『とらハ学園』






第12話





三角学園の校門前、既にチャイムも鳴り終った頃、ちらほらと学生ではない人たちの姿が見え始める。
彼らは皆、体育館を目指して歩いていく。
今日、入学式を迎える中等部、高等部の親御さんたちであった。
そんな中に、彼らの姿もあった。

【静馬】
「美沙斗、時間はまだ大丈夫かな?」

【美沙斗】
「ええ、大丈夫ですよ静馬さん」

【一臣】
「静馬さん、そんなに慌てなくても時間はまだまだありますよ」

【静馬】
「それは分かってるんだがな。ついな」

【士郎】
「ったく、お前は美由希ちゃんの行事のたびに同じような事をやってないか?」

【静馬】
「士郎には言われたくないな。士郎もなのはちゃんの時は同じような事をしてただろ」

【士郎】
「そうだったか?そんな事は忘れたな」

【静馬】
「全く都合が良い記憶だな」

【桃子】
「まあまあ。それに仕方ないわよ。自分の子供の晴れ舞台なんですもの」

【美沙斗】
「そうですね」

桃子の言葉に美沙斗も嬉しそうに微笑みながら頷く。

【琴絵】
「私も楽しみよ♪士郎ちゃん、ちゃんとビデオ撮ってね」

【静恵】
「私からもお願いしますね、お義兄さん」

【士郎】
「へいへい、分かってますよ」

【美影】
「ほら、しゃんとしなさい」

【士郎】
「何で母さんまで来てるんだよ。大人しく家で待ってろ」

【美影】
「何を言ってるんですか。自分の孫の入学式なんですからね。来ても良いでしょうが」

【静馬】
「ええ、美由希たちもきっと喜びますよ」

【美影】
「それは嬉しいわね」

【士郎】
「っけ、何を言ってるんだか。俺のときは来なかったくせによ」

【美影】
「あら、行って欲しかったの?」

【士郎】
「んな訳ないだろ」

【美影】
「でしょ。だから、行かなかったのよ。最も、美沙斗と一臣の時はちゃんと行ったけどね」

【士郎】
「はいはい。じゃあ、今日はゆっくりと孫の入学式を見て行って下さいな」

士郎が皮肉を込めて言った台詞に美影は涼しい顔で受け流し、反論する。

【美影】
「ええ、言われなくてもそうしますよ。本当なら、去年も来れる予定だったのにね〜。誰かさんのせいで去年は来れませんでしたから」

その言葉を聞いた士郎の顔がまずいといった感じに変わる。

【桃子】
「そういえば、そうだったわ。私もとっても楽しみにしてたのに。
肝心の恭也を士郎さんが連れ出したまま、帰ってこないんだもん」

【士郎】
「お、落ち着け桃子。その話はもう終わった事じゃないか。なあ。
母さんも余計な事は言わないでくれ」

【美影】
「あら、私は本当の事を言っただけよ」

【桃子】
「もう〜、思い出したら悔しくなってきたわ〜」

【士郎】
「おいおい。か、一臣何とかしてくれ」

【一臣】
「そんな事、言われても。兄さん、自業自得って言葉知ってる?」

【士郎】
「知らねえな。だが、口は災いの元だったら知ってるぞ」

そう言いながら、一臣に近づく士郎。
そんな士郎の頭を美影が叩く。

【美影】
「いい加減にしなさい!全くみっともない真似をしないで下さい」

【士郎】
「ぐぬぅぅぅおおおぉぉぉ」

士郎は殴られた頭を押さえ、その場に蹲る。

【美影】
「じゃあ、行きましょうか」

まだ呻いている士郎を残し、全員が移動する。
しばらくして、いきなり立ち上がった士郎は美影の元へと走っていく。

【士郎】
「こ、こ、このくそばばぁー。おもいっきり力入れやがって!頭が割れたらどうする気だー」

【美影】
「その程度で割れるような可愛らしい頭ですか。それよりも……誰がばばあですって」

微笑みながらゆっくりと振り返る美影と、その場から一斉に離れる静馬たち。

【士郎】
(し、しまった。つい、口が滑った」

【美影】
「ほう、口が滑ったという事は普段からそんな事を考えているという事ですね」

【士郎】
「なっ!いつの間に読心術まで身につけたんだ」

【一臣】
「兄さん、自分で言ってたよ」

【士郎】
「ほ、本当か!ひょっとして、さっき頭を殴られたせいか」

【美影】
「あなたの場合、それ以上おかしくはならないでしょう」

【士郎】
「は、ははははは」(か、一臣、何かいいフォローはないか?)

