2009年5月〜6月

6月26日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、まだまだ安静中 とお届け中!>



久しぶりにいつもの曜日に放送。

美姫 「本当に誰かさんの所為で」

言わないで!
それと来週は更新できない――ぶべらっ!

美姫 「うふふ、どういう事かしら」

いやいや、来週だから、再検査!

美姫 「……そういえばそういうのもあったわね」

いや、ありましたよ。
今度こそ完治というお言葉が欲しい。

美姫 「一度貰ったんじゃなかった?」

うっ、もらったような違うような。
すぐに再発したからな。だから、今度こそ本当に完治を!

美姫 「はいはい。私も完治してくれないと更新させれないからね」

いや、お前は普段と変わらないような――ぶべらっ!

美姫 「それじゃあ、CMいってみよ〜」

や、やっぱり普段と変わりませんよね?







その昔、天界を騒がす一人の仙人が居た。
あまりの横暴振りを見かね、釈迦如来はその仙人――斉天大聖の前へと姿を現した……はずだったのだが。

「ふ〜、落ち着きますね、太上老君さま」

「そうじゃな。草木に囲まれて飲むお茶の何と上手い事か。のぉ、恭也」

釈迦如来の目の前では老人が二人、否、片方は確かに老人の姿をしているが、
残る一人はまだ若い二十歳そこそこの青年である。
だが、醸し出す雰囲気はまさに老成した空気である。
共に仙人であるのだから、見た目と実年齢に違いがあっても問題はないのだが。
そもそもの問題として……。

「え〜っと、斉天大聖が西王母の桃を食べたり、暴れまわっていると聞いたんですけれど……」

「おお、これは釈迦如来殿。それとも桃子殿とお呼びした方が宜しいかな」

「それはどっちでも良いんですけれど……」

件の罰を与えるべき斉天大聖は暴れておらず、寧ろ暢気にお茶を啜っていた。
困惑顔の桃子の前で、恭也は幸せそうにお茶をもう一口含む。

「あ〜、とりあえず折角来た事だし、ここは一つ悪さをして私に懲らしめられない?」

「……何故、そのような無駄な体力を。そもそも、どうして懲らしめられるために悪さをしないといけないんですか」

「だって〜」

その後も何とか悪さをさせようと唆すのですが、どうやら斉天大聖は真面目らしく首を縦に振りません。
終いには釈迦如来は涙目で恭也の手を取ると、お願いとまで口にします。
流石にそれには逆らえなかったのか、恭也は仕方ないとばかりにお茶菓子を包んでいた紙をその場に捨てます。

「これで良いですか」

「えっと、確かにポイ捨ては悪い事なんだけれど……。
 もうちょっと凄い悪さをしてみない?」

「そもそもお釈迦様が悪さをするように言うのはどうかと」

「だって〜。うぅ、もう良いわよ、ポイ捨ても立派な悪さだものね。
 という訳で……」

嬉々として手を上げると桃子はその両手を一気に引き下ろす。
するとそれに呼応するように大きな岩が恭也の頭上から落ちてきて、そのまま人間界まで恭也を落とす。

「しばらくそこで反省しなさい。あなたが心から改心したとき、おのずと道は開かれるでしょう」

「いやいや、しろと言ったのはそっちだし、そもそもポイ捨ても確かに悪いが、それでここまでするか?
 と言うか、充分反省しているのに抜け出せないぞ、これ!」

恭也の抗議はどこへやら、桃子は聞く耳持たずに一人天界へと帰っていきます。
その後姿を疲れたように見送る恭也であった。



されからどのぐらいの年月が過ぎたのだろうか。
何十年、いや、何百年のような気もする程長い年月が過ぎたある日、恭也の目の前に一人の僧が現れる。
彼女こそ天竺へと向かう三蔵フィアッセその人であった。

