戯言/雑記
2010年7月〜8月
8月27日(金) |
美姫 「美姫ちゃんの〜」 ハートフルデイズ〜 美姫 「はっじまるよ〜」 <この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、夏休みもあと少し、とお送り中!> もう八月も終わりだな。 美姫 「本当に早かったわね」 だな。とは言え、まだまだ暑い日が続く……というか、もう本当に勘弁してください。 美姫 「流石にこうも猛暑日が続くとね」 建物の中とかは結構、冷房が効いている所が多いから中から外に出た時は余計に暑く感じるよ。 美姫 「むっとするのよね〜」 これが体調を悪くする原因か!? 美姫 「偶に冷房が効きすぎているような所もあるしね」 中々に難しいな。とは言え、流石にもうすぐ八月も終わるし、そろそろ……。 美姫 「下がると良いわね」 ですよね。もう本当に駄目だよ。 美姫 「毎年の事ながら、だらしないわね」 言うなよ〜。まあ、それでも何とか頑張りますか。 美姫 「もう少しやる気を出しなさい!」 ぶべらっ! 美姫 「さて、それじゃあ今週も元気にCMいってみよ〜」 不意に感じる浮遊感。 先程まで感じていた足元にあった感覚がなくなり、明らかに外だと分かる風を感じる。 目を開けると同時に自分が落ちていると気付き、同時に自分目掛けて迫ってくる竜巻。 「ああ、また元の世界には戻れなかったんだな」 視線の先、杖を構えて突然現れた恭也を見て驚いている少年が目に入り、恭也は知らず呟く。 そこへ掛けられる声は酷く慣れ親しんだもので、 「恭也! 呆けておらんとしっかりせい!」 「恭也様、背後からも攻撃されてます!」 二人の言葉にそれぞれ反応を示し、両手に小太刀を握り、背後を横目で見れば、確かにこちらからは氷の塊が迫る。 どうも運悪く闘っている二人の間に入ったらしく、まさに二つの魔法がぶつからんとする中間点に恭也は居た。 「全くついてない!」 文句を言いつつ、左右に握ったアルシェラと沙夜を振り被り二人に尋ねる。 「いけるか?」 「勿論じゃとも。パワーアップした余の力を見るが良い」 「同じく。ただ請われるままに管理局に協力した訳ではありません。その成果をお見せしましょう」 自信満々に言い放つ二人に逆に不安になりつつ、恭也は迫り来る二つの魔法へとそれぞれの刃を振るう。 途端、竜巻はアルシェラの刃より生じた衝撃により切り裂かれ、氷塊は沙夜の刀身に吸い込まれて消える。 「「なっ!?」」 驚きの声がこの魔法を放った双方より上がるが、それは恭也もまた同様である。 パワーアップしたとは聞いていたが、それがこのような形であるとは始めて知ったのだから当然であろう。 精々が切れ味が増した程度に思っていたのだが。 空中に作られた一メートル四方の足場の上に立ち、恭也は改めて現状を把握するべく周囲を見下ろす。 遠くに大きな、それこそ今まで見た事もないような大きな樹が一本立っており、他には湖に浮かぶ小島。 暗くてよく見えないが、他にも建物が並び立っている。 と、空に浮いている少女がこちらを詰問する言葉が投げられ、そちらへと向き直ると同時に急に明かりが灯り出す。 その時になって恭也は気付いたが、今まで明かりが一つもなかったのだ。 停電でもあったのか、そんな事を思っていたからか、少女の問い掛けを無視する形となってしまった。 故に少女が更に声を荒げ食って掛かろうとしたその時、不意に少女の身体が落下する。 その下は川とは言え、かなりの高さがある。 恭也は考えるよりも先に少女へと向かって跳び、少女の手を掴む。 同時に足元に再び足場が作られ、その隣に呆気に取られたような顔の少年が杖にまたがり浮かんでいた。 何か聞きたそうな顔をする少年と、怒ったような顔の少女を見比べ、とりあえず恭也は聞きたい事を訪ねる。 「ここは何処ですか?」 魔法の世界から何とか帰還を果たしたと思いきや、そこもまた魔法の存在する世界であった。 行く宛てのない恭也は暫く、この地の責任者たる学園長の言葉に甘えて、ここ麻帆良に留まる事となる。 果たして、無事に帰れる日がやってくるのか。 恭也と剣の放浪記 〜ようこそ麻帆良学園へ〜 うーん、にしても本当にあつ――ぶべらっ! 美姫 「それはもう良いわよ!」 ち、違う事を言うつもりだったかもしれないぞ。 美姫 「へ〜、じゃあ暑いじゃなくて何て言うつもりだったのかしら?」 それはだな……あ、あつ、あつあげ! 美姫 「本当に厚揚げってどんな状況よ」 それはほら、これは本当に厚揚げ? みたいな。 美姫 「今、目の前には何もないんだけれどね。さて、嘘を吐いた以上、覚悟は良い?」 か、勝手に嘘だと決めるなよ。 俺には見えたんだ、そう幻覚が! ぶべらっ! 美姫 「結果は変わらないんだから、途中経過を省いた方が早くて良いでしょう」 うぅぅ、色々と突っ込みたいですが、もう良いです……ガク。 美姫 「さて、すっきりした事だし少し早いけれど締めましょうか」 へいへい。下手な事を言うとまた殴られるしな。ぶべらっ! 美姫 「既にそれが余計な一言なのよ」 うぅぅ、それじゃあ、今週はこの辺で。 美姫 「また来週〜」 |
8月20日(金) |
美姫 「美姫ちゃんの〜」 ハートフルデイズ〜 美姫 「はっじまるよ〜」 <この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、もう駄目だよ、とお届け中!> うがー! 夏とは言え暑すぎるだろう! 美姫 「初っ端なから暑苦しいわね!」 ぶべらっ! だぁー、暑さが、暑さが悪いんやー! 美姫 「ふふふ、すこ〜し頭、冷やそうか?」 ひゃうっ! じゅ、充分に冷えました。 や、やめ……ぶべらぼげぇびょぉぉぉ! 美姫 「ふー、少しは頭冷えた?」 ……嫌な汗を掻いた上に体中が痛いです。 美姫 「とち狂うアンタが悪い」 返す言葉もないです、はい。 美姫 「もう少しそこで反省してなさい」 ……はい。 美姫 「それじゃあ、その間にCMいってみよ〜」 「スターライトブレイカー!」 見慣れていたはずの光景に大きな違和感を覚える。 勿論、今が夜という事もあるだろう。 が、それを修正したとしても見慣れたはずの風景には違和感を抱かざるを得ない。 その大きな違和感を描くのは一人の少女。 その少女にも大変見覚えがあるのだが、そんな事よりも目の前の光景に恭也は言葉を失う。 「…………夢か」 そう呟きたくなるのも仕方ないだろう。 何せ、目の前で自分の妹が杖を手にし、こちらは見覚えのないなのはと同じ年頃の娘を海に叩き落したのだから。 その手段が杖による打撃だったのなら、まあ百歩、いや、一万歩ぐらい譲ってできなくもないかもしれない。 が、なのはは空を飛び、その攻撃手段として未知の技を使ったのだ。 霊力かと思ったが、どうも違うらしい。 その答えを連れの一人が淡々と教えてくれる。 「どうやら魔法のようじゃの。とは言え、あの様な術式など見覚えはないが」 「アルシェラさんも知らないという事は太古、第一世代の御技ではないという事ですね。 ですが、現在の第二世代でもあのような術式は知りません。勿論、全てを把握している訳ではありませんけれど」 恭也の両隣に陣取ったアルシェラと沙夜の言葉にとりあえず頷きつつ、恭也は改めて周囲を見遣る。 この場に恭也たちが現れたのがほんの数十秒前だったのだが。 さっきまでは宮殿のような建物の中に居たのだが、どうやら無事に戻ってこれたと安堵したのが遠く感じられる。 「細かい部分までは流石に覚えては居ないが、間違いなくここは海鳴公園だよな」 「うーむ、そのはずじゃと思うが」 「もしかして、また違う世界なのでしょうか。それも、今度は沙夜たちが居た世界に限りなく近い」 目の前で自分が叩き落した少女へと手を伸ばすなのはを見て、恭也は自分の知る妹との違いに頭を抱えそうになる。 が、アルシェラがなのはの背後、夜空を見上げて警告を発する。 「なのは、頭上から何か来るぞ!」 アルシェラの声が届いたのか、なのははこちらを見て驚いた顔をし、続けて警告に従うように頭上を見上げ、 そこから雷が降り注ぐ。恭也たちが見守る中、なのははバリアのようなものでかろうじて攻撃を防げたようだが、 なのはの近くに居た少女はそのまま海に落ちてしまう。 恭也たちが事情も分からずに見詰める中、青い宝石が空に吸い上げられ消える。 後には救助した少女を抱えながら、こちらを見ているなのはと恭也たちだけが残された。 なのはが何か言おうとするよりも先に、恭也たちの目の前に空間に見知らぬ女性の顔が浮かび上がる。 