『なゆちゃん、ふぁいとっ・・・だよっ。』
〜修学旅行編〜
夜の水瀬家。
自分の部屋へ戻る途中の祐一が名雪の部屋の前を通ろうとした時、、その物音は聞こえてきた。
ガサゴソ・・・
「ふぅ〜、これでよしっと」
(なんだ、名雪の奴まだ起きていたのか。めずらしいな。)
コンコン
「わっ。だ、だれ?祐一?」
「おう、そうだぞ。ところで名雪、お前まだ起きていたのか?
明日はいつもより早いんだからもう寝ろよ」
そう、この家の娘である名雪はとにかく寝起きが悪い。
毎朝、起こしている祐一がこう言うのも仕方がないことである。
「わかってるよ。今から寝るところ。
祐一は明日の修学旅行の用意は終わったの?」
「ああ、もうとっくに終わってるよ。
おまえ、もしかしていままでやってたのか?」
「うん、そうだよ」
「はぁ〜。まったくとろい奴だな」
「う〜私、とろくないよ〜。祐一ひどいよ」
「いいから、もう寝ろよ」
「うん。おやすみだよ、祐一」
「ああ、おやすみ名雪」
ふぅ、俺もさっさと寝るか。
しかし、たかが4泊5日分の荷物をまとめるのになんでこんなに時間がかかるんだ?
まあ、いいか。明日も名雪を起さないといけないからな。寝よ寝よ。
・・・なぜ、名雪が荷物をまとめるの時間がかかったのか?
その理由を祐一は明日、知ることになる。
・・・・・
・・・
・
「おはよう。朝だよ。朝ご飯たべ・・・」
カチッ
う〜ん、朝か。
さてと、さっさと着替えて名雪を起こすとするか。
ピピピピピッ ジリジリジリ
しかし、相変わらずよく寝る奴だな。
部屋の外まで目覚ましの音が聞こえてるってのに起きてこないし。
かと言ってあの目覚ましを使われるのだけは絶対に阻止しなければいけないしな。
ちなみに祐一が今、使っている目覚ましはわざわざ買いに行って新たにメッセージを入れなおしたものだ。
「名雪、起きろ。朝だぞ。入るからな」
言い終わるやいなや名雪の部屋に入る祐一。
部屋の外で呼んでも起きないことがすでにわかっているのだ。
部屋に入るなり、いくつもある目覚ましを手際よく黙らせる。
(俺はおそらく目覚まし早止め選手権高校生の部で優勝できるな。)
ってそんな大会あるかい。ビシッ。
おっと、ひとりボケ突っ込みをしている場合ではないな。早く起すか。
「おい、名雪。起きろ。朝だぞ」
「く〜」
「おい、起きろ〜」
「く〜、く〜」
「っく。今日は手強いな。だから昨日早く寝ろって言ったのに。
おいっ。お・き・ろ・!」
さっきよりもやや強く揺するが名雪起きる気配は全くない。
「ええい、起きろ、起きろ、起きろ〜」
「う、うう〜ん」
「いい加減にしないと襲うぞ!」
「う〜。祐一なら良いよ〜」
「げっ。起きたのか?」
「起きてないよ。お姫様は王子様のキスで目覚めるんだよ」
「どこにお姫様と王子様がいるんだ?」
「う〜、祐一意地悪だよ。くーくー」
「都合のいい寝言だな。まあ、俺は意地悪らしいからほっといて行くか」
「・・・」
ん?名雪の様子がおかしいな。
いつもならこういう時「わっわ、嘘だよ。待ってよ祐一」って言って起きると思うんだが?
不信に思った祐一が名雪の顔を除きこむ。
げっ。
な、泣いてるのか?