「そのような所で何をしているの?」

「それが俺にもさっぱりで。本当に俺は何百年もこんな所で何をしているんだろうな」

「うーん、理由は分からないけれど貴方は悪い人には見えないし、このお札を剥がせばそこから抜けれるかな」

言ってお札を剥がされると、恭也は簡単に岩を吹き飛ばして久しぶりに自由と慣れたのである。
お礼を述べ、何故このような山奥に来たのかを尋ねた恭也は、お礼にフィアッセを天竺まで護衛する事に決める。
こうして、二人の旅が始まった。



「……ちょ、猪八戒美由希と申します」

「えっと……。村の人に悪さしていると聞いたんだけれど」

「そ、そんな事してません!」

「だよね」

「寧ろ、人見知りが幸いして、人前で変に力み失敗しているといった感じか」

「み、見てたの!? わ、わざとじゃないんです!
 ちょっと何もない所で転びそうになって、近くの壁に手を伸ばして身体を支えようとしたんだけれど、
 力加減を間違えて壁を壊したり、転んだ弾みで持っていた武器を飛ばしてしまい、
 それが近くにいた人の顔のすぐ横に突き刺さったりしただけで」

「……あ、あははは。どうしよう、恭也」

「はぁ、本当に悪さをしていないとはいえ、このままここに居たらいずれ村人が襲い掛かってくるかもな。
 だとすれば、猪八戒はすまないが我々に退治されて心を入れ替えた事にして、旅に同行させるのが良いかと」

「だよね。そういう訳だから、美由希も一緒に行こう」

「良いの?」

「勿論だよ♪」




「うぅぅ、河童なのに泳ぎが苦手なんて恥ずかしくて、深夜にこっそり練習してただけなんですぅ」

「つまり、練習している沙悟浄を見て村人が勝手に驚いたんだね」

「そうなんです。あ、練習しているのを見られて、あまりにも動転していたんで水中に潜ったんですけれど……。
 間違って橋の足に頭をぶつけて、橋を壊しちゃったのも関係あるんでしょうか!?」

「間違いなく関係あるよ。だって、村の人たち橋を壊されて困っているんだし。
 そもそも、私たちもフィアッセが天竺に行くのに橋が壊れて、
 妖怪がいるから修復もできないっていうからここに来たんだし」

