2005年9月〜10月

10月28日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

…………ぼへ〜。

美姫 「……浩! 浩! 始まってるわよ」

ぼへ〜。

美姫 「もしもし〜」

お、おおっ!

美姫 「…ゴホンゴホン。それじゃあ、改めて…。美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜。

美姫 「本当に何とかしちゃって、始めるよ〜」

……式、すまん。

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーを使いつつ、いつもとは少し違う感じでお送りします>



にしても、本当に更新するとは…。

美姫 「うふふふ〜。有言実行〜。しかも、今回は公開放送〜」

って、単に式がいるだけのような気がしないでもないが…。

美姫 「それは言わない約束よ。それはそうと、どれぐらい進んだ?」

くっ! 本当に手書きで書かせやがって。
お陰で、腕が、腕が〜〜。

美姫 「はいはい。後は、これをテキストに打ち直して、アップするだけね」

鬼だ、鬼がいるよ。

美姫 「にしても、一週間で一本は少ないわね」

無茶言うなよ、お前。

美姫 「そっか、ここでやれば良いんだ。ほら、どうぞ」

こらこら。

美姫 「ほれほれ〜」

う、うぐぬぬぬぬ。頬を突っつくな!
仕方ない、そこまで言うのなら、ショートショートだ!

美姫 「良いわよ〜、やれやれ〜。って、何だかんだと言って、結構、やる気?」

そうでもないが、一週間ばかり書いてないせいか、久しぶりにちょっとな。

美姫 「うんうん、いい心掛けね。それじゃあ、ショートショートやってもらおうかしら」

おう! 今回はToHeart2で。

美姫 「いや、ちょっと待って! 何故に新ジャンル?」

あ、あははは〜。何となく思いついただけだって。
別に、新たにSSは流石に書かないって〜。
ここでのショートショートネタだえだって。

美姫 「ふ〜ん(ジトー) まあ、良いわ。それじゃあ、行ってみよう〜」



「おーい、タマ姉〜」

夕暮れの町中で、一人の少年が誰かを探す声が聞こえてくる。
少年は辺りをキョロキョロと見渡しながら、もう一度その名を口にするが、それに対する返事はない。
先程から随分と探しているのに、全く手掛かりらしきものもない事に少年は疲れたように溜め息を吐き出そうとして、
前方の方から歩いてくる人影に目を留める。
よく知るその人物に、件の人物を見なかったか尋ねようと近づき、

「丁度、良かった。この辺でうちの…」

美姫 「ちょぉぉぉっと待った!」

こらこら、途中で邪魔するなよ、お前。

美姫 「いや、何か嫌な予感がしたからさ」

何だよ、それ。

美姫 「まさかとは思うけれど、『うちのタマ(姉)知りませんか?』とかやらないわよね」

…………ふぅ〜、久しぶりに書いて疲れたな。

美姫 「やっぱりなの! この馬鹿は! そんな懐かしくもありきたいりなギャグなんかするな!」

ぐげっ、げびょ、げにゅぅぅぅ……。

美姫 「ふ〜、ふ〜」

ひ、酷い……。

美姫 「酷くないわよ! これはもう良いから、次よ、次!」



夕暮れに染まる瀬津学園の校庭。
その横を歩く一人の…

美姫 「こらこらこら! これもたまでしょうが!」

くっ。もう少し待ってから止めろよ。

美姫 「嫌よ。で、次はどのたまが出てくるのかしら?」

あ、あはははは〜。せめて、もう一回するまで待つのはお約束じゃないのか。

美姫 「知らない」

う、うぅぅぅ。

美姫 「はぁ〜、何か疲れたわ。とりあえず、CM〜」







(ああ、駄目だ。これは死んだな)

下校途中に交差点に飛び出してきた子供を神速を使って助けたまでは良かったが、
元々膝に故障を抱える身では、少し無理をしたらしい。
恭也は子供を歩道へと押し返すことは出来たものの、
自らは膝の痛みにより動きが鈍った所で神速の領域から出てしまった。
そして今、恭也の目の前には大きな鉄の塊が迫りつつあった。
目前の死を前にしつつ、恭也は目を閉じると、遅い来る衝撃へと備えるのだった。

……………………
………………
…………
……


思ったよりも軽い衝撃を不審に思いつつ、何やら騒々しい声に目を開ける。
と、そこは先程までいた道路ではなく、見渡す限りに緑が広がる草原だった。
呆然と周りを見渡す恭也の下から、先程から聞こえてくる甲高い声が聞こえる。
ふと、目をそちらへと向ければ、丁度、恭也が下敷きにするような形で小さな少女の姿があった。

「ちょっと! 気付いたんなら、さっさと退きなさいよね!」

少女の言葉に恭也はその場を退き、すぐ横へと腰を降ろすと、その少女を呆然と眺める。
恭也にじっと見られる形となった少女は、その小さな体を恭也の眼前へと浮かび上がらせると、
腕を組んで大仰に何度も頷く。

「うんうん。私のあまりの美しさに、言葉も出ないのね。
 良いわよ、気が済むまで私の美しさを堪能なさい」

恭也の眼前で羽をぱたつかせながら言い放つ少女へと、恭也は呆然としたまま口を開く。

「ひょっとして、妖精とかいう奴か?」

「ひょっとしても何も、見たら分かるでしょう」

何を言っているんだ、こいつは。
といった顔で恭也を見詰める妖精の後ろから、のんびりとした声が聞こえてくる。

「フィリー、どうやら彼は異世界から来たみたいですよ。
 ひょっとしたら、彼がいた世界では妖精は存在していないのかもしれませんね〜」

「あ、ロクサーヌ。確かに言われてみれば、着ているものも変だわ」

フィリーと呼ばれた妖精は、改めて恭也の服装を見るようにその小さな体で恭也の周りを飛び回る。
フィリーとロクサーヌの会話を聞いてた恭也は、ロクサーヌへと顔を向けると、

「異世界? ここは異世界なんですか?」

「ええ、恐らくあなたから見ればそうなるでしょうね」

「……だとすれば、どうすれば元の世界に帰る事が出来るか分かりませんか」

「ふむ。そうですね……。魔宝なら恐らく…」

「魔宝?」

「ええ。持ち主の願いを叶えてくれると言われる宝です」

「それは何処に?」

「その前に、一人でそこに行くのは危険ですよ。
 あなたの世界ではどうかは知りませんが、この世界では獣人やモンスターと呼ばれる凶悪な存在がいますから。
 その上、あなたはこの世界の事を何も知らないですし」

「それでも…」

ロクサーヌの警告を受けても尚、魔宝を求める恭也に一つ頷くと、ロクサーヌはフィリーへと視線を向ける。

「フィリー、彼の手伝いをしてあげてください」

「えー…って言いたい所だけれど、仕方ないわね。
 私が手伝ってあげるわ」

「ああ、ありがとう」

「それじゃあ、この近くにパーリアの街があるから、そこで他にも手伝ってくれる人が居ないか探しましょう」

「しかし、危険な事に他人を巻き込むのは…」

「何を言ってるのよ! あなたと私だけじゃあ、それこそ無理に決まってるでしょう。
 だから、協力者を探すのよ。勿論、危険だって事は隠さずに話した上で、協力してくれる人をね」

「そうだな。俺はこの世界の事を全く知らないし、ここはフィリーの言う通りにするよ」

「分かれば良いのよ。そうと決まれば、早速仲間探しよ!」

こうして、恭也とフィリーの長い長い旅が幕を開けるのだった…。

エターナルハート 第一楽曲「ここは何処? あなたはだぁれ?」 近日…………。







美姫 「さて、それじゃあ、近況報告〜」

パフパフドンドンドン〜。

美姫 「いやー、色んな人からPC破壊の件ではありがたい励みを頂いて」

ありがとうございます。って、破壊って何だ、破壊って。
まさか、お前が壊したのか!?

美姫 「まさか! 浩を壊しても、PCは壊さないわよ!」

いや待て! そっちの方こそ、待て!
お前、俺よりもPCが大事か!

美姫 「うん」

って、分かっていたけれど即決かよ!

美姫 「じゃあ、……うん」

って、少し間が空いただけで、返答は一緒かよ!

美姫 「や〜ね〜、冗談よ、冗談♪」

いや、さっきの目はかなり本気だったぞ。

美姫 「ほらほら、それよりも新しいPCはどうなったの?」

おお、そうだった。
新しいPCは来週末の予定。
だから、その次の週の月曜か火曜にはようやく通常通りに戻るはず。

美姫 「データは戻らないけれどね」

う、うぅぅぅ。お前、俺を落ち込ませて面白いのか?

