『Love dependent on the result』
〜中編〜
放課後の護身道部道場。
ここでは、生徒たちが日々練習をしている。
今日もいつものように練習をする生徒たちを見守りつつ、時々選手たちの悪い所などを指摘している唯子に、声が掛けられる。
「鷹城先生、少し良いですか」
「うん? どうしたの」
「あちらの方が先生を呼んで欲しいって」
その生徒の指差す先に、一人の女性がいた。
その女性を見て、唯子は驚いたような顔になると、そちらへと駆け足で行く。
「瞳さん! どうしたんですか」
「久し振りね、鷹城さん」
その女性は唯子の高校時代の一年上の先輩で、
高校時代には護身道の試合において三年間無敗という記録を樹立させた「秒殺の女王」こと千堂瞳その人だった。
◇◇◇
翌日の放課後。
ここ高町家では珍しい事に、この時間に桃子が家にいた。
その事に多少驚きつつも、美由希は道場へと向う。
道場で恭也と鍛練を始める前に、美由希はその事を不思議そうに尋ねてみる。
「ああ、何でも鷹城先生が来られるらしい」
「鷹城先生が? レンに何かあったの!?」
「いや、そういう訳じゃないらしい。ただ、手術後のレンの家での様子を聞きに来たらしい」
「ふーん、そうなんだ。でも、それだったら、前の家庭訪問の時みたいに恭ちゃんはいなくても良いの?」
「ああ。俺が知っている事は既に話したからな。今日はかーさんに話を聞きたいらしい」
「恭ちゃんからは、聞いたって…。ああ、ひょっとしてこの前の昼休み?」
「ああ。さあ、話はここまでだ」
恭也がそう告げると、美由希も一つ頷き、小太刀サイズの木刀を眼前に構える。
先程とは打って変わった雰囲気で向かい合う二人につられるように、道場内の空気も張り詰めたものへと変わっていく。
「どうも、こんにちは」
「いらっしゃーい、唯子ちゃ…じゃなかった、鷹城先生」
ついつい親しくしている関係で、いつものように呼びかけるが、今日は家庭訪問だった事を思い出して言い直す。
そんな桃子に笑いながら手を振り、
「良いですよ、唯子で。私もいつもみたいに桃子さんって呼びますから」
「そう。じゃあ、上がって上がって」
桃子は唯子を促がしてリビングへと案内すると、席に着いた唯子にコーヒーとシュークリームを出す。
「わー。ありがとうございます」
早速それに齧り付こうとする唯子だったが、用件を思い出してそちらを先に切り出す。
「えっと、今日伺ったのはですね、レンちゃんの事なんですけれど。
学校では大丈夫そうなんですけれど、家ではどうなのかと思いまして」
唯子の言葉に、桃子は少し考える。
「うーん。これと言って問題はないですよ。
私よりも恭也の方が詳しいかもしれませんから、ちょっと呼んできましょうか」
「ああ、高…恭也くんには先に学校で聞きましたから」
教師として話していたせいで、学校内での呼び方をしそうになり、慌てて言い直す。
別に、どちらでも呼んでも構わないのだが、つい何となく言い直してしまう。
「そうですか。それで、私から見てって事ですね」
桃子の言葉に唯子は頷く。
「そうですね。私から見てもさっきお話した通り、特に問題はないみたいですけれど」
「そうですか。それなら、良いんですよ。そろそろ、体育の時間も見学だけでは退屈かなーと思いまして」
「そうですね。家ではいつも晶ちゃんと喧嘩してるぐらいだから、
目の前で皆が運動しているのに、自分だけ見学っていうのは退屈でしょうしね」
「そうなんですよ。でも、これで分かりました。
いきなり激しい運動は流石にさせれませんけれど、少しずつレンちゃんには参加してもらう事にします」
そう言って唯子は笑みを浮かべると、お預けを喰らっていた犬のように目の前のシュークリムに目を向け、次いで桃子を見る。
「それじゃあ、教師の鷹城はここまでで」
