『An unexpected excuse』

    〜りえ編〜






「俺が、好きなのは……」

そう呟くと、どこか遠くを見詰める眼差しで物思いへと耽っていく。







出会いは、危ない所を助けてもらったのでもなければ、運命的な再会と言うわけでもなく、本当に、極々普通なものだった。
偶々、その日、日直だった私、仁科りえが、担任である幸村先生の所へと日誌を返しに行った時のこと。
先生の姿は席には見えず、私はとりあえず、日誌を先生の机の上へと置いて帰ることにした。
そして、日誌を机へと置いたとき、後ろから幸村先生が声を掛けてきた。

「ご苦労さま、仁科君」

「あ、幸村先生。日誌は、そこに置いておきましたから」

「そうか。どれ、特に変わったことはなかったかね」

そう尋ねながら席へと着く先生に、私は、はいと返事を返す。
それを聞き、先生はまさに好々爺を思わせるような笑みを皺と一緒に顔へと浮かべる。
その後、先生は私をまっすぐに見詰めると、その口を開きかけた所で、またしても、私の背後から声が聞こえる。

「幸村先生、これは何処に?」

どうやら、今度のその声は、私ではなく幸村先生に用件があったらしく、それを受けた先生はまた、あの笑みを浮かべると、
私の背後に立っている、若い声からして生徒だろうが、へと話し掛ける。
私は、このまま挨拶をしてこの場を立ち去ろうかとも思ったんだけれど、先生が何かを言いかけていた事もあって、
その場を立ち去ることも出来ず、ただその身を横へとずらして、後ろに居た生徒と先生の邪魔にならないように移動する。
そうして、初めて後ろに居た生徒の姿を視認する。
休み時間の度に騒ぐクラスメイトの男子たちとは違い、その身に纏った落ち着いた雰囲気から、
多分、私より学年は上だと思うけれど、それにしても、ここまで落ち着いた雰囲気が身に付くものなのだろうか。
クラスメイトの男子数人を想像し、彼らの一、二年後を想像してみるが、目の前の生徒のような落ち着いた雰囲気にはならない。
廊下ですれ違ったり、移動教室の際に見かける上級生たちと比べてみても、一線を画しているんだろうな。
現に、近くに居る新人の先生よりも、どの姿は堂々としていて落ち着いて見える。
つまり、この目の前の人の雰囲気は、単に年を積み重ねた事によるものではないという事だろう。
そう結論付けると、なるほど、かなり納得できる。
じっと見ていた私に気付いたのか、その男性はこちらをちらりと一瞥するが、すぐに幸村先生へと向き直る。
今、気付いたけれど、この人、かなり顔立ちが整っている。
そんな事を考えながら、幸村先生の方へと視線を転じると、丁度、その生徒に声を掛ける所だった。

「すまんな。助かったよ、高町君。それは、そこにでも置いておいておくれ」

「はい、分かりました」

高町と呼ばれた生徒は、手にしていた物を幸村先生が告げた場所へと下ろすと、幸村先生と私に向かって軽く頭を下げる。

「それでは、失礼します」

そう告げると、そのまま立ち去る。
その背中を見詰めつつ、私は幸村先生へと疑問をぶつける。

「今のは?」

「ん? ああ、彼は高町君と言ってな。去年、受け持った生徒じゃよ。寡黙じゃが、優しい生徒でな。
 儂がそれを持って四苦八苦しておったら、代わりに運びましょうと言ってくれてな」

「そうですか」

たったそれだけの事。これが、私と高町恭也さんとの最初の出会いだった。



恭也が去った後、幸村はりえへと再び向かい合うと、先程、言いかけていた言葉を再び口にする。

「所で、左手の方はどうじゃ」

「……あまり力は入りませんけれど、日常生活では、そんなに困りません」

「そうか。所で、音楽をする気には……」

何かを言いかけた幸村を遮るように、りえは話し出す。

「それは、まだ分かりません。でも、私はもうバイオリンを弾くことが出来ませんから……。
 前に、幸村先生が仰ったとおり、バイオリンだけが音楽ではないんでしょうけれど、
 他の楽器だって、上手く弾けませんから。この左手じゃ。
 それに、今から他の楽器を弾けるとも思えませんし……」

