2007年7月〜8月

8月31日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、まだまだ暑い日が続きますね〜とお送り中!>



行き成りですが、今回もお知らせです。

美姫 「9月の4日火曜日の午前1時から8時の間で」

今度は大元のサーバーのメンテナンスが行われるみたいです。
繋がり難くなったり、繋がらなかったりするかもしれませんがご了承ください。

美姫 「こっちの場合だと、アンタの作品や頂き物1の方が繋がらなくなるのね」

ああ。というよりも、『PAINWEST』そのものがあるのがこっちだから。
という訳ですので、またお願いします。

美姫 「さて、お知らせも終わった事だし準備はOK〜?」

何の準備?

美姫 「勿論、今週のアンタの更新について」

……お仕置きですか?

美姫 「お仕置きなしだと思う?」

思えない。だが、しかし、けれど、それはね、だから……。

美姫 「はい、言い訳タイム終わり」

まだ何も言ってないし! 言えてないし!

美姫 「そんなのは知らないわよ」

オウノウ! イマネ、トテモリフジンナキニナッタヨ。

美姫 「とりあえずは軽く一発。ぶっ飛べー!」

ずげぎょにょぎゃはぁぁっ!

美姫 「それじゃあ、落ちてくる間にCMです」







「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。 祖には我が大師シュバインオーグ。
  降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

わざと照明を消し、蝋燭のみを灯りとした薄暗い部屋の中央で一人の少女が目を閉じて呟く。
普通の人には意味を成さない言葉。
しかし、ある種の者たちには力ある言葉として感じられるその言葉を少女は続ける。

「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。
 繰り返すつどに五度。
 ただ、満たされる刻を破却する」

少女の紡ぐ言葉に答えるように空気が質を変え、力ある言葉に触発されるように震える。

「告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

少女の足元に描かれた魔法陣が俄かに輝き出し、それに連れ少女の声にも力が篭る。
歌うように、流れるように、淀みなく紡がれていた言葉はそこで一旦区切られ、刹那の息継ぎ。
少女は目を開くと同時に、全ての空気を吐き出すかのように最後となる言葉を吐き出す。

「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――!」

瞬間、薄暗い部屋を光が満たす。その光の強さに少女が目を庇い、光が収まると恐る恐る腕を下ろす。
期待するように目の前を見詰める少女。そこには、先程までいなかったはずの少女が一人。

「……まさか失敗!? そんなはずは。
 そうよ、まだ諦めるのは早いわ。目の前の女の子が例え小学生ぐらいにしか見えなくても、きっと……」

「えっと……」

きょろきょろと周囲を見渡すのはツインテールの女の子。

「私があなたのマスターよ。あなたのクラスと真名を」

先程から部屋で何かをしていたこれまたツインテールの少女――遠坂凛は、
自らが呼び出した少女へとそう尋ねる。

「えっと、わたしは高町なのはと言います。クラスは……キャスターですね」

なのはと名乗った少女の言葉によろめく凛。

「そんな……キャスターだなんて。こちらから攻めるのは不利。
 ううん、まだ諦めるのは早いわ。そうよ、強力な英霊なら……高町?
 聞いた事ないわね」

急に不安が増大したのか、凛はなのはへと恐々聞く。

「本当にサーヴァントなのよね」

「はい、そうですよ」

にっこりと微笑むなのはの笑顔を目の当たりにし、凛は足元から崩れ落ちそうになる。
しかし、それを何とか堪えると自らを鼓舞するように声を上げるのだった。

「こ、これぐらい丁度良いハンデよ! ……多分。
 兎も角、勝ち残るのは私たちよ!」

「頑張りましょう!」

のどかな口調に、無理矢理鼓舞した心が折れそうになるも、それさえも押さえ込む凛であった。



「問います、貴方がマスターですか?」

「マスター?」

「間違いないようですね。これより我が力は貴方の剣に、この身は盾に。
 クラス、ランサーのフェイトと申します。どうぞ、ランサーとお呼びを」

「あ、これは丁寧に。俺は衛宮士郎……ってそうじゃなくて!」



――人の歴史の裏で、決して表舞台に出る事のない戦いが幕を開く。



「アサシン、召喚に応じて参上。ふむ、貴女がマスターですか」

「はい、そうです。バゼット・フラガ・マクレミッツです。君の真名は?」

「……不破恭也。今この時より、我が刃は貴女を護る為に」

「よろしくお願いしますよ、アサシン」



――全てのサーヴァントが集いし時、ここ冬木を舞台とした第五次聖杯戦争が始まる。



「ディバインシュータッッ!」

「……何よ、この魔術は。私たちの知るどれとも系統が違う。
 ううん、完全に別物と言っても良いわ。破壊力だけを考えたら、とんでもない宝具ね。
 キャスター、正直私は貴女を見縊っていたわ。改めて貴女の力を貸して頂戴。
 貴女と私が組めば、勝利は揺ぎ無いわ!」

「勿論、力を貸しますよ凛さん。ただ、今のは宝具でも何でもないですけれど」

「……今の魔術はそのレイジングハートとかいう杖が使ったんじゃないの?」

「うーん、確かにこの子は宝具ですけれど、あれはただの術ですし。
 勿論、レイジングハートがないと撃つのは難しいですけれど」

「と言う事は、何度でも連続して使用できるのね」

「はい。尤も私の魔力が尽きると終わりですけれど」

「まあ、そこはね。にしても、キャスターだけあって、なのはの魔力量はかなり多いわよね」

「あはは、ご迷惑を掛けます」

「いや、別に責めている訳じゃないのよ。それに、どうも自分でも自然と魔力を回復しているみたいだし。
 まさか、キャスターにそんな能力があったなんて。もしくは、なのは自身の力なのかしら?」

「どうなんでしょうね。とりあえず、今日はここまでにしておきますか」

「そうね。幾ら待っても本人は出てこないみたいだし、このまま雑魚の相手ばかりさせられるのもね。
 それじゃあ、戻りましょか」

「はい。それじゃあ、飛びますよ」

二人の少女の影が、夜空へと舞い消えていく。
それを遠くから見詰める影が一つ。こちらもまた、凛たちが立ち去ったのを見て、その姿を闇の中へと消す。



「なるほど。アサシンとして召喚されるだけあって、暗殺能力は非常に高いですね。
 それに加え、正面からも戦えるとは。私たちの戦略が決まりましたよ」

「……決まったも何も、ただ攻撃あるだけのような気がするんだが?」

「その通りですが何か問題でも? 貴方の力を見て、背中を任せれると判断したのですが」

「その言葉は嬉しいんだが、マスターが自ら前に……いや、良い。
 しかし、今回の聖杯戦争は分からない事ばかりだな。何やら可笑しな獣共もうようよいるし」

――謎の生物がマスターとサーヴァントに襲い掛かる。
  今までにない事態が起こる此度の聖杯戦争。
  果たして最後に笑うものは。



リリカルとらいあんぐるフェイト プロローグ 「マスター誕生」







因みにシグナムをセイバーにしようかなとも思ったんだが、やっぱりマスターははやてだけだしな。

美姫 「何事もなかったかのような解説をありがとう」

あははは。
と、とりあえず頑張って書くということで。

美姫 「はいはい、聞き飽きた〜」

……さて、今週は本当に時間がないので。

美姫 「え、嘘!?」

いや、本当にこの辺で。

美姫 「仕方ないわね。それじゃあ、また来週〜」

ではでは。


8月24日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、残暑ざんしょとおふざけしながらお届け中!>



行き成りですがお知らせです。

美姫 「来る8月の29日水曜日の午後10時から、翌30日木曜日の午前6時の間で」

約50分ほど『頂き物2』が繋がらなくなると思います。

美姫 「何でもサーバーのメンテナンスとかみたいなのよね」

うん、そう。ですので、この時間帯で繋がらなくても慌てないでください。

美姫 「頂き物1の方は問題なく繋がると思いますので」

しかし、こうやって考えてみるとサーバー会社も大変なんだな。

美姫 「まあ、それはそうよね」

うんうん。尊敬〜。

美姫 「あと感謝もしておきなさいよ」

勿論だよ。
しかし、それにしても今月も残すところ一週間か。全く早いもんだ。

美姫 「その事でちょっと思う所があるんだけれど」

何だ?

美姫 「いや、本当ならリリ恭なの、最終話か、もしくは後二、三話まで終わっている予定じゃなかった?」

いやー、不思議なこともあるもん……ぶべらっ!

美姫 「アンタがサボっているからでしょが」

さ、さぼってないよ、いや、本当に。
ただ時間がなかったり、色々あっただけで。
というか、当初はちゃんと頻繁に更新してたじゃないか。

美姫 「今してなかったら、それはしてないのと同じなのよ♪」

うわぁ〜い、とっても良い笑顔〜。

美姫 「まったくどうしてくれようかしら?」

い、一応、今年中と言ってたしまだ今年中だぞ。

美姫 「ふふーん、私にそんな理屈が通じると思う?」

思わないな、うん。そもそも、お前に理屈だろうが言い訳だろうが、常識だろうが通じる訳ないし。

美姫 「最後の言葉が引っ掛かるんだけれど、まあ良いわ。
    だって、これからぶっ飛ばす事に変わりはないものね!」

あんぎゃぁー! お、おた、おたすけぇぇ!

美姫 「はぁぁぁっ! 吹っ飛べー!」

ぶべらぼげぇみょっぴょぉぉぉぉ〜〜んっ!

美姫 「ふ〜。一息吐くためにも、ここでCMいってみよ〜♪」







あの事件から約半年――
再び黒い影が、今度は二人を狙って迫る。



「なに、双翼の弟子のサムライガールにちょっと興味があってね。
 だから、その格安の値段で依頼を引き受けてやると言っているんだ。それとも、何か不服か?」

薄暗い一室で、くぐもった男の声だけが部屋の壁に当たり消えていく。
唯一の光源である窓はぴったりを締め切られ、部屋の中には煙草の煙が充満している。
電話越しに何やら呟く依頼人に対し、思わず浮いた笑みを見えないと分かっていても、
咥えた煙草を取るようにして手で口元を覆い隠すと、肝心な事を忘れるところだったと付け加える。

「俺の標的はあくまでも双翼の弟子で、双翼じゃないというのを忘れないでくれよ」

電話の向こうでもそれは納得しているのか、男はそのまま無言のままに受話器を置く。
再び沈黙に支配された部屋の中で、男はただ自ら立ち昇らせた紫煙の行く末をただじっと見詰めていた。
ただ楽しそうに、その顔に笑みを貼り付けて。



「あまり良くない情報と良い情報、どっちから聞きたい?」

「とりあえず、良い情報からお願いしますよ、リスティさん」

喫茶翠屋の奥まった席で向かい合って座る四人の男女。
恭也の言葉にその斜め前に座っていたリスティは頷くと答える。

「まず、悠花とリノアの観察処分が少し緩くなる。
 今までは国外には出れなかったけれど、今日からはそれも可能だ。
 まあ、それでも恭也という監視が傍に居ると事という条件は変わらないんだけれど、
 そっちの方は問題ないみたいだしね」

リスティのからかうような言葉に顔を真っ赤にする悠花と、余裕めいた微笑をただ返すだけのリノア。
全く違う反応を返されながらも、悠花の反応にリスティは満足そうに笑うと不意に顔を引き締める。
つまり、これから話す事がよくない情報という事である。
知らずつられるように気を引き締める恭也たちに、リスティはゆっくりと口を開いて行く。

「とある筋、まあぶっちゃけると美緒の父親の啓吾から入った情報なんだけれどね」

さざなみ寮に住む美緒とは何度か面識のある悠花やリノアであったが、その父親と言われて首を傾げる。
不動産屋とか聞いたような気がしたからである。
そんな二人の反応に恭也とリスティは苦笑をしつつ、恭也が悠花たちに教えてあげる。
ただし、他言無用と釘を刺してから。

