2006年3月〜4月

4月28日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜。

美姫 「はっじまるわよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーを私物化してお送りしてます>



世間様は場合によっては明日から連休らしいな。

美姫 「みたいね〜。私もたまにはお休みが欲しいわ」

遠慮せずに休んでくれ!

美姫 「その間、アンタがサボらないのならね」

モ、モチロンサ。イ、イヤダナー。
ソレジャア、マルデオレガサボルミタイニキコエルゾ。

美姫 「って、滅茶苦茶棒読みじゃないの。
    目まで逸らしているし」

ア、アハハハハ〜。

美姫 「いや、笑われても」

じゃあ、どうしろと。

美姫 「そこで素で返す辺り、アンタのバカさ加減が窺えるわね」

お前の毒舌ぶりもな。

美姫 「私はアンタに対してだけだから良いのよ」

むす。

美姫 「拗ねても可愛くないから止めなさい」

うぅぅ。

美姫 「ほら、それよりも毎年恒例のアレの報告があるんでしょう」

恒例って。いや、否定はせんが。

美姫 「さっさとしなさいよね」

分かってるって。
ゴホン。
えー、ずばり4月30日(日)〜5月3日(水)の間は更新できません。

美姫 「全て、このバカの所為です」

うぅぅ。俺の所為じゃないやい。

美姫 「本当に?」

……ま、まあ、半分ぐらいは。

美姫 「はいはい。まあ、そういう訳ですので、投稿作家さんたちにはご迷惑をお掛けします」

勿論、この期間中に投稿してくださっても問題はありませんので。

美姫 「ただ、アップできるのが4日以降になるのよね」

その通りです。

美姫 「という訳で、最早恒例となりつつあるご報告でした」

でした〜。

美姫 「…さて、報告も終わった事だし、本題ね」

できてません!

美姫 「はやっ! って言うか、威張って言う事じゃないわね」

それはそうなんだが。
とりあえず、長編はDUELを中心に更新していく予定です。

美姫 「アンタの予定って殆ど未定だから怖いのよね」

あ、あははは。自分でも否定できないのが辛い…。

美姫 「まあ、少しでも早くアップするために、きりきり手を動かす事ね」

はい、頑張ります……。

美姫 「それじゃあ、今回も元気にCMいってみよ〜♪」







いよいよ明日から夏休みという日。
当然の如く、午後近くには浮かれまくる生徒たちが校門からぞろぞろと出てくる。
その近くを一台のトラックが走り抜けていく。
トラックはそのまま市街地を走り、住宅街へと進路を変えて走り続ける。
やがて、立派な門構えの日本家屋の前に止まる。
トラックから降りてきたのは、男性と小さな女の子だった。
二人はそこで待っていたらしき、背の高い男へと近づく。

「ジャンボ! 久しぶりだなー!」

女の子の言葉にジャンボと呼ばれた大男が答える。
男もまたジャンボと二言、三言言葉を交わすと、二人はトラックの荷台へと向かう。
そこに詰まれた家具を括りつけていたロープを解くと、男は日本家屋の隣に建つ家の門を開ける。
どうやら引っ越してきたらしく、男二人は二台の荷物を家へと運び込んでいく。
男二人が荷物を運び込むのに集中している間に、女の子はいつの間にか居なくなっていた。

「よつばはどこだ?」

不意に気付いたジャンボの言葉に、女の子――よつば――の父親だろう男があっさりと答える。

「いなくなった。
 まあ、腹が減ったら帰ってくるだろう」

「そっか。んじゃ、見つけたらひろっとくわ」

そう言ってトラックへと乗り込むジャンボに、窓越しに男が声を掛ける。

「おい、引越しの挨拶で近所に配る物なんだから、変なものは買ってくるなよ」

男の言葉に小さく手を上げて応えると、ジャンボはトラックを発進させた。

ジャンボが居なくなり、一人になった男は引越しで出たゴミを前に、いつ出したら良いのか悩んでいた。
そこへ、一人の少女が話し掛けてくる。

「こんにちは。もしかして、引越ししてきたんですか?」

「はい、そうですけれど」

男の言葉を聞くと、少女は頭を下げる。

「私、隣に住んでいる高町美由希と申します。
 宜しくお願いします」

「あ、いえ、こちらこそ」

挨拶を交わすと、美由希はゴミに関して出す曜日などを教える。
幾つかの世間話をしていくうち、よつばという女の子が何処かに行った事を知り、
美由希は出かけるついでに、それらしい子がいないか注意してみる事を約束するのだった。
これが、後に美由希とよつばが出会う切っ掛けとなった出来事であった。



何とかよつばを見つけるも、誘拐と間違われて逃げられる美由希。
走って逃げるよつばの誤解を解こうと、美由希もその後ろを追う。
あっさりと追いつくかと思われたが、よつばは小さい身体を利用し、狭い通路や穴を潜り抜けていく。
後一歩の所で届かないまま追いかけ続ける美由希は、いつしか見覚えのある場所に来ていた。

「あれ、ここって。このまま行くと家に…」

考え込んで走っている所為で、速度をやや落としよつばとの距離が僅かだが開く。
それを見て、美由希は走る速度を上げる。

「ふふふ。ここから先は何もないからね。
 ようやく捕まえられるよ」

一方、前を走っていたよつばがちらりと後ろを振り向くと、怪しい笑みを浮かべて速度を上げる美由希の姿が。

「おおお! たーすーけーてー!」

叫びながら逃げるよつばの前、一軒の家から一人の青年が姿を見せる。
突然の悲鳴にそちらへと向けば、小さな女の子を追いかける自分の妹の姿が。
事情が分からないものの、何故か口から溜め息が零れる。
青年――恭也がそちらへと向くと、美由希がよつばを捕まえるように頼む。

「どうかしたのかい?」

走ってくるよつばへと優しく声を掛ける恭也の元へと走り寄ると、よつばは背後の美由希を指差す。

「た、助けて。悪い奴に捕まる!」

言って恭也の服の裾を掴み震えるよつばと、必死で違うと首を横へ振る美由希を交互に見詰める。

「悪い奴は懲らしめなければいけないな。もう大丈夫だから」

「ホントか!?」

勢い込んで尋ねるよつばへと笑いかけると、恭也は美由希の頭へと拳骨を落とす。
あまりの痛みに言葉を無くして蹲る美由希を見て、よつばは目をきらきらさせて恭也を見上げる。

「すげー! つえー!」

純粋な子供の言葉に若干照れつつ、ようやく立ち上がった美由希へと視線で何があったのか問い掛ける。

「な、何があったのかも分からないのに、この仕打ち……」

「まあ、諦めろ。こうするのが一番だと思ったんだ。
 実際、上手く収まったみたいだしな」

「うぅぅ。私の被害は無視してない?」

兄妹でそんな会話をしていると、隣の家から男性が姿を見せる。

「お、よつば」

「あっ! とーちゃんだ!」

男の姿を見て、よつばは嬉しそうに駆け寄る。
男は恭也と美由希を見て、よつばを連れてきてくれたのだと理解して礼を述べる。

「いえ、俺は何もしてませんから」

「うぅっ。痛かった」

訳の分からない事を言う美由希に不思議そうな顔を見せる男性へと、恭也は自己紹介をする。

「自分は高町恭也と申します。これの兄です」

「ああ、ご丁寧にどうも。
 引っ越してきた小岩井です。で、こっちがよつば」

「ああ、お隣に引っ越してきたんですか」

「ええ。これからよろしくお願いします」

「こちらこそ」

男二人がそんな会話を交わしているのを、よつばは不思議そうに眺める。
そんなよつばへと、小岩井が優しく言う。

「ほら、よつばも挨拶しなさい。
 このお兄ちゃんたちは、お隣さんだ」

「え? おとなりさん?」

「そうだよ、よつばちゃん。ね、誘拐犯じゃなかったでしょう。
 ほら、そこが私たちのお家。ね、お隣さん」

美由希の言葉に不思議そうな顔で小岩井の顔を見上げると、よつばはトラックで来た方へと指をさす。

「違うよ。よつばの家はもっともっとずーーっと遠くにあるんだよ?」

よつばの言葉にこちらも不思議そうな顔で小岩井を見詰める。

「あっ!! こいつ何も分かってなかったのか!」

尚も不思議そうな顔を見せているよつばの頭に手を置き、そのまま自分の背後の家へと顔を向ける。

「いいか、よく見ろよ〜。今日からここがよつばの住む新しい家だ」

暫くじっと家を見詰めていたよつばは、今度は驚いたような顔を見せる。

「おおー! 今日からここか!」

「そうみたいだね。で、こっちが俺たちの家だよ」

恭也が隣に立つ日本家屋を指差して見せる。

「おおっ。とーちゃん、お隣さんだ!」

「そうだ、お隣さんだぞよつば」

ようやく納得したよつばと小岩井を、二人は何とも言えない表情で眺める。
そんな二人に、よつばが満面の笑みを見せる。

「よろしくな!」

そんなよつばへと、恭也と美由希は顔を見合わせると声を揃える。

「「よろしく」」

こうして、高町家の隣にちょっと元気な女の子が現れたのだった。

よつばと高町家! 第一話「お引越し!」
近日忘却の彼方でこっそり公開!







美姫 「そう言えば、可笑しな天気が続いた所為か、風邪が流行っているみたいね」

みたいだな。
どうも、Kの奴がかかったみたいだったが。

美姫 「あ、掛かったんだ」

うん。他にも投稿してくださっている方の中にもいらっしゃるみたいだし。

美姫 「気を付けないといけないわね」

うんうん。皆さんも気を付けて下さいね。

美姫 「それじゃあ、今回はこの辺で」

ではでは。

美姫 「また来週〜」


4月21日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜。

美姫 「はっじまるわよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーよりお送りしてます>



美姫 「という訳で、今回も特別ゲストに来てもらってます」

正確には、一人は先週に引き続きなんだがな。
って言うか、一日ぐらいは帰れよ。
安藤さんが心配するだろう!

蓉子 「あ、大丈夫よ。ちゃんと許可はもらってたし」

悲鳴も混じってたようだけどな…。

美姫 「何を言ってるのよ。そんなのここでは日常茶飯事でしょうに」

って、嫌な日常だな、おい。

ファミリア 「あ、あの。やっぱりご迷惑だったでしょうか。
       わたしまでお邪魔しちゃって」

いやいやいや。ファミリアは大歓迎だよ。
この殺伐とした日常における、一服の清涼。
砂漠の中のオアシス。

蓉子 「へ〜、そうなの」

美姫 「ほうほう。つまり、私たちは殺伐としていて」

蓉子 「砂漠なのね」

い、いやいやいや。これはものの例えであってだな。
決して君たち二人が砂漠と言うわけではなく。
寧ろ、砂漠の方が可哀想になるぐらい、二人はひど……。

ファミリア 「浩さん、それって自爆ですけど」

はうっ! し、しまった!

美姫 「さ〜て、念仏は唱えた?」

蓉子 「部屋の隅で震える準備は?」

美姫 「ううん、寧ろ、天井以外見えない状況になる覚悟は?」

蓉子 「再生するだけの力は温存してる?」

あうあうあうあうあう。
た、助けて、ファミリ…。

ファミリア 「ごめんなさい。さすがにどうする事もできません」

のぉぉぉぉっ!
がぁっ! ぐげっ! ぺりょっ! びゃっろぃ!
あがが……。

美姫 「まだまだー!」

蓉子 「たっぷりと燃やしてあ・げ・る」

ファミリア 「えっと、えっと。お二人とも、その辺で」

うぅぅ。やっぱり、ファミリアは優しいな〜。

ファミリア 「そ、そんな事は…」

美姫 「って、余裕あるわね」

蓉子 「少し本気でいくわよ」

って、今までも充分本気でしたよね!
ぶべらっ!

美姫 「離空紅流、地爪風牙!」

ぐはっ!

蓉子 「狐流妖殺剣炎斬式奥義之三・紅蓮!」

がっ!

美姫 「離空紅流、鳳凰煉獄!」

あぁぁぁぁぁっ!

蓉子 「冥界へと消えなさい。狐流妖術奥義之四・現冥交錯!」

ひゃぁぁぁぁあああああっ!