少し寂しそうに語るりえに、幸村がその口をもう一度開く。

「何も、楽器を弾くだけが音楽ではないと思うがのぉ」

「それってどういう?」

そう尋ね返したりえだったが、幸村の後ろから、別の教師が声を掛ける。

「幸村先生、少し良いですか」

「ん? 今すぐでないと駄目かね?」

「いえ、そんな事はないですが……」

二人の教師の会話を聞きながら、りえは幸村へと告げる。

「それじゃあ、私はこれで失礼しますね」

「ん、そうか」

そう告げる幸村に頭を下げると、りえはこの場から立ち去る。
その背中に、幸村が声を掛ける。

「何かあったら、遠慮なく来なさい。出来ることは協力するから」

それに短く返事をすると、りえはその場を立ち去ったのだった。







小さい頃からバイオリンを習い、上手になるのが楽しくて、練習を繰り返し、繰り返ししているうちに、
私はバイオリンを弾く事が当たり前のようになっていた。
時には練習などが辛い事もあったけれど、それでも、音楽が好きだから、
バイオリンを弾く事が好きだったから、私は頑張れていた。
だから、中学の時に進路を聞かれた時、少しの迷いはあったけれど、
バイオリンの先生から薦められていた海外の学校への留学を決めた。
それなのに、それらは全て、あの日の事故で……。
それは、何処にでもあるような些細な事故だったのだろう。
加害者の前方不注意による事故。
結果だけを見ると、大きな被害もなく、死者もでなかった。
私の左手を除いては。
幸い、左手を失うというような事にはならなかったけれど、元のような握力が戻ることはなかった。
日常生活を送る上では、多少の不都合はあるかもしれないが、特に問題がないというのが医者の言葉だった。
歩道を歩いていた私へと向かって突っ込んできた車に、私は避ける事も出来ずにぶつかった。
正直、この辺りの事はよく覚えていない。
道を歩いていたら、急に車が目の前までやって来て、避けなければと考えたけれど、体は全く動いてくれなかった。
そして、気がついたら、身体中に痛みを感じ、私の体は車と何かの間に挟まれていた。
恐らく、電柱か壁か、兎も角、そういう状況になっていた。
その時は、体が痛いなー、とぼんやりと霞みが掛かったみたいな頭で思っていた。
ただ、この時に左手に痛みは感じてはいなかった。
ただ、痛みを訴える体を動かす事も出来ず、次第に襲ってくる眠気にも似た言いようのないものに包まれるようにして、
私は意識を手放した。
次に気が付いた時は、私はベッドに寝かされていて、最初、さっきの出来事が夢だったのかと思ったほどに、
すんなりと目を開けた。
しかし、開けた目に飛び込んできたのは、見慣れた天井などではなく、全く知らない天井だった。
そして、清潔感を感じさせる真っ白なシーツに、辺りを囲むのは、これまた白い壁。
何故か体がだるくて、起き上がる事がしんどかった私は、何とか動く首から上だけで周りを見渡し、
次いで、鼻腔を付く独特の匂いに、ここが病院だと悟る。
ああ、さっきの出来事は夢じゃなかったんだ。
そう考えつくと、私は小さく嘆息をする。
すると、まるでそれを見計らっていたかのように、病室の扉が開かれ、白衣を着た男性が入って来たのだった。
その後ろから、私の両親も入って来る。
揃って、どこか重い雰囲気を纏わせて。
その理由を、私はこの後すぐ、目の前のお医者さんから聞く事になるのだけれど。
お医者さんは、命があって良かったねと、そう言っていたけれど、本当に良かったんだろうか。
バイオリンを弾く上で、手はとても大事だ。
例え、弓を持つ方とは逆の手だとしても、そちらにはそちらの役割がある。
弦を押さえるという大事な役割が。
それなのに、目の前のお医者さんは、良かったねと口にする。
何で? 本当に良かったの? 確かに、命は助かったけれど……。
バイオリニストがバイオリンを弾けなくなったとして、それは別の意味での死を意味しないのだろうか。
例えば、泳げなくなった魚。空を自由に飛べなくなった鳥。
彼らは、それでも命があって良かったと喜ぶのだろうか……。
色んな考えが頭の中を巡り、上手く考えが纏まらない。
そんな私の様子をどう見たのか、お医者さんは疲れているんだろうと、両親たちにも退室を促がし、
私に良く眠るようにと言葉を掛けると、部屋を出て行った。
それを見送った後、私は動かない左手に意識を持っていくが、微かに動くだけで、自由に動かす事は出来なかった。
恐らく、まだ麻酔が効いているからだと言い聞かせ、私はゆっくりと目を閉じた。
次に目覚めた時、これが夢であることを心の何処かで祈りながら。
それとは別に、私の頭の中の冷静な部分が、これが現実だと告げていたが、それに蓋をして、聞こえない振りをして眠りについた。
次に目覚めると、やはりそこは病室で、ああ、夢じゃなかったんだと思いつつ、麻酔が切れたのか、
昨日よりも動くようになっていた左手に視線を移す。
現実というのは、時に残酷なもので、私は自分の左手が元通りに動かないんだなと、茫然と考えていた。



