Kanon −Akiko’s story−
 〜もし本当に秋子さんが28歳だったら 第3話〜






今日は今度の4月から中学へ通う事になる、名雪の制服を合わせに行く日だ。

少し前に名雪と約束をしてしまった為、俺も行かないといけなくなってしまった。

「名雪、今度の4月からはここを通って行くことになるのよ。ちゃんと覚えるのよ」

名雪の左手を繋ぎながら、秋子さんが名雪に話し掛ける。

ちなみに名雪の右手は,俺が繋いでいる。

こうやっていると、他人から見たら仲のいい家族に見えるのかな、なんて考えて一人で照れる。

「うん。大丈夫だよ。私、道を覚えるの得意だもん」

「道を覚えるのは得意でも朝、起きるのは苦手なままだな」

「うー。祐一お兄ちゃんひどいよ〜。私だってがんばってるんだもん」

名雪は俺の左手を強く握り抗議してくる。

「ははは、悪かった。名雪も努力してるもんな」

「イチゴサンデー奢ってくれたら、許してあげる」

「こら、名雪。祐一さんを困らせてはいけませんよ」

「うー」

「いいですよ、秋子さん。名雪、奢ってやるぞ」

「本当」

「ああ、本当だ」

「ありがとう、祐一お兄ちゃん」

名雪はよほど嬉しいのか繋いでいた手を離し、ピョンピョンと飛び跳ねる。

イチゴサンデー1つで、ここまで喜んでもらえるなら安い物だ。

「祐一さん。すいません」

「いいんですよ、秋子さん。今日、この後,何か予定あります?」

「いえ、特にはありませんけど」

「じゃあ、今日の帰りに行きましょう」

「でも、本当にいいんですか?」

「構いませんよ。それに、これは口実ですから。

 これで秋子さんを堂々と誘えますから」

「そう云うことですか」

「そういうことです。で、秋子さんの返事はどうですか」

「ふふふ、聞くまでもないじゃないですか。了承ですよ、祐一さん」

「じゃあ、帰りに寄りましょう」

「ええ、嬉しいです」

そう言って、秋子さんは照れた顔をする。

くぅ〜〜〜。ここが外でなかったら、いや、人目がなかったら思わず抱きついていただろう。

それぐらいに、今の秋子さんの仕種は可愛い。

「ねえねえ、祐一お兄ちゃん」

さっきまでそこら辺を飛び跳ねていた名雪が、戻ってきて尋ねてくる。

「なんだ、名雪」

「いつ行くの?私、早い方がいいな」

「今日の帰りに行くつもりだ。それで良いか?」

「うん、うれしよ。ありがとーう」

名雪が俺に飛びついてくる。

「へへへぇー」

「おいおい、名雪。重いって」

「うー。私そんなに重くないよ〜」

「冗談だ。そうむくれるな」

俺は名雪をそっと地面に降ろしてやり、再び手を繋いで歩き出す。

しばらく歩いていると、前を歩く人の中に知った顔を見つけた名雪が走り出す。

「香里〜」

呼ばれた少女は後ろを振り向き、声をかけたのが名雪だとわかると少し微笑み返事を返す。

「こんにちは、名雪。あまり走るとこけるわよ」

「大丈夫だよ、香里。私、走るの得意だもの」

「そうね、毎日走って登校してるもんね」

「うー。あれは別に走りたくて走ってるんじゃないもん」

「はいはい。むくれないの」

名雪と話しているのは名雪の親友の美坂香里だ。

俺が冬休みにこの街の来る度に会っているから、俺とも顔なじみになっている。

今の会話でもわかるとおり、名雪と同じ年なのにしっかりとしている。

そして、香里の横に立って二人のやり取りを楽しそうに見ているのは香里の母親、美坂伊織さんだ。

伊織さんと秋子さんは幼馴染で昔から親友だったらしい。

故に、名雪や香里も自然と、小さい頃から付き合いがあり、親友同士として今に至っている。

まあ、早い話、親子そろって親友というわけだな。

そういう訳で、当然伊織さんも、俺と面識がある。

「やっほー、秋子」

伊織さんが秋子さんに軽く手を振る。

「こんにちは、伊織」

「こんにちは。あれ、もしかして祐一君?」

「もしかしなくても、俺ですよ」

「その言い方は、間違いなく祐一君ね。久しぶり。いつこっちに来てたの」

「何か釈然としませんが、久しぶりです。こっちに来たのは大体、1ヶ月ぐらい前かな」

「へぇー、そうなんだ。秋子も言ってくれたらよかったのに」