美姫 「……うん♪ どうどう? さっきの反省を活かして、即決はしなかったわよ」

シクシク…。そんな所だけ学習されても…。

美姫 「とりあえず、後一週間と少しの辛抱ね」

そういう事だ。

美姫 「…って、来週もまた公開放送ね!」

……お休みという選択も。

美姫 「それはないわ」

だよな……。

美姫 「それじゃあ、また来週ね〜」

ではでは。


10月21日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜。

美姫 「何とか頑張って、始めるよ〜」

う、うぐぬぬぅぅぅぅ。体のあちこちが痛い……。

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーよりお送りしています>



う、うぅぅぅ、ひ、酷い。

美姫 「どうしたの、浩? 疲れた顔して」

して、じゃない!
お前が、このコーナーを更新させるためだけに、俺をこんなにしたんだろうが!

美姫 「何よ〜、ちょっと剣で突っついて、斬って、突き刺して、貫いて、斬り落としたぐらいで」

いや、充分に凶悪ですから。
って、Kにもかなり無理させて…。

美姫 「大丈夫よ、今ごろはその辺で寝てるわ」

気絶とも言うな。

美姫 「失礼ね! 浩に対するよりは、何百倍も優しく撫ぜただけじゃない」

ははははは〜。俺って、いつもあれの何百倍も喰らってたのか……。

美姫 「さて、SSの状況はって聞きたいところだけれど」

う、うぅぅぅ、グスグス。凹む〜、へ込む〜、へこむ〜、ヘコム〜。
書きかけのSSがぁあぁぁ! もうすぐで書き終わるSSがぁぁぁぁ!
長編の今後の予定がぁぁぁぁ! エンディング部分がぁぁぁぁ!
全部、全部、消えたよ〜〜!!

美姫 「はいはい、よしよし。原因不明のパソコンの故障ね」

だって、SSを書いていたら、いきなり電源が落ちて、もう立ち上がらない。
式に見てもらっても、ハードディスクのフォーマットすら破損がどうこう言われて出来ない始末。
おまけに、まったく立ち上がる様子もなく。

美姫 「完全にハードの故障。しかも、その際に電流が流れたのかしらないけれど、
    丁寧にハードディスクまで壊してくれたのよね」

うぅぅ。式が自分のパソコンにハードディスクを付けて見てくれたり、
自分のハードディスクを俺のハードディスクを取った状態のパソコン付けてみたりしてくれたみたいだけれど…。

美姫 「どれも立ち上がらなかったのよね」

うぅぅ、ハードもハードディスクもパー。

美姫 「まあ、新しいパソコンが来るまでの我慢よ」

って、とんだ出費じゃ!

美姫 「どうどう。とりあえず、CM〜」

って、待て待て。だから、ネタSSのデータも消えてるんだって。

美姫 「うふふふ、大丈夫よ♪」

ま、まさか、バックアップしてくれてたのか?

美姫 「ううん。アンタが作ったんだから、アンタの頭の中にはあるでしょう♪」

覚えてるか!

美姫 「つべこべ言っている暇はないのよ! という訳で、CM〜」

って、いや、マジで無理だって!







穏やかな気候と、ゆっくりと時が流れていく錯覚すら覚えるほど風情が残る町、海鳴。
物語は、この海鳴から始まる。
この世界には、一般の人々が知らない、科学では説明できない、そんな不思議な事が意外とあったりするものである。
そんな不思議の一つとして、この物語は綴られていく。



『リルム』と呼ばれる世界には、
彼女たちが『ワンダーランド』と呼んでいるこの世界を、自分の思うままに作り替えようと思う者たちがいた。
そんな者たちから、この世界を守る役目を持つ『管理者』と呼ばれる者がいた。
その者の名は、アニエス・ベル、こっちの世界での名は、浅羽嬉子といった。

「嬉子さん、これ3番テーブルね〜」

「はい、店長」

嬉子は、平日の昼間は翠屋という喫茶店でバイトに精を出し、夜は魔法少女となって頑張っていた。
しかし、そんなある日の夜……。

「うぅ、このままだと……」

地面へと倒れこむアニエスの目に、一人の女性の姿が映る。

「嬉子さん、どうしたの一体!?」

「て、店長。あ、その、こ、この格好には事情がありまして…」

「そんな事よりも、大変! 怪我はないの」

「え、ええ」

この可笑しな出会いにより、桃子は何故か不思議な世界へと巻き込まれることとなる。

「あ、あははは〜。流石に、この格好は恥ずかしいわね」

「一応、魔法少女ですから、その辺は我慢してください」

「まあ、仕方ないんだけれどね。でも、うちの子達には絶対に見せられないわね……」

こうして、桃子の管理者の手伝いというもう一つの生活が始まるのだった。



店長は魔法少女? 第一話「管理者の手伝い始めます、ということ」 乞うご期待??



「…………かーさん、その格好は……」

「ち、違うのよ、恭也、これは違うの! って、そんな生易しい目で見詰めながら、去らないで〜!」







美姫 「で、投稿の方なんだけれど…」

ああ、これは今まで通りで構いません。
ただ、アップするまでの日数がちょっと掛かっちゃいますけれど。

美姫 「まあ、自分のPCがないから仕方ないわね」

うんうん。という訳で、投稿して下さっている皆さん、いつも通りで問題ありませんので〜。

美姫 「にしても、その間のSSの更新がね〜」

まあ、こればっかりはな。

美姫 「とりあえず、出来る範囲で書くということで」

…まさかとは思うが、手書き?

美姫 「うん♪ ペンと紙があればOK〜。で、書けたら、式にテキストにしてもらえば大丈夫!」

うわぁ〜い、目から大量の水が溢れてくるよ。

美姫 「そうと決まれば…」

いや、待て! いつ決まったんだよ!

美姫 「今、私が、ここで、決めたのよ♪ 文句でも?」

あ、あははははは〜。あ、ある訳ないじゃないか〜。

美姫 「そう、良かったわ♪」

え、えっと、それじゃあ、また次回まで〜。

美姫 「違うわよ。来週よ、来週」

おお〜い、来週はまだPCが無いと思うぞ。

美姫 「大丈夫よ。今日みたいにKの家からお送りすれば良いから」

……。

美姫 「あ、式の家の方が、すぐにアップできるから、そっちでしようかしら」

どっちにしろ、来週にもちゃんと更新する気なんだな……。

美姫 「当たり前よ! という訳で、また来週〜」

ま、また来週……。


10月15日(土)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜。

美姫 「一日遅れで、はじまるよ〜」

お、俺の所為じゃないぞ。

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーからお送りしています>



はぁ〜、疲れた、疲れた。

美姫 「疲れた、疲れたじゃない!」

ぐぅ!

美姫 「何で、土曜日の更新になってるのよ!」

お。俺の所為じゃないぞ。

美姫 「じと〜」

うっ。す、すいません、嘘を吐いてました。
アップするのを忘れておりました。

美姫 「はぁ〜、バカ、バカ、バ〜カ〜」

グスグス…。

美姫 「で、SSの方の進み具合はどうなのよ」

グスグス。それには触れないで…。

美姫 「ぶっ殺されるのと、あの世を覗き見てそのまま移住っていうのと、あの世への片道切符を買うのと、どれが良い?」

どれも同じに聞こえるのは、気のせいでしょうか?

美姫 「耳まで遠くなったの? 全然、違う言葉じゃない」

いや、言葉はそうなんですが、意味が…。

美姫 「な〜に?」

う、うぅぅぅ。美姫〜、許してくれ〜。

美姫 「ちょ、鬱陶しいから抱きつかないでよ!」

ふげっ!

