2006年7月〜8月

8月25日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はじまるわよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより届け、君の心に>



ミ〜ン、ミ〜ン

美姫 「いや、初っ端から何をしてるの?」

いや、あまりの暑さに蝉になれば耐えれるんじゃないか、とか思ってしまって。

美姫 「うぅぅ。遂に暑さで…」

いや、こら、おい。
確かに言われても可笑しくないような事をしてたが、そこまで露骨に目を逸らすなよ。

美姫 「冗談よ、冗談」

何割ぐらいが。

美姫 「んー、2割?」

って、8割は本気かよ! その前に、俺に聞くなよ!

美姫 「まあまあ」

何がまあまあ、だよ。プンプン。

美姫 「いや、拗ねても可愛くないし」

くっ。

美姫 「で、それよりもどうなのよ」

進んでません!

美姫 「って、威張るな! 誤魔化さずに自身満々に即答するか、コンマ数秒期待したじゃない」

って、みじかっ!

美姫 「いや、即答で否定したのはアンタ自身でしょうが」

あ、あははは〜。

美姫 「全く、最近たるんでるわね」

まあまあ。

美姫 「何がまあまあ、よ。プンプン」

いや、拗ねても可愛く……ぐっ、か、可愛くなんか。
う、うぅぅ、可愛いです。とてもプリチーです。
だから、その喉もとの剣を除けて下さい。

美姫 「ふふん。初めから素直に言えば良いのに」

初めからすな……そうですね、私が愚かでございましたですはい。

美姫 「うんうん。私は寛大だからね。許してあげるわ」

はは〜。ありがたき幸せ〜。
と言うわけで、また来週……ぶべらっ!

美姫 「何、勝手に終わらせようとしてるのよ!
    第一、CMもまだじゃない」

いや、CMがメインの番組ってどうよ。

美姫 「何を言っているのよ。メインは私よ♪」

あー、はいはい…てっ! な、何をしゅる。し、舌を噛んだじゃないか。

美姫 「アンタがいい加減な返事をするからでしょう」

うぅぅ。 あっ!
そうそう。この番組は今日から国営になったんだ。
だから、CMは流せないのだよ。

美姫 「いや、ありえないし。
    それに、CMって言っているけど、アンタのネタSSを公開しているだけだし」

うわー、冷静に返されたよ、おい。

美姫 「つべこべ言ってないで、さっさと行くわよ!」

はいはい。

美姫 「それじゃあ、CM〜」







街の郊外に広がる森林。
ここは市や県、国などが管理する類のものではなく、れっきとした個人の所有するものだった。
この森林の中に、大きな屋敷が一件あった。
つい最近までは誰も住んでいないと思わせるほどに静寂に満ちていた屋敷だったが、
ここ最近、この屋敷に住人が戻ってきたかのように騒がしかった。
とは言っても、周囲に民家もなく誰に迷惑を掛けるという事もないのだが。
この屋敷に住んでいるのは、たった一人の少年だった。
少年の名は、神楽堂 槇人(かぐらどう まきと)と言い、神楽堂財閥の一人息子である。
ただし、つい最近までごく普通の生活をしてきたのだが。

成長した少年に、彼の父親が本来の暮らしをさせるために屋敷へと戻したのだ。
その際、彼のもとにメイドを付けて。
それもただのメイドではなく、アナザー・ワンと呼ばれるクラスのメイドを。

――アナザー・ワン、MAID・UNION・SOCIETY(メイド・ユニオン・ソサイエティー)
メイド連合協会。通称、MUSが誇る特別階級にして、全メイドの頂点に位置するクラスである。
オールワークス・メイド同様に全ての仕事に加えて、特別な役目を担うクラス。
そして、その役目とは『主人を護ること』であった。
それ故、アナザー・ワンはMUS最難にして最強のクラスとも呼ばれ、
その背中にその証である剣を身に着ける事を、帯剣を許されたメイド。
当然、その人数は僅かな上である。

槇人の元に来たアナザー・ワンは、一人ではなく三人もいた。
それだけでなく、その三人はいずれも劣らぬ美少女にして、槇人のクラスメイト、担任、後輩であった。
こうして、槇人と三人の屋敷暮らしが始まるかに思われたが、そこに宿敵たる環家より刺客が現れる。
襲撃に来たメイドも自分のメイドにした槇人は、今度こそ屋敷による暮らしを開始するのだった。


襲撃から二日後の夕方。
槇人が寛いでいると、玄関のチャイムが鳴る。
丁度、お茶をしていた槇人はその場に居るメイドたちを見渡す。

「まさかとは思うが、まだメイドが来るとか?」

「それはないかと思いますけど…。理緒、何か聞いている?」

「いいえ。旦那様の元へと派遣されたメイドは本来は三人のはずですが」

「も、もしかして、また刺客でしょうか」

理緒の言葉に和風のメイド服に身を包んだ棗がおどおどと他の三人を見る。
棗の言葉に主人である槇人も背中に冷たいものを感じる。
あの時は何とか助かったが、あれの後に送られてきた刺客だとすれば、
前回よりも手強いのでは、と。
メイドたちも同じ気持ちなのか、その顔は一様に険しかった。
それを見て取り、槇人はわざとらしく明るい声を上げる。

「でも、今回は前と違って零那もいるし大丈夫だって」

槇人の言葉に、強襲型アンドロイドにして前回の襲撃者本人である零那は力強く頷く。

「マスターは私が護る」

「私だって、ご主人様を護るに決まってるでしょう。
 それよりも、さっさと出ないと待たせたままよ。お客さんだったらどうするのよ」

零那の言葉に残るメイド、西洋の大きな剣を背にした槇人のクラスメイトでもある咲耶が反論するように言う。

「確かに、咲耶の言う通りね。一応、警戒は怠らないようにして、皆で出迎えましょう」

両手をパンと叩いてメイド長である理緒がそう纏めると、五人は揃って玄関へと向かう。
玄関の前で足を止めると、咲耶と零那は扉から充分離れて立ち止まらせた槇人を庇うように左右に立ち、
棗と理緒が扉へと向かう。

「棗、万が一の時は私と貴女で止めるのよ」

「は、はははいぃぃ」

理緒の言葉にがちがちになりながらも何とか返事を返す棗。
それを横目に見ながら、理緒はゆっくりと扉に手を掛けてそれを開く。

「……へっ!?」

扉の前に立っていた人物を見て、理緒は思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
その人物も同じように呆けた顔で理緒の顔を見詰め、やがてゆっくりと口を開く。

「愛染先生? どうしてここに? それに、その格好…」

「あー、これは色々あってね。それより、あなたの方こそどうしてここに…」

理緒の背中と差し込む西日でその人物の顔がはっきりと見えないながらも、
理緒の態度から敵ではないと悟った槇人が中に招くように言う。
それを受けて理緒が中へと通すと、またしても小さな驚きが上がる。

「高町先輩!?」

「あ、あ、や、やや」

思わず大声を出す咲耶と、慌て出す棗を見て恭也は首を傾げる。
何故、自分を知っているのかという顔をしていた。
だが、棗を見てその顔に何処か見覚えがあったのか記憶を探る。

「確かあなたは行葉さんでしたっけ」

「あ、あ、あのあの、その…。あの時は…」

「いえ、こちらこそ」

お互いに玄関先で挨拶を始める恭也と棗。
その棗の腕を取り、咲耶が奥へと引っ張る。

「棗、あなた高町先輩と知り合いなの!?」

「その、学園で前にぶつかって…。後、街で困っているところを助けてもらったり…」

そんな二人のやり取りを隠すように、理緒と零那が立ち位置を変える。

「それで、高町君はどうしてここに?」

「そうでした。神楽堂くんのお父さんに頼まれまして」

「親父に?」

「はい」

説明を始めようとする恭也を制し、話は中でとリビングへと通す。
全員が揃ったのを見て、恭也は説明を始める。

「まず最初に、自分はMUSから派遣されてきました」

「ちょっと待ってください」

恭也の言葉に槇人が待ったを掛ける。

「MUSの説明は聞いている。という事は、高町先輩は女性ってこと?」

「いえ。MUSの中にある執事の方です。区別するために、MUSIBという言い方もしますね。
 MAID・UNION・SOCIETY・IN・BUTLER」

「ああ、私たちメイドたちのように人数は多くないけれど、
 確かにそんな部署というか、部門があったわね、そう言えば」

「なるほど。じゃあ、高町先輩は…」

「恭也で構いません」

「えっと、それじゃあ、恭也は執事としてここに来たと」

「ええ。ただ、私の場合は本職の執事の仕事はあまり出来ませんが…」

「どういう事?」

恭也の言葉に首を傾げる槇人に、恭也は恐らくは襟元に着けるのであろう小さなバッチを荷物から出して見せる。
それを見て益々不思議そうな顔をする槇人とは違い、四人のメイドは驚いた顔を見せる。

「これって、ガード・ワンの証…」

咲耶の洩らした言葉に槇人は尋ね返す。

「何だ、それは?」

「旦那様は、私たちアナザー・ワンについてはもうご存知ですよね」

「ああ」

「それと同じような執事のクラスにあるのが、ガード・ワンです。
 ただ、アナザー・ワンと違い、全ての業務に加えてではないんです」

「何よりもマスターを護る事を第一とする執事のクラスだ」

理緒の説明に続き、零那も付け加える。
だが、槇人は更に首を捻る。

「主人を護るって言うのなら、理緒たちと変わらないんじゃ…」

「大きく見ればそうです、ご主人様。
 ですが、私たちはオールワークスの課程の上に戦闘鍛錬を積んでいます」

「ですけど、ガード・ワンは逆なんです。
 戦闘鍛錬の課程の上に、執事としての訓練をしているんです」

「ん〜〜。よく分からん」

「いいえ、気にしなくても良いと思いますよ。
 殆ど変わらないと考えてもらえれば。
 ただのボディガードだと暑苦しい上に、
 出かける際に見栄えが良くないという貴族の夫人たちの言葉によって生まれたクラスですから」

「つまり、恭也は執事であると同時に俺の護衛をする者って事で良いのか?」

「その通りです。まあ、最初に言ったように、俺はあまり家事能力は高くないですが」

恭也の言葉に槇人がそんな事が可能なのかと言う視線をメイドたちに向ける。
それを受けて、理緒が口を開く。

「本来なら、執事としての能力も問われるんですが、アナザー・ワンと違い、絶対ではありません。
 相当の戦闘能力を有している場合は、ある程度能力が低くてもガード・ワンになれます」

「とは言っても、アナザー・ワン同様、最難のクラスですけど」

咲耶の付け足した言葉に、今度は棗が付け足すように口を開く。

「つまり、今の条件でガード・ワンになられたということは、
 高町先輩の戦闘能力は少なくとも私以上って事です」

「それは凄いな」

見た所、筋肉ムキムキに見えない恭也の身体を見て、槇人はそう呟く。

「いえ、そんなに凄くはないですよ。
 でも、出来る限りの事はしますし、絶対に護ります」

「そうか。それじゃあ、これからよろしく頼む」

「はい、御主人様」

「…男に言われてもあまり嬉しくないな」

「では、何とお呼びすれば」

「名前で構わないよ」

「それは…」

難色を示す恭也に、槇人は何か妥当なものはないか考える。
が、何も浮かんでこない。

「他にどんな呼び方があるんだ?」

「そうですね、主が男性の場合は…。
 御主人様、旦那様、お館様、主様などですね」

「うー、どれも嫌だ」

「では、槇人様で」

「様はいらないんだが、仕方ないか。それで良いよ」

「はい。では、早速着替えて着ますので、暫く席を外させていただきます」

言って立ち去る恭也。
恭也が部屋から出て行くと、槇人は咲耶へと問い掛ける。

「咲耶、恭也を知っているのか?」

「知っているも何も、うちの学園の女子で知らない人の方が少ないんじゃないの」

「そうなのか?」

「確か、本人も知らないけどファンクラブが存在するって話よ」

理緒の言葉に槇人は肩を竦める。

「流石にそれは冗談だろう」

「冗談じゃないわよ!」

「うわっ、そんなに怒鳴る事ないだろう」

「あ、ごめん…じゃなくて、申し訳ありません」

ついついクラスメイトに戻ってしまって慌てて言い直す咲耶。
槇人はそんな事を気にもせず、咲耶へと尋ねる。

「冗談じゃないって事は、咲耶はその存在を知っているんだな」

「そ、そりゃあ、まあ」

「実は咲耶も会員だったりしてな」

「…………」

からかうように言った槇人の言葉に、咲耶は僅かに目を逸らして何も言わない。
それを見て、槇人は図星だったのかと思い、これをネタにからかおうとするが、そこへ本人が戻ってきてしまう。
よく漫画などで見る執事が身に着ける服を身に纏った恭也に、同性の槇人でさえ思わず感嘆を零してしまう。
咲耶や棗は完全に目を奪われているようで、槇人は少しだけ拗ねる。
そんな槇人の肩へと理緒がそっと手を置き、その耳元に口を寄せる。

「私は旦那様一筋ですわよ」

「マスター、私が付いているぞ」

零那にもそう言われ、槇人は礼を言う。



「棗の奉剣は、あの物干し竿なのか」

「はい。備前長船長光、別名、物干し竿です」

「確かに長い日本刀だが、随分と刃幅も広いんだな」

「ええ。恭也の得物は?」

「ああ、俺が得意とするのは小太刀だな。これなんだが…」

互いに日本刀という武器のためか、知らず話の弾む恭也と棗。



「今日のデザートはフルーツを使ったケーキよ。
 あ、恭也の分は甘さ控えめにしてあるから。フルーツの甘さで充分でしょう」

「ああ。すまない、助かる。しかし、わざわざ別に作るのは手間じゃないか、咲耶?」

「そんな事ないって。普段、色々と味見してもらっているんだし」

すぐに先任のメイドたちとも打ち解ける恭也。



「なあ、恭也」

「何ですか、槇人様」

「いや、宿題をやっているんだが、ここがどうも……」

「……申し訳ございません。自分も数学は苦手でして」

「そうなのか。そうだよな、こんなの将来役に立つのかどうか怪しいもんだしな」

「ええ。しかも、何故か授業中に眠くなるんですよね」

「うんうん。いやー、恭也にもそういう面があると知って、益々親近感が湧くな」

「ありがとうございます……、で良いんでしょうか、この場合」

「細かい事は気にするな」

主との関係も良好のようである。



こうして、恭也の執事としての日々が幕を開ける。
その先に待つものとは!?