「ごめんなさい。名雪が言ってるとばかり思ってたから」

「名雪ちゃんの事だから、忘れてるんじゃない」

「そうかもしれませんね」

俺たちがそんなやり取りをしている間に、香里がこっちに気付き近寄ってくる。

「祐一お兄ちゃん、こっちに来てたの」

「おお、香里。久しぶりだな」

「もう、名雪、何で教えてくれなかったのよ?」

「え、私、言ってなかった?」

「少なくとも私は、聞いた記憶がないわ」

「うー、ごめん、忘れてたよ」

「もう、仕方ないわね」

「香里、元気だったか?」

「ええ、私はいつも元気よ。それより、祐一お兄ちゃんは、どうしてこの街に来たの?学校は?」

「ああ、俺がこっちに来たのは、春からこっちの大学に進むからなんだ。学校は卒業式まで休みさ」

「え、4月から祐一お兄ちゃん、この街にいるの。本当」

「本当だよ」

「じゃあ、また遊んでくれる?」

「ああ、暇なときでよかったらな」

「祐一お兄ちゃん、私も」

「ああ、もちろん名雪も一緒だ」

「「やったー」」

二人とも飛び跳ねながら喜んでいる。こうして見ると、香里も年相応の女の子なんだな。

「じゃあ、祐一君は秋子の家に居候するの?」

「ええ、そうですよ」

「じゃあ、祐一君に会いたくなったら秋子の家に行けばいいのね」

「な、どういう意味ですか」

伊織さんは、深い意味で言ったんじゃない事は判っている。

しかし、突然そんな風に言われて一瞬、動揺してしまった。多分、顔が少し赤くなっているだろうな。

弁解するつもりはないが、あえて言わせてもらうなら、

伊織さんは秋子さんと同じ歳なのだが、見た目が秋子さん同様とても若く見える上に、間違いなく美人の部類に入るだろう。

背中まで伸びた薄茶色の髪は軽くウェーブがかかっており、柔らかく見える。

目元がきりりとして一見冷たそうな感じを受けるが、口元に浮かぶ優しい笑みが顔全体をやわらかく見せている。

そんな美人に、あんな事を突然言われれば、その気がなくても一瞬動揺してしまうのは、男としては仕方がないことだ。

よし、自己弁護、終わり。

「だって、私も遊んで欲しいだもん」

「遊ぶって、何をするんですか。何を」

「いやーん。そんな事、私の口から言わせるなんて祐一君のい・け・ず」

い、いかん。からかわれているのは判っているのに、悲しいかな男の性というか、なんというか。

顔が赤くなっているのが、はっきりと判るぐらい体が熱い。

「仕方ないわね。教えてあげるわ。私が、祐一君にして欲しい事は・・・」

ゴクン。自分の生唾を飲む音が、やけに大きく聞こえる。

「お買い物で重たい荷物を持って欲しいし、後、大掃除する時の家具を運ぶ手伝いでしょう、まあ、そういった力仕事全般かな」

「だー、それじゃ遊びじゃなくて、雑用じゃないですか!」

「ふふふ。そうとも言うわね」

くっそー。完全にからかわれている。

「それとも、本当に遊ぶ?」

「な、何を言ってるんですか」

「くすくす。何を想像したのかしら。冗談よ冗談」

「そんなの判っています」

「あ、でも力仕事を手伝って欲しいっていうのは本当よ」

「はぁー。判りました。暇な時に少し手伝うぐらいなら構いません」

「やったー。さすが祐一君」

伊織さんはそう言って俺の肩をポンポンと叩く。まあ、実際それぐらいの手伝いなら構わないだろう。

伊織さんの所も秋子さんと同じで旦那さんがいない。なぜいないのかは知らないし、知ろうとも思わない。

本人が話したいと思ったときに聞けばいい。こういう事は、他人が口出しすることじゃないしな。

「話しはすみましたか、祐一さん」

「え、はい。って秋子・・・さん」

うっ。何か怖い。秋子さんはいつもの様に笑っているんだが、何故か怖い気がする。

「じゃあ、伊織行きましょう」

「そうね。香里、名雪ちゃん、いつまでも遊んでないで。もう行くわよ」

「「はーい」」

秋子さんは一人でさっさと歩き出す。

伊織さんは名雪と香里の手を取ると、俺を置いて歩いて行く。

「ちょ、ちょと待ってください」

慌てて俺も追いかける。秋子さんの横に並び、話し掛ける。

「あのー、秋子さん。もしかして怒っています」