シーン

ファミリア 「み、美姫さん、蓉子さん。流石に今のはやりすぎですよ」

美姫 「う、うーん。私もちょっとやりすぎかな〜って思わなくもなかったんだけどね」

ファミリア 「だったら、どうして」

蓉子 「ほら、勢いってあるじゃない」

ファミリア 「い、いきおいって」

美姫 「まあ、あいつなら大丈夫だって。あれぐらいじゃ」

蓉子 「そ、そうですよね。それに、冥界ぐらい笑って帰ってきますよね」

ファミリア 「さ、流石にそれはないかと思うんですけれど…」

美姫 「あー、大丈夫、大丈夫。異世界には慣れてるから」

ファミリア 「な、慣れてるって」

蓉子 「まあ、その辺りは美姫さんの方が詳しいでしょうから、私たちには何も言えないわね」

ファミリア 「言うも何も…。例え美姫さんの言う通りじゃなかったとしても、既に遅いんじゃ…」

美姫 「大丈夫、大丈夫。それよりも、これが今回のネタSSね」

ファミリア 「あ、はい。安藤さんから預かってきました」

蓉子 「さて、今回はどんなのを思いついたのかしらね」

美姫 「それじゃあ、早速流しましょう」

美姫&蓉子&ファミリア 「CMで〜す」







 ――それはいけないことなのだろうか……。
 ただ、生きたいと願うこと。
 明確な未来へのビジョンもなく、怠惰に日々を過ごしてきたわたしに対するそれが罰なのか。
 伸ばした手は届かず、声を上げようと開いた唇は力なく震えるだけ。
 それでも生きたいと願って、それを叶えてくれそうな方法をわたしは一つ知っていたから。
 だから、それに縋った。ただ、それだけ……。

   *

 不意に鼓膜を打った鋭いブレーキ音。
 重い衝撃が全身を駆け抜けた。
 気がつくと、何の動作を起こす間もなくわたしはアスファルトの上に投げ出されていた。
 ――痛みは、ない。
 代わりに指一本動かすことも出来なかったけれど。
 霞む視界に映るのは空を覆い尽くす暗雲。
 絶え間なく降り注ぐ冷たい雫がわたしから熱を奪っていくのが分かる。
 何かが体から抜け落ちていく感覚がして、本能的にわたしは死ぬのだと悟った。
 嫌だった。
 ただ、冷たくなるのが怖くて、恐ろしくて、嫌だった。
 動かない体で何とかしようとして、微かに痙攣するだけの肢体に絶望する。
 分かっていて、それでも諦められなくて、死ぬのは嫌。絶対に、死ぬのは嫌!
 そのとき脳裏を過ぎったのはいつか暇潰しに読んだ古い本の一節。
 わたしにそれが出来るかどうかは知らないけれど、他に出来ることもない。
 藁にも縋る思いで、わたしは最後の力を振り絞ってその言葉を口にした。

   *

 暗く閉ざされる視界。もう見ることも出来ないのかと思った。
 けれど、絶望の闇の中にわたしは確かに一条の光を見た気がした。
 感覚が、意識が、浮上する……。
 降り注ぐ陽光の眩しさにどれほどの安堵を覚えただろうか。
 18になったばかりのある夏のことだった。

   *

  堕天使物語〜やすらぎの丘〜
  第0章
  1 あかね

   *

「天使って、本当にいたのね」

 出会った彼女にわたしが言った、それが最初の言葉だった。







美姫 「うーん、どんなお話なのかしら」

ファミリア 「あ、はい。えっとですね…」

ぜ〜は〜。ぜ〜は〜。
し、死ぬかと思ったぞ。

美姫 「あ、おかえり」

ああ、ただいま。つつっ。
流石に、身体がまだ痛む。

ファミリア 「えっと、何か凄く普通に会話しているんですが…」

蓉子 「まあ、一週間ほど一緒に居たけれど、これって結構、当たり前みたいよ」

ファミリア 「あれが当たり前って…」

蓉子 「最初は確かに驚くわよね〜。でも、すぐに慣れるわ」

ファミリア 「えっと、それって良い事なのでしょうか」

蓉子 「うーん、どうだろう。まあ、別に困らないから良いんじゃない?」

ファミリア 「は、はぁ」

美姫 「で、どうだった冥界は」

全くもってけしからん!
メイ界というくせに、メイドの一人もいないとは。

ファミリア 「それって、メイが違います」

へっ? そうなの?
メイ界って、メイドが居る世界じゃないのか?

蓉子 「もしかして、それで途中から悲鳴が歓喜の声に変わってたの?」

当たり前じゃないか。
なのに、なのに…。メイドのメの字もなし。
しかし、そうか。メイ界ってメイドの世界じゃないのか。
だとしたら、悪い事をしてしまったかも。

ファミリア 「な、何をされたんですか」

美姫 「とりあえず、ろくな事じゃないってのは確かね」

失礼な。俺はただ、不法侵入がどうとか、生者が居るのは可笑しいから、死者にしてしまおうとか、
そんな事を言って近づいてくるものたちにだな。

蓉子 「途中、色々と突っ込みたいんだけど、時間がないから良いわ。先を話して」

おう。
で、そいつらに懇々とメイドの素晴らしさを語り、
メイ界の癖にメイドが居ないのはこれ如何に、と問い詰めたのだよ。
結果、俺の説得が実をなし、全ての女性にメイド服を着せようという組織が出来上がったのだ。
そして、女性を捕まえてはメイド服を着せ…。

美姫 「犯罪に近いわね」

蓉子 「無理矢理着せ替えたのなら、それは犯罪ですよ」

美姫 「あ、それはないない。あいつが力でっていうのはありえないから」

蓉子 「まあ、弱いですしね」

ファミリア 「いえ、それよりも短時間でそこまでやれるものでしょうか」

…ようとした所で、帰還せねばならなくなったという訳だ。
流石に、こちらとあちらを繋ぐゲートが完全に閉じてしまうと、戻ってくるのに時間が掛かるからな。
俺は泣く泣く、そう、本当に泣く泣く(涙)

美姫 「うわ〜。まじ泣きだわ」

だが! 俺は信じているぞ!
俺の意思を継いだあいつらが、冥界をメイドの世界に変えてくれているって事を!

蓉子 「何か、それって嫌ね」

ファミリア 「えっとえっと。ど、何処へ行っても自分を見失わない強い人って事ですね!」

美姫 「ファミリアちゃん、必死のフォローをありがとう」

ファミリア 「あ、あはははは」

とまあ、冗談はさておき。

美姫 「って、冗談だったの! あれだけ時間を使って!」

いや、メイド云々は本当だぞ。
じゃなくてだな、この話は置いておいてという意味だ。

蓉子 「だったら、そう言えば良いのに」

ファミリア 「そ、それよりもお疲れ様でした。お茶でもどうぞ」

おお、ありがとう。
やっぱり、ファミリアは優しいな〜。

美姫 「どうぞ、浩。疲れているだろうから、マッサージでも」

ぐげぇぇぇっ! い、いたっ!
そ、それ、骨が、骨が。って、ムリムリムリ。
人の関節はそっちには曲がらないから!

蓉子 「お疲れのようだから、私はゆっくり眠れるように子守唄でも」

って、子守唄って歌うんだろうが!
何で、武器が必要なんだよ。その指に灯っている火は何ですか!?

蓉子 「眠れるのだから、良いじゃない」

お、起きれない予感がするんですが!
って、美姫、痛い、痛い。
そ、そこ、ずれ、ずれる、ほ、骨が、骨が!
いやっぁぁぁぁぁ〜〜!!
……………………
………………
…………
……


美姫 「あらあら、幸せそうな顔して寝ちゃって」

蓉子 「本当に仕方ないですね」

ファミリア 「こ、これも日常なんですか…」

美姫 「とりあえず…」

蓉子 「C〜M♪」







その時、空が裂けた。
何の前触れも何もなく、そう、それは唐突に起こった出来事だった。
その裂け目から、物語や神話などでたまに見かけるドラゴンという生き物に似た生物が現れた。
いつの間にか気を失っていた恭也が気が付くと、そこは無数の本に囲まれた部屋、そう、巨大な図書館だった。

「美由希あたりなら喜ぶんだろうがな」

そう一人ごちると、恭也は何がどうなったのかを思い出そうとする。
しかし、少し前の記憶がなく、気を失った事のみ憶えていた。

「あー、兄さん、兄さん」

と、不意に恭也へと掛けられる声。

「鳥?」

鳥に話し掛けられ、一瞬だけ戸惑うもすぐに尋ね返す。

「何か用ですか」

「ほうほう。兄さんは中々人が出来てらっしゃるようですな」

「そんな事はないですよ」

「いやいや。普通、人っちゅーんは外見でまず判断しますさかいな。
 と、申し送れました。わてはケンちゃん言います」

「高町恭也です」

「ほう、記憶を持っているとは…」

珍しいものでも見るように見てくるケンちゃんに、恭也は思っていた事を尋ねる。

「所で、ここは…」

「それを今から説明させてもらいましょう」

そうして語られる事実に、恭也は流石に耳を疑う。
この図書館が世界の全てを収めている場所で、恭也の世界はここに無数あるうちの一冊の本だと言うのである。
そして、恭也の世界である本が壊れかけていて、戻る事が出来ないと告げられる。
修復するためにも、散らばった世界(本)を探し出し、その中にある世界の欠片を探す事になる恭也だった。



ヤミと剣士と本の旅

ぱんぱかぱ〜ん。放映決〜、イエィ〜イ。さっすがはリリスちゃん。でも、嘘〜(笑)







はぁ〜。本当に今日は厄日かよ。

ファミリア 「えっと、もう大丈夫なんですか」

ああ、何とか。
あ、それよりもお茶もらえるかな。

ファミリア 「あ、はい。ただいま」

美姫 「って、アンタは何様じゃ!」

蓉子 「勝手にファミリアをつかわないの!」

うぎゃぁぁぁっ!

ファミリア 「あ、わたしなら構いませんから」

美姫 「駄目よ、甘やかしたら」

ファミリア 「でも、もう淹れている途中ですし」

蓉子 「まったく、運が良かったわね」

うぅぅぅ。本当に厄日だ。

美姫 「文句を言う前にさっさとSSを書き上げてよね」

それを言われると言い返せない……。

蓉子 「ほら、さっさと手を動かしなさい」

はい…。って、お前にまで言われるのかよ!

蓉子 「何よ」

いえ、何にも。

ファミリア 「が、頑張ってくださいね」

おうともさ!

美姫 「あら、ファミリアちゃんも意外と浩の操作上手いじゃない」

ファミリア 「えっ、え。わたしは別にそんなつもりじゃ…」

美姫 「分かってるて。にしても、もう時間なのね」

蓉子 「あら、本当ですね」

美姫 「まったく、浩のせいでファミリアちゃんとあまり話できなかったわ」

俺が悪いの……んです、はい。
ごめんなさい。

美姫 「とりあえず、この後ゆっくりとしましょうね」

ファミリア 「はい!」

蓉子 「勿論、私も良いんですよね」

美姫 「当たり前じゃない」

あ、あの〜。

美姫 「何?」

いえ、何も……(涙)

美姫 「はぁー、仕方ないわね。アンタも一緒で良いわよ」

おお! やっぱり、美姫は優しいな。

美姫 「はいはい。だから、さっさと仕上げてね♪」

分かってるとも!

蓉子 「まさに飴と鞭ね」

ファミリア 「え、ええ」

美姫 「そて、それじゃあ、今回はここまでにしておきましょうか」

よーし。それじゃあ…。

美姫&蓉子&ファミリア 「また来週〜」


4月14日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜。

?? 「はじまるわよ」

<この番組は、PAINWESTの良心によると見せて、実は無理矢理ぶん取ってお送りしてます>



美姫 「という訳で、今回も特別ゲスト」

今回は……。

美姫 「安藤さんの所よりお呼びした…」

蓉子 「蓉子です」

パフパフドンドンドン〜。

美姫 「とまあ、こうしてゲストも来て頂いたことだし、ここはお礼も兼ねて、
    ドドンと、SSの10本や20本、いっきに」

いやいやいや、絶対に無理だろうそれ!

美姫 「やる前に諦めてどうするのよ!」

諦める云々の話かよ、それ!

蓉子 「口を挟む隙が中々見付からないわね」

美姫 「あ、ごめんね〜。ゲストをほったらかしにするなんて。本当にこの馬鹿は」

って、俺だけが悪いのかよ!

蓉子 「慣れるまでは、中々口を挟むタイミングがつかめないわ」

美姫 「大丈夫よ、すぐに慣れるから。そうなったら、もう、浩に何でもし放題よ」

って、何をする気じゃ!
とういうか、剣を仕舞え! 剣を!

蓉子 「ふふふ、仲が良いわね」

何処が!?

美姫 「はいはい。アンタの相手は後でしてあげるから、大人しくしててね」

また俺のせいですか…。

蓉子 「あ、そうだったわ。これを忘れるところだった」

美姫 「何々?」

ファイル?

美姫 「あ、何か書いてあるわよ、浩」

ほうほう。蓉子さん、これは?