「リノアにはこっちの名前の方がピンと来るんじゃないか。
 樺一号という名の方が」

恭也の言葉にリノアだけでなく悠花も驚いた顔を見せる。
それもそのはずで、その名は裏の世界ではかなり知られている名であるのだから。

「香港警防のか」

「ああ。まあ、今はそれは置いておきましょう。先にリスティさんの話を」

「そうしてくれるとありがたいね。
 まあ、あまりもったいぶるつもりもないから単刀直入に言うけれど、恭也と美由希を狙っている奴がいる」

その言葉に恭也だけでなく、リノアや悠花の雰囲気も少し変わる。
張り詰めた空気の中、リスティは話を続ける。

「詳しい事は分からないけれど、双翼とその弟子を狙っているという情報を掴んだらしい。
 それで注意するようにって。勿論、いざという時は僕も力になるよ。
 けれど、狙われているのは君たち兄妹だからね。君たちの方でも注意して欲しいんだ。
 出来れば、深夜に出歩くのは止めてくれると嬉しいんだけれどね」

リスティの言葉に苦笑で返しつつも恭也は家族に被害が及ぶかどうかを考え込む。
そんな恭也を安心させるように、リノアは頼もしい口調で恭也の肩を叩く。

「そんなに心配そうな顔をするな。いざという時は私も力になるから」

「わ、私も! た、闘うのは嫌いですけれど、それでも精一杯頑張りますから!」

「二人ともありがとう」

二人の気遣いに感謝しつつ、恭也は今一人で出かけている美由希の携帯番号へと掛けるのだった。



「闘えない私は恭也さんの役に立てない。役に立てないと傍にいられない。
 そんなのは嫌……。私は闘える……、たたかえる……。
 天を舞うは羽の如く 振るうは双つの剣
 自在にニ刀を振るわば、それ即ち、天羽双剣流の剣士
 天羽の剣士、人に在らず 修羅なり
 天にて神を斬り 黄泉にて魔を斬り 地においては人を斬る
 我 人に在らず 修羅なり」

うわ言のように呟く悠花の瞳から光が消える。
能面のような無表情と化した悠花は、全く揺らがず感情の映り込まない瞳のまま駆け出す。
かつての戦闘マシーンとして冷酷なまでに二つの剣を振るったツインエッジ。
その本領が発揮される。先程とは別人のような動きに、男たちは戸惑いを隠せずにいる。
だが、その戸惑いさえも隙として悠花は剣を突き立てていく。
まだ辛うじて意識できているのか、息の根を止めるような所まではいかず、ただ意識を刈り取っているだけ。
小さな混乱が起こり始める中、男たちは次々に打ち倒されていく。
そんな悠花の目の前に、それまでの男たちとは少し違う雰囲気の男が立ちはだかる。
気にせず斬り掛かる悠花の刀を男は同じく剣で受け止める。
一筋縄で行かないと判断したのか、悠花の攻撃が鋭さを増す。
数合に及ぶ斬り結びの中、悠花の刀が男の剣が交差し、互いに動きを止めての力比べになる。
男が力では負けないとばかりに押し込んだ瞬間、元より力比べなどするつもりのない悠花は刃を寝かせ、
男の力の向きを逸らす。その浮いた上体へともう一刀を素早く抜刀し、その刃を走らせようとする。
その瞬間、

「悠花さん、駄目ぇぇ!」

美由希の声が今にも崩れ落ちそうな古いフロアに響く。
その声で正気に戻ったのか、悠花の剣は男の心臓に後数ミリという所で動きをピタリと止める。

「悠花さん、駄目だよ。幾ら恭ちゃんの為だからって、その姿で剣を振るうのだけは駄目。
 守るために奪わないといけない時だってあるし、それは私や恭ちゃんもよく知っているよ。
 でも、それでも今の悠花さんの戦い方だけは絶対に駄目だよ。
 だって、何よりも悠花さんが嫌っているはずでしょう」

美由希の言葉に悠花の瞳にゆっくりとだが光が戻り始める。
だが、その一瞬の隙をつくように男は剣を返して悠花に斬りかかり、

「ぎゃぁぁぁぁっ!」

後ろから腕を斬り飛ばされて悲鳴を上げて床に転がる。

「折角助かった命だってのに、自分から無駄にしようとするなんてね」

「……ち、血塗れの魔女!?」

「ほう、私の事を知っているんだ」

にやりとわざと獰猛そうに見えるように唇を吊り上げるリノアに男は必死に遠ざかろうと床を這いずる。
それを一瞥すると、膝を着いて震える悠花に近付く。



「ただ平穏に暮らしたいだけなんだがな。
 だが、降りかかる火の粉は払い除ける!」

――双翼、高町恭也



「私たちが狙いだと言うのなら、初めから私たちだけを狙えば良いのに!
 どうして、どうして周りの人たちも巻き込むんですか!」

――今回のターゲットとなった双翼の弟子 高町美由希



「だから、もう一度闘う事にしました。恭也さんと美由希さんの為に。
 今度はツインエッジとしてじゃなくて、天羽悠花、私自身として」

――自らの意志で闘う事を決意した心優しき少女 天羽悠花



「今の生活は結構気に入っているんだ。皆、良い人たちばかりだしね。
 だから、それを壊すというのなら容赦はしない」

――護る為にその剣を振るうと決めた剣士 リノア・マーライト



二人の剣士を狙う刺客が海鳴へと集う。
その真意は何なのか。
黒幕は誰なのか。
分からない事だらけの中、それでも恭也たちはその手に剣を握る。



マリアさまはとらいあんぐる 〜3nd〜(仮)
既にマリみてとはクロスしてないんだから、このタイトルは間違っているよね
プロローグ 「さらば、平穏な日常」 近日……?







美姫 「…………あれ? まだ戻ってこないわね。
    ちょぉぉぉっと強くしすぎたかしら? あ、あははは。
    え、えっと〜。うん、特に他に連絡事項もないし、今週はこの辺にしましょう。うん。
    決して、浩が戻ってきてないからじゃないわよ! ほら、浩はここにいるし。
    ちょっと疲れて眠っちゃったのよ。という訳で、また来週〜」

のぉぉぉぉぉ! ……い、痛い。

美姫 「……まったくタイミングが悪すぎるのよ!」

な、何の事じゃぁぁぁっ!

美姫 「……おーい、生きてる?」

……お、おまえな。

美姫 「とりあえず、今週はここまでよ」

って、もう終わるのかよっ!

美姫 「アンタが知らない間にも世間は流れていたのよ」

そ、そうだったのか……。

美姫 「って言うよりも、また来週ってもう言っちゃった後なんだけれど」

……で、ではでは!

美姫 「強引な終わり方ね」

誰の所為だよ、誰のっ!

美姫 「すぐに戻ってこなかったアンタ」

なんでやねん!

美姫 「それじゃあ、本当にこの辺で。また来週〜」

ではでは。


8月17日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、高笑いと共にお送り中!>



PCも直りこれから頑張るぞ〜。

美姫 「という訳、いきなりだけれどもCMよ〜」







複数の戦国大名が覇権を争う第四次戦国時代の真っ最中。
ここ佐渡の国で一人の武将が城内に突然現れた門のようなものを前に首を捻っていた。
軍神としてその名を轟かせる上杉兼信その人である。

「これは何?」

自分の身長よりも大きな扉を前に首を傾げる兼信。
だが、そのお腹が空腹を訴えるように鳴る。
おやつと目の間に突然現れた不審な扉。その二つを天秤に掛け、数秒もせずにすぐに答えを弾き出す。

「愛のところへ」

あっさりとおやつの方が打ち勝ち、兼信はその扉に背を向ける。
が、その手がふとした弾みか扉に触れてしまう。
瞬間、扉は光を放ち、次の瞬間には兼信の姿は何処にもなかった。
扉の上部には見慣れない文字で『召還ドア』という文字だけが書かれていた。



学校から帰り、恭也と美由希の二人は軽く近所の神社までランニングがてらなのはを迎えに来ていた。
そんな折、境内へと続く石段の途中で二人して同時に足を止める。

「美由希」

「うん」

突然奥に生まれた気配に二人は戸惑う。
気付かなかったというよりも、本当にいきなり現れたというその気配に。
ただ、リスティなどの例もあるので殺意がない以上は放っておいてもよいのだが、
その際に僅かに見えた光が気になったのか、恭也と美由希は道を逸れて繁みの奥へと踏み込む。
途中、もしかしてお化けかもと思い至った美由希の足が若干鈍るなどという事もあったが、
二人はそのまま突き進み、遂に気配の元へと辿り着く。
そこには気を失った少女が一人。
軽装とはいえ鎧を身に纏い、その腰には立派なけれども実戦向きの刀を吊るしている。
少女の格好――特に刀を所持しているという事に油断せずに近付く恭也。
その後ろで万が一に備える美由希。
まるでそれが合図であったかのように、少女の目が見開かれる。

「大丈夫ですか?」

とりあえず上から覗き込む形となったものの、目が合い尋ねる恭也を兼信はただじっと見詰める。
その目は次第に潤み始め、頬は僅かに上気して朱に染まっていく。

「あ、その……」

何か言葉を噤もうと必死になる少女のお腹から、くーという音が辺りへと響き渡ったのはその時であった。

「まさか、今のご時世に行き倒れ?」

少女の態度に危機感を抱きつつも、美由希は信じられないとばかりに呟き、
次いで恭也の背中へと視線を転じて、まあなくもないかと妙な納得をする。
それを気配からか察した恭也が軽く睨み返せば、
美由希は必死になって首を横に振って何かを否定しようとする。
そんな妹の様子に溜め息を吐きつつ、恭也は少女へと手を差し出す。
おずおずと握り返してくる少女の手を掴み、少女を立たせると、

「とりあえず、何か食べる物を用意しますから家に来ますか?」

流石に他人事と笑い飛ばせないだけに、特に経験からか恭也はそう申し出るのであった。

これが、高町恭也と上杉謙信の世界を越えた出会いであった。

戦国(?)とらいあんぐるハ〜ト プロロ〜グ 行き倒れの少女は腹ペコ少女 近日……。







という事で、いつもとは少し違う感じでやってみたけれど。

美姫 「単にネタがないとも言うわね」

まあ、PCが故障してたから進むも何もなかったしな。

美姫 「……あれ? もしかして、これで終わっちゃう?」

……おいおい、幾らなんでもそれはないだ……ろ……う……?

美姫 「このバカ!」

ぶべらっ! な、なんで殴られるの!?

美姫 「こうなったら、延々とアンタを苛めるコーナーで」

殺伐としたコーナーだな、おい。

美姫 「殴られる事に文句はないんだ」

いや、抵抗するだけ無駄でしょう。

美姫 「変な悟り方ね」

って、誰のせいだよ!
冗談はさておき、本当に今週はこの辺で。

美姫 「えっ!? 本当に?」

…………うん。という訳で、今週はこれまで〜。

美姫 「それじゃあ、また来週ね〜」

ではでは。

美姫 「因みに、アンタは後で……。分かってるでしょうね」

……う、うわぁぁぁぁっ!!

美姫 「逃がさないわよ!」

ぶべらっ!


8月10日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、少し凹みながらもお届け中!>



うりゃぁああああああーーーーーーーーーーー!!

美姫 「また叫びから始まるのね」

いやいや、今度は嬉しさを表す叫びだぞ。

美姫 「まだ結果が出ていないというのに」

そうなんだがな。
だが、希望が見えた!
式よ、ありがと〜。

美姫 「しかし、前のPCを捨てずに取っておいたKにも感謝よね」

だな。
と、何の事かという人がたくさんいるかもしれないな。

美姫 「確かにこれだけじゃ分からないかもね」

だな。早い話、Kが前のPCを捨てずにいたお陰で、電源ユニットが手にはいる。

美姫 「で、式が明日には戻ってきて早速付け替えてくれるのよね」

おう! これで原因が電源ユニットだった場合は、明日の昼以降にはPCが使えるように!
ああー、どうか直りますように!

美姫 「ただ祈るだけね」

ああ。祈るといえば、何よりもデータが無事でありますように!
行き成り電源が切れてつかなくなったから、それが心配で、心配で。

美姫 「メールも溜まってるでしょうね」

確かに。と言うが、半分以上が迷惑メールだと思うが。

美姫 「本当に邪魔よね、あれ」

ああ。全く、もー! ってな感じだよ。

美姫 「まあ、何はともあれ明日に全てが判明するわね」

とりあえずはデータの無事が第一。
そして、次に故障個所が電源ユニットである事。
この二つが。

美姫 「いや、それ以上の望みはないでしょう、普通に」

まあな。電源ユニットの故障じゃなかった場合、やっぱり買い換えないといけないのかな。
うぅぅ、そんな金がどこにある!

