『恭也が美由希で、美由希が恭也』






秋も深まり、朝夕めっきり冷え込み始めたとある日曜の昼下がり。
ここ、高町家では珍しく恭也がうたた寝をしていた。
それに気付いた美由希が、少し気を利かせて毛布を掛けようとしたその時、事件は起きた。
恭也は殆ど無意識に伸びてきた美由希の手を払い、その場から飛び退こうとした。
一方の美由希は、払い除けられるとは思っていなかったのか、突然の事に足を滑らす。
不幸な事とは重なるもので、恭也と美由希は仲良くお互いの頭をぶつけて意識を失うのだった。



「お兄ちゃん、お姉ちゃん。こんな所で寝ていたら風邪を引くよ」

身体を揺すられ、恭也と美由希は目を開ける。
途端、頭がズキズキと痛む事に気付き、そっと手でその個所に触れる。

「どうかしたの?」

同じ仕草をする二人に、なのはが尋ねる。
それに美由希が答える。

「うん。どうも頭が少し痛むようでな」

それに頷きつつ、今度は恭也が言う。

「うん。可笑しいな、何処かでぶつけたのかな?」

目の前の状況を見て、なのはは驚いたような顔で二人を見詰める。

「どうかしたのか、なのは」

「どうかした、なのは」

美由希、恭也は同時にそう言ってくる。
それを受け、なのはは、

「えっと、何で二人はそんな話し方をしてるの?
 何か、話し方が変なんだけど」

「「変?」」

お互いに首を傾げ、相手を見る。
そこで、恭也と美由希の動きが止まる。

「「何で、俺(私)が目の前に!」」



あの後、混乱していた二人だったが、何とか落ち着き、今はリビングでお茶を啜っている。

「つまり、頭をぶつけたショックで入れ替わったって事ですか?」

「そんな漫画みたいな事が起こるやなんて」

晶とレンの言葉に、恭也と美由希は頷く。

「ああ。そうとしか考えられん。確かに、現実的とは言い難いが、実際にこうして起こってしまった訳だしな」

そう口にするのは美由希だが、入れ替わったという事はその中身は恭也の方を見て、晶とレンも頷く。

「その話し方は師匠だ」

「うん。始めはお二人でうちらをからかっているのかと思いましたけど…」

「そんな事するはずないじゃない」

恭也、ではなく美由希が反論する。

「あ、あははは。まあ、師匠が俺らをだます為だけに、流石にそんな話し方はしないかという事で、事実と分かったんだから」

「そやで、お師匠…やのうて、美由希ちゃん。それよりも、これからどうするかやと思うんですけど」

レンはそう言って美由希(実際は恭也)の方を見る。

「……とりあえず、病院に行くしかないだろう」

「病院ですか?」

「ああ」

「まあ、フィリス先生なら何とかしてくれるかもしれませんな」

「そう願いたい。そういう訳なので、留守を頼む」

「「はい!」」

美由希(恭也)の言葉に頷く晶とレンを残し、恭也(実際は美由希)と美由希(恭也)は病院へと向う。
家を出て行くその背中を見遣りながら、レンはぽつりと零す。

「何や、お師匠たちは人智を越えたような事ばっかりで、お世話になっとるような気がするな」

「だな。今年の春に人とは思えない動き、神速だっけ?
 アレのせいで痛めた膝の治療に行ったり…」

「妖怪との戦いで雷をくろうて負った怪我でお世話になったり…」

「人を越えた機械と闘ってお世話になり…」

「挙句は、刀傷に銃による擦り傷。あまり表沙汰には出来ん傷やから」

珍しく意見が合った二人は、苦笑めいたものを浮かべつつ、
あの二人の担当医になったばかりに忙しさを増したフィリスにそっと同情するのだった。
普段は滅多に病院に行かないくせに、行ったら行ったで面倒な傷なんかをした時ばかりという現状に対して。





  ◆ ◆ ◆





「はい?今、何と言いましたか?」

事情を説明した二人に対し、フィリスが最初に発した言葉がそれだった。

「いえ、別にからかっている訳ではないんです」

「本当なんです。信じてください」

美由希(恭也)の言葉に続き、恭也(美由希)が胸の前で手を組んで潤んだような目で訴える。
それを見て、フィリスは嘘ではないと悟ると同時に、美由希(恭也)はうんざりとした顔で告げる。

