょっとからかってみただけです。ごめんなさい」

「勘弁してくださいよ」

可笑しそうに笑う秋子に苦笑で返しつつ、恭也は教室へと入る。

「お疲れさまでした、恭也さん」

「ああ。まあ、大したことはしてないけどな」

「そうかしら。うちのクラス以外にも、他のクラスのお手伝いをしている姿を何度か見掛けたような気もするんですけれど」

祥子の言葉に、恭也は首を横へと振る。

「あれは、別に手伝いって程のことでもないさ。
 偶々、廊下で会った子が重そうな荷物を持っていたから、教室まで運んであげただけだ。
 それに、今はそれは関係ないんじゃないのか?」

「全く関係ないとは言えないんですけれどね。まあ、さっきの言葉とは直接関係ありませんけれど」

恭也と祥子が話していると、クラスの子たちが数人やって来る。

「あの、恭也さんに紅薔薇さま。この後のご予定は……。
 もし、ないようでしたら、一緒に周りませんか」

恭也と祥子は顔を見合わせ、この後の予定を考える。
恭也と祥子の店番は、午後一時半からの一時間半。
四時半からは山百合会主催の劇となっている。
つまり、午前中は予定がないのだが。

「すいません。母たちが来るので、案内をしないといけないんですよ。
 誘っていただいたのに、申し訳ない」

「い、いえ、良いんです。それでしたら、仕方がないですから」

「そう言えば、桃子さんたちがいらっしゃるのは、何時だったかしら」

「確か、十時頃だと言ってましたね」

「それでは、それまでだったら良いんじゃないかしら」

「そうかもしれないが、俺が居ては迷惑だろうから、祥子だけで行って来た方が良いのでは」

恭也の言葉に、祥子はそう言えばそうだったと呟き、呆れたように見詰める。

「恭也さん、この方たちは、恭也さんと一緒に周りたいのよ」

「そうなのか」

驚いたように見てくる恭也に、クラスメイトたちは頷く。

「勿論、祥子さんとも一緒に見て周りたいんですよ」

その言葉に祥子は肩を軽く竦めつつも、何も言わず、代わりに違う事を言う。

「もうすぐ令が来ると思うけれど、彼女も一緒しても宜しくって」

「勿論よ」

そう頷いた生徒の後ろから、秋子がやって来る。

「祥子さん、宜しかったら、私もご一緒させて頂いても」

そう尋ねてきた秋子に、祥子は頷く。
こうして、やって来た令を連れ、恭也たちは教室を後にする。



一年椿組では、何とか無事に準備も終わり、皆が心のうちで乃梨子へと感謝を示していた。
そんなクラスメイトたちの心の内など分からず、乃梨子は準備を終えた事を確認すると、実行委員へと話し掛ける。

「それじゃあ、私は自分の店番の時間が来るまで出掛けて来るから」

「あ、はい、いってらっしゃい」

クラスメイトの声を背中に受け、乃梨子はお姉さまの元へと向う。
廊下を少し早足で進みつつ、既にご来場された保護者の方々とすれ違いながら前へと進んでいた足が、ふいにぴたりと止まる。
そして、疲れたように眉間へと視線を寄せながら、乃梨子は背後へと振り返る。
そこには、乃梨子の後にぴったりと付いて来ていた瞳子と可南子の姿があり、
乃梨子が振り返ると、示し合わせたみたいに乃梨子から視線を逸らす。
逸らした先で、たまたま視線がぶつかった二人は、今度は鼻息も荒く、お互いに逆側へとそっぽを向く。
そんな二人の様子に、心底疲れた顔をしながら、それでも乃梨子は尋ねてみる。

「二人とも、何で私の後を付いてきてるの」

「それは気のせいというものですわ、乃梨子さん」

真っ先に答えた瞳子を数瞬見遣りつつ、乃梨子は少し冷たい口調で告げる。

「ふーん、気のせいね。私、少し早足で歩いてたと思うんだけれど、それでも気のせいなんだ」

「も、勿論ですわ」

胸を突き出し、虚勢を張る瞳子から、その横の可南子へと視線を移す。
こちらでは、可南子がチラチラと乃梨子を窺っており、目が合うと慌てて逸らす。
じっと可南子の横顔を窺っていると、可南子が消え入りそうな声で話し出す。