執事とメイドさんと剣 プロローグ 「新たな雇用人は闘う執事!?」 近日……。







いやー、肩がこるな〜。
メイドが欲しいよ。

美姫 「はいはい、寝言は寝てからね」

くっ。と、ここでメイドのちょっとしたお話。

美姫 「何よ、突然」

そもそもメイドとはイギリスはヴィクトリア女王の時代に最も栄えて…。

美姫 「って、そんな講義はいらないわよ!」

ぶべらっ!
……ぐっ。め、メイドには、その仕事に応じて呼び名が違っていて…。

美姫 「し、しつこいわね!」

がはっ! ……う、うぅぅ。
は、ハウスキーパー、ハウスメイド、パーラーメイド、レディースメイド…。

美姫 「いや、本当にしつこいから」

っっ!!
…………。

美姫 「あら、やりすぎちゃったかも。あ、あはは。おーい。
    ……返事がない。こ、これが冥土行きメイド、とか駄目?」

そんなメイドがあるかっ!

美姫 「あ、復活した」

お前、幾らなんでもそんなメイドはないぞ。
このっ!

美姫 「浩専用メイド 美姫です。あ、こんなクラスもありませんでしたね」

ぐっ。それはOKだ!
にしても、早業の着替え技だな、おい。

美姫 「メイドですから」

いや、関係ないような気がするが、まあ良いか〜。

美姫 「御主人様、そろそろお時間ですが」

あ、そうか。それじゃあ、今週はここまでだな。

美姫 「はい。それでは、またのお越しをお待ちしております」

また来週〜。



さーて、終わった事だし、美姫のメイドなんて久しぶりだからな〜。
美姫〜♪

美姫 「さて、終わった事だしさっさと書けー!」

のぉぉぉっ! 既に剣士モード!?
ぶべらばっはぁぁっ!!

美姫 「くすくす。やっぱり飴とムチは必要よね♪」

ピクピク


8月18日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はじまるわよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーよりあなたの元へ!>



おいおい。益々暑い日が続くじゃないか

美姫 「それはそうでしょう。まだ夏なんだから」

バカな! 盆を過ぎたんだぞ!

美姫 「いや、関係ないから」

くっ。ぬかった。

美姫 「いやそんな言い訳は良いから、口よりも手を動かしてね」

…暑くなろうと寒くなろうと、おまえはおまえだな。

美姫 「当たり前じゃない」

いや、今の嫌味のつもりだったんだが。
何故、そんな満面の笑みで返ってくるかな。

美姫 「それよりも…」

それよりって、どれだよ。

美姫 「い・い・か・ら! SSの方はどうなってるのよ!」

え、えっと頑張ってるよ。

美姫 「アンタの頑張りはどうでも良いのよ。私が欲しいのは結果よ!」

うぅぅ。ご無体な…。

美姫 「さーて、浩をへこました所で…」

って、わざとかよ!

美姫 「ううん。本心も入ってるわよ」

シクシク。

美姫 「さーて、それじゃあCMよ〜」







朝の早い時間、いや、学生たちにとっては決して早くもない時間。
商店街を走る一つの影があった。

「よし、このペースなら間に合う」

腕時計で時間を確認し、走る事を止めて歩き出す一人の少年。
その少年の後ろからこれまた同じ年頃の少年が声を掛ける。

「おはよう、レオ」

「ああ、恭也か。おはよう」

昔からの友達である二人は、朝の挨拶をすると一緒に登校すべく横に並ぶ。
恭也はふと対馬レオの隣を見て、レオが一人だろ分かると一応聞いてみる。

「所でカニは」

「時間になっても出てこなかったから置いてきた」

「そうか」

二人共通の友人にして、幼馴染の蟹沢きぬの朝の弱さを知っている恭也は、レオの言葉にすんなりと頷く。

「そう言えば、祈先生の課題があったな。レオはやってきたのか」

「当たり前だろう。祈先生相手に忘れられるか」

英語担当にして担任教師を思い描きながら、レオは至極真面目に答える。
恭也もその意見を否定する事無く、それもそうかと納得する。
と、その後ろから大声で叫びながら近づいてくる一人の少女が。

「って、ちょっと待てやー! 大事なモンを忘れているだろうがぁぁっ!
 ボクを忘れてどーすんのさ!」

走ってきた勢いのまま二人を追い越し、数メートル進んでから引き帰えしてくるのは、
さっき話題に上ったカニこと蟹沢だった。
カニはレオの腕を手でバシバシ叩きながら、犬のように舌を出して呼吸を繰り返す。

「おはよう、カニ」

「おはようじゃないよ! 何で、置いてくのさ」

「起こしてやるだけでもありがたいと思え」

「起こすっていうのは、ボクが玄関を開けて可愛い笑顔で挨拶をするまでの工程を言うんだよ!
 手抜きするな!」

「何を言ってやがる、カニの分際で」

「ぬはー、いふぁい、いふぁいぃぃ」

レオがカニのほっぺを摘んで引っ張ると、カニは目から涙を零して暴れる。

「レオ、それぐらいにしておいてやれ」

「ふぉうふぁ、ふぉうふぁ!」

恭也の言葉に手を離すと、カニは引っ張られた頬を擦りながら、涙目でレオを睨みつける。
カニが何か言うよりも早く、レオの方が口を開く。

「お前って、相変わらず涙腺ゆるいよな。ほっぺを引っ張るだけで涙が出るなんてさ」

「それを分かっててやっているレオもレオだと思うがな」

少々呆れた口調で呟く恭也に対し、カニはレオへと食って掛かる。

「泣いてないもんね! もう腹立った!
 お情けで一緒に登校してやってるのに、もうレオなんかとは登校してあげないもんね!」

「いや、別に構わないけど…」

走り去るカニの背中に向かって、レオは本当にどうでも良さそうに呟く。
これもいつもの事と言えばいつもの事なので、恭也は軽く肩を竦めるだけだった。
そんな恭也へと後ろから声が掛かる。

「よう。相変わらずみたいだな」

「おはよう、フカヒレ」

「よぉ、フカヒレ」

眼鏡を掛けた少年の登場に、恭也とレオも挨拶を返す。
彼もまた恭也たちの昔からの友達で、鮫氷新一(さめすが しんいち)という。
三人で並んで歩きながら、ようやく自分たちの通う学園、竜鳴館(りゅうめいかん)へと着く。
教室へと入れば、恭也たちとつるむ最後の一人、伊達スバルが近づいてくる。

「よう。ちゃんと遅刻しないで来みたいだな。感心、感心」

食事から洗濯に掃除とレオの世話をやたらと焼くスバルの言葉に、恭也はただ苦笑する。

「相変わらずまめだな、スバル」

「まあな。これも偏にレオに対する俺の偉大なる愛だな」

断っておくが、伊達スバル、家事万能にして毎朝優しくレオを起こす幼馴染は、れっきとした男である。
それも女子生徒からの高い人気を誇る。
レオは毎度のスバルの言葉に突っ込みつつ、ホームルーム開始のチャイムに席に着く。

「いよぉー、若造ども元気か。祈の奴が遅れそうなんで、我輩だけ先にきた」

言って入ってきたのは、担任の教師ではなくそのペットのオウム土永さんだった。

「またかよ、祈ちゃん遅刻多いな」

お前も俺が起こさなければ毎日遅刻だろうがというカニに向けての言葉を飲み込み、
レオは土永さんを見遣る。

「まあ、そんなに慌てるな。我輩がためになる話をしてやろう」

こうしてオウムによるHRが進んで行くが、それに対して最早誰も何も言わない。
恭也たちが所属する2−Cは、基本的に問題児が多い。
このクラスに在籍している生徒会長の霧夜エリカ、完璧さと高飛車にして傲慢な振る舞いから、
尊敬と皮肉を込めて『姫』と呼ばれるその人自身が好き放題にやっているくらいだ。
2−C担任を含め、良識を持つ者が苦労するという難儀なクラスであった。

夜になれば、自然とこの五人はレオの部屋に集まり、特に何をするでもなく時間を過ごしていた。
今日も今日とて、レオの部屋に集まってただ話をしたりして時間を潰す。
誰もが何となくこんな時間がずっと続くと思っていた。
そう思っていたのだ。だが、現実とは時として小説よりも奇なものであったのだった。
勿論、そんな事をこの時の恭也たちに分かるはずもなかったのだが。



いつものように出たはずなのに、何故か遅刻寸前という時間になってしまったレオは、
カニを引き連れてひたすら学校を目指して走る。

「眠い〜」

「眠いも何も、このバカが。二度寝しやがって!
 見捨てないだけでも感謝しろ」

そう、レオがいつも通り家を出たにも関わらず走っている理由は、全てカニにあった。
そんな言葉を聞き流して眠気眼差しで走るカニを一睨みするとレオは走る速度を少しだけ上げる。
門を閉める先生や状況により、門が秘められるのは日によって3、4分の違いがある。
つまり、ギリギリだけどまだ遅刻かどうか分からないのだ。
故にラストスパートとばかりに走り出すレオの後ろから、いつの間にかやって来た新一が並ぶ。

「フカヒレ、お前もか」

「ああ。昨夜はケイコちゃんが中々寝かせてくれなくてな」

「またギャルゲーか」

「二次元をバカにするな!」

「いや、誰も馬鹿にはしてないだろう」

「ほい、お疲れさん」

走る三人へと軽く走って追いついてきたのは、陸上部に所属しているスバルだった。

「今日は朝練はなかったのか」

「まあな。ただ、ちぃっと昨夜のバイトでな」

スバルは夜に少し怪しげなバイトをしており、その関係で起きるのが遅かったようだ。
そのスバルの後ろから無言で付いて来ていた恭也も挨拶をする。

「珍しいな、恭也まで」

「まあ、ちょっとな」

こうしていつものメンバーとなった恭也たちは校門へとダッシュをかける。
しかし、結果はかくも無残に五人の前に立ち塞がる。
閉ざされた校門という形で。

「くぅぅ、こうなると遅刻届をもらうしかないんだよね」

カニが悔しそうに校門を睨みながら言うも、新一は首を振る。

「いや、俺は納得しないぞ。折角、疲れるのを我慢して走ったのに。
 …よし、フォーメーションだ」

「久しぶりにやるか」

新一の言葉にレオが頷くと、五人は一旦、元来た道を戻り、学校を囲う高い壁の前に立つ。
丁度、校舎の裏側に当たる辺りだ。
新一は素早く周囲を見渡し、誰も居ない事を確認する。

「よし、いくぞ」

レオの言葉を皮切りに、普通なら決して登れそうもない壁に向かって走り出す。
最初に恭也とスバルが走り出し、その後を数メートル離れてレオたちが走る。
恭也は壁に背を付けると腰を少し降ろし、両手を組んで膝辺りまで掌を上に向けて降ろす。
そこへスバルが軽くジャンプして飛び乗る。
同時に恭也は腕を上へと振り上げ、スバルは丁度良いタイミングで恭也の手からジャンプする。
高い壁の上に見事に着地を決めると、そのまま下半身を向こうへと出し、
乗り出すような形でこちら側に両手を伸ばす。
その間に恭也は身体を反転させ、今度は壁に手を着く。
レオと新一はその恭也の肩に登り、スバルの手を取って壁をよじ登る。
次にカニを恭也が支え、それをさっきよりも身体を倒したスバルがカニの手を掴んで引き上げる。
その時、スバルが転落しないように、レオと新一とでスバルの身体をしっかりと固定する。
スバルからカニを受け取ると、今度は恭也を迎え入れる。
この中で最も跳躍力の強い恭也は、スバルの伸ばした腕に軽く捕まる。
それを三人がかりで引き上げ、全員が壁の上という訳だ。
こうして無事に侵入した五人は悠々と教室へと向かおうとして、不意に声を掛けられる。

「おい、そこの五人」

その声に思わず足を止めるが、誰一人として振り返って顔を見せるようなヘマはしない。
後ろから何かが近づいてくる気配を感じつつ、五人はどうするか目だけで語る。
真っ先にカニが行動を起こす。

「当然、逃げるが勝ち!」

言うや否や、猛然とダッシュする。
確かに、この手のものは現行犯でなければ証拠を突きつけ難い。
このまま捕まって油をしぼられるのも嫌なので、カニの意見に異論はなく恭也たちも揃って走り出す。
当然、後ろから呼び止める声が聞こえるが、

「どうする、止まれと言っているみたいだが」

「恭也、止まれと言われて止まるやつはただの馬鹿だ!」

「カニの言う通りだな」

「同じ馬鹿なら逃げ切るんだ!」

カニに続き、スバル、新一もこのまま逃げ切る事にする。

「どっちにせよ、馬鹿なのかよ」

思わずレオが突っ込むが、それでもやはり足は止めない。
五人はそのまま校門までやって来ると、追っ手が一人ということもあり、散る事にする。
それぞれバラバラに走り出そうとした瞬間、新一の間抜けな声が聞こえる。

「あれ?」

同時に鋭い音と、暫くして何かが地面に落ちた音が聞こえてくる。
僅かに振り返った恭也は、それを見た。
追って来た女子生徒が新一の足へと蹴りを繰り出して薙ぎ払い、そのまま地面へと倒したのを。
その無駄のない動きに内心で感嘆の声を上げつつ、どうするかとレオたちを見る。
恭也の言いたい事に気付き、カニが即座に決断を下す。

「見捨てようぜ」

あっさりと決断を下したカニに頷くレオと、流石にやり過ぎだと感じたのか文句を言おうと口を開くスバル。
所が、次の標的はスバルと決めたらしく、その女の子はスバルへと攻撃していた。

「なっ!? はや…」

最初の攻撃を腕で弾くも、それはフェイントだったらしく本命の攻撃が間髪置かずに繰り出さる。
腹にその女の子腕が突き刺さり、スバルは膝を着く。

(的確にすぐさま行動不能になる場所を一撃でか)

フェイントも含め、その流れるような攻撃に恭也は再び感嘆する。

「次!」

勿論、女の子はそんな恭也の感嘆など気付かず、ただ次は誰が相手になるのかと恭也たちを見る。
そんな中、最も戦力としては弱いが、すばしっこいカニは即座に逃げを打つ。
しかし、あっさりと捕まって投げ飛ばされる。

(落ちる瞬間に引っ張り上げたか。あれなら、衝撃はあるが痛みはないはず)

女の子の投げ技をしっかりと見詰めつつ、恭也はそう判断する。
流石に三人があっという間に倒されて驚くレオへと女の子は無造作に近づき、足を振る。
空気を斬り裂くような音がしたかと思った瞬間、足に凄い衝撃が走る。
呆然と女の子を見詰めたまま、レオはその場に座り込む。
女の子に蹴られた足が痺れ、立っていられないのだ。
喧嘩にはそこそこ自信のあったレオだったが、この事実に驚愕の表情でその女の子を見上げる。
そんなレオを見下ろし、女の子はつまらなさそうに言う。