「ど、どうしたんだよ、名雪」
「うっう。祐一は私とキスするの嫌なんだね。ぐす」
「そ、そんなことはないぞ」
「いいよ、もう。起きるから」
「・・・・・・名雪」
祐一は起き上がろうとする名雪の肩を押さえつけ、顔を近づけていく。
「祐一・・・」
窓から差し込む光によって映し出される二人のシルエットが近づいていき、やがて・・・。
チュッ。
軽くふれる程度のキスをする二人。
「祐一」
「名雪、もう一回いいか?」
「もちろんだよ」
再度、口付けを交わす。
今度はかなり激しいキスを交わす二人。
「ん〜。んんっ」
朝から、あやしい雰囲気になりつつある二人であった。
とその時、階下から秋子さんの声が届く。
「二人とも、時間大丈夫なんですか?」
ビック。その声にお互いに離れ距離をとる。
「名雪、今何時だ!」
「時間ないよ〜」
「先に下に行くから早く着替えて降りて来い」
「うん、わかったよ。
あのね、祐一・・・」
「なんだ?」
「うん、あのね嬉しかったよ」
真っ赤になってそう言うと、すぐにドアを閉める。
どうやら機嫌は直ったようである。
「はぁ〜。何を言ってるんだか」
つぶやいて1階へと向かう祐一であったが、その顔も赤くなっていた。
1階へ降り、リビングへ行くと秋子さんがいつもの様に笑顔で迎えてくれた。
「おはようございます。祐一さん」
「おはようございます。秋子さん」
「降りてこられるまでが随分遅かった気がしますけど、時間は大丈夫なんですか?」
「っ多分、走れば間に合いますよ」
「そうですか?所で、祐一さん。
顔が赤いですけど風邪でも引きましたか?」
「えっ!だ、大丈夫です。
ほら、このとおり元気ですから」
「そうですか。じゃあ、コーヒーを入れてきますね」
あ、危なかった。別に秋子さんに俺たちのことを黙ってるつもりじゃないんだけどな。
ひょっとしたら、気付いてるかもしれないな。秋子さんだしなぁ。
でも、今朝のはさすがにな。言える訳ないし。
はぁ〜、何か行く前なのにものすごく疲れた。
ドタドタ。
うん?どうやら名雪が降りてきたようだな。
「お母さん、おはよう」
丁度、秋子さんが俺と名雪の分のコーヒーを持って来たみたいだな。
「おはよう、名雪。
あら、名雪も少し顔が赤いわね。気のせいかしら」
「き、気のせいだよ。お母さん。
私なにもしてないよ」
はぁ〜。名雪〜。それは何かしたと言っているようなものだぞ。
「あらあら、そうね気のせいよね。
「そうそう、気のせいだよ、お母さん」
「くすくす」
あ、秋子さん、その笑みは一体・・・。
「それより祐一、急がないと本当に時間ないよ」
「そうだな、行くぞ名雪」
「いってらっしゃい、二人とも気をつけてね」
「はい、わかってます。それじゃ、秋子さんいってきます」
「いってきます、お母さん」
「名雪、荷物は?」
「玄関に置いてあるよ」
「よし、行くぞ」
水瀬家玄関
「・・・ち」
・・・・・
「・・ういち」
・・・
「祐一ってば!」
・っは、い、いかん。意識が一瞬飛んでいたようだ。
「速くいこうよ」
「ああ、所で名雪。 これは何だ?」
「へっ?荷物に決まってるよ祐一」
いや、荷物なのはわかているんだ。
俺の疑問は、
「なんでこんなに多いんだ」
なんで海外に行くときなんかに使うようなトランク並の大きさのバックに一杯あるんだ?。
「女の子は色々いるんだよ」
「いくらなんでも多すぎるだろこれは。
こんなの担げるのか?
少し減らしたらどうだ?」
「うう、これでも減らしたんだよ。それに時間がもうないし・・・」
ああ、もう。仕方ない、こうなったら。
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/ 1.名雪の荷物を持って急いで行く。 *
* /
/ 2.とりあえず荷物を減らす手伝いをする。 *
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<なかがき>
こんにちわ、氷瀬 浩です。
今回のSSはなんと選択肢つき!(そんなにすごくないか。)
どちらを選ぶかはあなた次第。
どう変化するのか?
現時点では不明!(っておい)
冗談です。大まかには決まっています。
速く仕上げるので続きを待っててください。
そして、どう違うのかを見比べてください。
一応、この作品は「なゆちゃん、ふぁいとっ・・・だよっ。」として、
いろんなパターンで祐一と名雪中心に書いていこうかなと思っています。
略して、「なゆふぁい」シリーズ。
まあ、ゆっくりとしたペースになるとは思いますが、気長に待っててください。
では、また次回作でお会いしましょう。