「乃梨子さんは白薔薇さまの所へ行かれるんですよね。
 で、ですから、私もご一緒させていただこうかと」

祐巳に会いに行くのが少し躊躇われるのか、一人では心細いといった所だろうと検討をつけ、乃梨子は仕方が無さそうに頷く。
どっちにしろ、瞳子は兎も角、可南子も一度は美由希か恭也の元へと行っておかないといけないのだから。
念のため、山百合会の面々と可南子は、常に美由希か恭也の傍にいるか、もしくはその居場所が分かるようにとの事だったから。
そうは言っても、一日中、何処かに行くたびに恭也か美由希に行き先を告げるなんて事も出来るはずもないので、
とりあえずは敵の言葉を信じ、今日は大丈夫だろうと考えて、最初の行き先だけを告げる事になっていた。
まあ、薔薇さま方は、恭也さんと一緒に行動したがるかもしれないけれど。
そんな事を考えていると、瞳子が物凄い勢いで可南子を睨み付ける。

「あら、貴女は白薔薇さまに何か用事でもあるのですか」

「別に、白薔薇さまに用事がある訳ではないです」

「だったら、祐巳さまにですか。まさか、そんなはずはないですよね」

「何故、そんな事に答えなければいけないのでしょうか?
 そもそも、私が誰に何の用事があろうと、貴女には関係ないでしょう。
 第一、貴女こそ、何処へ行かれるんですか?」

「それこそ、言う必要のない事ですわ」

また始まったか、と頭を抱えつつ、通路の中央では通行人の邪魔に、それに何より、
学園以外の人たちも来ている状況で、流石に拙いと思った乃梨子は、一つ大きく手を叩いて注意を自分へと向けさせる。

「ほら、二人ともいい加減にしてよね。今日は学園内の生徒たちだけじゃなくて、その関係者まで来られているんだから。
 こんな所で喧嘩なんかしないでよ。それよりも、行くんだったら、さっさと行きましょう。
 時間が勿体無いわ」

乃梨子はそう言うと、さっさと先に行ってしまう。
その後を、可南子が慌てたように追い、瞳子も不機嫌そうな顔を崩さずに後を追うのだった。



中庭では、既に数人のお客さんがやってきており、少しずつだが賑やかになっている。

「いらっしゃいませ〜」

ハッピ姿の祐巳と由乃も一緒の屋台でお客さんが来ては挨拶を返しつつ、作業をこなしていく。
と言っても、二人がやっている作業は、専ら商品である飲み物とフランフルトをお客さんに渡すという事だけなのだが。

「何か、私たちだけ楽な仕事のような……」

「確かに、調理とかにも関わってないしね」

客が途切れたのを見て、呟いた祐巳の言葉に、由乃がそう答えたところで、フラッシュが光る。
誰か分かっているので、何も言わずにそちらを振り向けば、やはり、そこには蔦子がいた。

「つぼみ二人で屋台のツーショット」

「と言っても、殆ど何もしてないんだけどね」

先程と同じ事を言う祐巳に、蔦子は首を振ってみせる。

「そんなのは良いのよ。だって、山百合会の半数がうちにいるのよ。
 それに、リリアンの生徒たちにとっては、山百合会の方から直接、商品を貰えるというのが嬉しいのよ」

「そんなものなの?」

「そういうものなのよ。特に、祐巳さんは一年生からの人気が高いからね。
 祐巳さんがいると知ったら、一年生の子たちがこぞってくるはずよ」

「またまた〜」

「いや、本当だってば。まあ、その辺も計算してるんでしょうけど」

そう言って蔦子が目を向けた先には、学園祭の実行委員の一人、芙美枝がおり、彼女はこちらに気付くと、
いや、話している内容を聞いていたのだろう、にっこりと笑みを浮かべると軽く手を振りながら近づいて来る。

「まあ、蔦子さんの言う事を否定しないわよ。二人、ううん、志摩子さんも含めて三人にはお世話になります。
 と、いう訳で、仕事は比較的楽なのにしたんだけどね」

「はあ」

「正直、ちょっと退屈〜」

「まあ、そう言ってられるのも今のうちかもよ。もう少し時間が経てば、お客さんが増えるでしょうし。
 そうしたら、そんな事、言ってられないわよ」

楽しそうに笑う芙美枝の言葉を半信半疑で聞きながら、祐巳はそう言えば、と蔦子を見る。

「蔦子さんは、この時間は自由だった?」

「いいや、私は一日中フリーなのさ」

何で、という顔をする祐巳に、芙美枝が変わりに教える。

「だって、蔦子さんを拘束したら、他の生徒たちから文句の嵐が来るじゃない。
 愛しのお姉さまや妹、憧れの人の写真が欲しいと言う生徒は、それこそ山のようにいるんだから」