蓉子 「今日、こちらへと伺うという事を何処からか聞きつけたらしくて…」

美姫 「ああ、安藤さんが?」

蓉子 「ええ。それで半ば無理矢理に持たされたものなの。
    まあ、手ぶらじゃなんだし、丁度良いかと思って持ってきたんだけれどね」

アンタたち、作者に、ちぃぃぃ〜〜っとも容赦ないのな(涙)

美姫 「あ、これって。浩、喜びなさい」

何をだ、いきなり。

美姫 「ネタSSよ、ネタSS」

ぬわにぃぃぃ! ……あ、本当だ。
うぅぅ、何て優しい人なんだ。

蓉子 「でも、勝手に流しても良いのかしら?」

勿論でございます!

美姫 「アンタ、自分ネタが尽きたからって、無理矢理頼んだんじゃ…」

するか!

蓉子 「えっと、とりあえず流しても良いのね」

イエッサー、マム!

美姫 「ほうほう。私以外の人にも服従するんだ〜」

あ、いや、これは、条件反射みたいなものでして…。

美姫 「はぁ〜。はいはい。流石にこの辺にしておいてあげるわよ。
    それよりも、さっさといきましょうか」

だなだな。
それじゃあ、美姫の気が変わらないうちに…。

美姫 「今、もの凄く気が変わりそうよ(にっこり)」

あわわわ。
えっとえっと、と、とりあえず…。

美姫&蓉子 「CMです〜」








 ――周囲を海と山に囲まれた穏やかな気候の都市、海鳴……。
 今、この町では一つの事件が起きていた。
 建設中のテーマパークに出没する亡霊。
 作業員を中心に多くの目撃者を出しながらもその正体は依然明らかにされていない。
 別段被害が出ていないということもあり、放置されたまま工事は進められていった。

 ――そして、夏……。
 ここ、私立風ヶ丘学園3年G組の教室ではその話題で持ちきりだった。
 オープンに合わせて近年流行のカードゲームの大会が行なわれることもあり、
 ゲーマーな方々は特に盛り上がっているようだ。



「ねぇ、恭也。恭也も一緒に参加しようよ」

 窓際の自分の席でへばっている青年にしきりに声を掛けて誘う少女、月村忍。



「えー、今日は転校生を紹介します」

 季節外れの来訪者を継げる教師の声に、教室中にどよめきが起こる。



「こんな時間に何をしてるんだ」

 ――深夜。
 鍛錬を終えた恭也は意外な人物の姿を見つけて声を掛ける。



「計画は順調のようだね」

「ああ、おかげで連日残業続きだがな」

「それで、今度はどこに出来るんだっけ」

「おまえはニュースも見んのか。そんなことでは世の中から取り残されるぞ」

 顔を顰める青年に、電話の相手が苦笑したのが気配で伝わる。

「まあ、良い。今日は貴様にその件で頼みたいことがあってな」

「おやおや、海馬コーポレーションのトップが直々に頼みごととは」

「茶化すな。貴様の腕を見込んで頼んでいるのだ」

「ああ、そういうことね」

 用件を察したのか、相手は急に態度を改めた。

「分かった、引き受けよう」



 ――オープン直前のテーマパークに忍び寄る黒い影。



「……これは、まさか。闇のゲーム!?」


 失われたはずの禁断の儀式に少年は……。



「「デュエル!」」



 呪われし魂の連鎖に隠されたもう一つの伝説。
 多くの人の意思を巻き込んで今、闇が動き出す。



 THE DUEL〜蘇りし伝説〜
 2006年夏 公開未定!







美姫 「とらハとデュエルモンスターのクロスね」

蓉子 「あたしもそう聞いてるわ」

……ピクピク

美姫 「安藤さんにお礼を言っておいてね」

蓉子 「ええ、伝えておくわ」

ピクピク……

美姫 「にしても、急に静かになったような気がするわね」

蓉子 「気のせいじゃない?」

美姫 「そうよね〜」

って、お前ら何するとですか。
って、焦げてるし! 切れてるし!

美姫 「うるさい」

蓉子 「本当に。もう少し静かにして欲しいわ」

って、あんた等の剣と狐火の所為でしょうが!

美姫 「あ、そろそろCMだって」

蓉子 「それじゃ、いってみようかしら」

って、待て待て待て。
安藤さんから貰ったのは一つだったよな。
それとも、あれか? もう一つあったのか?

美姫 「何言ってるのよ。アンタのがまだないじゃない」

って、なんでやねん!

蓉子 「あら? 起きながら寝言を言うなんて器用ね」

って、最初と態度が違うし…。

美姫 「ともあれ、CM〜」

シクシク。







≪来たれ……。今こそ、目覚めの時……≫

不意に聞こえてきた声に思わず後ろを振り返る高町恭也。
しかし、深夜という時間帯もあり、歩いている人物は恭也以外には居ない。
気のせいかと首を傾げつつ、恭也は日課となっている鍛錬の帰り道を再び歩き始める。
普段なら横に居る妹にして弟子の美由希は、
二学期に入って最初の一年生のイベント、合宿のために今日はいない。
その為、いつもよりも少しだけ早めに切り上げての帰り道、恭也はまたしても声を聞いた気がして足を止める。
と、不意に視界いっぱいに光が広がり、恭也の視界を覆い隠すのだった。



「ふぁぁぁ〜」

終業のチャイムが鳴り響くと同時に、これでもかというぐらいに大口を開けてあくびをする一人の少年。
その少年の横に、一人の男性が音も立てずに立つ。

「大河くん、そんなに私の授業は退屈でしたか」

「あ、あははは」

乾いた笑みを浮かべて誤魔化す大河を、呆れたように、怒ったように、
まるで我が事のように恥ずかしそうに、とそれぞれに反応を見せながら見詰める少女たち。
そんな中、唯一無表情だった少女がふと目を細めると、宙の一点を見詰める。

「…誰かがこちらの世界に来ようとしてます」

「えっ、まさか、また救世主が見付かったの、リコ!?」

長い金髪に神に仕えるべき者の服を身に纏った少女の言葉に、しかし、リコは首を横に振る。

「いえ、そのような報告はありません。
 ですが、空間に揺らぎが生じているの確かです。大河さんたちと同じ現象かも」

リコの言葉を聞き、赤毛のローブ姿の少女が目を吊り上げる。

「まさか、またこんな馬鹿が来るんじゃないでしょうね!」

「誰が馬鹿だ、誰が! このエセ魔導師が」

「なんですってー!」

「やめなさい! あなたたちは教室を壊すつもりですか!」

最初に大河へと注意をした、恐らく教職者なのだろう人物が二人を嗜める。

「それよりも、あなたたちは召喚の塔へ行きなさい。
 私は学園長へと連絡をいれます」

言って踵を返していく男を見送ると、大河たちは召喚の塔へと向かうのだった。



「…救世主候補の試験を受けるとは確かに言った。
 しかし、これは酷いんじゃないだろうか」

そう一人ごちると、恭也は周囲を見渡す。
周囲は白い体毛で覆われた狼、いや、狼の姿をして後ろ足で立つ人狼に、
ぶよぶよと特定の形を持たないスライムと呼ばれるモンスター、
果ては石で作られたと思われる巨大な人形――ゴーレムなどがうようよと恭也に襲いかからんと機を窺っている。
闘技場らしき場所の中央でそれらを見渡した後、恭也は視線をその奥、観客席となっている場所へと飛ばす。
そこには、思わず目を逸らしたくなるような胸元が大胆に開いた服を着た女性が、
一人の女性に説教を受けている所だった。

「ダリア先生、一体、何を考えているんですか!」

「ごめんなさい、学園長。でも、決してわざとじゃないんです〜」

「当たり前です! わざとで、あんな大量のモンスターをけしかけられてはたまりません!」

「あ、あのお義母さま、それ所じゃないんじゃ…」

学園長の娘らしい赤毛の少女の言葉に、ようやく全員が恭也の状態に気付く。

「反省や説教なら後でして欲しいものだ」

ぼやきつつ、迫る人狼の攻撃を躱し、すれ違いざまに八景を一閃。
地に倒れる人狼の事など気にも止めず、次のモンスターが襲い掛かる。

「あー、もう。中心に居るんじゃ、大きな魔法が使えないし」

ぼやく赤毛の少女――リリィの言葉に、大河は感心したような声を上げる。

「それにしても、あいつ中々やるな。全然、攻撃を喰らってないぞ」

「確かに、師匠の言う通りでござるな。あの動き、さぞや名のある戦士では」

「って、お兄ちゃんにカエデさん、感心している場合じゃ…」

未亜の言葉にようやく事態を思い出したのか、今更のように動き始める大河たちだった。
恭也目掛けて攻撃を繰り出してきたモンスターたちの動きが急に鈍る。
いや、正確には攻撃が分散される。
見ると、輪の向こう側で大河たちが攻撃を開始したらしい。
それぞれの動きを視界に捉え、恭也は思わず感嘆の声を洩らす。
輪の中と外の攻撃により、どんどん数を減らしていくモンスターたち。
しかし、いつの間にか死角に忍び込んでいた人狼の爪が、弓を構えた未亜の背後に現れる。
思わず上がる悲鳴。
咄嗟に目を閉じてしまったが、一向に痛みが襲ってくる事がなく、未亜は恐る恐る目を開く。
と、その目に見えるのは、彼女が最も安心する背中。

「ありがとう、お兄ちゃん」

「馬鹿。もっと周りを把握しろ。でも、無事でよかった。
 それと、礼なら後であいつに言ってくれ」

大河は恭也の方へと視線を向け、状況を説明する。
未亜の背後に迫った人狼へと恭也が何かを投げ、それに怯んだからこそ、間に合ったのだと。
大河の言葉に頷きかけた未亜だったが、その口が驚きに開かれる。

「危ない!」

叫びと共に弓を放つ未亜。
見れば、未亜を助けるべく投げた飛針の所為で、恭也はその隙を付かれる形となっていた。
未亜の放った矢が人狼を倒すが、その隙を狙っていたのはその人狼一匹だけではなかった。

未亜の矢によって倒れた人狼の後ろから、人狼ごと砕かんと人の胴体ほどもありそうな腕を振り上げるゴーレム。
それだけでなく、左右、後ろと人狼に囲まれ、最早逃げ道を防がれた形となる。

(神速を使うか…)

この状況で、右膝への負担は後が怖いが、かと言ってここで使わなければもっとやばいと感じ、
恭也は神速を使う事を決意する。
と、そこへ恭也の脳裏に直接語りかけてくる声が届く。

≪駄目だよ! 神速を使ったら、駄目ー!≫

(一体、誰だ…)

≪待ってて、私がすぐに助けてあげるから。
 恭くんは私が守るんだから!≫

その声が頭の中一杯に響くと共に、恭也の脳裏に門が浮かび上がる。
同時に、恭也の目の前に光が溢れ出す。
まるで、そこから光を生み出そうとせんばかりに膨大な光が。
これには、モンスターも大河たちも目を手で庇うしかなかった。
光が収まっていく中、未だに目を開けることの出来ない状況下で、
恭也だけは不思議と目を開けることができていた。
そして、その恭也の目の前には年の頃は恭也と同じぐらいか、少し下のの少女が、
その手に棒状のものを持って立っていた。
それは、先端は翡翠色の奇妙な曲線を描く形をしており、恐らくは杖なのだろう。
黒を貴重としつつ、肩に羽織ったケープのようなものは白地に縁が薄い青。
胸の前で結んばれた小さなリボンは薄い紫で、蒼い髪を首の後ろで一つに纏める白い翼を象った髪飾りが、
リボンのように、静かに大きく翼を広げている。

「君は……」

「えっ!? 酷いよ、恭くん。私の事、忘れちゃったの?」

「えっと…」

「あ、でも、仕方ないかも。小さい頃のことだし…」

「とりあえず、名前を教えてくれると助かるんだが…」

「あ、そうだね。私の名前はユーフォリア。悠久のユーフォリアだよ。
 でも、恭くんにはお父さんやお母さんと一緒の呼び方、ユーフィって呼んで欲しいかな」

「分かった。ユーフィだな」

「うん♪」

「で、君は一体…」

「うーん、その辺は時が来ないと教えられないの。ごめんなさい。
 やっぱり、それじゃあ駄目かな?」

涙目になりながら見てくる少女に対し、恭也が断る事ができるはずもなく、ただ頷く。
それを見て、ユーフォリアは嬉しそうに破顔すると、手にした杖を恭也の肩にそっと置く。

「今、この時より私は恭くんの剣に、盾になるからね。
 恭くんは私が守ってあげるから、何も心配しないでね」

「守られるだけというのは、あまり性に合わないんだが…」

ぼやく恭也の言葉にもう一度笑みを形作ると、一転して鋭い眼差しで周りのモンスターを見詰める。
その顔は、さっきまで恭也と話していたあどけない少女のソレではなく、完全に戦士としてのソレだった。
恭也は直感的に、少女が自分よりも強く、また実戦経験が多い事を悟る。