美姫 「とりあえず、CM〜!」







鬱蒼と木々が生える林の中、一人の少年が息も荒く立っている。
薄く差し込んでくる月光にその姿を浮かび上がらせ、油断無く周囲を窺う少年の耳に、前方から微かな物音が届く。
少年が気付くと同時、少年が見据えた先の繁みより、丸い物体が飛び出す。
全身を剛毛に覆われ、その瞳を紅く輝かせたソレは、鋭い牙の立ち並ぶ口を大きく開けて少年へと向う。
その生き物の姿形は、地球上のどんなものにも分類できるようなものではなかった。
しかし、それを見据える少年の目には、それに対する疑問も、ましてや恐怖さえもなかった。
少年は手に握り締めた小さな紅い球を指先で持つと、手をソレへと掲げ上げる。
少年が翳した手の前の空間に、光り輝く壁が現われ、今正に少年へと噛み付かんとしていたソレは弾かれる。
壁に弾かれ、地面へと叩きつけられたソレは、この場から逃げ去るようにそのまま繁みの奥へと姿を消す。
その後ろ姿を力なく見詰めながら、少年は力尽きたように地面へと横たわる。
少年の掌から、先程まで握り締めていた紅い球が転がり落ち、少年の頭元に転がる。
と、少年の姿がぼんやりとした輝きに包み込まれていく。

「駄目だ…。魔力がもう…」

光が収まると、そこには先程いたはずの少年の姿はなく、フィレットに似た小動物がその身を丸めていた。
その頭元には、あの赤い球が転がっており、一瞬だけ輝く。
フィレットは力なく頭を持ち上げると、すぐに力尽きたかのように、地面へとその身を横たえる。
薄れゆく意識の中、不特定の誰かへと声に出さずに呼びかけながら、意識を手放した。



何処とも知れないまるで洞窟を思わせるような風景が広がる、
ただ、天然に出来上がったものではない事は、ローブにマントという出で立ちをした女性が立つ、
綺麗に整えられた足元の床を見るとすぐに分かる。
ローブの女性は冷ややかな眼差しに何の感情も込めず、自らの先で膝を着く一人の女性を見下ろす。
ローブ姿の女性の視線の先では、十代半ばと思われる茜色の長く美しい髪の女性が息も絶え絶えに視線だけは鋭く、
自分を見下ろしてくる女性を睨み返す。
その若い女性の耳は、普通の人のソレとは違い、ふさふさとした毛並みをしており、何か犬科の獣特有の形をしていた。
そして、同様の毛並みで覆われた尻尾が、力なく床へと垂れている事から、純粋な人ではないのかもしれない。
と、その獣耳の女性と対峙するローブの女性は気だるげに手を持ち上げると、そこに何かしらの力が集まり出す。
それを見た若き女性は咄嗟に両手を床へと着き、何やら呟く。
と、若い女性を中心に淡い光で描かれた四重円が浮かび上がり、外側の二つの円と、内側の二つの円、
それぞれの間に様々な文字が浮かび上がり、その円周上を回る。
外側の二重円の内側には、二つの四角形が内側の二重円を囲むように浮かび上がり、それぞれ逆方向へと回転する。
女性の掌から放たれたエネルギーの放出とほぼ同時に、獣耳をした女性もその行動を終える。
立ち上がる煙と爆音が狭い空間に巻き上がり、ようやくそれが収まると、そこには獣耳の女性の姿はなかった。
女性はそれにさえ、何の感慨も抱かず、ただその獣の耳をした女性が居た所に先程まではなかった、
人一人が通り抜けられるような穴を見詰めて、静かに呟く。

「逃げたのね。まあ、良いわ」

それっきり興味を無くしたのか、女性はマントを翻すと、この場を立ち去る。
後には、ただ静寂のみが残された。

ローブの女性の攻撃から逃れた獣耳の女性は、空中、──どうやら、この女性が居た所は空中にあったらしく、
女性が落ちてきたと思われる所には、大きな城が浮んでいる──、を落下しながら、そっと目を閉じる。

「駄目だ。私の力じゃ、あの子を救えないよ」

自分がこのまま地面に激突するかもしれないという事は考えていないのか、獣耳の女性の脳裏には、
大事なたった一人の主の顔だけが浮んでいた。
主の事だけを考え、その為に出来得る限りの事をしようと落ち行く身で女性は懸命に祈るように呟く。



「「お願い、この声が聞こえたら、誰か助けて!」」



――それは、小さな出会いがもたらした不思議なお話

「僕の名前はユーノ。ユーノ・スクライア」

人語を話すフィレットから、なのはは魔法の杖レイジングハートを授かる。

「なのは、落ち着いて思い描くんだ。君が扱うレイジングハートの形を。
 そして、その身を守る防護服を」



──それは、おかしな縁がもたらした奇妙な物語

「お願いだから、あの子を助けてあげて。
 その為の力を、リニスから貰ったこのデバイスをアンタにあげるから…」



平凡な小学三年生だった高町なのはは、不思議な生き物との出会いにより、ちょっと変わった出来事に巻き込まれていく。


「…風は空に、星は天に、輝く光はこの腕に、不屈の心はこの胸に!
 レイジングハート、セーットアーップ!」

「す、凄い。何て魔力なんだ…」



自称、平凡な大学一年生だった高町恭也は、奇妙な生き物との出会いにより、不思議な運命に巻き込まれていく。

「魔法? そんなもの、生まれてこの方、使った事などない。
 とりあえず、人に害なすというのなら、斬る!」

「…魔法の杖が剣の形状に!? 何て滅茶苦茶な!」



ジュエルシードを巡る物語が、今ここに幕を開ける。

手にしたのは魔法の力 胸に宿したのは小さな願い
想いは力に 力は勇気に

魔法剣士リリカル恭也&なのは!?
第一話 「縁は異なもの不可思議なもの、なの!?」







美姫 「さて、今回は土曜日というイレギュラーな更新だったけれど…」

うんうん、野球中継延長のためって奴だな。

美姫 「全然、違うわよ。単にアンタの所為でしょうが」

う、うぅぅ…。

美姫 「で、来週はちゃんと金曜日の更新でしょうね」

た、多分。

美姫 「あのね〜」

あ、あははは〜。
と、とりあえず、また来週〜。

美姫 「はぁ〜。まあ、いっか。もしもの場合は……うふふ」

ゾクゾク(さ、寒気が! い、嫌な予感がひしひしと!)

美姫 「それじゃあ、また来週ね〜」


10月7日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜。

美姫 「はじまるよ〜」

えっ! 本当に!?

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーを奪い取ってお送りしています>



とうとう10月〜。

美姫 「今年も後、数ヶ月。本当に早いわね〜」

ああ、本当に早いな〜。
時間がもっともっとあればな〜。

美姫 「本当よね〜。それはそうと〜」

ん? 何々?

美姫 「SSの進行はどうなのよ」

……あ〜、今年も残り僅かか〜。

美姫 「こらこら」

へいへい、分かりましたよ。
とりあえず、とらハ学園、マリとら2nd、DUEL TRIANGLEを書きかけ。
恐らく、次のアップはこのどれか、だと思う、多分、恐らく。

美姫 「いや、何でそこで言い切らないのよ」

いや、だって、An unexpected excuse辺りが出来上がるかもしれないし…。

美姫 「いや、まあ、アンタの事だから、予定通りに行くとは思ってないけれど、それにしても全く分からないってのもね〜」

あはははは、そこはもう、諦めろよ。

美姫 「って、自分で言うな!」

ぐぅぅ。

美姫 「まったく、このバカわ」

つつっっぅぅ。もう少し加減してくれよな。

美姫 「充分してるでしょう」

さいでっか。

美姫 「ったく、バカ言ってないで、さっさと書き上げるのよ」

了解! それじゃあ、とりあえずはCM〜。







地図を広げて探してみても、何処にも乗っていないという村、チャルキキ村。
そこは日本の北の北の最果てで、辺り一面は真っ白な世界に包まれた、まさに銀世界。
そんな村に建つ聖真学園で、この物語は静かに始まる。

「さ、寒い……」

それがこの村に足を踏み出しての最初の一言だった。
今日からこの村にある聖真学園へと転校してきた高町恭也は、辺りを舞う雪を見上げつつ、ゆっくりと白い息を吐き出すのだった。



その日の夜、恭也が自室で荷物の片づけをしていると、外からドサという軽い音が聞こえる。
恭也が外へと出て見ると、白い地面に横たわる一人の女性の姿があった。

「……まさか行き倒れか。それに、この羽根は?」

名前以外の記憶を失った自称天使の女性、ミルフィーは、助けられた恩返しにと記憶が戻るまでの間、
恭也の世話を買って出るのだった。



「ゆーな、神代ゆーな。こっちは友達のまるるだよ!」

恭也のクラスメイトで、元気一杯の少女、神代ゆーなや、

「恭也〜、勝負よ! 喰らえ、御堂流剣術、神龍烈波斬!!」

恭也と勝負をしたがる隣りのクラスで真面目な学生会長にして女剣士、御堂サキ、

「恭也さま〜、本日は〜、大変お日柄も良く〜」

日本一のお金持ちと言われる麻宮財閥の一人娘、麻宮愛華など、他にも様々な人々と出会い、
恭也の日常は騒がしくなっていく。
そして、その裏で蠢く黒い影……。

〜SNOW HEART〜







美姫 「ねえねえ、そう言えばさ」

何だ?

美姫 「私が活躍するSSがないんだけれど」

何を今更。

美姫 「だって、オリジナルの方は全く書いてないじゃない」

まあ、そうなんだが…。だけど、それを言ったら、あっちでもお前の出番ってないぞ。

美姫 「そ、そんなぁ! じゃあ、私はいつになったら、本編に出れるの?」

いや、お前の本編の出演はないから。

美姫 「そ、そんなのって、あんまりよ〜〜!」

イテッ! いていていて。
何を言ってるかな、お前は!