士郎は汗をたらりと流しながら、一番近くにいる一臣に目で尋ねる。

【一臣】
(……兄さん。これが本当の口は災いの元だね)

【士郎】
「フォ、フォローになってないぞー」

美影が今にも飛び掛らんとする時に桃子が助けに入る。

【桃子】
「美影さん、今はこれぐらいにした方が。他にも人が着ているみたいですいし、早くしないと時間もなくなってしまいますから」

【士郎】
(おお、さすが桃子)

【美影】
「そうね。今日は桃子さんに免じて大目に見てあげますか。その代わり、しっかりと撮影しなさいよ」

【士郎】
「も、勿論」

士郎は何度も頷く。
一同は美影の怒りが収まったのを確認すると何事もなかったかのように歩き出した。

【静馬】
「あそこのようだな」

静馬が体育館を指差して確認する。

【美沙斗】
「そうみたいですね」

【士郎】
「なら、さっさと入ろうぜ」

士郎はさっさと入ろうと体育館へと向って歩き出す。
そこで、士郎は左手から歩いてくる人物を見て桃子に話し掛ける。

【士郎】
「なあ、あれって恭也じゃないか?」

【桃子】
「何言ってるのよ。そんな訳………恭也だわ」

恭也もこちらに気付いたらしく、少し嫌そうな顔をしつつも歩いてくる。
恭也が近づいてくると、士郎は尋ねる。

【士郎】
「お前、こんな所で何をしているんだ」

【恭也】
「……それはこっちの台詞だと思うんだが。俺が学校にいるのはおかしい事ではないだろ。
それよりも父さんこそ何をしているんだ、こんな所で」

【士郎】
「俺か?俺は見てのとおり撮影の為に連れてこられたんだよ」

【恭也】
「そうか。では、頑張ってくれ」

恭也は背を向けて歩き出そうとする。
そこへ桃子が声をかける。

【桃子】
「ちょっと待ちなさいよ恭也。あんたは何でここにいるのよ」

【恭也】
「だから、学校に俺が……」

【桃子】
「ええ、あなたがいてもおかしくはないわよ。
でも、私は他に生徒がいないのに、あなただけが何でここにいるのかを聞いてるんだけど」

【恭也】
「話せば長くなるんだが………。そう、あれは朝、学校に着いた時の事だった。
突然、目の前にブラックホールが開いてな。そこに美由希たちが吸い込まれてしまったんだ。
そこで俺は美由希たちを助けるために………」