「とりあえず、今はこいつらを何とかしないとね。
 恭くんが選択する事になるその日まで、私が守ってあげないと」

小さな呟きは恭也の耳には届いてはおらず、またユーフォリアも聞かせるつもりはなかったのか、
手にした杖を掲げると、ようやく光が収まり始めた中、口の中で何かを呟く。

「いくよ、悠久。力を」

ユーフォリアの言葉に応えるように、手にした杖、悠久が一瞬だけ輝く。

「マナよ、集い来て散れ。闇夜を切り裂け!
 サンダーブレイク!」

ユーフォリアの鋭い声が響くや、天より幾本もの雷が降り注ぎ、意志を持っているかのごとく、
モンスターのみを打ち払う。
地面へと落ちた雷は、土を巻き上げ、地面に穴を開け、向きを変えて飛ぶ。
地面から横へ、上へと伸びる何本もの雷に、先ほどは攻撃を逃れたモンスターたちが、その身を焦がされる。
天へ、横へと向かった雷は再び折り返すと、地面へと降り注ぎ、ようやく消える。
耳をつんざく轟音が鳴り止むと、あれだけ居たモンスター全てが消滅していた。
ユーフォリアは少し自慢げに恭也へと向き直ると、胸を張ってみせる。
驚きで言葉を無くしていた恭也だったが、ピンチを救われたと気付き、慌てて礼を言う。

「気にしなくてもいいよ。さっきも言ったでしょう。
 恭くんは私が守ってあげるって」

言って腕に絡み付いてくるユーフォリアを、振り払う事も出来ずに困り果てていると、
ようやく他のものも視力が回復したのか、薄っすらと目を開ける。
そして、目の前の惨状に揃って声を無くす。

「まさか、彼一人でこれをやったというの…」

その力の凄まじさに声をなくす学園長のミュリエルだったが、その横に見知らぬ少女が居る事に気付く。
全員が恭也の元へと集まると、ミュリエルが疑問を口にする。

「高町恭也。召還器は呼び出せたのですか?」

「呼び出せませんでした」

「では、あれをやったのは、この少女…」

言ってユーフォリアを見るミュリエルだが、いつの間に来たのかという疑問が浮かぶ。
そこへ、リコが口を挟む。

「…よく分かりませんが、その少女は彼が呼び出したみたいに感じられました」

「…もしかして、召喚士なのですか?」

聞き慣れぬ単語に首を傾げる恭也を見て、その可能性が消える。
ならば、本人に聞くのが早いということで、ミュリエルはユーフォリアへと視線を返る。

「貴女は誰ですか」

「私はユーフォリア。恭くんの剣にして盾。
 あらゆるものから、恭くんを守るもの」

「まさか、女の子の形をした召還器か!?
 恭也、俺のトレイターと交換してくれ! 今すぐ! さあ、早く!」

興奮して叫ぶ大河の後頭部を、未亜の弓が、リリィの肘が、ベリオの杖が襲う。
鈍い音を立てる頭を押さえ、しゃがみ込んだ大河を無視し、リリィが睨むように恭也を見詰める。

「どういう事なのよ、これは!」

「俺に聞かれましても、自分も何がなんだか」

大河のように言い返してくる訳でもなく、丁寧に正論を返してくる恭也にリリィも言葉に詰まる。
困ったようにミュリエルを見るも、ミュリエルも判断しかねるように恭也とユーフォリアを見詰める。

「どうしたものかしら。恐らく、召還器は手にしてないのでしょうけれど…」

さっきの恭也の動き、ユーフォリアの魔法を思い出し、ミュリエルはこの二人をどうするべきか考えあぐねる。
だが同時に、もしかしたら、召還器なしで破滅とやり合えるかもという希望を二人に見出す。
その嬉しさを悟られないように、いつもと変わらぬ表情のまま、

「召還器は呼べませんでしたが、あなたたち二人の戦力は、破滅と戦うのに大いに力になります。
 勝手な言い分かもしれませんが、力を貸して頂けませんか」

「さっきも言ったと思いますが、破滅を何とかしないと俺たちの世界も、大切な人たちも危ない以上、
 出来る限りの事はさせてもらいます」

恭也の返事にミュリエルは感謝を述べつつ頭を下げると、今度はユーフォリアを見る。
見詰められたユーフォリアは、僅かに首を傾げると、

「恭くんがそう決めたのなら、私も付き合うだけだよ」

そう応えるのだった。
これに真っ先に反論したのは、リリィだった。

「お義母さま、召還器も持たない者たちを救世主クラスにするのは、無理です!」

「ええ、そうね。でも、彼らの戦力は手放すには惜しいわ。
 恐らく、現状では彼らはあなた達よりも強い。実戦経験も含めてね」

「そんな…。あの馬鹿と同じ世界から来た人間なのに、私たちよりも実戦経験があるって言うんですか」

「ええ、そうよ。逆に言えば、大河くんたちと同じ平和な世界に居ながら、彼は常に戦いに身を置いていた。
 いえ、常に戦いを忘れていなかったって所でしょうね。
 どうしても不服だというのなら、あなたたちの誰かが彼らと一対一で戦って勝ちなさい。
 それで彼らが勝てば救世主クラスに、負ければ一般クラスに入ってもらいます。
 恭也くんたちもそれで良いかしら?」

ミュリエルの言葉に頷く恭也とユーフォリア。
次いでリリィを見ると、リリィも納得したのか頷いてみせる。
今日はもう遅い上に疲れただろうという事で、この対決は明日となった。
こうして、恭也のアヴァターでの一日は静かに終わりを……。
この後も、寝床の問題などですんなりとは終わらなかったのが…。

御神流師範代、高町恭也。
本人は至って普通に生きてきたつもりだったが、この日を境に破滅との戦いへと身を投じる事となる。
そして、それよりも厄介な連中との戦いにも巻き込まれていくことになるのだった。


Duel Heartof Eternity Sword 近日公開〜。







ぜ〜は〜。ぜ〜は〜。

美姫 「あら、今回は三つのクロスじゃない」

蓉子 「元ネタを分かる方は…、結構、居そうね」

ぜ〜、ぜ〜。

美姫 「でも、DUELととらハは既にやってるのに」

蓉子 「でも、召還器を呼び出していない所は違いますね」

美姫 「変わりに、女の子を呼び出してるけどね」

蓉子 「その辺はどうなのかしら?」

は〜、は〜。

美姫 「多分、召還器じゃなくて、あっちの武器を呼ぶんじゃないの」

蓉子 「ああ、なるほど」

って、お前らな〜。

美姫 「何、怒ってるのよ」

怒るも何も、CM中のあの酷い仕打ちはないでしょう(泣)

蓉子 「何のことかしら?」

うわぁ〜い。既に忘却の彼方ですか。

美姫 「あら、もう時間だわ」

って、そんな都合よく!?

蓉子 「本当に残念」

美姫 「あ、うちに寄ってく?」

蓉子 「それじゃあ、お言葉に甘えちゃおうかしら」

おおーい。俺の意見……。

美姫 「うんうん。もう大歓迎よ」

蓉子 「それじゃあ、行きましょうか」

いや、もう良いけどね。

美姫 「あ、いたの?」

幾らなんでも酷すぎるぞ、美姫〜。

美姫 「じょ、冗談よ。だから、足に抱きつかないで」

うぅぅ〜。

美姫 「あー、いい子、いい子」

ぐしゅぐしゅ。

蓉子 「中々、手が掛かるわね」

美姫 「でしょう。ほら、高い他界〜」

ぐげぇぇぇっ! って、意味が違うわ!
首を締めるな!

蓉子 「首を締められてるのに、あの余裕。さすがだわ」

美姫 「冗談よ、冗談」

ったく。冗談も度が過ぎるぞ

美姫 「あはは〜。ごめんね〜」

蓉子 「……あれが冗談で済むのね。何か、眩暈がしそうだわ」

美姫 「まあ、そのうちこれも慣れるわよ」

ともあれ、時間じゃなかったのか?

美姫 「そうだったわね」

それじゃあ…。

美姫&蓉子 「また来週〜」


4月7日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

フィーア 「ハートフルデイズ〜]

美姫 「はじまるわよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナをぶん取ってお送りしてます>



美姫 「という訳で、今回の特別ゲスト、フィーアちゃん〜」

フィーア 「どもども〜。宜しく〜」

美姫 「久しぶりね。元気してた?」

フィーア 「はい♪ お陰様で、元気でしたよ〜」

美姫 「そう、なら良かったわ。アハトさんの傍に居るから、心配で、心配で」

フィーア 「全然、問題ないですよ、お姉さま〜」

いや、こら、いい加減に俺を無視するのはやめれ。
というか、今の発言は何だ美姫。

フィーア 「同じ境遇だから、意気投合?」

って、フィーアが答えてるし!
っていうか、アハトさんが可哀想過ぎるよ…。

美姫 「確かにね。アンタと一緒にしたら可哀想ね」

って、そういう意味かよ!
いいんだ、いいんだ。どうせ俺なんて、俺なんて……。

フィーア 「それで、お姉さまの方はどうなんですか?」

美姫 「駄目ね。本当にこれでもかってぐらいに駄目よ」

フィーア 「全然、SSを書いてないって事ですか」

美姫 「本当に困ったものだわ」

フィーア 「本当ですね〜」

美姫&フィーア 「はぁぁっ」

って、無視された上に、呆れた目で見下ろされてるしっ!

美姫 「あー、はいはい」

シクシク。

フィーア 「あらら、完全にいじけちゃいましたね」

美姫 「まあ、別に構わないんだけれどね」

フィーア 「でも、ちょっと可哀想かも」

美姫 「うーん、フィーアは優しいわね」

フィーア 「そんな事ないですよ〜。えへへへ〜」

……うぅぅ(涙)

美姫 「はぁ〜。仕方ないわね。今回はフィーアが来ているから、特別サービスよ」

フィーア 「どうするんですか?」

美姫 「こそこそこそ」

フィーア 「ふんふんふん。えっえー!」

美姫 「ほら、大声を出さない」

フィーア 「でもでも」

美姫 「ほらほら。で、こそこそこそ」

フィーア 「お姉さまがそう仰るのなら」

美姫 「じゃあ、決まりね♪」

フィーア 「でも、とりあえずはCMの時間ですね」

美姫 「そうね。それじゃあ、フィーアいくわよ」

フィーア 「はい♪」

美姫&フィーア 「C〜M〜」







一つの教育機関があった。
ただし、それは世間一般で言う所の教育機関とは異なり、
学校教育法上の定めに則って作られた機関ではなかった。
そもそも、この国の公文書のどこを探してもその機関の名前はなく、
どんな地図を紐解いてみたとしても、その機関の所在地は載っていない。
つまり、世間一般的には、それは存在し得ない機関であった。
だが、確かに存在している。
そんな教育機関。
現代の社会を築く上で、切り捨ててきた、見捨ててきたものが堆積して出来上がった機関。
不可思議なる技を会得するための場所。
誰にも知られる事のないその教育機関を、関係者は様々な想いよりこう呼ぶ。

現代に隠れ住みし超常なりしものたちの学園
 <マジシャンズ・アカデミイ> と



「みゅみゅ! タクト、タクト。我と一緒に遊びに行くのである」

やや癖のある真っ赤な髪に同じく紅い瞳。
南国の育ちを思わせるような褐色の肌に尖った耳をした野生児という事を、
雰囲気全体で伝える少女が一人の少年に絡みつく。
それを見た、お下げ髪に眼鏡という、文学少女を思わせる出立ちの少女が手にしたスケッチブック振る。

『こらタナロット! タクちゃんから離れなさい』

スケッチブックに描かれたその文字を見せるように、タロットの前に出す。

「みゅ。我はスズホの言葉に従う義務はないのである」

『義務って何よ! 義務って』

少女は慣れた様子でスラスラと次の文字を描く。
その間も、タナロットは拓人に絡みつくのを止めない。
拓人を挟んで言い合う、正確には一人は筆談だが、しているうちに、二人の少女は徐々に熱くなっていく。

「あらあらあら〜。ご主人様、このままだとここは危険ですから、あちらへ参りましょう」

そう言って、新たに現れた少女はのほほんとした口調で拓人の腕を取ると、その場を立ち去ろうとする。
いつの間にか腕を離していたタナロットも、スケッチブックに次なる言葉を書いていた鈴穂も、
お互いに動きを止めて第三者の少女の名を呼ぶ。