美姫 「うぅ、私も本編に出たい〜」

あー、はいはい。

美姫 「何でそんなに投げやり!?」

いや、だってね〜。オリジナルの方って、殆ど書いてないし。

美姫 「それはそうよね」

ぐっ。納得されるのも辛いな。

美姫 「まあ、仕方がないから、今まで通りで我慢してあげるわよ」

我慢って……、いえ、何でもないです。
ありがとうございます。

美姫 「うんうん。私ってば、寛大よね〜」

違う、絶対に違う……。

美姫 「と、そろそろ時間ね」

だな。

美姫 「それじゃあ、また来週ね〜」

さらばじゃ〜。


9月30日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜。

美姫 「はじまり、はじまり〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーを使ってお送りしています>



美姫 「大分、涼しくなってきたわね」

ああ。でも、偶に日中は暑いけれどな。

美姫 「それも、もうすぐでお終いよね」

うん、うん。

美姫 「それはそうと、もうすぐでマリとら2ndも終りね」

あと少しだな。頑張って最後まで書かなければ。

美姫 「うんうん。良い心掛けよ。ついでに、執筆速度も上がれば言う事なしなんだけれどね」

あははは〜。

美姫 「まあ、それは言っても仕方ないか」

そうそう。

美姫 「って、威張るな!」

むぐぅ。

美姫 「さて、オープニングトークもこの辺りにして」

CMだな。

美姫 「そうよ〜。じゃあ、CM〜」







ある日の早朝。
恭也は自宅にある父親の書斎へと呼び出される。
いつになく真剣な表情で、入って来た恭也を自分の前へと座らせる。
そこに息子が正座した事を確認すると、士郎はゆっくりとその口を開く。

「さて、今日からお前も高校生だな」

「はい」

士郎の雰囲気から、親子としての会話ではなく師弟としての口調に変わって答える恭也に、士郎は一つ頷く。

「そうか。早いもんだ。お前ももう16になるのだな。
 そして、それはつまり、隣りの美由希様も同じく今年で16になるという事だ」

昔から隣り同士で、同い年なんだから当たり前の事だろう。
それを何を今更と言った顔をする恭也だったが、士郎の言葉に可笑しな部分を見つけ、尋ね返す。

「美由希……様?」

「そうだ。さて、恭也。今日、お前を呼んだのには意味がある」

更に真剣さを増す士郎の態度に、恭也も姿勢を改めて正し、じっと士郎の言葉に耳を傾ける。

「我が高町家には代々受け継がれてきた秘密がある。
 まず、高町という姓は仮のものだ。本当の名は不破という」

「不破……」

「そうだ。そして、我ら不破一族は代々、御神家を守る立場にある。
 時には盾に、時には剣にな」

「まさか、その為の剣術?」

「その通りだ。我ら不破は、影より御神の方々をお守りするのがその務め。
 そして、それはお前にも言えるのだ。御神宗家の跡取が16となる時、そのお方には秘密で不破の者が一人影として付く。
 此度、御神の姫君であらされる美由希様が16才となられる。よって、不破であるお前に、その影の任が降りる。
 良いか、恭也。お前は今日から、美由希様の影となり、あらゆる事柄から美由希様をお守りするのだ。
 勿論、当人に気付かれぬようにな」

「分かりました。それが我が一族の使命ならば」

士郎の言葉に恭也は恭しく頭を下げ、その任を引き受ける。
次に顔を上げた恭也へと、士郎は二振りの小太刀を差し出す。

「これは?」

「それは、御神家の影となった者が持つ小太刀、八景だ。
 その八景と、今まで私がお前に教えてきた技を持って、美由希様をしっかりとお守りしろ」

「はい」

「さっきも言ったが、本人には秘密ゆえ、今までと同じように接するんだぞ」

「分かりました」

恭也はもう一度頭を下げると、士郎より受け取りし八景を手にし、書斎を後にする。
こうして、恭也の影としての任務が始まる事となる…。



「あれが、御神の姫か」

突如現われる怪しい影。

「恭ちゃん、何かいつもと様子がおかしくない?」

恭也に密かに守られる御神の姫君、御神美由希

「そうか? よく分からないけど」

特に目立つような事もなく、ごくごく平凡な学生にして、美由希の幼馴染、高町恭也

「美由希様の盾となりてその身をお守りし、剣となりて敵を切り払う、美由希様の影、不破恭也。
 いざ、参る!」

不破の任務により、御神の姫君を守りし影、不破恭也

美由希を中心として、様々なドタバタ学園生活が始まる中、知らず襲いくる刺客たち。
平凡な学生高町恭也という顔と、御神の姫を守る影不破恭也としての顔を持つ、恭也の二重生活が今、幕を開ける。

御神の影(仮) 近日……?

ずっと守ってくれますか…







美姫 「さて、CMも終わった所で…」

進んでません!

美姫 「……はい?」

だから、全くと言って良い程、SSが進んでません!

美姫 「……正直言ったのは偉いわ。でもね……。威張って言うな!」

へろぼぅ!

美姫 「この馬鹿、馬鹿、おバカ!」

ぐげっ!

美姫 「反省しなさい! 反省を!」

……反省。

美姫 「……こぉぉぉぉぉんのぉぉぉぉぉぉ、大馬鹿者!」

ひげろぎぇぇぇっ!

美姫 「はぁ〜、はぁ〜。さて、分かってるわね」

ふぁ、ふぁぁい。
缶詰ですね……。

美姫 「クスクス。今夜は寝かさないわよ〜」

グシュグシュ。

美姫 「それじゃあ、また来週ね〜」

さようなら〜。また来週、無事で会えますように〜。



<この番組は、PAINWESTの提供でお送りさせられてます>


9月23日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜。

美姫 「はっっじまよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーをぶん取り、お送りしています>



美姫 「今日は秋分なんだって」

そう言えば、そんな日だな

美姫 「もう秋ね〜」

秋と言えば、睡眠の秋!

美姫 「それは初耳よ。一体、どんな秋よ。あ、説明はいらないわよ」

……くすん。
まあ、美姫は食欲の秋だろうな。

美姫 「この馬鹿!」

ふごっ! 台詞的に、そこは可愛らしくビンタじゃないのか?
何故に、鞘で横殴り?

美姫 「刀を抜いた方が良かった?」

いえ、鞘のままで良いです…。

美姫 「で、何の話だっけ?」

えっと、美姫は食欲の…。

美姫 「馬鹿!」

ぐげっ! ……って、二度もするな!
しかも、今回のは、お前が聞いたから答えたんであって。

美姫 「冗談よ、冗談〜♪」

冗談で、あの威力は洒落にならないぞ。ったく。

美姫 「まあ、それは兎も角、やっぱり読書の秋でしょう」

…………。

美姫 「なんで黙るのよ」

いや、何か以外に普通だったから。

美姫 「失礼ね。まあ、そういう事だから、さっさとSS書いてね」

どこがどうなって、そうなる?

美姫 「同じ読むものじゃない。まあ、出来はともかくね」

グサグサグサ。シクシク〜。

美姫 「ほら、落ち込んでいる暇があれば、さっさと書きなさいよ」

うぅぅ〜。とりあえず…。

美姫 「CMね。それじゃあ、CM〜」







穏やかな気候を誇る海へと突き出た半島の街、海鳴。
この街に存在する私立風芽丘学園には、教職員よりも権限を持つ一つの組織があった。
その名を──私立風芽丘学園極大権限保有最上級生徒会…。
略して、極上生徒会。



「その為に極上生徒会を作ったんですもの。勿論、恭也も協力してくれるのでしょう」

極上生徒会会長 神宮司 奏



「諦めろ、二人共。奏が言い出したら聞かないのは分かっているだろう」

極上生徒会会長補佐 高町 恭也



「そう言われると思い、既にこちらで手は打っております」

極上生徒会副会長 隠密部統括 銀河 久遠



「それが会長の願いならば、叶えてみせるのが極上生徒会だ。行け!」

極上生徒会副会長 遊撃部統括 金城 奈々穂



「ああ〜、また無断で予算を〜〜!!」

極上生徒会会計 市川 まゆら



「んふっふっふっふ〜。実は、こんな事もあろうかと、作っていたものが〜」

極上生徒会発明部統括 月村 忍



「あらあら〜。何だか楽しくなりそうね♪」

極上生徒会隠密部 桂 聖奈



「表立って行動する隠密……。って、ただの雑用と変わらないよ〜」

極上生徒会隠密兼遊撃部 高町 美由希



様々な人物により構成される極上生徒会。
その極上生徒会に、新たな人物が加わる事となる……。



「わぁ〜、ここが海鳴か〜。ねえ、プッチャン、海だよ、海」

「りの、海は分かったが、さっさと新しい住まいに行かないとまずいんじゃないのか?」

「うん、そうだね」

「って、りの、そっちじゃねー」

転入生 蘭堂りの
謎の人形 プッチャン

果たして、この先、彼女を待ち受けるものとは…。

海鳴極上生徒会 近日妄想炸裂!







