『妖艶なる朱き精霊 〜忘却の彼方〜』






プロローグ





それは、もう記録にも、何ものにも残っていない出来事……。
嘗て、まだ世に神と魔が当たり前のように存在し、精霊がその力をヒトに貸し与えていた時代。
そんな時代の人間界──人が住み、暮らしており、四世界で最も脆弱で、
だが、それ故に他の三世界を超え得る可能性を秘めた世界。
その人間界にある森深き所、誰も踏み入らない本当に深い、深い森の奥。
日すらも差し込まぬその森深い所に、闇すらも飲み込まんとするかのような一つの亀裂、いや、断崖があった。
今、その場所に起こりえない現象が起こった。
神界、魔界、精霊界、それぞれの世界へと繋がるゲートが……開いた。
それ自体は、この時代において、珍しい事は珍しいが、特筆するような事ではない。
ただし、それが全く同じ場所でなかったなら。
本来ならあり得ない、天文学的な確立が幾重にも織り成され、偶然に偶然が重なり合った結果だと考えても、
それでも、まだ信じる事ができない現象だった。
同じ場所に、ゲートが開くなどとは……。
この時代、その地に溢れるエレメンタルは一つの形をなし、精霊と呼ばれる存在が誕生していた。
そして、この三世界の重なり合った場所にも、当然のように小さな小さな精霊が生まれようとしていた。
精霊になろうと、辺りのエレメンタルを唯々、己が身へと変換していった。
同時に、それは三つの世界から、純粋で、純度の高い、最高の魔力・神力・エレメンタルを吸収した。
そして……その精霊は…………長い、長い年月を経て……一つの形を作った。
余りにも強大で……強力で……しかしながら、純粋で……その容姿は、まるで女神のようで……。
そんな、高位精霊が誕生した瞬間だった。
その瞬間、辺りの空気が、まるでそれを喜び、畏怖し、感動を表すかのように刹那、打ち震えたような気がした。
こうして、生まれ出でた美しくも気高き精霊の名を、四世界の者たちもいつしか知ることとなる。
アルシュラという、その名を……







つづく




<あとがき>

という訳で、とらハ学園の番外編的なお話。
美姫 「これは、アルシェラの過去も過去の話よね」
そういう事。
タイトルはアハトさんにも考えてもらったんだ。
美姫 「アンタの当初のタイトルはあまりにも、だもんね」
あ、あははは〜。それは言うなよ。
兎も角、アルシェラに関しては、こっちでちょっとずつ書いて行こうかな〜って。
美姫 「既に、とらハは関係ないわね」
あはははは〜。とりあえず、こっちの話もよければ、よろしくお願いします。
美姫 「お願いしますね〜」
それじゃあ、今回はこの辺で。
美姫 「まったね〜」








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