「そ、そんなぁ〜。本当にわざとじゃないんです。ちょっと昔からそそっかしい所があって……」

「そそかっしいで橋を壊されてもな。と言うか、何処かで似たような事があったな、美由希」

「うぅぅ、人事だと思えないよ、恭ちゃん」

「はぁ、言いたい事は分かるが……。どうする、フィアッセ」

「う〜ん、悪い子じゃないみたいだし、美由希の時みたいに一緒に連れて行こう♪」

「だそうだ、沙悟浄」

「ありがとうございます〜。あ、私の事は那美と呼んでください。これから宜しくお願いします」

次々と頼もしい仲間を増やしつつ、天竺への旅は続いていく。
そんな中、三蔵を狙う妖怪も姿を見せ始め……。



「ノエル、やってしまいなさい!」

「了解です、忍お嬢様。恭也様」

「何だ? って、身体が……」

「ああ、恭ちゃんが銀角の持っている瓢箪の中に吸い込まれた!?」

「ふふふ、極上のお酒が出来そうね。よくやったわ、ノエル。
 それじゃあ、引き上げるわよ!」

「って、狙いはフィアッセさんじゃないんですか!?」

「……ああ、そういえば徳の高い僧が狙いなんだった。すっかり忘れてたわ」

「って、そんな大事な事を忘れないでください! と言うか、那美さん、余計な事を言っちゃいましたよ!」

「ああ、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

思わぬ強敵の出現にピンチに陥ったり……。



「ふっふっふ。よくぞ、ここまで来たな三蔵一行よ! だが、お前たちの旅もここまでだ!
 この牛魔王さま自ら――」

「だぁ、ごちゃごちゃ煩いで、この阿呆猿! 折角の奇襲のチャンスを自ら潰すアホが何処におるねん!」

「誰が猿だ、このドン亀! そもそも奇襲なんて卑怯な手は嫌いなんだよ!
 第一夫人なんだから、大人しく夫に従ってろ羅刹女!」

「妻やからって大人しく言う事をきかんなあかんなんて事はない。
 寧ろ、愚夫を支えたらんとな!」

「てめぇ、誰が愚夫だ」

「言わんと分からんか?」

「…………って、何でおめぇと夫婦なんだよ!」

「それはうちの台詞や!」

「やるか!」

「望むところや!」

「…………えーっと、とりあえず今の内に行こうか」

様々な難敵(?)の猛攻を躱しながら、三蔵たちの旅は続いていく。
果たして、無事に天竺へと辿り着けるのか。



心遊記







うぅぅ、やっぱり体調がおかしいよ。

美姫 「この程度でへばっているんじゃないわよ」

ですよね。可笑しい。体力が落ちたという訳ではないはず。

美姫 「と言うか、体力使うような事でもないでしょうに」

だが、まあそれももうすぐだ。来週、来週こそ完治という言葉をこの手に!

美姫 「はいはい。そろそろ時間よ」

親切設計で今回は普段より時間も短く。
……短いよね。何かあまり変わらないような……。

美姫 「気のせいよ。それよりも、ほら」

だな。それじゃあ、今週はこの辺で。

美姫 「また次回でね〜」


6月15日(月)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、今月は療養中 とお送り中!>



こうして、正規のハートフルデイズは本当に久しぶりだな。

美姫 「前は掲示板への出張だったものね」

まあな。で、その時にも触れたが……。
現在、自宅療養中。安静にと言われたが、果たしてどの程度なら良いのかと悩んでいる状態だ。

美姫 「結構、動き回っているような」

だよな。入院中、俺自身知らなかったんだが、移動制限が掛かっていたいたらしい。
まあ、殆どベッドで大人しくしていたから、問題なかったが。
後で知って驚いたよ。

美姫 「いや、絶対に説明があったと思うわよ、それ」

え〜、された記憶ないけれどな。
まあ、ともあれ、少しずつ良くはなっているような気がする。

美姫 「で、また調子を崩して病院なんて事にならないでよ」

確かに気を付けないと。
何せ、原因不明のままだからな。

美姫 「まあ、それはそれとして、家に居るのならびしばしと更新できるわね」

いやいやいや。

美姫 「何でよ!」

本当に安静にしないと駄目なんだって。今度こそ完治したいし。
という訳で、投稿してくださっている皆さんにはご迷惑をお掛けしますが、
アップの方はいつもより少し時間が掛かります。
随時、ゆっくりとですがアップしていきますのでお待ちください。

美姫 「このへたれっ!」

ぶべらっ!
お、お前は容赦ないのな……。

美姫 「あら、本当に弱ってるわね」

あ、当たり前だ……。

美姫 「まあ、その内、力加減も覚えるでしょうから、それまでは我慢してね」

な、何かがおかしい気がする……。

美姫 「小さい事を気にしてたら駄目よ。それじゃあ、本当に久しぶりとなるCM、いってみよ〜」







古より歌として伝わる伝説がある――

神の左手ガンダールヴ。勇猛果敢な神の盾。
左に握った大剣と、右に掴んだ長槍で、導きし我を守りきる。

神の右手がヴィンダールヴ。心優しき神の笛。
あらゆる歌を操りて、導きし我を運ぶは地海空。

神の頭脳はミョズニトニルン。知恵のかたまり神の本。
あらゆる知識を溜め込みて、導きし我に助言を呈す。

そして最後にもう一人……。記すことさえはばかれる……。

四人の僕を従えて、我はこの地にやってきた……。

メイジたちの始祖であるブリミルが従えた使い魔に関する事柄である。
この歌からも分かるように、ブリミルには四匹の使い魔が居た。
ただし、それがどのような生物だったのかまでは記されておらず、ただその能力のみが伝わっているのみである。
それに関しても、一人に関しては記録からも消され、またこの歌も広く知られて伝わる事無く徐々に消えていき、
伝説は伝説としてのみ残るだけとなる。

