『祐一のハーレム伝説(in 美坂家)』
第1話 祐一の逃亡生活
俺は一人公園のベンチに腰掛け、これからどうするかを悩んでいた。
そのうち、眠たくなって寝てしまったようだ。
その証拠にお日様がはっきりと昇っていて蒸し暑い。
時間は……、朝の7時過ぎか。
さて、これからどうしたもんか。
一層の事、この街を出るというのもありだが……。
そこまで考えた所で腹が鳴る。
そう言えば、まだ飯を食べてなかったな。
とりあえず、食べてから考えるか。
さて、問題はどこで調達してくるかだが、近場は止めておいたほうがいいだろうな。
見つかる可能性もあるし。いや、昼間では大丈夫だろう………。
いや、もうばれてるかも。そっちの方が可能性としては高い気がする。
真剣に悩んでいると、ふと頭上に影が射したので顔を上げる。
そこには、ウェーブのかかった綺麗な髪を掻き揚げながら、少し驚いた顔の香里がいた。
「よお、香里」
「どうしたの、相沢君。こんな所で」
「うむ。俺は日課のジョギングの途中なんだよ」
爽やかな笑顔でそう言う俺を香里は冷ややかに見詰める。
「ふーん。で、ジョギングの途中なのに、何で座ってるの?」
「これは座っているように見えるが、その実、かなりの運動量を消費する体操なんだ」
「……………」
「…………」
香里は沈黙したまま何も言わない。
それに耐えかねた俺は自分から口を開く。
「すいません、嘘です」
「分かってるわよ、そんな事は」
「なっ!分かってたくせに聞いたのか!」
「はぁー。話が進まないから、続けるけど良い?」
「おう!」
香里は再び溜め息を吐くと、俺に話し掛けてくる。
「で、相沢君はどうして、こんな時間にこんな所にいるの?」
「ああ、実は……」
俺は昨日の出来事を香里に掻い摘んで話して聞かせた。
すると、香里は盛大な溜め息をこれでもかと吐いた後、
「事情は分かったけど、夏休みの間、ずっと帰らないってのは流石に無理なんじゃないの?」
「そうなんだよなー。始めは北川の所にも行こうかと思ったんだが、流石にそれも夏休み中というわけにもいかないし。
アイツの事だから、面白がって名雪たちに居場所を教えかねんしな」
「はぁ〜。なんなら、うちに来る?」
「良いのか!」
香里の提案に一も二もなく飛びつく。
「まあ、ずっとって訳にはいかないけど、一週間ぐらいなら問題ないわよ」
「それはありがたいんだが、勝手に決めてしまって良いのか?親の承諾とかは…」
「ああ、大丈夫よ。うちの両親昨日から旅行で、一週間は戻ってこないから」
「そ、そうか。なら、一週間、俺と香里二人だけなんだな。ぐふふふふふ」
「あのね、うちには栞もいるんだからね」
「おお、そうだったな」
「はぁ〜。泊めるのやめようかしら」
「冗談じゃないか、香里。お願いします」
「くすくす、良いわよ。じゃあ、早速行きましょうか?」
「おう!」
香里と並んで歩きながら、ふと思ったことを聞いてみる。
「そう言えば、香里は何で公園にいたんだ?」
「これよ」
そう言って香里は手に持った袋を目の前に掲げて見せる。
「今朝、朝食を作ろうとしたら、牛乳がきれてたのよ。それで、買いに来たって訳」
「なるほど」
香里にとっては不運だったかもしれないが、俺にとってラッキーな出来事だ。
お陰で一週間はあいつ等から逃げられる。
安心した俺はいつものように軽口を叩く。
「しかし、今更牛乳なんて飲まなくても……」
「相沢君、どこ見てるのよ。それに、それってセクハラよ」
「冗談だ」
「…………」
香里はこちらをじーと睨みつけてくる。
「本当に悪かったって。ほれ、持ってやるから」
俺は香里の手から袋を取り、代わりに持つ。
「あ、ありがとう」
「おう。まあ、これぐらいは軽いもんさ」
俺の言葉を聞いているんだかいないんだか、香里は独り言のように呟く。
「…で、でも、相沢君にだったら、見られても………」
「はい?」
「な、何でもない」
思わず聞き返した俺に香里は慌てたように手を横に振る。
………ま、まあ俺の聞き間違いだろう、多分。
何となく不安を感じながら、俺は香里と一緒に美坂家へと向った。
つづく〜
<あとがき>
やっっっっっっっっっっっっと、出来た………。
シオン「遅い遅い遅い!」
ゆうひ「遅い遅い遅い!」
ゲシゲシゲシゲシゲシゲシゲシゲシゲシゲシゲシゲシゲシゲシゲシ!!!!!
ご、ごめんなさい。だ、だから蹴らないで〜〜。
シオン「本ッッッッッ当にィィィィィィィ……」
ゆうひ「遅ッッッッッいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
うげっ、ごげっ、がっ、ぶわぁっ、へぐぉぉ、ごがぁぁっ。
シオン「ふう、すっきり」
ゆうひ「ホンマや。待ちくたびれた分はこれぐらいかな?」
ま、待ちくたびれえた分って。他にもあるのか?
シオン「聞きたい?」
え、遠慮します。
ゆうひ「って、言うかかなり早い回復やな」
はははは。人間は慣れるものなんだよ。
シオン「にしても、ねえ」
まあまあ。
しかし、今回は本当に長かった。
ゆうひ「ホンマやで。お陰で待ちくたびれてしまったわ」
はははは。実は、美坂家にするか、○○家にするかで悩んでたんだよ。
で、美坂家になったと。そして、その次が○○家ですよ。
シオン「其れは兎も角、お仕置きが足りないみたいだから……」
ゆうひ「うちらもちょーっと本気でいくで」
さぁぁぁぁぁぁぁぁーーー!(顔から血が引く音)
シオン「封滅!遮光桜刃覇!!」
ゆうひ「焔滅!煉紅蓮炎乱舞!!」
ギャオォォォォォォーーーーーーース!
ゆうひ「……何かやられ方に余裕を感じた気もするけど…」
シオン「気にしたら駄目よ。とりあえず、一時的とは言え、悪は滅びたんだから」
ゆうひ「本当に一時的なんが、怖いけどな」
シオン「まあまあ。さて、後はこれを遊び人に持っていくだけね」
ゆうひ「ほな帰ろうか」