『とらいあんぐるがみてる』



第6話 「高町美影」






翌日の朝、祥子と一緒に登校する美影。
と、背後から声を掛けられる。

「ごきげんよう、お姉さま、美影さま」

「ごきげんよう祐巳」

「ご、ごきげんよう」

当然のように挨拶を返す祥子と、なれない言葉に戸惑いつつも挨拶をする美影。
そんな美影に祥子は笑顔で笑い掛ける。

「そんなに心配しなくても、すぐになれるわよ」

「そうかしら」

「ええ。それよりも、行きましょう」

祥子の言葉に美影と祐巳は頷くと、一緒に歩き出す。
二人から三人になった美影たちはそのまま門を潜り、マリア像の前に来る。
祥子と祐巳は当然のように目を瞑り、手を合わせお祈りをする。
それを見ながら、美影も同じ様にとりあえず形だけ真似をする。
校舎までの道すがら、何人もの生徒が美影を遠巻きに見詰める。
美影だけでなく、紅薔薇のつぼみである祥子とのツーショットに、生徒の間からはため息すら零れる。
その羨望の眼差しの中、祐巳は居た堪れない気持ちで一杯になる。

(うぅ〜。どうして、神様ってば、こう不公平なんだろう。
 お姉さまと美影さまに挟まれている私は、さしずめ料理を際立たせる為のパセリですか)

一人憤慨したり、落ち込んだりする祐巳に美影が声を掛ける。

「祐巳さん、大丈夫ですか?」

「ふぁい、あ、はい」

祐巳はまた百面相をしていたのかと思いながら、何度も頷く。
美影はその返事を聞いて、そうですかと思っていた以上に近かった顔を離し、祥子は横で額を押さえながらため息一つ吐く。

「祐巳。あなたの顔はどうしてそう忙しないのかしら」

(うぅー、そんな事言われても…。別に好きで百面相してるわけじゃないんだけどな…)

祐巳はそう思ったけど、勿論口には出さない。
そんな祐巳を眺めながら、美影が取り成すように言う。

「まあまあ。祥子も押さえて。祐巳さんも悪気がある訳じゃないんだし。
 それに、それだけ祐巳さんが正直な女の子って事じゃない。それはいい事でもあるのよ」

そう言って美影は何度も頷いて頭を振ったために、少し乱れた祐巳の髪をそっと撫で、手櫛で整える。
美影の柔らかな表情に見惚れる祐巳に、美影の横から別の手が伸びてくる。
祥子は祐巳の祐巳に鞄を渡すと、慣れた手付きで祐巳のタイを整える。
美影に髪を、祥子にタイを直してもらいながら、祐巳はパニック寸前となる。

(うわー、うわー)

祐巳が混乱している間に、二人は祐巳の髪とタイをそれぞれ整え、そっと離れる。
祥子は祐巳の手から鞄を受け取ると、歩き出す。
その後に美影も続くが、祐巳は暫らく茫然と何もない空間を見詰めていた。
そんな祐巳に祥子が優しく声を掛ける。

「祐巳、何をしてるの。ほら、行くわよ」

「あ、はい」

祐巳は祥子の呼び掛けに答えると、少しだけ早足で祥子の横に並ぶ。
それを見て、祥子は眉を顰めるが、特に何も言わずに歩み続ける。
そんな仲の良い二人を見ながら、美影も知らず笑みを浮かべていた。





  ◇ ◇ ◇





一年桃組。
祐巳が教室に入ると、クラスメイトの何人かが祐巳の元へとやって来る。

(な、何……)