「……これは」 「ふーむ、空間をスクリーン代わりにしておるのか? にしても、どんな技術じゃ」 「地球の技術ではないでしょうね」 困惑する恭也と好奇心を見せるアルシェラと沙夜。 そんな三人へと画面に映る女性は顔を動かす事無く、自ら名乗り恭也たちの同行を求める。 「いきなり見知らない場所への同行を求められてほいほい付いて行けと言っているが、どう思う?」 「そのようなお目出度い者が居るとは思えんのだがの」 「とは言え、今は何も情報がありませんし、何よりも沙夜たちの居ない間に何があったのか少しでも知りたい所です」 「なら、とりあえずは言葉に従ってみるか」 「そうじゃの。もし危害を加えようとしたのなら、こちらも実力行使に出るまでじゃな」 「その時はなのはさんを人質にされないように、真っ先に保護しなくてはなりませんね」 「それじゃあ、表面上は大人しく受け入れたという事で返事をしても構わないな」 恭也の言葉に二人が頷いたのを見て、恭也は改めて空中に浮かぶスクリーンへと向き直る。 そこにはやや表情を引き攣らせたリンディと名乗った女性の顔が今も浮かんでおり、 「えっと……内緒話をするのならもう少し小さな声でお願いできるかしら?」 何とも言えないという口調でそう切り出す。 それを聞き、恭也たちは改めて顔を見合わせ、 「どうやら、これは電話と似たようなものらしいの。 とは言え、こちらが相談している間ぐらいは通話を一旦切るのが礼儀だと思うのじゃがの。 おまけに勝手に盗み聞きしておいて、余たちが悪いと言っておるのだが、はて、どうしたもんだろうの」 「もしかして、自分たちの技術を沙夜たちが知っていると思っていたのでは? だとすると、納得できますが」 アルシェラや沙夜の言葉に謝るべきか悩み、とりあえずは謝罪しておこうとリンディが口を開こうとするのだが、 「二人ともそこまでにしておけ。 どちらにせよ、なのはとも話をしたいし、提案を受け入れるのが一番早そうだ」 恭也が先に二人を諭し、あっさりと恭也の言葉に従う二人を見て本気で言ったのではないとリンディも悟る。 同時にクロノ辺りだとからかわれるだけかもしれないと、リンディはこっそりと溜め息を吐くのであった。 それから数分後、恭也たちの姿はアースラと呼ばれる艦の中にあった。 その一室、普段は会議室として使われている部屋で改めて自己紹介をしたのだが、 「へ? わたしは高町なのはで不破なのはじゃないよ。それに、アルシェラさんや沙夜さんも知らないし」 「……さて、沙夜の冗談半分で言った言葉が正解だったみたいだな」 「これまた困りましたわね。いつになったら、家に帰れるのでしょう」 「ほんに数奇な運命の元に生まれてきおったのぉ、恭也」 「……俺の運命が数奇な物なのは、あの人の息子として生まれた時からか、それとも人との出会いによる物なのか」 俄かに自分の所為ではないと言う恭也に二人は何も応えず、ただ肩を竦めるだけである。 恭也も答えを期待した訳ではないので何も口にせず、リンディへと還る手段がないか尋ねる。 異世界間の移動などが当たり前のように行われているらしい事から、少しは期待したのだが返って来たのは、 「残念ながら思いつかないわね。そもそも世界が多数あれど、同一人物は存在しないはずなのよ。 それこそ夢物語とされる平行世界ね。 私たちはあくまでも同次元に存在する異世界の存在は確認しているけれど……」 恭也たちのようなケースは初めて聞くと口にする。 唯一、手掛かりとなり得るかもしれないとして無限図書館という存在を教えられるが、 これは関係者以外は利用できないらしい。 「仕方ない、俺たちは俺たちで帰還する方法を探すとしよう」 「それしかありませんね。……アルシェラさん? 難しいお顔をされてどうしたのですか?」 「いや、なに少し考え事をな。先程聞いたジュエルシードだったか? あれはどんな願いでも叶えるのであろう。ならば、余たちの願いも叶えてくれるのではないかと思ってな」 アルシェラの言葉に期待を込めた目でリンディを見るも、リンディは無言で首を横に振り、 代わりという訳ではないだろうが、それまで黙った話を聞いていたクロノが話し出す。 「貴方がたの事情を理解しましたが、だからと言って封印指定のロストロギアの使用を認める訳にはいきません。 第一、平行世界はこちらでもまだ実証されていない分類。 幾らロストロギアとはいえ、平行世界の移動など可能かどうか。 やって試してみるにはロストロギアは危険過ぎます」 クロノの言葉に納得するも、ならどうするかという問題に戻ってしまう。 限りなく元の世界に近いというのなら、それこそ帰還方法がある可能性も低い。 と、そこまで考えて恭也はふと思い出す。 そもそもの放浪の切欠となった一冊の書物。 それがこの世界にもあるのなら、と。どうやら、この世界は恭也たちの世界よりは一年ばかり過去になる。 だとすれば、可能性もなくはないはず。 当然、限りなくゼロに近い可能性ではあるが。 こうして、恭也たちは暫くこの世界の地球に留まるという選択を選ぶ。 「とは言え、先立つ物が全くないな」 「稼ぐしかないじゃろうが……。ふむ、なのはよ、余たちを雇わんか?」 アルシェラはそこに居たなのはへとそう持ち掛ける。 「ジュエルシードとやらの回収をするのであろう。どうじゃ?」 アルシェラの言葉に困ったような顔を見せるなのはと、足手まといになると言ってくるクロノ。 後者は完全に無視し、アルシェラはなのはをじっと見詰める。 「えっと……翠屋のアルバイトを頼むんじゃ駄目ですか?」 困り切ってそう口にしたなのはであったが、あっさりと否定される。 流石に恭也が止め、大人しく引き下がったアルシェラであったが、そこへリンディが話を持ち掛けてくる。 「これからプレシアの城に突撃するのなら、空を飛べなくても多少は活躍の場もあるでしょう。 なら、私が雇いましょう。ただし、それなりの実力を示してもらう事が条件になりますけれど」 流石に恭也たちの状況を不憫に思ったのか、そう持ち掛けてくる。 ありがたいとばかりに引き受ける恭也たちに対し、クロノは最後まで反対するのだが、 艦長権限を持ち出されて最後には押し通されてしまう。 こうして、簡単なテストをする事となったのだが、結果は言うまでもなく、 それどころかアルシェラや沙夜の存在に興味を抱かれる事となってしまう。 「魔法を使う癖にこれぐらいで驚くんだな。 その辺りの耐性はうちのなのはの方が遙かに上か」 「まあ、仕方あるまい。この世界の地球と余たちの地球が同じ歴史を辿ったかも分からぬしな。 だとすれば、余や沙夜のような存在は珍しいのじゃろう」 「それ以前に、管理局の人たちまで驚いていたのはどうなんでしょうね。 しかも、人を好奇の目で見てきて」 心外ですと怒る沙夜を宥めつつ、恭也たちは再び会議室へと戻って行く。 入るなり好奇心を隠そうともせず近付いてきた白衣の女性に殺気を放ち黙らせ、アルシェラが席に着く。 質問など許さないという態度にリンディさえも何も言えず、仕方なく恭也が話を切り出す。 「それで、改めて雇ってくれますか?」 「え、ええ。それに関しては問題ありません。 それよりも、その二人は……」 恭也の切り出しに安堵しつつ、やはり聞かずにはいられなかったのかそう口にする。 「なのはも霊剣の存在すら知らないみたいだし、そう簡単に教えて良いものか悩みますね」 「そうじゃの。そもそも世界が違うのじゃから、気にするだけ無駄というものじゃろう。 余たちは剣にもなれる、その程度の認識で問題あるまい」 「そうですわね。 知った所でどうしようもないでしょうし、そもそも沙夜たちは恭也様以外には使われる気もありませんし」 三人して教える気がないと分かるとリンディは一つ息を吐き出し、質問を打ち切る。 恭也たちの背後で白衣を着た女性が残念そうな声を上げるも、恭也たちは綺麗に無視する。 かくして、恭也たちは当面の金銭を工面し、暫しこの世界に滞在する事になるのであった。 その目的となる一冊の書を探すという蜘蛛の糸よりも細い希望に縋って。 恭也と剣の放浪記 〜同一異世界〜 いやー、久しぶりにこのネタをやったな。 美姫 「すっかり終わったと思ってたのにね」 ふと思い浮かんで。もしかしたら、またやるかもしれないが。 美姫 「まあ、その時はその時ね」 ですね〜。さて、少々慌しいが、そろそろ時間なんですよね。 美姫 「いつになく忙しないわね」 だよな。だが、仕方あるまし。 美姫 「それじゃあ、締めましょうか」 おう。 それじゃあ、今週はこの辺で。 美姫 「また来週〜」 |
