『マリアさまはとらいあんぐる 〜2nd〜』



第50話時点でのちょっとしたお話






「って、恭ちゃん、これって、どういう事?」

「ん? つまり、50話までの間に出てきた技や用語などの解説らしい」

「本文中での説明はしないの?」

「いや、それをしているやつもあれば、していないのもある。
 今後、する予定のもな。後は、この時点で出会った敵の簡単な紹介も含めている」

「ああ、彼らはその性質上、最初にある人物紹介では紹介できないもんね」

「そういう事だ」

「つまり、50話までのネタバレが含まれるって事だよね」

「ああ。だから、本文よりも先にこれを読もうとしている人がいれば、今すぐに戻ることをお勧めする」

「人それぞれだから、それでも、先にこれから読むと言う人もいるかもね」

「それはそれで構わん。ただし、先にこれを読んだ後で、ネタバレがある事に文句を言わないでくれれば」

「多分、大丈夫だと思うよ」

「だな。さて、それじゃあ、早速、始めるか」

「うん。まずは、既に登場した敵に関してだね」

「ああ」

「このリスティさんの個人情報ファイルによると…」

「……待て! 今、何か凄い単語出てきたような気がするんだが」

「あ、あははは〜。私も気にはなっていたんだけれど、この辺りは詳しく知ると、何か後悔しそうで」

「…確かにな」

「因みに、後ろに値札が付いているんだけど……」

「買い手が居たのか」

「うん。どうも、とある女子寮の漫画家さんが、ネタのためとかで…」

「いや、それ以上は言わなくても良い。それより、さっさと紹介しよう」

「うん。No.1〜No.17までは、既に出ているから良いとして…」

「待て。No.2の高町美由希に関しては、データが出ていないぞ」

「今更、私の説明は良いじゃない」

「駄目だ。ちゃんとやれ」

「…は〜い」

「因みに、一応、No.1から順に名前だけはこうなっている」

No.1:高町 恭也
No.3:小笠原 祥子
No.4:福沢 祐巳
No.5:藤堂 志摩子
No.6:二条 乃梨子
No.7:支倉 令
No.8:島津 由乃
No.9:水野 蓉子
No.10:佐藤 聖
No.11:鳥居 江利子
No.12:細川 可南子
No.13:松平 瞳子
No.14:武嶋 蔦子
No.15:築山 三奈子
No.16:山口 真美
No.17:リスティ 槙原

「それじゃあ、次からは人物設定だよ」



個人ファイルNo.2
高町 美由希

身長161cm 体重46kg B84/W58/H86

「って、どうして、私だけここまで細かいデータ公開なのよ!」

「それを俺に言われても知るか」

「って、駄目、駄目、駄目ー! 恭ちゃんは見たら、駄目だってば!」

「いや、駄目と言われても、もう遅いぞ」

「う、うぅぅぅ……。あ、でも、これって昔のデータだ」

「という事は、今は違うのか」

「うん。身長も少しだけど伸びたし、胸だって……って、何を言わせるのよ」

「お前が勝手に言ったような気もするんだが」

「だったら、聞かないでよ〜、お願いだから」

「そ、そうか。それはすまなかったな。とりあえず、気を取り直して、さっさと行こうか」

「……うん」



高町 美由希(たかまち みゆき)

恭也の妹で、現在は、風芽丘学園に通う三年生。
海鳴大学への進学がほぼ内定しているため、日々を鍛練と読書に費やしている。
恭也から御神流を習っており、その腕前は既に皆伝を得るまでに。
恭也とは本当は従姉妹の関係で、旧姓を御神と言い、宗家最後の当主、静馬と不破美沙斗の娘で、御神流の正統伝承者でもある。
速さでは恭也にも勝る所を見せるが、力や経験ではまだまだ恭也には敵わない。
趣味は園芸と読書で、理不尽な暴力を何よりも嫌う。
料理が苦手だが、それは、今まできちんとやった事がないにも係わらず、基本を無視して、色々と工夫をこらそうとして、
様々なものを放り込む所為であるのだが、本人は至ってその事に気付いておらず、また、味見を一切しない為、
結果として、大変ユニークかつ、おかしなモノが出来上がる。
その辺をちゃんとすれば、ある程度は普通に出来るだろうという意見もあるのだが……。



御神 美沙斗(みかみ みさと)

美由希の母親で、恭也の父、士郎の妹。
恭也たちと同じく御神流の使い手で、現在は香港国際警防隊の部隊長を務めている。
射抜を最も得意としており、その技の速度とキレは随一である。
美由希へと御神の正統奥義を伝授するなど、現在では唯一の御神の全てを知る者。



フェドート・ポルフィリー

恭也と可南子の前に現われた犯人一味の手下。
武器は銃で、早撃ちにはかなりの自信を持っている。
過去に細川という名前のボディーガードに仕事を邪魔され、裏の世界での信用を無くした男。
細川に復讐する為だけに、彼に関する事を調べ上げていたが、その時の事件が元で、彼はこの世を去っていた。
それを知り、娘へとその復讐の手を伸ばす。
その娘である可南子の誘拐、及び、その後処理に関する全てを報酬として、邃に協力する。
しかし、祥子たちの周りに警察の介入があるのかないのかを確認するためだけの捨て駒として、
利用するだけ利用されて、最後には毒殺される。



