『夕日隠れの道に夕日影』

   〜ゆうひ編 後日談〜






ベッドで二人一緒に横になりながら、ゆうひは何かを考えている素振りの恭也に訊ねる。

「どうしたんや?恭也」

「いや、ちょっと昔の事を思い出していてな」

「昔のこと?」

「ああ。初めてゆうひを名前で呼んだときの事だよ」

「……ああ!あの時のことかー」

「…………あの後、色々あったからな」

恭也は苦笑しながらゆうひを見る。そして、ゆうひは何かを誤魔化すかのようにあさっての方を向き、笑う。
しかし、その笑みはどこか乾いており、頬を冷や汗が一筋流れていくのを恭也は見逃さなかった。

「別に怒ってはいないぞ」

「それは分かってるねんけどな……。後で、流石にあれはやりすぎたかな〜とか思ったし……」

「もう過ぎた事だ」

「まあな。しかし、あの後俺は結構、困ったんだがな。なにせ世界中に放送されたみたいだからな。
 おかげで色んな奴らから事情を聞かれるわ。教師までもが一緒になってあれこれ聞きにくるわで大変だった」

「あ〜ん、だからごめんやて。あん時はうちも不安やってんもん。許したってーなー」

「ふむ……」

恭也はしばらく何かを考え込むと、突然ゆうひを抱き寄せると唇を塞ぐ。

「んっ…………んぐっ、ふぁん…………ぁん……」

しばらくして、やっとゆうひの唇を解放する。

「これで許してやろう」

「…………!こ、こんなんお仕置きやったら、もっともっとして欲しい〜」

しばらく、ぼーとしていたゆうひは我に変えると恭也の胸に飛びつき、頬をこすりつけて甘える。

「…………いただきます」

恭也はゆうひを下にするとそのまま覆い被さっていく。

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……

恭也に腕枕をされながら髪を撫ぜられていたゆうひは恭也に話し掛ける。

「なぁー、恭也…………子供できたらどうする?」

「そうだな……女の子ならゆうひに似て優しくて可愛い子だろうな」

「男の子やったら恭也に似て、格好良くて強く優しい子になるね」

「俺に似たら格好良くならないんじゃないか?ゆうひに似る方が良いと思うが」

「はぁー。恭也いい加減に自覚っちゅうもんを持たんとあかんで」

「???よく分からんが、すまん」

「まあ、ええわ。でも、子供ができたらやっぱり剣術を教えるん?」

「さあ、どうだろうな。その子が望むなら教えるが、他にやりたい事があるなら、そっちをすれば良い。
 案外、ゆうひと同じで歌を歌うようになるかもな」

「おおぉ、それはいいなぁ〜。そしたら、先生とフィアッセがやったみたいに親子で舞台に立てるやんか」

そんな事を嬉しそうに言うゆうひに恭也は優しく笑いかける。

「どうなるかは分からないけど、俺とゆうひの子供なら、間違いなく思いを受け継いでくれるさ。
 その方法は、ゆうひみたいに魂の込もった優しい声で皆に歌を届け幸せにするのか……」

「……恭也みたいにその両手に握り締めた剣で、そういった人たちを守るんか……」

「それとも、もっと他の何かか……。それが見つかるまで、俺が……俺たちが守ってやればいい」

「そうやね……」

二人は微笑を交わすと、そっとキスを交わす。
そう遠くない将来に実現するであろう未来を夢見ながら…………。







おわり



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