「一撃で終わりか」

研ぎ澄まされた刃のような鋭い眼差しでレオたちを叩きのめした女の子は、制服から見て三年の先輩であった。

「全くだらしがないな、お前は。根性がない」

凛として堂々と立つ女の子を見上げながら、レオは最近は男が弱くなったと言われるが、
この状況を鑑みるに、女の子が強くなったんではないだろうか、などと思っていた。
何も言えないレオたちを一瞥すると、女の子は最後に残る恭也へと顔を向ける。

「さて、私は風紀委員長の鉄乙女だ。校則に乗っ取って簡易制裁を執行した。
 後はお前一人だが」

「幾らなんでもやり過ぎではないんですか?」

「やり過ぎ? 生徒手帳の17ページ。風紀委員特別権限だ。
 怪我をさせない限り、委員の注意や警告に従わない生徒には処罰を下しても良いとなっている。
 で、だな。お前たちは立派に校則違反だ。そして、私はお前たちに待つように注意をした。
 が、これを無視。故に制裁を執行しただけだ。なに、大人しくしていればすぐに済む」

言って乙女は恭也へと腕を伸ばす。
が、これを恭也は腕で捌く。
しかし、ある程度喧嘩慣れしていると見ていたのか、
スバル同様にこれはフェイントで本命の一撃、蹴りが凄まじい速さで恭也の足へと迫る。
それを恭也は当然のようにバックステップで躱す。

「むっ、外した。いや、躱されたのか」

乙女は先程よりも注意深く恭也を見る。
内心で恭也はしまったと思いつつ、何事もなかったかのように立つ。

(大人しく喰らうつもりが、遂反射的に動いてしまった)

悲しい性と言うべきか、一定以上の攻撃には勝手に反応してしまう身体に嘆きつつ、
恭也は次の攻撃を待つ。

(しかし、大人しく喰らうのもまずいような気が。
 今の動きや蹴りと言い、鉄という姓も気になる)

考え事をする恭也へと、先程よりも慎重に乙女は間合いを詰めて左右から打撃を加える。
思わず考え事をしていた恭也は、咄嗟にそれらを右腕で全て捌き、
逆に態勢の崩れた乙女へと左手による反撃をしてしまう。
まずいと思って止めようとするも、僅かにスピードが落ちただけで、拳は止まらずに進む。
当たると思った恭也だったが、それは杞憂に終わる。
足を上げて恭也の拳を受け止めていたからだ。

「ふむ、中々やるな。だが、何故、躊躇った?
 あのまま躊躇わなければ決まっていたかもしれんぞ」

「いえ、躊躇わなかったとしても防がれていたでしょうね。
 ただでさえ、女性に手を上げるというのに、今回は明らかにこちらが悪いですからね」

「戦いに男も女もないぞ」

「それは勿論分かってますよ。これが戦いだというのなら、勿論躊躇はしません。
 ですが、さっきも言ったように、今回はこっちが悪く、そちらはちゃんと規則に乗っ取った行動をしている。
 なら、躊躇うのも仕方ないかと」

戦いなら躊躇しないという語った時の恭也の目に、乙女は何を見たのか感心したような声を上げる。
その後、恭也が言う言葉にも嘘や詭弁は感じられず、それが本心からだと分かると、
乙女は構えを解く。

「制裁は良いんですか?」

「ああ。お前には必要ないだろう。
 あれはあくまでも、注意や警告を無視した場合の止む得ない処置だからな。
 それに、不意を付いた攻撃にはどうしても勝手に反応してしまうようだしな」

乙女の言葉に恭也は苦笑を浮かべる。

「しかし、それで何の部活もしていないというのは惜しいな。
 どうだ、今からでも拳法部にこないか」

「いえ、遠慮しておきます。
 買いかぶりすぎですよ。さっきのはただの偶然です」

「偶然やまぐれで躱されてはたまらんのだがな。
 まあ、お前にはお前の事情があるのだろうからな。
 さて、それよりも今は…」

言って乙女はレオたちを見る。
こうして朝から校門の近くで、五人は説教を喰らう事となったのである。



後に、この鉄乙女がレオの従姉妹だと判明し、忘れていたレオは頭を抱えたとか何とか。
更に、その乙女がレオの両親に根性を叩きなおす様に頼まれてレオの家へと引っ越してきた。
これにはレオの部屋を集まり場としているカニたちも反対するも、誰も正面からそれを言う事はできなかった。
こうして、レオと乙女の共同生活が始まる中、事態は更に面倒な方へと転がり始める。
風紀委員長にして、生徒会副会長である乙女により、
生徒会長であるエリカが悉く首にした生徒会の執行部へと推薦されたのだ。
しかも、何が気に入ったのかエリカはこれを受諾し、生徒会執行部へと入る事となってしまう。
更に、そこに椰子なごみという孤独を好む一年生も加わり、新たな日常が始まる。
これから一体、どうなる!?

つよきすハート プロローグ 「全てはこうして始まった」 近日、忘却!







はぁ〜。ネタが、ネタが〜。

美姫 「ネタなんて、書いてればその内浮かぶわよ!」

いや、ネタはあるんだが書けない。

美姫 「何でよ!」

正確には書くのが遅い。
上手く文に出来ない、などなど。

美姫 「ざっとまとめるとやる気がないって事ね」

こらこら。それは違うぞ!
やる気はあるけれど、手がついてこないのだ!

美姫 「寝言は寝てから言いなさい。という訳で、寝かせてあげるから、首を出しなさい」

いや、刀を持って笑顔で言われても。
明らかに永眠ですよね、それ。

美姫 「大丈夫、大丈夫♪ 私を信じて」

信じられるか!

美姫 「ちっ」

舌打ちかよ!

美姫 「まあ、冗談は兎も角、キリキリとかきなさい!」

それを冗談としたいが…てのは勿論、冗談です。
ぼく、頑張るよ!

美姫 「うんうん。頑張るのよ!」

うん!

美姫 「さて、それじゃあ、今回はこの辺にしておこうかしら」

それじゃあ…。

美姫 「また来週〜♪」


8月11日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はじまるわよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーよりお送りしてます〜!>



よっとこさ、更新開始〜

美姫 「あまりの永い休暇に、私はかなりご立腹」

いやいや、アンタも思いっきり休んでたじゃん!

美姫 「それはそれ〜」

いや、違うから!

美姫 「私は私〜、アンタはアンタ〜」

いや、それはそうだが。
って、何で俺だけが悪者扱い!?

美姫 「いつものことじゃない」

ひ、酷い…。

美姫 「にしても、本当に全然、SS書いてないわね」

あはっは〜。つまり、先週から進展なしって事さ!

美姫 「威張るな!」

ぶべらっ! ぐぅぅ。と、とりあえず、CMを…。

美姫 「今回は何と、テンさんからプレゼントされたのよ!」

……あ、あの、無理矢理奪ってないよな。

美姫 「当たり前でしょう!」

ぶべらっ!

美姫 「アンタ、私を何だと思ってるのよ。失礼しちゃうわね」

お、俺のこの惨状を見て、どう思えと……。

美姫 「ふんっ! い〜っだ。それじゃあ、気を取り直して、CMよ〜」







 アヴァター学園












 救世主、それは破滅を止める唯一の希望……のはずだった。







「恭也たちがこの世界に来てから、なんかホントおかしくなったわよね」



「俺たちのせいなのか?」



赤い外套を羽織る少女に言われ、恭也はため息をついた。



そう、恭也たちが紅の精霊にこの世界へとつれてこられたときから、この学園は変貌し始めた。





 ……とんでもなく馬鹿げた方向へ。















「にはは、異世界で友達100人できるかな?」



 友達100人つくるのが夢 ある意味トラブルメーカー
 カラス(生きてる?)型召喚器の所持者 
 神尾 観鈴






「進呈」



何をするのかわからない不思議少女 というかそのお米券は召喚器だったのか?
 お米券(?)型召喚器の所持者 
 遠野 美凪





「……ん、わかった」


 純粋な少女 だけど少しは自分で考えよう 
 召喚器……ではなく、永遠神剣・存在の所持者 
 アセリア・ラスフォルト






「はわわ、が、がんばりますっ!」



 そのドジッ娘は異世界に来ても変わらずか?
 やっぱり召喚器じゃなくて永遠神剣・失望の所持者
 ヘリオン・ラスフォルト 






「破滅……BETAに似てるんでしょうか……?」



元の世界は大丈夫か? そしてそのウサ耳はホントに生きてるのか?
 巨大戦術機型(!)召喚器の所持者
 社 霞




「うう、この世界にはラーメンがないんだよ。食べたいんだよ、具なしのラーメン」



 具なしのラーメンは本当に具ありラーメンより美味しいのか?
 ラケット(テニスの)型召喚器の所持者
 南条 伊吹




「ク〜ン、ご主人様〜♪」



 なぜ恭也をご主人様と呼ぶ? 久遠のライバル出現か?
 爪(結構まとも)形召喚器の所持者 
マージ・フォイエルバッハ




「アキトさん、この世界にいるんでしょうか? でもアキトさんにはユリカさんがいる、私は……」



 世界と時を飛ぶストー……少女 この頃なんだか恭也を見る目が妖しい
 戦艦型(!?)召喚器の所持者
 ホシノ・ルリ





「弁慶、なんで私のこと覚えてないんだろ?」



 なぜ恭也を弁慶と? 
太刀(一番まとも)型召喚器の所持者
 源 義経……もとい、源 九羅香





「あっちとこっちの世界の料理とかお菓子が食べられて幸せ〜♪」



妖怪・食っちゃ寝 もう一人の人格が護衛者として恭也を狙ってるっぽい
 飛行妖怪(というか普通の召喚では?)型召喚器の所持者
パイ(パールバティー)






「ちみちみ、ちゃんと恋をするのだぞい」




 ちみっこ恋のキューピット 恭也には必要か?
風林火山垂れ幕(小さくて字があんまり見えない)型召喚器の所持者
 チョコ






「クレープがちょっと食べたいかも」



なぜ学祭時の猫またコスチューム? 泣く子もときめくプリンセス
 ホウキ(魔女っ娘ではありません)型召喚器の所持者
 星崎希望







「恭也お兄ちゃんの絵、描かせて♪」



 衝撃の事実、母が置いていった恭也の従妹 なのはと美由希のライバルか? でも料理は美由希レベル
 絵描き一式(どこでも絵が描けます)型召喚器の所持者
 鳳仙 エリス(ああ、彼女が相方だったなら……ま、待てエリス! ぐばっ!) 










 次々と呼ばれる(おかしな召喚器を持つ)救世主候補たち……









「って、お米券型とかテニスのラケットって……カラス、生きてるの?」



「あとはホウキ型とか垂れ幕型、絵描き一式型とはなんでござるか?」




「それ以前に巨大戦術機型とか戦艦型、飛行妖怪型というのは、それに妖精と精霊、妖怪の救世主候補……」



「え、永遠神剣ってなによ?」



「召喚に不手際はありません」



「ぐ、具なしラーメンは作れないな、料理人として。パイちゃんはなんでも喜んでくれるけど」



「……うーん、霞ちゃん、ちょっと私と似た感じが」



「くぅーん。マージ……らいばる?」



「あらあらまあまあ、お米券、ありがとうございます」



「おにーちゃん、エリスさんって……」



「夏織母さんに聞いてくれ。というかたまにホシノさんとパイさんが怖い。それと弁慶とはなんだ?」



「みんな可愛いし、美人だからよし!」









 選ばれし黒衣の救世主から、どんなふうに派生したらこんな物語になるのか?
 もう破滅なんか知ったことじゃない。
というか破滅が来たら戦艦と戦術機の出番だぞ。
 さあ、みんなで異世界を楽しもう!



だけど男女比さらに偏って、恭也はストーカーに追われ、ご主人様と呼ばれ、額になんか第三の目を付けた人に気に入られ、弁慶と呼ばれ、新たな妹に追われ、他諸々……心労がかさむ。




 大河は新たな女の子たちにアタック! 成功するか、玉砕するか。





 破滅のことなど忘れてドタバタ学園生活。










 アヴァター学園 救世主クラス(恭也の)奮闘記 











 選ばれし黒衣の救世主が終わったら公開? 







うわー、凄い。

美姫 「復活するな!」

ぐっ。まだまだ、甘いな。
よし、今回のCMはこれに便乗だー!

美姫 「って、また勝手にそんな事を!」

やったもん勝ち!

美姫 「言いながら、かなりビクビクしてるわね」

う、うぅぅ。まずかったら、削除するぐらいの気概で!

美姫 「いや、それは気概でも何でもないから」







「で、何故、私がこんな所にいるのかの説明は誰がしてくれるんだ?」

銃を突きつけながら鋭い眼光で恭也たちを睨む少女。
その少女に傍らに立ち、穏やかな笑顔でその少女を宥める少女がもう一人。

「まあまあ、なつき。そないかっかしはっても、物事には順序がありますやろ。
 銃なんぞ突きつけられたら、たいがいは黙りはるんとちゃう?」

召還器を呼ぶ前に、エレメントとチャイルドにより試験をクリアしてしまった二人の少女――
 玖我なつきに藤乃 静留。



「見なさい、キョン! 異世界よ、異世界。私たちは今、正真正銘、異世界にいるのよ!」

「……長門、これって夢か?」

「否。情報統合思念体とも情報を交換できない。
 我々は、異なる次元へと招かれた」

「ふぇぇぇ。未来と、禁則事項で連絡を取ろうとしても取れませ〜ん。
 一体、どうなっているんですか?」

「これはこれは。どうやら、涼宮さんの能力という訳ではないみたいですね」

新たに現れた五人の団体、SOS団。
破滅や世界の危機も何のその。第一目標は団長の好奇心を満足させること!?
召還器なしでも何でもありの少女、長門有希
時間を超えれない代わりなのか、場所を越えるテレポート能力を手にした少女、朝比奈みくる
限定ではなく、何処でも自由にその力を使えるようになった少年、小泉一樹
当然、そんな彼らを見て団長である涼宮ハルヒが黙っている訳もなく。
また、彼女の自分の思う通りに世界を変えるという能力が大きく開花。
その力は一定範囲内では、まさにハルヒの思うまま。
神は彼女にとんでもない力を与えてしまった。一体、何を考えているのか…。
そして、そんなハルヒを唯一(?)押さえられるかもしれない少年は、ここに来てもやはりごくごく普通のままだった。

「いや、まあ、確かに当事者にはあまりなりたくはないのだが、これはこれで俺だけ命の危険が大きすぎないか?」

そこはかとなく嫌な予感を感じつつ、SOS団は好き勝手に活動を始める。



「またSOS団? はぁ、いい加減生徒会の苦労も考えて欲しいね。
 あ、弟くん、お茶のおかわりお願い」

アヴァターに来てまで生徒会を作り上げる、魔法使いの少女、朝倉音姫

「いや、まあ、音姉らしいと言えばらしいんだが…」

「そんな事言っている暇があるんですか、兄さん」

召還器が未だに眠ったままという二人の少女の世話を焼く少年、桜内義之。
面倒くさがりの上、その存在能力が未知数の少女、朝倉由夢

既に破滅などそっちのけで、学園が普通に機能し始める?