「美由希、頼むからそういう事はするな。正直、気持ち悪い」

「酷いよ、恭ちゃん」

美由希(恭也)の言葉に、恭也(美由希)が反論するが、それよりも強い口調で言い返す。

「今、お前は俺の姿をしているという事を忘れるな」

「うぅ、分かってるよ。次からは気を付ける」

恭也(美由希)が頷いたのを受け、美由希(恭也)は満足そうに頷く。
二人の会話が一段落したのを見計らって、フィリスが口を出す。

「お二人が嘘を言ってないのは分かりました」

その言葉に顔を輝かせてフィリスを見る。
そこに含まれる意味を感じ取って、フィリスは慌てて手で二人を制する。

「待ってください。確かに信じましたけれど、治せるという事ではないんですから。
 それとこれとは別ですよ」

その言葉を聞き、二人は残念そうに肩を落とす。

「と、とりあえず、何か方法がないか調べてみますから。
 とりあえず、今日は幾つかの検査をしてみましょう」

フィリスの言葉に頷き、二人は検査を受ける事にする。

「…って、ちょっと待って!」

「どうした、美由希」

突然大声を出して、一同を止める恭也(美由希)に、美由希(恭也)が不思議そうに尋ねる。

「検査って事は、その、服とか脱ぐんですよね」

「そうですね。精密検査の後、触診とかも一応しておきますから」

「そ、それは駄目です。だって、恭ちゃんは今、私の身体な訳で…。
 つまり、別に私は別に良いんだけど…。そうじゃなくて、こんな風にではなくて、もっと別なシチュエーションって言うか。
 その、私は私で考えていると言うか、理想と言うか、兎も角そういった感じとは違う感じで、恭ちゃんが私の身体を…」

混乱して訳の分からないことを並べ立てる恭也(美由希)に、美由希(恭也)が言う。

「お前は何、訳の分からないことを言っている。良いから、さっさと済ませるぞ」

「だから駄目だってば!今、恭ちゃんは私の身体なんだから!
 つまり、服を脱いだら私の裸を見られるって事じゃない!」

「……」

恭也(美由希)の言葉に、美由希(恭也)は照れたように顔を背ける。
それからおもむろに言葉を発する。

「それは、お前にも言えることではないのか」

「あっ!」

何とも言えない空気が漂う中、フィリスが口を挟む。

「とりあず、診察する間は目でも閉じていれば問題はないかと思いますよ。
 ただ、すぐには元に戻れないでしょうから、当分はその身体で過ごさないといけないので……」

フィリスは後に続く言葉を気まずそうに飲み込む。
二人も言いたいことが分かったのか、何とも言えない顔をする。
しかし、どうしようもないのも事実であった。

「と、とりあえず検査をしてしまいましょう。
 後のことはお二人で相談でもしてください」

フィリスはこの件に関しては、係わらないことに決めたらしった。





  ◆ ◆ ◆





検査を終えた二人は、家へと戻ってきていた。
夕食時に桃子にも説明をしすると、あっさりと二人の言葉を信じる。
逆にあっさりとし過ぎていたため、二人が訪ね返すほどった。
それに対する桃子の反応は、

「これでも母親だからね。二人を見ればその内容にも納得がいくもの」

だった。
とりあえず、桃子への説明は思った以上にすんなりと済み、残る問題は明日から始まる学校にあった。
これは結局、お互いに相手の振りをするしかないという事で落ち着いた。
二人の交友関係が浅く狭い事が幸いし、特に問題ないだろうという事になった。
着替えに関しては、相手に目を瞑ってもらい、その間に自分で着替えさすと言うことで落ち着いた。
風呂なども同様の方法で行うこととなり、更に時間を省くため、
水着を着て一緒に入ったりする事になり、なのはは羨ましそうにしていた。
で、深夜の鍛錬の時間となり、二人はいつも通りの準備をして家を出るのだった。