だが、長い時を経て今、伝説は甦り、今日ここに最後の使い魔が召喚されようとしていた。



「だから相棒、やばいんだって」

「だから、何がやばいのかって何度も聞いているだろうデルフ」

ガリアとの交戦が目前と迫る中、サイトたちはトリスティン魔法学院へと一時帰ってきていた。
その理由は、虚無の担い手の中で唯一使い魔を持たないティファニアの護衛という名目の元、
何かと裏で企てをしているロマリアの教皇にして、
ルイズ同様に虚無の担い手であるヴィットーリオへと対抗する仲間を得ようと画策しての事である。
だが、昨日からサイトの愛剣にして知恵を持つ武器であるところのデルフが強行に反対しているのである。

「理由なんざとうに忘れてしまったが、とにかく最後の使い魔だけはやばいんだって。
 それだけは確かなんだよ」

理由を尋ねても忘れているのであれば、サイトは兎も角その主人であるルイズが納得するはずもなく、
口論を続ける二人の前で着々と召喚の儀式の準備が進んでいく。
それに気付いたデルフが更に止めようと喋り続けるが、その騒音に耐え切れなくなったルイズにより、
鞘へと押し込まれてしまう。尚も鍔をガタガタと鳴らせて抵抗を見せるが、
何故か持っていたロープでグルグル巻きにされてしまう。

「な、なあルイズ。幾らなんでもここまでしなくても良いんじゃないか。
 デルフも別に邪魔しようとしている訳じゃないんだし」

流石に何度も死線を共に潜り抜けてきた相棒の待遇に哀れみを感じたのか、サイトがそう口にするも、
返ってきたのは鋭い眼差しと、何を言っているんだと言わんばかりの態度であった。

「あのね、前にも話したかもしれないけれど、使い魔を呼ぶ儀式は神聖にしてとっても大切なものなのよ。
 それを口煩く邪魔しようとしているんだから、それぐらい当然でしょう」

そう言いつつ、ルイズは心の中では全く別の事を考えていたりした。
今まで出会った虚無の使い手たち。その使い魔はいずれも人であった。
だとするなら、テファが呼び出す使い魔も人である可能性は高い。
ましてやそれが異性であったなら、ひょっとすると二人は仲良くなるかもしれない。
そうすれば、サイトもテファに色目を使う事もなくなるだろう。
そんな思いがちょっぴりだけれどルイズの中にはあったりする。
何故そんな事を思うのかと聞かれれば、
巫女となったテファに自分の使い魔が粗相をしてはいけないからとかいう理由を口にするだろうが。
それは兎も角、純粋にテファを心配して使い魔を召喚しようとしているのも事実なのだ。
全ての準備が終わったのか、ルイズは召喚の為の呪文を確認するように呟いていたテファに声を掛ける。
幾分緊張気味ながらもルイズへと頷き返すと、テファはゆっくりと呪文を口にするのだった。
こうして、サイトの同郷にして海鳴市で平穏とは言えないながらも日常を過ごしていた高町恭也は、
今日、ここに異世界へと渡来を果たす事となったのである。
帰り道の分からない、片道切符の異世界旅行であった。



呼び出した直後は警戒していたデルフであったが、すぐに危険がないと判断したのか、今では喋り相手となっていた。
と言うよりも、デルフが一方的に喋っているのだが。
嫌な顔もせず、話を聞いてくれる恭也の存在は、自分では動けないデルフにとってとても良い相手となったのである。
一応、何だかんだと言いながらもデルフの言葉に少し警戒していたサイトやルイズも、
数日もすれば警戒心などまるでなかったかのように接していた。
それも恭也自信の人徳によるものもあろうが、サイトにとっては同郷というだけでもありがたい存在で、
ルイズにしてもサイトの浮気性を嗜めたり、愚痴を聞いてくれる恭也の存在はありがたいものであった。
テファは自分の使い魔と言う事もあるが、何よりもエルフという偏見を最初から持たなかった二人目の友達だ。
すぐに信頼するようになったのは言うまでもない。
だからか、すっかりデルフが発した初めの警告を忘れてしまっていた。