8月6日(金) |
美姫 「美姫ちゃんの〜」 ハートフルデイズ〜 美姫 「はっじまるよ〜」 <この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、…………あつい、とお送り中!> 八月に入り、益々暑くなった気がする。 美姫 「実際に暑いんだけれどね」 だよな。もう夏の間は暑さの話題しか出てこないよ。 美姫 「それはアンタだけだと思うけれどね」 にしても、本当に暑いな。 美姫 「まあ、もうすぐお盆だしそれが過ぎれば少しはましになるかもしれないわよ」 そんな気はしないな。 そもそも盆が過ぎてもまだ八月。暑いもんは暑いに決まっているさ。 美姫 「言うと思ったわよ」 だる〜ん、とだらけてみたり。 美姫 「なら、私が気合を入れてあげるわ」 そんな嬉々として言われても、その後の展開は丸分かりですから激しく遠慮します。 美姫 「因みにアンタが断ってもその後の展開に変わりはないのも分かっているわよね」 うわーん。俺は逃げ出した。 美姫 「しかし、回り込んだ」 やっぱり魔王からは逃げられないのか!? 美姫 「誰が魔王よ!」 ぶべらっ! やっぱりこうなるのかよ! 美姫 「いやいや、今のはアンタの暴言に対する突込みよ」 って、コンボ!? やめてー! ぶべらっ! 美姫 「さて、それじゃあCMいってみましょうか」 「ふわ〜」 大きなあくびを慌てて隠すように両手で口を塞ぐなのはを見ながら、恭也は微笑を浮かべる。 恭也の視線に気付いたなのはは顔を赤くしながらも睨むように見上げるのだが、 「まあ、この陽気だからな。久遠は見事に寝てしまったしな」 言って自分の足の上で丸々久遠を見下ろす。 寝ている久遠を起こさないように軽く一撫でし、なのははまた出そうになった欠伸を今度は何とか隠す。 その隣で恭也もまた小さく欠伸を漏らし、兄妹揃ってうとうと夢現をさ迷う。 見晴らしもよく、心地良い風に木々の隙間から零れ落ちてくる木漏れ日。陽気の所為だけでなく、 遠くから聞こえてくる小鳥の鳴き声までもが、二人を夢の世界へと誘おうとしているかのようである。 久遠を起こさないようになのはは頭を恭也の足の上に乗せ、またも小さく欠伸を零す。 そんななのはの頭を優しく撫でてやり、恭也は欠伸を堪える。 と、久遠が不意に顔を上げて小さく一声鳴く。 「どうしたの、くーちゃん?」 なのはの言葉にもう一度鳴き、久遠は恭也の足から飛び降りるとキョロキョロと周囲を見渡し、 不意に走り出す。慌てたように恭也となのはもその後を追う。 「何か居たのかな」 「もしくは探しているのかもな」 なのはの問い掛けに返しつつ、恭也はこのままでは久遠を見失いかねないと判断してなのはを抱き上げる。 状況を理解してなのはも大人しく抱きかかえられ、二人して久遠の後を追う。 久遠は木々の間を駆け、茂みを抜け、まだ止まる様子さえも見せない。 その後を少し苦労しながらも何とか離されずに付いて行くと、不意に久遠が足を止める。 一体どうしたのかと尋ねようとした恭也であったが、目の前で久遠は一本の木に近付き、 その根元に鼻面を近づけてクンクンと匂いを嗅いだかと思うと、 そのまま根っこと根っこの隙間にぽっかりと開いた穴に飛び込む。 まさかそんな事をするとは思わなかった恭也は慌てて穴へと近付き、思ったよりも穴が大きい事に驚く。 なのはがどうしようという顔で見上げてくるのを感じつつ、恭也はとりあえず穴の深さを確認しようと顔を入れ、 咄嗟に携帯電話をライト代わりにして中を照らそうとする。 が、恭也が顔を入れた瞬間、確かにあった地面の感触がなくなり、気が付くと恭也は穴に落ちていた。 顔しか入れていなかったにも関わらずである。 穴の中は光が入ってきていないはずなのにぼんやりとだが視界が利き、すぐ傍にはなのはの姿も確認できた。 が、問題は今二人は落下しているという事実である。 それどころか、穴はどこまでの深さがあるのかまだ地面すら見えてこない。 不安そうななのはを抱き締め、無事に着地できるのかという不安を押し止めてその時が来るのを待つ。 やがてその時は訪れ、だが思ったよりも強い衝撃はなく、寧ろクッションを敷き、 そこに軽くジャンプした程度の衝撃しか受けず、けれどもバネのように恭也の身体は前方へと放り出される。 それにより足から普通に着地し、今の不可思議な現象を考えるよりも腕の中のなのはの安否を真っ先に確認する。 どうやらなのはも無事だったようで、先程の現象に目を丸めている。 「今のは一体何だったんだろうな」 「よく分からないよ。それにここは何処、お兄ちゃん」 なのはの言葉通り、そこは穴に落ちたにも関わらず上空には空が見え、一言で言うのならば草原であった。 二人してこの不思議な現象に首を傾げていると、目の前を子供の姿となった久遠が走って行く。 手には古めかしい懐中時計を持ち、時間が気になるのか時折、時計を見ては足を休めずに走って行く。 「くーちゃん、待って」 慌ててなのはが久遠の後を追いかけ、それに恭也も続く。 が、思った以上に久遠の足は速く、その後姿はどんどん小さくなって行く。 途中で恭也がなのはを抱きかかえ、先程同様に走る速度を上げたにも関わらず、その差は縮まらない。 やがて久遠の姿が視界から消え、恭也となのはの目の前に森が見えてきた。 「くーちゃん、この森に入ったのかな」 「多分そうだと思うが。一応、道もあるようだし」 恭也となのはは少し考えた後、久遠の後を追って森の中へと踏み出す。 歩きながら、二人は今の不可思議な状況について話し合うも、答えが分かるはずもなく、 とりあえずの目的を久遠を探し出す事にする。久遠なら何か知っているだろうと考えて。 こうして、恭也となのはの不思議な冒険が始まるのであった。 不思議の国の恭也となのはちゃん さて、CM明け早々だがお知らせです。 美姫 「来週の金曜日から再来週の月曜日までは例によって……」 更新できませんのでご了承ください。 もしかしたら、最悪、次の更新は木曜日になるかも。 美姫 「そこはアンタ次第よ」 という訳で、取り急ぎ連絡事項でした。 美姫 「で、他には……」 うん、特にないかな。 話題も特にないし。 美姫 「そこはアンタが何とかしなさいよ」 いや、俺が何かすると未来で殴られている俺の姿しか思い描けないんだ。 美姫 「それは正解ね」 やっぱりかよ! っていうか、何をやっても殴るっていう宣言とも取れるんだが!? 美姫 「そんな事はないわよ。…………多分」 いやいや、そんな小さな声で言ってもちゃんと聞いてるから。 美姫 「良いじゃない、やってもやってなくても結果は変わらないんだから」 あ、あれー、それの意味を考えると結局は俺は殴られるって言われている気がするな〜。 美姫 「うん、正解♪」 正解♪、じゃないよ! 美姫 「という訳でご褒美よ」 どれだけ理不尽なんだよ! ぶべらっ! 美姫 「それじゃあ、時間も早いけれど締めましょうか」 うぅぅ、酷い。 美姫 「ほら、さっさとしなさいよ」 へいへい。 それじゃあ、今週はこの辺で。 美姫 「また再来週〜」 |
7月30日(金) |
美姫 「美姫ちゃんの〜」 ハートフルデイズ〜 美姫 「はっじまるよ〜」 <この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、暑ついしゲリラ豪雨だし、とお届け中!> 日本各地で大雨による被害がとんでもない事に。 美姫 「幸い、私達の方は大きな被害がなくて良かったけれどね」 だよな。自然は恐ろしいな。 美姫 「雨で少しは涼しくなったかなと思ったんだけれどね」 すぐさま気温も上昇ですか。 もう駄目だー! 美姫 「はやっ。幾ら何でも早すぎでしょう」 いや、もう本当に暑いのは駄目です……。 美姫 「毎年の事とはいえ」 でも本当に寝苦しいよな。 美姫 「それは確かにあるわね」 最近は寝具でも色々と暑さ対策のも出ているみたいだが。 美姫 「効果あるのかしらね」 だよな。昔、子供の時なんかはよく冷蔵庫に頭を突っ込んで涼を取ったが。 美姫 「またそんなバカな事を。と言うか、激しく電気代の掛かる涼の取り方ね」 流石に怒られたな。いや、良い思い出だ。 美姫 「そうかしら?」 子供時代と言えば、暑さのあまり気が付いたら廊下で寝ていた事が。 美姫 「廊下の床はひんやりしているものね」 いやー、今思い出してもどうやって移動したんだか。 美姫 「寝てたのなら思い出しようもないでしょう」 おお! だからか。どうりで全く思い出せないと思ったら。 