「それじゃあ、少し休んだら始めるぞ」

「はい」

美由希(恭也)の言葉に頷く恭也(美由希)。
もし、この状況を誰か知人が見れば、いつもとは逆の立場の二人に首を捻ったかもしれない。

「しかし、美由希。もう少し体力をつけないといけないな」

「うぅ。でも、確かに恭ちゃんに比べたら全然駄目かも」

身体能力も当然の如く入れ代わっているため、恭也は美由希の筋肉のバランスなどを自分で実感できた。
この点のみで言えば、入れ替わった事は大いに役立つことだろう。

「しかし……。ふむ」

軽く屈伸をしたり、腕を揉んだりしながら恭也は一つ唸る。

「本当にバランスの良い筋肉の付き方をしているな。
 多少、筋肉が足りないような気もするが」

「い、嫌だよ。ムキムキのマッチョになるのは」

「当たり前だ。無駄に筋肉を付けると、その分スピードが劣るからな」

「それだけじゃないんだけどね…」

美由希(恭也)の言葉に軽く溜め息を吐きつつ恭也(美由希)は答える。
そんな恭也(美由希)に気付かず、美由希(恭也)は呟く。

「しかし、膝が故障していないというのは、こんなにも違うものなんだな」

恭也(美由希)はその言葉を聞き流し、美由希(恭也)もまたそれ以上は何も言わない。
やがアラームが鳴り、短い休憩時間の終わりを告げると、二人は無言で武器を手に向き合う。
じっと相手の様子を窺うように腰を僅かに落とし、小太刀を構える。
そしえ、二人はほぼ同時に地面を蹴ると、お互いに攻撃を繰り出すのだった。
何合目かの打ち合いの後、両者は再び距離を開けて対峙する。
と、美由希が驚いたような声を漏らす。

「うぅ〜、白いMSに初めて乗ったアム○の気持ちが良く分かる。
 ザ○とは全然違う性能だ…」

「お前はまた、訳の分からん事を…」

恭也(美由希)の漏らした言葉に、美由希(恭也)はそう返しつつも、
自らが鍛え上げた美由希のバランスの取れた身体に改めて満足気な顔になる。

「よく、ここまでバランスよく成長してくれたな」

鍛錬の途中に話すことなどなかったが、あまりの嬉しさからか、美由希(恭也)はそう言う。

「全部、恭ちゃんのお陰だよ」

「いや、実際お前はよく俺に付いてきてくれたよ」

滅多に褒めない美由希(恭也)の言葉に、恭也(美由希)は頬を緩ませるがすぐに引き締める。
美由希(恭也)は一つ頷くと、小太刀を再び構える。
そして、二人は再び鍛錬へと戻るのだった。





  ◆ ◆ ◆





翌日、学校へと向かった美由希(恭也)たちは、那美と忍、赤星にも事情を説明する。
当初は冗談と受け取っていたが、二人を見てすぐに受け入れるのだった。
そして、今下駄箱の前では、

「良い、恭ちゃん。私の席は?」

「廊下側から二列目の前から三番目だ」

「うん、そうだよ。それと話すときは出来る限り…」

「ああ、気をつける。そういうお前の方こそ」

「うん、大丈夫だよ。…じゃなかった、ああ、大丈夫だ」

「頼むぞ」

「恭ちゃん、話し方」

「今はまだ良いだろう。教室ではちゃんと努力する」

「……うぅー、不安だけれど信じるよ」

こうして二人はそれぞれの教室へと向かうのだった。



昼休みになり、美由希(恭也)たちは屋上へと来ていた。

「で、そっちはどうだった」

開口一番、美由希(恭也)が恭也(美由希)に尋ねる。

「うん…。授業がさっぱり分からなかった」

申し訳なさそうに告げる恭也(美由希)に対し、

「そうか。まあ、あまり気にするな」

慰めの言葉を掛ける美由希(恭也)。
その横から忍も口出す。

「そうそう。そんなに気にする事ないって。
 そもそも、起きて授業を受けているというだけで快挙なんだから」

「おい、忍。それでは、まるで俺が普段は寝ているみたいじゃないか」

「いつもとは言わないけれど、大体はそうじゃない」

「そんな事はない。試験前などはちゃんと起きている」

「まあまあ。でも、実際に二時間目の数学の教師は、高町が起きているという事に驚いていたぞ」

「むむ。なかなか失礼だな」

むすっとした顔をする美由希(恭也)に赤星たちも苦笑する。
それから徐に、

「しかし、事情は分かったが、こうして話していると違和感があるな」

「あ、赤星君もなんだ。実は私も違和感があるのよね。
 目を瞑っていれば、声が違うだけだからまだ何とかなるんだけれど、実際にこうして面と向かって話をすると、
 恭也の表情がころころ変わるのに、美由希ちゃんの表情があまり変化しなかったりしてね」