祐巳はその生徒たちの様子にかすかに腰が引き気味になりながら、とりあえず挨拶をする。
それに答えた後、中の一人が口火を切る。

「祐巳さん。祐巳さんは美影さまと仲が良いんですか?」

「えっ?えっ?」

その生徒たちは祐巳の答えをじっと待っている。
それが分かり、祐巳は自分の頭の中で整理をしてから話し出す。

「えっと、私のお姉さまと美影さまが仲が良いので、その関係で私も良くしてもらっているんです」

「そうなの。じゃあ、美影さまが誰か妹を作るとかって話は聞いてない?」

「特に聞いてないけど」

祐巳の言葉に、その生徒だけでなく周りの生徒たちまで色めき立つ。

「じゃあ、妹を探しているとかは?」

この別の生徒の言葉にも祐巳は首を振る。
それを聞くと、その生徒たちは礼を言って席へと戻って行く。
一人首を傾げている祐巳の元へ、蔦子が現れる。

「朝から大変だったわね、祐巳さん」

「う、うん。一体、何だったんだろう」

祐巳の言葉に、蔦子は少し驚いたような顔を見せるが、本気で言っていると分かると、祐巳さんらしいわと言って笑う。
そして、祐巳の前の席の椅子を引っ張り出して腰掛けると、祐巳の方を向く。

「あれは美影さまの妹になりたいって子たちなのよ。
 だから、事前に美影さまに妹候補がいないのか調べたって訳ね」

「ふーん。なるほど」

「祐巳さんは興味ないかしら?」

「そんな事はないけど。美影さまがどんな方を妹にするのかは、少し興味あるけど」

「まあ、祥子さまの妹である祐巳さんにはあまり関係ないか。
 尤も、祐巳さんは二人に可愛がられているみたいだけどね」

「二人って?」

「祥子さまと美影さまよ。朝の出来事は結構、知れ渡っているみたいよ」

「もう!だって、ついさっきの出来事だよ」

祐巳が驚いた声を上げる。
そんな祐巳に笑いかけながら、蔦子は冗談と言う。

「尤も、昼までには広まっているでしょうけどね」

「うぅー。…あれ?だったら、どうして蔦子さんは知っているの?」

「ふふふ。それこそ愚問よ、祐巳さん。あんなに素晴らしい光景を収めずに写真部のエースは名乗れないわよ」

そう言って蔦子はカメラのボディーを愛しそうに撫でる。

「あ、そういう事ね」

祐巳にしては珍しく、それだけで事情を飲み込み納得する。
そんな祐巳に対し、蔦子は言う。

「昨日の写真に、この写真も合わせて許可を頂かないとね」

蔦子は嬉しそうに言いながら席を立つ。
去り際に、今日の昼休みは忙しくなるなーという言葉を残して。





  ◇ ◇ ◇





祐巳と分かれた祥子と美影も自分たちの教室へと向う。
その途中、美影は窓から空を見上げる。

(はぁー。また眠ることの出来ない授業が始まるのね……)

普通の人にとっては物凄く当たり前の、それでいて美影とその隣の席に座る友人にとってはそうではない事を考えながら、
そっと胸中で溜め息を漏らすのだった。
そのまま何とか授業を無事にこなしていく。
そして、二時間目と三時間目の休み時間が来る。
生徒たちはさっきまでの授業で使っていた教科書やノートを仕舞うと、一斉に立ち上がる。
一人席に座ったままの美影に、祥子が声を掛ける。

「美影、次は体育の授業だから更衣室に移動よ」

「……はい?」

「だから、次は体育よ」

「私、体操服を持って来てないんだけど」

嘘である。美影はわざと忘れてきたのだ。理由は言うまでもないだろう。
そんな美影に、しかし祥子は笑って袋を差し出す。
それを受け取りながら、美影は嫌な予感に苛まれる。

「えっと、これは?」

「美影の体操服よ。忘れているみたいだったから、持って来てたのよ。
 美影って、意外とうっかりした所もあるのね」

そう言って笑うと祥子は美影を待つ。
美影は礼を言うと、席を立ち上がると祥子に付いて更衣室へと向うのだった。
美影は更衣室に着くなり、一番奥へと向うと、皆に背を向けて制服を脱がずに体操服に着替える。
体操服に着替えた後も制服を脱がず、今度は上下長袖のジャージを身に着けていく。
後ろから聞こえる衣擦れの音を出来る限り意識しないようにしながら、美影は着々と着替えていく。
全てを着替え終える頃には、

(ああー、何かが終った気がするわ。真一郎さん、本当にあなたは凄いわ)

