『リリカル恭也&なのは』






外伝2 とんでもない一日






今日も今日とてお茶とお茶請けを用意して縁側に座る恭也。
お茶を手にして口元へと運ぼうとして、目の前に突然現れる影一つ。
突然の出来事に驚くも、目の前に現れた人物を見て溜め息を零す。

「なのは、幾ら今は家に誰も居ないとは言え、いきなり庭先に転移してくるのはどうかと思うぞ」

「それどころじゃないの、お兄ちゃん! 急いで来て!」

恭也の小言を流し、なのはは慌てた様子で恭也の手を取る。

「エイミィさん、お願いします!」

「ちょっと待て、事情を説め……」

恭也の言葉は最後まで発せられる事無く、言葉の途中でエイミィによってアースラへと転移させられるのだった。



 ∬ ∬ ∬



アースラに辿り着いた恭也は、艦長室へと連れてこられた。
目の前に居るのは、艦長であるリンディとその息子にして執務官のクロノ。
そして、ここまで恭也を引っ張って連れて来たなのはである。

「一体何があったんですか」

流石にただ事ではないと察して恭也が問い掛けるも、リンディは少し待つように告げる。
言われるままに大人しく待つ事数分、扉の向こうからアルフの声とフェイトの声が聞こえてくる。

「ほら、フェイト早く」

「…………その」

「もう、ほら!」

強引にアルフが引っ張る形で現れた二人を見て、恭也は挨拶しようとするも違和感を感じて首を傾げる。

「……フェイト?」

その違和感とは、扉の向こうで顔だけを出してこちらを見ているフェイトの態度であった。
全員を警戒するように部屋の中を伺い、誰かと目が合うとすぐに廊下へと顔を引っ込める。
人見知りのとても激しい子のような態度に、恭也の視線がリンディへと向かう。

「ちょっとした事故で記憶を失ってしまったのよ。
 しかも、それだけじゃなくて人見知りがとても激しくなっているみたいで。
 アルフさんにさえ懐かなくて、どうしようかと困っているのよ」

「幸い、記憶を戻す方法はあるですが、少なくとも一週間は掛かるんです」

大体の事情を察したが、何故自分が呼ばれたのか分からないと首を傾げる。

「高町さんの所で預かってもらえないかしら。
 アースラだと局員も多くて人見知りが激しくなったフェイトさんには辛いだろうから」

「それなら寧ろ、部屋に閉じ篭っている方が良いのでは?」

「それも一つの手段なんだけれどね。その場合、もし部屋に鍵とかを掛けられると誰も入れなくなるでしょう。
 そうすると、食事をちゃんと取ってくれたかとか、色々と不安があるのよ」

「僕と艦長はフェイトを元に戻すためにちょっと忙しくなりそうだから、常に顔を出す訳にもいかないんです。
 そうなると、後を頼めるのは……」

クロノの説明と、縋るような視線を投げるアルフに、恭也はフェイトを預かる事を引き受ける。

「ありがとう恭也! あたしにまでよそよそしくてさ、困ってたんだよ」

礼を口にしてすぐ、アルフは悲しそうに耳を伏せる。
アルフの心情を察しながら、恭也は警戒するようにこちらを見ているフェイトへと手を伸ばす。

「怖くないからこっちにおいで」

そう手招きをする恭也を暫くじっと見つめた後、フェイトは恐る恐るといった感じでゆっくりと近づいてくる。
その事に周りが驚きの声を上げた途端、フェイトは怯えるように身体を一度大きく震えさせ、扉の付近まで後退さる。
リンディたちが申し訳なさそうな表情を見せる中、恭也はもう一度フェイトへと呼び掛ける。
先ほどよりも警戒しながらも、フェイトは恭也へと近づく。
手を伸ばせば届く距離にフェイトが近付くと、恭也は怖がらせないように殊更、ゆっくりと手を伸ばす。
伸びてきた手に再び身体を震わせるも、ゆっくりと敵意もなく近づいてくる手に逃げるまではいかない。
やがて恭也の手がフェイトの頭に触れ、優しく撫で上げる。
初めは嫌がるように頭を振っていたが、やがてくすぐったそうに身体を揺らし、とうとう気持ち良さそうに目を細めて大人しくなる。
どこからどう見ても懐いている風に見えるフェイトに、リンディは多少の驚きと安堵を覗かせる。