美姫 「バカだわ。正真正銘のバカがいるわ」 あははは〜、照れるじゃないか。 美姫 「褒めてないからね」 ですよね。 美姫 「あ、何かどっと疲れたわ」 熱中症かもしれないぞ。ほら、水分と塩分をしっかりと取って、ゆっくりと休むんだ。 美姫 「ありがとう。って、アンタの所為で疲れたのよ!」 ぶべらっ! げ、元気じゃないか……。 美姫 「はぁ、本当に疲れるわ。気苦労というやつね」 いや〜、それほど――ぶべらっ! 美姫 「同じネタはいらないから」 ふぁ〜い。 美姫 「さーて、それじゃあ、今週もCMいってみよ〜」 私は今、ひたすら逃げている。 後ろを振り返る余裕などなく、いや、正直に言うのなら振り返るのが怖い。 振り返るなり、ソレと目が合うかもしれない。 その隙に距離が縮まるかもしれない。 振り返る暇があるのなら、その分、一歩でも、一センチ、一ミリでも良いから前へ。 私を突き動かすこの力の源は間違いなく恐怖と呼ばれる物であろう。 別段、すぐ後ろから気配を感じるでもなく、追って来る足音がする訳でも、息遣いが聞こえる訳でもない。 それでも、間違いなくソレは確実に私の後を追ってきている。 そう断言できるだけのものを周囲の空気から感じ取れる。 助けを呼ぼうにも、その為に必要となる肝心の携帯電話は手元にはない。 ならば、何処かの家に飛び込んで借りるか。 その考えをすぐに振り払う。 例えそうした所でソレが躊躇するはずもない。 寧ろ、電話で助けを呼んでいる時間を好機とばかりに距離を詰め、こちらを狩りに来るだろう。 ならば、このまま走って逃げきるしか方法はない。 やけに五月蝿い自分の鼓動を耳の奥に感じながら、私は乱れそうになる呼吸を整えて足を動かす。 まだだ。まだこんな所で終わる訳にはいかない。 諦めそうになる心を鼓舞し、力の抜けそうになる足に更なる力を込めて地面を蹴る。 考えろ、考えるんだ。どうすれば助けを呼べる。いや、呼ぶだけじゃ駄目だ。 助けが来るまで私が耐えれなければ意味がない。 迫ってくるソレを確実に撃退できる人物……。 真っ先に浮かんだのはこういった人外を相手に仕事をしているという親友とも呼べる人。 神咲那美さん。彼女なら今の私を助けてくれるかもしれない。 浮かんだその考えを頭を一振りして考え直す。 確かに人外は那美さんの専門分野とも言える。 だが、彼女が得意とするのは鎮魂や浄化で、荒事による除霊ではないと聞いている。 今回必要となるのは、間違いなく後者だ。 となると、彼女を危険にさらす事になりかねない。 そうなると次に浮かぶのはやはり……。 「み〜つけ〜た〜」 耳元で囁かれた声に考えるよりも先に体が動き、反転しつつ持っていた小太刀を抜刀。 しかし、刃は虚しく空を切る。 違う、元より背後に何て立たれていなかった。 声は耳元で聞こえたように感じても、実際は私の背後、鬱蒼と生い茂る木々の隙間から響いて来たんだ。 恐怖のあまり、声の位置を考える間もなくとんだ失策をしてしまった。 僅かとは言え、背後へと攻撃するために止まってしまった足を再び動かし、距離を開けようと力を込める。 もっと早く、もっと早く。 地面を蹴り、近くの幹を蹴り、身体を宙へ。 枝を蹴り、鋼糸を利用して遠くに身体を運び、地面を掛ける。 持てる技量全てを惜しみなく注ぎ込み、ひたすら距離を開ける事だけを考える。 同時に先ほど中断してしまった思考を巡らせる。 このような時、真っ先に頼りになり私が助けを求める人、恭ちゃん。 しかし、今回は恭ちゃんに頼む事は出来ない。絶対に無理だ。 何故なら、彼は私の目の前で……。 悔しさから涙が滲みそうになるも、ぐっと堪える。別に死んだ訳ではない。それは間違いない。 私が対応を間違えたばかりに、恭ちゃんが。 考えないようにしても、つい先ほどの事をどうしても思い出してしまう。 彼が物言わずに倒れて行く姿を。 あそこまで受身も何も取れずに倒れていく姿を見たのはいつ以来だろうか。 多分、苦手な甘味を我慢して食べ続け、ついに耐え切れなくなって倒れたあの時以来ではないだろうか。 とりとめなく過去の事を思い返してしまう。止めよう、縁起でもない。 街へ降りる道を掛けながら、私は人の多い所に出るべきか悩む。 あれが他の人を襲わないという保証がない。いや、周囲の被害を考慮するだろうか。 答えはノーだろう。間違いなく狙いは私一人。 けれど、その為に周囲を考慮する可能性はない。私を仕留める為になら、逆に周囲さえも利用するだろう。 となれば、人の多い所に出るのは私にとって不利にしかならない。 「はっはっは」 段々と呼吸も整わなくなって来ている。 普段ならこの程度の走行でここまで乱れる事などないだろうに。 やはり精神的に追われているというのが大きいのかもしれない。 どうしてこんな事に。今更ながらに、このような状況になった経緯を思い返す。 全ての元凶はやはり普段の私のドジの所為と一言で片付いてしまうのも悲しい事だ。 昔、那美さんに聞いた事がある。 鎮魂も除霊も出来ないという事例はあるらしい。その時は封印という処理を行うそうだ。 これだって楽な事ではなく、何よりも封じた物は時と共に綻びが来る。 故に封じた物は代々に渡って、封印が綻びないように常に目を光らせているらしい。 だが、当然ながら途絶えてしまう事もあるそうで。 普通なら他の退魔士などに封印の監視をお願いするそうだが、それが出来ないパターンも存在する。 そういった物の中には解けそうになったのを感じた同業者が再び封をする物もあれば、 そのまま封が解かれてしまう場合もあるらしい。 得てして、そうして封じられた場所には何らかの要となる物が設置されており、 普通の人はそういった物を変に弄ったりしないので、時の流れや天災以外では中々解けないらしい。 もし事故で解けてしまったとしても、要がしっかりと残っていれば、それを元に戻す事で再び封じる事も出来る。 そんな話を聞いた事があった。 「だとしたら、私が転んだはずみで壊したアレを元に戻せば……」 絶望的な状況だが他に方法も浮かばない以上、それを試してみるしかない。 私は意を決し、目的地へと向かう。 そんな私の背後に近付く殺気。咄嗟に横に方向転換すれば、さっきまで私の居た場所を何かが通過して行く。 考え事をするあまり、走る速度が僅かとは言え落ちていたのか、ソレとの距離が縮まっていたらしい。 何とも言えないミスに舌打ちしたくなるのを堪え、私は身体を低くして速度を上げる。 その頭上をまたしても何かが通り過ぎていく。 無事に辿り着けるだろうか。つい弱気になってしまう心を押し込め、私は地を蹴る。 身を投げ出すようにして前に転がり、三度飛来した攻撃をやり過ごすと振り返らずに走り出す。 が、ソレは私が思ってた以上に狡猾だった。 無事に攻撃を躱したのではなく、一箇所に寧ろ誘い出されたのだと気付いたのは、 障害物となる木々が少なくとも十数メートル渡ってない開けた場所に出た時だった。 「くっ、こんな簡単な罠に引っ掛かるなんて」 「本当に愚かだな。このような手に掛かるとは」 低い声が私の斜め左後方より飛んでくる。 そちらへと振り返れば、木々の間からゆっくりとこちらへと踏み出してくる一つの影。 頭の天辺から爪先まで黒で覆われ、鋭い眼差しでこちらを睨みつけてくる者こそが、私を狩る狩人。 「そろそろ観念したらどうだ」 「……そう簡単に諦める訳にはいかない!」 「往生際の悪い奴だ」 喋りながらも近付いてくるソレとの距離を保ちつつ、私は逃走経路を探す。 勿論、そんな私に気付いているからこそ、ソレは時折攻撃的な殺気を放ち、私の動きを制限しようとしてくる。 「くっ、これまでなの」 「ようやく観念したか、美由希。なら、ここで朽ち果てろ! 盆栽の仇!」 「たかが盆栽の一つや二つでそこまで豹変しないでよ、恭ちゃん!」 「たかが、だと。貴様、反省の色が見えないぞ」 「充分に反省してたよ。 だからこそ、正直に話したのに行き成り後ろに倒れたと思ったら、本気で切りかかって来るし」 「……貴様は自分が壊した盆栽がどういう物か分かってないのか」 「どういうって、恭ちゃんが最初に買った奴でしょう」 「ほう、分かっていたのか。分かっていてその態度か。 あの盆栽はな、俺が勉強しながら手を入れ、今までずっと共に育ってきた大事な奴なんだぞ。 それを貴様は……」 あ、まずい。 思うと同時に背中の小太刀を鞘から抜き放ち、飛んできた飛針を弾き落とす。 こちらへと向かってきた恭ちゃんの一撃を運良く躱し、私はそのまま背を向ける。 「待て、逃げるな!」 