あはははー。

美姫 「このバカ!」

ぶべらっ! ……って、やってから怒るのかよ!

美姫 「ふん。それじゃあ、また来週ね〜」

う、うぅぅ。


8月4日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はじまるわよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーよりお届け、どけどけ〜!>



あ、あっちぃぃ〜。
美姫、俺はもう駄目だよ……。

美姫 「浩〜! 駄目よ、こんな所で倒れたら!」

俺の事はもう良い……。
お、お前だけでも…。

美姫 「そ、そんな……」

……しかし、突っ込む人間が居ないとどこで止めていいのか分からなくなるな。

美姫 「本当に。って言うより、アンタがバカな事をしなければ良いだけじゃ…」

な、何だよ、自分だってノリノリだったくせに。

美姫 「昔の偉い人は良い事を言ったわ」

な、何だ、突然。

美姫 「それはそれ、これはこれ」

……いや、それは偉い人が言ったのか?

美姫 「その辺はスルーしときなさい」

んないい加減な。

美姫 「それはそうと…」

うわー、いつになく強引な。

美姫 「い・い・か・ら!」

はいはい。で、何?

美姫 「SSの方はどうなのよ」

えっとな、DUELのちょっとしたのがそこそこに。
リリカルが3割。他が1〜2割って所。

美姫 「じゃあ、次はDUELかしら」

んー、どうだろうな。
まあ、ぼちぼちと。

美姫 「ぼちぼちじゃなく、てきぱきといきなさい!」

ほら、それはそれ、これはこれ……。

美姫 「いや、意味が分からないわよ、それ」

ああ、俺も自分で言ってて分からなかった。

美姫 「だったらやらないでよね」

すまん…。

美姫 「さーて、気を取り直して、CMよ、CM」

いい加減、止めようぜ〜。

美姫 「駄目よ! これを楽しみにしてくれている人たちのためにも」

いや、いない、いない。

美姫 「そんな事はないわ! 少なくとも、一人や二人は」

本当に少ないな、おい!

美姫 「それはさておき、CMにいくわよ」

へいへい。まあ、何だかんだで楽しんでるから良いけどな。

美姫 「それじゃあ、CM〜」







それは、海沿いの町で始まるお話。

「健ちゃん、健ちゃん、急いで!」

「だぁっー! ちょっと待てよ七海」

夏休みも近づいたある日の朝。
とある家から騒がしい声が響く。
家の前で足踏みをして中に居るであろう人物を急かす少女に、玄関で靴を履く少年が返す。

「くそっ、恭也のヤツ先に行きやがって。
 待っててくれても良いのに」

ブツブツと文句を言いながら家の鍵を閉める少年――友坂健次に、
幼馴染で隣家の少女、近衛七海が苦笑を見せる。

「恭くんは、鈴夏ちゃんが引っ張って行っちゃったからね」

「ったく、鈴夏も恭也だけじゃなくて俺たちも起こせってんだよ」

「それは駄目だよ、健ちゃん。起こすのは私たちで交代なんだから。
 それが…」

「ルールだろう。分かってるよ。それに、恭也のヤツは起こしてもらってる訳じゃないしな」

「だよね。恭くん、起きるの早いし」

「ああ。って、少し走るぞ七海」

「うん」

言って二人は学校へと走り出す。
夏が近いことを感じさせる高い日差しの中、二人は駆けて行く。



「もう、恭也お兄ちゃんのエッチ」

「だから、あれは不可抗力だと言っているじゃないか」

「ぶー。不可抗力でもあんな姿を見られて私は傷付いたよ」

わざとらしく顔を伏せる一つ下の幼馴染に困ったような顔を見せつつ、
何を思い出したのか恭也は顔を赤らめる。
それを敏感に察知した少女、友坂鈴夏はこちらも顔を赤くして恭也に詰め寄る。

「わーわ、思い出さないで!」

「お、思い出してないから」

「うー、本当に恥ずかしいよ」

「だから、悪かったって。それに、カーテンをしていない鈴夏も悪いんだぞ」

「そ、それはそうだけれど…」

この二人が何を言い合っているかと言えば、
朝風呂に入った鈴夏が制服へと着替えるために部屋に入った時にまで話は遡る。
全く同じ時間帯、恭也もまた自分の部屋で制服に着替えようとして、
風呂上りの火照った身体に少し風を当てようと何気に窓の外、ベランダに出たのが始まりだった。
恭也の部屋と鈴夏の部屋は、兄である健次と七海の部屋と同じように、
その距離が数メートルと離れていないのだ。
そして、恭也は本当に何気なく、特に意識したわけでもなく、
長年の習慣にも近い感覚でふと鈴夏の部屋へと視線を転じた。
普段、鈴夏は着替える際にはカーテンを引くのだが、今朝はそれをうっかりと忘れており、
結果、その下着姿を恭也の目に晒す事となる。
対する恭也も、上は何も着けていなかったのだが、男と女の場合では話が違い過ぎた。
悲鳴こそ上げなかったものの、お互いに数秒間動きを止めて見詰め合う形となってしまったのである。
そして、恭也の脳裏にははっきりとその映像が目を瞑れば、
今もリフレインできるぐらいその姿を凝視してしまったのである。

「でも…」

「本当に悪かった。今度、何か埋め合わせするから」

「本当に!?」

「ああ。ただし、できる範囲でだぞ」

「うん、それなら許してあげるよ」

ようやく機嫌を直した鈴夏にほっと胸を撫で下ろす恭也だったが、安心するのは少し早かった。
機嫌を直した鈴夏は、覗き込むように身体を前に倒して恭也を下から見上げると、
少し顔を赤くさせつつ、悪戯っ子のような笑みを浮かべる。

「あんな姿を見られたら、もうお嫁にいけなくなっちゃったかも…。
 その時は、責任取ってね」

思わず咳き込みそうになるのを堪えつつ、鈴夏の冗談めいた笑みにこれが冗談だと悟ると、
恭也は無言でその額へと軽くデコピンを喰らわせる。

「からかうな」

「むー、痛いな、もう」

複雑な顔を一瞬だけ見せるも、すぐに笑顔を浮かべるとデコピンされた額を押さえる。
恭也は恭也で、気付かれないようにそっと溜め息を吐くのだった。

そんな二人の背後から、健次の声が聞こえてくる。

「おーい、待ってくれー」

「ん? 健次たちか」

「わっ、今日は早いね」

まるでそれが珍しいとばかりの鈴夏の台詞に、しかし、恭也は同様に頷く。
それは幸いにして健次たちには聞こえていなかったらしく、二人は恭也たちに並ぶと普通に歩き出す。

「はぁー、はぁー。ったく、少しぐらい待っててくれても…はー、はー」

「いや、お前たちを待っていたら、確実に遅刻だろう」

「ばっ、今日は早いだろうが」

「ああ、今日は、な」

あっさりとそう返されると、健次は何も言えずに肩を竦める。
と、持っていた自分のではない鞄を、さっきから一言も喋らずに呼吸を整えている七海へと渡す。

「ほら、七海」

「あ、ありがとう健ちゃん」

鞄を受け取り、七海は笑顔で礼を言う。
この四人は家が近所、いや、隣同士という幼馴染である。
だが、さっきのやり取りからも分かるように、一緒に登校する事は珍しいのかもしれないが。
久しぶりに四人揃っての登校に、健次はふと額に手を翳して空を仰ぎ見る。

「ふー、これから夏本番だな」

「そうだな。これから暑くなっていくだろうな」

「うーん、今年も美味しい野菜ができると良いかも」

「七海お姉ちゃんの野菜、美味しいもんね」

「ありがとう、鈴夏ちゃん」

「野菜も良いけど、スイカだな、やっぱ」

健次の言葉に、恭也が反応して七海を見る。

「七海スペシャルは?」

「もうばっちり! もう少ししたら、収穫できるよ!
 今年の七海スペシャルは、いつもとは違うんだから!」

「それは楽しみだな」

「スイカはスイカだろう?」

「あー! そんな事を言うんだったら、健ちゃんには食べさせてあげないもん!」

「げげっ! それはどうかご勘弁を、七海大明神様〜」

「どうしようかな〜」

ふざけ合う健次と七海から、恭也も空へと視線を移す。
確かに、夏を思わせるような青く高い空に、さんさんと輝く太陽が眩しい。
恭也の隣に並びながら、鈴夏も同じように空を見上げる。

「夏だね」

「ああ、夏だな」

健次と七海の騒ぎを余所に、恭也と鈴夏は少しの間だけ、そうやって静かに空を眺めていた。

――今年も、夏が来る。

ラムネ色のハート 〜恋する夏の物語〜







うーん、夏だね〜。

美姫 「夏よね」

という訳で、またまた恒例の…。

美姫 「ああ、更新ストップ期間ね」

ああ。今年は、8月6日から8月10日まで更新できません。

美姫 「あら、ほぼ一週間じゃない」

だな。

美姫 「あ、でも、ハートフルはちゃんとできるのね」

いや、まあ、お前が怖いし…。

美姫 「何か言った?」

ブンブンブン。
えっと、そういう事ですので、ご了承ください。
あ、投稿はこの期間でも受け付けてますので。

美姫 「ただ、アップが11日以降になっちゃいますけれど」

許してください〜。

美姫 「さて、連絡事項はこれでお終いね」

おうともさ〜。

美姫 「それじゃあ、少し早いけれど、今回はこの辺で」

また来週、会えたら。

美姫 「やるに決まってるでしょう!」

はいはい。

美姫 「それじゃあ、また来週ね〜」

ではでは。


7月28日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

フィーア 「はじまります」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより電波発信中!>

電波、届いてる?



いよいよ夏本番って感じだな!

美姫 「そんな風にぐて〜って机に突っ伏されて言われてもね」

フィーア 「言い方は爽やかなんですけどね」

だってぇ〜。前から何度も言ってるけれど、暑いのは駄目なんだよ〜。

フィーア 「心頭滅却すれば、ですよ」

元気だね〜。

美姫 「アンタはだらけ過ぎよ」

まあまあ。

美姫 「それより、SSは進んだの?」

とりあえず、『An unexpected excuse』が一つ完成した。
この後、すぐにでもアップできるかな。

フィーア 「そう言えば、キリリクもあるんですよね」

ああ。次はそれに取り掛かる予定。

フィーア 「予定ってのが怖いですね」

美姫 「まあ、こいつの予定ほどあてにならないものはないからね」

酷いな、おい。…と言い切れないのが辛いです、はい。

フィーア 「自覚だけはあるのね」

美姫 「そうよ。でも、自覚だけなのよ。そこから進歩しないというか…」

フィーア 「お姉さまの気苦労、察します」

美姫 「ありがとう、フィーア」

フィーア 「あ、例によってこれを」

美姫 「うんうん、ありがとうね〜」

……えっと、何か赤いインクが所々に付着しているように見えるんだが。

フィーア 「気のせいです♪」

いや、だって…。

フィーア 「気のせいです♪」

でも、ほら…。

フィーア 「気のせいです♪」

……。

フィーア 「お姉さま〜」

美姫 「浩〜。何、フィーアを泣かせてるのよ!」

ええっ! 俺が悪いのか!?
俺は単に事実を…。

美姫 「浩、気にせいよ(にっこり)」

……あ、ああ、気のせいかな〜。
最近、疲れてるから見間違えたんだな、うん。

美姫 「分かれば良いのよ」

フィーア 「流石です〜」

美姫 「まあ、アイツの扱いならね」

……あれ、あれれ?
何でだろう、目から雫が落ちてくるや……。

美姫 「ほら、バカやってないでさっさといくわよ」

フィーア 「それじゃあ…」

アハトさんによる…。

美姫&フィーア 「CMよ〜」







―――――ようこそ救世主(メサイア)
この闘争と狂宴の舞台へ―――――





「つまり、見境なく色々な世界から集められていると言うのか」
「はい、そうなりますね」
その言葉を聞いて、男は溜息をついた。



様々な世界から素質あるものではなく、純粋に強い者が集められていく。
それは、誰かの意図したものなのか……
その謎を解くために、そして蹂躙される人々を救うために……
救世主達は立ち上がる……





「護ると決めたのなら、護り通す……ただ、それだけだ」
両の腕に小太刀を持つ、二刀流使い 不破 恭也



「う〜ん、俺が何だか一番弱そうだなぁ……」
持つは霊剣、しかし本業はコック 槙原 耕介



「幽々子さまにいずれ害が及ぶのなら、斬ります」
半人半霊、白玉楼の亡霊の姫に使えし庭師 魂魄 妖夢



「リリス様の下へと、早く帰るためなら……」
神と人との間にできし子、神殺しのジョーカー 如月 刹那



「厄介ごとはあんまり遠慮したいんだけどなぁ……」
直死の魔眼を持つ、殺人貴 七夜 志貴



「正義の味方として、今回こそ守ってみせるさ」
正義の味方を目指す、剣の王 衛宮 士郎



「神鳴流の奥義の数々、とくとご覧あれ」
神鳴る剣、人と魔の混血 桜咲 刹那



「ふむ、強い者ばかり揃っている、鍛錬にことはかかないな」
一般人に見えて、実は最強か 竜鳴館風紀委員長 鉄 乙女



「あっ、あの……ここはどこでしょう?」
天地学園学園長の刃友、でもドジな一面も持つ最速の女 宮本 静久



「ここがどこだろうと、紅世の徒がいるならそれを討滅するだけよ」
フレイムヘイズ、炎髪灼眼の使い手、贄殿遮那を持つ シャナ





「10人も前衛なんて……どうなってるの……」
リリィの呟きが、木霊する。





「僕は旅をしたいだけなんですけど……仕方がないですね」
モトラドに乗り、旅を続ける少女、銃の腕は超一流 キノ



「えっと、戦わないといけないんだったら……戦います」
魔法少女、時空管理局の白い悪魔? 高町 なのは



「何故私はここにいるんでしょうか……」
オンカミヤムカイ、翼を持った博愛の女性 ウルトリィ


「ふん、例え化け物だろうと私をその名で呼んだからには必ずぶち殺してやるよ」
稀代の人形師、神をも欺く造形を持つ魔術師 青崎 橙子



「なるほど、どこの時代でも戦は絶えないのだな」
弓の腕は天下一品、百発百中の武 那須 与一





「後衛も5人……戦力的にはちょうどじゃないですか」
苦笑いを浮かべつつ、ベリオはそういった。



幾多の時代、場所から呼ばれし強き者達。
それは誰かの意図なのか、誰にもその真意はわからない。
ただ、彼らは進む……
戦いの日々が明ける事を、願って。



SAVIOR WAR





明けよ、戦いの日々







参戦作品(順不同)
FAKE
Fate/stay night
うたわれるもの
キノの旅
つよきす
とらいあんぐるハート2
とらいあんぐるハート3
はやて×ブレード
空の境界
灼眼のシャナ
少女義経伝
月姫
東方シリーズ
魔法少女リリカルなのは
魔法先生ネギま!







