2005年3月〜4月

4月29日(金)

美姫 「美姫ちゃんのハートフルデイズ〜」

この番組は、雑記をぶんどってお送りしてます。



海と山に囲まれて、比較的に穏やかな気候の海鳴。
これは、あまり知られてはいない事だが、この地に立つ風芽丘学園には、昔から不思議な現象がよく起こる。
実際は、噂止まりで、誰もそれを証明できなかったが。
ただ、裏山には、それらの出来事を見守るように静かに丘神石と呼ばれる石が立っていた。
これは、そんな不思議な出来事に心を捕らわれ、その謎の解明を目的としたクラブ、浪漫倶楽部とその面々のお語…。



「まんまるくって、コロコロしているから、コロンっていうのはどうだ」

──身の回りで不思議な事には事欠かない少年
  浪漫倶楽部部員、三年 高町恭也

「ほえ? コロン……?」

──霊的土地(パワースポット)の封印する役目を持つ、丘神石の精霊
  浪漫倶楽部部員 コロン

「君の名前だよ。どーかな? 君は意思なんかじゃない。俺たちの仲間だよ」

──人に見えざるモノを見る事のできる瞳、第2の瞳(セカンド・サイト)を持つ少年
  浪漫倶楽部部員、二年 火鳥泉行

「私も、仲間なんだから」

──心優しき少女
  浪漫倶楽部部員 二年 橘月夜

「うおぉぉ〜、それは不思議事件に違いないのだ! 浪漫倶楽部、出動!」

──様々な怪奇現象を解明すべく浪漫倶楽部を創部した少年。
  浪漫倶楽部部長、三年 綾小路宇土



この世の中には、人のまだまだ知らない不思議な出来事が数多く存在する。
そして、それを解明するのが……、彼ら、浪漫倶楽部なのだ!

海鳴浪漫倶楽部 好評妄想中!



美姫 「さて、いよいよGWね」

ガン○ムウィ○グか?

美姫 「そんなお約束はいらないわよ」

ちょっとぐらい、良いじゃないか。

美姫 「それよりも、GWの間に、何本のSSが上がるのか楽しみよね〜」

ふぁぁぁ〜〜ああ。

美姫 「何、欠伸なんかしてんのよ! ほら、さっさと書きなさいよ! さっさと!」

いて、いて、いて。ぼ、暴力反対!

美姫 「だったら、さっさと書きなさいよ!」

す、少しぐらいは休ませろよ。

美姫 「アンタ、休みすぎだから」

……えっ!

美姫 「反応まで、遅くなってるじゃない!」

じょ、冗談じゃないか。

美姫 「アンタの場合、本当かどうか区別がつかないのよ!」

酷いいいようだな、おい。

美姫 「ふふふ。たっぷりと、書かせてあげるからね」

い、いやじゃぁ! こうなったら、逃げる!

美姫 「って、逃がす訳ないでしょうが! って、抜け穴!
    一体、いつの間に…。と、とりあえず、後を追わないと。
    そんな訳で、また来週ね〜。って、いつもよりも、早いじゃないのよ!
    これも全部、浩のせいだわ。後で、覚えてらっしゃいよ〜。ふっふっふっふ」


4月22日(金)

美姫 「美姫ちゃんのハートフルデイズ〜」

この番組は、雑記を乗っ取ってアップしています。



 「全ては、神の御心のままに」

 「神だと? 信仰を捨てた神父が、どの口で神の名を出す」

 「捨てたのではありませんよ。ただ、気付いたのです。
  ただ黙っていても、神は救いの手を差し伸べてはくれやしないと」

 「その為に、人をも殺すか」

 「人…? 違いますね。彼らは皆、人の皮を被った獣ですよ。
  本来ならば、殺す価値さえ無い。しかし、誰かが鉄槌をくださなければなりません。そう、神に代わって」

 「違う! 人が人を殺すなんて間違っています」

 「ほう、可笑しな事を仰りますね。では、問いましょう。
  あなた方が手にしているソレはなんですか? まさか、玩具とでも仰りますか」

 「そ、それは……」

 「落ち着け、美由希」

 「では、あなたに問いましょう。あなた方が手にしているソレは何ですか。
  そして、今まであなたがしてきた事と、私がしてきた事。何が、どう違うのでしょうか」

 「さあな。結局の所、俺もお前もしている事は変わらんだろうな。
  どんな大義名分を掲げた所で、人殺しは人殺しだ。
  それでも、俺は俺の守りたい者を守る。ただ、それだけだ」

