『とらいあんぐるがみてる』



第37話 「雨降って地……」






互いに沈黙のまま見詰めあうこと暫し、静寂を嫌うように祥子が先に口を開く。

「確か、高町恭也さんでしたわよね」

記憶を引っ張り出し、恭也の名前を思い出すと、もう一度どうしてここに居るのかという疑問を口にする。
対する恭也はその質問にすぐに答えれるものを持っておらず、返答に窮する。
それでも沈黙している訳にいかず、口を開こうとするもやはり何も出てこない。
美影に会いに来たという言い訳が一番無難なのだが、そうれでも時間が時間だし、
ましてやここは小笠原邸、個人の家なのである。
非常識にも程がある上に、こっそりと訪問したという問題も発生する。
おまけに、もしそれらを許してくれたとしても美影と恭也は同時には存在できないのだ。
もし仮に美影が戻ってくるまで一緒に待つなんて事になれば、更にややこしい事態になり兼ねない。
それらを考えている間にも時間は過ぎて行き、祥子は小さく嘆息する。

「あなたが美影のお兄さんだというのは分かっていますが、流石にこんな時間に会いに来るのはどうかと思いますよ。
 美影が入れたにしても、せめて一言ぐらい断りを入れて欲しかったですね」

美影の兄であるから、その口調は責めるものながらも幾分柔らかい。
そうでなかったら、もっときつく容赦のない言葉を投げられていただろう。
そんな事を思う傍ら、この場を切り抜ける方法も同時に考える恭也。
まずは謝って家を出て行き、改めて美影として戻ってくる。これが一番無難であろう。
そう結論を出した所で実行しようとするも、それを制するように携帯電話が着信を知らせる。
祥子の乱入という惨事に慌てた所為か、恭也の携帯はベッドの上に置かれてあり、
祥子も携帯電話が着信を知らせるように震えているのに気付く。

「その電話は高町さんのものですか?」

「え、ええ」

「色々と聞きたい事もありますが、とりあえずはそちらをお出になってください」

祥子の言葉に礼を述べ、恭也は携帯電話を手に取ると電話に出る。

「もしもし」

「あ、もしもし。私、福沢祐巳と申します。夜分遅くに……」

「祐巳ちゃん?」

全く予想していなかった人物からの電話に思わずそう声を出してしまい、それを聞きとがめた祥子の目付きが鋭くなる。

「祐巳? その電話は高町さんの物なんですよね。
 どうして、祐巳がその番号を知っているのかしら? 少し失礼」

訝しげな目で恭也を見ながら近づくと、祥子は素早く恭也の手から携帯電話を取り耳に当てる。

「祐巳?」

「あ、お姉さま! あ、あの、これは美影さまの携帯電話で間違いないですよね」

驚いて尋ねてくる祐巳の言葉に恭也を一瞥するも、祥子はすぐにその通りだと返してやる。

「今、美影は少し手が離せないのよ。良かったら代わりに私が用件を聞くわ?
 それとも美影じゃないと駄目かしら?」

「いえ、そんな事はないです!
 実は明日の件について聞こうと思ったんですけれど、時間が時間だったので家の電話にかけるのは気が引けて」

「そう、それで美影の携帯電話にかけたのね。丁度、良かったわ。
 私も明日の事を美影と相談しようと思っていたのよ。
 私ったら、待ち合わせの時間も場所も決めてなかったでしょう。
 けれど、今日はもう遅いし美影もすぐには手が離せそうもないのよ。
 申し訳ないけれど、また明日にでも電話してくれるかしら」

祥子の言葉に祐巳は素直に納得すると挨拶をして電話を切る。祐巳からの電話が切れたのを確認し、
手にして携帯電話をこちらからも切ると祥子は先程とは打って変わって厳しい顔を見せる。

「さて、詳しい事を話してもらえるかしら?
 どうして、美影の電話を自分のだと言ったのかしら?
 それに、どうして未だに美影は帰ってこないのかしら? それとももう少しすれば戻ってくるのかしら?」