美姫 「さて、SSの状況を聞こうかしら?」

あははは〜。が、頑張ります。

美姫 「頑張りますじゃないっての!」

『DUEL TRIANGLE』は、今週中に上げるから!

美姫 「絶対ね」

おう!

美姫 「それじゃあ、とりあえずは大目に見ておいて上げるわ」

お、おおう!? とりあえず?

美姫 「何、文句でも?」

ブンブンブン。

えっと、えっと、また来週〜。

美姫 「あ、こら、何を言うのよ!」

あ、あはははは〜。焦っててつい。

美姫 「クスクス」

あ、あわわわわ〜。

美姫 「とりあえず、皆さん、また来週ね〜。ただし、浩が来週いるかどうか…」

う、嘘!?



<この番組は、PAINWESTの提供で…>

お、終わらないでくれ〜〜。


9月16日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜。

美姫 「はじめるわよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーを乗っ取り、お送りしています>



美姫 「さて、早速だけれど、どれぐらい進んだのかしら?」

本当にいきなりだな、おい。

美姫 「良いから、さっさと白状しちゃいなさい。その方が、アンタのためよ」

何か悪い事したみたいだな、俺。

美姫 「良いから、さっさと言いなさいよね!」

ふっ、そこまで言うなら言ってやろう!
…………あれ?

美姫 「何よ、早く言いなさいよね」

あ、うん。あれ、あれ?

美姫 「ほらほら」

……全く進んでないんだが。何故?

美姫 「……何故も何も、アンタが書いてないからでしょうが!」

うぅぅ、ぐ、ぐるじぃぃ。って、そんなバカな!
ちゃんと更新はしてた…………。

美姫 「秘密のお部屋は更新してたみたいね」

あ、あはははは〜。

美姫 「笑ってないで、どうなのよ!」

え、えっと、『マリとら2nd』が冒頭部分、『とらハ学園』は前のまま、進んでません……。
『DUEL TRIANGLE』は、昨日書き上げたので、次話はまだ手付かず。天星も前の状況のまま。
って、あれ? あれ? 何でだ?
って、美姫さん、その無言は何でしょうか? あれ? その手の剣は何?
ああ、満面の笑顔で。なのに、目だけは笑ってませんね。
おまけに、物凄い殺気まで。あ、あはははは。えっと、ええ〜と。
もしかしなくても、お仕置きでしょうか? あはは、それ以外にはないですよね、はい。
…………ダッシュ!

美姫 「甘いわ!」

ぐげっ! い、いつの間に、俺の首に鎖が……。

美姫 「くすくす。備えあれば、憂いなしってね」

いや、だから、いつの間に。って、何で気付いてなかったんだ、俺!

美姫 「ふっふっふ。それじゃあ、たっぷりとお・し・お・き、してあげる♪」

い、いやじゃ〜〜〜〜〜!!

美姫 「その間に、CM〜」

ま、待て! CMに行くのは、待っ……ぎゃ、ぎゃぁあぁあぁぁぁぁ!!







「ごきげんよう」

「ごきげんよう」

さわやかな朝の挨拶が、澄みきった青空にこだまする。
マリア様のお庭に集う乙女たちが、今日も天使のような無垢な笑顔で、背の高い門をくぐり抜けていく。
汚れを知らない心身を包むのは、深い色の制服。
スカートのプリーツは乱さないように、白いセーラーカラーは翻らせないように、ゆっくりと歩くのがここでのたしなみ。
もちろん、遅刻ギリギリで走り去るなどといった、はしたない生徒など存在していようはずもない。
私立リリアン女学園。
明治三十四年創立のこの学園は、元は華族の令嬢のためにつくられたという、伝統あるカトリック系お嬢さま学校である。
幼稚舎から大学までの一貫教育を受けられる乙女の園。
時代は移り変わり、元号が明治から三回も改まった平成の今日でさえ、
十八年通い続ければ温室育ちの純粋培養お嬢さまが箱入りで出荷される、という仕組みが未だに残っている貴重な学園である。
ただし、それも少し前の事。元号が明治から三回改まった平成へと入り、生徒数が減ってくるという問題が浮き上がった。
そして、遂にリリアン女学園は共学という道を取る事となる。
女学園時代からの伝統はそのままに、今では校内で男性の姿を見るのもそんなには珍しくはない。
ただ、やはり全体数に比べると、男性の比率が低い上に、女子のみで編成されるクラスも存在していた。
それでも、大きな問題もなく、今現在もリリアン学園は存在していた。
今では、十八年通えば、温室育ちのお坊ちゃままで出荷されるといった感じになってはいたが。



4月。
長かった冬も終わり、春の息吹が存分に感じられるようになり、気温もかなり温かくなりつつある頃。
今日はリリアン学園の入学式の日。
今年も新入生を歓迎するように、銀杏並木に混じり、桜の木がその花を美しく咲かせていた。
果たして、今年の一年生はどんな子たちがいるのやら…。



銀杏並木を歩き、マリア像の前で手を合わせる生徒たち。
そんな生徒たちの後ろ姿を眺めながら、おかっぱ頭の新入生、二条乃梨子はそっと溜息を吐き出す。

「共学化に伴い、少しは解放的になったって聞いていたけれど、やっぱりお嬢様、お坊ちゃんの通う学校だわ。
 皆、何て礼儀正しいのかしら」

何処か皮肉気に一人ごちると、乃梨子も周りに倣うように、しかし、かなりぞんざいに手を合わせる。
すぐさま目を開けると、入学式が行われる体育館へと足早に向うのだった。



日頃から訪れる者が殆どいない稲神山の渓流。
その渓流をさらに登った上流付近に、一人の若者の姿が見える。
切れ長の目に端整な顔立ちをした青年は、川原に火を熾し、そこに傍の川で釣ったであろう魚を串刺しにして焼いている。
火の上では飯盒がぐつぐつという音を立て、もうじき炊き上がる事を教える。
青年はそれを見ながら、傍らに置いてあった包みを解き、中から梅干や漬物を取り出す。
粗方、朝食の準備が済んだ頃、近くに張られていたテントから一人の少女が姿を現す。

「美由希、もうすぐ出来るぞ」

「恭ちゃん、ありがとう。はぁ〜、それにしても疲れたよ」

長い髪を首の後ろでまとめ、三つ編みにしている女性、美由希はそう言いながら腰を降ろす。
それに僅かな苦笑を浮かべつつ、恭也は飯盒を火から降ろす。

「確かに少し詰め込み過ぎたかもしれんな。
 まあ、これを食べたら少し休んで、昼前には下山だ。
 今日一日、ゆっくりと休め」

「うん。……ねぇ、恭ちゃん、私強くなってるのかな?」

恭也は軽く流そうとして、いつに無く真剣な美由希の表情に自身も顔付きを真剣なものに変える。

「まだ、自分では実感できないかもしれないが、間違いなく強くなっているよ、お前は。
 その、何だ、よくやっていると思う」

「……うん、ありがとう」

最後の方は照れたように早口になって告げる恭也に、美由希は嬉しそうな笑みを零して答える。

「あ、恭ちゃん、魚、もう良いんじゃない?」

「ん? ああ、そうだな。それじゃあ、食べるとするか」

「うん。頂きます」

「ああ」

美由希はそう言うと、魚を手に取り、恭也は飯盒からご飯を装い美由希へと渡すと、自分の分も用意する。
いざ食べようという時になり、突然、自然以外の音が聞こえてこない静かなこの場所に、電子音が響く。

「これは、私の携帯だ」

美由希は立ち上がると、木の枝にぶら下げていた携帯電話を手に取り、通話ボタンを押す。

「はい、もしもし。かーさん、どうしたの?」

「どうしたのじゃないわよ! 折角、やっと繋がったと思ったのに、そんな言葉を聞くなんて」

「やっと繋がったって?」

「恭也よ。恭也の電話に何度も掛けたのに、全然、繋がらないんだもの。
 それで、美由希の携帯に掛ければ良いって事に気付いたのよ」

その声が洩れ聞こえていたのか、美由希が恭也の方へと顔を向けると、
恭也は同じように枝へとぶら下げていた自分の携帯を手に取り、そのディスプレイを覗き込む。

「…バッテリーが切れているな」

「あははは、それじゃあ繋がらないね」

「ああ、全くだ」

二人して顔を見合わせるが、電話の向こうではかなり慌てているのか、二人の母親である桃子が捲くし立てる。

「もう、何を呑気に笑ってるのよ!
 二人共、昨日のうちに帰ってくるって言ってたのに、帰ってこないから、すごく心配したのよ!
 あんたたちの事だから、大丈夫だとは思ったから、警察には届けてないけれど、
 もし、今日、連絡が取れなかったら、警察に行こうとしてたんだからね」