美影の中で、何かが音を立てて壊れた瞬間だった。
着替え終わった美影に、他の生徒たちが近づき声を掛ける。

「美影さんって、意外と恥ずかしがりなのね」

「別にそういう訳じゃないんだけど、ただ人前に肌を晒すのがちょっと」

そう言って言葉を濁す美影に、一人の生徒が抱き付く。

「いやーん、可愛い♪」

「ちょっと、ずるいわよ。私も」

抱き付かれて困っている美影に、祥子が救いの手を差し伸べる。

「ほら、皆さん。美影さんが困ってらっしゃるでしょ。それに、このままだと遅刻しちゃうわよ」

祥子のこの一言に、クラスメイトたちは返事すると更衣室から出て行く。

「ありがとう、祥子」

「いいえ。それよりも、私たちも行きましょう」

祥子に促がされ、美影も更衣室を後にしたのだった。
因みに、体育の授業で美影の運動能力を見た生徒が感心したのは言うまでもないだろう。
そして、最初と同じ様に美影が隅でこっそりと着替えた事も同じく言うまでもない。





  ◇ ◇ ◇





昼休みになり、美影と祥子は連れ立って教室を出て行く。
二人が薔薇の館へと着くと弁当を広げる。

「で、美影さん、もうこの学園には慣れた?」

「聖、幾ら何でもそれは早すぎるわよ」

「そうかな?」

「お姉さまの言う通りです、白薔薇さま。美影さんは昨日、転校してきたばかりですよ」

「それもそうか」

一人納得する聖を横目に、蓉子が美影に訪ねる。

「で、授業の方はどう?」

「………さっぱりです」

僅かに顔を顰めながら答える美影に、蓉子も笑みを零しながら言う。

「前の学校の方が遅れてるのかしら?」

「いえ、そんな事はないんですが…。一応、何とかついてはいけてると思います」

微妙に言葉を濁す美影に対し、それ以上追求するのを止める蓉子。
その隙を縫うように祥子がフォローするように言う。

「でも、美影はとても運動神経が良いんですよ」

「へえ」

感心したような声を上げる聖に、美影は恐縮したように言う。

「そんな事はないです」

「そうかしら?だって、今日の体育の授業で美影は活躍してたじゃない」

「祥子の所は、今何をやってるの?」

蓉子が祥子に尋ねる。
それを受け、祥子が授業の内容を説明する。

「今はバスケットボールをしてるんですけど、美影は今日の試合で何本もシュートを決めてました。
 それに最初の一回だけですけど、バスケットのゴールまで跳躍してそのままゴールにボールを入れたんです。
 幾ら背が高いとはいっても、あれだけ跳躍するなんて。クラスのバスケ部の方が勧誘してたぐらいですもの」

「へー、ダンクシュートね」

聖の言葉に美影は益々恐縮したようになる。
美影の知識にあったバスケのシュートは、前に晶に見せられたビデオで見たそのダンクシュートだったのだ。
その印象が強すぎて、咄嗟にそれしか出なかったのである。
その後は、徐々に思い出して本人にとっては普通にプレイをしていたつもりだった。

「前の学校では何か部活動してたの?」

「いえ、特に何も。ただ、兄から剣術を少々教わってたので」

この美影の言葉に、蓉子が興味深げに尋ねる。

「お兄さんがいらっしゃるんですか?」

「はい。今は大学の一年です」

「そういえば、そんな事を言ってたわね。美影はかなりお兄ちゃん子みたいね」

祥子が何かを思い出しながら言う。
それを受け、美影は恥ずかしそうに俯く。

「えっと、おかしいかな?」

「そんな事はないわよ。兄妹仲が良いのなら、それに越した事はないわ」

美影の言葉に蓉子が言う。
それを聞き、美影はほっとしたように胸を撫で下ろす。
蓉子の横では何故か江利子が疲れたような顔をしていたが。
そんな様子に気付かず、聖が尋ねる。

