『とらハ学園』






第59話





美影は電話を切ると、もう一度掛け軸居へと目を移す。
僅かに細められたその目の奥に、鋭い輝きを宿しながら、じっと見詰める御影の姿に脈があると見えたのか、
先程の店員に代わり店長が近づいて来る。

【店長】
「お客様、こちらの商品がお気に召しましたか?」

【美影】
「ええ、そうね。少し気になりるかしら」

【店長】
「そうですか、そうですか」

先程とは違う美影の返答に、店長は相好を崩し、両手を揉み手せんばかりにすり合わせ、美影に特大な笑みを送る。
それを横目で一瞥すると、美影はすぐさま掛け軸へと視線を戻し、店長へと声を投げる。

【美影】
「少し詳しく知りたいわね」

【店長】
「ええ、宜しいですよ。ただ、私も詳しくは知りませんので、父から聞いた話になりますが…」

そう前置きをすると、店長は饒舌に話し始める。

【店長】
「地獄絵図というものはご存知でしょか」

【美影】
「ええ、勿論知っていますよ」

【店長】
「そうですか。なら、話は早いです。この掛け軸もその地獄絵図に分類されるものです。
ただし、普通の地獄絵図などと違い、この掛け軸は左上の個所に特徴がありまして。
そこに、一人の女性が描かれていますでしょう」

店長の言葉通り、左上には一人の女性の姿が描かれている。
それだけなら特に可笑しな所はないだろう。
実際、他の個所にも針に突き刺さっている女性、釜茹でにされている女性などが描かれているのだから。
ただ、店長が言うように、少し変わっており、その女性はそこに居るだけで、何もされていないのである。
そもそも、その女性が描かれている左上の小さな個所だけは、地獄絵図と呼べるような風景ではなく、
そこだけ別の世界にあるように描かれている。
その女性は足元の光景が見えていないのか、その顔には穏やかな微笑さえ浮んでいた。
美影の視線がその女性を捕らえているのを確認しつつ、店長は話を続ける。

【店長】
「その左上の女性は、絶世の美女で、あらゆる者たちを虜にしたと言われています。
この娘への求婚は後が断たず、彼女を取り合って国同士の争いにまで発展したとも言われております。
それを嘆き愁いた娘は、人の居ない山奥へと引き篭もりました。
しかし、今度はそこでこの世に在らざるモノ共、そこに描かれている鬼や魑魅魍魎、悪霊共が取り合ったそうです。
そこに、更に人間共が加わり…。
しかし、化け物共のあまりの強さに、人間共はとりあえず手を組むことにしたのです。
その結果、当然のように化け物たちも手を組み、こうして凄惨な死闘が、いえ、化け物たちによる一方的な殺戮が始まりました。
その絵はその時の模様を描いたとされています」

そう言って店長は言葉を区切ると、幾分声を落とし、美影の耳にそっと口を近づける。

【店長】
「しかし、それはあくまでも表向きの言い伝えです」

その言葉に、美影は微かに反応し、それに気付いた店長は益々口も滑らかに話し出す。

【店長】
「実は、この掛け軸は、封印を施した品とも言い伝えられております」

【美影】
「封印……ですか」

【店長】
「はい、そうです。人間共も馬鹿ばかりではありませんから、化け物に対する法を持つ者たちを兵として雇ったのです。
俗に陰陽師や術者、退魔士などと呼ばれていたみたいですけどね。
それにより、人間側にも化け物側には甚大な被害が出たとされています。
次々と失われて行く命、その事に嘆いた娘は、争いの元凶である自身の命を断つ事でこの争いに終止符をうとうとしました。
所が、娘が命を断ち、その命の灯火が消えかけた頃、化け物数匹と人間の術者数人が慌てて娘に術を施したそうです。
その結果、娘は肉体を失い魂だけで存在させられる事となりました。
娘の命を賭けてまでの行動は、こうして阻止されたのです。
それどころか、娘は死という逃げ道さえ失ってしまったのですよ」