暫らくして、病院内を歩けるようになったりえは、リハビリを繰り返しながらも、
自身の左手に常に違和感を感じたまま、日々を過ごしていた。
それでも、リハビリだけは懸命に続ける。
医者の言葉を信じないというよりも、それは何か意地になっているようにも見え、両親は口にこそ出さなかったものの、
その顔は、目は酷く疲れたようで、静かな悲しみを湛えていた。
そんなある日の事、リハビリを終えたりえは、思うように動かない左手を憎しみにも似た目付きで見詰めた後、静かに屋上へと登る。
その横を歩くのは、りえの親友で見舞いに来ていた杉坂という女性だった。
杉坂に付き添われるような形で屋上へと姿を見せたりえは、そこに先客が居た事に気付かなかった。
尤も、その先客は人の気配を感じて、すぐさま物陰に隠れたのだから、それも仕方のない事だろうが。
そんな人物が居る事にも気付かず、りえはただ静かに眼下に広がる景色をぼうっと見詰めていた。
そんなりえの背中を、少し離れた所で、杉坂はただただ見守るしか出来なかった。
やがて、りえがその口を開き、ぽつりぽつりと話し出す。

「左手がね……。何か自分のものじゃないような感じなんだ……。
 でも、確かに、これは私の左手で、私の意志で動くの。
 ただ、思い通りには動いてくれなくて、ゆっくりと時間を掛けて動かそうとすると、
 ようやく左手が、本来の持ち主が私だと分かってくれて、それから動き出すような感じなの」

りえの言葉に、杉坂は何と言っていいのか分からず、ただ静かにその言葉を聞いていた。

「あはは、可笑しいよね。自分の左手なのに」

そう言うと、りえは自虐めいた笑みを見せながらも、尚も続ける。

「お医者さんはバイオリンを弾いた事はないから、もう弾けないって言うけれど、そんな事はないよね。
 だって、今までずっと、この手でバイオリンを弾いてきたんだよ……。
 リハビリだって、ちゃんと毎日してるんだもの。きっと、また弾けるようになるよね、きっと……」

寂しそうに呟いたりえの言葉が、ただ静かに空へと消えていく。
そんなりえの背後から、杉坂はそっと近づき、その肩に手を置く。

「りえちゃん、とりあえず、病室に戻ろう」

杉坂の言葉にりえは一つ頷くと、来た時と同じように、杉坂に付き添われるような形で、屋上を後にした。
二人が去って、静かな静寂が再び戻りつつある屋上に、物陰から一人の男が姿を見せる。
その人物──恭也は、頭を掻きながら、今しがたまでりえが立っていた場所を見詰める。
話していた内容は聞こえなかったが、何処か自虐めいた笑みを浮かべるりえの横顔が頭にこびり付き、中々忘れられずにいた。
自分よりも下に見える少女の、あの全てを達観したような、どうでも良いというよな瞳と共に。







恭也さんとの二度目の出会いは、杉ちゃんに連れて行かれた喫茶店での事だった。
何でも、かなり有名な喫茶店らしく、私が知らないと言うと、呆れた顔をしながら、
じゃあ、今から行こうと、笑いながら、私を引っ張って連れて来てくれた。
注文した商品を持って現われたのが、あの時に会った高町さんだった。
私が小さく驚いたような声を出すと、向こうもそれに気付いたのか、私を見て、前に会った事を覚えていたのか、
短く挨拶をしてきたので、私も同じく挨拶を返す。
それを見て、杉ちゃんがとても驚いた顔をしていた。
どうして、高町先輩と知り合いなのって!
ああ、やっぱり先輩だったんだって、呟いた後、簡単に説明をする。
と言っても、単に職員室で顔を合わせたというだけだけれど。
ただ、私の反応を見て、杉ちゃんは呆れたように、少し大げさとも取れるジェスターと共に息を吐き出した。

「全く、りえちゃんは本当に、噂に疎いと言うか、音楽以外の話には疎いと言うか……」

音楽という所で、少し詰まりそうになったけれど、もう大丈夫だという事は、杉ちゃんも知っているから、すぐに普通に話す。
それに対して、私は少し膨れっ面をしてみせつつも反論するが、
杉ちゃんは、いーえ、そんな事はあるときっぱりと言い放ってくれた。
聞けば、高町さんには本人非公式のFCが存在するらしい。
それすら知らなかった私は、杉ちゃんの言葉に反論する術を持たなかった。
だけれど、やられっぱなしというのも癪に障るので、無駄な抵抗を試みる。

「そんな事、知らない人は他にもいるわよ。
 第一、それを知らないからって、音楽以外には疎いとは限らないでしょう」

それに対し、杉ちゃんは、ただ小さく頷きつつ、そうだね、そうだね、私が悪かったと言う。
だけど、その笑みの浮かんだ顔を見る限り、本当には納得していないに違いない。
長い付き合いだもの、それはすぐに分かった。
けれど、それをここで言った所で、どうせまた、軽くいなされるだけだろうと、黙っておく事にした。
兎も角、高町さんとの二度目の出会いは、こんな感じだった。
出会いというよりも、一方的に私が知ったといった所だけれど……。