「あら、祐一さん。私は全然怒っていませんよ。どうしてそう思うんですか」

「いや、別に理由はないんですが・・・。怒っていないんならいいですけど」

「ええ、別に祐一さんが伊織に見惚れていようが、鼻の下を伸ばしていようが、私は気にしていませんから」

そう言ってにっこりと微笑む秋子さんの目だけは全然笑っておらず、背筋が寒くなる。

先程、怖い気がしたのも目が笑っていなかったからだと遅蒔きながらも気付く。

「あ、秋子さん。俺は鼻の下なんて伸ばしてません。・・・とは言い切れません。すいません。

 でも、俺が好きなのは秋子さんだけですよ」

「冗談ですよ、判っています。でも、それでも不安になってしまうんですよ。

 ごめんなさい、祐一さん。私自身、こんなに独占欲が強いなんて思ってもいませんでした」

「大丈夫ですよ、秋子さん。それに嫉妬されるっていうのも、なんか嬉しいですから」

「ふふ、ありがとうございます、祐一さん。じゃあ、とりあえず祐一さんにはお仕置きが必要ですね」

「え、お仕置き・・ですか」

「ええ、お仕置きです。鼻の下を伸ばしていた事は事実ですから」

「えーと、どんなお仕置きなんでしょうか」

「そうですね、今日の帰りによる百花屋でイチゴサンデーを奢ってください。一度、食べてみたかったんです」

「へ、イチゴサンデー、・・ですか?」

「はい、イチゴサンデーです。ダメ・・ですか」

少し俯き恥ずかしそうに尋ねてくる。

「いえ、全然問題ありません。でも、そうなると秋子さんにもお仕置きをしないと」

「私にもですか?」

「ええ。さっき俺に謝ったじゃないですか。だから、お仕置きです。

 そうですね、お仕置きの内容は夜までお楽しみという事でどうですか」

「え、よ、夜って祐一さん」

「嫌ですか、秋子さん」

「別に・・・・・構いません・・・・・」

よっしゃー。思わずガッツポーズをとってしまう。これで夜は・・・。

「何、なんの話ししてるの?」

「うわー。伊織さん脅かさないで下さい」

「別に脅かしたつもりはないんだけど、秋子と祐一君が先に行っちゃうから声をかけたんだけど」

どうやら今のやり取りは聞かれていなかったみたいだな。

「それは、すいません」

「で、私たちを放っておいて何を話してたの?」

「今日の帰りに百花屋に寄る話しですよ」

「私も一緒に行ってもいい」

俺と秋子さんは一度お互いに顔を合わせてから答える。

「「了承」」

その後、話しながら歩いていたせいかすぐに学校へと着いた。

「到着ぅー」

「で、どこで寸法合わせはするんだ」

「たしか、茶道室でしたね」

「この学校、茶道室があるんですか」

「ええ、このプリントにはそう書いてますね」

秋子さんがプリントを取り出し確認する。俺もそれを横から見る。確かに茶道室と書いてある。

「で、茶道室はどう行けば良いんですか」

「さあ、そこまでは書いていませんね」

「ねえ、秋子。あの看板に書いてあるのがそうじゃない」

言われて伊織さんの指差す方を見ると、そこには看板があり、そこには『女子制服寸法合わせ 茶道室はこの先』と書いてあった。

「そうみたいね。行きましょうか」

俺たちは看板の矢印が指す方へと歩き出す。

しばらく進むと、そこには俺たちと同様に、子供を連れた母親たちの姿があった。

入り口には、それらの親子を先導する係りの人が数人いて、その人たちの案内に従い、進むみたいだな。

俺たちが列の最後尾に並び、順番を待つ事、数分。

俺たちの前の人が、部屋に入っていき、いよいよ次が、俺たちの番となった。

俺たちを案内する事になる人が、秋子さんに話し掛ける。

「ただ今、少し混雑していますので、もうしばらくお待ちください」

「ええ、わかりました」

俺はその声をつい最近、聞いた事があるような気がして、秋子さんの後ろからその人を盗み見る。

「川澄さんっ!」

「え、ああっ、祐一さん!この間は、ありがとうございました」

「いえ、あの時はこっちが悪かったんですから。気にしないで下さい」

「そうですか。判りました。ところで今日は、どうされたんですか。こんな所で」

「今日は、従姉弟が今度から、ここに入学するのでその付き添いです」