「古今東西、そう言われて止まった人なんて知らないから、私の行動もまた正しいはず!」 「寧ろ、ここで止まって初の人となれ!」 「絶対に嫌!」 背後から感じるプレッシャーから少しでも遠ざかるべく、私は全力で駆ける。 その後の体力? そんなもの考える余裕なんてない。 後の事よりも今。現在がなくなれば未来も必然となくなるのだから。 私は逃げながら本気でどうしたものか考える。 さっきまで考えていた、壊れた盆栽をどうにか接着剤で付けて直そうという案は、当然ながら却下だ。 寧ろ、余計に怒らせそうだ。大事な盆栽に接着剤など付けるなと。 と言うか、可愛い妹にして弟子よりもそんなに盆栽が大事なの。 思わずそう叫びたくなるも、それはぐっと堪える。 火に油を注ぐ事になり兼ねないし、肯定されたら逃げる気力をなくしそうだから。 こうなったら、第二案であるなのはに助けを求めるという策を使うしかない。 少々、いやかなり姉としての面子に傷が付きそうだが拘ってなどいられない。 そうと決まれば……。私は家へと向けて走り出す。 恭ちゃんもそれを察したのか、更に攻撃の勢いが増す。 私は必死で逃げながら、願わずにはいられない。 どうか無事に明日の朝日を拝めますように。 CMというよりも短編となってしまったな。 美姫 「という事は、これはその内、普通にSSコーナー行きね」 だな。まあ、それは追々の作業だな。 美姫 「そうね。しかし、もう七月も終わるのね」 そう考えると本当に早い、ってのは前にも言ったな。 美姫 「そうよね」 で、早いついでって訳じゃないんだろうが、そろそろ時間だ。 美姫 「早いわね」 という訳で、今週はこの辺で。 美姫 「また来週〜」 |
7月23日(金) |
美姫 「美姫ちゃんの〜」 ハートフルデイズ〜 美姫 「はっじまるよ〜」 <この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、暑すぎるだろう、とお送り中!> ……………………。 美姫 「返事がない。ただ溶けているだけのようね」 うだ〜〜〜〜。いや、もう本当に暑すぎだろう。 美姫 「確かにね。各地で記録を更新だものね」 流石に週末からは落ち着いてくるみたいな事を言ってたけれどな。 にしても、今週は暑かった。いや、もう本当に。 美姫 「ただでさえ、暑いのは苦手だもんねアンタ」 ああ。本当に溶けるかと思ったよ。 美姫 「そのまま溶けて蒸発しちゃえば、少しは平和になったかもね」 いやいや、俺はどれだけの悪なんだよ。 美姫 「まあ、冗談はさておき、毎度の事ながらこの時期には暑いから入るわよね」 事実暑いしな。 美姫 「口にされると私まで余計に暑く感じるのよ」 そんな事を言われましても。 美姫 「という訳で、今日これから暑いと言う度に私の拳骨が飛ぶわよ」 いきなりですね! 美姫 「問答無用で開始ね♪」 いやいや。それって、お前が暑いって言っ……ぶべらっ! 何故に!? 美姫 「今、言ったもの」 いやいやいや、今のは暑いと感じ……ぶべらっ! いやいや、説明させて! お願いだから。 美姫 「別にするなとは言ってないでしょう。ほら、早くしなさいよ」 だから、さっきのは俺がそ感じたから言ったんじゃなくてお前が言った場合どうなるのかを聞こうと思ったんだよ! 美姫 「何を?」 だから、お前が暑いって言……ぶべらっ! あれー、今のは何か可笑しくない? 美姫 「何処がよ。アンタが勝手に口にしたんじゃない」 聞いたのはお前だよな! だから、俺もつい暑……ごにょごにょと言ってしまったんだよ。 美姫 「ちっ」 えー! そこで舌打ちなのか!? 美姫 「まあ、アンタの疑問に答えてあげるわ」 と言うか、話題を変えましたよね、今。 美姫 「私が言った場合も同じようにするわよ」 おお、平等だ。 美姫 「という訳で、改めてスタートよ」 って、まだ始まってなかったのか!? 美姫 「そんな訳ないでしょう。とっくに始まっていたけれど、アンタの為に改めて宣言してあげたのよ」 へいへい、あいがとうございます。 ……………………。 美姫 「…………」 ……………………。 美姫 「…………ねぇ、何か話しなさいよ」 いや、変に意識してついつい無口になってしまうな。 美姫 「アンタだけじゃないの」 そんな事ないだろう。現にお前だって黙ってたじゃないか。 美姫 「いや、私はアンタが話しだすのを待ってたのよ」 嘘吐け! 暑いって言いたくないからだま……ぶべらっ! 美姫 「それにしても今日もいい天気だったわね」 そうだな。 美姫 「お昼とかも気温が上がってたみたいよ」 だろうな。 美姫 「そんな時に外なんかに出たら、きっとこう思うわよね」 そうだな。 美姫 「どう思うの?」 そりゃあ、寒くないなって思うだろう。 美姫 「ちっ。でも、今週は本当に凄かったわね」 そうだな。 美姫 「各地で猛暑だものね」 そうだな。 美姫 「外に出るときは帽子とかが必要よね」 だろうな。 美姫 「アンタもちゃんとそういう対策しているの?」 そうだな。 美姫 「去年の今頃もこんな感じだったかしら?」 どうかな。 美姫 「そう言えば、熱中症とかも怖いわね」 そうだな。 美姫 「水分補給は大事よね」 そうだな。 美姫 「これというのもやっぱり気温が高くて……」 あつ……寒くないからだな。 美姫 「ちっ」 …………。 美姫 「熱中症って言えば、オーストラリアは今は季節は何かしらね」 夏だな。 美姫 「それもそうよね。でも、オーストラリアは日本とは逆で今の時期は寒いか涼しいって聞いたわね」 そうだな。 美姫 「じゃあ、日本が冬の時期はオーストラリアって逆に」 そりゃあ、あつ……寒くないんだろう。 美姫 「ちっ」 …………。 美姫 「所で、さっきからそうだなとか、だろうな、しか喋ってないわね」 そうだな。 美姫 「ふざけてる?」 とんでもないです。と言うか、たった一つの言葉を使わないように気を付けるだけなのに、 どうしてこうも考えてから話さないといけないんだろうか。 美姫 「アンタがバカだからね」 短く断言するな。 美姫 「事実でしょう」 ひ、否定できないが……。 美姫 「さて、バカな話は置いておいて、そろそろ今週のCMいってみよ〜」 その間に少し涼むか。 ――この夏、一番の熱い戦いが幕を開ける! 「キングオブソルジャーズ?」 「そう。一緒に参加しようよ、恭也〜」 夏休みを直前に控えたある日の放課後、恭也は忍に話があると呼び出され、赴いた月村家でそんな事を聞かされた。 「簡単に言えば格闘大会よ」 「しかし、俺たちの……」 「言いたい事は分かっているけれど、多分大丈夫よ。 何せ、夜の一族やロボットも参戦するような大会よ」 忍の言葉に恭也は微かに眉を動かし頷く。 それに喜びを現すように抱き付く忍をやんわりと引き離し、恭也は他のメンバーに付いて尋ねる。 「とりあえず、ノエルと恭也に参加してもらおうとしか思ってなかったから。 後の二人、宛てがあるなら恭也に任せるけれど」 「……連絡してみるか」 恭也は後二人のメンバーを脳裏に描く。 ――キングオブソルジャーズ、格闘世界大会KOS 「〜〜♪」 「姉さん、機嫌が良いな」 「くっくっく。今の私は機嫌が良いぞ、大和。 何せ、あの爺が条件付きとは言えKOSの参加を認めたからな」 「って、姉さんも出るの!?」 「卒業してから世界を回ったが、心底楽しめたのは数える程もなかったからな。 今から楽しみだ」 ――野に埋もれた戦士の発掘を目的とした格闘大会 「はぁ、それで私にも参加して欲しいと。 確かに川神の事は話に聞いていますが、そこまでですか」 「まあな。正直、今回参加を認めたのもあれが五月蝿く言うて聞かんというのもある。 が、ここらで多少は発散させておかんといよいよ危ないと思ってな。 とは言え、それで相手になる奴があらなんだら、また荒れよるだろう。 そこでお主にも参加してもらいたいんじゃ」 「川神鉄心自らのお願いとあらば、この鉄乙女引き受けましょう。 後輩を嗜めてやるのも先輩たる者の務めでしょう。して、四人一組という事ですが……」 「残りの三人は自分で探してくれ」 「……はい?」 ――ルール無用、重火器の使用すらも許可された格闘大会 「ご主人様、これに参加しましょう!」 「えーっと、あははは、俺はパスするよ愛紗」 「何故です」 「いや、無理だって。そりゃあ、愛紗なら大丈夫かもしれないけれど、この大会に参加する人たち相手に俺じゃ」 「むー」 「ほら、俺は応援の方で頑張るからさ。鈴々たちと参加しなよ」 「元より、鈴々は面子に入っております」 「うっ、そんな目で見られても駄目なものは駄目。