「け、警察って、大げさだよ、かーさん。それに、昨日に帰るって何?」

「何って、まさか、あんたたち、今日が何日か分かってないの!?」

美由希と一緒に電話を聞いていた恭也は、何を言っているんだとばかりに返す。

「何日って、今日は4月6日だろう。俺たちは今日、帰るから心配しないで」

「……はぁ〜。あのね、二人共、落ち着いてよく聞いてね」

「ああ」

「うん、何?」

「実は、今日は6日じゃなくて、7日なのよ」

「…かーさん、エイプリルフールはとっくに過ぎたぞ」

「そうだよ。幾ら、何でも遅すぎるよ」

「…………良いから、何か日付を確認できるものはないの!」

桃子の言葉に、恭也はさっきまで椅子代わりにしていた大き目の石の脇に置いた時計を取り上げ、日付を表示させる。

「……ふむ」

「どうしたの、恭ちゃん」

「……美由希。非常に言い辛いんだがな」

「うん、何?」

「今日は7日らしい」

「へぇー、そうなんだ」

「どう、私の言った事が分かったわね」

美由希はそうだったんだと納得し、恭也の言葉が聞こえていたのか、電話の向こうから桃子が自慢げに言い放つ。
それから三人の間に、奇妙な間が開く。
その中から、真っ先に動き出したのは美由希だった。

「え、ええぇー! 7日!? って、今日が入学式!?」

「そのようだな」

「って、恭ちゃん、何でそんなに落ち着いてるのよ!」

「そうは言ってもな。慌てた所で、昨日には戻れないしな」

「それはそうだけど…」

「ふふ〜ん、桃子さんは嘘なんか言ってなかったでしょう。
 だから、電話してあげたのよ」

「って、かーさんも落ち着いてないでよ〜。
 えっと、今から下山して…。あ、さっき着替えた服、後で片付けようと思って、出したまんまだ!
 あ、それにご飯もまだだし。えっと、ここから下山して、電車で…」

「美由希、お前は少し慌て過ぎだと思う。もう少し落ち着いて」

「う、うぅぅ、分かってるんだけれど…」

「あははは〜。って、笑ってる場合じゃないわね。
 とりあえず、フィアッセが駅まで迎えに行ってくれるから、出来る限り急いで帰宅してね」

「うん、分かった」

美由希は変事を返すと電話を切り、急いでご飯を食べ始める。
恭也もそれに合わせて食べ終えると、火の後始末をする。
二人は忙しなく動き回り、すぐさま下山準備を終える。

「さて、本当ならゆっくりと戻るはずだったが、詮無き事情により、急遽、駅までランニングだな」

「うん。まあ、これも鍛練だと思って」

「鍛練にしては、かなり切羽詰った感じだけどな」

「言わないで〜! って言うか、だから、どうして、そんなに落ち着いているのよ〜!」

美由希の叫び声が山々へと響き、遠く山彦が返る中、二人は全力疾走するのだった。



リリアン学園。
明治三十四年に創立されたこの学園は、元は華族の令嬢のためにつくられたという、伝統あるカトリック系お嬢さま学校である。
時代は移り変わり、元号が明治から三回も改まった平成になり、共学化したとはいえ、その伝統は受け継がれ、
十八年通い続ければ温室育ちの純粋培養お嬢さまやお坊ちゃまが箱入りで出荷されるはず…。
汚れを知らない心身を包むのは、深い色の制服に、男子はブレザー。
スカートのプリーツは乱さないように、白いセーラーカラーやネクタイは翻らせないように、ゆっくりと歩くのがここでのたしなみ。
もちろん、遅刻ギリギリで走り去るなどといった、はしたない生徒など存在していようはずもないのである。
そう、存在しないはずなのである。

「わー、絶対に式、始まってるよ〜」

「まあ、この時間ならそうだろうな」

「って、恭ちゃんはだから、何でそんなに落ち着いてるの〜」

「…まあ、俺は式はないからな。普通の遅刻だ」

「ひ〜ん」

二人は銀杏並木を全力で走り抜ける。
もし、陸上部関係の人がいたら、思わずスカウトしそうな速さで、生活指導の教師が見たら、その乱れまくってプリーツに、
風を受けてバサバサと翻るセーラーカラーやネクタイを見て呼び止めるぐらいの速さで。
銀杏並木を抜け、マリア像の前を全力で素通りし、恭也は校舎へ、美由希は体育館へと向うのだった。



〜Sweet Prayer Forever〜 元気に妄想爆発中!







あははは、何てキレイなお花畑〜。

美姫 「さて、お仕置きも終わった事だし、次は〜」

クスクス。鬼に追われて、これが本当の鬼ごっこ〜。

美姫 「……だ、大丈夫よね、うん。えっと……」

あははは〜。汗を掻いたから、風呂に入れてくれるって?
何て親切な鬼さんなんだ。わぁ〜。真っ赤な風呂だ。
一体、何の入浴剤? しかも、これってちょっと沸騰しすぎてません?
何か、気泡が…。

美姫 「……え、えっと、次は……。ま、また次回でね! それじゃあ、また来週〜」







ははは、次は針治療ですか?
確かに、足にはツボがいっぱいあるって言いますからね〜。
ただ、自分で踏んでもそのツボは押せるんですか? え、ちゃんとツボを押すように配置されてる?
ははぁ〜、そうなんだ〜。

美姫 「浩〜、流石にそれ以上はまずいわよ〜。さっさと戻ってきなさい!」

……う、うぅぅぅ。
や、やだよ〜、帰りたくないよ〜。
鬼さん達、何で急に追い出そうとするんですか〜!?
えっ? 自分達が束になっても叶わない人が連れ戻そうとしてる?
またまた〜。

美姫 「良いから、さっさと戻って来い!」

うわ〜〜、そんなに無理に追い出さいでよ〜。
そんな、土下座までして頼まなくても。何かよく分からないけれど、俺の本能が戻るなって言ってるんだよ〜!
いや、泣かれても、泣きたいのはこっちだって。いやだ〜、戻りたくね〜。

美姫 「いい加減にしないと、もっと酷いお仕置きよ」

ビクッ! う、何か、本当に戻りたくないんだけど。
ねえ、ここに居たら駄目ですか! ……そんなに力一杯首を振って拒否しないで下さいよ〜。
俺が何かしましたか!? えっ!? 俺じゃなくて、呼び戻そうとしている人物に逆らえない?
そこを何とか〜。

美姫 「…………殺す! って、いやいや、殺したら駄目なんだった。
    仕方ないわね。これだけは、嫌だったけれど。…………コホン。
    ご主人様、今戻ってきたら、当分の間、メイドの格好でいますけれど、どうしますか?
    後、十秒以内に返答して……」

やぁ! おはよう! さあ、メイドだ、やれ、メイドだ!

美姫 「……その前に、いい事をしてあげるわ」

うんうん、一体、何をしてくれるんだ?
あ、膝枕か? だが、その前に着替えないとな。ほらほら。

美姫 「ふふふふ。とっても楽しい事よ。大丈夫、今度はちゃんと半殺しの状態で止めるから。
    生かさず、殺さず……ね。ふふふふ」

……あっ! きゅ、急用を思い出したよ!
それじゃあ、また……。

美姫 「あら、どちらへ行かれるんですか、ご主人様♪」

言葉使いと態度が全然、違うんですけれど…。

美姫 「あら、嫌ですわ、ご主人様ったら」

あ、あははは。

美姫 「それじゃあ、今日はたっぷりとご奉仕しますね」

い、いやじゃぁぁぁぁぁ! ご奉仕と言いながら、『お仕置き』の文字がはっきりと浮んでるぞ!

美姫 「気のせいですわ」

いぃぃぃやぁぁぁぁぁぁ!!