店長はそこで言葉を切ると、美影が自分の言葉に関心を抱いているのを確認してから続ける。

【店長】
「娘の魂はその地に縛られ、余所の土地へと行くことも適わず、自身の家へと閉じ込められたようなものです。
人間と化け物たちは、万が一にも娘に危害が加わらないよう、戦場をその家から離れた場所へと移し、争いを続けました。
娘は既に諦めの境地にいたのでしょう。
次に自分の元へとやってくる者こそが勝者で、自分を手に入れるために来ると茫然と考えていました。
娘に出来たことは、ただこれ以上の被害が出来ないように祈る事だけでした。
それからどれぐらいの月日が流れたのか。ある日、一人の僧が娘の家へとやって来たのです。
当初、娘はこの者が勝者だと思い、何もかも諦めた目でその男を見ました。
自分がこの男のものとなれば、これ以上の争いは起こらないと悟りきっていたのでしょう。
所が、僧は一晩の宿を借りに来ただけだと知り、娘はまだ戦いが続いている事を知って愕然としたそうです。
僧は娘から事情を聞き、一宿のお礼にと、この争いに終らせる事を約束をしたそうです。
勿論、娘は止めましたけれど、男は大丈夫と言って聞かなかったそうです。
こうして、僧は深夜、争いが行われる場所へと赴いたのです。
気になった娘は、その後を付いて行きました。縛られているとは言え、争いの場所までは移動範囲だったようですね」

【美影】
「それで、その僧はどうしたのかしら?」

【店長】
「ええ。争いの場へと赴いた僧だったのですが、ようやくと言いましょうか、既に決着は付いていたのですよ。
かなり前に。と言っても、あくまでもそれは人間と化け物との戦いが、という事ですが。
僧が辿り着いた場所で見たのは、争い合う化け物たちの姿だけでした。
つまり、人間たちは既に負けていたんですよ。それで、今度は化け物同士の争いが始まっていたのです。
そんな場へ、僧は静かに片手を襟へと忍ばせて出て行ったそうです。
勿論、それに気付いた化け物たちが僧へと一斉に襲い掛かりました。
その時、僧は懐へと入れていた手を差し出し、一本の巻物を取り出し、何事かを呟きました。
すると、その巻物が目も開けられないほど強く光りだしたそうです。
そして、その光が収まった頃、辺りにいた化け物の姿がなくなっていたそうです。
更に、僧が持っていた白紙の巻物に、世にも恐ろしい絵が浮かび上がっていたと言います」

【美影】
「成る程ね。つまり、その巻物が、この掛け軸という事ね」

【店長】
「はい、そのとおりでございます」

【美影】
「でも、それだと、どうしてその娘さんまでが描かれているのかしら?」

【店長】
「ええ、それは、その光景を隠れて見ていた娘にまで、その術が及んだからだそうです。
勿論、それに気付いた僧でしたが、既にどうすることも出来なかったそうです。
それではせめてもという事で、彼女の周りだけ、他とは区別されているのです。
彼女は、この掛け軸に描かれている絵図が見えていないとも言われてます。
また、ここに写っている人間は、その時化け物に殺された者たちだとも。
封じられたこの掛け軸の中で、まだ争っているんですよ。
僧もこの娘を成仏させてやりたかったけれど、それをするには娘を掛け軸から解き放たないといけなく、
そうすると、当然の事ながら、ここに描かれている化け物たちも出て来ますからね。
それで仕方なく、僧は旅の途中でとある寺に立ち寄り、娘を解放する準備が出来るまで預かっていてくれと言い残すと、
この掛け軸を預けたそうです。ただ、その僧も旅の途中で山賊にでも襲われたのでしょうか、
それ以降の足取りが不明となり、二度と戻っては来なかったらしいです。
以来、その寺で、呪われし地獄絵図として、代々語り継がれていたみたいです」

【美影】
「成る程ね。それで、その寺にあったはずの掛け軸がどうしてここに?」

【店長】
「何でも、うちのご先祖様が譲り受けたそうで。その辺の詳しい事は分かってませんけれど。
ですが、決して盗品なんかではありませんから。
それに、これはあくまでも伝説ですからね。実際は、この地獄絵図を見て、誰かが作った話でしょう」