美姫 「私に言われてもね」

美姫〜、お金貸して〜。
トイチとかいうネタは禁止な。

美姫 「言わないわよ、そんなの。アンタには特別にアケイチで貸してあげるわ」

わーい! ……ところで、アケイチって?

美姫 「一日一割」

……おいおい、トイチよりも酷いじゃないか。
と冗談はさておき……。

美姫 「本気だけれどね」

さておき! 本当に電源ユニットの故障であって欲しいものだ。

美姫 「データの破損と天秤にかけたら?」

勿論、そこはデータの無事の方が大事だろう。
色々と書き溜めているものがあるしな。

美姫 「まあ、実際にはどうなっているのかはまだ分からないんだけれどね」

だからこそ、こうして祈っているんだ。

美姫 「都合の良いときだけ祈られても、神様だって願いを聞き届けてくれないんじゃない」

くっ、痛いところを……。
だが、祈らずにはいられないこの心境。

美姫 「まあ、精々祈る事ね」

いや、そんな他人事みたいに。

美姫 「他人事だもの、とは今回は言えないのよね。
    とは言え、なるようにしかならないんだし、悩むだけ無駄よ、無駄」

うぅぅ、その前向きな考え方は少し羨ましいかも。

美姫 「まあ、それよりも今はCMよ、CM」

ネタが〜、ネタが〜。

美姫 「はいはい、全然SS書いてないんだから、これぐらい頑張りなさい」

ウィ〜。

美姫 「それじゃあ、CMよ〜」







「…………」

「…………」


沈み行く太陽に海が赤く染め上げられていく。
海に面した公園の芝生に座り、向かい合う二つの影はただ無言に互いを見詰め合う。
そこに言葉はなくとも、互いの気持ちを嫌というほどに理解しながら、紅く染まった顔は夕日によるものか。
やがて、影の一つ――二十歳前後の青年が閉ざしていた口をゆっくりと開く頃には、
既に太陽は地平線の向こうへと消えようとしていた。

「言うか言わないか迷ったが、やっぱり言う事にするよ」

「……そうか」

青年に返す声の主は、青年とよく似た顔の造りをした年配の男のものであった。

「毎度、毎度、何で俺が計画を立てて使っている路銀が底をつくんだ!」

言葉と同時に繰り出される拳を軽く受け流し、男は立ち上がりざまに胸を張る。

「そこに美味い物があるんだから仕方ない!」

「……父さん、遺言はそれで良いのか?」

「お前の遺言だろう」

無言で睨み合っていた二人であったが、腹から届く情けない音に揃って再び芝生に腰を下ろす。

「はぁ、しかし本当に困ったな。金を下ろそうにもサイフすらない始末」

「ないのではなく、初めから持ってきていないのだろうが。
 前にバカみたいに下ろすから、母さんにサイフを持たせてもらえなくなるんだ」

「痛いところを。しかし、実際問題どうする。
 この辺りは都会だから、ここに来るまでに居た山奥と違って何も獲るものがないぞ」

「それだけじゃないぞ。このまま路銀を稼げなくて家に帰れなかったら、美由希とレンの入学式には出れないぞ」

「それはまずい!
 お前の入学式ならどうでも良いが、美由希やレンちゃんの勇姿は何としても撮らなくては!」

「俺は入学式にすら参加してないがな。どっかの誰かさんがこれと同じような状況にしてくれた所為で」

「はっはっは、そんなに感謝するなよ、照れるじゃないか」

「今のが感謝に聞こえたのなら、一回耳鼻科にいけ。
 ふむ、もしくは遂にボケたか?」

「まだボケておらんわ! しかし、本当にまずいな。
 去年は何とか間に合ってなのはの入学式はばっちり撮れたが、今の状況はお前の時に似ているし……」

「海鳴には遠く、しかも都会故に短期バイトでは稼ぎ難い」

「大体、履歴書持参って何だよ! こっちは金がないからバイトをするんだぞ!
 そんなのを買う余裕があるか!」

「いや、そこはごく普通のことだろう。怒る所じゃない」

娘の入学式に参加できないかもしれない、という可能性に慌てふためく父士郎を醒めた眼差しで見ながら、
恭也も拗ねるであろう美由希を想像して溜め息を吐く。

「大体、春休みだから修行に行こうといった奴は誰だ!
 顔が見てみたいわ!」

「ちなみに、それは思いっきり父さんの事だからな。
 顔が見たければ、そこのトイレにある鏡を覗け」

「くっ、ああ言えば、こう言いやがって。そもそも、春休みなんてものがあるから悪い!」

「それはまた滅茶苦茶な考えに辿り着いたな」

「春休みが悪い=春休みに入った奴が悪い=恭也が悪い!」

「……とりあえず、一発殴っても良いよな」

「断る!」

「ふっ!」

恭也の右腕が動き、そこから何かが飛び出す。
それを士郎は左手で受け止めながら、額に浮き出た冷や汗を拭う。

「お、お前、今かなり本気だっただろう」

「ちっ。……そんな事はないぞ」

「その前の舌打ちは何だ! 舌打ちは!」

「気のせいだろう。それよりも、実際にどうするかだが……」

「食料は非常食として前の町のコンビニで買っておいたカップ麺が一つか」

「幸い、武者修行中だから鍋も携帯コンロもある。
 水は……」

「公園だからな、あちこちにあるな。となると問題は……」

二人揃って鞄から取り出され、二人の中央に置かれたカップ麺へと視線を注ぐ。

「「量か」」

二人でカップ麺一つ。人よりも多く動き、更によく食べる恭也と士郎にはまったく足りない量である。
とは言え、これ以外に食料がないのも事実である。

「で、実際路銀はあとどれぐらい残っているんだ?」

「二千もない。運賃に全てを注ぎ込んでも大した距離もいけんだろうな。
 いや、待てよ。一人だけなら……」

「因みに、一人だとしても海鳴まではとてもじゃないが足りないぞ」

「分かっている。だが、場所が変われば臨時で短期バイトをしている所を見つけれるかもしれないだろう」

「だったら、別に一人で行く必要もあるまい」

「いや、ここは思い切って少しでもここから遠くに、海鳴に近づけるように一人にした方が。
 で、運賃を使った一人が短期バイトで金を稼ぎ、ここに戻ってきて改めて海鳴へと二人で向かう。
 勿論、ここで残った奴もバイト探しはするという方向でどうだ」

「却下だ。理由は今の父さんの話で提案したここから移動する奴を父さんがするつもりだろう。
 だからこそ、却下だ。悪いが父さんが信用できないからな」

「その顔の何処か悪いと思っている顔だ!」

「だが、俺にはさっさと海鳴への交通費だけを稼いだら、俺の事など忘れて帰る父さんの姿が見えるぞ。
 もしくは、そもそもバイトなんかしないでヒッチハイクだけで一人帰る姿だ」

「お前、少しは親を信用しろよ」

項垂れて呟く士郎に対し、しかし恭也は慰める言葉を投げるでもなく、

「あれは六年前の春休みの事だった。同じような状況になった俺と父さんは、
 まだ俺がバイトを出来ないという理由で少ない路銀を持って一人町を出た。
 その町はかなり田舎だったためか、バイトそのものを何処も募集してなかったからな。
 当時は妥当だと思ったよ。しかし、どれだけ待っても父さんは戻らず。
 ようやく迎えに来た時には、既に俺の入学式の日はとうに過ぎていたな」

「そ、そんな事あったか?」

「因みに、理由はレンの入学式があったからだ。
 で、ぎりぎりで間に合った父さんは家からビデオを手に持ち、すぐさまレンの学校へと向かったんだよな。
 当時、レンは神奈川に居たから、わざわざ来てくれた父さんに感謝した小梅さんは、
 母さんにも電話でお礼を言ってその日の晩は父さんは小梅さんたちにご馳走なった上にそのまま泊まった。
 で、翌日家に帰った父さんは旅の疲れで寝てしまい、母さんも起こしては悪いと起こさなかった。
 本当は、俺が入学式に間に合わなかった事を文句言うつもりだったみたいだが、それは起きてからにしようと。
 所が、夕飯にようやく顔を見せた父さんだったが、俺が居なかった。
 母さんはまだ疲れているのかと思い、父さんに俺の入学式の事を半分怒りながら言ったんだな」

「そうそう。そんな事もあったな。あの時の桃子は怖かった。
 とは言え、恭也自身が望んでいるからと修行には口を出さず、
 もう少しだけ学校行事に出るように恭也に言ってくれと頼まれたんだった」

懐かしそうに話しつつも、士郎は当時を思い出したのか徐々に脂汗がだらだらと流れてくる。
それに気付きつつも気付かない振りをして恭也は続ける。

「で、母さんの口から俺の名前が出てようやく父さんも俺の事を思い出したんだよな。
 しかも、それが母さんにばれては不味いと思い、あれこれ理由をつけて俺を起こさないように釘まで指して。
 で、安心した父さんはぐっすり眠ったが、母さんは一応声だけでも掛けてみようと俺の部屋へ来て、
 俺が居ないと混乱して父さんを起こしたんだったな」

「ああ、あの時の桃子には焦ったぞ。一体何があったのかと飛び起きたら、恭也がいないって。
 俺も寝ぼけてたんだな。つい口を滑らせて、居なくて当たり前だとか言ってしまった。
 あの後、全て白状させられた上に、すぐに迎えに行ったのに一週間も口を聞いてもらえなかったんだぞ!」

「同情するに値しないが? まあ、今回はあの時と違って一ヶ月はあるんだ。
 何とかなるんじゃないか」

「そうだよな! お前、いい事を言う。いや、待てよ。
 つまり、それは一ヶ月前に路銀の使いきったお陰、つまりは俺のお陰と言う事か!
 ははははー、感謝しろと恭也!」

「とりあえず、腕の一本ぐらいやっても法的に問題ないよな」

「大有りだ! 何、平然と恐ろしい事を言ってやがる」

「明らかに父さんが悪いと思うが?」

「なに!?」

再び無言で睨み合う二人。そんな二人のいさかいを、またしても腹の音が止める。

「とりあえず、飯にするか」

「だな。幸い、寝床はテントがあるしな」

「あー、恭也。飯の支度するから、テント張っとけ。
 因みに、ここは公共の公園だからな。公僕や通行人などに見つかり難い場所にだぞ」

「ああ、分かってる。まあ、飯の用意は簡単なんだから、先にこっちを手伝えと言いたいところだが……」

文句を言いながらも恭也は丁度、
散歩道などからは少し奥へと入ってこないと見つかり難い木の裏にテントを設営するのだった。



「……バカか」

「くっ」

「本当に間抜けめ」

「ぐっ」

「一体、何を考えている」

「そこまで言うか、恭也!」

「言うわ! 僅かとは言えあった路銀を落とすなんて、アンタ何考えてるんだ!」

「お、親にアンタだと!」

「親ならもう少ししっかりしてくれ、いや、本当に頼むから」

「そ、そこまで真剣に頼み込むなよ。さすがに悪い事をした気になる」

「って、今まで気にもしてなかったのか!」

「……さて、これからどうするかだが」

「誤魔化すな!」

文句を言いながらも二人はあの後、テントで一夜を過ごした公園へと戻り、大道芸で金を稼ぐ。
が、これがおまわりさんに見つかり、許可の取っていない二人は当然の如く……。