「美影さんはお兄さんと似てるの?」

「そうですね。とても似てると思いますよ」

「じゃあ、お兄さんもこんな美形なんだ」

美影の言葉を受け、由乃が思わず洩らした言葉に、美影は首を横に振る。

「そんな事はないですよ。兄も私も無愛想で、美形なんかじゃないですよ」

笑って言う美影だったが、それを見ていた由乃は説得力がないと呟く。
そんな由乃に苦笑をしつつ、今度は令が尋ねる。

「ひょっとして、性格も似ているんですか?」

「そうですね。性格もよく似ていますね」

これを聞いた全員が、美影の兄も鈍感であると理解する。
それを確認するかのように、江利子が発言する。

「ひょっとして、お兄さんも周りから鈍感とか言われたりしてない?」

「……そうですね。妹や友人からは言われているみたいですけど」

(やっぱり…)

美影の返答に、全員が妙に納得した顔になる。
それに気付いたものの、その理由が分からず美影はただ首を傾げるだけだった。

「そう言えば、美影さまは何処から来られたのですか?」

首を傾げる美影を微笑ましく見ながら、志摩子が尋ねる。

「海鳴市です」

それを聞いた令が反応をする。

「じゃあさ、海鳴にある翠屋って喫茶店知ってる?
 雑誌でたまに見かけるんだけど、そこのシュークリームが物凄く人気らしいのよ。
 一度、行ってみたいとは思ってるんだけどね」

令の言葉に、美影は笑みを浮かべると頭を下げる。

「それはありがとうございます。是非、お越しください」

美影の言葉に疑問を浮かべる令に、美影は続けて言う。

「翠屋はうちの母が経営している喫茶店なんです」

「え、じゃあ美影さんのお母さんって、あの高町桃子なの!」

令の驚いたような声に、祥子が尋ねる。

「令は美影のお母さまをご存知なの?」

「ええ。パティシエとして、結構有名な方なのよ」

「へー、そうなんですか」

令の言葉に祐巳が感心したような声を上げる。
令は少し嬉しそうに美影に尋ねる。

「美影さんも何か作れるの?」

「ええ、少しだけですけど。幾つか作れます」

「そういえば、美影の淹れてくれた紅茶はとても美味しかったわ」

祥子は思い出したのか、少し楽しそうに言う。

「そんな事は…。紅茶の淹れ方は母と姉的存在に徹底的に鍛えられましたから」

「姉的?」

「ええ。うちには家族同様の子たちがいるんですよ。姉は兄と幼馴染でイギリス出身なんです。
 後、他にも妹が二人。そして、母の知り合いの子と、同じく兄と妹の幼馴染の子ですね」

美影の言葉に納得する一同。そんな中、由乃が呟く。

「何か令ちゃんと美影さまって共通点多いよね。お菓子作りが趣味にして特技でしょ。
 そして、二人とも剣をやってる」

「あ、本当だ」

由乃の台詞に祐巳も頷く。
それに対し、美影は慌てたように言う。

「そ、そんな事は。剣をやっていると言っても、ほんの少しですし。
 それに、お菓子作りもそんなに出来るって訳じゃ」

「でも、クッキーぐらいは作れるでしょう」

「はい」

令の言葉に美影は頷く。

「他には何が作れるの?」

「えっと、シュークリームにケーキを幾つか。殆ど、翠屋のメニューにあるものなんですけどね」

「へー、じゃあ母親直伝なんだ」

「そうなりますね」

「だったら、かなりの腕前なんじゃない」

「そ、そんな事は…」

楽しそうに言う令の言葉に、美影は遠慮がちに告げる。
それを聞きながらも、令は笑みを浮かべると言う。

「じゃあさ、今度一緒に何か作ろうよ」

「そ、そうですね。時間があれば」

美影は無難な答えで返しておく。
しかし、それを聞いた聖が嬉しそうに言う。

「令と美影…、あ、美影って呼んでも良いよね。もう仲間みたいなもんだし」

聖の言葉に美影は頷く。それを受け、聖は続ける。

「二人のお菓子かー。楽しみだね」

「そうね」

聖の台詞に、蓉子たちも顔を綻ばせる。
それを見て、美影はいつか作らないといけないかもしれないという予感を覚えていた。
そんな中、祐巳はふと疑問に思ったことを口にする。

「そう言えば、美影さんのお父さんは?」

「父は数年前に仕事で亡くなりました」

「あっ!」

美影の話を聞いて、祐巳はしまったと思うがもう遅い。
口から出た言葉は時間と同じく、戻す事は出来ないのだ。
落ち込む祐巳に美影は優しく微笑みながら、まるで幼子をあやすように優しく話す。