その代わり、愛紗の事をちゃんと応援するからさ」 「分かりました。なら、他の者を誘います」 「うん、悪いけれどそうしてくれると助かるよ」 「曹操や孫権も出ると言ってましたが、当然ご主人様は私を応援してくださるんですよね。 先ほど、申された約束を違えるような事はしないと信じています」 「……あ、あははは。が、頑張ってね、愛紗」 「はぁ。とりあえず、星は参加するみたいなので後一人探してきます」 ――四人一組でチームを組み、七浜と川神、二つの都市を舞台とした格闘大会 「奇襲に寝込みを襲うのもあり。ルールはないのがルール。唯一の反則は一般人への被害を出す事、か」 「ねぇ、リスティまさかとは思うけれど……」 「中々面白そうじゃないか。優勝者には賞金も出るみたいだし、これでフィリスからの借金も返せるだろう」 「そうだけれど……」 「何でもありなら薫や耕介を誘うか。後、一人は……」 「ムリムリムリ。私は絶対にでないからね!」 「別に期待してないよ。真雪は体力面がな〜。知佳が居れば防御面での心配も減るんだけれど。 駄目元で連絡してみるか」 「はぁ、わざわざ病室にまで来て何かと思えば……。って、ここで電話しないで! 用が終わったのなら出て行ってよ!」 ――その優勝賞金は総額500億 「ZZZ」 「辰姉、また寝てるけど良いの?」 「まあ、別に参加を伝えるのに全員で行かなければならないって訳でもないみたいだしね。 とりあえず、私たちは四姉妹でチームとして参加で良いね」 「良いけれど、許可はいらないのか?」 「ちゃんと貰ってあるよ。その辺は抜かりないさ。 楽しめると良いね」 参加者は各々の目的を胸に大会へと参加する。 今、問答無用の格闘大会の幕が開ける。 ワレワレハ〜。 ……最近の扇風機は声があまり変化しないような気がするんだが、どう思う。 美姫 「分からないわよ。やった事ないもの」 むむ、やはり羽が昔よりも進化したのか? うーん。まあ、考えても分からないし、もう切るか。 美姫 「切ったのは良いけれど、コンセット差しっ放しよ」 あ、ついやっちまった。 ぶべらっ! 何故に……。 美姫 「懸命な人ならお気付きでしょうが、アンタ今言ったわよ」 ……えぇ、このパターンでもアウトなのかよ! 美姫 「駄目に決まっているでしょう。あついと続けて言った時点で」 今、言ったな。 美姫 「…………何の事かしら?」 往生際が悪いぞ。 という訳で、大人しく喰らうが良い! まあ、一応手加減はしてやる! そりゃぁぁっ! 渾身の右! 美姫 「正当防衛よ!」 ぶべらぼげらぶぎゅぅっ! こ、これって明らかに過剰防衛だよね……。 美姫 「そんな事はないわよ。か弱い乙女が襲われて咄嗟に攻撃してしまっただけよ」 いやいや、か弱い乙女が人の顔の形を変形させるぐらいの一撃って可笑しいから! 更に言うと、今の何処に防衛権が? れっきとした罰ですよね! 美姫 「いや、条件をよく思い出してよ。私が言った場合も同じようにするって言ったでしょう」 ああ。だからこそ、俺が。 美姫 「違うわよ。同じなんだから、私の拳骨が飛ぶのよ」 うん? 美姫 「だから、私が言ってしまった場合もアンタと同じように私の拳骨が飛ぶって訳。 故にさっきのはアンタが急に私に襲いかかった事になるのよ」 ああ、そういう事か。 …………って、納得できるか! いや、待てよ。同じという事は威力も当然同じのはずだから、俺が殴るよりも威力は上に。 うん、よし! なら、さっきの分をさっさとしろ。 美姫 「はいはい。そりゃぁぁ!」 ポク。 美姫 「いや〜、痛い〜」 …………あははははは。 美姫 「うふふふふ、楽しい事でもあったの?」 ああ、たった今、目の前でそりゃあ、もう可笑しな事がな。 美姫 「そうなんだ」 って、何じゃそりゃぁっ! 俺の時と全然違いますよね! 何処か、何処が同じなんですか! 美姫 「アンタと私の防御力の差ね」 あ、そうか。って、納得すると思うか!? 美姫 「うるる、浩怖い」 いやいや、お前の方が怖いわ! 美姫 「あー、もう五月蝿いわね!」 ぶべらっ! って、威力違いすぎますよね! 美姫 「私の拳骨が飛ぶという点は一緒でしょう。威力はその時の私の気分次第」 聞いてねぇ! と言うか理不尽すぎるだろう、それ! 美姫 「あまり駄々を捏ねると次の一撃の威力が上がるかも」 ……あれ〜、ひょっとして脅されてる? 美姫 「失礼ね、別に脅してないわよ。ほら、言いたい事があるのならさっさと言いなさいよ、ほらほら」 …………うぅぅ、何もないです。 美姫 「なら宜しい」 うぅぅ。 美姫 「あ、でも良かったじゃない」 何が? 美姫 「もう時間みたいよ」 って事はもう暑いって言っ……ぶべらっ! 美姫 「時間とは言ったけれど、まだ終わるとは言ってなかったわよ。愚かね」 あ、あうぅぅ……。 美姫 「まあ、確かに時間だしそろそろ終わりにしてあげるから感謝するのね」 あ、ありがとうございます……? 何か違わないか? 美姫 「細かい事を気にする前に締めなさい」 細かいのか? まあ、良いけれど。 それじゃあ、今週はこの辺で。 美姫 「また来週〜」 |
7月16日(金) |
美姫 「美姫ちゃんの〜」 ハートフルデイズ〜 美姫 「はっじまるよ〜」 <この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、二週間ぶり、とお届け中!> 先週はお休みだったから……ぶべらっ! な、何故? 美姫 「いや、よくよく考えたら木曜日にずらせば良かったんじゃないかなって」 ……あ。 美姫 「本気で気付いてなかったのね」 うん。全くこれっぽちも気付いていなかった。 って、だからって、腹いせに殴るなよ! 美姫 「気付かなかったアンタが悪い」 ぬぅ。 ま、まあ何はともあれ無事にサーバーの作業も終わったしな。 美姫 「まさかメールなどの設定も多少弄らないといけないとはね」 送信できなくて焦ったよ。今は無事に送れているみたいだし、一安心だな。 最近はセキュリティ絡みで色々とあるみたいで。 美姫 「まあ、無事に終わって良かったわ」 うんうん。 美姫 「さて、それじゃあ今週も元気にCMいってみましょう」 それは昔、昔のお話。 日陰から光で満ちる世界に憧れを抱く一人の女の子が居ました。 女の子はなけなしの勇気を振り絞って前へと踏み出しましたが、あっさりと日陰へと追いやられてしまいました。 それでも諦めずに頑張りましたが、結果は変わる事無く、女の子はそのまま日陰に戻りました。 めでたし、めでたし。 「いやいや、全然めでたくないから!」 満足げに語り終えた相手に思わず忍が突っ込むも、言われた方は平然とした顔のまま続ける。 「世の中、そんなに甘くないっていう事だよね〜、あははは〜」 「いや、本当に救いのない紙芝居ね。って言うか、榊原さんの作る話って大概そんな感じのような……」 「そうかな〜。キョーヤどう思う?」 「すまん、寝ていて聞いてなかった」 顔を伏せて眠っていた恭也は榊原小雪の声にまだ眠そうな顔を上げ返す。 その目の前についとマシュマロを差し出され、特に考えるでもなく口に入れる。 入れてから甘いと小さく呟き何とか飲み込むと、 「で、何の話だ?」 「昔話だよ〜」 「また新しい話を作ったのか?」 「ううん、違うよ〜」 前に作っていたストックかと恭也は深く聞かず、凝り固まった背中を解す様に背伸びをする。 そこへ赤星が苦笑を見せながら近付いてくる。 「さっきの授業、完全に寝ていたな」 「むぅ、昨夜は色々あって遅かったからな」 「でも僕は元気だよー」 小雪の言葉に忍が反応し、恭也へと視線をすぐさま向けるとにや〜とその唇を歪ませる。 「一体、何をしていたのかしらね〜」 「小雪が不意に思いついた新作の紙芝居を作る手伝いをさせられていた。 そんなに加わりたかったのなら、次は連絡するとしよう」 「あ、あははは〜」 笑って誤魔化すと、忍は話題そのものを変えようと赤星に話し掛ける。 「赤星くん、恭也に何か用があったんじゃないの?」 「うん、まあね。高町、川神学園って知っているか?」 「名前ぐらいはな。川神院の生ける武神、川神鉄心が学園長をしている学園だろう」 「ああ。で、そこの生徒さんから俺の所に連絡が来たんだが……」 赤星は少し困ったような顔をして恭也を見る。 何故見られているのか分からず、首を僅かに傾げてつつも赤星に続きを促す。 「あそこの学園は色々と変わっていて、まあその中の一つに川神大戦って言うのがあるらしい」 「何だそれは?」 