「はい、どうぞ。ゆっくり召し上がって下さい」
それを合図に、唯子はシュークリームへと手を伸ばす。
「……うーん、いつ食べても美味しいですよ」
「そう言ってもらえると、料理人冥利に尽きるわ」
「そうそう、桃子さん。今度の休みに、あそこのデパートで婦人物のバーゲンをするそうですよ」
「え、そうなの」
二人はすっかり関係のない話で盛り上がる。
それからも色々な話をしていくうちに、いつの間にか恭也の話へと移る。
「お店を手伝っていた、あの小さな男の子があんなに大きくなって。
月日が経つのは早いですね」
「何を年寄りみたいな事を言ってるのよ。唯子ちゃんはまだまだ若いんだから」
「あははは。別にそういう意味で言った訳じゃないですよ」
「それより、学校では恭也はどんな感じなんですか?」
「うーん。あまり普段とは変わらないですよ」
「って事は、無表情のまま?」
「はい」
桃子の率直な言葉に、唯子は苦笑しつつも頷く。
それを聞き、桃子は天井を見上げて大きなため息を吐き出す。
「はぁー。顔はそんなに悪くないのに、いつもむすっとして…。
誰も怖がって近づかないんじゃないかしら」
「あははは。そんな事はないですよ。学校にファンクラブまでありますから」
「そんなのがあるんですか」
「はい。尤も、本人は気付いてませんけれどね」
そう語る唯子に、桃子が力が抜けたように答える。
「本当に、朴念仁というか…。
ただでさえ、あれだけ周りに好意を寄せる可愛い女の子たちがいるのに、それに全く気付かないなんて」
「あははは。確かにそうですよね。真一郎も結構、鈍かったけれど、それ以上ですからね」
「はぁ〜。恭也の彼女になる人は大変だわ」
「でも、恭也くんは礼儀正しい上に、優しい子ですから」
嘆く桃子に、唯子はフォローを入れておく。
そこで、何かに気付いたのか唯子は首を傾げる。
「そう言えば、恭也くん家にいるんですよね。今、どこにいるんですか、見かけませんけれど」
「ああ、今は道場の方ですよ。
何でも、最近の美由希の上達振りが凄いらしくって、ここの所は暇さえあれば鍛練してますよ」
「そう言えば、美由希ちゃんは恭也くんが教え導いてるんでしたね」
「ええ。それが士郎さんとの約束でもあり、恭也と美由希の夢ですから」
そう語る桃子は、どこか誇らしげだった。
それをぼんやりと視界に入れつつ、唯子は少し考え込む。
「うーん。…………あの、桃子さん」
「はい、何ですか?」
「二人の鍛練を覗いても良いですか?」
「えーっと、それはどうかしら。……まあ、唯子さんは知り合いだから、別に良いかな」
「ありがとうございます!」
桃子の言葉に唯子は立ち上がると、すぐに道場へと向って走っていく。
その背中を茫然と見送った後、桃子は夕食の支度に掛かるのだった。
道場内では、恭也と美由希の攻防が続いていた。
そこへ、唯子は邪魔にならないようにこっそりと中へと入る。
それに恭也が気付き、視線を唯子へと向けるが、何も言わずにその隙に向って来た美由希を迎え撃つ。
激しく動き回りながら打ち合う二人を眺めつつ、唯子は初めて見た恭也たちの動きに驚愕する。
(す、凄い。あの真雪さんが二人とも強いって言ってたから、ある程度は想像していたけれど…。
これは想像以上かも。それに、聞いた話だと恭也くんは途中で師を失って独学で学んだって言ってたけど…)
壊れかけた膝であれだけの動きを見せる恭也と、その恭也に師事してきた美由希の動きに、唯子はただ感嘆の息を漏らす。
やがて、目の前の二人は再び一定の距離を空けて向かい合う。
激しく肩で息をする美由希に対し、恭也も呼吸こそ多少乱しているものの、まだ余力が伺えた。
「美由希、夕方の鍛練は次で最後だ。出せる最高の技で来い」