笑っているようで笑っていない顔で祥子は矢継ぎ早に口にしていく。
恭也の方もそれに対し、美影の電話と自分のを勘違いした口にしようとするも、後のものに対する答えが考え付かない。
困り果てるも、今の祥子の雰囲気からではお邪魔しましたと出て行こうとして、素直に応じてくれるかも怪しい。
こうなれば、全てを話すかあくまでも誤魔化し通すかなのだが。
恭也は仕方なさそうに大きく息を吐くと、祥子に椅子を勧めて座るように促す。
祥子が腰掛けるのを待ち、自分はベッドに腰掛けると静かに口を開く。

「さて、何から話すか。
 ……そうですね、まず一番聞きたいだろう事からにしますか。
 多分、既に疑っているかもしれませんが、美影と俺は同一人物です」

言った瞬間、恭也の頬が叩かれる。
思った以上に大きな音を立て、叩いた自らの手が痛みを訴えてるも、祥子はその事を気にも止めずに涙さえ浮かべ、

「女装してまで私に何故近づいたの!? 何が目的なのよ!」

その後も変態や最低、騙すなどあらん限りの罵詈雑言を向ける。
それら全てを恭也は何も反論せずにただ黙って受け止める。
時折、感情が昂ぶり過ぎて手が出ることもあったが、それでさえも躱しもせずに受ける。
やがて、祥子は叫び暴れ疲れたのか、息を荒らげ、恭也を見る事無く部屋から出て行く。
目には涙が浮かんでおり、咄嗟に恭也は手を伸ばすもその背中から窺える拒絶に思わず手が止まる。
その隙に部屋を飛び出した祥子は自室へと駆け込む。
まだ何も話せていないので後を追い、扉越しに声を掛けるも返事は返ってこない。
何度かノックと共に声を掛ければ、ようやく返ってきた返答は扉に何かが投げられぶつかった音と、
硬く険しい拒絶の言葉だけであった。
流石にこのまま声を掛け続け、清子まで起き出してきたら更にややこしくなると恭也は諦めて戻る事にする。
去り際、それでもと最後に部屋に声を掛けて。

「騙していた事に代わりはないし、その事については謝ります。
 ただ、落ち着いたらで構いませんので、俺の話を最後まで聞いてください。お願いします」

見えていないのは分かっているが、それでも扉に向かって頭を下げて自室へと戻る。
嫌われるのは仕方がないとしても、このまま恭也から離れられると護衛が出来ない。
それだけは何としても防がないといけない。
部屋に戻りベッドに倒れ込むようにして寝転び、ぼんやりと天井を見上げる。
一人になって冷静に考えることが出来るようになれば、胸に過ぎるのは、何故、正直に話したのかという後悔。
けれども、あの時、恭也は祥子にこれ以上嘘は吐きたくないと思ってしまったのだ。
その結果がこれでは笑い話にもならないが、それでも護衛だけは何としてもやり遂げなければならない。
仕事だからではなく、大事な友達だから。だからこそ、何としても守りたいと思うのだ。
同時に、友達だと思っているからこそ嘘を吐く事を躊躇ったのだな、とさっきの自分の心情を分析して一人納得する。
この日、二人は奇しくも同じ思いを抱いて眠りにつく。
美影が来て以来、とても静かな夜だという寂しさを少し抱いて。





  ◇ ◇ ◇





翌朝、痛みを訴える重い頭を軽く振り、祥子は少し腫れ上がった瞼をゆっくりと開ける。
泣き疲れいつの間にか寝てしまったのだろう。
目は赤く充血しており、身体はいつもの寝起き以上にだるさと訴えかけてくる。
それでも何とか身体を起こすと、祥子は重い足を引き摺るように電話の子機を取るためにベッドから降りる。
流石に今日は出掛ける気分にはなれず、約束をしていた祐巳には悪いけれど断りの電話を入れなければならない。
時計を見て、既に八時を過ぎているのを確認すると祐巳の家へと電話を掛ける。