いやいや、もの凄い数のクロス。

美姫 「本当に凄いわね」

フィーア 「浩さんのクロスの最高数は?」

えっと、三つか四つかと。
ちょい役とかも一と数えると増えたりするけど…。

美姫&フィーア 「それは却下♪」

じゃあ、前にネタとしてやった四つが最高かな。

フィーア 「ほうほう」

美姫 「まあ、それはそれとして、次はアンタのネタを」

フィーア 「お送りくりくり〜」

って、もうちょいトークさせろよ!

美姫 「問答無用!」

フィーア 「という訳で…」

美姫&フィーア 「再びCM〜」







静かにただただ桜が舞う。
吐く息が白く色づくというのに、桜はその美しい桜色の花びらをヒラヒラと舞わす。
今の季節は冬だというのに、お構いなしに…。
いや、冬なのにと言うよりも、冬にもだろう。
何せ、この島では一年中絶える事無く桜は咲き誇っているのだから。
そう、ここ初音島ではそれは当たり前の景色。
十数年前に枯れたはずの『枯れない桜』が十数年前に再び咲き始めてからは。



「それにしても、季節感がないよな」

「まあ、それが初音島の名物『枯れない桜』だしね」

「や、今更そんな事を言われても」

「いい加減、慣れたらどうだ」

少年の言葉に返って来る三つの声。
少し前を歩く二人の少女は振り返りながら、
横を歩く少年と同じぐらいの年の少年はそのまま顔を横へと向けて。

「そうは言うけれど、恭也も可笑しいと思わないのか?」

「まあ、最初の頃は風情がないとも思ったが、これはこれで慣れれば乙なものだぞ」

「そうそう。それに、兄さん。
 毎日がこうなんだから、こっちが日常なんだよ」

「まあ、分からなくもないんだが…」

「まあまあ、二人ともあんまり弟くんを苛めたら駄目だよ」

「や、別に苛めてませんから」

「そうだぞ、音姫。人聞きの悪い」

この中で一番の年長と思われる音姫の言葉に、恭也と音姫の妹、由夢がすかさず言い返す。
そのやり取りを眺めながら、残るもう一人、
桜内義之はもう一度満開の花を咲かせる桜へと視線を向けるのだった。



「おはよう、義之、恭也」

教室に入るなり挨拶をしてくるクラスメート、雪村杏に二人も挨拶を返すと席に鞄を置く。

「所で、聞いた?」

「いきなりだな。で、聞いたってのは何を?」

「義之くん、知らないの〜」

杏との会話に割り込んできたのは、杏の親友で花咲茜だった。
それに対して義之は少し憮然と言い返す。

「だから、今来たばっかりで何の話をしていたのかもしらんのに、どう返事しろと」

「ふっ、駄目ね。恭也は?」

杏は鼻で笑うと恭也へと顔を向ける。
しかし、恭也もまた何の事を言っているのか分からず、ただ首を横へと振る。

「もう、ダメダメだね、二人とも」

何故か出来ない子を諭すかのように、人差し指を立てて言ってくる茜に釈然としないものを感じつつ、
二人は話の続きを促す。

「学食に新メニューが出るらしいの」

「ほう」

「それはいい事だな。同じ物ばっかりだと流石に飽きるしな」

他の学校に比べて豊富なメニューを誇るとは言え、
それでも毎日のように食べていればマンネリするものである。

「出来れば安いのが良いな」

「義之の言う通りだな」

二人はうんうん頷きながら、何が加わったのか杏へと尋ねる。
が、返ってきた答えは。

「知らないわ」

「おいおい。茜は知っているのか?」

半ばあきれつつ、視線を隣へと移せば、舌をチョロリと出して片目を瞑る茜の姿が。

「ごめんね〜、私も知らないの。
 二人なら知っているかなと思って聞こうとしてたんだもん」

「だったら、俺たちと変わらないじゃないか」

茜の言葉に呆れたように言った義之に、茜はプンプンとわざわざ口で言って怒って見せる。

「それは違うよ〜。だって、私や杏ちゃんはちゃんと新メニューが加わるって事は知ってたもの」

「そう言うのを五十歩百歩って言うんだぞ、茜」

「恭也まで苛める〜」

「人聞きの悪い事を言うな。いつ苛めた」

「うぅぅ、あの日熱く燃え上がったのは嘘だったのね」

「ああ茜、可哀想に。こんなに傷付いて。
 だからあれほど忠告したのに。恭也は飽きたら捨てるような鬼畜だって」

「うぅぅ。でも、あの一時は本物だったと信じてるぅぅ」

「よしよし」

「いや、お前ら冗談にも程があるだろう。
 幾ら間に受ける奴はいないとは言え、その冗談は……って、義之、何故離れる。
 そして、何故汚物を見るような目で俺を見る」

「あははは、冗談だって、冗談。
 ほら、杏も茜もそれぐらいにしておかないと恭也が本当に怒るぞ」

「そうだね〜。冗談はこの辺にしておこっか。ほら、恭也も拗ねないで〜。
 お詫びに、ひっついてあげるから〜」

言って恭也の腕を取り、そのまま組もうとするがそれを恭也は止める。

「いや、拗ねてないから」

「むー、そこまで嫌がらなくても良いじゃない。
 流石にショックかも…」

「いや、別に嫌とかじゃなくて」

「なるほど、恭也は私のような胸の方が良いのね」

「ああ、ああ、恭也は杏ちゃんみたいなのがタイプか。
 なら、仕方ないね」

「じゃあ、私が…」

言って今度は杏が腕に絡み付いてこようとして躱される。

「あら、私もお気に召さないの?」

「うーん、となると小恋?」

「え、え、ええぇっ! な、何で私!?」

今まで話の外にいた筈の三人目の少女が、いきなり自分の名前を呼ばれて慌てる。
それをニヤニヤした笑いで見ながら、アカネは続ける。

「残念だけれど、小恋は予約済みなのよね〜」

「ちょ、茜。勝手な事を言わないでよ!
 予約って何?」

「何って、ねぇ〜」

「ええ。言ってもいいのかしら? 誰かさん限定だって」

「あ、あうぅぅ」

杏と茜の二人にからかわれて真っ赤になる小恋を見かねたのか、義之が助け舟を出す。

「ほら、二人とも小恋まで巻き込んでるんじゃない」

「そうだったわ」

「えー、私は別にからかってないのに〜。まあ、今は恭也の話だから良いけどね〜。
 で、結局、恭也は私と杏ちゃんの二人一緒が良いって事ね。もう、この欲張りさんめ〜」

「勝手に話を進めて、勝手に決めつけた上で、
 その仕方がないなって分かったような目で見るのは止めてくれ」

疲れたように肩を落とす恭也の隙を付き、二人は恭也の腕に絡みつく。

「って、お前らっ!?」

「またまた、嬉しいくせに〜。なに? もっときつく抱きついて欲しいの?」

「あら、そんな朝から?」

「……義之」

どんな反応を見せてもからかわれると悟った恭也は、一番無難な選択、義之へと助けを求める。
案の定、それを見た二人はつまらないとばかりに腕をあっさりと離す。

「ぶー、つまんないな〜」

「本当に面白くないわね」

「面白くなくて結構。俺はお前たちの玩具じゃないんだからな」

「……またまた〜」

「いや、意味が分からんぞ茜」

「って、それよりも学食の新メニューって何なんだ?
 小恋は知ってるか?」

「え、私? ごめんね、私も知らないよ。新メニューが出来るっていうのも、今知ったぐらいだし」

「ふーん。まあ、昼になれば分かるか」

そう言って納得し掛けた義之のすぐ後ろに一人の男が現れる。

「あまーい! 甘いぞ、桜内!
 そんな考えでは、ただ踊らされるだけの民衆と化してしまうぞ」

「朝っぱらから元気だな、杉並」

義之は驚きつつも、何処かうんざりとした顔で後ろへと振り返る。

「で、何の用だ?」

「何、我が相棒が困っているみたいだったからな。少し助けてやろうと」

「誰が相棒だ、誰が」

義之の突っ込みをさらりと聞き流し、杉並は不適な笑みを見せる。

「先ほどから話題にしている学食の新メニューだが…」

「何か知っているのか?」

「ああ、高町。我が、非公式新聞部にかかればこの程度のこと」

言って杉並がその内容を口にする。
何故か思わず全員が注目する中、

「おはっよー。って、皆して何してるんだ?」

新たに現れた人物によって、その雰囲気が壊される。

「あー、おはよー板橋君。もう本当に空気を読まないね〜」

「おはよ、板橋。そして、さようなら」

「渉、タイミング悪すぎだよ」

それぞれの苗字を取って、雪月花三人娘と呼ばれている三人からいきなりそう言われ、
渉と呼ばれた少年は訳も分からずに悲しそうに恭也たちを見る。
しかし、恭也たちも同じように肩を竦め、

「板橋、間が悪かったな」

「渉、お前もう少し遅く来いよな」

「板橋、タイミングというものは大事だぞ」

「う、うわぁ〜ん、お前たちまでっ! 何で、どうして、僕が何をしたっていうの〜!?」

叫ぶ渉を醒めた眼差しで六人が見詰める。
徐々に小さくなっていく渉を、流石に哀れに思ったのか小恋が話を戻す事にする。

「え、えっと、それで杉並くん」

「うむ、仕方あるまい。仕切りなおしといくか」

言って杉並が口を開いたのと同時に、チャイムが鳴り響く。

「……まあ、仕方ないな」

恭也のこの言葉に、全員が席へと戻って行く。
そんな中、渉だけは肩を落として立ち尽くしていた。

「俺、何もしてないよね……」

その呟きに答えるものは誰もおらず、渉が正気に戻るのは担任が教室へとやって来てからだった。
しかも、呆然と立ち尽くしている間に、
担任から無情にもそんなに立ちたければ廊下に立たせてやるというお言葉を頂く事となるのだった。

ダ・ハート







う、うーん。

美姫 「いや、休んでないで手を動かしなさい」

フィーア 「そうだ、そうだ〜」

いや、少しぐらいは休憩を…。

フィーア 「休憩なんて、早いわ! あなた、何様のつもりよ!」

美姫 「フィーアの言う通りよ! あ、私たちはそろそろ休憩にしようかしら」

休憩だと!? 何様のつも…。

フィーア 「美姫お姉さまよ!」

美姫 「美姫さまよ!」

……………………はい?

フィーア 「何、また同じ事を言わせる気なの。
      まあ、良いわ。その耳の穴をよくかっぽじいてお聞きなさい!」

美姫 「美姫さまよ!」

フィーア 「きゃぁ〜、かっこいいです〜」

美姫 「うふふ」

…………えっと。いや、もう言うだけ無駄だとはね、ええ、分かってるんですよ。
そりゃあ、もう嫌ってぐらいにね。

フィーア 「だったら、言わないの」

美姫 「そうそう。言う暇があれば、きりきり働きなさい!」

フィーア 「働け〜」

シクシク。頑張ってますよ。

美姫 「努力が見えないのよ」

フィーア 「そうそう。そこは根性で、一日に百本書くとか」

無理じゃ!

美姫 「よし、挑戦よ!」

いやいやいや。

フィーア 「つべこべ言わないの! お姉さまがやれと言っているんだから、黙って従いなさい!」

な、なしてこんな目に……(涙)

美姫 「ほらほら、手が止まってるわよ」

フィーア 「さっさと動かしなさい!」

美姫 「フィーア、鞭ばかりじゃなくて飴も上手く使うのよ」

フィーア 「はい、分かってます」

うぅぅ、美姫が二人いるみたい。
いや、まだ美姫よりはましかも…。

フィーア 「何か言った?」

何も言ってません!

フィーア 「全くもう」

美姫 「って、あれ? 大変よフィーア。もうCM終わってるわ」

フィーア 「そ、それは大変です」

美姫 「うぅぅ、浩ったら酷いわ」

フィーア 「本当です、横暴です。お姉さまが可哀想…」

美姫 「良いのよ、フィーア。私は耐えるわ」

フィーア 「ああ、お姉さま〜」

いや、お前らそれ無理あり過ぎ。
普段のキャラからも遠く離れてるし、誰が騙される……ぶべらっ!