「あ、そういう事」

「そういう事なのですよ。まあ、私としても、それで全然、文句もないしね。
 寧ろ、一日中、好きなだけ写真を撮っても良いことだし」

納得してみせる祐巳に、蔦子は軽く肩を竦めて見せる。
そんな蔦子に、由乃が笑いながら言う。

「一層の事、その撮影を写真部の出し物にすれば良かったのに」

「まあ、それも考えたけれど、これは最早、私の趣味だしね。
 写真部は写真部で、ちゃんと写真の展示をしてるし」

「と、のんびり話してもいられなくなるかもね。
 ほら、お客さんが増えてきたみたいだし。私も自分の持ち場に戻るわ」

「あ、ごめんね」

「いえいえ。それじゃあ、祐巳さんも由乃さんも頑張ってね」

そう言って立ち去ろうとした芙美枝だったが、最後に念を押すように蔦子へと告げる。

「そうそう。人手が抜けた分、少し忙しくなるんだから、写真の方はお願いね」

「はいはい。お姉さまと妹の写真でしょう。任せなさいって」

「うん、お願い。それじゃあ、本当に持ち場に戻るわ」

そう言うと、芙美枝は少し駆け足で持ち場へと戻っていく。
その背中を見遣りつつ、蔦子が思い出したように祐巳たちに話し掛ける。

「そうそう。後で、志摩子さんも含めたスリーショットを撮らせてね」

「え、別に良いけど…」

「何だったら、今から撮る?」

由乃の言葉に、しかし、残念そうに蔦子が首を振る。

「いやー、そうしたいのは山々なんだけど、ほら、お客さんが……」

蔦子の指差す先からは、新たなお客さんの姿が。
それを見ながら、蔦子もその場を立ち去る。

「まあ、そういう事だから、また後でお願いするわ」

それからやって来たお客さんの対応をしつつ、またも途切れたのを見計らい、ふっと息を吐く。

「急に来たかと思ったら、急にいなくなるのよね」

由乃の言葉に、祐巳もうんうんと頷く。
そこへ、第三者の声が聞こえてくる。

「まあ、人の波にはピークみたいなものもありますから」

そう言って現われたのは、美由希と志摩子だった。
祐巳たちと同じようなハッピを羽織っている所を見ると、まだ自由時間という訳ではないようだった。

「志摩子さんと美由希さんの所は、確かヨーヨー釣りだったわよね」

「ええ。今は、他の方が交代してくれたので、ちょっと他の屋台の様子を見に」

「そう言えば、全部で幾つあるんだろうね、屋台」

「さあ。確か、二十とか三十とか言ってた様な気もするけど」

「いや、流石にそんなにはないかと思うんですが……」

由乃の台詞に美由希が苦笑しつつ答える。
と、そこへまたも集団でお客が現われ、由乃たちは急いで接客に戻る。
それを見た志摩子と美由希も、その手伝いを始める。

「ありがとうございました〜」

どうにか捌ききった祐巳たちは、ほっと一息入れる。

「ごめんね、志摩子さん、美由希さん。手伝ってもらって」

「別に気にしてないわよ。それに、忙しい所があれば、手伝うって事にもなってるのだし」

「そうですよ、祐巳さん。大体、ここにある屋台全部が、私たちの出し物なんですから」

「それもそうだね。でも、ありがとうね」

改めて礼を告げる祐巳に、二人も何も言わなかった。
と、そこへ懐かしい声が掛かる。

「やっほー。皆、お揃いで」

「「聖さま!」」

驚いたような声をあげる祐巳と由乃に軽く手を振る聖の横には、蓉子と江利子の姿もあった。

「私たちもいるんだけどね」

「蓉子さまに江利子さまも。ど、どど、どうして、ここに」

驚きつつ、そう言う祐巳に、蓉子は微笑む。

「それは、チケットを貰ったからじゃない。
 それとも、おばあちゃんたちは来ない方が良かったかしら、祐巳ちゃん」

「あ、あああ、べ、別にそんな意味で言った訳ではなくてですね」

「うふふふ。分かってるわよ、冗談よ。
 まあ、確かに最初にここに来ると思わなかったのかもね。
 でも、江利子がここに来たいって言うから」

「江利子さまが……?」

蓉子の言葉に、そちらへと向けば、江利子が楽しそうに微笑んでいた。

「ええ、そうよ。だって、中庭を目一杯使ってこんな楽しそうな事をしてるんですもの。
 これは、最初に来ない訳には行かないでしょう」

江利子の相変わらずの言葉に、祐巳はただ頷くしかなく、その横で由乃はまるで喧嘩でも売るように江利子を見る。
その視線に気付いているのか、いないのか、江利子は由乃に向って声を掛ける。