【桃子】
「どうでも良いけど、まだ続くの?」

【恭也】
「うむ、これから盛り上がっていくところなんだが」

【桃子】
「はいはい。で、本当は?」

【琴絵】
「えぇ〜、今のは嘘だったの。じゃあ、美由希ちゃんたちは無事なのね。良かったわ〜」

【静馬】
「姉さん、流石にそれは……」

【桃子】
「ほら恭也、あんたがしょうもない事を言うから」

【恭也】
「いや、まさか今のを信じるなんて思わなかった」

【孝之】
「恭也君、琴絵を甘く見てはいけないよ」

【恭也】
「そうでしたね。じゃあ、俺はこれで」

【桃子】
「で、あんたは初日から授業をさぼってる訳ね?」

【恭也】
「かーさん、今日はまだ授業はないぞ」

【桃子】
「さぼっているのは否定しないのね」

【恭也】
「いや、別にさぼっている訳では。ちょっと色々とあって、今から教室に行くところなんだが」

【士郎】
「よし、だったら俺を手伝え恭也」

【恭也】
「なんでそうなる。それに俺はさぼる気はない」

【士郎】
「馬鹿か。細かい事を気にするな。一回や二回ぐらいの欠席ぐらい」

【恭也】
「過去にそう言って連れ出され、出席日数がやばくなった事があったと思うんだが……」

【士郎】
「ははは、そんな事もあったな〜。いや〜今となっては懐かしい思い出だな」

【恭也】
「………まあ、この件は良いとして、撮影の手伝いなんか俺に出来る訳ないだろ」

【士郎】
「そんなのは分かってる」

士郎はそう言うと、恭也の首を掴み桃子たちから少し離れると小声で話す。

【士郎】
「お前は母さんの横にいるだけで良いんだ」

【恭也】
「………父さん、一体何をしたんだ。悪い事は言わない、素直に謝れ。
それと、俺を巻き込まないでくれ」

【士郎】
「お前、それが親に言う台詞か。第一、何故俺が何かしたと決め付ける」

【恭也】
「父さんが美影さんの傍に俺達をいさせる時は大概、何か怒らせるような事をした時だからな。
それとも、本当に何もしていないのか?なんなら、美影さんに聞いてみようか」