それから、入院生活を送り、ようやく退院した私は、家に帰るなり、早速、バイオリンの入ったケースを開ける。
大丈夫、大丈夫。リハビリも必死にしたし、日常生活には、さほど支障はないと言われたんだから。
私にとって、バイオリンを弾くという行為は、既に日常といっても差し支えのないものだもの。
だから、大丈夫。入院していた間は、練習が出来なくて、少し腕は鈍っているかもしれないけれど、
それはこれから練習を積み重ねる事で、すぐに取り戻せる。
だから、大丈夫、大丈夫。
まるで、何かの呪文のように、何度もそう言いながら、ゆっくりとケースからバイオリンを取り出す。
右手に弓を持ち、震える左手をそっと弦に当てる。
そして、ゆっくりと右手に握った弓を押し引くように動かして、左手で弦の調整を……。
調整を……。弦を押さえて……。

「何で……?」

私の口からは、自分が発したのかと思いたくなるような、低くしわがれた声が、ポツリと出てくる。
それでも、左手はまるで意地になっているかのように、バイオリンの弦を押さえようと力を込める。

「動いて……。ねえ、動いてよ! 動いて、弦を押さえて! お願いだから!」

悲鳴にも似た声を上げながら、私はぎこちなく動く左手に力を込める。
だけど、私の左手は、本来なら、バイオリンの弦を強く押さえているはずの左手は、ゆっくりと、本当にゆっくりと、
まるで、スローモーションのビデオを見せられているように、ゆっくりと閉じていく。
しかし、ある程度まで動くと、それ以上は力がはいらない。
まるで、自分の手じゃないみたいなその感覚に、私は不意に笑いたくなった。
口は笑みの形に動くのに、目からは止め処もなく涙が溢れ出てくる。
私は目から涙を流しながら、口を笑みの形に歪め、乾いた笑い声を喉から搾り出す。
足からは力が抜け、そのまま座り込むと、バイオリンをそっと床へと下ろす。
視界からバイオリンを隠すように、顔を横へと背け、俯くと、まだ流れ続ける涙を拭う事もせず、ただじっとそうしていた。
その日のことは、それ以降のことは全く覚えていないが、多分、バイオリンを仕舞って、部屋に閉じこもったんだろう。
それからの数日間、私は特に何もせず、ただぼうっとして過ごしていたと思う。
そんな私の元へ、入院してからもずっと毎日来てくれていた親友の杉ちゃんは、これまた同じように来てくれていた。
杉ちゃんには、入院している間に、左手の事は話してあった。
だからか、杉ちゃんは色んな話をしてくれる中、左手の事には触れてこなかった。
それは、多分、私がそう思っていたからだろう。
杉ちゃんは、昔から、私の言いたい事を分かってくれる所があったから。
そんな杉ちゃんが傍に居てくれたから、私も時間は少し掛かったけれど、元気になれたんだと思う。
一度、そう言ったら、杉ちゃんは顔を真っ赤にして、そんな事ないよって言っていたけれど、間違いなく杉ちゃんのお陰。
こうして、私は何とか日常へと戻ることが出来た。
それから、二人一緒の高校を受験して、見事に二人して受かったんだ。
そして、今は違うクラスになっちゃったけれど、毎日のように、一緒に登下校している。
本当に杉ちゃんが親友で良かった。







そうして、高校生活を過ごしていた頃、入学して、二ヶ月ほど経った頃だろうか、担任の幸村先生に呼ばれたのは。
幸村先生は、私の事、私がバイオリンをしていた事や、左手の事も知っていて、私を呼んだらしい。
不思議と、幸村先生に、私は全てを話していた。多分、先生の雰囲気のせいなのかもしれないけれど
自分が思った事、考えていた事なんかを。
全てを聞き終えた先生は、ただ静かな顔をして、今はゆっくりと休んだら良いって言ってくれた。
そして、ゆっくりと色々な事について考えれば良いって。
それから、幸村先生は、思い出したかのように、偶に、聞いてくる。
音楽をする気にはなったのか、と。
その度に、私はただ首を横に振るだけだったけれど







そして、三度目の出会い。
出会いと言えるのかどうかは分からないけれど。
だって、最初は高町さんはこちらに気付いていなかったと思ったから。
兎も角、私にとっては、決して忘れる事の出来ない出来事が起こった日。
本当に大切な日となった一日。
何故なら……。