美姫 「全く、いちいちうるさいわね」

フィーア 「本当に口は災いの元っていうのを勉強しませんね」

美姫 「まあ、浩だしね」

フィーア 「ですね」

いや、そこですんなり頷かないで(涙)

フィーア 「いえ、事実ですし」

美姫 「さて、バカな事をやっている間に時間がなくなってしまったわ」

いや、やってたのはどちらかというと、君たちふた……。
いえ、私が悪かったです。

フィーア 「それじゃあ、今週はここまですかね」

美姫 「そうね」

うぅぅ。

美姫 「ほら、さっさと締めるわよ」

分かったよ、それじゃあ…。

美姫&フィーア 「また来週〜」


7月21日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるわよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーよりお送り致しております>



雨、雨、雨。
よく降るな〜。

美姫 「確かに今週は雨が多かったわね」

だろう。雨が降ると外に出たくなくなるよね。

美姫 「ほうほう。つまり、それだけ部屋に居る時間も増えると。
    ということは、当然いつもよりもSSの数が」

んな訳ないって。

美姫 「分かっているけれど、そうはっきり言われると、無性に腹ただしくなるのは何故かしら」

おいおい…(汗)

美姫 「まあ、あんまりアップされてないのを見れば、一目瞭然だけどね」

言わないでー。

美姫 「で、例によってどうなってるのよ」

えっと、先週報告したのから変化があったのは…。
DUELが次章二割ぐらい。
リリカルが三割って所か。後は変化なし。

美姫 「最近、その二つが主よね」

……だな。まあ、合間にちょろちょろと違うのが入ってくるけれど。
その合間に入れる奴で、長編になりそうなのが幾つか。

美姫 「これ以上、増やさないでよ」

いや、俺も分かっているからこそ、書いてないだろう。
だけど、そういうのに限ってスラスラとネタが浮かぶのは何故だろうな。

美姫 「知らないわよ、そんなの」

うっ、そんな冷たくしなくても…。

美姫 「さーて、それじゃあ恒例のCMよ〜」

最早、無視するのも恒例かよ…。







学園へと続く道を歩きながら、恭也は少し眠そうに欠伸を洩らす。
昨日で夏休みが終わり、今日から新学期とあってか少し身体がだるい。
睡眠不足の原因は、昨夜遅くまでやっていた夏休みの宿題のせいだが。
思わず欠伸を洩らした恭也を、丁度、角で顔を合わせた二人の少女が見ていた。
そっくりと言うほどではないが、姉妹だと思わせるぐらいに似た顔立ちの少女。
一人はやや癖のあるショートヘアをリボンでカチューシャのようにしてまとめ、
その愛らしいたれ目を眠そうに細めている。
まだ休みボケが抜けきっていないと分かる。
それとは対照的に、その隣に立つ少女はツリ目がちな瞳もはっきりと、背筋もしゃんと伸ばしている。
ツインテールにした髪の先が僅かに揺れるのを眺めながら、その顔なじみの姉妹へと恭也は挨拶をする。

「おはよう、つかさ、かがみ」

「おはよ〜、恭くん」

「おはよう、恭也。あんたも眠そうね」

「まあ、ちょっと昨日遅くまで起きてたからな」

「どうせ、宿題でもやってたんでしょう」

「分かるか」

「まあね。でも、あれからちゃんと自分でやったってのは褒めてあげるわよ」

言って隣で同じように欠伸を噛み殺す妹、つかさを見る。
つかさはその視線に、自分が姉のを写したという事実を指摘されているようになり、
事実、かがみの目はそう言っているのだが、気まずそうに、その短い髪をまとめるリボンを調節する振りをして、
その視線から逃れる。
そんなつかさに、かがみはやれやれとばかりに肩を竦めるのだった。
柊姉妹と共に歩いていくと、途中でこれまた眠そうな少女と出会う。
この少女も顔見知りで、和泉こなたと言う。
恭也たちと同い年なのだが、その外見は何処か幼く、
ロングヘアを体と一緒に左右にフラフラと揺らしながら歩いてくる。

「はよー」

「おはよう、こなた。しかし、眠そうだな」

「まあね。今RPGやっててがここ三日ほどちゃんと寝てな…ふぁぁぁ〜」

話している途中に欠伸をするこなたに、またかと三人は顔を見合わせて苦笑する。
その間もこなたは、休みの終わりに発売するのは、とかブツブツと文句を言っているが。
かがみが少し呆れたようにこなたへと言う。

「ったく、それにしても今日から学校なんだから限度があるでしょうに。
 で、この三日でどれぐらい起きてたのよ」

「?? ずっとだよ。さっき、寝てないって言ったじゃない?」

とても不思議そうに、逆に何を言っているんだとばかりに首を傾げて言うこなたに、
かがみと恭也が驚く。

「寝てないって、本当に一睡もしてないのか」

「あ、あんたバカ?」

「あはははは」

つかさは何も言えず、ただ笑うだけだった。



学校へと付いた四人は、それぞれの教室へと向かう。
学年が一緒なので、教室に着くまでは一緒だが。
その途中、廊下で眼鏡をかけたロングヘアのほわほわした感じの少女と出会い、揃って挨拶する。

「あ、皆さん、おはようございます」

「みゆきさん、早いね」

「はい。今日は日直だったので」

こなたの言葉にそう答えると、今水を入れ替えてきたばかりの花瓶を少しだけ持ち上げる。
妹と同じ名前ながら、全く雰囲気から何まで違う少女の生真面目さに小さく笑みを浮かべつつ、
恭也は歩き出す。
それにつられるように、他の者も歩き出す。

「それにしても、まだまだ暑いな」

「それはそうよ。まだ9月に入ったばかりなんだし」

言って滲む額の汗を拭う恭也に、かがみは苦笑しながら返す。
そのやり取りを見ていたこなたが、面白くなさそうに指を顔の前で二、三度振る。

「分かってないな、かがみは。
 そこは、これで拭きなさいよね、と言いながら怒ったようにハンカチを差し出さなきゃ。
 その後、礼は良いわよ。ただ横でそんな事をされると迷惑なの、とか言って、
 後で胸を押さえて素直になれない自分を反省しないと」

「いや、そんなアンタの脳内妄想を私に強要されても…」

いつの間にか楽しそうに語り出したこなたへと、かがみが突っ込む。
そんないつものやり取りを恭也たちはただ小さく笑ってみている。
と、こなたはチェシャ猫のように笑うと、そっとこなたに近づいて他の者には聞こえないように呟く。

「ほうほう。それじゃあ、かがみは全く興味がないと」

「うっ、な、何よその笑みは…」

「べっつにぃぃ」

言いつつもニヤニヤと笑うこなたに手を出しそうになり、何とかそれを堪える。
だが、こなたは止める事無く追撃をする。

「縁日、花火、二人きり〜。あの時、恭也と二人で何処に行ってたのかな〜」

「あ、あれはあんたたちが先に行ったから、はぐれちゃったんでしょうが」

「いやいや、あれは気を利かせてあげたんだよ〜。
 はぁぁ、なのに何も進展してないなんて…」

がっかりだとばかりに肩を竦めるこなたに、かがみは顔を赤くしつつ誤魔化すように早口で捲くし立てる。

「な、何を言ってるのか分からないけれど、誤魔化すんじゃないわよ。
 どうせ、あんたがあちこちの屋台に夢中になって、さっさと行ったんでしょうが」

「うっ」

図星だったのか、今度はこなたが押し黙る。
それを見て勝ち誇るかがみへ、こなたが口をへの字にして呟く。

「でも、いいチャンスだったのは本当なのに。
 あーあ、折角のフラグが立たなかったね」

「いや、意味分からないから」

そんな二人だけのやり取りをしていたかがみに、恭也が声を掛ける。
いきなり声を掛けられて、僅かに声を上擦らせながらも振り替えあると、恭也がある教室の扉を指差していた。

「俺たちのクラスはここだぞ?
 こなたたちのクラスに行くにしても、鞄を置いてからの方が良いだろう」

「あ、そ、そうね。それじゃあ、またね。
 つかさ、ちゃんと勉強しなさいよ」

そう妹へと言葉を投げると、かがみは教室へと入っていく。
その後に恭也も続き、つかさとみゆきは何故か慌てた様子を見せるかがみに首を捻る。
一人、こなただけが二人の消えた扉を見詰めたまま、ニヤニヤと笑っていた。



この物語はそんな彼、彼女らが繰り広げる、日常のドタバタコメディー(?)である。
とら☆すた







うーん、体がだるい。

美姫 「夏風邪ね」

いや、違うから。
単にだるいだけ〜。

美姫 「ただの怠け癖か」

そうともゆ〜。

美姫 「だらけてないで、シャンとしなさいよ!」

シャ〜ン〜。

美姫 「……偶に思うんだけれどね」

な〜に〜。

美姫 「あんた、わざと私を怒らせようとしてない?」

それはない!

美姫 「いや、急にしゃんとされても」

当たり前だろう! ここでだらけて返事してみろ。
結果は火を見るよりも明らかだろう。

美姫 「因みに、既に遅いっていうのも明らかだと思わないの?」

あ、あははは〜。美姫さま〜。

美姫 「ちょっ、やめなさい! この!」

ぶべらぁぁっ!

美姫 「ったく、このバカは」

うぅぅ、酷いよ美姫。

美姫 「自業自得ね」

うぅっ。

美姫 「ほら、そんな事より…」

そんな事で済ますのか、お前は?

美姫 「良いから、さっさと書きなさいよね!」

ふぁ〜い。

美姫 「ちゃんと返事!」

はいっ!

美姫 「よろしい。それじゃあ、今週はここまでにしておきましょうか」

おうっ!

美姫 「それじゃあ、また来週〜」

ではではっ!

美姫 「いや、そこはそこまで力まなくても良いから…」


7月14日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はじまるわよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーの所有権を奪い取ってお送りしています>



あっつ〜。
だっる〜。しんど〜。

美姫 「もう、うるさいわね。分かっている事を言われると、余計に暑くなるじゃない」

だって〜。
お前も知っての通り、俺は本当に暑いのは駄目なんだよ〜。
冬が、冬が待ち遠しい。

美姫 「さ、先の長い話ね。でも、夏には夏の楽しみがあるじゃない」

ガンガンにクーラーのきいた部屋でだらだらと寝る事だな!

美姫 「違うわよ! 何よ、そのだらけた生活は!」

何を言う! 立派な事じゃないか!

美姫 「何か間違ってるわ」

どうでもいい〜。あっつ〜。

美姫 「いや、本当にだらけ過ぎね」

だってよ〜。はぁ〜。

美姫 「ほら、ダラダラしてないで、きりきりしなさい」

む〜。あ〜。

美姫 「さっさと動いた方が身のためよ?
    暑さを感じられる方がまだ良いでしょう?
    それとも、何も感じないようになりたい?」

頑張るであります!

美姫 「分かれば良いのよ。で、どんな感じなの?」

まあ、相も変わらずって所かな。
何か早く書ける方法がないもんか。

美姫 「手が遅すぎるのよ、アンタ」

仕方なかべ〜。

美姫 「いや、どこの言葉よ」

まあ、冗談は兎も角、本当に仕方ないだろう。

美姫 「へいへい。夏は更にペースダウンするからね、アンタ」

あははは、褒めるなよ〜。

美姫 「全く、全然、これっぽっちも褒めてないからね」

まあ、何はともあれ頑張るってことで。

美姫 「本当に頑張ってよ」

へいへい。

美姫 「さて、それじゃあ…」

今週も元気にいってみよう!

美姫 「CMよ〜」







「瑞穂の護衛をする事は確かに引き受けた。
 だが……」

そこまで呟いて恭也は、自分の身体を見下ろす。
黒を基調として、非常に動きやすいの格好はどちらかと言えば恭也の好みである。
ただ、それを見た殆どの者が、執事という言葉を連想しない限りは。

「で、俺は学生として転入するはずですよね、楓さん」

恭也は疲れた顔を見せながらも、瑞穂の隣に立つメイドの楓へと質問を投げかける。
それに対し、瑞穂はすまなさそうに笑い、楓は平然としたまま答える。

「はい、その通りです。先ほど説明した通り、瑞穂様は現在遺言にしたがって女性として学院に通われています。
 それ故に、護衛として付けれる者が限られてしまうのです」

「それはさっき聞きました。それで、昔からの知り合いである俺が呼ばれたということも。
 ですが、それとこの格好にどう関係が?」

「瑞穂様が通われている、そして、これから恭也さんが通うことになる白皇学院は執事も通うことが出来るのです。
 ですから、恭也さんには瑞穂様の執事として通っていただきます。
 そうすれば、必然と瑞穂様の傍に居ても可笑しく思われませんから」

「そういう事ですか」

楓の説明にようやく納得した恭也は、改めて着ている服を確認する。
恭也の父である士郎が、瑞穂の護衛をしていた事もある所為か、内側には色々と仕掛けがあるようだった。
おまけに、軽く本当に動きやすい。

「これは凄いな」

思わず感嘆の声を洩らす恭也に、楓は一つ笑って見せるのだった。



「何をしている、ハヤテ。さっさと来ないか」

「お嬢さま、待ってくださいよ。
 でも、どうしたんですか、今日に限ってそんなに学校に行きたがるなんて」

「別に何でもない」

「いや、別に僕としては嬉しいですけれど」

すぐにサボろうとするナギが自分から率先して学院へと向かう姿に、
ハヤテと呼ばれた執事姿の少年は嬉しそうに顔を綻ばせる。
しかし、ナギは途中で足を止めるとその場に落ち着きなく佇む。

「どうかしたんですか、お嬢さま? 早く教室に行きましょうよ」

「いや、もう少しここで」

何故かモジモジとしながら、今来た方を見詰めるナギに、ハヤテはすぐに何かを察する。
そして、両手をそっと差し出す。
その手をナギは不思議そうに見遣ると、ハヤテがこっそりと耳元で囁く。
僅かに赤くなるナギだったが、すぐにその顔が怒りへと変わる。
何故なら…。

「お嬢さま、トイレでしたら早く言ってきてください。
 鞄は僕が持ってま……ぶはぁっ!」

鞄の角で頭の頂を殴られて悶えるハヤテに、別の意味で顔を赤くしてナギは睨みつける。

「違うわっ! 私はただ、瑞穂お姉さまの新しい執事がどんな奴なのか見ようとだな……あっ」

言ってからしまったという顔になるナギだったが、ハヤテはその言葉に納得したように頷く。
エルダーとして全校生から姉として慕われる瑞穂。
その瑞穂に今日から一緒に執事が登校してくるという噂が先週から出ていた。
瑞穂に妹のように可愛がられ、
またメイドのマリアとはまた違う意味で姉として慕っている瑞穂の傍にいる執事。
それがどんなのか気になったのだろう。
下手をしたら、その執事に難癖をつけるかもしれないとハヤテは用心するよう心がけながら、
ナギと同じように、瑞穂が来るのを待つのだった。
やがて、待っている二人の前に見慣れた一人の上級生と、見知らぬ顔の執事の姿をした男性が歩いてくる。

「あれか…。ふん、外見はまあまあだな。
 一応、落第点をやろう。だが、瑞穂お姉さまに比べれば…」

「……あれ? うーん」

ブツブツと呟くナギに対し、ハヤテは少し考え込む素振りを見せる。
ナギは執事を見て満足したのか、それとも自分から話し掛けたくはないのか、
はたまた単に恥ずかしいだけなのか、兎に角、もう用は済んだとばかりに気付かれる前に立ち去ろうとする。
しかし、ハヤテはじっと瑞穂たちの方を見詰める。

「何をしておるハヤテ。さっさと行くぞ」

「あ、はい。でも、あっちの人どこかで…」

そんなやり取りをしている間に、瑞穂がナギに気付いたらしく笑いかけながら近づいてくる。
そうなると、ナギも立ち去るわけにいかずにその場で瑞穂を待つ。

「おはよう、ナギちゃん、ハヤテくん」

「あ、ああ。おはよう瑞穂お姉さま」

「おはようございます」

それぞれに挨拶を済ませると、瑞穂は恭也を紹介し、恭也へとナギたちを紹介する。
ハヤテを紹介した所で、恭也とハヤテは親しそうに話し始める。

「やっぱり恭也さんでしたか」

「ハヤテか。元気そうだな」

「はい、お陰さまで」

「なに恭也、知り合いなの?」

「ハヤテ、お主知っておるのか?」

共に自分たちの執事へと同じ質問をする二人に、恭也とハヤテは頷いてみせる。

「ああ。昔、ちょっとな」

「ちょっとじゃないですよ。
 恭也さんのお陰で命拾いしましたし、その後、働き口まで世話してもらって。
 本当に助かりましたよ」

「気にするな。困ったときはお互い様だろう。俺もお前には助けられたしな」

「ははは。
 それにしても、あのバイトの帰りに行き成り銃撃戦に巻き込まれた時はどうなるかと思いましたね〜」

「全くだ。勘違いだと説明しているのに、全く人の話を聞かない連中だったな」

「まあ、荷物は無事だったからよかったですけどね」

「いや、本当にあの時は危なかったな」

そう言って笑い合う二人を見て、瑞穂は引き攣った笑みを見せる。

「えっと、何のバイトをしていたのかは聞かないでおくわ。
 それよりも、ナギちゃんどうしたのこんな所で?」

「べ、別に何でもない。今から教室に行く所だったんだ」

「そうなの。じゃあ、途中までだけれど一緒に行きましょうか」

「ああ。ハヤテ、行くぞ」

「はい、お嬢さま」

「恭也さん、私たちも」

「ああ、分かっ…分かりました」

咄嗟に言葉遣いを直して横に並ぶ恭也を見て、瑞穂は少し可笑しそうに笑う。
それに憮然としながらも何も言わずに歩き始める。
こうして四人はそれぞれの教室までの短い距離を楽しく話しながら歩くのだった。