そう言って笑いながらも、店長は美影の反応をじっと見詰める。
対する美影は、ただ黙ってその掛け軸を眺める。
まるで、何かを探るかのような目付きをしつつ、横に立つ店長には聞き取れぐらいの小声で呟く。

【美影】
「呪われし地獄絵図……ね」





  ◇ ◇ ◇





美影からの電話を受けた恭也は、話を終えると沙夜を見る。

【沙夜】
「どうかされましたか、恭也様」

【恭也】
「ああ、ちょっとな。美影さんからだったんだが、至急、来て欲しいとの事だ。
どうやら、沙夜に事の真偽を見て欲しい物があるらしい。
しかも、場合によっては、かなりヤバイものらしい」

【沙夜】
「そうですか。美影さんのお頼みならば、断わる訳にはいきませんね。
それで、どちらへと向かえば宜しいのでしょうか」

【恭也】
「ああ、それは俺が聞いてある。という訳だから、皆は…」

恭也が最後まで言うよりも早く、アルシェラが後ろから抱き付くようにして首に手を回す。
そんなアルシェラを、恭也の左右の腕を掴んでいた美由希と月夜が軽く睨む。
二人の視線を受け流しつつ、アルシェラはその口に笑みを見せながら、恭也の耳元で囁くように告げる。

【アルシェラ】
「もしやと思うが、余まで残して行くとは言わんよな?」

【恭也】
「当たり前だろう。美影さんがヤバイというようなものだぞ。
万が一という事もあるからな」

期待していた言葉とは意味合いが異なるが、それでもアルシェラは満足そうな笑みを見せる。
そこへ、美由希たちが割り込むように口を開く。

【美由希】
「本当に危ない事だったら、私たちも居た方が良いでしょう」

【月夜】
「という訳で、私たちも付いて行くからな」

【恭也】
「はぁ、好きにしろ。どうせ、月夜の事だ、止めても来るだろうしな。
という訳だから、忍たちは…」

言い掛ける恭也を遮るように、忍は手を上げると首を横に振る。

【忍】
「勿論、私たちも行くわよ。ねえ」

忍の言葉に同意するように、残る面々も頷く。
それを見ながら、恭也は危険だからと止めようとするが、

【知佳】
「それよりも、早く行った方が良いんじゃないの」

という知佳の言葉に見事に沈黙させられ、仕方なく恭也は頷く。
ただし、本当に危険な場合はすぐに逃げる事を約束させて。
こうして恭也たちは急ぎ、アンティークステーションで待つ美影の元へと駆け出した。





  ◇ ◇ ◇





小鳥の言う店に来た真一郎たちは、満席の為に少しだけ待たされたものの、無事に昼食へとありつけていた。

【真一郎】
「うん、美味いな。それにしても、どうやって作ってるんだろうな、これ」

真一郎はゆっくりと味わいながら、使われている材料を懸命に探っている。
そんな真一郎の様子に、さくらと雪が顔を見合わせて笑う中、真一郎の隣に座っている小鳥も、同じように目を瞑っている。