忍の言葉に、那美たちも頷く。

「それ、分かります。人格が入れ替わっているから仕方がないんですけれど、美由希さんの方が近寄りがたい雰囲気があって、
 逆に恭也さんの方は親しみやすさみたいなものが…。あ、普段の恭也さんが親しみがないって訳じゃないですよ」

慌てたように付け加える那美に、美由希(恭也)は苦笑しつつも分かっていますと返事する。

「それで美由希。他に変わったことはないか?」

「うん。今の所は大丈夫」

そう答える恭也(美由希)の後に、忍が言い辛そうに口を開く。

「確かに大丈夫なのかもしれないんだけれど…」

「どうかしたのか?」

「いや、なんて言うか」

忍は暫く空を見つめた後、続きを語って聞かせる。

「ほら、那美がさっき言ったように今日の恭也は近寄り易いというか、
 平たく言えば、休憩時間とかに私たちと話をしていてもよく笑顔を見せるのよね。
 それで、今まで遠巻きに見ていた生徒たちが今日に限っては偶に話しかけてきたりして…。
 おまけに、美由希ちゃんったら、それにいちいち答えるものだから……。はぁ〜」

「えっえ!だ、だって、話しかけてくるから…。それに、クラスメイトだから話ぐらいはするのかなって思って」

忍の言葉に、まずい事をしたと思った恭也(美由希)は慌てて言う。
それを落ち着かせながら、美由希(恭也)は言う。

「まあ、それは仕方がないだろ。そんなに大した問題ではない。
 それに、多少そういった事が起こるのも考慮のうちだしな」

美由希(恭也)の言葉にほっと胸を撫で下ろす恭也(美由希)。
そこに、今度は赤星が口を開く。

「確かに、少しぐらいは仕方がないんじゃないかな。
 それに、何もない所で転ぶ高町なんて貴重なものはそうそう見れないしな」

「……美由希」

「え、えへへへへへ。た、多少こういった事も考慮のうち……って訳にはいかない?」

何か言いたそうに口を開きかけた美由希(恭也)だったが、諦めたように口を閉ざす。
それを見て、むくれた様に恭也(美由希)が言う。

「む〜。だったら、恭ちゃんの方はどうだったの?ちゃんとやってたの」

「当たり前だ。なるべく人とは接しないようにしていた」

「じゃあ、授業で指された時とかは、ちゃんと私の口調で話してくれたの」

「大丈夫だ。授業中は殆ど寝ていたから」

「あ、何だ、良かった。もし、いつもの恭ちゃんの口調で話されたらどうしようとか思ったけれど、寝ていたんなら大丈……。
 って、寝てたの!?」

「ああ」

「授業中に!?」

「だから、そうだと言っているだろう」

「何て事をしてくれたの!」

「何って、だから、寝ていたと言っているだろう」

「そうじゃなくて!ああ〜〜」

恭也(美由希)は頭を抱えて叫ぶ。

「そんなに落ち込むほどの事か?たかが、一度や二度の居眠りぐらいで」

「そりゃあ、恭ちゃんみたいに毎度眠っている人には平気かも知れないけれど、私には大問題だよ」

「…失礼な。それに、最後の国語の授業はちゃんと起きていたぞ。言っただろう、殆どと。全部とは言ってない」

「うぅ〜。大して変わらないよ。そ、それで、その授業ではどうだったの?」

「うむ。最後に当てられてしまったが、多分大丈夫だったと思うぞ」

「本当に?」

疑わしそうに尋ねてくる恭也(美由希)に美由希(恭也)は自信満々で頷く。

「ああ。俳句をやっていてな、自分たちで作らされた句を読むだけだったからな。
 丁度、チャイムがなる直前に当てられたから、返事をした後に句を読んで終わりだった」

「ああー。そう言えば、そんな宿題が出てたっけ。それじゃあ、私が書いた奴をそのまま読んだだけなんだ。
 良かった、それなら大丈夫…」