その日、放課後遅くまで教室で話していたりえと杉坂は、外がかなり暗くなっている事に気付くと、慌てて教室を出る。
校門を出た所で、りえは忘れ物に気付き、杉坂に先に帰るように頼む。
しかし、予想通りと言うか、杉坂はここで待っていると言って、その場に留まった。
これ以上は、押し問答するだけ時間の無駄だと悟り、りえは急いで教室へと忘れ物を取りに行く。
職員室で、忘れ物をした事を伝え、教室の鍵を取ると、急いで忘れ物を回収する。
そして、再び職員室へと鍵を返し、待っているであろう杉坂の元へと急ぎ足で向かう。
その途中、たまたま道場の前を通りかかったりえは、中から声がするのに気付き、本当に何となしにそちらへと向かう。
何故、そんな事をしたのか、後になってもりえは分からなかったが、兎に角、その声が気になったのだ。
そして、少し空いている窓からそっと中を窺うと、二人の男子が木刀を手に、何やらしていた。
何やらというよりも、剣道部の道場で、手に木刀をしているのだから、剣道なのだろうが。
ただ、お互いに蹴りなども使っている事から、部活動を終えた男子がただ遊んでいるだけかと思い、
りえは呆れたような息を吐くと、その場を立ち去ろうとした。
しかし、二人の顔に見覚えがある事に気付いたりえは、そのまま、その場に留まる事になる。
一人は、杉坂から聞いた高町恭也という人物。
もう一人は、クラスメイトとの話の中で知った、剣道部のエース、赤星勇吾だった。
りえは、聞いていた話から、彼ら二人がふざけてこんな事をするような人物ではないと思っていたので、
意外とは思いつつも、じっと見詰める。
よく見ていると、素人のりえが見ていも、二人の打ち合いは凄まじいものだった。
恭也が部活動をしているとは聞いていないが、あの赤星と互角に打ち合えるのだから、剣道部に入ればいいのにとか考えながらも、
りえの目は、目まぐるしく攻守を交代して打ち合う二人に釘付けとなっていた。
どれぐらいの時間が経っただろうか、その打ち合いは終わりを見せた。
恭也の木刀が、赤星の喉元数センチの所で止められていた。
それを合図に、お互いにそっと距離を開けると、お辞儀をする。
赤星は恭也へと笑い掛ける。

「すまなかったな、高町。こんな時間に付き合わせてしまって」

「いや、気にするな。俺も、久し振りにお前とやりたかったからな」

「そうか。そう言ってくれると助かるよ。
 正直、思いっきり打ち合える相手が居なくてな」

「仕方がないだろう。お前の全力の一撃を受け止めてくれていた先輩たちも、受験生なんだから」

「まあな。既に引退した先輩たちを、引っ張り出す訳にもいかないしな」

「まあ、偶になら付き合ってやる。ただし、出来れば場所は家の方が助かるんだがな」

「ああ、分かってるって。まあ、どうしても今日、お前とやりたかったんだが、部活もあったからな。
 流石に、部活が終ってからお邪魔する訳にもいかないだろうし」

「そんな事を気にするな。お前が来るのなら、かーさんたちも喜ぶ」

「そうか。じゃあ、また今度、お邪魔するよ」

「ああ。……と」

話しながら、道場の掃除をしていた恭也が、ふいにバランスを崩したように、僅かに右に傾く。
それを見て、赤星は真面目な顔になる。

「痛むのか?」

「いや、問題ない。いつもの事だ」

「そうか、なら、良いんだが。あんまり無理するなよ。
 お前、右膝を壊したんだから」

「そういう事は、俺から一本取ってから言え」

冗談めかして言った恭也の言葉に、赤星も笑みを浮かべて返す。

「おお、言ったな! だったら、今すぐにでも取ってやるぜ」

「また掃除し直す事になるぞ」

「……また今度だな」

「ああ、そうしよう」

二人は残りの掃除も終えると、道場を出て行った。
出て行く途中、一度だけ恭也がこちらを振り向き、りえと視線が合ったような気がしたが。
りえは咄嗟に窓から顔を離し、隠れるように身を竦める。

(も、もしかして、覗いてたの気付かれたかな?
 う、ううん、大丈夫よね。暗くなっているし……)

そこまで考えたりえは、次いで赤星の言葉を思い出していた。
壊れた右膝。
なのに、どうしてあんなに楽しそうに剣を振るっていたのだろう。
りえは剣道の事はよく分からないが、あの二人の試合を見た限り、膝が壊れるというのは、かなり影響が出るはずだ。
そう、自分の左手と同じように。
それなのに、何で、彼は剣を手にするのか。
いや、右膝が壊れたからこそ、剣道部に所属していないのか。
でも、右膝が壊れていると言っていたが、りえの目にはその動きに可笑しな所は見えなかった。
そんな様々な事を考え込みながら、恭也の詳しい事情を知らないりえは、ただただ不思議でならなかった。
そんな風に考え込んでいたからだろうか、りえは後ろから声を掛けられるまで、その人物が近づいてきた事に気付かず。
また、後ろから遠慮がちに掛けられた声に、驚いたように飛び上がる。
それを見て、声を掛けてきた人物──恭也は、申し訳無さそうな顔を見せる。