コラード・エウジェニス

美由希の前へと現われた犯人一味の手下。
過去に一度、恭也とやり合った事があり、破れた事がある。
それを逆恨みして、恭也への復讐を誓う。
恭也の居場所を調べてもらう代わりに、邃に協力するが、思いもかけない事に、
今回の仕事の途中で恭也の居場所を知っていそうな美由希と出会い、仕事を後回しにするなど、
一見、冷静に見えるが、事に恭也が絡むとその限りではなくなる。
フェドート同様に捨て駒として利用され、最後には同じく毒で殺される。



アンゼルム・ユーディット

特殊合金に金剛石を加えた特殊手甲、穿爆甲(せんばくこう)を武器にして、無手での近接戦闘を得意とする格闘家。
単に強い者と戦いたいという理由で、邃に入る。
他の六神翔たちの強さを知り、手合わせをしたいと考えているが、宗司によってそれを止められていた。
全てが終った後に、海透との勝負を切望している。
2メートルを越える巨体にも関わらず、その身のこなしはとても軽い。
特殊手甲、穿爆甲は、内部に火薬を仕込んでいて、任意に爆発させる事が出来る。
この手甲を用いた穿爆甲戦術がアンゼルムの戦闘スタイルである。
最後は、美由希の前に膝を折る形となり、恭也によってその生を終えた。



拓海・ヴェルナンデス(たくみ)

双翼との勝負に拘る男で、自らの名前を広めるため、双翼を狙う。
双翼について調査中に、宗司と出会い、六神翔になる。
この調査というのが、弓華が掴んだ双翼について調べている者がいるという情報の件だった。
邃に入る条件は、双翼と勝負させる事と、双翼に付いて調べてもらうこと。
戦闘スタイルは基本は二丁の銃剣だが、身体の至る所に銃を隠し持っている。
また、トラップの名手で、自分から相手へと向かうのではなく、相手を自分のテリトリーへと誘い込む戦い方を好む。
全てのトラップを切り抜けた恭也の前に倒れるものの、最後には自害する。



架雅人(かがひと)

それ以外の名を捨てた男で、元々は孤児の面倒を見たりしていた教会の神父。
お金がなく、病院へ行っても門前払いをされ続け、何度も孤児の死を見てきた。
そんな時に宗司と出会い、組織に誘われる。
今の世の中を変え、本当に平等な世界を創ろうと言う宗司に共鳴する。
この名も、宗司が名付けたもので、
詩経の六義の一、雅を架する人──政治の興廃により、古い世界を新しい世界にするための架け橋となる人──で、架雅人という。
信仰に疑問を抱きつつも、未だに神父をやめられずにいる。
様々な暗器を用いた暗殺術を使い、主要武器は『大凱戦布(だいがいせんぷ)』という大きな布。
勿論、ただの布ではなく、特殊合金が埋め込まれており、防刃仕様となっている。
銃弾さえも跳ね返すこの布は、使い方によっては鋭い刃にも化す。



「と、こんな所かな?」

「花寺の人たちの紹介は良いのか?」

「ん〜、それをすると、忍さんたちの説明も入ることになるだろうからね」

「まあ、基本的にはオリジナル設定のキャラのみという事か」

「みたいだね。それじゃあ、次は、用語の説明かな?」

「と言っても、大して出てきてないけれどな」

「だよね。でも、とりあえずは、どうぞ〜」



邃(すい)

全てが謎の組織で、今回の黒幕。
主だった行動は今まで見られなかったが、ここに来て山百合会強襲という事件を起こす。
ただの烏合の衆の集まりだった幾つかの組織を纏め上げたもので、ここ数年の内に急激に大きくなった組織。
その際、役に立たない者たちは全て捨てられ、今では各分野におけるエキスパートで構成される。
特に情報力に関しては、かなりのものを持っているらしいが、やはり、それもはっきりとは分かっていない。
ここに来て、その首領が天羽宗司という名だという事が判明した。



六神翔(ろくしんしょう)

邃の幹部六人の事をこう呼ぶ。
かなりの実力者たちのみで構成されているらしいが、これまた詳しい事は不明。
ただし、現時点ではその半数が恭也たちの前に倒れている。



御神不破流(みかみふわりゅう)

宗家の御神には伝えられていない、不破家のみに伝わる流派。
宗家を守るため、時には宗家以上の力を必要とした不破の先祖たちによって編み出された。
その多くは謎に包まれていたが、恭也が成人した際に、開ける事を許された亡き父、士郎の私物の中から、
不破流に関する書物や、その鍛練方法までを記した書物が見つかり、恭也がそれを元に学び始めた。



「って、これだけかな?」

「多分な。それ以外には、特にないだろう」

「そっか。じゃあ、次は私や恭ちゃんが使う技に関してだね」

「そうだな。それじゃあ、さっさとやるか」

「うん」



射抜ニ連(いぬきにれん)