「そうなんですか」

「ええ、ところで、川澄さんの方はどうして、ここで案内係をしているんですか」

「あ、それはですね、私の友達が、この学校の常任理事の一人なんです。

 それで、彼女とPTA役員の方々が、今日、案内係をしているんです。で、私もそのお手伝いに来てるんですよ」

「へー、そうだったんですか」

「あのー、祐一君。そちらの方と知り合いなの」

「ええ、まあちょっと、色々とありまして」

「ふーん、色々ねぇ。まあ、いいわ。とりあえず、紹介してもらえる?」

「ああ、そうですね」

とりあえず、お互いの名前を教え、それぞれが挨拶を交わす。

「よろしくね、真里さん。しかし、祐一君もやるわね。こっちに来てそうそう、こんな綺麗な女の子とお近づきになるなんて」

「そんな、女の子だなんて。私、娘がいるんですよ」

「「ええっ」」

これには俺だけでなく、伊織さんも驚いたようだった。

「川澄さん、それ本当ですか。ちなみに、何歳の娘さんですか」

「13歳になります。ここの中学校に、通っているんですよ。だから、名雪ちゃんたちの一年先輩になるのかな」

開いた口が塞がらない。ものすごく若く、見えるんだが。

でも、よく考えたら、秋子さんも、伊織さんも若く見えるし。

しかし、俺の周りの母親は皆、若く見える。何故だ。謎だ。

「あら、舞〜。こっちよ。祐一さん、あそこにいるのが、娘の舞です」

思わず、考え込んでしまった俺の思考を、川澄さんの言葉が、現実の世界へと戻す。

顔を上げ、川澄さんの指差す方を見ると、舞と呼ばれた少女が、こちらに歩いてくる。

「お母さん、頼まれていた物、持ってきた」

「ああ、ありがとう。それは、佐祐理ちゃんに渡してあげて」

「わかった」

「あ、舞。紹介するわね。こちら、相沢 祐一さん」

「よろしく。舞って呼んでもいいかな」

「別に構わない。こちらこそよろしく」

一通り、紹介と挨拶が済んだ所で、入り口から、川澄さんを呼ぶ声がした。

「真里、こっちの方、空いてきたので、早く次の人を連れてきて欲しいんだけど」

「あ、ごめん、佐緒理。ついつい話し込んじゃった」

「あら、そちらの方は知り合いなの。だったら、私にも紹介して」

「そうですね。皆さん、こちらは私の親友の、倉田佐緒理、こっちの女の子が娘さんの佐祐理ちゃんです。

 佐祐理ちゃんは、舞と同じクラスだから、佐祐理ちゃんも名雪ちゃんたちの先輩になるわね。で、佐緒里、こちらが・・・」

こうして、再び挨拶しあう。うーん、今日はこんなのばっかりだな。

しかし、倉田佐緒理さんも娘がいる歳には見えないな。

長い髪を、後ろでまとめ、結上げており、そこから見えるうなじは、繊細なうえにとても白い。

着物を着たら、とても良く似合うだろうな。

「さて、それじゃあ制服の寸法合わせの方をやりましょう。私は、美坂さんの方をするから、真里は水瀬さんをお願いね」

「わかったわ。じゃあ、名雪ちゃんに秋子さん、こっちです」

そう言って、真里さんは中へと入っていく。

「って、ちょっと待って、川澄さん」

「「何?」」


「あ、川澄真里さんの方です」

「はい、何ですか」

「俺はどうしたら、いいんですか。このまま中に、入っていってもいいんですか」

「そうですねー。それは、やっぱりまずいですね。すいませんが、祐一さんは外で待っていてください」

「わかりました。じゃあ、秋子さん、俺は外で待っていますから」

「ええ、わかりました。さあ名雪、行きましょう」

「うん」

「では、こちらです。ああ、そうそう、祐一さん」

「はい、何ですか、川澄さん」

「私のことも、舞と同じ様に、名前で呼んでください。でないと、私も舞も川澄ですから」

「ああ、はい、わかりました、かわす・・・じゃなかった、真里さん」

「はい。では、秋子さん、名雪ちゃん、こっちへどうぞ」

今度こそ、真里さんは秋子さんたちを連れて、中へと入っていった。

「祐一さん、私たちの事も、佐緒理、佐祐理と名前で呼んでくださいね」

「はい、わかりました、佐緒理さん」

「では、これで失礼します、祐一さん。では、伊織さんに香里ちゃん、こちらにお越し下さい」