「あらら、何か知らないけれど恭也さんには懐いているみたいね。
 それならば尚のこと、暫くお願いね?」

「はい」

改めてそう口にした恭也の服の袖がくいくいと引っ張られる。
見ればフェイトが少し不満そうな表情で恭也の袖を引っ張っていた。
恭也が自分に気付いたのを見て、袖をを握り締めたまま見上げる。
その目は何かをおねだりしているようで、恭也は自然と降ろしていた手をフェイトの頭へともう一度伸ばす。
そのまま髪を梳うように優しく撫でてやると、正解と言わんばかりにフェイトは目を細めて甘えるように小さく鼻を鳴らす。

「はぁぁ〜」

甘い吐息と共に気持ち良さそうな声を漏らすフェイトを見て、恭也はうずうずとし出す。
そわそわする態度に気付いたのか、フェイトは上目遣いで恭也を見上げ、ちょこんと首を傾げる。
そんなのを見せられ、恭也はうずうずしていた手を耳に持っていくと、くすぐるように撫でる。
頭を撫でていた手は喉元へ。こちらもくすぐるように軽く触れる。
フェイトはこそばゆいのか、軽く身じろぎをするも逃げる素振りは見せずに恭也の手を受け入れる。

「ん〜〜」

むしろ自分から身体を動かし、気持ち良い場所に恭也の指が当たるようにさえしている。
そんなフェイトを見て、その場に居た誰もがとある動物を思い浮かべたのだが勿論、口にはしない。
更になのはなどは、恭也にだけ懐いたという事実もあり、余計にその気持ちが強かったりするのだった。



 ∬ ∬ ∬



フェイトのお泊り許可があっさりと降りるのは、流石は高町家といった所だろうか。
ただ恭也としては困った事態となっていて……。

「あー、フェイト?」

恭也は自分の足の上に座るフェイトへと困ったような顔をする。
退けようと手を伸ばせば、それが分かるのか悲しげに眉を寄せ、恭也の胸元を握り締める。
故に力尽くでどうこう出来ずに居るのだが……。

「恭ちゃん、楽しそうだね」

「師匠、流石に食事時にそれは……」

「フェイトちゃんが相手でも私としては構わないんだけれど、流石にそうなると三十代で孫を抱くのは無理よね〜」

家族の視線がとても痛い。
事情を知っているなのはの視線まで、突き刺さるように鋭いのは何故なのだろうか。
恭也は真剣に悩み首を傾げるも、現状をどうする事も出来ずになのはに助けを求める。
だが、なのははぷいと目を逸らし、

「知りません」

冷たくあしらう。
そんな視線に多少びくつきつつ、フェイトはちまちまと食事をしていく。
拷問のような状況の中、恭也はさっさと食事を済ませるもフェイトが終わるまで動けないのであった。



片時も離れようとしないフェイトであったが、なのはには多少懐き始めたのか、
食後に寛ぐ恭也の膝の上で、フェイトはなのはの手を掴む。
その事に喜びを表し、フェイトに抱き付くなのは。
一見すれば仲の良い兄妹たちの団欒であろう。
尤も、その兄がとても疲れた顔をしていなければだが。
また、もう一人。その光景を見て落ち込む少女がいた。

「う、うぅぅ、私は要らない妹なんだ……」

「わぁぁ、美由希ちゃん落ち着いて。お師匠も悪気がある訳やないみたいですし。
 それにフェイトちゃんは記憶を無くしてるんやから」

夕食の時に、周りの視線に耐えれなくなった恭也から記憶をなくした事だけを聞いたレンが落ち込む美由希を慰める。
それに呼応するように、晶もまた元気付けようとする。

「そうだよ、美由希ちゃん。
 決して、師匠は美由希ちゃんをないがしろにしている訳じゃ……訳じゃ……ないよな?」

「うわぁぁ〜、やっぱりないがしろにされているんだ!」

「このアホゥ。そこでそないな風に聞いたら、逆効果やろう!」

「ぐっ、確かに今のは悪かったよ。って、美由希ちゃんが床にのの字を書き始めたぞ」

「と、とりあえず慰めるんや!」

「お、おう!」

必死に美由希を慰めるレンと晶。
そんなやり取りを眺めながら、恭也は何をやっているんだと呆れたように溜め息を漏らす。
美由希をからかうつもりであったが、流石に今の美由希に止めを刺す真似はやめてやろうと考える。
そこへ桃子の声が。