【士郎】
「ま、待て待て待て。その、なんだつい口が滑ってな。
まあ、桃子のおかげで収まったはずなんだが、完全に安心できないんでな。
一応の保険というやつだ」

【恭也】
「いろいろと言いたい事はあるんだが、一つだけ。
何を言ったんだ」

【士郎】
「本当に聞きたいのか?」

【恭也】
「………遠慮してお……」

【士郎】
「なら、教えてやる。くそばばぁ、だ」

【恭也】
「……………じゃあな」

【士郎】
「待て。どこに行く気だ。教えてやったんだから、付き合え」

【恭也】
「誰も教えてくれとは頼んでいないし、聞いたら付き合うとも言ってない」

【士郎】
「お前、俺を見捨てるのか」

【恭也】
「そんな恐ろしい事を言った父さんが悪い。頼むから巻き込まないでくれ」

【士郎】
「お前、俺が死んでも良いのか」

【恭也】
「自分の命の方が大事だ。
それに、かーさんのおかげで収まったんだろ」

【士郎】
「だから、万が一だと言ってるだろうが」

【恭也】
「その万が一に命をかける気はない」

【士郎】
「くっ、何て冷たい奴なんだ」

【恭也】
「何とでも言え」

【士郎】
「この馬鹿息子、薄情者、鈍感の朴念仁。若年寄りの未熟者。もう一つおまけに……」

恭也は最後まで聞かずに蹴りを繰り出す。
士郎はそれを後ろに下がって避ける。

【士郎】
「いきなり何って事する!お前が何とでも言えと言ったんだろうが」

【恭也】
「ああ。だが、何もしないとは言ってない」

【士郎】
「ほーう。面白い事を言うな」

【恭也】
「耳まで悪くなったのか?俺は冗談なんか言ってないぞ」

【士郎】
「この馬鹿息子がぁーー。病院のベッドで後悔しやがれ!」

【恭也】
「五月蝿い、この馬鹿親父」

【桃子】
「やめなさーい!」

まさに二人がぶつかり合う瞬間、桃子の声によって二人の動きは止まる。

【桃子】
「ったく、恭也も士郎さんもいい加減にしなさい」

桃子の言葉に二人の動きが同時に止まる。

【桃子】
「全く二人して、何をしてるのよ」

【恭也】
「いや、これは父さんが……」

【士郎】
「これは恭也が………」

【恭也&士郎】
「何を言う、全部父さん(恭也)が悪いんだろうが」

【恭也&士郎】
「…………………」

【琴絵】
「二人とも息がぴったりねで、本当に仲良しさんね〜」

【恭也&士郎】
「誰が!」

【琴絵】
「やっぱり、仲が良いわ〜」

【士郎】
「な、何か調子が狂うな」

【恭也】
「あ、ああ」

【美沙斗】
「それよりも恭也、良いのかい?こんな所にいても」

【恭也】
「あっ、そろそろ戻らないと流石にまずいな」

【士郎】
「ここまで来たら、今更同じだって。って事で付き合え」

【恭也】
「断わる」

【静馬】
「まあまあ、士郎もそのぐらいにしておけって」

また同じ事をやりそうな二人を静馬が止める。

【美沙斗】
「そうですよ、兄さん。恭也が困ってるじゃない」

【琴絵】
「士郎ちゃん、駄目よ。恭也ちゃんを困らせちゃ」

【一臣】
「そうだよ兄さん」

【孝之】
「士郎さん、流石に今回は恭也君の方が正しいかと思いますけど」

【静恵】
「お義兄さん……」

【士郎】
「だぁーー!お前ら全員、恭也の味方かよ」

【美影】
「日頃の行いの結果ですね」

【士郎】
「ああ?俺ほど清く正しくそれでいて、真面目な奴なんかいないだろ」

【恭也】
「父さんが真面目なら、この世のほとんどの人は皆真面目だ。
もしくは、真面目という意味が変わったのかだな」

【士郎】
「っく、大勢を味方に付けたからっていい気になるなよ〜。
!そうだ。桃子、桃子は俺の味方だよな」

【恭也】
「あんたは子供か……」

恭也は呆れながら大きな溜め息を一つ吐く。
そんな恭也を見て、苦笑しながらも桃子は士郎に話し掛ける。

【桃子】
「もちろんよ。私は士郎さんの味方よ」

【士郎】
「そうだろ、そうだろ。ふはははは。見たか恭也。俺にも味方はいるんだぞ。
いや、桃子さえ味方なら他の奴らなぞいらんわ!」

【恭也】
「本気で頭が痛くなってきた。時々思うんだが、俺は本当に父さんの息子なのか」

【士郎】
「何を分かりきったことを」

【恭也】
「いや、ちょっと……な」

額に手を当て、気難しい顔をする恭也の肩にポンと優しく一臣が手を置く。

【一臣】
「恭也くん・・・。何も言わなくてもいいよ。言いたいことは痛いほどよーく分かるから」

【恭也】
「一臣さん」

【士郎】
「な、何かよく分からんが、お前ら俺の事を馬鹿にしてないか?」

【恭也&一臣】
「……………そんな事はない(よ)」

【士郎】
「今の間は何だ!今の間は!」

【恭也】
「気にするな。凄く些細な事だ。それよりも俺は本当に戻る」

【士郎】
「だから、待てと言ってるだろ」

【恭也】
「いい加減にしてくれ」

疲れた声で言う恭也を無視して士郎は続ける。

【士郎】
「ははは、馬鹿め。桃子が味方している今、怖い者などない」

【恭也】
「美影さんが反対しても?」

【士郎】
「………………あ、当たり前だ」

【恭也】
「その額の汗は?」

【士郎】
「気にするな」

【桃子】
「士郎さん……。私は確かに味方だけど、今は恭也の意見に賛成だわ」

【士郎】
「な、な……」

【桃子】
「だって、恭也の授業態度を考えてもみてよ。せめて出席日数ぐらいは人並に……」

【恭也】
「何気に失礼だな」

【桃子】
「何よ。何か間違ってる?」

【恭也】
「…………」

【桃子】
「ほらみなさい。と、言う訳で恭也はさっさと教室に戻る」

恭也は桃子の言葉に頷き、その場に背を向けるが、その肩を士郎が掴む。

【士郎】
「恭也、今日だけ、今日だけ頼む!」

あまりにも真剣に頼む士郎に恭也は訝しげになり、振り返ると士郎に問いただす。

【恭也】
「父さん、一体何をやらかした」

【士郎】
「なっ!お前は何て事を言うんだ。そんな訳ないだろ」

【恭也】
「いや、怪しすぎる。大体、万が一というだけで俺をここまで引き止めるのはおかしい」

【士郎】
「な、何にもないよ」

士郎は恭也から視線を逸らしながらそう言う。
それを見て、恭也は益々怪しく思い、目を細める。

【恭也】
「まさかとは思うが、何かやった罪を俺にきせようとしているんじゃ」

その言葉を聞いた途端、士郎の体が一瞬だが震える。
あまりにも一瞬だったため、桃子たちは気付かなかったみたいだが、長い間士郎の被害にあってきていた恭也はその一瞬の変化に気付く。