四人目は記す事すら躊躇われる。
その存在については語る事なかれ。ただ口を噤め。

それ故に未だに能力は不明のままであったが、警戒心だけは確実になくなっていたのである。
だからこそ、その事件が起こったとしても、誰も責める事はできない……。

恭也が召喚されて数日経ったある日のこと。
裏庭でサイトは非常に珍しいものを見かける。
恭也と学院の生徒であろう一人の少女である。
それだけなら特に珍しいとも言えない。
何故なら、恭也は守るという事に関しては驚くほど真剣な態度を見せ、
ルイズたちの話を聞いてからは、この学院の中では安全だと納得するまで常にテファの傍に居た程なのだ。
だから、隣にいる少女がテファでなかったとしても、ここ数日では珍しくもない。
また、恭也はその人柄からか、平民でありながらも兄のように慕われて、
相談を受けているなんていう場面は何度も目にした。
だから、サイトが珍しいと思ったのはそれらとは全く別の事であった。
ところで、話が変わるがサイトから見た恭也についてイメージだが。
一言で言えば堅物。生真面目が服を着ているといった感じであった。
ギーシュと共に説教された際にそれは骨身に染みて理解していた。
閑話休題。
サイトは目の前の光景を見間違いかと思い目を擦り、もう一度目を凝らしてみる。
だが、やはり見間違いでも目が悪くなった訳でもないようである。

「……ま、まあ、恭也もこっちの世界に馴染んだみたいだし、
 使い魔だからって絶対に主と結ばれるって訳じゃないもんな」

テファには可哀相だけれどと思いつつ、サイトもそれ以上野暮な事は止めようとその場から背を向ける。
恭也が少女の手を取って口説いている場面を締め出して。
しかし、これはほんの始まりにしか過ぎないと知るのは、更に数日後の事であった。



「サイト、アンタ何をやったのよ」

「いや、部屋に戻ってくるなりいきなりそんな事を言われても分からないですけれど?」

サイトの言うように、いきなり部屋に戻ってくるなりルイズから言われたのがこれである。
これで全てを察しろと言うのは無理がある。
ルイズも流石にそれに気付いたのか、わざとらしく咳払いをするとゆっくりと話し出す。
それによれば、ルイズは朝中庭で少女を口説いている恭也を見たらしい。
流石にこれには驚いたが他人の恋愛に口出しするべきではないと思いそのまま声を掛けずに教室へと向かったらしい。
問題はその後、昼休みにもまたその場面を目にした事である。
それも朝とは違う少女を相手に。
それを偶々一緒に見ていたキュルケによると、他にも数人に対して同じような事をしているのを知っているとのこと。
当然ながらテファを悲しませるであろう行為に怒りを覚えるルイズであったが、
冷静に恭也の性格を指摘したキュルケの言葉にルイズはひとまず掴みかかるのを堪え、
何か原因があるのではと考えたらしい。

「それで、どうして真っ直ぐに俺の所に来るんだよ、お前は!」

「だ、だって……」

流石に本気で怒っているらしいサイトの剣幕に思わず言葉が萎んでいく中、ルイズは懸命に言い訳を考える。
そして、思いついたのは自分では妙案と思えるものであった。

「そ、そうよ! モンモランシーに惚れ薬を作らせて飲ませたのかと思ったのよ」

「やっぱり原因は俺なのかよ。
 そこまで考えたのなら、何で間違って飲んだとか、モンモンが飲ませたって思わないんだよ。
 そもそも、恭也は色んな女の子に声を掛けているんだろう。惚れ薬ってそんな効用のものまであるのか?」

この際、惚れ薬はご禁制の品だというのは横に置いて尋ねるサイト。
その反論の前にルイズは何も言えず、自分は知らないとだけ口にする。
ならば、専門家というか、それに詳しい人物に聞けば良いとばかりにモンモランシーの元へと向かうのだが、
その途中でまた別の少女の手を取っている恭也を見つける。
どうやら落としたハンカチを拾ってあげたらしく、それを少女に手渡しそのまま手を握る。
突然手を握られた少女は最初は小さく抵抗していたのだが、すぐに大人しくなり、
それどころか頬を染めて熱に浮かされたように恭也を見詰める。