「あら、私たちはお客さんなんだけど、いらっしゃいませの挨拶もないのかしら?
 令ったら、どんな教育をしているのかしらね」

こめかみに青筋を浮ばせつつ、怒鳴るのを堪えるようにして由乃が引き攣った笑みを浮かべる。

「ようこそいらっしゃいませ、江利子さま。
 少し、久し振りの再会で挨拶が遅れてしまいまして、申し訳ございませんでした。
 でも、これと令ちゃ…、お姉さまは関係ないのでは」

「え〜、そうかな? だって、仮にも令は由乃ちゃんの姉な訳だし。
 姉が妹を導くのが、ここの制度でしょう」

傍で見ている祐巳の方がハラハラする中、由乃は浮かべた笑みのまま続ける。

「ですけど、これは私のミスですから」

「まあ、そうよね〜。あの令が礼儀を軽んじる訳ないものね〜」

祐巳は、由乃の背後に嫌なオーラーのようなものが立ち上るのを見たような錯覚に陥る。
仲裁したいが、自分には出来ないだろうと思い、周りを見ると、志摩子と聖は和やかに挨拶をしており、

「久し振りと言うほど、久し振りでもないか。まあ、元気そうだね、志摩子」

「ええ、お姉さまの方も、お代かわりないようで」

それならば、と蓉子を見ると、何やら美由希と話をしている。

「で、恭也のお友達の方たちはまだ来られてないの?」

「ええ、まだですね。もうすぐ来ますけど」

「そう。楽しみね。ふふふ」

どうしようかと悩んでいる所へ、最も頼りになる声が聞こえてくる。

「祐巳、さっきから一人で何をしてるの」

「お、お姉さま!」

期待を込めた目で祥子を見上げる祐巳に首を傾げつつも、蓉子たちに気付く。

「ごきげんよう、お姉さま方。本日はようこそいらっしゃいませ」

「ごきげんよう、祥子に令。それと、恭也も」

それぞれに挨拶を交わす中、睨み合っていた由乃と江利子も何事もなく元に戻ったらしく、ほっと胸を撫で下ろしていた。

「それはそうと、そっちの子たちは?」

「ええ、この方々はクラスメイトの方たちです。一緒に色んな所を見て周っていたんです」

そう言って紹介する祥子を、蓉子は少し嬉しそうに眺めていた。
随分と柔らかくなった祥子に、蓉子は改めて祐巳と恭也との出会いを感謝しつつ、自分も挨拶を返す。
祥子のクラスメイトたちは、先代の三薔薇さまの登場に驚いていたが、頬を上気させ、やや緊張気味に挨拶をする。
そんな中、恭也は急に険しい顔をすると、辺りをざっと見渡す。

「美由希……」

「何、恭ちゃん」

その呼びかけに、美由希も注意深く辺りを見渡しながら、少し緊張気味に尋ね返す。

「まさかとは思うが、お前が調理したりは……」

「何なの!? その意味ありげに真剣な顔しておいて、言う事がそれなの!」

「いや、これはかなり重要な事だぞ。下手をすれば、明日の朝刊……、いや、今日の夕刊の一面を飾りかねん。
 俺は、身内から犯罪者を出すような真似はしたくないからな」

「うぅ、どうせ下手ですよ……」

「いや、まあ、それは今後、練習すれば、何とかなるかもしれんだろう。
 それよりも、問題は今はどうなのかだが」

「……調理には携わってないよ」

拗ねたように告げた美由希の言葉に、恭也はほっと胸を撫で下ろし、ついつい口を滑らせる。

「いや、一瞬、脳裏に『リリアン女学園、学園祭で大量の食中毒患者が!!』という見出しが浮んだんだが、杞憂で済むな」

「酷すぎるよ……」

完全にいじけた美由希を綺麗に無視して、恭也が志摩子へと声を掛ける。

「そう言えば、志摩子と美由希は一緒の所だったな。二人は何処をやってるんだ。
 本当に、調理には関係ない所か」

美由希の言葉を信じていないのか、志摩子へと尋ねる恭也の後ろで、美由希がおもいっきりジト目になっていた。
それに苦笑を浮かべつつ、志摩子がさっきまで自分がいた所を指差す。