「もしもし、私小笠原祥子と……」

電話が繋がり、祥子が祐巳に取り次いでもらおうとするも、どうやら電話に出てきたのは祐巳本人だったらしく、
すぐにお姉さまという声が返ってくる。
子機を部屋に置いて傍で待っていたのかもしれないぐらいに早い反応の思わず笑みが零れる。
それは久しぶりに笑ったかのような錯覚を抱かせるが、間違いなく受話器の向こうで笑顔を浮かべている祐巳へ、
これから落ち込ませる事になるであろう事を告げねばならないかと思うと、少し胸が痛むが仕方ない。
体調が悪いのは嘘ではないのだ。

「ごめんなさい、祐巳。ちょっと体調が悪くて今日は無理そうなの」

「そうなんですか。お身体は大丈夫なんですか」

祥子の言葉に残念そうな声を出すも、すぐに祥子の身体を心配して尋ねてきてくれる。
そんな祐巳に少しだけ心が温かくなるのを感じながら、祥子は大丈夫よと告げる。
その後、他愛もない話を数分していると美影の声が扉越しに聞こえてくる。

「祥子、今日の……」

「体調が悪いから今日はずっと寝ているわ。
 今、祐巳と電話しているから邪魔しないでちょうだい」

「そう、分かったわ。お大事に」

そう言うと部屋の前から立ち去って行く。
電話越しに祥子の声を聞いていた祐巳は、祥子の機嫌があまり良くないと察する。
故に少し和まそうと考え、ちょっぴり普段の仕返しも込めて冗談っぽく口にする。

「お姉さまの体調がよろしくないようでしたら、美影さまと二人で出掛けようかな」

「駄目よ! 美影なんかと一緒に居たら」

言った途端、先程よりもきつく、怒鳴っているのにも近い声が返ってくる。
しかも、その内容は祐巳と美影が二人で出掛けるのを止めようとするものではなく、
美影に対するもので、先程の祥子の言葉を思い出して祐巳は一つの結論に達して、それを口にした。

「お姉さま、美影さまと喧嘩されたんですか?」

「……別に喧嘩なんかじゃないわよ。美影が全て悪いのよ。あの人が私を騙して……。
 祐巳はそんな事を気にしなくても良いのよ」

いつになく強く口調で言う祥子に、祐巳はそれ以上の追求はせず、何でもない話を持ち出す。
先程のように他愛もない話を繰り返すうち、少しずつ落ち着いてきた祥子の様子を察知し、
そのまま変わらない口調で続ける。

「美影さまの事ですけれど、何があったのかは私には分かりません。
 でも、美影さまはいつもお姉さまの事を気にしていましたよ。傍から見ていてもそれは間違いないです。
 もし美影さまがお姉さまを騙したのなら、きっと何か意味があったんですよ」

「何も知らないくせに、よくそんな事が言えるわね」

思わず荒げそうになる声を何とか落ち着かせ、それでも幾分冷たい口調ではあったがそう告げ、
この話はこれで終わりだと再度打ち切ろうとする。
だが、祐巳は電話の向こうだと言うのにそれが分かるような笑みを浮かべた声で断言する。

「言えます。何があったのかはさっきも言ったように分かりません。
 けれど、美影さまとお姉さまを見てきたから、これだけは分かります。
 美影さまは祥子さまの事を大事に思っています。
 うーん、こう上手く言えないんですけれど、そう味方! 祥子さまの味方ですよ。
 それに、お姉さまも本当は分かっているんですよね。ただ素直になれないだけで。
 もしかしたら、冷静になれていないだけかもしれませんけれど。
 だから、もう一度ゆっくり考えてみれば良いと思います」

「……はぁ、よくそれだけ自信を持って言えるわね」

「そりゃあ、私はお姉さまの妹ですから。
 これでも、お姉さまの事に関してはずっと見てきたつもりですから」

少しおどけた感じで語る祐巳に、祥子は知らず強張っていた顔が少しだけほぐれている事を悟る。
それでも、やはりまだ躊躇いや戸惑い、騙されたという思いが強く残る。
それを感じ取ったのかいないのかは分からないが、祐巳はそのまま続ける。