「お前が作った句?何だそれは?」

恭也(美由希)の言葉に途中で、美由希(恭也)が不思議そうに聞き返す。

「え?ノートに書いてあったでしょう」

「あ、何か書いてあったな。そうか、あれを読めば良かったのか。
 てっきり前の授業の内容かと思っていた」

「それじゃあ、一体何を読んだの?」

「何って、自分で作った句だが?」

「恭ちゃんが作ったの!?」

「ああ。まさか当てられるとは思わなかったから、咄嗟に作った。
 急ごしらえにしては、まあまあだったんではないか」

どこか満足そうな表情を浮かべる美由希(恭也)に対し、逆に不安そうな顔をする恭也(美由希)。
しかし、恭也の趣味が盆栽という事を思い出し、一縷の希望に縋る。

「ち、ちなみにどんな句?」

「うむ」

美由希(恭也)は一つ頷くと、姿勢を正して読み上げる。

「占いや 裏があるのに うらがない」

途端、その場を空気が凍る。
一体、どれぐらいの時間が流れただろうか。
ゆっくりと、恭也(美由希)が動き出す。

「何、それ!本当にそんな事言ったの!?
 第一、俳句なのに季語がないじゃない!!」

「季語?何だ、それは」

「あぁぁぁ。国語は得意科目だったのにぃぃ」

「何気に失礼な奴だな。この句は、この“や”がポイントなんだぞ。
 わざわざ、“は”にしなかった所が…」

「うぅ〜、そんな事どうでも良いよ。
 それより、先生は何か言ってなかった?」

悲壮ささえ漂わせつつ、恭也(美由希)が尋ねてくる。
それに対し、美由希(恭也)は答える。

「それがな、暫く何も言わずに立ち尽くした後、やっと何かを言おうとしたところでチャイムがなってな。
 急いで片付けて授業を終わらせると、教室を出ていった」

「多分、何も言葉が見つからなかったのよ」

「あ、ああ。そうだろうな。で、チャイムに救われたって所じゃないかな」

忍と赤星がこそこそと話しているのにも気付かず、美由希(恭也)は恭也(美由希)へと報告を終える。

「恭ちゃんの馬鹿ー!何で、そんな事を言うのよ」

「そんな事とは何だ!そんな事とは。
 その授業以外は寝てしまったから、せめて午前中最後の授業だけはと頑張って起きていた兄に対して」

「そんな事なら、大人しく寝ててくれた方がましだよ」

「何だと。だったら、俺も言わせて貰うが、何もない所で転ぶな」

「あ、あれは不可抗力だもん。わざと変な句を読んだ恭ちゃんとは違うもん」

「わざと、とは何だ。それに、変な句とは何だ!変な句とは」

「変は変だもん!」

「何もない所で転ぶ奴よりも、変ではないわ!」

珍しく口げんかをする二人を、忍たちは呆れた目で見つめていた。
その目はこう語っていた。

「どっちもどっちだよ」、と。







おわり




<あとがき>

人格入れ替わりのお話〜。
美姫 「お馬鹿なSSね」
あっはっはっは。
美姫 「所で、この後二人は元に戻れたの?」
さあ?そこまでは知らな〜い。
美姫 「な、何ていい加減な」
にはははは。
美姫 「はぁー。それはそうと、短編は久しぶりじゃない?」
うーん。そうなのかな?
よく覚えてないな。でも、そう言われてみると…。
美姫 「まあ、どっちでも良いか。私としては、ちゃんと書いてくれれば」
分かってるって。
美姫 「本当に〜?」
も、勿論だよ。あ、そろそろ時間もないことだし…。
美姫 「はいはい。今回はこの辺で勘弁しておいてあげるわよ」
おお、ありがとうごぜいますだ〜。
美姫 「はいはい。それじゃあ、皆さんまたね〜」





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