「フェイトちゃん、お風呂できたから入ってらっしゃい」

「一緒に入ろう、フェイトちゃん」

なのはがフェイトに手を伸ばすも、フェイトは恭也の上から動こうとしない。
寧ろ、恭也の腕を掴んで一緒に連れて行こうとする。

「い、いやいや、俺は後で良いから、なのはと入っておいで」

恭也の言葉が理解できたのか、嫌々をするように首を横に振るともう一度恭也を見上げる。

「あー、……かーさん、笑ってないで何とかしてくれ」

「良いじゃない、一緒に入ったら」

「あのな……」

前に一度入った事はあるのだが、それは当然ながら口にせずに恭也は軽く睨み付ける。
それをあっさりと受け流し、桃子は恭也の肩に手を置いて満面の笑みを見せる。

「大丈夫よ、恭也。かーさんは恭也のことを信じているから」

「そういう問題じゃないだろう。と言うか、思い切り楽しんでいるな」

「そんな事ないわよ。桃子さんは、もうすぐ孫が抱けると信じているだけよ♪」

「どっちの方に信用している、高町母よ」

流石に低い声で問われ、桃子は引き攣った笑顔で後退る。

「あ、あははは、冗談よ、冗談。まあ、入るのは入ってもらわないといけないんだけれどね。
 フェイトちゃんだって、お風呂に入らないなんて嫌だろうし」

「まあ、そうだろうな。という訳で、なのは」

「なに、お兄ちゃん」

「後は任せた」

言ってやや強引にフェイトを引き離すも、すぐに恭也の足の上に戻ってきて、がしっと腰に腕を回す。

「フェイト、ほら良い子だから。怖くない、怖くないぞ」

引き離そうとするも、フェイトはがっしりと腰の後ろに回した腕を組んでより強く抱き付く。
それを見てなのはが仕方ないとばかりに解決案を出す。

「それじゃあ、お兄ちゃんには外で待っててもらおう」

「むぅ、それぐらいなら」

言って立ち上がろうとするも、フェイトは警戒するようにやはり恭也に抱きついたままである。
仕方ないとばかりにフェイトの襟首を摘んで持ち上げ、腰に抱きつかれたままで移動する。
そんな恭也の背中になのはが飛び乗る。

「なのはまで何をする」

「フェイトちゃんばっかりずるい」

「ずるいと言われても……」

「ずるい」

「はぁ、好きにしろ」

何を言っても無駄だと悟り、恭也は大人しくなのはを背中に背負い風呂場へと向かう。
が、外で待つと言っても聞かず、フェイトは全然離れようとしない。
仕方なく脱衣場に一緒に入り、とりあえずは背中を向ける。

「それじゃあ、俺はここに居るからゆっくりと入ってくるといい」

背中を向けながらそう告げる恭也へと背中から抱き付くのは、言うまでもなくフェイトである。
フェイトは嫌々と恭也の身体を揺する。

「お兄ちゃんも一緒に入ったら」

「……それしかないのか、なのは」

縋るような声にしかし、なのはは非常にもきっぱりと告げる。

「ないと思うよ。それにタオル巻いているし……」

「……ぐっ。仕方ない」

相当に葛藤した挙句、とうとう恭也は観念して二人に背を向けて服を脱ぎ出す。
脱ぎ出すのだが、その途中で動きを止めて後ろを振り返る。

「あー、二人とも……」

「はにゃにゃっ。ご、ごめんお兄ちゃん。ほら、フェイトちゃんもあっち向いてよう」

逃げないかじっと恭也を見詰めてくるフェイトに、逃げないと約束をするとようやくフェイトも後ろを向いてくれる。
ようやく安心して服を脱ぎつつ、恭也は何でこうなったんだろうと思わずにはいられない。
悟りを開くつもりで心を平坦にし、なのはたちと一緒の風呂に入る。
一人で頭を洗うのが苦手なフェイトを洗ってやりながら、湯船からじっと見詰めてくるなのはへと視線を向ける。