「ですから、出来るだけ早く仲直りしてくださいね。 お姉さまも本当はそうしたいんでしょう」

「そんな事……」

「ほら、すぐに否定できないじゃないですか」

そう言って小さく笑うと、体調が悪いのにこれ以上話を続けるのも悪いからと祐巳は電話を切る。
事情を知らないなりに何か感じた所でもあったのだろう。
だからこそ、すぐに電話を切らずに話をしていたのだと分かる程には冷静になっており、
これも祐巳効果かしらと呟くと、祥子はベッドに横になる。
腕を額に置き、静かに目を閉じる。
祐巳の言葉もあってか、部屋で一人でいる内に怒りも少しずつ収まっていき、
冷静になって考える事が出来るようになると、恭也との、いや美影との日々が思い出される。
女と偽っていたのは事実だが、その言動には一切の嘘などはなかったと。
ただ、女性だと思っていたのが男性だっただけ。
それだけで、今までの全てを、恭也の全てを否定して、昨日の行いを思い返して自分に嫌悪感を抱く。
これでは、遠くから見ただけでイメージを押し付ける人たちと何も変わらないと気付く。
そこまで考え、祥子は改めて美影に事情を聞こうと決断し、彼女の部屋へと向かうのだった。



ベッドに寝転び、美影は特に何をするでもなくただぼんやりとしていた。
とりあえず、祥子は出掛ける様子もないようなので、家の中にいる限りは大丈夫だろうと。
後は外出の時に気を付けて、問題は明日以降である。
マリィが黒に近い状態で学園内で離れるのだけは何としても避けなければならない。
祥子は当然のように避けるだろうから、こっそりと隠れて護衛するしかないか。
そこまで考えを纏めたところで祥子が部屋から出てくる気配を感じ取る。
注意して祥子の気配を辿れば、そのままこちらへと近づいてきて部屋の前で止まる。
少し待ってみたが、それから何も行動を起こさない。
美影は扉を開けるべく起き上がり、そこでノックがされる。

「はい」

美影は短く返事を返して扉を開ける。
そこには気まずそうな顔をした祥子が立っており、美影と目が合うと頭を下げてくる。
突然の事に驚く美影に気付かず、祥子は頭を下げたまま昨日の非礼を詫びてくる。

「本当にごめんなさい。最後まで話も聞かなくて。
 許してもらえるとは思っていないけれど、まだ間に合うのなら今度はちゃんと話を聞かせて欲しいの」

未だ顔を上げない祥子へと美影はそっと肩に手を置き、優しい声を掛ける。

「祥子が謝るような事は何もないでしょう。
 全ては私が悪いのだから。だから、謝るのは私の方よ。
 良かったら、これから話を聞いてちょうだい」

言って祥子を部屋へと通すと、昨夜のように二人は腰掛ける。
何から話すか少し考え、事の始まりから話す事にした。
祥子の祖父から祥子を護衛して欲しいと依頼された所から。

「そうお爺様からの依頼だったのね」

「ええ。それで女装してリリアンに通う事になったの」

「そうだったの。仕事とはいえ、女装までして女子高に来るなんて美影も大変だったのね」

今まで接してきた美影の性格なども思い返し、祥子は思わずしみじみと呟く。
そこには既に嫌悪感はなく、寧ろ同情するような意思も多少見受けられた。
祥子の言葉に多少疲れたような笑みを見せつつ、続きを話し出そうとする美影だったが、

「……え、女装? だって、美影は確かに女の子だったわ。
 そうだわ、どういう事なの? 高町さんと美影が同一人物だとしても、その美影の胸とか……」

ごにょごにょと尻すぼみになりつつも祥子は美影の胸を思わず見る。
同時に最初の頃はさらしで巻いていて膨らんでいなかった事を思い出す。

「まさか、仕事のためにその……」

「そうね、それも話さないといけないわね」

美影は微笑を浮かべ、女装ではいずればれるので、知り合いの伝手で本当の女性になる薬を貰った事を話す。
その薬は性格や記憶といったものは変わらないのだが、仕草や言葉使い、内面なども変化させる事も。
最初は疑わしげに見ていた祥子だが、何よりも目の前に美影が存在しているのだ。
これでは嫌が上にも信じざるを得ない。