「私と美由希さんは、あそこのヨーヨー釣りの所です」

「ほう、そうか」

そう呟く恭也の背後から、美由希が低い声で告げる。

「恭ちゃんはやるの禁止だからね」

「美由希さん、幾ら何でもそこまでしなくても…」

美由希の言葉に、祐巳がそう言うが、それに美由希は首を横へと振る。

「別に、仕返しとかじゃなくてですね。
 恭ちゃん、アレとか射的とか、昔から得意なんですよ。
 もし、やられたら、あっという間に景品がなくなっちゃうんで」

「そうなんですか、恭也さん」

意外な恭也の特技に、由乃が驚いたような声をあげるが、恭也はどこか渋面になる。

「まあ、苦手ではないですが……。色々と事情がありまして……」

「どんな事情なんですか」

「あら、乃梨子、いつの間に」

本当にいつの間にか、乃梨子たちが来ており、極自然と輪の中に入っていた。

「ついさっきですよ。恭也さんが得意という辺りです」

実際は、もう少し前なのだが、美由希の傷を再び抉りそうな台詞の所なので、敢えてそこを言わないようにする。
そんな乃梨子たちに気付きつつ、恭也は話しても問題ないと判断して話し始める。

「まあ、そんなに大した理由ではないんですが。
 父と旅をしている時に、景品を取りまくって、後で売ったり……。
 ヨーヨー釣りや金魚掬いで、一回で全部を取って、返す代わりに、屋台の食べ物を貰ったりしていたので……。
 それで、自然と上手くなったんですよ。殆ど、父から教えられたんですけどね。
 人間、極度の飢えの状態だと、それを救う事になる技の飲み込みは速いみたいですね」

当時を思い出したのか、どこか悲しそうに呟く恭也だったが、
それ以上に、初めて耳にする恭也の父のエピソードに乃梨子たちは絶句する。

「あ、あははは。そう言えば、士郎父さんも得意だったような気もするけど、そんな理由があったんだ」

一方の美由希もこの話は始めてらしく、流石に苦笑していた。
と、ここで恭也は何かを思い出したかのように時計を取り出して、時間を確認する。

「そろそろかーさんたちが来る頃だな」

「あら、もうそんな時間なの」

今さっきの話から何とか頭を切り替え、祥子が尋ねてくるのに、恭也は頷く。
恭也は一緒に周っていたクラスメイトたちへと向き直る。

「すみませんが、それでは、これで失礼させて頂きますね」

恭也の言葉に、少し寂しそうな顔を見せながらも、クラスメイトたちは屋台村の奥へと歩いて行く。
それを見送った後、恭也は美由希へと向き直る。

「それじゃあ、俺はかーさんたちを迎えに行ってくるから、後は頼むぞ」

「うん。私はまだ自由時間じゃないから、ここにいるから」

「私たちも、ここにいますから」

そう言ったのは、蓉子で、一緒に付いて行こうとしていた祥子の肩に手を置き、
その場に留まらせると、その耳元にそっと話し掛ける。

「駄目よ、祥子。一人だけ先に、相手を拝もうだなんて」

「べ、別に私はそんなつもりは……」

「本当にないって言い切れる? 気になってるんでしょう」

「そ、それはそうですけど…」

「ここにいる人の殆どが、気にしているんだから、拝むんなら、皆で一緒にね」

蓉子にそう諭されては、祥子は頷く事しかできなかった。

全員がこの場に残る事を確認した後、恭也は歩き出す。
その背中に、蓉子が念のために声を掛ける。

「恭也、勿論、皆さんをこちらに連れて来てくれるのよね」

蓉子の言葉に不思議そうな顔を見せる恭也に、蓉子は声を掛けて良かったと思いつつ、笑みを見せる。

「ほら、桃子さんたちにも挨拶したいじゃない。
 折角、ここまで来られているんだから、このまま知らん顔はちょっとね。
 だから、お願いね」

蓉子の言葉に納得すると、恭也は校門へと歩いて行くのだった。



十時頃、今もまた新たな来客があり、係りの子たちは入場チケットを確認する。
その集団は中へと入ると、少しだけ進み、そこで足を止めて周りを見渡す。

「恭也はまだみたいだね」

銀髪の女性がそう言いながら辺りを見渡す。

「そうみたいですね。あ、リスティさん、ここは学園内だから禁煙ですよ」

「おっと、そうだった。ついつい癖でね。Thanks那美」

「いえいえ、どういたしまして」

「どうやら、来たみたいだよ」

「何処ですか、美沙斗さん」

「桃子さん、あそこですよ」

美沙斗が指差す先を見れば、確かに恭也の姿が見えた。

「恭也〜、こっち、こっち〜」

大きな声を上げ、手を振る桃子を見て、遠目からでも恭也が顔を顰めた事に気づいた美沙斗は、小さく微小を浮かべる。
恭也は少し駆け足で近づいてくると、桃子へとまず注意をする。