「ファルチェ!」

『ファルチェ!』

その声におっとりと振り返るファルチェの腕を両側から掴むと、困ったように笑う拓人から引き離す。

「ずるいのである。ずるっこなのである」

タナロットは言いながら拓人へと近づこうとして、その鼻先に切っ先を突き付けられる。

「で、お前はそう言いながら何をする気だ?」

その切っ先の先、奇妙な形の武器らしきものを構えた少女へとタナロットの視線が向かう。
その顔は鈴穂とそっくりで、唯一違う点を上げるとすれば、蒼い色をした髪だろう。
雰囲気こそ違うものの、それ以外は、外見は全く同じだった。
それもそのはずで、彼女は鈴穂のもう一つの人格で、名を鈴果といった。
鈴果へと変わると、鈴穂は言葉を話す事が出来る上、彼女の特異体質が発動される。
それは、周辺の魔力を吸い上げるという、魔法使いたちにとっては天敵とも言える能力。
故に、彼女は≪宵藍の侵奪者(ミッドナイト・ブルー・ヴァンパイア)≫の別名で呼ばれることもあった。
ともあれ、この少女たち三人による騒動は、ここ学園では日常になりつつあり、
その甚大ならざる被害もまた日常と化しつつあるのには、困ったものだが。
未分化魔神であるタナロットの拳と、鈴果の持つ武器ワルプギスがぶつかり合う。
二人の攻防によって地面には穴が空き、建物の壁には皹が入る。
お互いに一旦離れて距離を取ると、力を溜めて更なる一撃を叩き込もうと地を蹴る。
何かがぶつかる音がして、二人の拳とワルプギスの刃が間に立つ人物によって受け止められる。

「ったく。お前たちは毎度、毎度。暴れるのなら、周りに迷惑の掛からないところでやってくれ」

「みゅみゅ。キョウヤ、おっはー、なのである」

「ああ。まあ、今は昼だがな」

「…悪かったよ」

鈴果は素直に詫びるとワルプギスを仕舞い、リボンをする。
すると、猛々しい印象から大人しい印象へと変わり、髪の色も黒へと戻る。

『恭也さん、ごめんなさい』

「ああ、気にするな。今回は近くにいたお陰で、すぐに止めれたしな」

「ありがとうございます、恭也さん」

「拓人もたまには自分で止めろよ」

「あははは。それはちょっと、いや、かなり難しいです」

恭也の言葉に苦笑で返す拓人に、恭也も小さく笑う。
拓人たちと親しそうに話すこの青年の名は高町恭也といい、彼もまたこの学園へと在籍する生徒である。
彼もまた、鈴穂たち同様に一風変わった生徒として有名であった。
魔法を学び身に付けるこの学園に置いて、剣術の鍛錬を重視しているのだから。
勿論、魔法とは何も闘う術を指すわけではない。
故に、表の顔として剣術家をやっていたとしても可笑しくはないのだが。
それに、彼がここに在学しているのは、魔法を学ぶためというよりも、鈴穂と立場が似ていたりする。
先天的な特異体質。
魔術無効化(マジック・キャンセル)という体質のため、秘匿されるべき魔法の存在を知られても、
記憶を操作する事が出来ず、結局は抱き込むような形で在籍する形となったのだから。
彼はその体質を魔法という術でコントロールするための努力を惜しまなかった。
結果、彼が武器を振るえば、魔法の炎を切り裂き、魔法の弾を弾き返すという荒業をできるまでになっていた。
魔法使いにとっては、これまた天敵と言える存在である。
もっとも、無効できる魔法量にも限度はあるらしいのだが。
ともあれ、こうして異質な存在に囲まれた一見、平凡な少年拓人だが、ある意味、彼が一番の特異だと言える。
≪始原的神魔創造者≫
それが彼の持つ、この世界にはあってはならないとさえ言われる能力だった。
この物語は、そんな特異な体質を持つ二人の少年の物語…。



「我が名と技を背に我は実行す――」

超常の担い手、≪始原的神魔創造者≫ 羽瀬川拓人

「とりあえず、拓人に害をなすっていうのなら、ぶった斬るのみ!」

≪宵藍の侵奪者≫ 羽瀬川鈴穂&鈴果

「みゅ? みゅみゅみゅみゅ!」

拓人により生み出されし未分化魔神 タナロット

「あらあらあら〜。大変ですね〜」

拓人に仕える可変型魔法機杖(ヴァリアブル・ワンド) ファルチェ

「いやいや、中々面白い事になってきたじゃないか。なあ、エーネ」

天才魔法使いにして、究極の趣味人 佐久間榮太郎

「……当人たちにとっては、それは不適切な言葉かと」
榮太郎に仕える使い魔、エーネウス

「先輩、面白がっている場合じゃないと思うんですが……」

何故か苦労を背負い込む事の多い青年 高町恭也

個性的なキャラクターが織り成す、ドタバタコメディー(?)

マジカル・ハート・アカデミイ 近日……没







そして、誰も居なくなった……。
って、俺一人だけ残して行くなんて、幾らなんでも酷すぎる(涙)

美姫 「はーい。お待たせしました、ご主人様〜♪」

フィーア 「お、お待たせしました、ご、ご主人様」

っ!! お、おおー!

フィーア 「お、お姉さま、やっぱり恥ずかしいですよ、これ」

美姫 「そう? まあ、すぐに慣れるって」

フィーア 「は、はあ」

美姫 「さてさて、ご主人様、いい加減に機嫌を直してくださいね」

勿論じゃないか〜。いやいや、さすが美姫。グッジョブ!

フィーア 「……まあ、何となくこの反応は分かっていたんだけれど。
      実際に目の辺りのすると、また…」

美姫 「やっぱり、折角フィーアが来たんだから、着てもらわないとね」

うんうん。

フィーア 「って、お姉さまも楽しんでる!?」

美姫 「うん♪ だって、いっつも私しか着る人いないじゃない。
    たまには他の人が着ているのも見てみたいでしょう」

フィーア 「うぅ、お姉さまが言うのなら…」

うんうん。素晴らしい。

美姫 「ほらほら、そんなに緊張しない、しない。別に普段通りで良いんだから」

フィーア 「そうなんですか」

違う! 違うぞ、それは!

美姫 「アンタは少し黙っててね♪」

がっ!

フィーア 「あ、綺麗に入った」

美姫 「さて、残り時間も僅かだし、何か言っておくことはある?」

ま、まさか、それって、遺言か!?
ちょっ、幾らなんでもそれは酷すぎるだろう、おい!

美姫 「……この馬鹿! 誰がアンタに言ったのよ!
    私はフィーアに言ったの。大体、時間てのはこのコーナーの話よ」

そ、そうだよな。幾らお前でも、そこまでは…。

美姫 「大体、アンタが相手ならそんな暇あげないわよ」

……シクシク

フィーア 「ああ〜、よしよし〜」

うぅぅ、フィーア〜! 何て優しい子なんだ〜。

フィーア 「あ、あははは」

美姫 「何かむかつくわね」

フィーア 「えっと、どうしましょう」

美姫 「良いわよ、好きにして」

フィーア 「本当に?」

美姫 「勿論♪」

フィーア 「それじゃあ、遠慮なく」

バキベキボキ。ガガガガッ!

…………ひ、酷い。

フィーア 「あー、すっきり」

美姫 「ああ、何て可哀想なのかしら。よしよし」

うぅぅ。やっぱり、美姫が一番だよ〜。

美姫 「分かれば良いのよ。だから、私のためにSS書いてね♪」

うん。書く。

フィーア 「な、なるほど。これが飴と鞭なのね。しかも、今回は自分では鞭を使わないなんて。
      流石です、お姉さま。これで、浩さんは益々お姉さまの言いなり……」

美姫 「くすくす。それじゃあ、もうすぐで時間だから、大人しく待ってるのよ」

分かってる(グシグシ)

美姫 「うんうん。後で耳掃除してあげるからね〜」

頑張って書きます!

美姫 「さーて、契約したことだし、フィーアの方は何かある?」

フィーア 「えっと、特に何も聞いてきてませんでしたね」

美姫 「そう。それじゃあ、今回はここまでね」

フィーア 「はい! ありがとうございました、お姉さま♪」

美姫 「良いのよ、可愛いフィーアの頼みだもの。さて、それじゃあ、締めましょうか」

フィーア 「それじゃあ……」

美姫&フィーア 「また来週〜♪」


3月31日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜。

美姫 「はじまるわよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナを横取りしてお送りしてます>



はふ〜。

美姫 「って、いきなり景気悪いわね」

あはははは。さて、頑張っていくぞ〜!

美姫 「初めからそうしなさいよね」

まあまあ。さて、SSの進み具合だが。

美姫 「おお! 自分から言うなんて。進化したのね」

酷い言われ様だな。
って、進歩じゃなくて進化なのかよ!

美姫 「まあまあ、そんな細かい所…」

細かいのか?

美姫 「で、どうなのよ」

何て強引な話のそらし方だ、おい。

美姫 「い・い・か・ら」

えっとだな。……ごめんなさい。
全く変化なし!

美姫 「……威張るな!」

いや、あれもこれも書こうとは思ってるんだぞ。
本当に。でも、ついつい、一つに集中してしまっているという現状。

美姫 「はぁ〜。で?」

で、と言われましても…。

美姫 「……」

せ、誠心誠意頑張りますです。

美姫 「……」

う、うぅぅ。ゆ、許して…。

美姫 「はぁ〜。久しぶりにお仕置きフルコース行き決定ね」

シクシク。

美姫 「とりあえず、CMよ〜」







少年はいつも通りの時間に目を覚ます。
すぐには起き上がらずに周囲を確認する。
特に問題がない事が分かると、ゆっくりと眠っていた場所、
ベッドの下から出てくる。
やけに静かな朝だと思いつつも、その手はてきぱきと慣れた手つきで武器を整理していく。
必要なものを全て装備すると、少年はマンションのドアを開けて外へと出る。

「……何だ、あれは」

マンションの外へと出た第一声が、それだった。
目の前には彼の知り合いが住んでいるマンションがあるはず。
いや、マンションはある。
ただ、そのマンションが巨大な人型の機体によって潰れているのだ。

「千鳥!」

少年、相良宗介は慌ててマンションへと向かおうとするも、すぐに足を向ける。
少女が住んでいる部屋は既にぼろぼろに壊れており、もしそこに居たのなら生存は難しい。
勿論、それでも確認したいという欲求がない訳ではなかった。
しかし、問題はマンションを壊した機体だった。
仮にこの機体の仕業だとして、何故、自分に何の連絡も来ないのか。
連絡がないという事は、少女は無事なのでは。
そんな楽観的な考えも浮かぶが、それを否定する。
もし、自分たちが敵対するものの仕業なら、とりあえず少女の身は安全だ。
そう、とりあえず。
奴らの狙いは、彼女の命ではなく、彼女の知識にあるのだから。
そう言い聞かせて自分を落ち着かせると、宗介は目の前の機体を見る。

「見たこともないが、新型のASか。
 それに、警察が来ないというのもおかしい」

分からないことばかりだ。
宗介は上官へと連絡を取るか悩み、先に学校へと行く事にする。
連絡を入れるにしても、もう少し情報が欲しい。
そう考えたのである。
それにしても、と宗介は思う。
いつもこの時間は通学や通勤で人が賑わうのに、今日に限って人を見かけない。
それどころか、所々に壊れた建物が目に付く。
駅へと着いたが、電車も走っていないようで、仕方なく宗介はそのまま線路沿いに歩く。
そうこうしてようやく陣代高校へと辿り着いた宗介は、その前で足を止めて感心する。

「ほう。ようやく、皆にも安全に対する心構えが出来たのか」

塀の上に付けられた鉄条網に、監視カメラ。
校門は堅牢な門扉へと変わり、その前に二人の監視が銃を所持して外を見張っている。
その事に満足して宗介は門へと近づき、校内へと足を踏み入れようとする。

「おいおい。幾らここの者だからって、素通りはしないでくれよ」

「そうそう。これも規則なんだから、ちゃんとIDを出してくれ」

「む、それは失礼した。いや、しかし、ここまで変わるとは」

「ほら、感心してないで、IDを」

「ID? 悪いが、俺はそれを貰っていないんだが」

「なに? お前、どこのもんだ」

宗介の言葉に二人の門番が銃を宗介に向ける。
宗介は逆らわずに大人しくしながら口を開く。

「待て。確かにIDは持っていないが、ここの所属だ」

「ここに所属していてIDを持っていない訳がないだろう」

「本当だ。俺は二年四組…」

「少し黙っていろ」

宗介の言葉を途中で遮ると、一人が銃口を向けたまま、もう一人が宗介の身体を調べる。

「こいつ、武器を所持しているぞ」

「なに!? 動くなよ」

宗介は大人しく従う。
その間にも、男は宗介の服や鞄から武器を取り出していく。
手榴弾に催涙弾。プラチック爆弾に無線機。
銃が十数丁に、大小ナイフが数本。
流石に二人は呆れつつも、宗介の武装を完全に解除する。

「お前、こんなに武器を持ち込んで何をする気だった」

「誤解だ。それは単に護身用で…」

「怪しいな。兎も角、来てもらおうか」

宗介の腕を拘束する男に、宗介は思わずその腕を解いてしまう。

「こいつ、逆らう気か」

「いや、すまない。そんなつもりは…」

銃口を額に押し付けられ、宗介は口を閉ざす。
こうして、男二人に拘束された宗介は、そのまま牢屋へと入れられるのだった。



それから三日後、宗介は牢から出され一つの部屋へと連れて行かれる。
そこに居る人物を見て、宗介は驚愕する。

「た、大佐殿。どうして、こちらへ」

まさか、自分がヘマをして捕まったせいで、大佐に迷惑がと考える宗介の前で、
大佐と呼ばれた少女は眉を顰める。

「大佐? いいえ、私は大佐ではありませんが」

「はい?」

そこでの会話から分かった事は、ここは宗介が元々いた世界ではないということ。
ベータと呼ばれる異星人と戦争をしている事だった。
そして聞かされるオルタネイティヴ計画のこと。
その要となりうるのが、宗介自身の存在だという事。
テッサ博士の協力の元、宗介はこの訓練校のとある訓練部隊へと入隊する事となる。

果たして、宗介は人類を守れるのか!