美姫 「くすくす」




9月13日(火)

SSの部屋を少し改造〜。

美姫 「ツリー構造にしたのよね」

ああ。ただし、欠点が…。
一度、何かSSを見てから戻ると、ツリーが閉じているという。

美姫 「その度、またツリーを開かないといけないのよね」

うん。この辺りはまだまだ改良の余地がいるけれど、とりあえず、新作SSへと少しでも早くという趣旨は達成したから。

美姫 「とりあえず、アップしてみたのよね」

おう! 従来の方も残しているので、使いやすいと思った方を使ってください。

美姫 「それじゃあ、今回の連絡は以上ね」

うん。

美姫 「じゃあ、SSを書きましょうね〜」

うっ! 確かに、これをやってて、SSが書けてない……」

美姫 「ふふふ。さあ、缶詰よ〜」

い、いやぁぁぁ!

美姫 「ほら、さっさと来る! と、皆さん、じゃあ、またね〜」

あ、ではでは。

美姫 「ほら、行くわよ」

うぅぅ……。


9月9日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハーぶげろびゃぁっ!

フィーア 「ハートフルデイズ〜」

美姫&フィーア 「はっじまるよ〜」

……お、俺の台詞は?

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーよりお送りします>



美姫 「という訳で、今週もこの時間がやってきました。今回は何と、ゲストにフィーアちゃんが〜」

フィーア 「フィーアです! お姉さまに会うために、また登場しました〜」

シクシク。俺の台詞が〜。

美姫 「今回、フィーアが来たのは、アハトさんから言伝があるのよね」

フィーア 「はい、そうなんです。実は…」

ええい! 俺の台詞を取った上に、無視するか〜!
こうなったら、CM〜!

美姫 「って、何を勝手に…」

フィーア 「お姉さま、大変です! 本当にCMに…」

美姫 「あ、こら、ちょっと…」







「お前さんがマスターか?」

全身を青い衣装で包み込んだ男が、ニヤリとした笑みを目の前の青年へと向ける。
問い掛けられた青年は、男の言っている事がよく分かっていないのか、その顔に珍しく疑問を浮かべ、
事の起こりを思い出すように目を閉じる。

「…美由希が風邪で、一人で深夜の鍛練に来た。うん、ここまでは間違いないな。
 で、鍛練を終えて帰ろうと思ったら、神社の方から何か気配を感じたので行ってみたら、そこには誰もおらず、
 ただ地面に変な模様が描かれていて、それを覗き込んだ途端、光り出して、気が付いたら、この男が居た」

自分の記憶に間違いがない事を確認し、もう一度目の前の男を見る。
現代ではあまり見慣れない格好をしている男と、足元のもう光は放っていないが、魔法陣とを見比べ、
そっと嘆息すると、また非常識な事に巻き込まれたかと小さく項垂れる。
そんな青年、恭也の態度に痺れを切らしたのか、男は続けて話し始める。

「ったく、さっさと答えろよな。人を呼び出しておいて、黙り込みやがって。
 まさか、セイバーが良かったとか言うつもりじゃないだろうな。
 言っておくがな、クラスってのはまあ、確かに多少の能力に差はあるが、それが全てじゃないんだぜ。
 大体、この俺を引き当てたって事を、もっと喜べ。ランサーは、その俊敏さに置いては…」

「とりあえず、ちょっと良いか?」

「あん? 何だ?」

放って置くといつまでも続きそうな男の言葉を遮り、恭也は問い掛ける。

「さっきから、何の話をしているんだ?」

「何のって、聖杯戦争の話だろうが」

「聖杯戦争……?」

「おいおい、そんな事も知らないで、サーヴァントを呼び出したのか?」

呆れたように呟く男に、恭也は自分が呼び出したのではないと答える。

「はぁ? そうは言うが、俺とお前は既に魔力のラインで繋がっているぞ。
 それに、その左手の甲にあるのは令呪だしよ。って、本当に何も知らないのか?」

恭也が頷いたのを見て、男は額に手を当てて天を仰ぐ。

「かぁ〜、ババ引いたのは俺かよ! 良いか、今から聖杯戦争ってのについて説明してやる。
 どうやら、お前がマスターらしいからな」

「なんかよく分からんが、頼む」

「と、その前に俺の真名は クー・フーリン。ただし、こっちの名は他の奴らには伏せておけ。
 その辺は後で説明してやるが、とりあえず、呼ぶときはランサーで良い」

「そうか。しかし、クー・フーリンとは、ケルト神話の英雄と同じ名前か」

「ほう、知っているのか」

「ああ。妹が前に読んでいた本で、少しだけな。
 確か、クーリン邸の番犬を一人で倒した事から、そう呼ばれるようになり、
 後に、影の国でゲイ・ボルグという魔槍を授かったとか何とかだったよな」

「そうか、そうか。その通りだ、そのクー・フーリンだ」

「ほう、その英雄から名前を取ったのか」

「いや、そうじゃなくて、本人だって」

「……」

「だぁー、今からその辺を説明してやるから、大人しく聞け!」

疑わしそうな目で見る恭也にそう怒鳴ると、ランサーは聖杯戦争に付いて語り出すのだった。



「言峰ー! 今回の聖杯戦争に一切、関わらないってのはどういう事よ!
 一応、教会の人間でしょうが」

「何をそんなに怒っている? そんなに私の事が気になるのかね?」

「だ〜〜れが、アンタの事なんか! 私が気にしているのは、今回は今までと違うからっていう所よ!
 どう違うのよ!」

「ふむ、そういう事か。なら、説明しよう。本当は、誰がマスターかを教えるのは良くないのだが、今回はな。
 まず、今時点で分かっているマスターは、アインツベルン家の所だけだ。で、だ、ここまではまあ良い。
 ただ問題なのは、アインツベルンはどうも、今回の聖杯戦争よりもかなり前にサーヴァントを召喚していたようでな。
 まあ、それが原因かどうかは分からんが、今回、聖杯が何処に出現するのかが分からなくなった。
 日本の何処かという事は分かったが、北は北海道から、南は沖縄まで。
 正に、日本全国の何処かだ。それに伴って、サーヴァントが日本各地で召喚されている。
 故に、我らは今回は何もしない事にした。勿論、魔術などを世間一般に大っぴらに出来ないから、後始末の方はやるがな。
 だが、それだけだ。後は知らん」

「知らんって……。ま、まあ、良いわ。とりあえず、聖杯戦争は行われるのね。
 なら、私もこうしてられないわ」

少女、凛はやって来た時と同じように、慌しく教会を後にするのだった。



「……という訳でござる」

「は、はぁ。つまり、俺がそのマスターと」

「左様。故に、お主の傍から離れる訳にはいかぬ」

「……とりあえず、家主さんに了承を取ってくる。
 まあ、一秒以内に了承されるだろうけど……」



  日本の各地で──



「わっわっわ。往人さん〜」

「……観鈴、これがお前の言っていた庭の主か」

「にははは。そうなのかな?」

「俺には、凄い美女に見えるんだが」

「わ、私もそう見えるかな?」

「貴方たちが私のマスターですか? 私はライダー。
 必ずや、貴方たちに勝利をもたらしましょう」

「……何語だ?」

「ん〜っと、多分、日本語だと思うよ」

「なら、お前は理解したんだな」

「が、がお」

往人のデコピンが観鈴の額に決まる。

「い、痛い……」

「それを言うからだ」

「うぅぅ。赤くなってないかな?」

「なってるな。でも、照れているみたいで可愛いぞ」

「に、にははは。そ、そう? 可愛い?」

「いや、そこは頬っぺたじゃないと突っ込んでくれ」

「が、がお」

「しつこい!」

そう言って観鈴の頭を叩く往人を、観鈴は涙目で見上げる。
そんな傍から見たらじゃれ合っているように見えなくもない二人の様子に、
ライダーはどう声を掛けていいのか分からずに戸惑いつつも、その口元には柔らかな笑みを浮かべていた。



  魔術師とかに関係なく──



「ふふ、私のマスターは貴女ね……。って、何処に居るのよ!」

顔をすっぽりと覆うようにフードを被り、マントに身を包む女性は辺りを見渡すが、そこには誰の姿も見えない。

「私はキャスターのサーヴァントよ。呼び出したのは誰?」

更なる問い掛けにも、答える声はない。

「ちょっと、どういう事よー!」

キャスターの叫び声だけが、誰も居ない空間へと響き渡るのだった。



  サーヴァントが召喚されていく──



「それじゃあ、日本へ行こうか、バーサーカー。
 くすくす、今回の聖杯戦争は、何か面白い事になっているみたいだね」

「……」

無邪気に微笑み掛けてくる少女に対し、呼びかけられた巨漢はただ無言のまま付き従う。



  イレギュラーが続く今回の聖杯戦争──



「お前が我がマスターか?」

長躯を赤い衣で纏った男が、目の前に立つ黒フードの女性へと何処か偉そうに問い掛ける。

「はえ? マスター?」

「そんな事も知らず、呼び出したのか、君は?」

呆れたように呟くと、男は自らをアーチャーと名乗り、黒フードの女性、琥珀へと聖杯戦争についての説明を始める。

「うふふふ。そうですか、どんな願い事も……。
 これはもう、秋葉さまを…。いえいえ、それよりも愛しい翡翠ちゃんを……」

考え込む琥珀の後ろから、ゆっくりと近づく一人の女性が居た。

「琥珀〜、私をどうするって?」

「あ、ああああ、秋葉さま! べ、べべべ別に私は何も」

どもる琥珀を胡散臭そうに見下ろすと、秋葉はその隣りに立つアーチャーへと視線を転じる。

「で、貴方は誰ですか? 我が屋敷にどんな御用で?」

そう尋ねつつも、殺気に近い重圧を掛ける秋葉。
琥珀がまたよからぬ事を企て、その計画にこの男が関係しいるのかもしれないという心情からだった。
その視線を受けたアーチャーは平然と構えたまま、だが、琥珀はその頬に一滴の冷や汗が流れたのを見逃さなかったが、
徐にその口を開く。

