『とらハ学園』






第8話





三角学園へと続く道を数人の生徒が歩いている。

【耕 介】 
「ったく、あっさり見捨てて行きやがって」

【知 佳】
 「あ、あはははは、ごめんねお兄ちゃん」

【 リスティ 】 
「それは仕方がないよ耕介。変に口を出して自分ら危険に飛び込むなんて真似できないだろ」

【耕 介】
 「それはそうなんだが……」

【 シェリー 】
 「それよりも何事も無くてよかったじゃない」

【美 緒】
 「シェリーの言う通りなのだ。良かった、良かった」

【みなみ】
 「うぅ〜、わたしの朝ご飯が〜」

【ゆうひ】 
「なんや、みなみちゃん。まだそんな事を言うてんのか?」

【みなみ】 
「そんな事じゃないですよ〜」

【耕 介】 
「まあまあ、今日は早く終わる事だし少しの辛抱だよ」

【みなみ】
 「分かりました〜」

【 リスティ 】 
「そういえば……、ねえ耕介。雪はどうしたんだ?朝も見かけなかったけど」

【耕 介】
 「ああ、雪ちゃんなら先に行ったよ」

【 シェリー 】
 「随分と早いですね」

【 リスティ 】
 「ははーん、なるほどね」

【知 佳】
 「リスティ何か分かったの?」

【 リスティ 】
 「まあね」

【 シェリー 】
 「何々、教えて」

尋ねてくるシェリーの前にリスティは手のひらを差し出す。

【 シェリー 】
 「何、この手は?」

【 リスティ 】
 「シェリー、今は情報だってただじゃないんだよ」

【 シェリー 】
 「馬鹿な事を行ってないで早く言いなさいよ」

シェリーはリスティの手を叩きながら言葉の続きを促す。

【 リスティ 】
 「っつぅー、乱暴な妹だな。まあ、今回はただで教えてやるか。じゃあ、ヒント1」

【知 佳】 
「ヒントって、教えてくれるんじゃないのリスティ?」

リスティの言葉に耳を傾けていた知佳がシェリーよりも早く突っ込みを入れる。

【 リスティ 】
 「素直に教えたら面白くないだろ」

そう言って含みのある笑みを浮かべるリスティを見て、全員が一つの事を同時に思い、
それを代表するかのように知佳がぼそりと言葉を零す。


【知 佳】 
「……何か最近、益々お姉ちゃんに似てきたよね」

【耕 介】
 「でも、それを言うなら結構、前からだと思うぞ俺は」

【ゆうひ】
 「うんうん。うちも耕介くんの意見に賛成や」

【 シェリー 】
 「確かにそうですよね。私とより真雪さんとの方が姉妹っぽいですし」

【美 緒】
 「確かにそっくりなのだ。すぐに騒ぎを起こすくせに何かあったらすぐに知らん顔をする所なんて」

【 リスティ 】
 「皆、言いたい放題、言ってくれるね」

【みなみ】
 「あ、で、でも、それを言ったら知佳ちゃんとシェリーやフィリスも似てるよね」

【耕 介】
 「そ、そうだな。ま、まあ、お互いに姉がああだから自然と妹がこうなったって所なんじゃないかな」

【知 佳】
 「お兄ちゃん、それフォローになってないよ」

【理 恵】
 「つまり、真雪さんを反面教師にして知佳ちゃんが育ち、真雪さんを模範教師としてリスティちゃんが育ったと。
       そして、そのリスティちゃんを反面教師にして、これまたシェリーちゃんとフィリスちゃんが育ったって事ですわね」