【恭也】
「図星……か」

【士郎】
「な、何を言うかな。んな訳ないだろ。はははは……」

恭也は士郎をじっと見つめ、徐に口を開く。

【恭也】
「大方、そのビデオが壊れているとかだろ。それを俺が壊した事にしようとしたんじゃないのか?」

その言葉に美影たちが反応し、士郎を睨むように見つめる。

【士郎】
「馬鹿か!そんな訳あるか。ちゃんと朝にも確認してるわっ!」

その言葉に美影たちの視線が緩む。
が、続く言葉が悪かった。

【士郎】
「俺はただテープを忘れただけだ。
それに、お前のせいにしようとしたんではなく、それをお前が壊した事にしようとしただけだ!」

【恭也】
「余計、悪いわ!」

士郎が恭也に何か言うよりも早く、いつの間にか士郎の背後に周った美影が士郎の肩を掴む。

【美影】
「士郎……。墓穴って言葉知ってる?」

【士郎】
「は、はははは……。い、一応は知ってるかな……」

引き攣った笑みを浮かべる士郎の右腕を美沙斗が、左腕を琴絵が掴む。

【美沙斗】
「兄さん、愚かです」

【琴絵】
「士郎ちゃん、私は悲しいわ。自分の失敗を恭也ちゃんのせいにしようとするなんて」

そのまま士郎は三人に体育館裏へと引き摺られて行く。

【士郎】
「お、おい。だ、誰か」

士郎は助けを求めるように恭也たちを見るが、全員目を逸らす。

【士郎】
「て、てめらー!静馬に孝之、せめて自分の女房ぐらい何とかしろーーー!」

徐々に小さくなっていく士郎の声を聞きながら、全員が最後まで一度も士郎の方を向く事はなかった。
暫くは誰もがその場で動かずに、ただ時間だけが過ぎていった。
やがて、恭也はいち早く我に返ると、

【恭也】
「…………じゃ、じゃあ俺はもう行くからな」

恭也の言葉にその場にいた全員が曖昧な笑みを浮かべ頷く。

【美影】
「恭也」

【恭也】
「!!み、美影さん」

【美影】
「もう恭也だけが頼りなのよ」

【恭也】
「な、何がですか?」

【美影】
「この辺で、この時間にテープを売ってそうな所ってない?」

【恭也】
「コ、コンビニとかにならあるんじゃないか」

【美影】
「じゃあ、お願いね」

【恭也】
「それは俺に買いに行けと言う事ですか?」

【美影】
「だって、恭也以外にこの辺りに詳しい人いないでしょ」

【恭也】
「いや、しかし……」

【美影】
「駄目かしら?」

【恭也】
「謹んで承ろう」(父さんの二の舞だけはごめんだ)

【恭也】
「では、俺は早速行ってくる」

【美影】
「頼んだわよ」

【恭也】
「分かった。所で父さんは?」

【美影】
「さあ?まだ美沙斗と琴絵さんの所でしょ。
大丈夫よ、目と腕さえ無事なら撮影は出来るもの」

美影はニッコリと笑いながらそう答える。

【恭也】
「そ、そうか」

【美影】
「ちゃんと始まるまでに戻って来てね」

【恭也】
「ああ。では、行ってくる」

恭也は少しでも早くその場を離れようと全力で走り出して行った。
その後、入学式でボロボロになりながらもビデオを撮っている父兄の姿が新入生の間で噂になったとか、ならなかったとか。







つづく




<あとがき>

いや〜、お馬鹿な会話って書きやすいな〜。
美姫 「浩が馬鹿だから?」
……………あ〜、ま〜、その〜。
美姫 「はっきりしないわね」
五月蝿いやい。お前なんか、お前なんか、嫌………。
美姫 「浩の分際で、私をお前呼ばわりするなぁぁーーーーー!」
みゅぎょらばぁぁーーーーーー。
美姫 「ふふん。我が秘剣、桜花閃神波の威力はどう?」
ピクピクピク
美姫 「もう、だらしないわね。これぐらいで。じゃあ、また次回ね♪」







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