「逃げるぞ、恭也!」

「って、ずるいぞ士郎!」

「て、てめぇ、よくも俺の名前を呼んだな!
 素性がばれたらどうする!」

「先に呼んだのは父さんだろうが!」

「ちっ! そこは息子なら父のために犠牲になれ」

「断る! というか、そっちは海しかないぞ!」

「だからこそ、逃げれるんだろうが! 迷うな、飛び込むぞ!」

「ああ、くそ! 三月とは言え、何が悲しくて!」

おまわりさんから距離を開けると、二人は迷わずに海へと飛び込む。
流石にここまで追って来る気はないのか、おまわりさんは呆然と立ち尽くすのだった。



「さて、折角稼いだ金も逃げる時に置いてきてしまったな。どうする恭也」

「荷物も置いてきてしまったぞ。服はどうにか乾いたから良いが……」

「さて、どうしたものか」

「歩いて町を出るか、ヒッチハイクだろうな」

「それしかないか。とは言え、流石に荷物は回収しないとな。
 幸い、芸をしていた所とは別の場所に置いてあるから、警察の手には渡ってはいまい」

「なら、適当に時間を潰してから公園へと戻り、そのまま町を出るのが妥当かな」

「そうなるな。しかし……」

士郎が恭也に何か言いかけるも、途中で何かに気付く。
恭也もまた同じようにすぐに気付き、士郎の視線の先を見ている。
そこでは一人の少女が蹲り、苦しそうにしていた。

「恭也」

「分かっている」

士郎の言葉に恭也は少女へと歩き出す。
これが後の運命を大きく変えることとなる出会いになるなど、恭也にも士郎にも分かるはずもなかった。



「なら、この家で執事をするが良い」

「ですが……」

「いやー、それは助かる。捨てる神あれば、拾う神ありだな恭也。
 いやいや、この場合は女神か。何にせよ、助かったじゃないか。これで路銀が稼げる」

助けた少女の家で執事として働く事となる恭也と士郎。
だが更に翌日、恭也は驚くべき事実を聞かされる。

「はい? すみません、森羅様。もう一度言って頂けますか?」

「だから、お前の父親はお前に後は任せたと言って帰ったと言ったのだ」

「……路銀もなしにですか?」

「いや、お前が働いて返すと言ってたぞ」

ふつふつと湧き上がる怒りに拳を振るわせる恭也へと、昨日助けた少女、この家の次女で森羅の妹が話し掛ける。

「あと、最近出たばかりのビデオカメラをわざわざここに持ってこさせて、それをお土産として帰ったわよ」

「その料金も……」

「ええ、あなたの賃金から引くようにって」

更なる怒りを覚える恭也に、流石に同情を抱きつつも森羅専属のメイドがとどめを刺す。

「賃金も何も、まだ正式に雇用されていないってのを忘れてるんじゃないの、アンタの父親。
 少なくとも、三ヶ月はただ働きしないと駄目なんだけれど?」

「え、えっと、元気だしてね。恭也さんならきっと採用されるよ。夢は信じているから。
 それにね、毎秒広がり続けている銀河の大きさに比べたら、それぐらい大した事ないよ」

この屋敷の三女である夢にまで慰めの言葉を貰うも、恭也はただただどうやって復讐するかのみを考える。

「後で構いませんので、電話を借りても良いですか。
 父の方はどうでも良いんですが、流石に母や妹に心配を掛ける訳には行きませんから」

結論として、桃子へと全て任せることにした恭也であった。

「とりあえず、これでお前は何が何でも正式に雇用されないといけなくなった訳だ。
 更に言えば、一ヶ月間などと言う短期で辞める訳にもな。まあ、精々頑張って働け」

こうして、恭也の久遠寺家での執事としての生活が始まりを告げるのであった。

恭也が執事で士郎がとらハ3事件を解決して プロローグ 「行き成り路銀がない!」 近日……







ああー、早く明日になれ〜。

美姫 「データが無事であると良いわね」

頼むよ〜。本当に頼むよ〜。

美姫 「この後、祈るのに必死そうだから、今回はこの辺にしておこうか」

だな。特に報告すべきこともないし。
それじゃあ、今週はこの辺で。

美姫 「また来週〜」


8月3日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、蒸し暑いよ〜、溶けるよ〜、とお送り中!>



うがああああああーーーーーーーーーーー!!

美姫 「いきなり何を叫んでるのよ!」

これが叫ばずにいられるか!
まただよ! またPCの故障だよ!
いきなり電源落ちたかと思えば、起動しないよ!

美姫 「いい加減、古いものね」

古くないよ! いや、新しくもないが……。
いや、古いのか? どっちにせよ、起動しないんだよ!
電源が入らないんだよ!
ああ、もうもうもう!

美姫 「ここで私に怒られてもね〜」

それはそうなんだがな。
ああー!
うぅぅ……。

美姫 「怒ったり落ち込んだりと大変ね」

だって、だって……。どうか、データは、データは無事でありますように!
もう切実なお願いだよ!
無事を確かめたくてもPC動かないし。式のPCはハードディスクの規格が違うから接続できないし。
と言うか、専門的な用語を言われても分かりません!

美姫 「はいはい、例によって式に見てもらったのよね」

うん……。電源ユニットかマザーボードじゃないかと言われました。
うぅぅ、どうしようか。

美姫 「私に聞かれても」

だよな。本来なら、今日は例によって来週から更新ができないよというお知らせをするつもりだったのに。

美姫 「別の意味でも更新できないわね」

ああ。しかも、再来週からはお盆だよ。
修理するにしても、メーカーやってないよ。

美姫 「ちょっ、まさか八月って更新できないとかオチじゃないでしょうね」

それは嫌だ! とは言え、メールも見れない、アップするにもFTTPの設定もそのPCだし。

美姫 「その辺り、どこかにメモとかしてないの!?」

……いやー、メモるっていうのは、とっても大事な事だよね〜。

美姫 「んな呑気な事を言ってる場合か!」

ぶべらっ! ……と、とりあえず、お盆を過ぎた後の週始め、20日か?

美姫 「えっと……。そうね、20日ね」

その日にKも戻ってくるから、まずはKのPCにハードディスクを繋げて……。

美姫 「それでも、殆ど八月は更新できない状態じゃない」

俺の所為じゃないぞ!

美姫 「いや、メールとかの設定をどこかにメモしてたらこんな事にはならなかったんじゃ……」

いや、どっちにしろ、Kも式も盆にはいないから一緒だろう。

美姫 「……やっぱりアンタが悪い」

なして!?

美姫 「はぁぁぁ、一体どうするのよ」

それは俺が聞きたいよ。やはり、前に調子が悪い時にちゃんとしておくべきだったか。

美姫 「そういえば、前も似たような事になってたわね」

ああ。何故か直ったからそのまま使ってたのに。
まさか、ここにきて故障するなんて……。

美姫 「ひょっとしなくても、本当の馬鹿よね」

うぅぅ、言い返せない、言い返せないよ〜。
と、とりあえず、そんな状態になってしまいました。

美姫 「ここを訪れてくださっている方々、並びに」

投稿してくださっている方々、大変申し訳ございません。
暫く、更新ができない状態になってしまいました。
できるだけ早く更新できる状態にしますので、見捨てないでやってください。

美姫 「本当にすみません」

にしても、PCのトラブルってこれで何回目だよ。
最近のPCは根性が足りないよ、根性が。

美姫 「いや、根性って……」

もうそれぐらい言わせてくれよ〜。

美姫 「相当、堪えてるわね。というか、やさぐれないでよ」

うぅぅ、データが無事でありますように、無事でありますように、ぶですように。

美姫 「略しすぎだから」

いや、もう本当にうがぁぁぁ! って感じだよ。

美姫 「はいはい、いつまでも愚痴らないの。気持ちを切り替えなさい」

それはそうなんだが……。

美姫 「とりあえずは、CMよ〜」

気分が乗らないのに……。

美姫 「つべこべ言わない!」

ぶべらっ!







……ここはどこ?
私は誰? いやいや、そんなボケをかましている場合じゃないよね。
えっと、多分ここは海鳴。で、私は高町美由希。うん、間違いない、ないはず、ないよね。
う、うぅぅ、恭ちゃん助けてー!
って、現実逃避しても仕方ないよ、うん。
……とは言え、この現状をどうしろと。
目の前にはお母さんが経営する翠屋。ただ、ちょっとデザインが私の記憶とは違うような気がしたり、
新しい気がしたりもするけれど、うん、気のせいだよね。
で、電柱の陰に隠れて除いた店内には、新しいバイトの子が入ったのかな、見たことのない女の子がウェイトレスをしている。
後は恭ちゃんが忍さんと一緒にお手伝いしているのは、まあいつも通り。
うん、問題ない、ないはずなのに。何で、何で店の中にもう一人の私がいるのよー!
誰、あれ! って、さっき自分で私だって言ったじゃない。って、そうじゃなくって!
って、一人で突っ込みを入れている場合でもないんだけれど、何で私がいるの?
もしかして、今ここにいる私が偽者!? って、そんな馬鹿な。
まさか、生霊!? い、いやぁぁぁ! って、自分が生霊になってもお化けは怖いままだなんて理不尽だよ。
って、そうじゃないでしょう、私!
落ち着くのよ、落ち着け、落ち着きとき、落ち着けば〜。って、ぜんぜん落ち着いてないし!
す〜は〜す〜は〜。
よし! 仮に、仮にだけれども私が生霊だとしても、何で死んだはずの士郎父さんがいるのよ!
これは絶対におかしい、おかしすぎるじゃない。
はっ! あっちが幽霊で私が本物だとしたら。
って、それじゃあどっちにしても私は死んだか、死にかけの状態って事じゃないの!
と、とりあえず落ち着こう。考えれる可能性は……あ、あははは、まさかね。
ラベンダーの香りも嗅いでないし、腕に変な数字も刻まれてない。
いやいや、あれはあくまでも時間を戻るんであって二人には増えないって!
じゃなくて、あんまり信じたくないと言うか、夢であってほしいんだけれど、パラレルワールドとかっていうやつですか?
う、うぅぅ、恭ちゃん〜〜、た〜す〜け〜て〜。
盆栽を割ったのをごまかすために接着剤でつけた事も、折れた釣り竿を野良猫の所為にしたことも素直に話すから〜。
だから、ここからかえして〜〜。
…………なんて反省してみた所で、本当にどうかなるなんて思ってませんよ、ええ、思ってませんよ。
グスグス。この世界にも私が居るって事は、会わないほうが良いよね。
うぅぅ、何処に行けば良いんだろう。もう一層のこと、ダンボールに入ってにゃーにゃー鳴いてようかな。
気まぐれなお金持ちが拾ってくれるかも。
うぅぅ、むなしいよ〜。いつもなら、この辺で恭ちゃんが「お前を拾うような物好きなんているか」とか言ってくれるのに。
で、で、その後に、「だかr、俺がお前を拾ってやろう。拾ったんだから、お前は俺のものだぞ」、なんて、なんて!
ああー、それいい! どっかにダンボールはないの!?
って、ちょっと待て私。ここは異世界、もとい、実際に恭ちゃんがそんな事言う訳ないじゃない。
ああー、相当混乱してるわ。とりあえず、野宿は嫌だけれど寝床を探さないといけないし……。どうしよう。
臨海公園の方に行ってみようかな。
なんて考えてやってきたのは良いけれど、あれ何?
あ、あははは。目が悪くなったのかな? まさかね〜。
運動の苦手ななのはが金髪の女の子と戦ってるなんてありえないよね、うん。
ましてや、空まで飛んでるし……。飛行少女……、なのはが非行に!?
じゃなくて、えっと、あれって魔法なのかな?
あー、でもどっちかと言うとなのはの好きそうなゲームの魔法だよね。
普通、魔法少女と言ったら夢とか希望じゃないのかな、ってお姉ちゃんは思うんだけれど。
なんて言うか、やっぱりなのはも士郎父さんや恭ちゃんと同じ血を引いていたんだって痛感したよ。
……今度からはなのはを本気で怒らせないようにしよう、うん。
って、だから元の世界のなのははあんなのできないって!
できないよね、ね、ねぇ、なのは?
って、そうじゃなくて、誰も知り合いが居ないから、自分で自分に突っ込む回数が増えてるよ。
えっと、どうしたら良いんだろう。違う世界とは言え、やっぱりなのはみたいだから助けてあげたいけれど。
でも、いくらなんでも空中じゃ無理だし。恭ちゃんなら、なのはのピンチってだけで何とかしそうだけれど、
残念ながら私は人間やめてないし……。って、ごめん、恭ちゃん! お願い、殴らないで!
……って、今は誰も居ないんだよね。う、ちょっとだけむなしいよ。
まさか、恭ちゃんに殴られ続けた所為で、変なものに目覚めてしまってるの!?
でも、恭ちゃんが望むのなら……。って、違うでしょうが! でも、いっぱい叩かれたのは事実だよね。
やっぱり、恭ちゃんに躾られてたのかも!?
ああー、まさに恭ちゃんなしではいられない身体に。なのに、その恭ちゃんはどこにも居ない……よよよ。
て、冗談はこれぐらいにしておかないと。
えっと、とりあえずどうやって助ければ良いのかな。
さすがに雷や訳の分からない光線が飛び交う中に飛び込むのは無謀だし、そもそも最初から問題にしてたけど飛べないし。
って、あれ? ひょっとしてなのはも私に気づいたのかな?
あはは、驚いた顔してる。だよね、いくら違う世界の私とは言っても、見た目はあまり変わらないしね。
えっと、とりあえず手を振替しておこうかな。
あははは、なのはったら、あんなに両手を慌しく上下に振らなくても見えてるって。
あっ! ……わ、私の所為じゃないよね、ね。
今、私に気を取られている背後から金髪の子が近づいて何かしたみたいだけれど、私の所為じゃ……。
海に向かってまっさかさまに落ちてるのも、うん、私の所為じゃないよね。
えっと……た、戦いの最中に余所見は駄目だよ、なのは。恭ちゃん相手なら、もっと酷い目にあってたよ、うん。
って、あれよりも酷い目って。それに、私はあってたって事になるじゃない。
あ、何だろう。今更ながらに元の世界が恋しくなったのかな?
目からしょっぱい滴が……。って、なのはも無事なの!?
あ、あはははは。こっちのなのはは元気だね、うん。あ、あははは。
と、とりあえず、戦いが終わったらなのははこっちに来るんだろうな。
どうやってごまかそうかな。いや、案外正直に話したら信じてくれるかも。
元の世界のなのはも不思議な体験はたくさんしてたし、こっちなんか空飛んでるんだもんね。
うん、そうしよう。正直に話してみようっと。
えっと、だからそんな恨めしそうな目でこっちを見ないで。う、うぅぅ、さっきのは私の所為じゃないよね? ねっ!

