『リリカルIF A's 〜逆転兄妹〜 エピローグ』






防御プログラムが完全に崩壊した直後、はやてが急に眠ってしまう。
慌て急いでアースラへと収容されて検査を受ける。
結果は、破損していた闇の書の使用と魔力と体力の消耗によるものであった。
会議室で結果をエイミィから説明された一同はほっと胸を撫で下ろした。
安心したところで、リンディが今後に関する話を切り出す。

「とりあえず、はやてちゃんは何も事情を知らなかったみたいだから、
 こちらはそう重くならない、いいえ、させないわ。
 それで貴方たちの方だけれど、事情が事情だからね」

言ってリンディは少し間を置くも、そちらもまた出来るだけの事はすると約束する。
その言葉に代表してシグナムが礼を言うも、リインフォースを見る。

「防御プログラムの事だが……」

言い辛そうに告げるシグナム。
彼女の言いたい事を察し、リインフォースは頷くと現在の状況を騎士たちに説明する。

「このまま私が活動を続けていれば、遠くない未来に再び狂った防御プログラムが生成されるでしょう」

どういうことかと尋ねるクロノに、リインフォースは事情を話す。
今回切り離された防御プログラムは完全に破壊されたが、書の根元の破損は修復不能ゆえに、
再び狂った防御プログラムが作られると。
驚く一同であったが、リンディはその説明の途中で暗い表情を見せる。

「もしかして、防御プログラムを消すために自ら消えるつもり?」

それに反対する恭也とフェイト。
だが、リインフォースは静かに首を横に振る。
その周りで騎士たちは複雑な表情を見せるも、どこか嬉しそうであった。
そして、告げた本人は至って冷静に言葉を紡ぐ。

「防御プログラムはいわば反射的なプログラム、もっと言えば本能のみの存在ともいえる。
 故に理性などはなく抑えるという事がない。今回の件で、防御プログラムは初めて恐怖を抱いた。
 それも本能に刻み込まれるほどの。だからか、自ら再生しようとしていない。
 恐らく、いや間違いなく、高町なのは……さんが生存している間は私の中で眠り続けるだろう」

咄嗟に敬称をつけて原因となった人物を見るも、当の本人は初めから興味ないという態度のまま、
膝に乗せた恭也を可愛がることだけに全神経を集中させている。
シグナムが言い辛そうにした理由は、これを告げた時に暴れ出さないかという事だったのだが、
杞憂だったらしいと胸を撫で下ろし、改めてリンディにお願いする。
時間が稼げたので、修復する方法なり、防御プログラムを何とかする方法を探す手助けをして欲しいと。
それを快く了解しつつも、リンディはなのはを見遣る。
先ほどのリインフォースの言葉を思い返し、全員が何とも言えない表情を見せつつも納得する中、
その中に入らない恭也とフェイトは話を聞いて、なのはを尊敬の眼差しで見詰める。

「凄いです、なのはさん」

「やっぱり、なのはお姉ちゃんは凄いね」

訳は分からないながらも、二人に、得に恭也に褒められてなのははご満悦になる。

「何か分からないけれど、恭也に褒められるなんてもう嬉しいじゃない。
 はい、ご褒美、ん〜♪」

言って恭也に軽くキスをすると、恭也が不満そうな顔を見せる。
その事に大きなショックを抱くなのはであったが、続く恭也の言葉にすぐにご機嫌になる。

「なのはお姉ちゃんが頑張ったんだから、ご褒美は逆だよ。ん〜♪」

言って今度は恭也がなのはにキスをするのだった。
その様子を眺め、一番安堵したのはユーノであったかもしれない。
何故なら、一番なのはの傍に居たために、八つ当たりという不幸を回避できたのだから。
抱き合い姉を褒める弟と、弟の言葉に頬を緩めながら甘え、甘えさす姉。
そんな光景の中、尊敬の眼差しを向けたままなのはの隣で呟くフェイト。

「私もなのはさんみたいな素敵な人になれるかな」

「何て嬉しい事を言ってくれるのかしら。
 勿論、なれるわよ、フェイトちゃん。頑張ればね」

「はい! なのはさん目指して、頑張ります!」

「ちょっと照れるけれど嬉しいわね。どっかの妹に爪の垢でも飲ませたいわ。
 何かあったら、遠慮しないで私に相談しなさいフェイトちゃん」

フェイトの言葉に、またなのはの太鼓判を聞き、三人以外の全員の心が一つとなる。

(それだけはやめてくれ!)

勿論、それを口に出すような愚かな者は誰もいない辺り、既に充分に学習をしているようである。



こうして、後に闇の書事件と呼ばれる事となる一連の事件は幕を閉じた。
同時に、この事件はアースラが担当した前回のPT事件同様またしても新たな伝説を生んだのであった。

高町なのは伝説。
高町恭也が事件に関わり、危険な目にあう可能性がある限り、その伝説はまだまだ終わらないのかもしれない。







おわり




<あとがき>

ふー、無事に完結。
美姫 「というか、元々は短編だったのよね」
改めて、皆さんのお陰です。
美姫 「本当よね。まさかA's編までいくなんてね」
回を追うごとになのはがパワーアップ。
美姫 「いい思い出よ」
そんなこんなで、A's編も無事に終わりました。
しかし、恭也至上主義最強なのは伝説はきっとこれからも続いて行くんだろうな。
美姫 「とりあえず、ここまで読んでくださってありがとうございました」
ではでは。







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