「かーさん、あまり大きな声で呼ばないでくれ」

「何、言ってるのよ。大きな声じゃないと、聞こえないでしょう」

「いや、何処にいるのかは分かっていたから、呼ぶ必要はなかったんだが」

「もう、この子は細かい事を……」

「いや、細かくはないと思うんだが。それはそうと、忍たちもよく来たな」

「それはそうよ。わざわざ、恭也がチケットを送ってくれたんだもの」

「そんなに暇だったのか」

「……まあ、女の子に囲まれた学園生活を送ったからって、そう簡単に変わるわけはないって分かってたんだけどね」

忍の言葉に、全員が苦笑する中、リスティが指摘する。

「まあ、それぐらいで変わるようなら、前の時に変わってるはずだしね」

それに納得する忍たちに、意味は分からないまでも、馬鹿にされていると感じた恭也はむすっとした顔になる。
そんな恭也に、美沙斗が話し掛ける。

「で、護衛の方はどうなんだい」

その言葉に、恭也の顔つきが少しだけ変わる。
それに見惚れる者も数人いたが、とりあえずは少しだけ距離を取る。
その事に感謝しつつ、恭也は美沙斗とリスティへと顔を向ける。

「まあ、今の所は。詳しくは……」

「そうだね」

「今日の所は目一杯、楽しむとしようか」

恭也の言葉に、美沙斗とリスティも少しだけ相好を崩してそう答える。

「で、何処に案内してくるんだい、恭也」

リスティの言葉に、恭也はこっちですと歩き始める。

「かーさんたちは知っているだろうけれど、祥子たちがこの先にいて待ってる」

祥子という名前が出た所で、忍と那美が僅かに反応するが、それに気付かずに恭也は案内を続ける。

「蓉子たちが何でも、挨拶がしたいとかで」

まるで耳が動くみたいに、恭也が女性の名前を上げるたびに反応する忍と那美に苦笑しつつ、桃子がパンフレットを見る。

「えっと、この先は中庭よね。二クラス共同の出し物をやってるみたいだけど、そこで待ってるの?」

「ああ。そこの出し物は、美由希と志摩子のクラスの出し物なんだ」

また出てきた女性の、それも呼び捨てで呼んでいるのを聞き、不機嫌になる忍と那美に全く気付かず、恭也は続ける。

「そうだ、なのは。そこは、祐巳さんと由乃さんのクラスの出し物でもあるんだ」

「祐巳さんもいるんだ」

「ああ。なのはが来るのを楽しみにしてたぞ」

「なのはも楽しみにしてたよ」

そんな話をしながら歩いて行く恭也の元に、一人の女性が近づいて行く。

「ごきげんよう、恭也さん」

「どうも、蔦子さん。良い写真は撮れましたか」

「ええ、お陰さまで。勿論、恭也さんが写っているのは誰にも見せず、恭也さんにお渡ししますから」

「お願いします」

「いえいえ。所で、そちらの方々は」

「うちの家族と友人たちです」

「どうも初めまして。武嶋蔦子と申します」

蔦子の挨拶に、全員が挨拶をしていると、物凄い勢いでこちらへと向かってくる影が二つ。

「お、お姉さま、ちょっと、待って下さいってば。
 わ、私は体力にはじ、自信が」

「モタモタしてたら、置いていくわよ真美」

「す、既に置いていかれてます……」

息も絶え絶えといった感じの真美とは違い、姉の方はその勢いのまま恭也の傍へとやって来る。

「あ、恭也さん、やっと見つけました」