魔法少女リリカル美由希 プロローグ めがねを取ったら凄いんです 近日……。

「少女? 一体どこにいるんだ?」

う、うぅぅ、兄が、兄が苛めるんです。日々、兄からの苛めに耐える魔法少女の活躍にご期待ください。

「せいぜい、なのはの盾になるが良い」

う、うぅぅ、やっぱり優しくない……。







しかし、人様のPCは打ちにくい。
と言うよりも、自分以外のPCは変換が可笑しい!

美姫 「まあ、逆に言わせるとアンタのPCの方が使いにくいんだけれどね」

馬鹿な! 俺は非常に使いやすいのに。

美姫 「はいはい。でも、少しはましになったみたいね」

まあな。打ち難かったが、文を書けたからかな。

美姫 「とりあえず、少しでも早く何とかしなさいよ」

言われなくてもやるよ!
と言うわけですので、投稿は受け付けてます。

美姫 「ただし、更新が少し出来ないのでご了承ください」

出来るだけ早く復活させますので。
それじゃあ、今週はこの辺。

美姫 「それじゃあ、また来週〜」

って、いやいや。

美姫 「まったね〜」

おーい、聞けよ。


7月27日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、おはようからお休みまでお届け中!>



世界でも救うつもりか?

美姫 「そんなつもりないわ。私はただ、自分の決めたルールに則って動いているだけよ」

傲慢だな。

美姫 「何とでも言いなさい。私は私のやりたいようにただやるだけよ。
    邪魔をするというのなら、例え神であろうとただ叩き伏せるだけ」

良かろう。お前がそこまで言うのなら、その力をここで示してみせよ!
ぶべらっ!

美姫 「弱すぎるわ」

う、うぅぅ。そこは手加減しろよ……。
とまあ、のっけから少し違う感じで始めてみたけれど……。

美姫 「変に疲れたのは気のせいかしら?」

しかも、オチはいつもと同じような……。

美姫 「それはアンタの所為でしょう」

そ、そんな〜〜。
と油断させておいて、いきなりだがC……ぶべらっ!

美姫 「CMよ〜。……ふっ、甘い」







「あっ」

果たして、それは誰が漏らした呟きだったのだろうか。
この部屋に居る人間は全部で四人。
全員が発したような気もするし、誰か一人だったのかもしれない。
だが、声を発した理由は一つで、全員の視線が一箇所へと向かう。
まるでスローのように感じるが、実際にそんなはずもなく全員の視線が注がれる中、
ソレは地面へと落ちて乾いた音と共に粉々に壊れる。
元壺であった残骸を眺めながら、真っ先に壺を落とした本人、恭也が我に返る。

「忍、すまない」

「あー、良いよ、良いよ気にしなくて。大した物じゃないし。
 精々、一億ぐらいよ」

「忍お嬢様、一億五千万です」

「ああ、そうだったっけ? まあ良いじゃない、そんな細かい事は。
 何となくそこにあいそうだったから購入したんだけれど、そんなに執着ある訳じゃないし」

お気楽に笑う忍に対し、割った恭也とその妹のなのはは何も言えずに固まる。

「いや、本当にすまない。そんなに高いものだとは……」

「だから良いって言って……あーあ、結構気に入ってたのにな〜」

「忍お嬢様?」

気にするなと言っていたのに急に態度を変えた忍に、ノエルが不思議そうに名前を呼ぶも、
忍は恭也を見詰めて顔を逸らさない。
その横顔から何かを企んでいるのを感じ取ったノエルが口を挟もうとするよりも早く、

「こうなったら、弁償してもらわないとね」

「確かにその通りなのだが、流石にそれだけの大金をすぐには……」

「それじゃあ仕方ないわね。その分、うちで執事として働くってのでどう?」

忍の言葉を聞き、止めようとしていたノエルも僅かに考え込む。
その隙に忍はどんどん話を進めていく。

「うちで護衛兼執事として働いてくれたら、お給料を出すからそれで返すってので。
 そうね、半年ほどで良いわよ」

「半年だけで良いのか?」

「ええ。私と恭也の仲だもの。わざとやったんじゃないってのも分かってるし。
 どうする?」

「……こちらとしてはとてもありがたいのだが、本当に良いのか?」

恭也の気遣わしげな口調の質問に対し、忍は満面の笑みで答える。

「勿論♪ あ、執事として働くんだから住み込みよ。今更やめとかは聞かないからね」

「いや、しかし……」

「恭也様、それでは簡単な仕事の説明をしますのでこちらに。
 服の方は明日中には揃えますので」

何か言いかける恭也の腕を引き、ノエルがキッチンへと引き摺っていく。
そんな二人の背中を手を振って見送ると、忍はなのはと対戦すべくゲームを起動させる。

「どったの、なのはちゃん?」

「いえ、別になんでもないです」

どこか達観したようななのはに微笑を返しつつ、忍はテレビ画面へと視線を戻す。
つられるようになのはも視線を移し、ゲームが始まる頃にはすっかりいつものように対戦する二人であった。



「お嬢様、朝です。このままでは学校に遅れますよ」

「うーん、後五分だけ寝かせて恭也〜」

「駄目です。早く起きてください」

「う〜……おはよ〜。あ、そうそう、学校にもその格好で行くのよ」

「本気か!? じゃなくて、本気ですか!?」

「勿論よ。学園からの許可はちゃんと取ったから」

「やけに素早い対応ですね」

「まあね〜。腐っても月村家のご令嬢だもの」

「……とっとと起きてください」

「うーん、今ちょっと口調が可笑しくなかった?」

「気のせいでございますよお嬢様」

――朝も早くから執事の仕事は始まる。
  それは家だけでなく、学校でも同様で。

「お嬢様、昼食に時間でございます」

「うん。それじゃあ、今日は中庭で食べようかな」

「……今日はいい天気ですね」

「ええ、だから中庭に行こうって言ってるんじゃない」

「他の生徒も大勢行っている事でしょうね」

「そうね〜」

「ちなみに、お嬢様は普段なら絶対に中庭に出ませんよね。暑いとか、めんどくさいとか言って。
 場合によっては、昼食そのものをお取りにもならなかったと記憶してますが」

「よく知ってるわね。流石は我が月村家の執事だけあるわ。
 でも、今日は中庭の気分なの」

「……分かりました。さっさと用意しやがりください」

「うん? 今の何か可笑しくなかった?」

「何がでございましょうか?」

「うーん、気のせいだったのかな?」

「はぁ、私にはよく分かりませんが?」

「まあ、良いわ。それじゃあ、行きましょう」

「……はい」

――執事とは、主人に仕え、時としてその身を盾とすることもある。

「うーん、思ったよりも暇ね。折角、優秀な執事がいるんだから、誰か狙ってこないかしら。
 あ、そうだ。私を泣かせたら賞金を出すってあちこちに知らせたら、きっと楽しい事になるかも」

「やめんか!」

「あれ? 今…」

「気のせいでございます」

「え、そう?」

「はい」

「まあ、そんなのは良いわ。とりあえず、さっき言った事を実行しましょう」

「お嬢様、そのようなくだらない事に頭を使う暇がありましたら、
 宿題でも片付けている方がまだましというものです。
 寧ろ、そうしてください。周りに被害も出る事無く、多くの人も喜びます。
 と言うか、自分から危険な状況を作るなんて、バカ以外の何者でもありませんが。
 まさか、お嬢様がそのような事を本気でするとは思えなくもなくとも思えませんと言っておきますので、
 よくよくお考えになられた方が宜しいかと」

「??? ねぇ、やっぱり何かおかし……」

「何がでございましょか。私、明日の準備で忙しいので、ノエルさんと代わっても宜しいでしょうか?」

「仕方ないわね。それじゃあ、明日もお願いね」

「はい、かしこまりました。……くれぐれも可笑しな考えだけはしないでくださいませ」

「分かった。分かったってば」

――心休まる日々が減っていく恭也。

「うーん、暇ね。ちょっと警備システムでもいじろうかしら」

「因みに、それは出来上がった後にテストをされたりするんでしょうか?」

「勿論よ。という訳で、お願いね恭也」

「……それは既に執事の仕事の範囲を超えているような気がするのですが、我が愛しいお嬢様?」

「愛しいだなんて照れるわね」

「……皮肉です、お嬢様」

「喧嘩売ってる?」

「とんでもありません、お嬢様、冗談でございますよ」

「そう、まあ良いけれど。とりあえず、テストはお願いね」

「納得はしてませんが了解しました、美しきお嬢様」

「あら、ありがとう。でも、お世辞を言ってもやってもらうわよ」

「そうですか、では取り消しますお嬢様」

「……やっぱり喧嘩売ってない? ねぇ、恭也?」

「とんでもねぇですよ」

「段々、恭也がやさぐれているような気がするんだけれど?」

「……滅相もありません」

「そう、なら良いのよ。という訳で、今日の午後は警備システムの火力検査よ」

「火力って何だ、火力って! ……でございますお嬢様」

そんなこんなで恭也の苦悩の日々は続く……。
恭也のごとく、忍に仕えて プロローグ







今回はパロで。
ハヤテの〜とクロスは前にやったからな。

美姫 「今回はそれっぽい設定で忍に仕えたのね」

おう。本当は恭也がもっと壊れる予定だったんだが。
いや、段々壊れていく恭也。壊れギャグになる予定だったんだがな。
まあ、ネタでは難しかったということで。

美姫 「はいはい。言い訳は見苦しいわよ」

ぐぅ。と、今週はあまり時間がないんだった。

美姫 「え〜」

え〜、じゃない。という訳で、少し早いですが今週はこの辺で。

美姫 「また来週〜」


7月20日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、日々を頑張りながらお送り中!>



う、うぅぅ。

美姫 「いや、いきなり初っ端から何よ」

うぅぅぅ。こ、今週……。

美姫 「今週?」

一本もSS書いてない……。

美姫 「このおバカ!」

ぶべらっ!

美姫 「泣きたいのはこっちよ! 何してたのよ!」

ちゃんと書いてましたよ。

美姫 「なら、何で更新されてないのよ」

ちゃうねん、色々とあんねん。

美姫 「ほう、色々ね」

ああ。まず多いのは保存してなか……ぶべらっ!