【知 佳】
 「あ、理恵ちゃんおはよー」

【理 恵】
 「おはようございます知佳ちゃん」

突然現れ話始めた理恵に誰も驚かず、普通に挨拶を交わす。

【理 恵】
 「所でリスティちゃん、ヒント1は何ですの」

理恵の登場に気勢をそがれる形となったリスティは話を元に戻す。

【 リスティ 】
 「はぁー、いいかい、まずはヒント1」

そう言って、人差し指を一本立てる。

【 リスティ 】
 「僕らと同じ時間に出ると結構、ぎりぎりの時間に学校に着いてしまう」

全員が何を今更と言った感じで首を傾げる。

【耕 介】 
「それがどうしたんだ?」

【 リスティ 】 
「じゃあ、ヒント2」

そう言って、リスティは立てていた人差し指に加えて、中指も付け足す。

【 リスティ 】 
「今まで僕たちと同じようにぎりぎりに来ていた奴が最近、余裕を持って来ている」

【耕 介】
 「誰の事だ?」

【知 佳】
 「………あ、真一郎さんの事かな?」

【耕 介】
 「ああ、確かに真一郎の奴、最近俺より先に来てるな」

【みなみ】
 「確かざからさんのおかげだよね」

【美 緒】
 「本人はざからのせいと言ってたのだ」

【理 恵】
 「ああ、それでですか」

【ゆうひ】
 「なるほどやな。ライバルが多いし、少しでも多くの時間を一緒にいたいという乙女心やね」

全員が納得顔で頷く。

【耕 介】
 「つまり雪ちゃんは真一郎に会うために早く出たって事か」

【 リスティ 】 
「多分ね。でも間違いはないと思うけどね」

耕介の問いかけにリスティは自信を持って答える。

【耕 介】 
「ふーん。しかし、真一郎といい恭也といい、よくもてる奴らだな」

【全員】
『………………』

【耕 介】 
「どうしたんだ?皆して変な顔して」

【知 佳】 
「な、何でもないよお兄ちゃん」

【 リスティ 】 
「そうそう。知らぬは本人ばかりって事さ」

【ゆうひ】 
「何でうちらの周りにおる男子は程度の差こそあれ、全員鈍感なんやろな」

【 リスティ 】
 「それは言えてるね」

【耕 介】 
「まあ、確かに恭也はかなり鈍感だからな」

そう言って笑う耕介を全員が溜め息を吐きながら見つめていた。



それから他愛もない話をしながら歩いていると、前方から二人の女性が歩いてくる。
二人はこちらに気付くと少し駆け足で近づいてきて、挨拶を交わす。

【 フィリス 】
 「おはようございます耕介さん」

【 望 】 
「おはようございます」

【耕 介】
 「ああ、おはよう」

【美 緒】
 「望、おはようなのだ!」

【 望 】
 「美緒ちゃん、おはよう」

そんなやり取りをしながらも何事もなく学校へと到着する。

【美 緒】
 「とうつき〜、なのだー」

【耕 介】
 「美緒、そんなどこかの田舎の女子高生みたいな事を言ってないで、さっさと行くぞ」

【美 緒】 
「あ、待つのだ〜」

耕介たちは張り出されているクラス分けを見る。

【耕 介】
 「お、俺はGだな。恭也や真一郎も一緒みたいだな」

【知 佳】
 「お兄ちゃん、恭也くんと一緒のクラスなの?」

【耕 介】 
「ああ。まあ、あいつらと一緒って事は退屈はしないだろうな。で、知佳たちはどのクラスだ?」

【理 恵】 
「私と知佳ちゃん、みなみちゃんは一緒のクラスですわ」

【みなみ】
 「はい、知佳ちゃん、理恵ちゃんと一緒です」

【耕 介】 
「三人ともか。それは凄いな」

【知 佳】 
「お兄ちゃんも一緒じゃない」

【耕 介】 
「ちょっと違うぞ。勇吾も一緒だから、4人だ」

【理 恵】
 「それもまた、凄いですわね」

【耕 介】
 「確かにね」

【美 緒】
 「あたしと望も一緒のクラスなのだ」

【耕 介】 
「へぇ〜。結構、凄い偶然だな」

【知 佳】
 「何か仕組まれているみたいだね」

【耕 介】 
「ははは、確かにな。って、事はリスティたち姉妹も全員同じクラスかな」

【 リスティ 】
 「残念ながら、そうじゃないみたいだね」

【理 恵】
「そうなんですか?」

【 フィリス 】
 「はい、私たち姉妹は全員ばらばらです」

【 シェリー 】
 「でも、これで一日中リスティの事に頭を悩まさずに済みそうです」

【 フィリス 】
 「シェリー、それは無理よ。姿が見えなきゃ見えないで何かやらかしてないか不安になるもの」

【 シェリー 】 
「それは言えてる」

【 リスティ 】
 「中々、言ってくれるね」

【耕 介】
 「は、ははは。まあまあ、それよりも教室に行かないとな」

耕介の仲介に頷き、教室へと向おうとする。
そこで、耕介はさっきからずっと黙ってクラス分けの張り紙を見ているゆうひに声をかける。

【耕 介】
 「おい、ゆうひ。急がなくても良いのか?」

【ゆうひ】
 「それどころやないで耕介くん。大変や」

【耕 介】
 「一体、どうしたんだ?」

【ゆうひ】 
「何落ち着いてるねん。こんな一大事に」

【耕 介】 
「だから、一体何があったんだよ」

【ゆうひ】
 「う、うちの………」

【耕 介】 
「うちの?」

【ゆうひ】 
「うちの名前がどこにもあらへん」

【耕 介】 
「な、何ぃぃ!見落としていないのか!」

【ゆうひ】
 「いんや、全部隅から隅まで見たけどない!」

【耕 介】
 「留年か……」

【ゆうひ】
 「そ、そんな〜。で、でも留年でも名前ぐらいはあると思うで〜」

【耕 介】 
「そうか!分かったぞ。ゆうひ、SEENAで探してみろ」

【ゆうひ】
 「おお、そうやな。そっちの名前でならあるかも………」

【耕 介】
 「………………」

【ゆうひ】
 「………………」

【耕 介】
 「………って、いい加減誰か止めてくれよ」

【ゆうひ】
 「そうやで、このままやったら、うちら遅刻してしまうやないか」

【知 佳】
 「いや、何か楽しそうだったし」

【みなみ】
 「邪魔したら悪いかな〜って」

【 リスティ 】
 「馬鹿な事してないで、さっさと行くよ」

リスティの言葉を合図に全員が歩き出す。
それを見て、耕介とゆうひは大人しく返事をする。

【耕介&ゆうひ】
 『はい……』

二人はリスティたちに着いて校舎へと歩き出す。

【耕 介】 
「って、お前は大学部だろうが!」

【ゆうひ】
 「おお、そうやった」

耕介のジェスチャーを伴う突っ込みに満足げに笑みを浮かべるとゆうひは大学部へと向う。

【 シェリー 】 
「朝から元気ですね」

【耕 介】
 「まあ、慣れみたいなものだしな」

【 フィリス 】
 「そういうものなんですか?」

【耕 介】
 「ああ」

短く答えると耕介は先に校舎へと入って行く。
その後に続くようにフィリスたちも入っていった。







つづく




<あとがき>

と、言う訳で少し書き方を変えてお届けしたとらハ学園第8話でした。
うーん、どっちの方がいいかな?
美姫 「こっちの方が分かりやすいわね」
でも、こっちだと手間が掛かる。
美姫 「そんなの知らないわよ。それは浩が苦労すれば済むことだし」
それもそうだな。
当分は、こっちで書いてみるか。
美姫 「他にもこんな風にしたら見やすいとかあれば、どんどん教えて下さいね♪」
じゃあ、今回はこの辺で。
美姫 「ばいばーい♪」







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