『祐一のハーレム伝説(in 水瀬家)』
第2話 ようこそ妖狐!
う〜んそうだよな〜。あゆとのやり取りまでは問題なかったはずなんだ。
だと、すると、その後が悪かったのか?
あの後は、確か真琴が起きてきて……………。
「お腹空いた〜」
「うにゃ〜」
「おう、ピロおはよう」
「真琴はっ!真琴にも挨拶しなさいよ」
「うにゃ〜」
「ん?ご飯なら、奥に秋子さんがいるから、貰って来い」
「こら、無視するな!」
「にゃにゃにゃ〜」
「あ、ピロ待ってよ」
真琴はピロの後を追って、キッチンの奥へと行った。
ふっ、勝った。
俺が勝利の余韻を楽しんでいると、横からあゆあゆが突っ込んでくる。
「祐一くん、真琴が可哀相だよ」
「気にするな。真琴の事だから、もう忘れているって」
そんな事を言いながら、味噌汁を啜る。
う〜ん、相変わらずの腕前だな。デ〜リシャス。
「幾ら真琴でもそれはないと思うけど。もう、どうなったって僕は知らないからね」
「大丈夫だって」
そんな事を話しているうちに真琴が戻って来てあゆの横へと座る。
その真琴の前に秋子さんが真琴の朝食を並べる。
「ありがとう秋子さん。じゃあ、いただきま〜す」
「にゃ〜ん」
真琴は両手を合わせると元気にそう言う。その足元ではピロもご飯を前に鳴き声を上げる。
その真琴の顔には先程のやり取りを覚えている様子は全く無く、俺はどこか誇らしげな顔をしてあゆと目を合わせる。
(ほらな、言ったとおりだろ)
あゆはどこか呆れたような、諦めたような、そんな曖昧な表情で頷く。
横に座っている真琴を見ると、何も考えず、ただご飯をかき込んでいる。
真琴は俺の視線に気がついたのか、ご飯を食べる手を止め、俺の方を見るとそのままご飯を庇うような格好を取る。
「何見てるのよ祐一。これは真琴のご飯なんだから、祐一なんかにはあげないからね。だから、取らないでよ」
「誰が取るか!この馬鹿」
「あ〜、馬鹿って言ったな!」
「言ったがどうした」
「馬鹿って言う方が馬鹿なんだもん」
「何ぃ!じゃあ、今お前だって言っただろう。だったら、真琴も馬鹿だ。や〜い、馬鹿、馬鹿」
「あう〜。また、言ったー!馬鹿って言う方が馬鹿なんだから、やっぱり祐一の方が馬鹿なのよ」
「馬鹿って言う方が馬鹿って言う方が馬鹿だよー」
「馬鹿って言う方が馬鹿って言う方が馬鹿って言う方が馬鹿なのよ!」
「馬鹿って言う方が馬鹿って言う方が馬鹿って言う方が馬鹿って言う方が馬鹿なんだよ」
「え、えーと、馬鹿って言う方が馬鹿って言う方が馬鹿って言う方が………」
「あはははは。分からなくなったのか?や〜い、馬鹿馬鹿」
「ゆ、祐一のくせに生意気なのよ!」
「馬鹿に何言われても堪えないもんねー」
「うぅぅぅ〜〜」
真琴は顔を真っ赤にして唸り声を上げる。
そんな真琴に対し、俺は立ち上がると更におちょくる。
「や〜い、や〜い」
「うぅぅぅぅぅーーーーーーーー」
そんな俺に対し、あゆが呆れ声で話し掛けてくる。
「祐一くん、大人気ないよ」
「……放っておけ」
そのあゆの言葉に俺はどこか憮然と答え、真琴は味方を得たとばかりに攻勢に出ようと口を開く。
「そうよ、祐一は大人気なーい」
「それがどうした。俺は生意気なガキよりは大人気ない大人の方を目指す」
「あう〜」
きっぱりと言い切る俺に真琴は言葉を無くし項垂れる。
まあ、あまりおちょくるのも可哀相なので、手を伸ばし真琴の頭を撫でてやる。
すると、真琴は気持ち良さそうに目を細め、大人しくなる。
「まあ、冗談だ気にするな」
「うん」
「じゃあ、早く食べてしまうか」
「うん!」
俺と真琴は食事を再開し、ほぼ同時に声を上げる。
「「秋子さん、おかわり」」
俺たちの声に秋子さんはいつもの笑顔を浮かべ、おかわりをしてくれた。
それを受け取り、真琴と共に再び箸を進めるのだった。
つづく〜
<あとがき>
いや〜、第二話は真琴だったか。
シオン「じゃあ、次はあの子ね」
ゆうひ「そうやな」
その通りです。次は、佐祐理さ………がっ!
シオン「新年早々、くだらない嘘は止めなさい」
ひ、酷い。新年早々、殴るか。
ゆうひ「殴られるような事をした浩が悪いと思うけどな」
何もしなくても殴るくせに」
シオン&ゆうひ「うん」
へっ?
あ、あのー、ちょっとは否定して欲しいな〜とか思ったりするんですけど……。
シオン「いや、否定する所じゃないし」
ゆうひ「うんうん。と、いう訳で行くで〜」
シオン&ゆうひ「新春特大スペシャル〜」
ガッ、ゲッ、グボォォォォォ。
な、名前が新年らしいだけで、やってる事はいつもと一緒だよ………。ガクッ
シオン「じゃあ、今年も遊び人と浩のお仕置きを頑張るとして……」
ゆうひ「今回はこの辺にしとこうか」
シオン&ゆうひ「じゃあね♪」