左右の小太刀による射抜の二連攻撃。
左右どちらの刺突も、ちゃんと放った後に派生する。

使用者:美由希



射抜・近(いぬき・こん)

近距離からの射抜で、助走距離なしで、体の回転と背筋の力のみで放つ。
美由希自身が編み出した技で、通常の射抜の後、これへと繋げるといった感じで使ったりする。

使用者:美由希



射抜・翔(いぬき・しょう)

下から抉るように上へと打ち上げる射抜。
助走距離と、瞬間的に沈めた身体を一気に跳び上がらせる爆発力で放つ。

使用者:美由希



射抜・突(いぬき・とつ)

上空より下への打ち下ろす射抜。
地上へと降りて行く時の力をそのまま利用する。

使用者:美由希



御神流正統奥義 鳴神(なるがみ)

変則的な抜刀術で、腰から抜刀するのではなく、鞘ごと頭上へと掲げ持ち、上から下へと抜刀する。
抜刀した際に神速を発動させ、上から下、下から後ろ、後ろから再び前へと、孤を描き、回転して力を溜める。
同時に、左手で抜刀した際に空中に残っている鞘を打ちつけ、相手への牽制も行う。
本命の一撃は、右に握り、再び襲いくる二撃目の斬撃だが、これだけでは不発で、この技の真骨頂は、
遅れて同じような軌跡で迫ってくる左の小太刀にある。
右の斬撃が相手へと触れた瞬間に、左の小太刀が、認識できない程の差で右の小太刀に当たり、
右の小太刀による、僅かな時間差による二連撃を生む。
これにより、物を斬る時に生じる物体からの反発力さえも同時に切り裂く。

使用者:美由希・美沙斗



御神不破流歩術 虚(こ)

目に見えてはいるが、何故か、それを追うことの出来ない移動術。
その正体は、完全に気配を断ち、周りと一体化するため、脳の認識が遅れるというもの。
視覚では捉えているが、脳が認識するのが遅れるため、見えていても追えないという状況に陥る。
恭也はこれを応用し、虚の発動後に神速を発動させて、相手の後ろ側へと回り込んだ。
これにより、虚から神速へと移行する際に、気配が生じ、リノアはこの気配を恭也と思ってしまったのである。
これは、気配を感じ取るのに長けたリノアだからこそ通じたと言えるかもしれない。

使用者:恭也



空(くう)

虚の移動しないパターン。ただし、これは見られている状態で行っても、その効果を発揮しない。
何故なら、その場合は、既に認識をされているためである。
この技は、気配を完全に断つ事により、周りの風景と溶け込む。
最初からその姿を認識していないと、壁や石などと同じように相手には感じられる。
つまり、この技を使用している相手に対しては、見えてはいるのだが、脳がその姿を認識しないという事になる。
主に、侵入先などで、隠れ潜むのに使用されてきた技。かなりの難度の技で、かなりの熟練者でないと使用は難しい。

使用者:なし



御神流 感(かん)

意識を自分を中心として周りへと広げる技。
自分自身を見下ろすようにして、ゆっくりと、水面に波紋が広がるかのように、感覚を広げて行く。
これにより、動く者の気配を察知する。
範囲が広がれば広がるほど、その精度は落ちる。

使用者:恭也・美由希・美沙斗



「こんな所かな?」

「おそらくはな」

「でも、本編に出ていない技もあったね」

「一つだけな。逆に、本編にあって、こっちにはないのもあったけれどな」

「ああ、リノアさんの抜刀術ね」

「そうだ。抜刀からの三連撃。下から上へと孤を描き、そのまま横へと孤を描いて再び襲い掛かってくる」

「さらにもう一つ、斜め上から斜め下へと…」

「その速度もとても速く、神速をもってしても躱せるかどうか…。
 恐らく、まだ何かあるはずだ、あの技には」

「私たち、そんな人に勝てるのかな?」

「勝てるか、じゃない。勝つんだ、何としても」

「…うん! そうだよね! 勝つんだよね!」

「ああ、その意気だ」

「はい!」

「さて、今回はこんな所だな」

「うん。それじゃあ、次は本編で会う事になると思うけれど…」

「いつになるか、だな」

「あ、あははは〜。そうだよね」

「まあ、そう遅くならない事を願っていよう」

「それじゃあ、今回はこの辺で」

「またな」

「ばいばーい」





おしまい




<あとがき>

さて、これで細々としていた部分の整理も終った事だし…。
美姫 「早速、本編ね」
えっ!?
美姫 「何よ、その全くの予想外みたいな顔は!?」
そ、そんな事ないぞ。
決して、これから一休み〜、なんて考えてなんか…。
美姫 「いたのね」
ど、どうしてばれたんだ!
美姫 「……はぁ〜。つくづく馬鹿ね」
そんなにしみじみと言うなよ〜。照れるな〜。
美姫 「いや、褒めてないし」
分かってるって…(涙)
美姫 「と、とりあえず、ちゃんと本編も書き始めなさいよ」
了解〜。
美姫 「それでは、また次回までごきげんよう」
ではでは。





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