「どうかしたのか、なのは」

「ううん、何でもないよ。えっと、後でなのはも洗って欲しいかな」

そうおねだりしてくるなのはに、フェイトを洗っている以上断る事も出来ずに、恭也は仕方ないと引き受ける。
一人でも洗えるのに子供かとからかおうとするも、ご機嫌な様子で鼻歌を歌いながら待つなのはを見て、
その言葉を飲み込むのだった。
こうして二人の頭を洗い、ようやく自分の身体をと言う所でなのはとフェイトの二人が背後に立つ。

「お礼にお兄ちゃんの背中を洗ってあげます」

なのはの言葉にフェイトもコクコクと頷き、二人は泡立てたタオルで恭也の背中を洗い始める。
返事をする間もなく洗い始めた二人に、恭也は何も言わずに大人しく洗われる。
その後、三人で湯船にゆっくりと浸かる。



 ∬ ∬ ∬



当然ながら、フェイトは布団にまで付いて来ようとする
既に反対するだけ無駄だと悟っているのか、恭也は何も言わずにもう一組の布団を隣にひいてやる。
そこにフェイトを寝かせ、いざ鍛錬と部屋を出ようとすれば、フェイトもまた付いて来る。

「……困ったな。鍛錬に付いて来る事自体はそう問題ではないんだが」

深夜に連れ回すという点と、暗器などが見学しているフェイトへと飛んでいかないとも限らないという点。
この二点が問題となっているのである。
これが普段のフェイトなら、魔法があるために少なくとも後者に関してはそこまで気にはしないのだが。

「留守番……」

そう言いくるめようとするも、フェイトは既に首を横へと振って嫌々とする。
仕方ないと恭也は肩を竦め、今日から一週間の鍛錬を道場での室内鍛錬へと変更する。

「室内という限られた空間で剣のみを用いた鍛錬に変更する」

美由希へとそう告げ、その分、朝の鍛錬に少し力を入れるようにメニューを組み替えるのだった。



道場での鍛錬を終えて戻ろうとした恭也は、道場で丸くなって眠っているフェイトに苦笑を漏らす。
とりあえずは布団に寝かせようと抱き上げると、起こしてしまったのか薄っすらと目を開ける。
まだ寝ぼけているようなので、そのまま寝ていても良いと声を掛けてまずはフェイトを運んでやる。
布団にフェイトを寝かせ、シャワーを浴びるために部屋を出ようとした恭也の裾をフェイトが掴む。
寝ぼけ眼でありながら、恭也に付いて来ようとするフェイトにすぐ戻ると言い聞かせるも、
やはり手を離す様子はなく、仕方なく恭也はフェイトを抱いてリビングへと向かう。
シャワーを終えた美由希が恭也とフェイトを見て、正確には掴まれたその手を見て苦笑を見せる。

「本当に懐かれてるね」

「みたいだな。犬や猫などの動物にはよく懐かれるが、子供に懐かれたのは初めてかもしれん」

「まあ、普通の子は恭ちゃんの仏頂面を見たら怖がるだろうしね」

「煩い」

「まあまあ。でも、ちゃんと付き合えば恭ちゃんが優しいってのはすぐに分かるからね。
 だから、フェイトちゃん記憶は無くしていても何処かでそれを覚えているんだよ、きっと」

そう言ってフェイトを見詰める美由希の眼差しは優しく、寝ぼけ眼のフェイトの頭を軽く撫でてやる。
くすぐったそうに首を傾げつつも、美由希の手を受け入れるフェイト。

「フェイトちゃん、恭ちゃんはちょっと席を外すからその間、私と待ってよう」

言って恭也からフェイトを受け取る。
ひょっとしたら嫌がって抵抗するかもと思っていたが、意外にもフェイトは美由希に大人しく抱かれる。
眠くてそんな力がないのか、それとも美由希にも懐き始めているのか。
とろんと眠そうな目を擦りつつ、フェイトは美由希の腕の中でもぞもぞと動き、
ようやく気に入った位置を確保すると大人しくなる。
それを見て恭也は美由希に後を任せて、さっさと風呂場へと向かう事にした。