恭也が話している間も隙を窺っていた美由希は、その言葉に頷くとニ刀のうち一刀を腰に差し、残る一刀を右手に構える。
構えた右手を大きく後ろへと引き、上体を倒す。
まるで、弓から放たれる矢のように。
それを見て、恭也は二刀を左右の腰へと差すと両腕を垂らす。
暫しの無言が道場内を包み込み、傍で見ている唯子にも二人の間に漂う並々ならぬ空気に息を飲む。
どのぐらい時が経っただろうか。
実際には一分にも満たない時間の中でありながら、唯子にはそれが何時間のようにも、まだ数秒しか経っていないようにも感じられる。
それでも二人から目が離せずに、じっと向かい合う二人を見詰める。
やがて、美由希が大きく踏み出す。
その速さは初速でありながら、唯子の出せる最大の速さと同等かそれ以上だった。
美由希は次の一歩で更に加速する。更に、加速。
まるで上限を知らないかのように上がり続ける速度を何とか捉えつつ、唯子は恭也がどう出るのかを見る。
あれだけの速さで向ってくる美由希に対し、恭也は未だに一歩も動かないどころか、その腕もまだ降ろしたままだった。
これでは、美由希が懐に飛び込むまでに迎え撃つことは出来ないと思われた。
二人の距離が対峙していた時の半分を超えた所で、やっと恭也が動く。
しかし、それは両手を木刀へと持っていっただけだった。
唯子が息を飲む中、まだ速度を上げる美由希は更に距離を詰めていく。
後ろへと引かれていた腕が、それまでの加速をそこに込めるかのように腰の回転や背筋の力を加えられて恭也へと突き出される。
その速さと言ったら、横で見ている唯子も辛うじて突きが出されたと分かる程度だった。
唯子はそれを見ながら、一つ断言できる事があった。
自分がアレを繰り出されたら、間違いなく身体が反応するよりも先に刃が突き刺さっているだろうと。
唯子はこの瞬間、美由希の勝利を確信した。
しかし、現実は唯子の想像とは違い、美由希が突きを繰り出した瞬間、恭也が動く。
出足は美由希よりも遅いが、美由希の繰り出した木刀目掛けて手にかけた木刀を一気に抜き放つ。
本来は抜刀術なのだろう、その攻撃は美由希以上の速さを持って美由希の持つ木刀を打ち据える。
唯子には全く捉える事の出来なかったその攻撃は、音から察するに最低でも二撃繰り出されたはず。
そのニ連撃で美由希は木刀を弾かれる。
そして、気が付いた時には、美由希は道場に仰向けに倒れていた。
そこで唯子は気付く。
木刀に二撃入ったのなら、美由希が倒れている以上三撃目があったはずだと。
つまり、恭也の攻撃は最低でも三撃。
それを殆ど一瞬のうちに繰り出していた事になる。
たまに恭也が自分に向って闘気のようなものを出して試していたのは知っていたが、こんな強さは予想外だ。
真雪さんの言った通り、二人は間違いなく強いだろう。
しかも、鷹城唯子など足元にも及ばないほどに。
そんな風に言葉をなくして驚いている唯子を余所に、恭也は最後の攻防に関して、幾つかの注意点を美由希に教えていく。
それを真剣に聞きながら、美由希はそれを頭の中でイメージしていく。
同じ過ちをしないように。
それから暫らくして、二人は唯子の元へとやって来る。
「「こんにちは、鷹城さん」」
「あ、こんにちは」
学校以外では先生と呼ばないように散々言って聞かせた結果、さん付けとなった二人に慌てて返事する。
「どうかしましたか?」
「う、うん。桃子さんに恭也くんたちが道場にいるって聞いたから」
「そうですか」
「うん。でも、二人とも凄いね。最後の恭也くんの攻撃、全然見えなかったけど、あれは三連撃なのかな?」
「違いますよ。最初の二撃で私の木刀を弾いて、残るニ撃で私が打たれました」
笑いながら答える美由希に、唯子はそっか四撃かー、と呑気に返す。
そこへ、恭也が割って入る。
「すいません。それで、鷹城さんはどうしてここに?