美姫 「で、他に言い残す事は」

ち、違うんや! 最後まで聞いてくれ!
ほら、俺はノートパソコン苦手じゃないか。

美姫 「キーボードが上手く押せないのよね」

おう! 何故か、隣のキーまで一緒に押してしまう。
と言うか、コンパクトに纏まりすぎだよ。

美姫 「いや、だからこそのノートじゃないの?」

コホン。まあ、それは置いておいて。
そんな訳で普段はデスクトップなんだが、今回は式の所でちょろちょろと打ってたんだ。

美姫 「式はノートだものね。だから、遅くなったなんて言い訳は駄目よ」

いや、そうじゃなくてリリ恭なのを半分ぐらい、いや、もっと書いたかな。
兎も角、それぐらいの時に急にブツンって電源が落ちた。

美姫 「バッテリー切れたの?」

まあ、結論から言うとそうなんだが、自宅でコンセントから電源供給して使ってたのにだぞ!
しかも、その状況で使うのが殆どだから、
式のノートはバッテリーが少なくなっても警告が出ない設定だったみたいで。
全く保存してなかった。
いや、最初の三行ぐらいの状態では保存してたんだが。

美姫 「前のPCクラッシュに懲りて、豆に保存するようになったんじゃ」

いや、他人のPCだと変換が上手くいかなくてな。
いつもよりも進みが遅い、遅い。

美姫 「それがどう関係するのよ」

うん、だからついつい変換に時間が取られて保存するのを失念していたんだよ。

美姫 「単にアンタがバカなだけじゃ」

いや、それを言われると身も蓋もないんだけれどね。
確かに保存を忘れたのは俺だよ!
けれどな、ノートとはいえACアダプターを差している状態だぞ。
誰がバッテリー切れなんて想像する!

美姫 「そう言えば、何でそんな事になったの?」

うん。式も驚いて色々と調べてたな。どうやら、ACアダプターが故障したみたいだ。
しかし、ACアダプターだけってのも買えるみたいだが、高いんだな。
驚いたぞ。

美姫 「まあ、その辺りは今は良いけれど、つまりはそれでPCが落ちて……」

保存してなかったから、全部パ〜。

美姫 「ちなみにアンタの頭もパ〜♪」

あははは。って、なにをぅ!

美姫 「はあぁっ!? 何か文句でもあるっての!?」

ご、ごめんなさい。でもね、でもね、頑張って書き直しているんだよ。

美姫 「当たり前よ!」

うぅぅ、優しさが欲しい。

美姫 「失礼ね。私の半分以上は優しさで出来ているのに」

……………………。

美姫 「なによ、その沈黙は」

いや、優しさ?

美姫 「そうよ。ただ、アンタにはその部分が向かわないだけ」

いや、向けてくれよ!

美姫 「あ、そろそろCMを挟まないと」

いやいや、そこはちゃんと聞けよ。

美姫 「それじゃあ、CMで〜〜す」

お願い、本当に一欠けらでも良いから優しさを……。







日本有数の名家で、その当主である女主人を前に恭也は少し緊張気味に姿勢を正す。
そんな恭也の様子を妖艶な微笑で見つめながら、金髪の女性は沈黙を保つ。
その視線にか、それとも沈黙にか、あるいは両方に耐えれなくなったのか、恭也から話し掛ける。

「それで護衛の依頼と聞いたのですが」

「ええ、そうよ」

恭也の問い掛けに対して短く返しながら、ゆっくりとけれども優雅に組んでいた足を入れ替え、再び微笑を浮かべる。
楽しそうに細められる目はしかし、恭也を見定めるかのように観察するソレであった。
それに気付き恭也もまた沈黙でただ返す。
雰囲気の変わった恭也に女性は小さく感嘆の息をばれないように零すと、少しだけ伸ばした舌で唇を舐める。
もう一度じっくりと恭也を見た後、不意に組んでいた足を解き、だらしなくソファーに背を預ける。
さっきまでの雰囲気も霧散する。

「ふー、やっぱりああいうのって疲れるわね。あ、恭也さんも気楽にしてくださっていいわよ」

「は、はぁ」

言われたものの、急変振りにただ困ったような表情を見せる。
そんな事を一向に気にせず、女性はかなり砕けた調子で話してくる。

「それで護衛の方を頼みたいのだけれど、護衛をしてもらうのは私じゃなくて娘の……」

その言葉に僅かに驚く恭也に女性は言葉を区切り、首をちょこんと傾げる。

「いえ、すみません。ただ娘さんが居るとは思わなかったもので」

「ああ〜ん、嬉しい言葉だわ。それだけ私が若く見えるって事なのね」

「え、ええ、まあ。そ、それよりも護衛するのは娘さんの方で良いんですか」

「ううん、娘の婚約者の男の子を護衛して欲しいのよ。
 詳しい理由が知りたいと言うのなら教えてあげても良いわよ。あのリスティさんの知り合いみたいだし……」

暗に何かあるという口ぶりに、しかし恭也は頷く。

「差し障りのない範囲でできる限りの事を教えてください。
 特に狙ってくる相手の目的やどんな連中なのかも分かっているのなら」

「良いわよ。ただし、それを知るという事はかなり私たちに関わる事になるわよ。
 それは即ち、恭也くんも巻き込まれる可能性があるということ。
 だから、ここでそれを聞くか聞かないか決めて頂戴。勿論、護衛そのものを降りる事も可能よ」

真剣な表情で見つめてくる女性を見返し、恭也は少しだけ考えた後に力強く頷く。

「お願いします。勿論、口外はしません」

「ふーん、巻き込まれると分かってても引き受けてくれるんだ」

「はい。その為の力ですから。ですから説明をお願いします、九条院ラミアさん」

恭也の言葉を聞き、相好を崩すと女性は事情の説明を始めるのだった。



あの後ラミアから聞かされた話は正直、すぐに信じられるようなものではなかった。
だが、自身の周囲を鑑みれば、絶対にないとも言えないということに気付き、
それを受け入れるとともに、改めてに交友関係の深さに世の中の不思議をしみじみと感じる恭也であった。



指先ほどの小さな球体が発見されたのがそもそもの始まりであったという。
『LTスフィア』と名付けられたそれは全部で12個あり、現在の科学でも解明できず、
また、それを研究する組織があるということ。
その組織の第十二研究室室長がラミアであった事。
何よりも、このLTスフィアの特性はそれぞれに違う機構を持っているが、適正素体の心臓に埋め込む事で、
身体能力の格段な向上――人としてのレベルを凌駕する程――に始まり、回復力までも異常なほどに向上させる。
問題は、組織には秘密にしていたラミアが個人として所得していた十三番目のLTスフィアである。
これをラミアは瀕死の重傷を負った娘アリスへと委嘱したのだ。
その自己治癒機能に期待して。それは上手くいき、アリスは今も元気に生活しているという。
その後、ラミアは自分の研究を譲り、組織から抜けて娘と二人で一緒に暮らすようになったのだ。
ここで終わっていれば良かったんだが、少し前に組織から同じくLTスフィアを移植された者、
キリングドールがこの街にやって来たのだ。それにより、アリスの事が、13番目のスフィアが発覚した。
とは言え、研究を一人占めしたがる相手であったため、組織には未だにアリスの事は報告されていないのだが。
ただ、このキリングドールの後に十番目(テンス)が街に来ているのだ。
逃げるのではなく戦う事をアリスが選んだために、未だにこの街での生活をしているという。
そこで問題となってくるのが、アリス本人ではなくただの人間であるその婚約者の存在である。
故に恭也への依頼はアリスが戦う事になった時に、その婚約者――鬼百合三月の安全を確保する事である。
事情を聞いた恭也は既に依頼を受けたものとして扱われ、恭也もまたそれに不満もなく、
今は九条院家でアリスの帰宅を待っているのである。
三月にはぎりぎりまで秘密にするが、アリスには話しておくためである。
因みに、娘のアリスが皇城学院中等部に通っていると聞いたとき、恭也は何とも複雑な顔を見せた。
この年で婚約者とは、最近の若い子は進んでいるなと感想を漏らし、
ラミアに貴方もまだ若いでしょうにと笑われた事は記憶の奥にしまい込む。
今までのやり取りを思い返しながら整理していた恭也はラミアに声を掛けられて立ち上がる。
アリスが帰宅したらしいので玄関まで迎えに行くとの事である。

「ただいま帰りました」

「お邪魔します」

聞こえてきた声は二つ。ラミアの後ろに付いて玄関まで行けば、ラミアと同じような金髪の少女と、
もう一人よく日に焼けた少年がいた。
恐らく、彼が鬼百合三月なのだろう。
向こうもこちらに気付いたのか軽く頭を下げてくるので、恭也も同じように返す。
娘のアリスの方も恭也へと視線を向け、ラミアへと尋ねる。

「所でお母さま、そちらの方はお客様ですか?」

「そうなのよ。この人は高町恭也さんと仰ってね……」

言って恭也の腕を掴んで自分の腕に絡める。
突然の事になすがままに引き寄せられ、アリスの前へと連れてこられる。
アリスはラミアが恭也と腕を組んだのを見て、やや引き攣った笑顔を浮かべる。

「随分と仲は宜しいようですが、まさか新しいお父様だなんて言い出しませんわよね?」

「あら、よく分かったわねアリス」

「そうなんですか。おめでとうございますラミアさん」

「ちょっと三月くん。あなたって人は何を言ってるんですか!」

言いながら三月を蹴るアリス。
止めなくても良いのかとラミアに視線を向けると、いつもの事と笑いながら返って来る。
またその二人の態度を見たアリスは、まるで目と目で分かり合っているかのようにも見える二人に、
更に蹴りに力が込められる。

「本当に何を考えているんですかっ!」

「ご、ごめんアリス」

訳も分からずに謝る三月と、完全な八つ当たりをしているアリスを見て、
流石に止めた方が良いかとラミアが間に入る。

「はいはい、アリスもそこまでにしておきなさい。
 幾ら三月くんが優しいとはいっても、完全な八つ当たりでしょう」

「それをお母さまに言われたくはありません!
 と言うか、本当に再婚相手なんですか!」

「まさか〜、違うわよ。彼はね、私の古い友人の友人」

「その友人の友人が何でここに居るんですか?」

「うーん、それは後で説明してあげるわ」

一瞬だけ見せた真剣な表情のラミアに、それがスフィア関係だと聡いアリスはすぐに悟り、
この場で追求するのは止める。しかし、その目は後でちゃんと説明してもらうと雄弁に語っていたが。



これが、高町恭也が更なる非日常へと巻き込まれていく前触れであり、その初日であった。

十四番目は護衛者 プロローグ 近日XXXX







美姫 「ほらほら、さっさと書きなさい! 一度書いたんだから、そこまではすぐに書けるでしょう!」

人間の、ましてや俺の記憶力をそこまで過信するなよ〜。

美姫 「いや、幾らなんでも数日前の話じゃない」

えっへん!

美姫 「威張るな! ねぇ、本当に忘れたの!」

いや、元々話しの流れは出来てるからそこは問題ないんだよ。
ただ細かい部分は流石に全部覚えてないって。

美姫 「つまり、少しは覚えてるんでしょう。だったら、さっさと書き上げなさいよ」

だからこうして頑張ってるじゃないか!

美姫 「その頑張りはね、書き上げてアップして初めて意味を成すのよ」

それは厳しいな〜。

美姫 「当たり前のことじゃないのよ!」

ぶべらっ!

美姫 「ほらほら、早くしなさいよ! あ、そうだ良い事思いついたわ」

その場合の良いこととは、大抵俺にとっては悪い事なんだが。
まあ、一応聞いてあげよう……ぶべらっ!

美姫 「何で上から目線で喋るのかしら?」

き、聞かせてください。

美姫 「そこまで言うのなら仕方ないわね。つまりね、ショック療法よ」

ショック療法?

美姫 「そう。記憶喪失物で一度は出て来る案よ」

つまり、強い衝撃を与えてというやつか。

美姫 「その通りよ」

……待て待て待て! この場合、殴るの美姫。
殴られるの俺、だよな。

美姫 「当然でしょう。いくわよ〜」

いやいやいや、大抵その手の方法では戻らないだろうが!
それに、悪化したらどうするんだよ。

美姫 「これ以上バカにはならないから大丈夫!」

そういう問題じゃない!
そもそも、良くあるパターンだが実際にするのはそんなに多くないんじゃないのか。

美姫 「だからこそ、成否がちゃんと立証されてないのよ」

いや、それ違うから!