【小鳥】
「ん〜、このソース、何かを隠し味に使っているみたいなんだけれど……。
何だろう」

そんな二人とは違い、目の前のものを美味しそうに食べているななかと七瀬が、真一郎と小鳥へと少し呆れたように話し掛ける。

【ななか】
「そんな事を気にしていたら、純粋に堪能できませんよ」

【七瀬】
「そうそう。美味しいものは美味しいでいいじゃない」

【真一郎】
「ん〜、それは分かっているんだけどね。癖というか、つい気になって。
それに、ちゃんと分かれば、家でも作れるしね」

【七瀬】
「あ、それは良いわね。だったら、もっとしっかりと吟味しなさいよ、真一郎。
そして、私に作ってね」

真一郎の言葉にあっさりと前言を翻すと、七瀬は期待するような眼差しを向ける。
そんな七瀬に苦笑を浮かべつつ、真一郎は小鳥へと目を移す。

【真一郎】
「どうしたんだ、小鳥。そんなに眉間に皺を寄せて。
ひょっとして、知らない香辛料とかが使われているとか?」

【小鳥】
「ううん、その逆だよ。多分、何処かで同じようなのを…。
でも、分からないの。それ以外は、大体分かったんだけど…」

【真一郎】
「流石だな」

小鳥の言葉に感心しつつ、真一郎はじっと小鳥の皿を見る。

【真一郎】
「耕介がいれば、もっとすんなりと分かったかもしれないな」

【小鳥】
「確かに、耕介さんなら、分かったかもね」

二人して洋食を得意とする耕介の顔を浮かべるが、ここに居ない以上はどうしようもなかった。

【真一郎】
「小鳥、一口だけ頂戴」

【小鳥】
「あ、うん良いよ」

やがて真一郎がそう言うと、小鳥はすんなりと頷き、切り分けてソースを絡めると、そのまま真一郎の口へと運ぶ。

【小鳥】
「はい」

【真一郎】
「ああ、ありがとう」

そう言って小鳥が差し出したフォークに口を付けた瞬間、さくらたちが悲鳴にも近い声を上げる。
それに驚き、真一郎は咽たように咳き込むと、水で一気に流し込む。
その背中を小鳥が優しく擦る中、真一郎は恨めがましい目でさくらたちを見る。

【真一郎】
「ゴホッ、ゴホッ。…ったく、何でいきなり大声を出すかな。
お陰で喉に詰まらせて、水で流し込んでしまったじゃないか」

ブツブツと文句を言う真一郎に、さくらたちは目付きを鋭くする。
その様子に、真一郎は思わず身を引いてしまう。

【さくら】
「それはすいませんでした。ですけど…」

【雪】
「真一郎さんも悪いんですよ」

さくらに続き、雪の言った言葉に真一郎は訳が分からずに首を傾げる。
そこへ、少しだけ呆れたように七瀬が口を出す。

【七瀬】
「本当に分かってないみたいだけれど、真一郎、今、小鳥と間接…」

【ななか】
「春原さん、声が大きいですって!」

七瀬の言葉に、ななかはそれよりも大きな声で叫ぶ。
しかし、七瀬の言いたい事が分かったのか、真一郎は慌てたように小鳥を見ると、小鳥も言われて気付いたのか、
顔を真っ赤にして俯きながら、小さな声で喋る。

【小鳥】
「あ、あの、こ、これは、その、いつも真くんと一緒に料理を作るときに、真くんに味見してもらう時の癖で…」

【真一郎】
「そ、そうだよ。いつも料理している時の癖で、つい、なあ」

真一郎の言葉に、小鳥は顔を赤くしながらも、小さく何度も頷く。
そんな小鳥を眺めつつ、これ以上攻めるのは可哀相だと思ったさくらたちは、矛先を納める。
それを感じ取りほっと胸を撫で下ろす真一郎だったが、向かい側に座っていたさくらが微笑みながら差し出して来たものを見て、
思わず動きを止める。
見れば、他の者たちも自分の料理をフォークに突き刺し、じっと真一郎とさくらの行動を待っている。

【真一郎】
「えっと、これは? それに、皆も何か待っているようなんですけれど…」

【さくら】
「ええ、考えている通りですよ。幸いにも、私たち皆、バラバラのものを頼みましたから。
じっくりと味わって、今度、再現してくださいね」

【真一郎】
「いや、流石にこれだけの数は無理だって…」

さくらがずいっと差し出してくるのを見ながら、真一郎が引き攣った笑みを見せながら言うが、
それに対し、雪が順番を待つようにフォークを手にしたまま笑顔で言う。

【雪】
「駄目だったら、駄目で仕方がないですよ。でも、とりあえずは、ね」

全員の目が嫌に真剣なのを見て、真一郎は諦めたのか、それを口にしようと口を開く。
だが、直前でその動きを止めると、全員の顔を見渡して、至って真剣な顔付きで告げる。

【真一郎】
「皆は自分が頼んだものが美味しくて、再現して欲しいから俺に食べさせようとしているんだろうけれど、
これだけのの数は流石に無理だと思うよ。保証はしないから」

そう言ってさくらの差し出した分を食べる真一郎に、全員が揃って溜息を吐くのだが、生憎と真一郎はそれを見ていなかった。
そうこうしながらも何とか昼食を終えた一向は、それぞれに満足そうな顔を浮かべつつ、次に何処へ行こうか相談する。