「気にしなくても大丈夫ですよ。もう前の事ですし」

「ご、ごめんなさい」

美影の言葉を聞いているのかいないのか、祐巳は勢いよく頭を下げ謝るが、机におでこをぶつけてしまう。

「イタッ!」

勢いよく打ち下ろされ、盛大な音と共に額を赤くした祐巳は、あまりの痛さに涙目になりながら顔を上げる。
それを見て、聖が一番最初に大声で笑い出す。

「はっ、はははははは。さ、さすが祐巳ちゃん。もう、最高〜」

「祐巳さんったら…。あ、あはははは」

豪快に笑い声を上げる聖と由乃程ではないが、他の面々も可笑しそうに笑う。
一応、祐巳に遠慮してか、隠れるように笑うもの、肩を震わせ何とか笑いを堪え様とするもの、
大声ではないけど、遠慮なく笑っているもの、様々な反応の中、当の本人は恥ずかしさの余り、痛みを忘れ、
赤くなった顔を隠すように俯く。
そんな祐巳に近づく影が一つあった。
心配した顔で祐巳に近づいたのは、彼女の姉である祥子、ではなく美影だった。
美影は祐巳の傍に屈み込むと、一言断わってから、そっと顔を上げさせると、祐巳のぶつけた個所を見る。

(えっ、えっ、えぇぇ〜〜〜〜)

結構な至近距離に顔があるという状況にパニックに陥るが、同じ女性と何度も言い聞かせ、どうにか落ち着かせる。
もっとも、早くなる動機だけは誤魔化せなかったが。
何とか落ち着くと、今度は目の前の顔を見る余裕が出てくる。
美影の顔をじっと見詰めながら、祐巳は胸中でぼやく。

(……はぁ〜、皆が騒ぐのも分かるような……。
 神様って不公平……。何で、私の周りの人たちって皆綺麗な人ばかりなんだろう)

赤くなったり、落ち込んだりする祐巳に美影は声を掛ける。

「そんなに大した怪我にはなっていないみたいですが、
 あまりにも痛いようでしたら念の為、保健室に行かれた方が良いですよ」

「だ、大丈夫です!はい、それはもう完璧なぐらいに」

「本当ですか?」

「ええ、本当です」

「そうですか。なら良いんですが」

そう言うと美影は祐巳から離れ、自分の席に戻る。
それをほっとしながら眺めていると、自分を見る視線に気付く。
姉の祥子が心配半分、呆れ半分といった感じで見ていた。

(うぅ〜、そそっかしい妹でごめんなさい、お姉さま…)

そして、面白そうに眺めている視線が同じく二つ。

(白薔薇さまも黄薔薇さまも楽しまないで下さいぃぃ)

怨めしげに見る祐巳に気付いた聖が、にっこりと微笑む。

「祐巳ちゃん、そんなに見詰めたら照れるわよ」

「見詰めてません」

「ちぇっ、それは残念」

本気で残念がる聖を見ながら、祐巳はこっそりと溜め息を吐いた。
それから、何とか雰囲気もいつも通りに戻り、話をしていると、突然扉がノックされる。
誰かがどうぞと答えると、扉がゆっくりと開き、一人の生徒が姿を現す。

「すいません、ちょっと宜しいでしょうか」

そこに立っていたのは、写真部のエースにして祐巳のクラスメイト蔦子だった。





つづく




<あとがき>

とらみて〜。略して……、既に略してる〜。
美姫 「頭の痛くなるような事ばっかり言わない!」
ぐえっ!
お、俺は物理的に本当に頭が痛い……。
美姫 「自業自得よ。まあ、久し振りよね」
うん。そして、大分マリとらとは違う展開に…。
美姫 「そして、美影が既に完全に女性に」
ははは。最早、この作品にとらハキャラはいない!
美姫 「いや、一応いるじゃない」
まあまあ。と、そんな事を言っている場合ではないな。
美姫 「そうそう。早く次をあげましょうね」
読みかけの本を……。
美姫 「読む前に書け!」
ぐわろっぱ!
美姫 「そんなこんなで、また次回♪」






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