美姫 「それにね。常に同じパターンだけでは新しい何かは生まれないわ」

それ、こんな状況で言われても感動しねぇよ。

美姫 「問答無用! 記憶よ戻れ!」

掛け声はいつもと違うけれど、やってる事はいつもといっし……ぶえらぼげぇっ!

美姫 「どう、戻った?」

……た、ただ痛いだけ。

美姫 「やっぱりいつも殴ってるから今更だったのかもね」

そう思ってたのなら、やらないでくれ頼むから(涙)

美姫 「あ、もうこんな時間だ」

いやいや、思いっきりあからさまな話の逸らし方だな、おい!

美姫 「なら、このまま続けても良いの? 続けてても書かせるわよ」

……書くほうに集中させてください。

美姫 「初めから素直にしておけば良いのに」

俺か、俺が悪いのかっ!?

美姫 「はいはい、バカの戯言は聞き流しつつ……」

う、うぅぅ……今週はこの辺で(涙)

美姫 「それじゃあ、また来週ね〜」

来週こそは優しさに触れれますよーに!


7月14日(土)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記……って、今日は違うから!

美姫 「もう何をするのよ」

それは滅茶苦茶俺の台詞!
今日は昨日のお知らせの続きと言うか、報告だっての。

美姫 「はいはい、分かったわよ」

昨日言ってた、HPの容量限界ですが、これが解消されましたのでご報告を。

美姫 「いやー、本当に助かったわね」

ああ。これでどんどん募集しても大丈夫!
すぐに頂き物2の方でも見れるようにしますので。

美姫 「今回は報告だけですので、この辺で」

ではでは。


7月13日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、産地直送でお届け中!>



いきなりですがお知らせです。

美姫 「頂き物の全表示、つまり頂き物2の方が容量上限となってしまいました」

なので、今日以降アップしたものはこちらでは見ることが出来ません。

美姫 「他の方法がないか、現在探してますのでお待ちください」

一応、頂き物2は急遽作った分だから、なくなるかもというのは言ってたよね、ね。

美姫 「はいはい。にしても、HPの容量を越えるだけの作品が投稿されているのね〜」

いやー、改めて皆さんに感謝です。
と、お知らせはこれだけかな。

美姫 「後はアンタのSSの進み具合だけれど……」

まあ、これは聞くまでもないですな。

美姫 「いや、自分で言わないの」

あははは。まあ、頑張ってますという事で。
と言うか、珍しく書いているからな。

美姫 「はいはい。……って、本当に珍しいじゃない!」

そこまで驚かんでも……。良いけれどさ。

美姫 「それじゃあ、今日はちょっと早いけれど……」

そうですな〜。早速いきますか。

美姫 「CMで〜す♪」







「……むぅ。これまた面妖な。とは言え、このままここに捨て置くというのも寝覚めも悪い」

やたらと裾の短い服を着込んだ、鋭く吊り上り気味の眼差しをした少女は地面を見下ろしながら、
そうひとりごちるとその場に屈み込む。

「やはりただ気を失っているだけか。さて、どうしたものか」

少女は目の前に倒れている青年の身体を調べ、特に外傷がないと確認してそう結論を出す。
残る問題はこの青年をどうするかであった。
さっきまでは連れ帰るかと考えていた少女であったが、
青年の身体を調べている内に幾つかの武器を発見したのである。
それも袖や服の内側といった個所から、暗器のようなものを幾つか。
このまま連れ帰り、自身の主に危害を加えるものであったら。
そこまで考えて少女は見なかった事にしようと本気で考える。
が、天は倒れた青年に味方したのか、少し離れた所からその主の自分を呼ぶ声が届く。

「思春、思春」

とりあえず、主をここに近づけてはまずいとこの場を離れようとするも、それよりも先に辿り着いてしまう。

「こんな所にいたのか。ん? そこで倒れているのは誰?」

「蓮華さま、敵かもしれません。不用意に近付かないでください」

思春と呼ばれていた少女の言葉に眉を顰め、その場に足を止めるも倒れている青年を見遣る。

「気を失っているのなら、敵か味方かも分からないでしょう。
 とりあえず城に運びましょう」

「しかし、もし我らが呉に仇なす者ならば……」

「武器を取り上げておけば問題ないでしょう。それに、いざという時は頼りにしてるわ」

「……分かりました」

主にそこまで言われては思春も強く反対できず、倒れている青年を背負うのだった。



客室の一つへと運び込みまれ、ただ気を失っているだけという診断を与えられた青年は未だに眠り続ける。
その部屋には思春とその主である蓮華の姿があった。

「それにしても、変わった服ね。光を反射するなんて」

「蓮華さま、できれば身元がはっきりと判明するまでは退室して頂きたいのですが……」

蓮華もまた思春が自分の身を案じているというのは痛いほどに理解している。
だからこそ、ここは思春の言葉に従おうと頷きかけたのだが、その時気を失っていた青年が小さく呻く。
呻いたかと思えば、ようやく意識を取り戻したのかゆっくりと瞳を開く。
夜の湖面を思わせるように静かで深さを感じさせる黒い瞳を数度瞬かせ、現状を把握するように周囲を窺う。
そこで思春や蓮華に気付き、青年は身体を起こす。

「……すみませんがここは?」

事態が飲み込めていないのか、まずそう尋ねてきた青年へと思春が呆れたように返す。

「何も覚えていないのか。それとも惚けているのか。
 ここは……」

思春の言葉に青年は本当に分からないのか首を傾げている。

「貴方はこの近くの山の中で倒れていたのだけれど、本当に覚えてないの?」

「山? そんなバカな。俺はあの瞬間まで確かに一刀と一緒に学園に……。
 そう言えば、倒れていたと仰いましたが、お……私の他に人はいませんでしたか?」

青年の言葉に二人は揃って否定を現す。
その言葉に少しだけ考え込むも、すぐに考えても仕方ないと思ったのか顔を上げる。

「どうやら助けて頂いたようですね。お礼を言うのが遅くなってしまいました。
 改めてありがとうございます」

ベッドのような寝具に一枚の布を引いただけの簡素なベッドに正座をし、青年は蓮華たちに頭を下げる。

「私の名前は高町恭也と申します。迷惑ついでに申し訳ないのですが、電話をお借りできませんか?
 どうやら、自分の携帯をどこかに落としてしまったみたいでして……」

携帯だけでなく武器の類も一切ないのだが、それは多分介抱する時に外されたのだろうと推測する。
だが、恭也の発した言葉に蓮華と思春は顔を見合わせて不思議そうな顔をする。

「申し訳ない。その電話というのは何なのだ?」

冗談かと思ったが本気の顔で蓮華はそう尋ね返すと、今度は恭也のほうが不思議そうな顔になる。

「遠くにいる人と連絡を取る機械なんですが……」

「機械というのはよく分からないが、要は急使を出して欲しいということか」

「蓮華さま、流石にそこまでするのは……」

「いえ、そうではなくて……」

思春の言葉を遮るような形となったが、改めて恭也は電話の説明を簡単にするも、
返ってきたのは蓮華のあからさまではないが何処か憐れむような視線と、
思春の明らかに可哀想な子を見るような視線だった。

「高町と言ったか。お前の言うような便利な物があるのなら、前線への指示がそぞかし楽になるであろうな」

「何故、そんな目で見る。蓮華さんまで……」

「貴様! 蓮華さまの真名を気安く!」

激昂したように飛び掛ろうとした思春を蓮華が一声で止める。

「よしなさい、思春。こちらが名乗っていなかったのだから、仕方ないでしょう」

「名乗っていなくとも! ……いえ、失礼しました」

「私は姓は孫、名は権、字は仲謀。そして、真名が蓮華」

「蓮華さま、真名までお教えになる事は……」

「既に知られたのだから。それよりも、次は」

「はい。姓は甘、名は寧、字は興覇。真名は思春だが気安く真名で呼ぶなよ。
 勿論、蓮華さまの真名を呼ぶのも禁止だ。本来なら貴様のような奴が呉の王であらせられる蓮華さまに……」

「思春」

「はっ、申し訳ございません」

それぞれに名乗りを上げた二人であったが、肝心の恭也は驚いたような顔をして蓮華を見ている。
その視線に怪訝そうな表情になるのを見て、恭也は首を振る。

「いえ、すみません。別にその名前が実際にあっても可笑しくはないですね。
 それよりも電話……。呉の王? 呉とはあの呉なんですか?」

ふと気付いたように尋ね返した恭也に、思春は即座に返す。

「他にどのような呉があるというのだ」

「そうではなくて……。呉に孫権だと……。まさか過去。
 いや、そんなはずは。目の前にいるのは女性だし。まさか、夢でも見ているのか……」

突然ブツブツと何か言い出した恭也から思春は思わず一歩後退る。
何やら混乱していると見たのか、蓮華は気分転換でもと外に出る事を勧める。
当然のように思春は反対したが、結局は蓮華に押し切られる形で三人は外へと出る。
この事が余計に恭也を混乱させる事となるとは、二人は思いもしなかったのだが。
同時に、この事で恭也は自分の置かれた状況を信じられないながらも受け入れる事となるのだが。



「私は呉の国王だ。勿論、それは分かっている。
 家臣や民草たちのためにも王として常に相応しくありたいとも思っている。
 けれど、今だけは、少しの間だけ……。お願い、恭也」

――若くして呉の王となった少女 蓮華



「孫権様の御為に闘うというのであれば、今からお前とは戦友だ。特別に真名で呼ぶ事を許してやる」

――孫権へと篤い忠義心を持つ親衛隊隊長 思春



「お兄ちゃん、お兄ちゃん。今度はあっちのお店に行こうよ」

――好奇心旺盛な蓮華の妹 小蓮



「ん〜、孫権様がそう決められたんならそれで良いんじゃないですか? それに面白そうですし〜」

――呉の副軍師 穏



「……孫権様があそこまで強固に取り入れたのだ。高町殿の強さ、しかと見極めさせてもらいますよ」

――冷徹な策略家 冥琳



「行く所もない、帰る方法も分からない。そんな状況を助けてもらった恩もある。
 何よりも、俺が力になってやりたいと思ったんだ。故に、そこは押し通らせてもらうぞ」

――とんでもない迷子の剣士 高町恭也



「はぁぁっ!? 恭也じゃないか! やっぱり恭也もこっちに来てたのか!?
 って、呉の将軍ってお前何をやってるんだ……」

「それはこっちの台詞だと思うぞ、一刀。俺よりもお前の状況の方が凄い事になってないか?」

「あははは、まあな」

思わぬ再会あり



「お兄ちゃん、一緒に寝ようよ〜」

「いや、だからな小蓮……」

「ちょっと小蓮、いい加減にしなさい!」

「べぇーだ。お姉ちゃんに言ってるんじゃないもん。シャオはお兄ちゃんに言ってるんだもん。
 お兄ちゃんだって、お姉ちゃんよりもシャオの方が良いよね、ね」

思わぬ誘惑あり?



「モテモテですね、恭也さん〜」

「何処をどう見たらそうなるんですか、穏さん。
 と言うか、見てないで止めてください!」

「あらあら〜、確か今日は西の大陸の本が届くはずでしたわ〜。
 そういう訳で、失礼しますね〜」

「ちょっ、逃げないでください!」

海鳴に居た頃とあまり変わらない騒動の日々あり



「流石は関羽。とんでもないな。だが、こんな機会はまとない。
 少々、不謹慎かもしれないが歴史に名を残すほどの武将と手合わせができるとは光栄ですよ」

「こちらこそ、これ程の武を持つ者と手合わせできて光栄です。
 正直、呉の国に突如現れた将軍がこれ程とは思っていませんでした」

「……鍛錬とは言え、手加減はしません」

「それはこちらも同じ……」

いつも以上の鍛錬の日々あり



異世界の三国志に似た時代へと放り出された恭也。
けれども意外と充実した日々を送っていた。
これは突然訳の分からない世界へと飛ばされた、ちょっとだけ不思議なお話。

恋姫双剣 プロローグ







はぁぁ〜、孫権が書けて満足〜。

美姫 「本当に満足そうな顔をしてるわね」

まあな。とは言え、孫権との絡みが少ないのは不満だな。

美姫 「いや、アンタが書いたんでしょうが」

あははは。こういうのも面白いかなと思ってな。

美姫 「一刀が原作通りで、恭也が呉なのね」

おう。魏も考えたんだがな。
今回は呉で。

美姫 「今回って、次回もあるの?」

いや、ネタだからどうなるかは分からないが。言葉のあやだよ。

美姫 「でしょうね。まあ、それは良いんだけれど……」

良いけれど、何だ?