【七瀬】
「この辺って、骨董品以外にも色々と売っている店があるみたいね。
ほら、ここなんてシルバーアクセサリー扱ってるし…。あ、こっちの店は…」

パンフレットでこの周辺に何があるのか見ていた七瀬が、嬉々として話し出す。
七瀬が幾つか上げた店に、他の者たちも少なからず興味を示すのを見て、真一郎はやっぱり女の子だな、
とか思いつつ、七瀬たちを見守るようにじっと見詰める。
やがて、意見が纏まったのか、七瀬が真一郎へと次に向かう場所を告げる。

【七瀬】
「とりあえず、あっちに移動よ。
あっちの方には、幾つもの店があるから、見ながら歩こう。
で、気になるものがある店に入るって事で」

言いながら既に歩き始めている七瀬たちの後に、真一郎も付いて行くのだった。





  ◇ ◇ ◇





美影と合流すべく急いでいた恭也たちだったが、酒の飲み放題をしている店の前で耕介たちと出会う。

【耕介】
「あれ、恭也じゃないか。どうしたんだ、そんなに慌てて?」

【恭也】
「ああ、耕介か。ちょっと、な。……って、薫はどうしたんだ?」

恭也の視線の先には、ぐったりとして両脇を瞳と那美に支えられている薫の姿があった。
恭也の質問に、耕介はただ引き攣った笑みを浮かべて、言葉を濁す。
僅かに薫から匂ってきた酒の匂いと、今まさに両手に土産の酒を山ほど抱えて出てきた真雪を見て、全ての合点がいったと頷く。
と、真雪も恭也に気付いたようで、軽く手を上げるつもりだったが、生憎と手は全て塞がっていた。
真雪は耕介の傍まで来ると、その荷物を全て耕介に持たせる。

【真雪】
「ちゃんと分けてやるから、しっかりと持てよ」

その言葉に、耕介は力強く頷くと、両手でしっかりと抱え持つ。
素直に従う耕介に満足したのか、真雪は満足そうに頷くと、恭也へと視線を向ける。

【真雪】
「で、お前はどうしてこんな所にいるんだ?
お前の事だから、酒を飲みに来たという訳ではないだろうし…」

真雪の言葉に、恭也は自分が急いでいるのを思い出し、別に忘れていたわけではないが、

【恭也】
「ちょっと美影さんに呼ばれたんですよ。そんな訳ですので、これで失礼します」

そう言って走り出した恭也の背中を、真雪が面白そうに見遣る。
その表情を横で見ていた耕介は、何か嫌な予感がして、何にせよ止めようと声を掛けようとするが、
残念ながら、真雪が言葉を発する方が早かった。

【真雪】
「何か面白い事が起こる予感がするな。
ちょっと行ってみるか」

【耕介】
「真雪さん、止めときましょうよ。迷惑掛けるような事は」

【真雪】
「お前、流石にソレはあたしに失礼だと思わんのか? まあ良い。
兎も角、さっき知佳も居ただろうが。もし、あいつの身に何か危ない事でもあったらどうするんだ」

真剣に告げる真雪の表情に、普通の人だったら騙されたかもしれないが、耕介は平然と切り返す。

【耕介】
「建前は兎も角、本心は?」

【真雪】
「んなもん、私の漫画家としての勘が、何かが起こるって告げているからに決まっているだろうが」

本当に楽しそうな笑顔でそう言った真雪の顔を見て、耕介は何を言っても無駄だと悟るのだった。






つづく




<あとがき>

事件が起こらないと言っていたはずの旅行編。
美姫 「なのに、何か雲行きが怪しいわよ」
ふっふっふ。
さて、どうなるのやら。
とりあえず言えるのは、予定は未定なのさ。
美姫 「私も言えるのは、いつでもお仕置きの準備はOKって事ね♪」
…………え、えっと、と、とりあえずは、次回で。
美姫 「くすくす。楽しみね」
う、うぅぅぅ。
美姫 「それじゃ〜ね〜」








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