 「なるほど。あなたを相手に、この問答は意味がないようですね。
  しっかりとした信念の元、あなたはソレを手にしている。
  そして、さほど遠くない先に、そちらのお嬢さんも、それを貫く強さを持つでしょうね」

 「何だ? 予言か」

 「いえ、ただの直感ですよ。いえ、確信と言い換えても構いませんが。
  どちらにしろ、お互いに語る言葉は尽くしました」

 「だろうな。お前にどんな理由があり、また、考えがあるのかは知らないが、俺の周りの者にその手を伸ばすというのなら…」

 「…ただ斬るだけです」

 「ほう。先程とはまるで違いますね。この短い間に、そこまで決意を固めるとは」

 「正直、殺すための決意というのは、まだ分かりませんけれど。
  それでも、恭ちゃんと約束したから。私がこの刀を手にしたのは、守るためだから。
  だから、悩むのも、後悔するのも、全部、後にします。今はただ、自分の力全てを使って、守り抜く…。
  ただ、それだけ!」

 再び戦いの狼煙が上がる時、少女はその手に刀を握る。
 迷い、悩み、傷付いたとしても、その瞳に力を宿し、ただ己が力でもって、目の前のものを斬る。

 マリアさまはとらいあんぐる 〜2nd〜 第XX話

   (注) CMは、構想中のものです。実際のお話と若干の違いがあるかもしれませんが、ご了承ください。



さて、久し振りに本当のCMっぽいのをやったわけだが。

美姫 「えっ!? だって、最後の方で、可笑しな部分があったような」

さてさて、次のコーナーは何だろうな〜。

美姫 「えっと、次は……って、誤魔化されるとでも思ってるの?!」

あ、あははは。まあ、良いじゃないか。ほら、次、次。

美姫 「はぁ〜。じゃあ、次はショートショートSSへ〜」



 「知っているかい、岡崎」

 「ああ、知ってる」

 「ふっ、相変わらず、情報が早いね」

 「良いから、さっさと言え」

 「アンタ、今、知ってるって言ったじゃないっスか」

 「良いから、さっさと言え」

 「仕方がないな。そんなに知りたいのなら、教えてやろう」

 「あ、別に知りたくないからいいや」

 「……お願いだから、そこは頷いてくれ。じゃないと、話が進まないだろう」

 「はいはい」

 「そ、それじゃあ、最初からいくぞ。
  …………やあ、知っているかい、岡崎」

 「最初って、本当に最初からかよ」

 「だー、いらん事を言うな。こういうのは、ちゃんとしないと気持ち悪いんだよ」

 「ああ、分かった、分かった。ほれ、早く続き」

 「ったく。……やあ、岡崎」

 「って、またそこからかよ!」

 どがっ!

 「つつつ。お前、容赦ないのね」

 「お前が相手だからな」

 「ふっ。それってつまり、僕相手だと、本気にならざるを得ないという事ですかね」

 「いや、別にどうなっても構わないし」

 「アンタ、鬼ッスね!」

 「良いから、さっさと用件を言えよ!」

 そんないつもと変わらない馬鹿なやり取りをする二人の元へ、同じクラスの委員長がやって来ると、おずおずと話し掛ける。

 「お、岡崎くん。実はですね…。
  今度、CLANNADのSSがアップされる事になったんです」

 「えっ、マジで?」

 「は、はい」

 「くけぇぇぇぇー! お、俺の台詞がぁぁぁ!」

 怯える椋を落ち着かせながら、朋也が言う。

 「そんなに驚くな。アレは、あいつの一族に伝わる祈りの儀式なんだ。
  丁度、今から儀式の時間みたいだな」

 「って、どんな儀式だよ!」

 「ああ、春原」

 「なんですか!?」

 朋也へと詰め寄ろうとした春原の後頭部に、何処からか飛んできた事典がヒットする。
 まともに喰らい、床へと倒れていく春原に、朋也は至って普通に話し掛ける。

 「藤林を泣かせたら、杏がだまってないぞ」

 「…そういう事は、もっと早く言って頂戴……」

 「ったく、この馬鹿は! まあ、学習能力がないから、馬鹿なんだろうけれど。
  次、うちの妹を泣かせたり、驚かせたりしたら、こんなもんじゃすまさないわよ!」

 言いながら、杏は倒れている春原の背中を踏みつける。
 と、その杏の手に、何やら見慣れぬ物体が捕まれている事に気付く。
 しかも、それは良く見ると、人の形をしていた。