「ああ、すまない。別に驚かせるつもりはなかったんだが」

「い、いえ、こちらこそすいません。別に覗くつもりはなかったんですけれど、声が聞こえたもんだから、つい」

「ああ、やっぱり、覗いていたのはあなたでしたか」

「えっ!? 気付いてらしたんですか」

「ええ、まあ」

「ほ、本当にすいません」

りえは思いっきり頭を下げる。
それを見て、恭也は少し慌てたように、気にしてませんからと、急いで顔を上げさす。
その時になって、恭也は目の前の少女の顔を目にして、小さく驚いたような声を洩らす。

「えっと、あなたは」

「あ、はい。何度かお会いしてますね。私は一年B組の仁科りえと言います」

「あ、俺は二年C組の高町恭也です」

お互いに挨拶を済ませると、恭也はりえへと話し掛ける。

「えっと、それでですね、今日、ここで見たことは出きれば……」

「あ、はい、分かってます。誰にも言いませんから」

りえの言葉を聞き、恭也はほっと安堵の息を洩らす。
そんな恭也に、りえは思わずといった感じで口から言葉が付いて出る。

「どうして、どうして高町さんは剣道をされているんですか。
 だって、右膝が……」

そこまで言ってから、はっとしたように口を噤むと、小さく謝罪を口にする。
それに対し、恭也は目の前の少女の様子や、病院でちらりとだが見た横顔を思い出し、何となく口にして答えていた。

「俺がやってきたのは、剣道ではなく剣術だ。
 それに、確かに君の言う通り、俺の右膝は剣士としては使い物にならないだろうな」

「剣術? 剣道とは違うんですか。
 ううん、それよりも、高町さんは、右膝が壊れた時、どう思いました?
 お医者さんには、何て言われました?」

何処が違うのかと言う疑問も浮んだが、りえは返って来ないと思っていた答えが返ってきた事に、更に違う事を尋ねる。
殆ど初対面だというのは分かっていたが、それでも、尋ねずにはいられなかった。
それに対し、恭也は少し考えた後、ゆっくりと話し出す。

「もう、剣を握る事はおろか、歩く事も出来ないと言われたな」

「えっ、歩く事も出来ないって、今……」

「まあ、ちょっと色々とあって、こうして歩いたりする分には殆ど問題はない。
 ただ、激しい運動をすると、痛むけれど……。あ、いや、痛みますが」

いつの間にか、親しい者と話すような言い方になっていた恭也は、慌てて言葉を直す。
それに笑い返しながら、りえは首を軽く振る。

「別にさっきまでの話し方で構いませんよ」

「そうか。えっと、何処まで話したかな……」

恭也は暫し思い出すようにしていたが、すぐに思い出したのか、続きを話し出す。

「正直、その時はかなりショックだったな。
 何せ、小さい頃からずっと剣を握っていたし」

「小さい頃から……。つまり、それって高町さんにとっては、凄く普通の事だったんですよね。
 剣を握るという事が、日常と言えるぐらいに」

「あ、ああ」

「それで……」

少し強い口調で詰め寄るように聞いてくるりえに、少し驚きつつも、剣を握るという部分に疑問を感じているのではなく、
もっと、他の部分が気になっている様子のりえに、恭也はそのまま続ける。

「正直、最初は信じられませんでしたよ。でも、松葉杖なしでは歩く事もままなりませんでしたしね。
 それでも、まだ信じられなくて、ある日、病院を抜け出したんです。
 それで、人のいない場所で、実際に今までのように刀を振るいました」

りえは真剣な顔付きのまま、ただ黙って恭也の語る話を聞く。
恭也も、そんなりえにゆっくりとだが、しっかりと話して聞かせる。

「結局、医者の言った通りで、今まで難なく振れていたのに、全く振れなくて。
 それでも意地になって何度もやっていたけど、遂には転んでしまって。
 まあ、そこで色々とあったんだけれど、そこは省くとして、結局は、病院に戻った。
 でも、母に抜け出した事を知られて、頬を引っ叩かれたな。
 その後、泣きながら抱きしめてくる母を見て、居た堪れなくなったのを覚えてる」

「でも、今は普通に歩けるという事は……」

「ああ。それこそ、死に物狂いでリハビリしたからな」

「どうしてですか? もう剣は握れないと分かったのに、どうしてリハビリを……」

「剣を握れなくても、他に出来る事があるかもしれないから。
 それに、例え、前のように剣を握れないとしても、ひょっとしたら、左足だけでも剣を握る事が出来るかもしれないから。
 可能性がまだあったからかな」

その恭也の言葉に、りえは少しだけ息を飲む。
そんな気配を感じつつも、恭也は静かに続ける。

「それに、何よりも俺にはまだするべき事があったから。
 例え、剣を握る事が出来なくなったとしても、
 それでも、まだ俺にはやらなければいけない事、伝えなければならない事があったんだ」

