『真雪サバイバル』






  〜 3 〜





島中にサイレンが鳴り響き、ゲームの開始が告げられると、各自動きを見せる。
ある者は、施設へと向かい、またある者はその場から動かずに。
そんな中、一人の男が口笛を吹きつつ、森の中を歩いて行く。

「さて、最初に誰と出会うのかな〜」

気楽な口調で呟くその男の前方に、一人の女性がいた。
男は女性に気付き、声を掛ける。

「千堂さんじゃないですか」

「あら?あなたは確か、相川君の友達の…」

「はい、端島です。端島大輔」

「そうだったわね。って事は勝負しなきゃいけないのよね」

「ですね」

お互いに軽い感じで話す。

「じゃあ、何で勝負します?」

「そうねー。やっぱり格闘技で、ってのは駄目かな?」

両手を胸の前で合わせ、見上げるように大輔を見る。
たちまち大輔は鼻の下を伸ばし、頷く。

「それでOKです」

「そう。それは良かった。じゃあ、行くわよ」

返事を聞き、言うや否や大輔の襟首を掴み、そのまま前方へと投げ飛ばす。

「ぐっ!」

何とか受身は取ったものの、そのダメージは緩和されず息を詰まらせる。
その大輔の喉下に、瞳は棍をあてがい笑みを浮かべえる。

「降参かしら?」

ここで降参と言わなければ、この後何が起こるか判らない程、大輔は間抜けではなかった。

「降参です」

「じゃあ、私の勝ちね」

瞳はにっこりと笑うと、棍を収める。

「じゃあ、私は行くから」

そう言って、その場を去って行く。
残された大輔は、溜め息を吐くと本部へと戻るのだった。

「色仕掛けで負けたようなもんだよな……。しかし、男、端島、悔いはない!
 ………な訳あるかー!何だ、この展開は!まるで噛ませ犬じゃないかー!」

訳の分からない事を叫びながら、大輔はもと来た道を戻るのだった。





【残り 34名】







 〜 つづく 〜









ご意見、ご感想は掲示板こちらまでお願いします。