佐緒理さんの後に続いて、伊織さんたちも中に入っていく。

さーてと、どこで時間を潰すかな。

そんな事を考えていると、突然、クイクイと袖を引っ張られる。見ると、舞が俺の袖を引っ張っていた。

「どうした、舞」

「向こうのドアを出ると、中庭がある」

「?」

俺が、舞の言葉の意味が判らずに困っていると、佐祐理ちゃんが言葉を足して、説明してくれる。

「中庭には、ベンチや自動販売機があるので、ゆっくりできますよ」

ああ、そういう事か。つまり、舞は中庭なら時間を潰せると、言いたいらしい。

「ありがとうな、舞、佐祐理ちゃん」

「(コクコク)」

「あはは、どういたしまして」

ただ、頷くだけの舞と、ニコニコ笑って受け答えをする佐祐理ちゃん。

多分、舞は、感情を表現するのが、苦手なんだろう。俺は、そんな舞の頭に手を置き、優しく撫でてあげる。

舞は最初、驚いた様子だったが、すぐに、大人しくされるがままになる。それを見ていた佐祐理ちゃんが、舞に尋ねる。

「ふぇ〜。舞、気持ちいいんですか」

コクコク

ジーーーーーー

佐祐理ちゃんは、羨ましいそうに舞と俺を見ている。俺は苦笑しながら、空いている方の手で、佐祐理ちゃんの頭も撫でてあげる。

「ふぇ〜、気持ちいいです」

佐祐理ちゃんも、気持ちよさそうに目を閉じ、されるがままになる。

ナデナデ ナデナデ ナデナデ ナデナデ

「さてと、じゃあ、俺はそろそろ行くよ」

いい加減、切りがないので、この辺で切り上げよう。

「あはは、ありがとうございました、祐一さん」

「ありがとう、祐一兄さん」

「え、俺が兄さん?!」

「・・・ダメ?」

「いや、まあ、別に構わないよ」

「ああー、舞だけずるいです。

 じゃあ、佐祐理も祐一さんの事、お兄様って呼びますから、佐祐理のことも呼び捨てにして下さい。いいですか」

「ああ、いいよ」

「よかったね、舞」

「うん・・」

「じゃあ、祐一お兄様、佐祐理と舞は、これからお母様のお手伝いをしてきますので。

 これで、失礼させていただきます。舞、行こう」

「ああ、二人とも、またな」

舞と佐祐理は手を繋いで、部屋へと入っていった。さてと、それじゃあ、舞の言葉に従い中庭へと行くとするか。



  ◇◇◇◇◇



中庭で缶コーヒーを買い、ベンチで休んでいると、向こうから見知った顔が二人、歩いてくる。

「あら、祐一君」

「祐一お兄ちゃん!」

「どうも、今日はあみさん、あゆあゆ」

「今日は、祐一君」

「今日は、祐一お兄ちゃん」

「祐一君、どうしてここにいるの?」

「ああ、名雪の付き添いですよ」

「ああ、名雪ちゃんも今度から、ここの学校に通うんだったわね」

「名雪ちゃんもいるの?」

「ああ、今寸法を測っているところだ」

「それで祐一君は、ここで休憩してるってところかな?」

「そういう事です」

「じゃあ、名雪ちゃんが終るまでの間、綺麗なお姉さんが話し相手になってあげましょう」

「どこに綺麗なお姉さんがいるんですか、どこに」

「祐一君、それは酷いわ、酷すぎる。よよよよ」

「わざとらしい嘘泣きはやめてください」

「ったく、ノリが悪いわね。せっかく私が、付き合ってあげるって言ってるのに」

「はいはい、ありがとうございます」

「何か引っかかる言い方だけど、まあ、いいわ」

こうして、名雪たちが終るまでの時間を、あみさんとあゆの二人と話しをしながら過ごす事になったのである。





<続く>






<あとがき>

どうも、氷瀬 浩です。

またまた、こりずに「もし秋第3話」、書いてしまいました〜。

しかも、今回は長くなりそうなので、途中で終っています。結構、半端な所かも・・・。

続きは、速く仕上げるよう努力しています。(汗、汗

しっかし、今回もオリキャラ出まくりです。

しまいに収集がつかなくなったりして(笑

まあ、もうオリキャラも出ないでしょう。多分。いや、あと一人ぐらいは出るかな?あの子が・・・。

とりあえず、今回は続きを速く仕上げないと。

ではでは、また次回にお会いしましょう。



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