『真雪サバイバル』
それはとある漫画家の一言から始まった。
「ふーん、勝ち残り戦………ね」
たまたま見ていたテレビのクイズ番組を眺めながら、そう呟く。
その一言に何となく不吉なモノを感じつつ、ここさざなみ寮の管理人兼コックである耕介は尋ねる。
「真雪さん、また何か企んでますか?」
「耕介、またとは何だ。また、とは。まるで、あたしがしょっちゅう何かを企んでいるみたいじゃないか」
「違うのかい?」
逆に真雪に尋ね返すのは、美しい銀髪の女性、リスティである。
「ったく、失礼な奴らだな。あたしは忙しい時は企んでないだろうが」
「それは、自分が締め切りに追われて忙しい時だけなのだ。わたしたちが忙しくても、自分が暇なら構わずやってるのだ」
「ぼくもその意見には賛成」
「おいおい、舞まで。奈緒、まさかお前まで…」
「は、ははは。そう言えば、課題がまだ残ってたんだった」
奈緒は真雪の視線から逃げるように、実際逃げているのだが、リビングから出て行く。
「まあ、良いさ。でも、これは良いネタになるかもな……」
そう言って笑う真雪を見ながら、耕介は嫌な予感を感じていた。
それを止める事は出来ないだろうとも思いつつ。
翌日、真雪の部屋から一枚のメモが見つかり、それを見ながら耕介は自分の嫌な予感が現実になりつつある事を感じていた…。
『一週間ばかり出かけてくる。 真雪』
そのメモを片手に、窓から見上げる空は何処までも青く澄みきっており、夏の到来を予感させていた。
〜 つづく 〜