「ああ、三奈子さんですか。そう言えば、今日、山百合会が行う演劇の宣伝を大々的にやって頂いたそうで…」

「そ、それは別に気になさらなくても良いんですよ。うちとしても、いい記事になりましたし。
 それに、今は真美が部長で私は何もしてませんから」

そう告げる三奈子に、蔦子が疑問を口にする。

「それはそうと、三奈子さま。何か恭也さんに用事でもあったのでは」

「ああ、そうでした。恭也さんにお聞きしたい事がありまして」

「また、ですか」

「ああ、すいません。でも、どうしてもお聞きしたい事が。勿論、記事にはしませんから」

必死で頼み込む三奈子に、恭也は軽く肩を竦めるとどうぞと答える。

「そのご一緒にいられるそちらの方は」

その三奈子の質問に、恭也は思わず苦笑を浮かべつつ、まだ蔦子への紹介も終っていなかったと思い出す。

「ああ、俺の家族と友人ですよ」

今度は三奈子を紹介し、改めて桃子たちを紹介する。
一通り紹介が済むと、三奈子はほっと胸を撫で下ろす。

「そ、そうでしたか」

「それにしても、三奈子さんは好奇心が強いんですね。
 記事にしないのに、疑問に思った事を追求する為に、走り回られるなんて」

「え、ええ。気になると、すぐに確かめてみたくなってしまうので。
 お、おほほほほ」

わざとらしい笑い声を上げる三奈子を、何事かと見ながら、真美はとりあえず呼吸を整える。

「はぁ〜、はぁ〜」

その最中、蔦子がいるのに気付き、何で姉があんな馬鹿笑いをしているのか尋ねる事にする。

「はぁ〜、はぁー、つ、蔦子さん……」

「あら、真美さん、ごきげんよう」

「ご、ごきげんよう。はー、はー。と、所で、あ、アレは何ですか」

自分の姉を指してアレというのも酷い言い草だが、蔦子は特に気にせずに簡単に経緯を説明する。

「そ、そういう事ですか。は〜、は〜」

大分落ち着いて来た呼吸に合わせるように、数度深呼吸を繰り返し、真美はすっと背を伸ばす。

「何で、三奈子さまが走ってきて、真美さんがそんな状態になったのかは、大体分かるわ」

「そうなのよ。また、生徒たちの間で噂になっててね」

「それにしても、速いわね。噂が広まるのが」

「いえ、広まるのが早いんじゃなくて、噂してたのが入場者のチェックをしていた子たちで、
 私たちはたまたま、そこを通り掛かったのよ」

「あらあら。それはご愁傷様ね」

「全くだわ。恭也さまが絡むと、突然、人が変わるんだから、お姉さまにも困ったもんだわ」

「ふ〜ん、三奈子さんだけなんだ、変わるのは」

「な、何が言いたい訳」

「ベっつに〜。あ、私はまた被写体を探しにいかないとね」

「ちょっと、蔦子さん」

「はいはい。ちゃんとかわら版用の写真も撮っておくわよ」

「そうじゃなくて。貴女、分かってて言ってるでしょう」

「ん〜、何のことかな? とりあえず、私はもう行くから。それじゃあ、ごきげんよう」

そう言って立ち去って行く友人の背中に悪態をつきつつも、姉の腕を掴む。

「ほら、お姉さま。さっさと次の取材へ行かないと」

「ちょ、別に私はもう新聞部の部長じゃないんだし」

「何を行ってるんですか。
 今回の学園祭に関するかわら版に、自分の記事のスペースを空けとくように言ったのはお姉さまでしょう。
 それに、卒業するまでは無関係じゃないとも言ってましたよね」