「簡単に言えば、二つのクラスが対戦するんだが、 仲間として学園の者たちを引き抜いたりと結構大掛かりなものらしい。 で、学園外からも戦力を五十人ばかり引き入れる事が出来るらしくてな」 何となく予想は付いたが、恭也は黙って赤星の話に耳を傾ける。 それを受けて赤星は続ける。 「その話は俺に依頼という訳じゃなくて、高町に依頼が来たんだ」 「どこをどう巡って俺に来たんだ。第一、俺に戦力を期待されても力にはなれないと思うが?」 「詳しい話は俺も聞いてないけれど、交渉してきた人はどうもあの川神百代とやり合える人を探しているらしい」 「だとしても、どうして俺の事を知ったんだ?」 恭也の疑問は理由や動機などではなく、どうして恭也という存在を知ったのかという事である。 ましてや、話を聞く限り普通の学生らしいその人物がどうしてと。 それを汲み取ったのか、赤星は少しだけ声を落とし、特に注意を払っている人が居ない事を確認して口を開く。 「鉄さんは知っているよな」 「なるほど、あの人経由という訳か」 「みたいだな。他にも九鬼揚羽にも協力を頼んでいるらしい。加えて、つい最近代替わりした四天王の一人も」 「同じ四天王である川神百代を相手にするのに残りの三人で当たるという訳か」 「ああ。それでも、正直厳しいというのが鉄さんやその九鬼という人の意見だったらしい。 で、もう一人協力者としてお前の名前が出たらしいぞ。 直接ではすぐに断られると見越したのか、間に俺を挟んできたようだな」 「だとしたら、その情報収集力は大したものだな」 感心して言う恭也に赤星はどうすると無言で問い掛ける。 既に恭也は答えを決めていたのか、特に考える素振りもなく、 「悪いが断っておいてくれ」 「だと思ったよ。今夜にもまた連絡が来る事になっているから断っておくよ」 「頼む。まあ、俺一人が加わった所でそうそう戦力は引っくり返らないと思うがな。 と言うか、あの人たちと俺を同列に扱うのは止めて欲しいものだ」 嘆息する恭也に赤星は特に何も言わず、ただ苦笑する。 それは恭也の言葉に同意したからなのか、違う意味でなのか。 気付きつつも恭也は話は終わりだと口を閉ざすも、ふと思い出して小雪を見る。 「そう言えば川神は小雪の出身地だったな。 もううちに来てかなり経つが……」 「うーん、別にどうでも良いよ。キョーヤが居れば僕は」 言って小雪は笑みを浮かべる。 その言葉に恭也はただ苦笑を浮かべるだけである。 「しかし、本当にその為だけに本来よりも一学年上のクラスになっているのも凄いわよね」 「まあ特例というか、色々と理由があるからな。成績は問題ないという事で許可も降りているしな」 「特に成績に関しては恭也が恩恵を受けているものね」 忍のからかうような言葉に恭也は沈黙を貫き、事情を知る赤星は何も言わない。 実際、小学校まではどうにか我慢していたのだが、 恭也が中学に上がる時に別の学校になると知った時の暴れ方と言ったら。 辛うじて美由希が居るという事で落ち着かせたものの、一ヶ月と持たなかった。 結果として、今の状況になっているのである。 その事を赤星は聞いて知っており、実際に見た訳ではないので小雪の外見から想像も付かない力に思わず小雪を見る。 「うん? どうかした? あ、マシュマロ食べる?」 「いや、別に良いよ。まあ、とりあえずさっきの件は断っておくって事で良いな」 「ああ、頼む」 こうして、一先ずその件に関しては終わり、忍が違う話を切り出そうとした所で予鈴が鳴る。 「さて高町、午後の授業は寝るなよ」 「……努力しよう」 「〜〜♪」 「また寝ると私は思うけれどな〜」 こうして授業の準備を始める中、恭也はすっかり先の件を忘れたのだが、相手は思ったよりもしつこかったのである。 尤も、この時点で恭也がそれを知るはずもないのだが。 真剣でハートに恋しなさい ここ一週間ばかり雨が続くよな。 美姫 「本当よね。各地で豪雨による被害も出ているし」 皆さんも気を付けて下さいね。 美姫 「でも、やっぱりじめじめするのよね」 まあな。これから夏も本番って感じで益々暑くなるだろうし。 美姫 「夏バテしないように頑張らないとね」 だな。さあ、頑張って夏を乗り越えるぞ! 美姫 「と気合も入れた所で」 今週はそろそろ時間だな。 美姫 「ちょっと早いような気もするけれどね。それじゃあ、締めましょう」 おうともさ。 それじゃあ、今週はこの辺で。 美姫 「また来週〜」 |
7月2日(金) |
美姫 「美姫ちゃんの〜」 ハートフルデイズ〜 美姫 「はっじまるよ〜」 <この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、むしむしするな〜、とお送り中!> うぅ〜、むしむしとするな。 美姫 「じっとり汗ばむわね」 まだ梅雨明けしてないから仕方ないのか。 美姫 「まあ、言っても日本の夏は湿度高いしね」 段々と俺の苦手な季節が近付いてくる。 と言うか、既に半分溶けそうだよ。 美姫 「溶けるのは勝手だけれど、私の足を汚さないでね」 冷たいお言葉ありがとう。 美姫 「どういたしまして〜」 しかし、本当に暑いな〜。何もしてなくても汗が出てくる。 美姫 「本当にこの蒸し暑さだけは慣れないわ」 とまあ、愚痴ってばかりもいられないからな。 美姫 「そうよ! この暑さも頑張って乗り越えるのよ!」 おー! ……でも、やっぱり暑い。 美姫 「せめてもう少し頑張りなさいよね!」 ぶべらっ! 風を感じるぞー! 美姫 「さ〜て、それじゃあ今週もCMいってみよ〜」 「さて、言いたい事はあるか忍?」 静かながらも隠しようのない怒りを身に纏い、恭也は目の前で正座する忍を見下ろす。 対し忍は文句の一つも口にする事なく、ただただ身を縮こまらせている。 非常に珍しい光景ではある。 普段から忍によって色々と被害を受ける恭也だが、今回は本気で怒っており、 忍も心底反省という言葉が温いぐらいに反省しているのが見える。 普段なら、ここでなのはなりさくら、もしくはノエル辺りが宥めに入るのだが、今回はそんな様子もない。 それはつまりそれだけの事をしでかしてしまったという事である。 項垂れたまま忍はただ首を横に振り、全ての判決を恭也に委ねる。 対する恭也は怒りを抑えつつ自問するように目を閉じ、数分後ゆっくりと目を開ける。 「とりあえず、何を差し置いても元に戻してもらうぞ」 「それは勿論」 「本来ならアルシェラや沙夜によって八つ裂きにされる所だが、そちらは何とか納得させた」 恭也の言葉に忍は傍で見ていても分かるぐらいに胸を撫で下ろしている。 それはそうだろう。二人の気性、特に恭也絡みとなった時の事は彼に親しい者なら誰だって知っている。 安堵する忍に、しかし非常に冷たい声が落ちる。 「分かっていると思うが、余の気はそんなに長くはないぞ」 発せられた言葉に忍は振るえただ許しを請うように頭を地面に着けんばかりに下げる。 対し、それを傍で見ていたノエルは眉を顰める。 尤もそれは自分の主を思っての事ではなく、この状況の異常さにである。 今放たれたアルシェラの声、それは恭也の口から発せられていた。 続け様、今度は別の沙夜の声がこれまた恭也の唇から出てくる。 「沙夜もこのような事態は遺憾です。恭也様と一つになれたという事実は喜ばしい事ですが」 「このような形で一つになっても嬉しくも何ともない。 第一、触れられないし触れてもらえないのだぞ」 「分かっております、アルシェラさん。これは単なる皮肉です」 「お前たち、文句を言いたいのは重々承知だが、少し黙っていてくれ。 流石に勝手に喋られると俺自身が可笑しくなりそうだ」 恭也は自分の眉間を揉み、どうにか二人の会話に割って入ると項垂れる忍を一瞥し、天井を見上げる。 「はぁ、まさかアルシェラや沙夜と融合するとは。 と言うか、どんな技術だ、それは」 疲れたように呟かれた言葉、それが今の恭也たちの現状である。 事の起こりは今から数時間前、忍からの一本の電話で始まった。 用件は旅行先であるドイツで面白い物を見つけたという事から始まり、見せたいから来いという物であった。 そうして月村家を訪れたまでは良かったのだ。 見せられた品は掌サイズの三角形のただの金属片。 それを前に忍は見た事ない金属だと目を輝かせ、恭也たちの見ている前で何やら呟くと、 その三角形の金属片が形を変え、一メートル半ほどの剣へと姿を変えた。 「アルシェラの古い記憶に聞いた、変化する金属じゃないかと思うんだけれど、加工がちょっと特殊みたいなのよ。 