「おいおい、幾らなんでもおかしいだろう」

その様子を見てそう口にするも、内心では羨ましいと思ってしまったのはルイズには内緒だ。
ルイズも恭也が逆に惚れ薬を使ったのではないかという場面に眉を顰め、これだから男なんて信用できないのよ、
と呟き出す。終いにはこちらに飛び火しかねないその様子にサイトは慌てて自分は違うと懸命に訴える。
そんな事をしている間に少女は名残惜しそうにその場を立ち去り、恭也もまた立ち去って行く。
それを見た二人は口論に発展しかけていたのが嘘のように顔を見合わせ、無言で頷くと恭也の後を追う。
出遅れたかもしれないと思ったが、思いの外早く追いつく事が出来た。
と言うのも、目の前でまた一人の少女が手を握られて頬を染めていたのだ。
訝しげに顔を付き合わせるルイズとサイトの二人。
その頭上から鞘から刀身を僅かに覗かせたデルフの大声が響く。

「思い出した!」

突然の大声に驚く二人に構わず、デルフは恭也の胸元を見るように告げる。
言われて二人がそこを見れば、僅かに光を放っている。

「あれってまさか……」

「ルーン?」

テファとの契約によって刻まれた使い魔としてのルーン。
それが光り輝いていたのである。

「ああ、その通りだよ相棒、貴族の娘っ子。あれこそが四つ目の使い魔、ミョズルキュバスの能力だ」

神の半身はミョズルキュバス。寛容にして博愛たる神の愛。
あらゆる技を遣いて、導きし我の伴侶を探す。

デルフが語った内容に二人は口を閉ざす事さえ忘れ、可哀相な子を見るような目でデルフを見る。

「サイト、少し休みをあげなさい」

「そうだな。幾ら剣だからって、ここ最近は戦ってばかりだったもんな。
 次ぐらいは他の武器を使うよ」

「おいおい、信用してないだろう二人とも。と言うか、そんな目で見ないで!
 って、そうじゃなくて本当に思い出したんだよ! 敵味方問わず、女性を惹きつける能力。
 寧ろ、それが原因で争いが起こった時もあるんだ。ブリミルが嘆いていたのをはっきりと思い出した。
 能力の発動は相棒が武器を握るのに対し、女性に触れた場合だ。
 相棒があらゆる武器を使いこなすように、ミョズルキュバスはその女性に尤も適した言葉や態度を自然と使う。
 それに加え、軽い魅了(チャーム)の魔法まで全身から出しやがる」

「な、何でそんな使い魔が居るのよ!」

「そんな事を剣である俺に聞かれても分かる訳ないだろう、娘っ子」

「確かに、伝説として残せないよな……。女たらしの使い魔なんて」

「だろう、相棒。ましてや、傾国の美女なんてレベルじゃないしな。
 下手をすれば国家間での戦争にだって発展しかねない。昔は国と言うよりも部族間でだったがな。
 特にその部族を指揮する立場の人物が女性だった日には目もあてられない。
 生み出した本人が一番嘆いていたのは皮肉な話だがな」

何とも言えない空気が流れる中、恭也はまた新たな獲物に目を付けた様で足取りも軽く近づいていく。

「って、呆然としている場合じゃないでしょう! 何としても止めないと!
 何とか止める方法はないの」

「あー、確か暫く女性に触れなければ自然と能力も納まるはずだぜ」

それを聞くなりルイズはサイトの背中を押し、恭也を捕縛するように命じる。
命令を実行するべくデルフを手にガンダールヴの力を発揮するサイトの背中を見ながら、
ルイズは新たに判明した問題に頭を抱える。既に学院の生徒の何人が犠牲になったのか分からない。
分からないが全員が貴族の上、デルフの話を信じるならば誰も恭也を諦めようとしない可能性が高い。
これから起こるかもしれない事を思うと、ルイズは本当に泣きたくなるのだった。

使い魔として異世界に召喚された高町恭也。
彼の行動派、過去のように禍を呼んでしまうのだろうか。



とらいあんぐるハ〜ト3 X ゼロの使い魔
誑しの使い魔復活







ネタとは言え、久しぶりに書いたな。

美姫 「随分と時間が掛かったけれどね」

うぅぅ。本調子じゃないんだよ。と言うか、本当に調子が悪いのが実感できる。
手や指しか動かしていないのに、何故動悸が激しく……?