「どうやら、貴方が私のマスターのようですね」

先程とは全く違う口調でそう話し出すアーチャーに、琥珀が慌てたように口を挟む。

「どうしてですか! 私が貴方のマスターではないんですか!?」

「しかし、君にはマスターたる令呪が見当たらない」

「秋葉さまにも見当たらないですよ!」

「ふむ。どうやら、不完全な召喚だったようだな。
 マスターがまだ未定なのか。どうりで、魔力が供給されない訳だ」

一人納得するアーチャーに、秋葉が事情の説明を求める視線を投げる。
アーチャーは琥珀にしたのよりも丁寧な態度で秋葉へと同じような説明をする。

「成る程。そういう事ね。アーチャー、貴方のマスターはこの私です。
 宜しいですね」

「了解した」

秋葉の放った言葉と共に、アーチャーは秋葉の前に跪くのだった。
アーチャー、目の良い彼は、人を見分ける眼力も良いらしい。
瞬時に力関係を把握し、より強い方の軍門へと下るのだった。



  果たして、勝者は?



「ああー! 何でサーヴァントが召喚されないのよ!
 言峰ー! 何!? 既に七体召喚された後!?
 それを先に言えー!」



  それよりも、何よりも、無事に終わるのか!?



「問おう、あなたが私のマスターか」

  Fate/mix  coming soon?







あうっ! や、やめ!

美姫 「このバカ! 何勝手にCMにしてんのよ! この! この!」

ご、ごめ、や、やめ!

フィーア 「あははは〜。ここはこうしちゃえ!」

げっ! ちょ、ま、まじ、駄目! そ、それは流石にマズイって…。
がぁっ!

美姫 「このバカ、バカ、バカ!」

ぐぅ、げぇ、ごぉ!

美姫 「たあぁぁぁぁ!」

がっ! ……ガク。

フィーア 「……あっ! お、お姉さま、CM終わってます!」

美姫 「えっ!? あら、本当だわ。……こほん。さて、それじゃあ、早速、SSの…」

フィーア 「お姉さま、浩さん、伸びてます(こっそり)」

美姫 「ったく、本当に役に立たないわね。えっと、浩が原因不明で寝てしまったので、先に連絡から」

フィーア 「はい! 今回の連絡はうちのアハトの件ですね」

美姫 「現在、アハトさんのSSは全て削除されています」

フィーア 「これは、こちらからお願いした事です」

美姫 「何でも、アハトさんが小休止のようなものに入りまして、その間の削除をお願いされました」

フィーア 「本当に、お姉さまにまでご迷惑を掛けてしまって」

美姫 「ああ、大丈夫、大丈夫。私は何にもしてないから。全部、浩にやらせたし」

フィーア 「あ、じゃあ、気にしなくても良いですね!」

美姫 「そうそう、気にしなくても良いわよ」

フィーア 「で、少ししたら再開する予定ではあります」

美姫 「皆さんも首を長くして待ってましょう」

フィーア 「さて、それじゃあ……。って、まだ気絶してますよ」

美姫 「あれ? 珍しいわね」

ん〜、むにゃむにゃ〜。もう食べれないよ〜。

美姫 「って、寝るな!」

ぐげっ!

フィーア 「あ、いい所に入った」

…………ピクピク。

フィーア 「あらら〜、お姉さま、白目で泡吹いて痙攣してますけど」

美姫 「まあ、すぐに復活するでしょうから、放っておきなさい」

フィーア 「は〜い」

美姫 「それじゃあ、ゆっくりとお茶にでもしましょうか」

フィーア 「やった〜」

美姫 「それじゃあ、また来週〜」

フィーア 「またね〜」


9月2日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜。

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーよりお送りします>



美姫 「とうとう9月突入ね」

だな。しかし、まだ暑いぃぃ……。

美姫 「本当に暑さに弱いわね」

弱いぞ〜。美姫〜、暑いよ〜。

美姫 「私に言われても知らないわよ!」

う、ううぅぅ、冷たいお言葉。

美姫 「あら、暑いんなら、丁度良いじゃない」

シクシク。

美姫 「それじゃあ、とりあえず、CM〜」







世界には、一般に伝わる歴史とは違い、殆どの者がその存在すら知らない裏の歴史が存在していた。
その裏の歴史の一つに、北欧より来たりし八の神々と、宿星という運命に集いし志士たちによる魔人と神々の戦いがあった……。
しかし、それを知る者は殆どおらず、僅かに知る者でさえも時の流れと共に、その記憶は薄れていった。
そして、時は流れて…………。



「北欧の神々の復活だけは、決して阻止しなければならぬ」

「……それで?」

「ああ。そこで、新たな組織をここに立ち上げる。その名は、龍鬼衆。
 この組織の長は、小角 天海(こづぬ あまみ)、お前にやってもらいたい」

「…了解した。人員はこっちで決めさせてもらうぞ」

「構わん。ただし、何としても奴らの復活だけは阻止するんじゃぞ」

秘密裏に新たに作られた組織、龍鬼衆。

「九桐、目ぼしい奴の探索はどうなっている?」

「既に数人ほど。リストはこちらで」

「……ほう、この蓬莱寺という奴は、かなりの腕みたいだな」

「さすがですね」

龍鬼衆は、目的を達する為に、着実にその人員を増やしつつ、その力を付けていく。
そんな裏の動きなど、人々は知る由無く、ただ日々をいつものように過ごしていた。



「最近、検査に行ってないでしょう、恭ちゃん。駄目だよ、ちゃんと行かなきゃ」

「前回は、たまたま忘れただけだ。最近はちゃんと行ってるぞ」

「本当に?」

「ああ。現に、今もこうして行こうとしているだろうが」

「あ、今から行く所だったんだ」

美由希の言葉へと頷き、恭也は病院へと足を運ぶのだった。

そして、そこで、新たな出会いをする。

「初めまして、高町さん。お話はよくフィリス先生から聞いてますよ」

フィリスに色々と教わりながら、将来看護士を目指す同級生、美里 葵(みさと あおい)

「初めまして、美里さん」

この出会いが、後に恭也を一つの運命へと誘うなど、この時はまだ知らない。



海鳴魔人外法帖 近日崩壊…。







美姫 「さて、浩〜」

何故、猫撫で声?

美姫 「え〜、いいじゃな〜い」

いや、まあ、可愛いから別に良いんだが。

美姫 「でしょ〜。で、SSの方は〜」

声は可愛いが、内容がきついっス!

美姫 「ほら、誤魔化さないで、さっさと言いなさい」

いきなり元の口調だし……。

美姫 「ほらほら」

へいへい。
現在は、長編は三つ。
とらハ学園、マリとら2nd、DUEL TRIANGLEを書いている途中です。

美姫 「で、いつ出来上がるの?」

ふっ。それは俺の手に聞いてくれ。

美姫 「(にこにこ)私なりの聞き方で良いのね?」

ごめんなさい、ちゃんと応えますからお許し下さい。

美姫 「分かれば良いのよ。で?」

まったく分かりません!

美姫 「……威張るな!」

ぐげっ! ……だ、だって。

美姫 「とりあえず、先にあがりそうなのは?」

た、多分、マリとら2ndかと……。
た、ただし、絶対という保証は無理。

美姫 「ちっ、使えないわね」

し、しどい……。

美姫 「ほら、寝てる暇があったら、さっさと書け!」

は、はいぃぃぃ!

美姫 「そんな訳で、今回はここで終わりよ〜」

では、また来週〜。

美姫 「そんな事を言っている暇があれば、少しでも書きなさい!」

わ、分かったから、殴るなよ〜(涙)

美姫 「それじゃあ、また来週ね♪」










          



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