魔術的だけじゃなく科学的な感じで練成というよりも組まれた、って感じでね。 今のキーワードもようやく見つけたのよ」 その上でアルシェラの記憶と照合してどうかと問い掛けてきたのに対し、アルシェラはそれを受け取り、 じっくりと検分する。 「むぅ、余もこのような金属は知らぬな。 嘗て、神や魔が共に生存した時代の産物、古の遺産とも違うような気がする。 それにこの加工に使われている技術は余は知らぬし、聞き覚えもない。 そのような技術があれば、聞いた事や闘った事があっても可笑しくはないからの」 その説明を聞き、忍は少しだけ落胆するもすぐに気を取り直し、なら自分で解明するまでと目を輝かせる。 それで終われば良かったのだが、それを恭也に手渡し、 「どうも形態を変化できるみたいなのよ。で、解明したら恭也の身を守る防具になりそうでしょう。 という訳で、試しに恭也もやってみてよ」 と元に戻す為のキーワードを教え、危険を考慮する恭也を押し切る形でキーワードを口にさせた。 結果、金属片は元に戻ろうとせず、恭也を飲み込もうと広がり、 当然ながら守るべくアルシェラと沙夜が恭也の前に立ち塞がる。 謎の金属はそのまま三人を包み込むように飲み込み、忍が慌てて解明できた単語を次々と口にする。 その内、忍が口にした一つがキーだったのか、金属片は元の姿へと戻ったのだがそこには恭也の姿しかなく、 始めはアルシェラたちが剣になったのかと思ったがそうではなく、恭也と融合してしまっていたのだ。 幸い、人格まで消える事無く、二人曰く、恭也の目を通して外を見ることも出来るらしい。 二人の感覚としては暗い部屋に一緒に居て、恭也の見た物を一緒に見ている感覚なのだとか。 「しかし、本当に何なんだ、それは」 「よく分からないのよ。ドイツ語かと思ったんだけれど、似ているけれど全く違う文字だし。 辛うじて判明したのはさっきの幾つかのキーワードと思われる言葉と、 その金属片がユニゾンデバイスって呼ばれる代物だって事だけで。 私が使った時には何も問題なかったのに」 心底後悔している忍を何とか宥めつつ、これを発見した場所を尋ねる。 「ドイツの郊外にある森の奥に地下遺跡が見つかったの。 森そのものはうちの親戚が所有していた事もあって、今まで誰にも荒らされていなかったのよ。 他にも色々あったけれど、それだけが唯一稼動していたみたいだから持って帰ってきたんだけれど」 こうなったらもう一度現地に行くしかないと決意する忍に同行する恭也。 こうして、忍にノエル、そして恭也を加えた一行はドイツの地を踏む事となる。 それがまた新たな事件を引き起こす事になるなど、誰にも想像できない事であった。 「ウェルカム・ジ・アナザーワールドって所ね」 「暢気に言うておる場合か、このうつけめ!」 「そうです、沙夜たちを元に戻す所かどことも知れない異世界だなんて」 「この度は忍お嬢様が重ね重ねご迷惑を。忍お嬢様のお付として、最早この命を持って償いを」 「落ち着け、ノエル。悪いにはお前じゃないんだ。 と言うか、こんな状況でお前が居ないと俺の心労が増える」 遺跡で可笑しな装置を見つけ、止める間もなく起動させた忍。 結果として気付けば見知らぬ場所。 ノエルの衛星データリンクシステムも繋がらず、結論として地球ではないと判明するもそれ以外は不明。 見渡す限り、何もない荒涼とした風景が続いているのであった。 「ユニゾンデバイスによる融合の失敗が原因だと思います。 だとしても、そんな症例は聞いた事もありませんから治す手段があるかさえ」 「可能性としてあるのは我らが主の力を借りる事だな」 「そうですね。闇の書が完成すればあらゆる魔法や知識、それに闇の書の力もありますから。 恭也さんを元に戻し、皆さんを元の世界に戻す事も出来るかもしれませんね」 異世界をさ迷っていた恭也たちの前に現れた騎士を名乗る二人の女性。 当初は警戒していた彼女たちと何とか話をする事ができ、こちらの事情を説明した所、そのような言葉が帰って来る。 こうして、恭也たちはとりあえず彼女たちの主に出会う事にするのだが。 「元の世界にはあっさりと戻れたな。しかし、元に戻るには八神さんの力を借りねばならないか」 「それなんですが、恭也様。少し様子が可笑しいような気が」 「沙夜の言うとおりじゃな。どうもマナが少ない気がする。 それに街並みも少し……」 海鳴に戻れた事を喜んだのも束の間、そこは恭也たちの知る海鳴ではなかった。 その事実を確認するべく見て回った街で、恭也は自分たちよりも少し年を経た自分たちを見付け、 「高町……かーさんの旧姓だな。一体どういう事だ」 「どうもこうもない。完全に違う世界という事じゃ。 と言うか、認めぬ、認めぬぞ」 「そうです。幾ら異世界とは言え、恭也様と恭也様と……」 「んふふふふ〜♪」 「ああ、悪夢だ。やっぱりあれは俺じゃない」 「ちょっとどういう意味よ、恭也!」 「そのままの意味かと思われますが、忍お嬢様」 信じがたい物まで目にしてしまい、強く闇の書を完成させ元の世界に戻る事を誓う四人であった。 魔法少女リリカルなのはA's 〜異世界からの訪問者〜 突然ですがお知らせを。 美姫 「今回はかなり重要よね」 ああ。サーバーに関するお知らせです。 以前もやりましたが、今回はうちのメインとも言えるサーバーの移設作業があるみたいなんです。 美姫 「期間は来週7月9日の金曜日です」 時間的に午前9時から行われるみたいですが、その間、HPそのものが見れない状態になるかもしれません。 美姫 「決して閉鎖したとかじゃないからご安心を」 で、その日はもしかしたらメールが送れない可能性もあります。 移設後、メール確認して、翌週の月曜中には返信すると思いますので、 もし送ったけれど返事が来ないという場合はお手数ですがもう一度送ってください。 美姫 「以上、お知らせでした」 ふと思ったんだが、この暑さの幾らかはPCの熱だったりしないか。 美姫 「あー、それはあるかもね」 だよな。とは言え、起動しないという訳にもいかんだろうし。 美姫 「やっぱり気合で乗り切るしかないって事よね」 うぅぅ、夏は嫌だな。寝苦しいし、蚊が飛ぶし。 美姫 「はいはい。嫌な事ばかり考えるから嫌になるのよ。良い事を考えれば良いのよ」 例えば? 美姫 「夏と言えば海よね」 水害事故には気をつけないとな。ああー、くらげに刺されると痛いんだよな。 後、日焼けにも気を付けないと。 美姫 「山とか」 虫がたくさん出るよな。暑い中、汗を掻きながら傾斜を登るんだよな。 そして、登った以上は降りなくてはいけなくて。 美姫 「かき氷」 食べ過ぎてお腹が痛くなったという過去が。 美姫 「アイスは美味しいわね」 今は年中食べれるよな〜、アイス。 特に寒い日に炬燵で食べるのが良いんだよ。 美姫 「ええい、わざと言っているでしょう!」 ぶべらっ! 美姫 「大体、最後のは何よ! とってつけたように!」 ぶべらっ! 美姫 「そんなに海に入りたくないのなら、砂浜に埋めてやるわよ! 満ち潮になって溺れなさい!」 ぶべらっ! 美姫 「山を登りたくないのなら、富士の樹海に放り込んであげるわ!」 ぶべらっ! 美姫 「お腹が痛くならないように、アンタ自身を凍らせてあげようかしら!?」 ぶべらっ! 美姫 「ったく、文句ばかり言うわね」 お、お前は手、手を出しすぎ……。 美姫 「素直に夏も楽しみなさいよね」 うぅぅ、すみません。とは言え、暑いのはやっぱり苦手なんですが。 こればっかりはどうしようもないんですよ。 美姫 「それは分かっているわよ。だから、気合なのよ」 あ、そこに戻るのか。 とは言え、まあ頑張るしかないのは確かだしな。 美姫 「そういう事よ。って、アンタに説教してたら時間がなくなったわね」 説教!? あれってどう見ても体罰と言うか、お仕置きと言うか。 美姫 「何よ、いつもの事じゃないの」 いや、そうなんだけれど。って、それで済ませるな! と言うか、いつもの事になっているのはお前が原因だからっ! 美姫 「はいはい。後悔してない、反省もしていないわ」 まあ、そこまで言うのなら……って、してないのかよ! 美姫 「ほら、それよりも時間よ」 うぅぅ……、酷い。 美姫 「それこそいつもの事でしょう」 ですよね〜。という訳で、気を取り直して締めるか。 美姫 「さっきからそう言ってるでしょう!」 ぶべらっ! 美姫 「ほら、早くしないさよ」 へいへい。 それじゃあ、今週はこの辺で。 美姫 「また来週〜」 ……と言うか、再来週だな。 美姫 「そうだったわね。それじゃあ、再来週〜」 |