「問題ない」

フルラヴ 第一話 近未来にて!







先週に引き続き、マブラヴネタ。

美姫 「今度はオルタネイティブね」

おう。しかも、とらハじゃなくて、フルメタと。

美姫 「ASから戦術機へと変わり、宗介がどうなるのかよね」

だな。他の軍事的な訓練なら、宗介は問題ないだろうし。

美姫 「って、CMはどうでも良いのよ! 肝心のSSは」

えっと、頑張っている最中でして。

美姫 「ほらほらほら〜」

いていていて。か、書くからや〜め〜て〜。

美姫 「とりあえずは、また来週ね♪」

うぅぅ。日に日に生傷が増える…。

美姫 「いや、もう治ってるし」


3月24日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜。

美姫 「はじまるわよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナというよりも、既にこのコーナーと化しながらお送りしています>



だめだ〜。鼻が、鼻が〜。

美姫 「って、ここん所、出だしがそればっかりね」

仕方ないだろう。おまけに体もだるくて、なんもする気が起きない〜。

美姫 「よーく、分かったわ。それじゃあ、言い訳は終わりかしら?」

あはあは。

美姫 「さて、どうして欲しい?」

えっとえっと。が、頑張って書きます!

美姫 「だったら、さっさと書け!」

は、はいぃぃぃ!

美姫 「ったく、ここ数日アップしてないし」

せっせ。せっせ!

美姫 「ほらほら、書け、書け!」

せっせっせっせ。アクセクアクセク。

美姫 「もっとキリキリ働け〜」

かきかきかきかき。

美姫 「あ、肩揉んで」

はいはい。もみもみもみもみ。

美姫 「うーん、あ、リモコン取って〜」

はいはい。ささっ。

美姫 「足も揉んで〜」

はいはい。もみもみ。

美姫 「ほらほら、手が休んでるわよ!」

は、はいぃ! カキカキ、もみもみ。

美姫 「もう少し強く揉みなさい!」

はい! もみもみもみ!

美姫 「ほら、書く手が止まってる!」

かきかき。もみもみ。かきもみかきもみ。
って、待てー!
何か可笑しいだろう、これ!

美姫 「ほら、休まない!」

は、はい。カキカキカキカキ。
もみもみもみもみ。
かきかき。モミモミ。

美姫 「はぁ〜。極楽、極楽。それじゃあ、CMよ〜♪」

カキカキ。モミモミ……。







「う、うぅ。もう、朝か」

目覚めの良い恭也にしては珍しく、寝起きが悪い。
それもそのはずで、昨夜は鍛錬から帰り、美由希の後にシャワーを浴びたのが一時過ぎ。
その後、今日提出しなければならない課題を思い出し、寝たのはほんの二、三時間前なのだ。
と、不意に恭也の鼻腔に良い香りが漂う。
同時に、少し温かく柔らかなものを感じ、恭也はふと顔を横へと向ける。

「#$%A$Y!」

恭也は声に鳴らない声を上げる。
いや、実際には驚きのあまり声など出ておらず、ただ口をパクパクとさせていた。
そんな恭也の動きに気付いたのか、恭也の隣りがもぞもぞと動く。

「ん、もう朝か。しかし、お主は早いのだな」

「…………」

恭也は無言で横を、正確には隣り、それも同じ布団で眠る少女をじっと見詰める。
じっと見詰められて少女は、少し頬を紅くする。

「そんなに見詰めるでない。流石に、照れる」

恥らう少女の美しさに見惚れつつも、恭也は現状が全く理解できていない。
そこへ、恭也を現実に引き戻す声が部屋の外から聞こえる。

「恭ちゃん、どうしたの? もう鍛錬の時間、結構過ぎてるけれど」

「ほう、鍛錬か。私の事は良いから、行くがよい」

「あ、ああ。…じゃなくて、あなたはだ…」

「恭ちゃん、開けるよ?」

「っ!?」

言いながら扉が開かれる。
恭也は咄嗟に少女もろとも布団を掛けて隠れる。

「あれ? まだ寝てるの?
 恭ちゃんが寝坊なんて珍しいというか、初めてじゃない?」

言いながら、美由希の気配が恭也の横へと移る。
その手が布団に伸び、捲り上げる。
それを恭也は強引に引っ張る。

「恭ちゃん、起きてるの?」

「ああ。起きてる」

「じゃあ、早く鍛錬に行こうよ」

「さ、先に行っててくれ。後から行くから」

「どうしたの? ひょっとして、風邪?
 だとしたら、無理しなくても」

美由希の言葉にしめたとばかり肯定しようとした恭也だったが、先に隣りの少女が反応する。

「何、それは真か? 大丈夫なのか」

「あ、ああ。別に風邪ではないからって、何喋っている!?」

「恭ちゃん、今の声、誰。女の人の声みたいだったけれど。
 よく見れば、布団のふくらみ方も可笑しいし。恭ちゃん、捲るよ!」

「止めろ、美由希。今のはきっと風邪による幻聴だ」

「そんな訳ないでしょう。私は風邪を引いてないんだから!
 もし仮に、恭ちゃんが風邪を引いて幻聴を聞いたのだとしても、それが私に聞こえるはずないでしょう!」

言うと同時に布団を取り上げ、そこに広がる光景に美由希は固まる。

「…………きょ、恭ちゃん?」

「ご、誤解だ。これは何かの間違いだ」

「ふう。朝からこうも騒がしいとは。やれやれだな」

「恭ちゃんの……」

少女の言葉を誰も聞いていないのか、美由希は背中より小太刀を取り出して振り下ろす。

「馬鹿ーー!」



あの後、暴れる美由希を落ち着かせている間に、謎の少女は居なくなっており、
二人はいつもよりも少し遅いが鍛錬へと出てきていた。

「まったく信じられないよ。女の人を連れ込むだなんて」

「だから…。それはそうと、何故、そこまでお前が怒るんだ?」

言って溜め息を吐きつつ、ふと浮かんだ疑問を口に出す。
途端、美由希はギクシャクとした動きになり、簡単に一本取られる。

「ず、ずるいよ」

「油断するお前が悪い。…にしても、今朝の女性」

「何、やっぱり心当たりがあるの!?」

「幾ら疲れていたとは言え、簡単に侵入を許すなんて。
 それに、気が付いたら居なくなっていた事と考えると…。
 まさか、幽霊」

「ちょ、や、止めてよ恭ちゃん。朝からそんな事言うの」

「しかしだな」

「男らしくないよ。ちゃんと非を認めないと」

「本当に身に覚えがないんだが。その前に、別に非でも何でもないだろう。
 お互いに同意していたのなら、お前にそこまで言われる覚えはないはずだが」

「うっ。そ、それは。って、同意って。やっぱり知り合い」

「いや、本当に知らん。と、その話はお終いだ。そろそろ戻るぞ」

まだ不満そうな顔をしつつも、これ以上は無駄だと悟ったのか、美由希は大人しく従うのだった。



美由希とギリギリまでドタバタしていた所為か、珍しくギリギリの登校となった恭也へ、
クラス委員長の榊が話し掛けてくる。

「おはよう、高町くん。珍しくギリギリね」

「ああ、おはよう委員長。まあ、ちょっと色々あってな」

「別にちゃんと来てるから良いけれどね。
 まあ、例によって月村さんはまだみたいね」

「あいつは本当にギリギリだからな。まあ、そろそろ来る頃だろう」

二人して笑っていると、その噂の主が現れる。

「あれ、どうしたの二人して」

「いや、別に」

「そうそう、気にすることじゃないわよ」

「ふーん。まあ、いいけど。あ、そうそう。そう言えばさ」

言って忍が話し出すと、廊下からガランゴロンという鈴の音が響いてくる。

「珠瀬さんね」

「恭也が付けたあの鈴、いい加減に外せばいいのにね」

「まあ、俺も冗談のつもりだったんだがな。
 まさか、あれほど気に入るとは思わなかった。まあ、たまらしくて良いんじゃないか」

話している間にも鈴の音は大きくなっていき、教室の扉が勢いよく開く。

「ま、ま、ま…」

「たま、とりあえず落ち着け」

「は、は、はいぃ」

恭也の言葉に深呼吸を繰り返し、ようやく落ち着くと珠瀬は恭也を見上げる。

「間に合いました」

「…ああ、そうだな」

苦笑しつつ答える恭也に、忍や榊も苦笑する。
そこへ、新たな人物が姿を見せる。

「彩峰か。珍しいな、こんな時間に来るなんて」

「……そう?」

「ええ、珍しいわよ。一体、どういう風の吹き回しかしら?」

彩峰へといきなり噛み付かんばかりに言い寄る榊を無視し、彩峰は恭也を見る。

「気紛れ?」

「いや、俺に聞かれても」

「というのは嘘。本当は、今日は売店で焼きそばパンが特売。
 今から並ぶ」

「って、待ちなさい! もうすぐHRが始まるのよ!」

「ちっ!」

榊は素早く彩峰の腕を掴んで席へと引き摺っていく。
それを呆れたように見遣りつつ、担任の神宮司まりもの登場により恭也たちも席に着くのだった。

「さて、今日は皆さんにお知らせがあります。
 三年のこの時期ながら転校生を紹介します」

「珍しいこともあるな」

「そうなのよ。朝、私が言おうとしていたのは、この事なんだけれどね」

「そう言えば、何か言おうとしていたな」

「まあね。朝、職員室の前を通る時に聞いたのよ。
 結局、言えなかったけれど」

忍と小声で話しているうちに、件の転校生が教室へと入ってくる。
その姿を見た恭也は、声を無くしてただ呆然と教室の前を見る。
そこには、恐らく刀の入っているであろう袋に手を置き、背筋をまっすぐに伸ばした朝の少女が居た。

「朝の幽霊……?」

「恭也? どうかしたの?」

そんな恭也の不審な態度を不思議そうに見ていた忍の耳に、転校生の自己紹介の声が聞こえてくる。

「御剣冥夜だ。以後、見知りおくがよい」

「それじゃあ、席は高町くんの隣りで」

「承知している」

冥夜は真っ直ぐに恭也の前まで来ると、隣りの席に腰を降ろすことなく、そこで立ち止まる。

「そなたに感謝を。昨夜は、夢心地であった。
 傍らに恭也、そなたの温もりを感じて、眠れたのだからな。
 そのことを、大変嬉しく思うぞ」

途端、教室の空気が間違いなく凍り付く。
数人の女子生徒からの視線と、ほぼ全員に近い男子の視線を一身に受け、恭也は冷や汗を流す。
そんな周囲の空気に気付いていないのか、冥夜と名乗った少女は席に着く。
HRが終わり、最初の授業までの間にと、忍たちが恭也に詰め寄る。