「あ、そ、それは…」

「兎に角、次の取材に行きますよ。さっさと行かないと、良い記事が書けませよ。
 ネタは生物。お姉さまがよく言ってた言葉ですよ」

そう言いながら、真美は三奈子を引き摺るように引っ張って行く。

「それでは皆さま、姉がご迷惑をお掛けしまして。
 どうか、ごゆっくりとお楽しみください。それでは、これで。ごきげんよう」

いっそ、優雅にさえ見える仕草で挨拶をすると、真美は三奈子を引き摺って去って行くのだった。
それを茫然と見送る一同に、恭也が声を掛け、再び一同は歩き始める。



それとほぼ同じ頃、新たに入場した一同がいた。

「それじゃあ、劇が始まるまでの間、何処に行こうかユキチ」

「あまりはしゃぎすぎるなよ、アリス」

「分かってるわよ。それにしても、華やかよね」

「まあ、男子校と比べたら、そうかもな」

アリスの言葉に小林がそう答える。

「だよね。それはそうと、何処に行こうか」

そんなアリスの言葉を聞いているのかいないのか、高田は一人空を仰ぐ。

「ああー、生徒会をやってて良かったと思えるよな」

「まあ、確かにね。普通、リリアンの学園祭のチケットなんて手に入らないしな」

「その点、ユキチは良いよな。お姉さんから貰えるんだし」

高田の言葉を軽く聞き流し、祐麒はパンフレットを覗く。

「さて、何処に行くかな」

そう呟く祐麒に、アリスが今思いついたとばかりに告げる。

「そう言えば、祐巳さん大丈夫かしら」

その言葉に顔を上げた祐麒に、小林も頷きながら口を開ける。

「そうだな。何か、体育祭以来、うちの生徒たちに物凄い人気だからな。
 祐巳さんに案内してもらうと息巻いてた奴らもいたし」

「……まあ、大丈夫だろう。祐巳一人なら兎も角、祥子さんたちもいるだろうし。
 しっかし、何であんなのが人気あるんだか」

心底分からないと言う祐麒に、アリスたちは顔を見合わせて笑うが、祐麒はそれが気に入らなかったのか、ぶすっとした顔になる。

「何だよ、おまえたち。言いたいことがあるんなら、はっきり言えよな」

「嫌だよ。言ったら、怒るだろう」

「ほう、高田。それはつまり、怒るようなことを言うつもりだったと」

「ば、馬鹿。まだ何も言ってないだろうが」

「言ったも同じだろうが!」

高田を掴もうとした祐麒の後ろから、巨大な影が落ち、頭上から声が降ってくる。

「ユキチはシスコンだからな」

「うんうん。他の人たちが祐巳さんに近づくのが嫌なんだな」

「日光、月光先輩、冗談でも止めて下さい」

流石に先輩相手に強気に出るわけにも行かず、祐麒は力なく反論するだけだった。
そんな祐麒をフォローするように、アリスが声を掛ける。

「そ、それよりもさ、ここに行こうよ。面白そうだよ」

そんなアリスの言葉に誰も反論を唱えなかったため、最初の目的地が決まり、そこへと歩いて行く一同だった。





つづく




<あとがき>

あれ? 何故、こんなに長くなってるんだ?
美姫 「いや、私に聞かれても」
おかしいな。最初は、学園祭午前と午後で二話の予定だったんだが。
美姫 「既に学園祭始まって二話経過したわね」
むむむ? いや、まあ、これも予定のうち。
美姫 「嘘仰い、嘘を」
いやいやいや。ほら、この予定表を見てくれ。
美姫 「どれどれ。学園祭編は午前と午後の二話予定(+α)」
どうだ。えっへん。
美姫 「いや、どうだとか言われても」
因みに、蔦子と真美からの視点編とか、学園祭の準備編とかもあったんだが、
それらは時間があれば番外と言う形で書ければという事で。
美姫 「ああ、その辺の話が、恭也たちの会話に出てくる、他のクラスの手伝いとかなのね」
うんうん。だから、+αなのさ。
美姫 「で、それらは書けるの?」
えっと、どうだろう。一話分の長さにならないような……。
美姫 「全然、駄目じゃない!」
あ、あははは。
美姫 「笑って誤魔化さない!」
と、兎に角、次はやっと海鳴とリリアンの対面だ。
美姫 「はぁ〜、次ね〜。怪しいけれど」
いや、今回は大丈夫だって。
まあ、それはそうと、今回の目玉はやはり、秋子さん、再び、だな。
美姫 「って、誰も覚えてないんじゃないの」
そんな事は無いって。
ちゃんと、前作の第1話に名前付きで登場した生徒なんだし。
美姫 「って事は、秋子は今年も祥子と同じクラスになったんだ」
そういう事になるかな。って、そんなのはどうでも良いんだよ。
とりあえず、学園祭午前朝の部をお届けしました。
美姫 「いや、予定だったら午前の部だったはず……」
……ぐぅ〜ZZ
美姫 「お〜い」
ぐぅ〜、ぐぅ〜。
美姫 「貴方には、もう笑顔をあげません」
ぐぅ〜。……って、お前笑顔じゃなかっただろう!
美姫 「突っ込みだけはちゃんとやるのね」
はっ! し、しまった!
美姫 「別に失敗してないわよ〜。だって、寝ててもやる事は一緒だもの♪」
え、笑顔は大切だよね〜。
美姫 「(ニッコリ)はい、これで満足? それじゃあ、ぶっ飛ばす!」
い、いやじゃぁ〜!
美姫 「ぶっ飛べ〜。離空紅流、覇斬我紅!」
ぬぐおぉわぁーーーーーーーーー!!
上空は地上よりも寒い〜〜〜〜〜。
美姫 「それでは、また次回でね。ごきげんよう」





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