風呂場から戻り、意外にも大人しくしているフェイトを見て、

「そのまま美由希と一緒に寝る方が良いんじゃないか」

そう言った途端、フェイトは美由希の腕から飛び降りて恭也の足に抱き付く。

「あらら、やっぱり私より恭ちゃんの方が良いみたいだね」

美由希の言葉にこくこくと何度も頷き、捨てないでというように潤んだ瞳で縋り付いて来る。
何故か多少の罪悪感を感じつつ、恭也がフェイトを抱き上げてやると、嬉しそうに擦り寄ってくる。

「それじゃあ、寝るか」

「そうだね。お休み、恭ちゃん、フェイトちゃん」

二人に挨拶すると、美由希は自分の部屋へと向かう。
その後に続くようにリビングを出て、恭也も部屋へと向かう。
と、その部屋の前に一つの影。

「……なのは、何をしているんだ」

「にゃっ! お、お兄ちゃん? び、びっくりさせないで」

「びっくりも何も、俺は普通に自分の部屋に戻ってきただけなんだが?」

「うにゅ、それはそうなんだけれど」

「それで何の用だ?」

「えっと、フェイトちゃんが気になって……」

言いつつ、なのはは恭也の腕の中で既に寝息をたて始めているフェイトを見遣る。

「もう寝てるみたいだね」

「ああ、いつの間に。と、なのは、丁度良いからそこを開けてくれ」

「あ、うん」

なのはに開けてもらい部屋に入ると、恭也はフェイトを布団に寝かせようとする。
だが、フェイトは眠りながら恭也の服を掴んでいるらしく、しかも意外としっかりと握っていて離せない。

「……はぁ、仕方ないか」

恭也は口にしたように仕方ないとばかりに自分の布団へとフェイトを寝かせ、そのまま隣に横になる。

「むー、お兄ちゃん」

「仕方ないだろう。無理矢理に引き離す事も出来ないし」

「それはそうだけれど。……なのはも今日は一緒に寝る」

何を言っていると言おうとして、恭也はその言葉を飲み込む。
何処か拗ねたような顔をしているなのはを正面から見詰め、
恭也はフェイトが寝ているのと逆側の掛け布団を少しだけ持ち上げる。
反対されるかと思って身構えていたなのはは、その行動にきょとんとした表情を見せる。

「どうした、寝るのなら早くしろ。それとも、やっぱり部屋に戻るか?」

その恭也の言葉に弾かれたように動き出し、気が変わらないうちにとばかりに布団に潜り込む。

「えへへへ、ありがとうお兄ちゃん」

「いや。それよりも早く寝ろ」

「うん。おやすみなさい」

「ああ、お休み」

フェイトと同じように擦り寄ってくるなのはの頭を二三度撫でてやり、恭也もまた目を閉じる。
色々あって疲れたが、まあこんな一日があっても悪くはないかと。
ただ、せめてもう少し、後少しで良いから、明日からはもうちょっと穏便でありますようにと祈りながら。



翌日、眠る二人を残して早朝の鍛錬に出かけた恭也が帰ってきて見たものは、
恭也を探して部屋中を走り回るフェイトと、そんな騒ぎにも動じずに眠り続けるなのはの二人であったとか。





おわり、なの




<あとがき>

前回同様、時間軸無視の普通ではあり得ない出来事。
美姫 「これまた本編とは関係なしなのね」
おう。これまたフェイト分補給用。
美姫 「前回の猫化フェイトに続き、今回は更に悪化?」
悪化ではない、進化だ!
美姫 「……」
この後、無事に記憶は戻るんだが、当初の予定ではこの一週間の事は覚えていないと推測されていた。
しかし、それに反してフェイトはしっかりとそれを覚えており、
暫くは恭也を見て赤面するといった場面が見受けられるのである。
何ていうおまけ的なお話まで考がえていたけれど、本編では省略してここで曝露。
美姫 「はいはい。これでリリ恭なのは本当にお終いね」
まあ、お終いも何も外伝は先も言ったように本編の設定のみを借りた別のお話みたいなもんだし。
美姫 「それもそうね」
そんな訳で、後一本だけ外伝を書く予定だ。
美姫 「またしてもフェイトが猫化したりするのかしら?」
それはお楽しみという事で。
それでは、次の外伝で。
美姫 「まったね〜」







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