「やっぱり美影は私を騙そうとしていた訳ではないのね。
 悪いのは勝手に思い込んで、酷いことをした私なのね。それどころか美影は私を守っていてくれたのに……」

落ち込んだ様子の祥子に美影はそれは違うとはっきりと告げる。

「事情はどうあれ、騙していたのは事実だもの。
 祥子は何も悪くないわ。あの時の祥子の言動はきっと正しいのよ。
 だから、その事で落ち込んだりしないで」

「でも……」

まだ納得できないという顔を見せる祥子であったが、美影の困ったような顔を見て頷いておく。

「一応、話せる範囲で話したつもりだけれど。
 何か聞きたい事はある?」

何もないと言い掛け、祥子は口を噤むと少し考える素振りを見せる。
そして、ゆっくりと口を開ける。

「私の傍に居たのは、それが仕事だったから?」

聞いてから後悔するような表情を見せる祥子に、美影は考える間もなく頷く。

「そう」

その返答に思った以上にショックを受けつつ、祥子は何とかそれを顔に出さないように努める。
そんな祥子から目を逸らさず、美影はそのまま続ける。

「最初はそうだったけれど、それだけじゃないわ。
 まだ長い付き合いじゃないけれど、祥子の傍にいて祥子を知って、好きになったから。
 祥子は友達だから。だから、切欠は仕事だったけれど、今はそれだけじゃないわ」

思わず顔を赤くしつつ、祥子は少しだけ美影から視線を逸らして小さくお礼を口にする。

「だから、改めて全てを話した今、祥子に私からも聞きたい事があるの。
 まだ私の事を友達だと言ってくれる?」

「……勿論よ。私の方こそ酷い事を言ったのに」

「友達だったら、喧嘩ぐらいしても可笑しくないでしょう。
 だから、もう一度言うわよ。昨日の事はもう気にしないで。
 あの反応は当たり前だし、その上でこうして友達と呼んでくれるのなら、ね」

ゆっくりと祥子に近づき、これまたゆっくりと手を伸ばす。
祥子はそれを拒む事無く、今まで接してきたようにただ黙って受け入れる。
そっと肩に触れられた手に指を這わせ、美影を見上げて微笑みかける。
実に久しぶりに見たような気にさせられる祥子の笑顔を受け、美影も淡く微笑む。

「本当は男の人だと言うのなら、これはセクハラになるのかしら」

「そんな事を言われても、美影としての私は男という意識が殆どないのだもの。
 でも、これからは気をつけるわ」

「ふふ、冗談よ。寧ろ、そうやって変に気を使われる方が困るから、今まで通りにしてちょうだい」

「祥子がそれで良いと言うのなら、そうさせてもらうわ」

いつものように笑い合う二人の間には、既にわだかまりは見られなかった。

「もうすぐお昼ね。ちょっと着替えてくるわ。美影も着替えたら?
 寝巻きのままよ」

自分の格好も今思い出したように祥子は立ち上がると部屋を出て行く。
部屋の外まで祥子を見送り、美影は祥子が受け入れてくれた事を今更のように嬉しく思うのだった。
一方、美影に見送られて部屋を出た祥子は、後ろで美影の部屋の扉が閉まる音を聞きながら隣の自室へと向かう。
ノブに手を掛けた所で、何故かふと思い出す。
そう言えば、一度美影に裸を見られた事や挨拶代わりとはいえキスされた事があったと。
途端、顔を真っ赤にしてその記憶を忘れるかのように、何度も激しく頭を振ると慌てた様子で部屋に入るのだった。





つづく




<あとがき>

という訳で、何とか仲直りを。
美姫 「結構、あっさりと仲直りね」
それだけ築いてきた時間があったという事で一つ。
美姫 「二人は元通り。でも、マリィは本格的に動き出している」
祥子にも話したから一層のこと学園を休むという手もありだけれどな。
美姫 「そうなると、祐巳ちゃん辺りを人質にされる危険性も出てくるのよね」
そういう事だ。って、次回の冒頭シーンじゃないか、それ!?
美姫 「まあまあ、これぐらい偶には良いじゃな」
はぁぁ。まあ、何はともあれ、また次回で。
美姫 「まったね〜」







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