「恭也、一体どういうことよ!」

「高町くん、どういうこと?」

「高町、やるね」

「恭也さん、御剣さんとはどういう関係なんですか?」

「…いきなりだな、お前たち」

「そんな事はどうでも良いのよ! さっきの言葉の意味はなにって聞いているの!?」

忍が机をバンバンと叩き、恭也へと詰め寄る。
そこへ、教室の扉が開いて美由希が顔を出す。

「恭ちゃん、朝言い忘れていたんだけれど、今日のお昼……。
 って、ああーー! 何で、どうして、あなたがそこにいるの!?」

「何々? 美由希ちゃん知っているの?」

忍がすぐさま美由希を教室へと引っ張り込んで尋ねると、美由希は特に考えることもなく、
驚きのまま告げる。

「知ってるも何も、恭ちゃん、どういうこと!
 朝、知らないって言ってたのに!」

「だから、俺にも何がなんだか…」

「だったら、何で、恭ちゃんと一緒の布団で寝ていた彼女がここに居るのよ!」

『っ!? な。なにぃぃーーー!!』

G組の生徒が一斉に上げた悲鳴にも似た声は、大きく学校に響く。
そんな中、恭也は美由希を手招きして呼ぶと、その頭に拳骨を落とす。

「いたいぃぃ! な、なにするの!」

「何もくそもあるか! お・ま・え・は、何を大声で言ってる!」

言って何度も拳骨を落とす。

「や、やめ、きょ、恭ちゃん。ちょ、まじで止めて、お願い」

涙目で頭を押さえる美由希を睨みつつ、恭也は大きな大きな息を吐き出す。

「恭也、このクラスは中々楽しそうだな」

「そうか? まあ、確かに今日は騒がしいけれど。
 って、御剣さん、どうして俺の名前を?」

「冥夜で良い」

「いえ、しかし…」

「冥夜でよいと申すに」

「ですが、御剣さん」

「冥夜でよいと言っておろうに。なぜ、名を呼んでくれないのだ? 」

徐々に近づいてくる冥夜に、恭也は少しだけ後退りながら躊躇う。
その躊躇いを見て取った冥夜は、悲しそうな顔をする。

「この願い、どうしても叶わぬというのか」

「えっと、め、冥夜」

「っ! 何だ、恭也!」

名前で呼んだ途端、冥夜は嬉しそうに恭也へと更に詰め寄る。
ぴったりと寄り添う冥夜に、恭也はやや上ずった声を上げる。

「その、ちょっと近づき過ぎじゃ…」

「何を申すかと思えば。私とそなたの距離に、近すぎるなどと」

「恭ちゃ〜〜ん?」

殺気を纏った美由希、いや、忍までもが恭也の前に立ちはだかる。
同様に、風紀がどうこう言いながら榊までも立つ。
少し離れた所では、彩峰が楽しそうに事の成り行きを見守り、珠瀬はおろおろとあちこちを見渡す。
そんな騒乱の中、冥夜は美由希の殺気に反応したのか、その手を包みに伸ばす。
美由希は剣士の勘からか、一足飛びに後方へと飛び退き、冥夜の握った獲物の間合いの外へと出る。
それに感心したように短く声を上げつつ、その袋を開けようとする冥夜の手を恭也が押さえる。

「よせ、冥夜。こんな所で、そんなものを出すつもりか」

「そうであったな。許すが良い。予想外の反応に、つい体が反応してしまったのだ。
 だが、それもこれも、そなたが窮地と思えばこそ。
 そなたの窮地は私の窮地だからな。そなたのために、私はあるのだ」

その台詞が益々火に油を注ぐこととなっているのだが、冥夜は気付いた様子はなかった。
恭也は理由は分からないまでも、美由希たちの反応に朝から疲れたように肩を落とす。
と、その視線が冥夜とぶつかる。
見れば、冥夜は少し頬を紅くし、照れたように恭也の顔と下へと視線を忙しなく動かす。
正にもじもじといった感じで照れる冥夜に、恭也も何故か照れつつ、その視線を落とせば、
そこには未だに冥夜の手を押さえる恭也の手があった。

「すまん」

「いや、良い。むしろ、もう少しこのままで」

「えっ?」

「あ、いや、すまん。確かに、このままという訳にはいかんからな。
 だが、安心するがよい。
 今、この手が離れようとも、そなたと私は絶対運命という固い絆で結ばれているのだから」

そんな二人の様子に、美由希と忍の目付きが更に上がっていく。
教卓では、既に一限目の授業の教師が来ているのだが、この雰囲気に口を挟めずに居た。
こうして、一人の転校生の出現により、恭也の日常は更に騒々しいものになっていくのだった。

muvheart 第一話 Coming Soon

それは、とてもちいさな とてもおおきな
とてもたいせつな とてもまもりたい
あいとゆうきのおとぎばなし







あ〜、遂に出せたよ。とらハとこれのクロス。
カキカキ〜。

美姫 「確かに、やっとね。でも、一層のこと、霞とかも出せばよかったんじゃ」

確かに。霞や悠陽は出したかったかな。カキカキ

美姫 「ほら、ペースが落ちてる!」

はいはい! カキカキカキカキカキ。

美姫 「さて、今回はアンタがそんな状態だから、この辺にしておきましょうか」

おお!

美姫 「いや、別にアンタに書くのをここまでって言っているんじゃないから」

ちっ。

美姫 「何か聞こえたんだけれど?」

いえ、何もございません!
もっといっぱいSSを書きたいな〜、と。

美姫 「そう。じゃあ、もっともっと、頑張りなさい」

イエッサー!

美姫 「それじゃあ、また来週ね〜」


3月17日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜。

美姫 「はじまるわよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナを既に私物化してお送りしています>



ぐしゅぐしゅ。

美姫 「大変ね〜」

おもいっきり人事だな。

美姫 「うん。だって、本当に人事だしね」

だろうね。と、今回は連絡があったんだった。

美姫 「そうそう。深夜にアクセスすると、アクセス拒否されるっていうやつね」

うん。回線の問題で、集中した時になるらしいんだが…。

美姫 「そんなに集中するもんなの?」

それは分からない。
それと、もう一つの可能性が、夜上さんが指摘してくれたんだが、
アドレスの入力間違い。

美姫 「でも、それを掲示板で伝えてからは、この手の連絡がなくなったって事は」

うーん、どうなんだろう。解決したのか、してないのか。
とりあえず、現状で考えられるのは今の二つらしい。

美姫 「まあ、アンタの知識じゃね〜」

まあ、そうなんだが。
でだ、念のために、もう一度ここでうちのトップアドレスを紹介しておこうと…。

美姫 「なるほどね」

という訳で、PAINWESTのアドレスは。

美姫 「”http://www.nishiwaki-camera.com/painwest.htm”で〜す」

と、これに関しては以上かな。

美姫 「さて、それじゃあ本題に行こうかしら」

本題?

美姫 「クスクス。で、何処まで進んだの?」

あはははは〜。

美姫 「また笑って誤魔化すし」

にゃはははは〜。

美姫 「いや、可愛くないから」

ぐっ。

美姫 「まあ、その反応で大体の想像はつくわ」

さすが、美姫。

美姫 「伊達に長い付き合いじゃないわよ」

いやひゃ、面目ない。

美姫 「もっと早く書けるようになる薬とかないかしらね」

お前のことだから、副作用とか一切、気にしないんだろうな。

美姫 「当然よ」

やっぱりかよ。でも、せめてオブラートに包めよ。

美姫 「いや、無理だから」

シクシク。

美姫 「とりあえず、CMね〜」







他の都市から独立した都市、海鳴。
全ての物語はここから始まる――

それまで、平凡に暮らしていた異族とのハーフ少女ヘイゼルは、
軍事機密が収められた義眼『救世主』を埋め込まれた事により、その運命を大きく変えることとなる。



同じ頃、海鳴軍G機関の最新技術を持って建造されていた『疾風』が暴走する。
何の因果か、軍との交戦を始め、その姿は闇へと消える。
その後、一人の少女の背中にその姿が見られたとの噂が出るが、真偽は定かではなかった。
軍は躍起になって『救世主』と『疾風』の行方を追う。
当然、軍の手はヘイゼルにも伸びる。
だが、彼女の身を案じた者により、内密に助け出された彼女は、
海鳴の外へと逃げるために、一人の青年を紹介される。
その青年は、まだ学生でありながら、その傍らで何でも屋を営む人物だった。

「あの〜、貴女が高町恭也さんですか」

「ああ、そうだ。貴女が、ヘイゼル・ミリルドルフですか」

一人の青年と一人の少女の出会い。
ヘイゼルと『疾風』
この両者の捕獲を目的に、G機関が遂に動き出す。
そこへ更にG機関の計画が加わり、二人は望まずとも一つの時代のうねりに巻き込まれることとなる…。



「私だけ切り捨てられるんですか?」

予言者が託した『救世者』創出の悲願。その鍵を握る事となった少女、ヘイゼル・ミリルドルフ

「漆黒とは、全てを飲み込むもの」

神具『漆黒』の担い手、何でも屋 高町 恭也

「疾風とは、何者よりも疾く(はやく)走り抜ける風」

その背に疾風との融合を果たした翼を持つ少女 フィアッセ・クリステラ

「英雄とは、何事にも負けぬもの」

G機関空軍部所属、巨大な強臓式義腕『英雄』を持ち、空間を自在に組み替える男 ヘラード・シュバイツァー

「皇帝とは、決して引かぬもの」

G機関陸軍部所属の五行師にして重騎師 アルフレート・マルドリック

「運命とは、決して変わらず流れ行くもの」

敵か味方か。謎の言動を繰り返す少女 高町 美由希

さまざまな思惑が乱立する中、その中に見え隠れする一つの言葉。
海鳴を“言詞的に強化”する計画、機甲都市化計画。
その名がチラチラと背後に見え隠れする中、恭也はヘイゼルと共に、その運命に翻弄されるのか!?

機甲都市海鳴 プロローグ 「疾風逃走」 近未来公開







いやはや、ネタSSは嵌ると止まらんな。
ほらほら、他にもこんなに…。

美姫 「はいはい。それよりも、ちゃんとSSをあげてよ」

ぐっ! 胸が、胸が痛いよ…(涙)

美姫 「自業自得よ。さっさと書きなさいよ」

いや、物理的に痛いぞ。
流石に、紅蓮で串刺しってのは酷くないか?
お前、何処かおかしいだろう!

美姫 「その状態で普通に喋っているアンタの方こそ、おかしいわよ」

…………。

美姫 「…………」

まあ、不毛な言い合いはこの編にしておこう。

美姫 「そうね。それじゃあ、さっさと作業に戻りなさい」

はいはい。

美姫 「はいは一回」

へ〜い。

美姫 「アンタ、おちょくってるわね」

め、滅相もないですだ。

美姫 「だったら、さっさと動け!」

はいっ! 今すぐ動くであります!

美姫 「それで良いのよ、それで」

はい!

美姫 「それじゃあ、また来週ね〜」

来週であります!


3月10日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜。

美姫 「はじまるわよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナよりお届けしています>



はぁ〜〜〜くっしょい! てんでぇ、なんでぇ、べらぼうめぇ〜。

美姫 「その可笑しなくしゃみは流石にどうかと思うけれど?」

うん、俺も思った。
って、冗談は兎も角、もう鼻がむずむず。
目はまだましだけれど。

美姫 「大変ね〜」


いや、もう本当に。

美姫 「でも、それとSSを書くのは別だから♪」

…やっぱりですか。

美姫 「で、どうなのよ?」

あ、あはははは〜。
ちょっと色々とやばいかな〜。

美姫 「今年に入ってから、まだ更新していないのもあるしね」

分かってはいるんですよ、いや、本当に。

美姫 「だったら、さっさと書きなさいよ」

なんだけれどね〜。
今はDUELが面白いほど進んでな〜。
いや〜、自分でもびっくり。

美姫 「だからって、他がね〜」

あはははは〜。ま、まあ、暫くはこの調子で。
他のものちゃんと更新するし。

美姫 「怪しいわね〜」

が、がんばるっす。

美姫 「はいはい。とりあえず、CMよ〜」

C、CMっすか……。







ネタがありません







美姫 「って、何よこれは!」

いや、だって、ねえ。

美姫 「却下よ、却下!」

いや、だって、ねえ。

美姫 「煩い! CMったら、CMよ!」







非常に変わったシステムを採用している四年制の私立風芽丘学園。
そのシステムとは、必要な単位さえ取れば進学できるというものだった。
その代わり、単位を一つでも落とせば即留年。
理由の如何に問わず、留年決定となる。
情けも何もない厳しいところでもあった。
更に変わっているのは、この学園は15歳以上なら誰でも通えるという事。
そのため、上は70過ぎの高齢の方まで居るという少し変わった学園。
更に更にもう一つ、最も変わっている所があって……。



「恭ちゃん、具合悪いんだたら保健室に行った方が良いよ?」

「いや、大丈夫だ。だが、薬だけでも貰ってくる」

「うん、そうした方が良いよ」

美由希と分かれて保健室へと向かう恭也。
その背中を心配そうに見詰めつつも、次の授業の準備をする為に自分の教室へと美由希は戻る。
あまり人と関わらないようにしてきた二人は、噂話など殆ど知らず、それ故の選択だったのだが…。
これが、今後の命運を大きく分けることになろうとは、この時は知る由もなかった。

不運(?)にもこの日、恭也は保健室の扉を開いてしまった。
そこは、この学園に通うものならば全員が全員知っており、避けて通る場所だったにも関わらず。
何故なら、そこには……。