かーさんから聞いてというのは分かりましたが、自分達に何か用でも?」
「う、うん。えっと、二人というよりも、恭也くんにかな」
「自分にですか?」
「うん」
「とりあえず、着替えてからでも宜しいですか」
「あ、うん、勿論だよ」
恭也の言葉に頷く唯子に、リビングで待っていてもらうように言い置いて恭也たちはシャワーを浴びに戻る。
待たせるのも悪いという事で、いつもとは逆に恭也が先にシャワーを浴びて着替えを済ませる。
そして、恭也は唯子の待っているリビングへと行く。
「お待たせしました」
「ううん。ありがとうねー」
キッチンから漂ってくる良い匂いに腹を刺激されつつ、恭也は唯子の向かい側に座る。
「それで、お話というのは」
「うん、それなんだけれどね。恭也くんは瞳さんって知ってる」
「ええ、何度かその名前はお聞きしてますけど。実際に会ったことはないですね」
恭也は薫や耕介、そして目の前の唯子本人に聞いた瞳に関する話を思い出しつつそう答える。
その上で、それがと問い掛ける。
「うん。昨日、久し振りに瞳さんが風校の護身道部に来てくれたの。
何でも、今度隣の市の学校に護身道部の顧問として招かれたんだって。
それで、挨拶がてら来たって言ってたけど」
恭也は口を挟まず、唯子の話をじっと聞く。
「それで、久し振りに試合をしたんだけれど、やっぱり瞳さんは強かったよ。
って、それは良いんだっけ。えっと、本題に入るけどね、瞳さんは指導も上手なんだよ。
その学校の顧問をする前は、企業相手に指導とかもしてるぐらいで。
それで、瞳さんに指導された生徒は強くなるだろうけど、私が指導した子たちは強くなるのかなって思っちゃって」
唯子は一旦言葉を区切ると、恭也の方を見る。
それに気付き、恭也はただ無言で先を促がす。
それに頷いてから、唯子は続きを話す。
「それでね、私の指導の仕方って間違ってないかなーって。
だから、恭也くんに美由希ちゃんにどんな指導をしているの教えて欲しくって」
唯子の話を一通り聞き終え、恭也は少し考えると話し出す。
「基本的に、俺が美由希に教えているものと、鷹城さんが護身道部の皆さんに教えているものとでは違いますから、
そのやり方が間違っているかどうかは…」
「うん、それはそうなんだけど…。
恭也くんたちがやっているのは武道ではなくて武術だって言いたいんでしょう」
唯子の言葉に恭也は頷く。
「それでも、基本的な身体の作り方とかなら…」
「まあ、それぐらいなら分かるかもしれませんが、自分のやり方は独学の上に、美由希限定の物です。
美由希が、俺たちの使う御神流を振るうという条件の下での鍛練内容ですから。
他の人、ましてや護身道となると勝手が違いますよ。
それに、部の人たちからは特に何も言われてないのであれば、無理に変える必要もないのでは?」
「それはそうなんだけれど…」
どこかもどかしそうにしている唯子に恭也は更に続ける。
「それは、勝つ事を一つの目標としている人もいるかもしれませんが、鷹城さんにとっては、勝つだけが全てではないでしょう」
「うん。楽しくやってもらえる事が大事だとは思うんだよね。
でも、私の指導の仕方が正しいかどうかって疑問に思っちゃって。
そうしたら、何か不安になったって言うか…」
目に見えて落ち込む唯子を見て、途中から話を聞いていた美由希が恭也にそっと耳打ちする。
「恭ちゃん、少しぐらい…」
「しかし…」
「ほら、基本的な事なら問題ないんじゃない」
「しかし、そうなると夕方の鍛練が…」
美由希の言葉に必死で抵抗する恭也だったが、
「大丈夫だよ。夕方は一人でもちゃんとするから。元々、夕方は一人でやってたんだし。
それに、少し一人で鍛練したいしね。
ずっと一緒に鍛練していると、その時点で対策を考えられて恭ちゃんから一本取れないし」
「何を偉そうな事を。まだお前にそう簡単に一本取られる訳にはいくか」
そう言い返しつつも、そう遠くない未来に自分を追い越していくだろう弟子の頭を軽く叩く。
「はぁー、分かりました」
そう呟いた恭也の言葉に、唯子は顔を上げる。