疾風のごとく乙女は剣士に恋をして プロローグ 「懐かしい二人の出会い」

それは、舞い散る雪の如く淡い恋の物語の始まり…







という訳で、三つのクロスだな、今回のネタは。

美姫 「ネタとしては、既に過去に使った作品ね」

だな。何となく思いついた話だ。

美姫 「それにしても、最近たるんでるわね」

またそれか。仕方ないじゃないか、暑いんだから。

美姫 「そればっかりね」

事実だからな。

美姫 「私としては、夏バテや暑さなんかに負けるか!
    って感じで、一気に十本ぐらいドドンと書いて欲しいわね」

いや無理だろう、それ。

美姫 「やって見ないと分からないわよ?」

やらなくても分かる事って、世の中にはあるよね。

美姫 「それとこれは別よ」

いやいや、同じだろう。

美姫 「違うわよ」

同じ! って、このままだと埒が明かないんだけれどね。

美姫 「まあね。ここにもう一人居れば話は別だけれどね」

いや、もう一人いた時点でお前の意見に賛成するだろうよ。
お前が何もしなくてもお前の意見に賛成するか、お前の暴力に屈して賛成するかのどっちかじゃないか。
俺の記憶にある限り、俺の味方が来た覚えはないぞ?

美姫 「ファミリアが居たじゃない」

ああ、確かに。彼女なら平等だな。

美姫 「でしょう」

だが、この場合は関係ないだろう。
ともあれ、暑い。

美姫 「いや、そこに話を戻すの?」

いや、別に戻した訳でもないんだがな」

美姫 「まあ、どっちにしてもちゃんと書いてくれれば良いんだけれどね、私としては」

ま、まあ、頑張ってはいるぞ、うん。

美姫 「なんでそこで目をそらすかな〜」

あ、あははは…。じょ、条件反射という奴だな、うん。

美姫 「変わった条件反射ね」

いや、本当に。

美姫 「クスクス。後でお仕置きが必要ね」

……じー。
ほら、こんなにも真っ直ぐにお前を見詰めているじゃないか。

美姫 「はぁぁ。バカにつける薬が欲しいわ」

いや、普通の薬だってバカにつけれるぞ。

美姫 「それは、バカにもつけれる薬ね。それと、私が欲しいのはバカに効く薬って意味だから」

だったら、そう言えよな。

美姫 「ほほーう。私が悪いと」

い、いや、そんな事は全然言ってませんよ、うん。

美姫 「ふんふん、つまり後でお仕置きされたいと」

いやいやいや、そんな事も言ってないから!

美姫 「じゃあ、今ここで酷い目見る?」

……どっちも嫌です(涙)

美姫 「却下よ」

ああうあう。
ご勘弁を〜。

美姫 「はぁ、まあ偶には許してあげるわ」

お、おおっ!

美姫 「その代わり、キリキリと働くのよ!」

へへ〜。……って、お仕置きされている方がましだったりしないだろうな。

美姫 「何か言った?」

いやいや、何も!

美姫 「そう、なら良いわ。それじゃあ…」

今週はこの辺で。

美姫 「また来週ね〜♪」

ではでは。


7月7日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はじまるわよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーよりお送りしています>



何と、今日は七夕!

美姫 「あら、本当ね」

ささのは〜、ささらは生徒会長〜♪

美姫 「いや、違うからそれ」

恭也が副会長〜♪
金銀財宝〜♪

美姫 「いや、もう滅茶苦茶ね」

うーん、いい歌だと思うんだが。

フィーア 「む〜」

で、何を拗ねているんだフィーア。

フィーア 「む〜。酷いですよお姉さま。私じゃなくて、浩をかまうなんて」

美姫 「ごめんね。でも、別に放っておいた訳じゃないのよ」

いや、それ以前に俺はかまってもらってはいけないのか…。

フィーア 「煩いわね」

うわっ! ひでー言われようだな、おい。
折角、七夕らしい入り方をしたのに。

フィーア 「どこがよっ!」

まあ、細かい差異は置いておいて…。

美姫 「細かくはないけれどね」

ともあれ、七夕か。

美姫 「笹に願い事を吊るすって奴ね」

ああ。思い返せば、幼稚園でそんなイベントをやったような気がするな。

美姫 「よく覚えてるわね」

つまらない事ほど覚えてるもんだよ。

フィーア 「アンタの人生とか?」

そうそう。ってほっとけ!

美姫 「浩の人生は素晴らしいわよね。何せ…」

どうせ、お前がいるからとか言うんだろう。

フィーア 「浩の分際で、お姉さまの言葉を取るな!」

ぶべらっ! さ、最近、殴られる頻度が増えてないか、俺。

美姫 「それだけ、無駄口が多いのよ」

失礼な。にしても、願い事か。もしも叶うなら……。

美姫 「そうね〜。やっぱり世界を統べる力よね」

おいおい。

フィーア 「さすがお姉さま」

いや、そこ誉めるところ違う!

美姫 「冗談にきまってるでしょう」

フィーア 「まったく、これだから困るのよ」

あー、フィーア。君も段々、俺に容赦がなくなっている気がするんだが…。

フィーア 「気のせいでしょう」

美姫 「そうそう」

そ、そうだよな。あはははは。

フィーア 「それはそうと、浩さんの方の進み具合はどうなんですか」

今度はさん付けか。一体、どこで線引きがされているんだろう?

フィーア 「勿論、おだてたり誤魔化したりする時はさん付けよ♪」

美姫 「言ったら意味ないわよ」

フィーア 「はっ! 浩のくせに誘導尋問なんて高等テクニックを使うなんてー!」

ぶべらっ! い、今、俺何もしてないよね、ね。

美姫 「さあ? それよりもどうなのよ。実際、SSの方は」

うーん、どうなんだろうか。
って、物騒なもんは仕舞えよ。
とりあえず、リリカルやDUELをちょろちょろとやりつつ、極上をちょこちょこと…。
で、天星ととらハ学園って感じだな。
まあ、出来上がる順番は分からんが。

美姫 「全部、微妙な感じね」

だな。しかも、今無性におとボクが書きたくなってたりな。

美姫 「それは却下」

ぐっ。分かってらいっ!

美姫 「まあ、何でもいいから書き上げてよね」

へいへい。

フィーア 「お姉さまに対して、何よその気のない返事は!」

ぶがらばおぇっ!
……い、今のどこか悪かったのか?

美姫 「さあ?」

フィーア 「あ、そうそう。これ、お土産です〜」

えーと、何か血がついてるんですけれど…。

フィーア 「気のせいよ♪」

しかも、その血が文字っぽく見えるんですが。血文字?

フィーア 「だから、気のせいだってば♪」

犯人は目の前って、書いてるんだが。
これって、ダイイングメッセージってやつか?
だとすると、被害者はアハ……。

フィーア 「だ・か・ら〜。気のせいだって、ばっ!」

ごばらぁっ!
う、うぅぅ。は、犯人はフィー……。

フィーア 「消し、消し。駄目ですよ〜、浩さん。こんな所に落書きしちゃ〜♪」

美姫 「さて、それじゃあ、ありがたくこのお土産を流しましょう」

フィーア 「ですね。それじゃあ、準備を……。浩さん、さっさとしてくださいね」

うぅぅ。さん付けに戻ったと思ったら、行き成り雑用ですか。
って言うか、もう少し倒れさせてください。

美姫 「すべこべ言わず、さっさとやりなさい!」

イエッサー!

フィーア 「流石、お姉さま」

美姫 「まあね〜」

よし、準備オッケ〜。
それじゃあ…。

美姫&フィーア 「CMよ〜」







絶えし御神・不破の生き残り……3名。
裏世界の幹部達の中で常にこの3人が脅威になっていた。
だが、歴史は……新たな御神の剣士を表舞台に登場させようとしていた。
加速は止まらない……
物語は……もう、動き出してしまったのだから……




「草薙 深幌……永全不動八門一派御神真刀流・二刀剣術亜種・御神草薙流の現継承者です」

御神流を使う新たな青年が、海鳴の地に訪れる。
それは、かつて死んだと思われていた男の息子であった。

「俺達以外に……御神流を使える者がいたとはな……」
「まぁ、驚くの無理ないですよね」
深幌の登場は、新しい戦いの幕開けでもあった。


「フィアッセ・クリステラのコンサートを妨害するために、ある組織が動き出した」
「ある組織……?」
「そうさ……恭也も聞いた事があるだろう……"龍"の名を」

襲い来る"龍"の刺客達……
その中には"龍"最強と噂される10人の存在があった。
彼らの名は……"フォルツァー"

「戻ってきなさい……"テンペスト"アイン」
「嫌だね……俺は、あんな所に戻る気は更々ない」

徐々に明かされていく……深幌の過去。

「御神の剣は、誰かを護るときにその力を発揮する事を、教えてやる!!」
愛する者達を護るため、恭也は、美由希は、剣を取る。

「人殺しの貴様に、何があるというのだっ!!」
「俺には……俺にはっ!!」
剣を走らせながら、深幌は叫ぶ。

「俺にはこの剣と心があるっ!!」





とらいあんぐるハート3〜剣に捧げた誓い〜



「御神流に、負けはない」







アハトさん、ありがとう!(涙)

フィーア 「何で泣いてるんでしょうね」

美姫 「さあ?」

お前らには分からんさ……。

美姫 「そう。分からない事は考えるだけ無駄だしね。さっさと次に行きましょう」

フィーア 「はい!」

…少しぐらいは考えろよ……。

美姫 「さて、次は何かしら」

フィーア 「本来なら、さっきの所で浩さん作のCMだったんですよね」

美姫 「よし、じゃあ、そうしちゃおう」

フィーア 「良いんですか!? さっきCM明けたところですよ」

美姫 「私が良いって言ってるんだから良いのよ」

フィーア 「そうですね♪」

いやいや、そこは否定するべき所だろう、おい。

美姫 「じゃあ、行くわよ」

って、無視するな!

美姫&フィーア 「再びCMです」







宇宙人、未来人、異世界人に超能力者は私の所へ来なさい!
何て事をこいつ、涼宮ハルヒが言ったのは四月の事。
何が悪かったのか、こいつに関わるようになってはや数ヶ月。
いやー、本当に色んなことがあった。
それはもう、俺の苦労が…。
何故、俺だけがこんなに苦労を。
そもそも、こいつの望んだ宇宙人に未来人、超能力者がすぐ傍に居るってのに何で気付かない。
いや、教えたのに信じないんだ。はぁぁ。
まあ、嘆いたところで仕方なく、俺は今日も今日とて習慣と貸したSOS団の部室へと向かって歩いている訳で。
もう本当に習慣となってしまったな。
それでも良いさ。
部室に行けば、我が癒しの先輩のお姿が見えるんだから。
そうこう考えている間に部室へと着いたみたいだな。
ノックをしてから入る。

「あ、キョンくん。丁度、今お茶を入れた所だったんですよ」

そう言って笑いかけてくれるのは、最早このSOS団のマスコットとして定着した感もある朝比奈さん。
ああー、和むな。俺は椅子に腰を降ろすとさっそく出てきたお茶をありがたく頂く。
掃除当番だった俺よりも先に来ていたハルヒは、何やらつまらなさそうな顔で熱いお茶を一気に煽る。
その勢いのまま湯飲みを机へと叩き付けると、徐に立ち上がる。

「やっぱり不思議な出来事は待っていても来ないわ」

また始まったか。ここ最近は大人しかったと思ったんだがな。
俺がやれやれとばかりに首を振ると、目が会ったこの部屋に居るもう一人の男子生徒、小泉のやつと目が合う。
小泉のやつは意味ありげな笑みを浮かべると、じっとこっちを見詰めてきやがる。
悪いが、俺はお前とそんな目と目で分かり合えるような関係じゃないんでね。
小泉から視線を外し、部屋の隅で静かに難しいタイトルのハードカバーを開いている残る団員へと目を向ける。
長門は俺の視線に気付いたのか、一度だけ顔を上げるがすぐに手元の本へと視線を落とす。
朝比奈さんはと見れば、突然のハルヒの言葉に戸惑っているだけ。
はぁー、ここは俺が何かを言わなければいけないって事か。

「で、不思議探しでもまたやるのか」

「そうよ! でも、今までの私の要求は高すぎたのかもしれないと考えたのよね」

高いも何も常識から考えたら…、いや、今の俺にはそんな否定する言葉はでないんだがな。

「何よ、何か言いたいことでもあるの」

いや、ない。
で、要求をどうするんだ?