美姫 「いや、時間がもうないわよ」

何故!? って、CM長すぎたか!?

美姫 「みたいね。と言うのは冗談で」

冗談なのかよ!

美姫 「うん。まあ、正直に言うと既に報告する事は済んでるし、
    いつものようにSSの進み具合で苛めようにも、珍しく書いているし」

ほっ。うんうん、いいことだよ!
まあ、ちょっと短いけれど、今週はこの辺でと言う事で。

美姫 「仕方ないわね。それじゃあ、また来週ね〜」

ではでは。


7月6日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、精一杯お送り中!>



はぁぁ。

美姫 「初っ端から不景気な声出さないでよ。ただでさえ、天気も良くないんだから」

何か身体がだるい〜。
はっ! これが夏バテ!?

美姫 「はやっ! 幾らなんでも早すぎるでしょうそれは!」

うぅぅ、俺は暑さに弱いから、もう夏ばてでも早くないんだよ〜。

美姫 「というよりも、アンタのはただの怠け癖でしょうが!」

ぶべらっ! 酷いよ、美姫ちゃん。

美姫 「酷いのはアンタの頭」

いや、本気で酷いな、おい!

美姫 「それよりもねぇ」

それよりもって……。

美姫 「いいから! それよりもSS、どれぐらい進んでいるのよ」

……ただいま留守にしております。
ご用件のある方はピーという発信音の後にメッセージをお入れください。
ピー。

美姫 「さっさと書け、このバカ!」

ぶべらっ! な、何故、殴るです?

美姫 「いや、ピーって鳴ったから」

メッセージだけ残せ!
何処の世界に留守電で殴る奴がいるんだよ!

美姫 「いや、そもそも留守電じゃないし、本人目の前に居るし」

くっ! ああ言えばこう言う奴だ。

美姫 「言っておくけれど、今回はアンタの方がおかしいんだからね」

今回は? という事は普段はおまえの方がおかしいと認めたんだな!
あははは〜、やっぱり最後に正義は勝つんだ!

美姫 「煩い!」

ぶべらっ!

美姫 「言い方が悪かったはね。今回も、よ。私はいつだって正しいのよ。
    正義は我にあり! いいえ、私が既に正義なのよ!」

危ない革命家か、お前は……ぶべらっ!

美姫 「で、結局のところはどうなのよ」

う、うぅぅ。予定よりも送れているが、リリ恭なのを頑張ってます。

美姫 「本当に遅れてるわよね。本当なら今月中には完結もしくは、その手前のはずだったのにね」

いやいや、本当にどうしたもんだろうな。

美姫 「いや、人事みたいに言わないで」

うぅぅ、書きたいのに時間が、時間が……。

美姫 「はいはい、さっさと書く、書く」

分かってるよ〜〜。

美姫 「とりあえず、こっちはCMへ〜」







己が寿命が近いことを感じ取り、その者はとある儀式を行う。
それが後にこの大陸に大きな騒動を起こす事になると、果たして予想していたのかどうか。
それは誰にも分かりはしなかった……。



深夜、鍛錬から戻った恭也と美由希の耳に聞こえたのはの、なのはの悲鳴。
場所は当然の如く、眠っていたであろうなのはの部屋から。
靴を脱ぐのももどかしく、土足のまま恭也はなのはの部屋へと向かう。
美由希もそれを咎める事などせず、自分もまた土足のままで上がる。
悪戯などではない本当の悲鳴が聞こえたのだから。
寝ぼけていたのならまだ良い。
後で桃子になのはには甘いと言われて笑われる中、二人で家の掃除をするぐらいどうと言う事もない。
だが、そうでなかったら。
当然の如く、桃子が部屋から顔を見せるがここで待つように指示をして二人は階段を駆け上がる。
部屋の前ではレンと今日は泊まっている晶がなのはの部屋の前に立ち、激しく扉を叩く。
鍵など掛けていないはずなのに扉が開かないのだ。
焦った顔をはっきりと滲ませつつも二人は扉を叩く、いや、殴りつけている。
その拳からは微かに血が滲んでいる事から、かなり強い力で叩いたのは間違いない。
それでも木製の扉はびくともせずに二人の前に立ち塞がる。
やって来た恭也と美由希は現状を理解し、二人の名前を呼ぶ。
恭也と美由希の姿を認めて少しだけ表情を緩めるも、不安そうに扉を、その向こうのなのはへと視線を飛ばす。
見えない分、余計に不安をかき立てる中、恭也と美由希は躊躇なく扉を蹴破る勢いで蹴りを放つ。
だが、二人の力を持ってしても扉が破られる事はなく、その事に軽く驚きを見せる。
何か普通ではない力が働いている。
瞬時に那美の顔を思い出した恭也であったが、自分ではなくレンと晶に連絡するように頼むと、
美由希と二人、小太刀を抜き放ち、扉を打ち破らんと同時に奥義を繰り出す。
雷徹の同時攻撃に攻撃の前に、蝶番が弾け飛び、扉が中へと倒れて行く。
それを足で更に加速させ、最初に恭也が部屋に飛び込む。

「なのは!」

部屋に踏み込むなり、その状況になのはの名前を叫ぶ。
だが、肝心のなのはは意識を失っているのかぐったりとしたまま答える様子もない。
宙に立った状態で浮いたなのはの体を、淡く光る蒼白いナニかが絡め取るように、
まるで蛇がとぐろを巻くように巻きついている。
恭也と美由希だけでなく、那美へと連絡しようとしていた晶やレンも同時になのはへと向かう。
二人の後ろには異変を感じたのか、ここへとやって来た桃子もいた。
だが、誰もなのはに近付く事も出来ず、見えない力によって弾かれる。
全員が倒れる中、なのはの身体が光を放ち始め、その姿が薄っすらと揺らいでいく。
それを見て五人は起き上がると必死になのはの元へと向かう。
だが、見えない力によって押し戻されようとする。

「くっ、こんのぉぉ、おいレン手伝え!」

「何をや! ……なるほどな」

状況が状況だけにいつものような口による喧嘩もなく、レンは晶の言いたい事を理解すると了解と笑う。
体の前で腕を交差させた晶へと、レンは躊躇いなく攻撃する。
吹き飛ぶ晶の先には美由希とその少し前に恭也が。

「美由希ちゃん!」

すぐ後ろから聞こえた晶の声に美由希も即座に反応する。
見えない力によって勢いが減じたものの美由希の傍に吹き飛ばされてきた晶。
その拳に足を乗せ、同時に晶がその拳を振るう。
拳の痛みに顔を顰めながら、見えない力で吹き飛ばされる晶。
だが、吼破・改によって美由希はその力に逆らうように前へと進む。
その先には恭也がおり、二人のやり取りを見て即座にこちらも腕ではなく小太刀を交差させて身体を向ける。
恭也が交差させた小太刀を見て、美由希は即座に自身の小太刀を振るう。
なのはまでの距離と見えない力の強さを考え、美由希は再び雷徹を放つ。
同時に恭也もまた、こちらは威力を落とした雷徹を放ち、二つの力でなのはへと飛ぶ。
だが、後数センチ届かず指が空を切る。

「ちっ」

即座に恭也は伸ばした手から鋼糸を放ち、なのはの腕を絡め取る。
なのはの腕に傷を付けるかもしれないが、恭也は僅かに力を込めてなのはとの距離を縮めると、
今にも消えようとしていたなのはの腕をしっかりと掴み取り、その身体を抱き寄せる。
後ろで美由希たちの歓声が上がるが、恭也はすぐに異変に気付く。
なのはを包み込む光の帯が自分にも巻きついているのだ。
なのは同様に薄くなっていく自分の身体を見下ろしながら、恭也はなのはだけは離すまいと強く抱きしめる。
恭也と同じように美由希たちもその事に気付き、再び立ち上がる光景が映る中、恭也の意識は急速に失われていった。



「ここは……?」

目を覚ました恭也が目にしたのは、何処までも広がる荒野であった。
周りに人の姿もなく、恭也はなのはを求めて周囲を見るもなのはの姿も見えない。
唖然となる恭也であったが、少なくともなのははこの辺にいるはずだと動き出す。



「ここはどこですか?」

目の前にいる人とは違う角を生やした男らしき者へと恐々と尋ねるなのは。
目が醒めて周囲を見渡せば、神殿なのか宮殿なのか、どちらにせよ自分の部屋ではない所にいた。
この場にいる唯一の存在へと声を掛けると、男はなのはへと近付いてきて、

「血の継承を行います。新たなる魔王」

「魔王……?」

意味が分からないと首を傾げるなのはへと、男は歩を止めずに近付き本能的に恐怖を感じてなのはは後退る。

「い、いや……。お兄ちゃんっ!」



「私の名前は聖刀日光です。魔人を倒す武器」

「霊剣のようなものか。どちらにせよ、なのはを救うのにあなたの力が必要なんですね。
 なら、その力を貸してください!」

――聖刀日光を手に入れた恭也の旅はまだまだ続く。
  なのはを魔人たちから救うため、恭也は一人荒野をただ進む。



「遅かったな。たった今、血の継承は終わった。いまや、この子が今代の魔王だ」

「あ、なに、これ。わたしの中から変な力が。
 い、いや、怖いよ、お兄ちゃん」

――魔王となってしまったなのは。だがそれを拒み、覚醒を防ぐ。
  前魔王を倒し、恭也となのはは元に戻る方法を探して旅を始める。

全ての物語は今、ここから始まる。
リトルプリンセスなのは プロローグ 「新たなる魔王の誕生」

「って、ちょっと待て! これだけなのか!? 俺様の出番はーー!」

「ラ、ランス様、落ち着いてください」

「ええい、離せこのバカシィル。こうなったら、お前でこのたまった鬱憤を晴らしてくれるわっ!」

「そ、そんなぁぁ……」

  完







うーん、『リリ恭なの』予定よりも遅れているけれど、今年中というのは何とかなりそうだな。

美姫 「そこまで破ったらどうしてあげようかしら」

滅茶苦茶怖いんですが……

美姫 「あら、失礼ね。私はただ笑っただけなのに」

あ、あはははは……。
意地でも今年中に仕上げてやる。

美姫 「あら、残念」

あのな。とは言え、本当に予定外だったな。
これも全部サーバーが悪い、うん。

美姫 「あのね〜」

いや、半分ぐらいは冗談です。とは言え、少しは事実だし。

美姫 「はいはい。今は問題ないみたいなんだからいつまでも愚痴らない」

だってさ〜。

美姫 「良いから、それよりも手を動かしなさい!」

分かってるよ。

美姫 「そう言えばさ、結局の所、あと何話なの?」

ああ、それはな…秘密に決まってるじゃないか〜。

美姫 「決まってないのね」

いや、そんな事はないぞ。大体は決まってる。
ただ、ちょっと長くなりそうな予感もしてるだけだ。

美姫 「ほうほう」

ずばり、後約二十話。

美姫 「結構、掛かりそうなんだけれど」

だよな。終盤のはずなのに、何でだ?

美姫 「いや、私に聞かれても……」

と、冗談はさておき……。

美姫 「冗談かっ!」

ぶべらっ! う、実際は……。

美姫 「秘密なんでしょう、どうせ」

くっ、先に言われた。

美姫 「とりあえず、もう一発殴っても良い?」

ぐっ! い、言いながら既に殴ってるから!

美姫 「アンタの許可いらないし」

だったら聞くなよ!

美姫 「あ、もうこんな時間だ」

あからさまな誤魔化し方だな、おい!

美姫 「別に誤魔化さなくても良いのよ? ただし、その分殴るけれど」

おお、確かに時間だ!

美姫 「アンタのその変わり身の早さだけはさすがね」

褒めても何も出ないぞ〜。

美姫 「褒めてないわよ」

と、冗談はこれぐらいにして、本当に今週はこの辺でお終いかな。

美姫 「そうね。それじゃあ、また来週ね〜」

ではでは。










▲Home          ▲戻る



SSのトップへ