「伝えたい事って?」

その言葉に興味が惹かれたのか、りえはそう尋ね返す。

「不肖ながら、弟子が居るんだ。その弟子は、ただ強くなるために、俺の後を必死で追ってきている。
 だから、俺はその弟子に、道を示さなければいけないんだ。同時に、俺たちが振るう剣の意味も合わせて。
 これから先、俺を追い越していく弟子のために。
 だから、俺は少しでもその道の先に居て、そいつが追いつき、追い越してくるまで、走り続ける。
 それが、俺の夢だから……。それがあったから、リハビリも頑張れたんだと思う。
 俺自身が剣を握れなくても、そいつがまだ居たから。
 そいつが、俺の代わりに剣を握ってくれるから。
 俺にはそいつを育てるという、俺以上の剣士にするという夢がまだあったから。
 そいつに剣を教える事が出来るのは、俺だけだったしな。
 それに、上手くは言えないが、剣を握れなくなったからと言って、それまでの自分が否定される訳じゃない」

「でも、辛くはないですか? 剣が好きだったのに、もう振るえなくなって。
 それを、弟子の方に教える事しか出来ないのは。高町さんだって、自分で振りたいと思わなかったんですか」

「どうなんだろう。そんな事は考えてもいなかったな。
 別に、好きとか嫌いとかというのでなかったし……。
 それに、あいつに教えるのも悪くはない。
 出来は決して良いとは言えないが、教えればちゃんと努力して、成長していくのを見るのは楽しかったしな。
 それに、教える事で、俺自身も剣術に携わっているわけだし。
 ああ、そういう事で言うのなら、俺は剣術が好きということになるのかもしれないな。
 尤も、今はあいつに全てを教える事が一番楽しいとなるのかもしれないがな」

そう告げた恭也を見上げながら、りえは何か眩しいものを見るように目を細める。
何か憑物が取れたような清々しい笑みを見せながら、礼を言ってくるえりに、恭也は訳が分からないといった顔をしながらも、
その笑みに何処か見惚れる。
それを誤魔化すように、そっぽを向くと、恭也は話を変える。

「所で、こんな時間までどうしたんだ?」

「私は、ちょっと教室に忘れ物をして、それを取りに行った帰りで……。
 ……あっ!」

恭也の言葉で、えりは杉坂を待たせている事を思い出し、慌てて立ち去ろうとする。

「えっと、友達を待たせているのを忘れてましたので、これで失礼しますね。
 本当にありがとうございました」

「いや、さっきもそうだが、別に礼を言われるような事は……」

「良いんです。私が言いたかったんですから。それじゃあ……」

そう言って、恭也に背を向けるよりも早く、後ろから声が聞こえてきた。

「あー、りえちゃん、こんな所にいたんだね。
 もう、待ってても来ないから、探したじゃない」

「ごめんね、杉ちゃん」

「本当に……、って、そっちにいるのは……」

「あ、こちらは高町恭也さん。ちょっと話し込んじゃって……」

「は、話し込んだって、この間まで、知らなかったじゃ……」

「まあ、ちょっとあってね。それよりも、本当にごめんね。
 それじゃあ、高町さん、これで」

りえに合わせ、杉坂も高町へと頭を下げると、帰ろうとする。
そこへ、恭也が声を掛ける。

「もう暗いから、女性の夜道は危ないだろう。
 迷惑でなければ、送っていこう」

「そんな、悪いですし……」

「いや、気にするな」

「それじゃあ、お言葉に甘えて……」

どちらかと言えば、大人しいりえがすんなりと頷いた事に多少驚きつつも、杉坂は何も言わずに、りえの隣を歩く。
恭也もりえの隣に並ぶと、三人は揃って校門へと向かうのだった。







「恭也さん、ここにいたんですね」

物思いに耽ってた恭也に、明るい声が掛かり、それによって恭也は現実へと戻ってくる。

「あ、ああ、りえか。合唱部の方はもう良いのか?」

「うん。思ったよりも早く終わったから」

「そうか」

「所で、何してたの?」

「ん? ああ」

恭也は少し意地の悪い顔をすると、りえへと言う。

「俺がりえの事を好きだと宣言する所だったんだ」

「あ、そうなの。……って、えっ、えっ!? ちょ、な、何を言ってるの。
 そ、そう言ってくれるのは嬉しいけれど、皆が居る所で……」

「いや、その皆に聞かれたから、答えただけなんだが」

「と、とりあえず、事情を説明してよ」

「だから、俺がりえを好きだと……」

「あ、あ〜、もう、そんな恥ずかしい事を真顔で言わないでよ〜」

嫌がれば嫌がるほど、恭也が楽しがる事を分かっていないのか、分かってはいるが、今はそこまで思い至らないのか、
りえは顔を真っ赤にして、無意味に手を上下に激しく振る。
そんな反応を楽しみつつ、恭也がりえへと続けて言う。