「大して力にはなれませんけれど、鷹城さんの指導に関して幾つかアドバイス出来る事があれば、させて頂きます」
「本当!?」
「ええ。ただ、護身道に関しては素人ですから、あんまり期待しないで下さい」
「うん。ありがとう」
恭也から承諾の返事を受け取り、唯子は嬉しそうに笑みを浮かべる。
「でも、鷹城さんの指導も悪いものではないと思うんですけど…」
「そうかな〜。でも、練習メニューも少し変更したかったし、それだったら、より良い効果がある方が良いじゃない。
恭也くんが指導した美由希ちゃんの身体は、無理なく鍛えられているってフィリス先生も言ってたし。
とりあえず、明日から宜しくね。放課後、護身道部道場まで来てね」
「はい。最初はどういった感じの練習をしているのかを見学させて頂きます。
それと、護身道について簡単で良いので教えてもらえますか」
「うん、良いよ。それじゃあ、それも明日で良いかな」
「今からでも構いませんよ」
「え、でも、もうすぐ夕食の時間じゃ…」
そう言った唯子を遮るように、桃子がキッチンから声を上げる。
「唯子ちゃんも食べていってね〜。久し振りだから、桃子さん頑張って腕を振るうわよ〜」
「…と、まあ、そういう訳ですので」
「にはははは。それじゃあ、お言葉に甘えて。
それじゃあ、それまでの時間で簡単な事を説明するね」
そう言い置いて、唯子は恭也に護身道の簡単な説明を始めるのだった。
夕食後、それからも暫らく話をして、唯子は帰ることにする。
「送って行きますよ」
そう行って立ち上がる恭也を押し止める唯子だったが、結局は折れる事となる。
二人で夜道を歩いて行く道中、唯子は恭也に何かと話し掛け、恭也はただそれを黙って聞いていた。
「ごめんね。何か私ばっかり話してるね」
「いえ、鷹城さんの話は聞いていて楽しいですよ。
自分は、あまり喋るのが得意ではないので、一緒にいて相手を退屈させてはいないかと」
「にはは、そっか。でも、それはそれで良いんじゃないかな。
恭也くんと一緒にいると安心するというか、落ち着けると言うか。
多分、恭也くんの周りにいる子たちも同じように感じているはずだよ」
「そうですかね」
「うんうん。きっとそうだよ。っと、私の家はここだから」
そう言ってマンションの前で足を止めると、唯子は屈託のない笑顔を恭也へと向ける。
「送ってくれて、ありがとうね」
「いえ」
「それじゃあ、また明日」
「はい、また明日」
大きく手を振って挨拶をしてくる唯子に、恭也は苦笑しながらも返事を返す。
家の中へと入って行く唯子の背中を見遣りつつ、唯子の笑みに胸の奥に温かい物を感じる恭也だった。
つづく
<あとがき>
と、言う訳で中編をお送りします〜。
美姫 「さて、このSSのカップリングは一体、誰と誰?」
それは後編までのお楽しみに〜。
美姫 「いや、ここまで来れば大体予想が付くんだけど…」
なっ!ば、馬鹿なぁぁ!
美姫 「いや、そんなに驚く事?」
これを驚かないで、何を驚けと!
そう、例えるなら、朝起きたら突然、見知らぬ刀が顔のすぐ横に突き刺さっていたぐらい。
美姫 「よく分からない例えね、それ」
うむ、そうか?
なら、朝起きたら、突然目の前に銃を突きつけた冷ややかな目をした美しいメイドがいたぐらいに。
美姫 「色々と突っ込みたいんだけど、まず、何故メイド?」
起きて、目の前にメイドがいたら普通驚くだろう?
美姫 「いや、確かに驚くけど。そうじゃなくて、何でメイド?」
浪漫を感じないか? メイド姿の暗殺者。
美姫 「アンタ、それで浪漫を感じる訳? どっちかというと、殺伐とした雰囲気にミスマッチな物体っていう気が」
そのギャップが良いんじゃないか。
普段は強気の美少女が時折見せるか弱い所。
美姫 「いや、まあ、それは何となく分かるんだけれど、それとさっきのメイドと繋がらないというか」
ば、馬鹿なぁ!
美姫 「いや、それはもう良いって」
うむ、いい加減、俺も疲れた。
まあ、冗談はさておき…。
美姫 「冗談!? 冗談ってのは何よ。今までのは!?」
ははは。まあ、少しは本当。
とりあえず、次回の後編でお会いしましょう。
美姫 「それじゃ〜ね〜」