「すいません」

少しだるそうな顔で保健室の扉を開けた恭也の目に、ショートカットの少女がこちらへと振り向くのが見える。

「いらっしゃい。お客さん?」

「客? まあ、客と言えば客ですが」

「そうなの。いらっしゃいませ!」

恭也の言葉を聞くなり、少女の後ろから派手な格好をした少女が現れる。

「ふーん、へ〜」

少女は恭也を無遠慮に眺め回すと、奥へと引っ張っていく。

「じいさまー。お客さんだよー」

その少女の声に、奥のカーテンが開き、ぞろぞろと現れてくる。
年配の老人が一人。美由希と同い年ぐらいの少年が二人。
それから、20歳半ばぐらいの男性が二人。
計七人の者が恭也の前に姿を見せる。
呆気に取られている恭也の前で、老人が口を開く。

「ようこそ。して、今日はどういった用件で?」

「えっと、薬を貰いに来たんですけれど」

『薬!?』

恭也の言葉に七人が一斉に素っ頓狂な声を上げる。
と、更に奥にあって閉まっていたカーテンが勢い良く開く。

「おー! つまり、君はこの保健室に用があって来たと」

そこからは美しい白衣を来た女性が姿を見せる。
この中でようやく保健医らしい人物を見つけ、恭也は頷く。
それを見てその女性は感動を顕にするように両手の拳を握り締めて目を閉じると顔を天に向ける。

「サキちゃん、何してるんだろう」

「多分、あれは初めての保健室利用者に感動してるんだろう」

派手目な少女が小さく呟いた言葉に、男がタバコを加えながら答える。
二人の少女が顔を顰めたのを見て、その先を指差す。
火は点けていないという事らしい。

「という事は、彼は僕たちのお客さんじゃないって事ですね」

「なーんじゃ、つまらんの〜。折角、事件かと思うちゃのに」

好き勝手に話し始めた七人を見遣りつつ、恭也はどうしたもんかと悩む。
そして、出た答えは暫く待つだった。
ようやく我に返った早輝子が恭也の前の椅子に腰を降ろす。

「ああ、すまなかったな。何せ、ここの生徒で保健室に普通の理由で来る者はいなかったからな。
 そんな状況を夢見ていた私としては、少し感動を覚えてしまったのだよ」

「は、はぁ」

保健室に他の用事って何だと思いつつ、恭也は大人しく頷く。

「何か飲むか? コーヒーなら今すぐ出来るが」

「いえ、遠慮します。それより…」

「ああ、そうだったな。ふむ、自分で思った以上に浮かれているらしいな。許してくれ。
 さて、それでどういった症状だ」

何か引っ掛かるが、恭也は取り合えず症状を言おうと口を開きかけ…。

「お、おじいさぁ〜〜ん! 助けてください〜!」

言って新たな人物が現れ、老人へと向かうかと思いきや、早輝子の姿を見つけてそちらへと膝ま着く。

「早輝子さん、今日も大変うつく……な、何で?」

最後まで男が言い切る前に、その顔面に遠慮も何もない拳骨が落ちる。
それを見ていた他の者たちは、馬鹿だと口々に言いながら肩を竦める。

「折角、初めての保健室利用者が来て、その仕事をいざって時にね〜。
 ほっ〜んっとに、タイミングの悪い男ね」

派手目の少女、みさおの悪辣な言葉に、地面に倒れ込んだ男は急いで起き上がると、恭也をまじまじと見る。

「えっ!? ほ、保健室に!?
 お、お爺さんに用事とかじゃなくてですか!?」

今にも詰め寄ってきそうな雰囲気の男に引きながらも恭也は頷く。
その内で、この保健室はそんなにやばいのかと思いつつ。
同時に、目の前の男に何処か見覚えがあるような気がして観察するように見詰める。
そんな恭也の思考を遮るように、目の前の男は老人へと顔を向ける。

「お爺さん、それよりも」

「何じゃ、依頼か!?」

いきなり目を輝かせ始める老人こと、慈吾朗に男は言いにくそうに頷く。

「本当は頼みたくないんですよ〜。でも、今うちも人手が足りなくて」

「形振り構ってられないってか」

咥えていたタバコを吸うのを諦めてポケットに仕舞いながら、兵悟が呟く。

「ええ、その通りです」

「前置きは良いから、さっさと言え」

急かす慈吾朗に促され、男は話を始めるのだった。
どうも、男は警察の者らしく、何かの調査を頼むという事らしい。
そのやり取りを一部始終聞いていた恭也は、何で保健室に探偵がと疑問を浮かべる。
しかし、その思考も続く言葉に遮られる。

「さて、今から調査する訳じゃが…。お主、名は?」

「高町恭也ですが…」

「そうか。じゃあ、お主はみさおちゃんと一緒に行動してもらおうかの」

「はぁ?」

訳が分からないという顔を見せる恭也に、黒髪の少年が同情する目を向ける。

「ここでは、仕事の話を聞いた者は仲間って事になるんだ」

「……いや、ちょっと待ってくれ」

「そうだぞ、爺様。折角、保健室に来てくれた者を、むざむざ餌食に出来るか。
 そんな事では、益々生徒が寄り付かなくなる」

恭也の応援をするように早輝子が口を挟むも、それを知らん顔で聞き流し、
慈吾朗は他のメンバーに行動開始を告げる。
みさおは恭也の腕を掴むと、やや強引に外へと引っ張り出す。
簡単に振りほどく事も出来たが、怪我をさせかねないと恭也は大人しく付いて行くしかなかったのだった。
こうして恭也は、この学園に居る者なら誰もが暗黙の了解としてしっている、
保健室へは近づかないというルールの意味を、その身を持って知る事となるのだった。
そう、紀井津滋吾郎探偵事務所の海鳴学園支部と化している保健室に入ったばかりに。
しかも、その実体はギャング兼用の探偵団だと言う真実を恭也はまだ知らない…。

海鳴S黄尾探偵団 プロローグ「ようこそ保健室、魔の巣窟へ」







美姫 「ネタがないって割には、すらすらと」

あ、あははは〜。
いや、知っている人が少なくても良いのならな。

美姫 「結構、知っているんじゃないかしら?」

どうだろうな。
ともあれ、絶対に短編書けるよな、このネタSSやっている時間で。

美姫 「あ、もう時間だわ」

って、前々から思っていたんだが、
何でお前に都合よく、時間やCMになるんだよ、この番組!

美姫 「だって、私の番組だもの。ほら、タイトルに私の名前が」

これって、そういう意味だったのか!?

美姫 「という訳で、また来週〜」

って、納得いくかー!


3月3日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜。

美姫 「はじまるわよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナをぶんどって、略奪して、奪い取って、してお届けしています>



もう三月だよ。

美姫 「英語で言うと、はもう禁止よ」

……い、いやだな。
そんな事いうはずないだろう。AHAHAHAHA〜。

美姫 「いや、滅茶苦茶に怪しい笑い方なんだけれど」

し、失礼だな、君は。と、とりあえず、C…。

美姫 「都合が悪くなったからって、CMへいくな!」

ぐげっ!

美姫 「で?」

で、とは?

美姫 「SSよ、SS!」

えっとですね。DUELを頑張ってます。
極上はさっきあがりました。
リリカルは誠心誠意努力してます。
シャナは、存在を喰われれば誰も覚えてないのにな〜、とか考えずに頑張って書いてます。
とらハ学園は忘れていません、書くまでは。
天星は、もうちょっと待っててね。
込められしは、ちょっとだけよ〜。
とらみては、まだまだあります出来るまで。
Moonは、忘れていませんよ。でも、もう少し待っててください。
他の長編に関しましても、同じような感じでございます。

美姫 「いや、アンタ色々とやり過ぎ」

うぐぅ。

美姫 「と言うか、要約すると、何も出来てませんじゃないのよ!」

あ、あははは〜。そうとも言う。

美姫 「そ・う・と・し・か…。言わないわよ!」

がががっ! ……ちょ、み、美姫……。それは、ちょっと、マジでや、やばいって。

美姫 「うふふふふ。CMよ〜」

お、お前こそ、そんな事でCMに行くなよ!
って、何で皆、俺の時はいかないのに、美姫だとそうすんなりと…。って、ま、待っ(ブツン)







ある祭りの夜。
恭也は少し静かな場所で落ち着こうと人気のない境内まで来ていた。
先程まで、何かを競うように恭也の周りに居た少女たちを上手く躱し、ようやく人心地つく。

「はぁー。賑やかなのも悪くはないが、こういったのも良いもんだな」

遠くから聞こえる祭囃子に耳を澄ませる恭也。
と、不意にその背後から声が掛けられる。
驚いて振り向いた先には、屋台が一つ。
いや、屋台と呼べるようなものではなかった。
一畳ほどの広さに広げられたブルーシート。
そこに木箱をひっくり返して置き、その上に座っているだけの男。
いや、声から男と判断しただけで、その顔は深く被られた帽子によって見る事は出来なかった。
今まで気付かなかった事に驚く恭也へと、男は静かに一つの箱を取り出す。
一番上に丸い穴があけられたそれを恭也へと差し出しながら。

「一回、100円だけれど、やらないかい?」

「くじか? 一体、何が当たるんだ」

このような人の来ないような場所でやっている男に興味を覚え、恭也が問い掛けると、男は小さく笑う。

「何でも願いが叶うんだよ」

男の言葉が気に入ったのか、恭也は祭りだからと百円玉を渡すと一つ引く。

「大当たり〜。お兄さんには、この何でも願いが叶う本を差し上げよう」

言って一つの本が手渡される。
その本を受け取って表紙を開いた途端、恭也は眩しい光に襲われて目を閉じる。
最後に、男の「頑張って」という声を聞いたような気がしたが…。



目が覚めた恭也は、さっきまでとは全然違う場所に居た。
いい加減、こういう事にも慣れたもので、恭也は自分の体に異常がないかをまず確かめる。

(慣れたくもないんだがな…)

「いらっしゃいませ!」

と、そんな恭也の耳に明るい声が。
そちらを振り向くと、恭也の目の前に一人の褐色肌の少年が居た。
いや、浮かんでいたと言うべきか。
少年は背中に生えた翼を使って恭也の目の前に飛んでいた。
20センチ程の大きさの少年は、その身体よりも大きなグラスを両手で抱えていた。
中には水が入っており、恭也のために持ってきた事が何となく分かり、恭也はそれを受け取る。

「僕の名前はティレクと申します、マスター」

「はい?」

それが、恭也とティレクの最初の出会いだった。



「つまり、俺が魔王って事か?」

「いえ、正確には、魔王代理ですね」

魔王の代理として、世界を征服しなければならない事に!?

「って、モンスターを作るのにもお金が必要なのか」

「はい…。しかも、我が城も今では赤字続きで…」

魔王になって世界征服しなければいけないのに、肝心の資金がない!?

「ふぅ〜。こうして太陽の下で身体を動かすのは気持ちいいな」

「マスター! 向こうのトマトも穫れごろです」

資金を稼ぐために恭也が打ち出した秘策とは……。

「はい、シュークリームお待ち」

「あ、僕が運びます」

軽食も出来る喫茶店?

「毎度〜。野菜の納品に伺いました〜」

産地直送の野菜造り?

「しかし、従業員も増え、経営も順調。そして、世の中は平和。
 まさに言う事もなしだな」

美味しい野菜造りから、お菓子作りまで。
手広くやります、高町商店。
世間に広まる高町商店の名前!
当初の目的である世界征服は一体どこへ!?

「うーん。次はカブ辺りにでも手をつけてみるか…」

恭也の経営心は何処まで行くのか!?

「…あの、マスター。当初の目的覚えてますか?
 このままだと、元の世界に帰れませんけれど……」

本人よりもティレクの方が事態をしっかりと把握!?
一体、どうなる!?

「いや、何かこのまま商売しながら、休みの日にはモンスターたちに囲まれて、
 盆栽に手を掛けるという生活が中々性に合っていたみたいでな。
 こうゆっくりとした時間というものは、良いもんだぞ」

「は、はぁ…」

本当にどうなるのか!?

世界征服物語 〜恭也の隠居生活〜
もとい、
世界征服物語 〜恭也の大冒険〜 近日、脳内アップ!







…………。

美姫 「ずず〜。はぁー、お茶が美味しい♪」

……。

美姫 「さて、特に連絡事項もないし、今週はこの辺で」

……って、ほっとくなよ。

美姫 「いやさあ、もう喋れるわけ?」

な、何とか。でも、ほら、まだ完全に癒えてないから。
ほら、突っ込みも弱々しいだろう。

美姫 「あ、そう」

いや、そんなにあっさりと流されても…。

美姫 「それじゃあ、また来週ね〜」

いや、もう良いんですけれどね…(涙)










          



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