「言わない方が良いのか? じゃあ、これからは言わないようにしよう」

「そ、そうじゃなくて、そりゃあ、言って欲しいけれど……。
 だ、だから、そういうのは二人っきりの時とか、その、雰囲気とか、色々とあるじゃない……」

「じゃあ、言っても良いんだな」

「う、うん、それは良いんだけれど……。い、今は駄目!」

「何でだ?」

「だって、他にも人が居るじゃない」

「そうか。りえは他の人には知られたくないのか……。
 それは残念だ」

「だ、だから、そうじゃなくて……」

いつ終るのかわからないやり取りを、再び現われた第三者が止める。

「りえちゃん、落ち着きなって。からかわれてるんだから」

「え、あ、杉ちゃん。からかわれてるって?」

そう言って、少し落ち着きを取り戻したりえの目の前では、恭也がいつもと変わらない表情で佇んでいた。
しかし、親しい者が見れば分かるだろう、微かに浮んだ笑みに、目が完全に笑っている事に。

「きょ、恭也さん!」

「ああ、すまない。つい、な」

「ついじゃありません!」

「いや、もっと早くに止めるつもりだったんだが、りえの反応が楽しくて、な」

「私は楽しくありませんでした」

「まあまあ、りえちゃんも怒らない、怒らない。
 高町さんが、こうやってからかうって事は、それだけりえちゃんに気を許してるって事なんだから。ね、高町さん」

「あ、まあ、そういう事だ」

からかわれるのには慣れていないのか、恭也はそう言われ、少し照れたように答える。
そんな恭也の反応に、りえと杉坂は顔を見合わせて笑い合う。
その二人を憮然と眺めつつ、恭也は大人しく口を閉ざすが、何か思いついたのか、顔をFCたちへと向ける。

「えっと、そういう事なんだが……」

「あ、はい、分かりました」

茫然としていたFCたちも、恭也の声に我に返ると、この場から立ち去って行く。
それを見届けた後、りえが小さく零す。

「本当にFCがあったんだ」

「りえちゃん、もしかして、私の話を信用してなかったの?」

一年近い前の話を思い出していたりえに、杉坂が少し拗ねたように告げると、りえは笑みを浮かべる。

「そうじゃないけれど、ほら、自分の目で見た事なかったから……。
 そ、それに、恭也さんも何も教えてくれなかったから」

「そう言われても、俺も今日初めて知った所だしな」

その言葉に驚くりえに、杉坂が言う。

「言ったじゃない。本人非公式だって」

「いや、でも……」

「ぶ〜、結局、私の話は信用されていないって事なのね……。
 うぅぅ、私は悲しいよ〜」

「ご、ごめんてっば。杉ちゃんのことを信用してない訳じゃないのよ。ね、ね」

「じゃあ、私の事、好き?」

「勿論だよ。だから、機嫌を直して〜」

「じゃあ、恭也さんよりも好き?」

「えっと、そ、それは……」

「うぅぅ。友情よりも愛情ですか……」

「あ、あはははは〜。でもでも、杉ちゃんの事も好きだから、ね、ね」

「良いのよ、無理しなくても……」

「杉ちゃ〜ん」

「……あ、あはははは。冗談だって、冗談」

「……もう、杉ちゃん!」

そんな二人のやり取りを微笑ましそうに眺めていた恭也の方へと、杉坂はりえを押す。
急に押され、倒れそうになったりえを、恭也が支える。

「杉ちゃん、何するのよ。危ないじゃない」

「ん? さっきからかったお詫びのつもりだったんだけど?」

平然と言ってのける杉坂の言葉に、りえは自分が恭也の腕の中にいる事を知り、真っ赤になって離れる。
それを見て、杉坂はつまらなさそうに言う。

「もうちょっと、くっ付いてたら良いのに」

「杉ちゃん!」

「あははは〜。恭也さん、りえちゃんを宜しくお願いしますね」

りえの言葉を聞かず、杉坂は恭也へと話し掛ける。
それに対し、また声を上げるりえだったが、それに構わず、恭也は一つ頷く。

「ああ、言われるまでもなく」

「きょ、恭也さんまで。二人して、からかわないでください!」

真っ赤になりながら、恭也へと顔を向けて言い放つが、その顔はその口調や言葉とは違い、微笑んでいた。





<おわり>




<あとがき>

今回は、このシリーズ初のパターン……だよな。
美姫 「女の子の視点ね」
おう。しかも、過去の出来事から始まるという。
美姫 「初の試みね」
おう。さて、今回は仁科りえちゃんだった訳だが……。
美姫 「うーん、予想外だったわ」
はははは〜。所で、りえ編で、仁科りえと何人が分かったのだろうか。
美姫 「正確には覚えているか、よね」
結構、出番のあったキャラだと思うんだけどな。
美姫 「まあ、メインではないからね」
確かにな。
美姫 「それはそうと、次は誰になるのかしらね」
誰にしようか考えつつ、また次回!
美姫 「じゃ〜ね〜」







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