「それよ! 別に宇宙人や未来人じゃなくてもこの際良いわ!
 ちょっと変わった人ってのはどうよ」

どうよ、と言われてもそんなは意外とたくさんいるぞ。
特に春の深夜の公園とかにな。
温かい季節なのにロングコートを着て、前をしっかりと閉じているような奴がそうだ。

「そんなのはただの変態でしょうが」

どう違うんだと聞きたいところだが、ハルヒの中では違うのだろう。
延々と説教を喰らうつもりもないので、その言葉は胸の奥へとしまい込む。
そんな俺に様子を気にも掛けず、ハルヒはにやりと笑うと待ってなさいよと言って部室を出て行く。
その背中を見送りながら、今度は何をやらかすつもりなのか、急に不安になってきた。

「多分、大きなイベントもなく涼宮さんも退屈しだしたんですね」

「んな呑気な事を言ってて良いのかよ」

「今のところ、閉鎖空間が生まれる気配もないですし、
 彼女の様子を見るに、もう何か考えているみたいですからね」

それから全員が待つ事暫し、ハルヒは部室へと戻ってくる。
一人ではなく、誰かを連れて。

「じゃっじゃーん。お待たせ。新しい団員よ!」

言って満面の笑みを浮かべるハルヒとは対象的に、
連れてこられた人物は訳が分からないという顔で俺たちを見る。
ハルヒの事だから、説明も何もせずに連れてきたのだろうという事は想像に難くない。
そりゃあ、こんな顔にもなるだろうよ。
だが、それ以上に俺は長門たちへと視線を向けて、他の心配をする。
その意図を知り、全員が首を揃って横へと振る。
つまり、三人が知る人物ではないという事か。
って事は、残っているのは地底人か、異世界人って所か。
いやいや、そうそう続けてそんな事が起こるはずは…。

「ありえなくはないですね。もうお忘れですか。
 涼宮さんの力を」

言われなくても分かってるよ。だがな、少しぐらい期待しても良いだろう。

「これはこれはすいません」

本心から謝っているのか怪しい笑みを湛えて謝る小泉は無視し、
未だに事態の飲み込めていない目の前の人へと声を掛けようとして、朝比奈さんが先に声を掛ける。

「えっと、高町恭也さん、でしたよね」

「あれ、みくるちゃん知り合いなの」

「あ、別に直接の知り合いって訳じゃなくてですね」

「ああ、鶴屋さんの友達の…、確か朝比奈さんでしたね」

「ああ、そういう事ね」

二人の言葉から事情を察したハルヒは一人頷く。
いや、それは良い。
それよりも、どうして彼、どうも朝比奈さんと同じ学年らしいから、先輩になるんだったな。
でだ、何でその先輩が団員なんだ?
本人の了承は?

「何でって、何処からどう見ても変な人だからよ。
 私がそう決めたんだからもう立派な団員よ!」

……お前の方が充分に変だ。
どう見ても、先輩は普通の人にしか見えないんだが。
小泉よりも整った顔立ちをして、一年上とは思えないほど落ち着いた雰囲気を醸し出しているが、
間違いなく普通の人だぞ。

「充分変よ。私、この前見たんだもの。
 盆栽の雑誌を手に、猫缶持って裏路地へと入っていくの。
 ねえ、変でしょう」

まず、謝れ。俺はそう言いたいね。
まあ、確かに高校生で盆栽は珍しいかもしれないが、全国を探せば少なからず居る。
まずはその人たちに謝れ。
で、だ。猫缶にしてもちゃんと話を聞けば大した理由なんてないに決まっている。
そう思って先輩へと顔を向けると、俺の言いたい事を汲んでくれたのか、

「どれを見られたのかは分かりませんが、多分、その辺にいた猫にあげたんだと思います」

ほら見ろ。良い人じゃないか。
丁寧な言葉使いといい、物腰といい。お前も少しは見習えと言いたいね。

「それを何度も見てるのよ! 気になって数日間、後を付けてみたら色んな猫に懐かれてるのよ。
 もうびっくりよ」

俺はそれだけの事で何日も尾行したお前に驚きだよ。

「不思議ってのはね、キョン。何処に転がっているのか分からないの。
 日常の中でも常に気を付けないと見逃す事になるの!」

へいへい。で、猫に懐かれているから変なのか。

「だって、この辺の野良たちのボスまで懐いているのよ。
 きっと何かあるのよ! 猫に好かれる匂いを出しているとか」

飛躍のし過ぎだな。誰かハルヒを止めてやれって、俺以外に止める人なんていないんだよな。
先輩も反論した方が良いですよ。
このままだと、団員にされてしまいますよ。

「だから、もう団員なんだって。いいわね!
 えっと、高町くん」

ハルヒ、先輩だぞその人。
ハルヒのそんな態度や物言いに対しても、先輩はただ小さく笑うだけで怒る事はなかった。
どうやら、かなり出来た人みたいだな。
こんな良い人をハルヒの魔の手に掛けるのも忍びなく、仕方なく俺が止めようとしたのだが。

「何かよく分かりませんが、要はクラブ勧誘ですか」

「そうよ! SOS団のね」

「……まあ、偶にはこういうのも良いかもしれませんね。
 良いですよ」

「よっしゃー! ほら、見なさいキョン!」

自慢げに何故か威張るハルヒを余所に、俺は先輩へと尋ねる。
本当に良いんですか。もう後に戻れませんよ。
ハルヒの噂ぐらい聞いた事あるでしょう。
しかし、先輩は小さく頷く。

「良いですよ。丁度、母にも部活をしてみたらどうかとしつこく言われていたので」

ここを普通の部活と思わない方が良いんだが、本人が良いと言っているんだ。
これ以上、俺が言う事もない。
まあ、ここの実態を知ったらどうなるのかは分からんが。
……まあ、後悔するか。
その後、お互いに簡単に自己紹介などをすませた頃、長門が本を閉じる。
それを合図とするように、全員が帰宅の準備を始める。
まあ、俺としてはハルヒの突飛な行動を窘める人が一人増えたと喜んでいたんだ。
帰宅中に話をしてみる限り、もの凄く普通の人だったからな。
現にハルヒは尾行に関しては、もうしないように注意をされていた。
反論するハルヒだったが、もし尾行相手が危ない人だった場合の事を訥々と語られ、渋々ながら納得していた。
これには驚いたね。あのハルヒを言葉で説得するんだから。
だからこそ、俺は自分の苦労が少しは減るんじゃないかって期待したんだ。
そう最初のうちはな。
俺はすっかり忘れていたんだ。
ハルヒの力のことを。
あの時、ハルヒは普通人でありながらも変わった奴を望んだんだ。
そして、連れてこられたのが高町さんだった。
この事にもっと早く気付いていれば…。
いや、気付いたからといってどうにかなるもんでもないのだが。
ともあれ、俺はこの時ばかりは本当に命の危機というものを感じたね。
今まで、宇宙人や未来人、超能力者の所為で、いや、未来人には危害は加えられてないか、今のところ。
超能力者にしても、直接何かされた訳でもないし、
これからも閉鎖空間なんてのに捕まらなければ、問題ないと見ていいだろう。
って事はだ、命の危機を感じたのは二回目か。
一回目は長門によって助けられ、この世の常識というものが通用しないと思い知ったものだ。
で、二回目は……。
いやー、まだ宇宙人とかが襲撃してきたってのなら、納得はできる。
したくはないが、しよう。これが未来からだろうが、超能力者だろうが百歩譲って納得しよう。
だがな、俺が普通だと思っていた本当に現代の普通の世界で、こんな事があったなんてのは、
正直、知りたくもなかったし、納得もしたくない。
というよりも、ハルヒの奴を巻き込め!
何で毎回、毎回俺が巻き込まれる目に会うんだよ!
何となくどころか、かなり理不尽なものを感じつつ、俺は物陰に身を隠すしかなかった。
だってそうだろう。
こっちは普通の高校生だぞ。
こんな銃弾の中、飛び出すなんて出来るか。
同じく普通の高校生であるはずの高町さんを見れば、こんな状況にもかかわらず、冷静だった。

「全部で三人か。なら、手持ちの装備で充分だな。
 キョン、巻き込んでしまってすまないな。どうも、前の仕事の時の奴らの残党だろう。
 すぐに終わるから、ここから動くなよ」

言うと物陰から飛び出してしまった。
止める間もあらば、だ。
だが、この後俺はもっと驚く事となる。
何故って、普通、人間が鉄砲の弾を避けれるか?
しかも、一発じゃないんだぞ。
何発も撃ってきているってのに、高町さんはそのまま敵の中へと突っ込んで行く。
その手に何か握っているようだったが、遠いのとあまり顔を出していないのでよく分からなかったが。
暫くして銃弾の音が止むと、高町さんの声が聞こえてきた。

「もう大丈夫だ」

その声に従うように出て行けば、高町さんの足元には襲ってきたと思われる人物三人が昏倒していた。
高町さんは何処かへと電話を掛けると、俺の方へと頭を下げる。

「すまない。今回の件は俺のせいだ。
 巻き込んでしまったな」

いや、それは良いんですけれど。
本当はあまり良くないのかもしれないが、こうして命も無事だったしな。
それに、いい加減に非常識な事には慣れてしまった。
俺の言葉を聞いた高町さんは、巻き込んでしまった事からか、簡単に事情を話し始めた。
その話はとても信じられるようなものではなかった。
何でも、高町さんは偶に警察や警備の会社の知り合いから護衛の仕事を引き受けているらしい。
で、今回襲ってきたのは、前に護衛した人を襲った組織の残党らしい。
その組織自体は、その襲撃の所為で警察に軒並み捕まったはずだっただが、この三名は何とか逃れたらしい。
で、その原因となった恭也さんを襲ったって所だろうって。
そんな話を聞きながら、俺の心はもっと別の所へといっていた。
つまり、結局SOS団に普通の高校生は俺だけ、っていう事実に。
はぁー、やれやれだな、こりゃぁ。







うーん、何か身体がだるいな。

美姫 「肩の所に……、ううん、何でもない」

おい、こら。気になるじゃないか。
何だ、肩に何がっ!?

フィーア 「憑いてる」

なにがっ!?

美姫 「冗談よ、冗談」

冗談なら目を逸らすなよ〜。

フィーア 「冗談はおいておいて、七夕なんだから何か願い事をしましょうお姉さま」

うぅぅ。本当に冗談なんだろうな…。

フィーア 「さっきみたいなんじゃなくて、ちゃんと。笹もここにありますし」

って、何処から持ってきたんだよ!

フィーア 「何処って、知らない」

こらこら、勝手に持ってきたら駄目だろう。
にしても、立派な笹だな、おい。

フィーア 「大丈夫よ。勝手に持ってきたんじゃないから」

そうなのか?

フィーア 「ええ。ちょ〜〜っとアハトに頼んで取ってきてもらったの。朝から」

おいおい……。

フィーア 「何か帰ってきたら、もの凄くぐったりしてたのよね〜。
      何処まで行ってたんだろう。まあ、疲れてたみたいだから…」

うんうん。ゆっくりと寝かせてあげるためにも、こっちに来たんだな。
フィーアちゃんにも優しいところがあるな。

フィーア 「勿論よ。私は優しいのよ。
      疲れて動けないみたいだったから、その間にさっきのネタSSを取ってきたの」

……おい。

フィーア 「そしたら、邪魔しようとしてきたから…」

な、何をしたのかな?
さっきの血もあるし、少し前に掛かってきたアハトさんからの連絡も気になってたんだが……。

フィーア 「うふ♪ ちょっと、本当にちょ〜〜〜っと撫でただけよ。
      そしたら、疲れてたのね。白目を向いて寝ちゃった♪
      だから、そのままにしておいてあげたの」

う、うぅぅぅぅぅ。アハトさん……(涙)

美姫 「そうなの。フィーアは優しいわね〜」

いや、今のをどう聞いたら、そうなる!?

美姫 「だって、疲れたアハトさんを気遣って、静かにするためにうちに来たんでしょう」

いや、途中のあれやこれやを省くな。
そこだけ聞くと、いい人に聞こえるから。

美姫 「だから、いい娘じゃない」

いやいや。途中経過の部分がね。

フィーア 「そんなの良いから、さっさと飾り付けしなさい!」

何で、お前の言う事を聞かないといけないんだ?

フィーア 「む〜〜! お姉さま〜。浩さんが苛める〜〜」

美姫 「浩、さっさとしなさいっ!」

は、はいぃ!

フィーア 「さっすがお姉さま」

美姫 「ふふ〜ん」

じょ、条件反射って悲しい……。

美姫 「さーて、願い事ね〜。うーん、じゃあ、浩の執筆速度が上がりますように〜」

フィーア 「さすがはお姉さま。自分の事じゃなく、浩さんの事を頼むなんて」

美姫 「ふふん、私ってば何てけなげ」

いやいや。思いっきり打算あるし。

フィーア 「うるさい!」

ぶがらびゃっ!

フィーア 「じゃあ、私は…」

美姫 「何を書いたのかな〜」

フィーア 「あーん、見ちゃ駄目ですよ〜」

美姫 「何を隠しているのよ。ほら、見せなさい」

フィーア 「だ〜めで〜す〜」

美姫 「見せないと……こうしちゃうわよ〜」

フィーア 「あ、あはははは。や、止めてくださいお姉さま。あっ、そこ、駄目。
      本当にそこは弱いんです〜。あ、あははは〜」

美姫 「取ったわ〜。何々……」

フィーア 「はぁ〜、はぁ〜。もう酷いですよ〜」

美姫 「あーん、何て可愛いの」

フィーア 「お姉さま〜、苦しいですよ〜」

で、お前らは二人で何をやってるんだ。ったく。
ん? これがフィーアの願い事か。どれどれ。
ずっとお姉さまの妹でいられますように、ねえ。
何で美姫にここまで懐くかね〜。
まあ、仲良き事は、ってか。

美姫 「って、何を一人で黄昏てんのよ!」

いや、誰も黄昏てませんが。

美姫 「アンタのも見せろ〜」

あ、こら。

美姫 「…………いや、まあ、アンタらしいと言えば、ねえ」

フィーア 「確かに、らしいんですけれど……」

ほ、ほっとけよ!

美姫 「はぁぁ」

フィーア 「はぁ〜」

くっ。ち、ちっきしょーーー!! 折角、綺麗に纏めたのにぃぃ〜。

美姫 「バカは放っておきましょうか」

フィーア 「ですね」

って、こらこら、それはないだろう。

フィーア 「とりあえず、今週はここまでで良いですか?」

美姫 「そうね。そろそろ時間だしな」

まあ、それじゃあ……。

美姫&フィーア 「また来週〜」







美姫 「って訳で、仕方がないから、アンタの願いを叶えてあげたわよ」

フィーア 「流石はお姉さま。お優しい!」

お、おお! ダブルメイド〜! 両手にメイド〜!
くぅぅぅ〜。素晴らしい!

フィーア 「でも、こんな事を願うなんて…」

美姫 「まあ、喜んでるみたいだし良いんじゃない」

フィーア 「やっぱりお姉さまは優しいです〜」

美姫 「まあね」

美姫〜、最高だぞ! グッジョブ!
フィーアちゃんも可愛いぞ〜!

フィーア 「ま、まあ、当たり前よ」

美姫 「あら、私には言ってくれないの?」

勿論、美姫も可愛いぞ〜。うんうん。至福じゃ〜。

フィーア 「何か、ある意味単純ですね」

美姫 「まあね。さて、それじゃあ、そろそろやりますか」

フィーア 「何をするんですか」

美姫 「まあ、見てなさい。…コホン。
    ご主人様、そろそろSSの方を」

OK〜、OK〜。
今から取り掛かるぞ〜。

フィーア 「はぁ〜。流石です」

美姫 「まあ、こんなもんね。さーて、それじゃあ私たちはお茶にしましょうか」

フィーア 「はーい。あ、私が淹れますね」

美姫 「そう? じゃあ、お願いね。あ、あいつの分も淹れてやってね」

フィーア 「は〜い」










          



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