美姫 「はいはい」

いやいや、そんな軽く流すな!
って、本当にしんどいや。

美姫 「それじゃあ、次はキリ番のリクエストね」

聞いてくれ。
まあ、それはちゃんと書くけれど。申し訳ありませんが、少しお待ちを。

美姫 「ったく、だらしない」

うぅぅ。

美姫 「あ、そろそろ時間だわ。誰かさんの所為で、今回はいつにもまして時間が短いわね」

うぅぅぅ、い、虐めないで〜。

美姫 「良いから、さっさと締めなさい」

へいへい。それじゃあ、今回はこの辺で。

美姫 「まったね〜」


6月4日(木)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの掲示板より、今回はちょっと出張! とお届け中!>
(※今回のお話は掲示板に掲載したものをそのまま再録してます。)



約一ヶ月ぶりのハートフルデイズ。

美姫 「本当に待たせるわね」

いや、事情が事情だし……。

美姫 「はいはい。しかし、アンタでも入院なんてするのね」

いやいや、当たり前だろう。
それが分かったら、これからは優しく――。

美姫 「で、結果はどうだったのよ」

何気にスルーしましたよね。
いいけど……。

美姫 「で、どうだったの?」

うん、無事に完治……らしい。

美姫 「らしいって何よ」

いや、医者曰く原因不明なので本人に自覚がないのなら多分大丈夫でしょうって。

美姫 「原因不明って何よ!?
    いや、でもアンタらしいかも」

いや、俺も自分でそう思ったから強く突っ込めないけれど、言い過ぎじゃないかな。
確かに風邪なんていう症状は子供の時以来、お目にかかっていないけれどさ。

美姫 「ともあれ、これで全快なのね」

いや、それが今回こんな形でお送りしている理由でもあるんだけれど。

美姫 「何よ」

うん。とりあえず、問題ないだろうとなったんだけれど、薬を飲んでいた状態なんだよな。
で、今回は薬なしの状態で経緯をみましょうってなって。

美姫 「あ、何か嫌な予感」

うん。また調子が……。

美姫 「いやいや、何処が大丈夫なの!?」

うん、俺も医者に突っ込みたかった。
で、電話したんだが金曜日じゃないと診れないとなってな。
うぅぅ、再検査……。

美姫 「いや、もう何て言って良いのか」

皆さんには本当にご迷惑をお掛けします。

美姫 「本当よ!」

ぶべらっ! ちょっ、一応、病人なんだからやめて。

美姫 「ちっ、やり過ぎて回復が遅れるのも問題だし、今回は勘弁してあげるわ」

ありがとう。……って、俺が礼を言う必要ないよね!
ゼハー、ゼハー。

美姫 「いや、何もそんなに息切れするぐらい全力で突っ込まなくても」

いや、そうじゃなくて……。
どうも非常に疲れやすいと言うか、ちょっと動いただけでこうなるんだよ。

美姫 「まあ、何はともあれ明日の結果次第ね」

ああ。と言うか、一ヶ月以上経っているんだよな。
うぅぅ、早く完治して欲しい。

美姫 「無事を祈っててあげるわ」

お前からそんな優しい言葉を聞くなんて……。

美姫 「はいはい。それじゃあ、CM……」

いやいやいや。そんな元気、本当にないから!

美姫 「ちっ」

うぅぅ、少し前の俺の感動を返せ!

美姫 「はいはい、落ち着きなさい」

そんなこんなで、更新の方は本当にすみませんが今暫くお待ちください。

美姫 「本当に迷惑をお掛けします」

ではでは。

美姫 「それじゃ〜ね〜」










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