 「おい、杏。お前、遂にやっちまったのか。
  あれ程、安全運転を心掛けろと言ってやったのに」

 「ん? ああ、これはそんなんじゃないわよ。
  それに、これぐらいじゃあ、死なないから」

 そう言って、床に投げ出されたのは…。

 「う、うぅぅ、酷い。これでも、一生懸命に頑張っているのに」

 「だから、さっさとSSの内容を教えなさいって言ってるでしょう」

 「おい、杏」

 「ちょっと、朋也は黙ってて。ほら、ヒロインは誰なのよ!」

 「じゃなくて…」

 「何よ、もう」

 「それって……」

 「うん、浩」

 「「…………」」

 あまりにもあっさりと答える杏の言葉に、朋也と椋は思わず顔を見合わせる。

 「いや、まあ、今更、何も言わないが」

 「ま、まあ、ここでは一種、何でもありですから…」

 「うぅぅ。酷いよ〜」

 「ほら、さっさと吐きなさいよね!」

 「僕も聞きたい事があるぞ!」

 「って、もう復活したのかよ、春原」

 「当たり前だろう。今、ここでこいつに恩を売っておけば、SS内での扱いが変わるんだぞ。
  当然、主役になることも可能って訳だ」

 「あ、それはない」

 「チェストー!」

 「ぐげぇぇ」

 「さ、流石ね。伊達に、世界最弱を名乗ってないわね。このヘタレに負けるなんて」

 「ああ。恐るべしだぜ」

 「ヘタレって、僕のことですかね!?」

 二人は一度顔を見合わせると、悲しそうな顔に哀れむような目で春原を見る。

 「本当に言ってもいいの?」

 「世の中には、知らない方がいい事もあるんだぞ?」

 「既に、宣告されたような気もするけれど、とりあえず、遠慮しておこうかな〜」

 「「お前(アンタ)以外にヘタレな奴なんていないだろう(でしょう)」」

 「って、結局、言うんですね!」

 「って、馬鹿に付き合ってる暇は無かったわ。ほら、早く言いなさい!」

 「ぐ、ぐるじぃぃぃ。く、首、首が……ガクッ」

 ぐったりとなった物体を見て、朋也が流石に慌てて止める。

 「杏、マジでやばいって。白目剥いて、泡吹いてるぞ」

 「うわっ! キモっ!」

 杏は力一杯、地面に叩き付けると、遠ざけるように蹴る。
 それを見ながら、春原が感動したように言う。

 「ああ、僕よりも下っているんだね」

 「それって、喜び方が間違っているような。まあ、良いか。
  で、結局、知りたいことは分からなかったんだな」

 「本当に。妙に強情なんだから」

 「なあ、単にまだ未定とかじゃないのか」

 「……た、確かに、大いにありうる可能性だったわね」

 「つまり、それに気付かなかったと」

 「し、仕方がないじゃない」

 そんなやり取りをする朋也たちの後ろから、また新たな人物が現われる。

 「ここ、曲がる〜」

 「あ、本当だ。凄い、凄い」

 「ことみ、古河、何を馬鹿な事をやってるんだ。第一、いつまでも同じネタは駄目だぞ。
  そこなら、俺だって曲がるわい!」

 「私もよ!」

 朋也と杏はそう叫びながら、ことみへと振り返りざまに突っ込みを入れる。
 それに対し、渚が感心したような声を出す。

 「凄いです。お二人共、曲がるんですか」

 そう言った渚の見ている先には、杏に蹴られて床に転がっていた浩の首を持ったことみがいた。

 「……なあ、杏」

 「何かしら、朋也」

 「流石に、あの曲がり様はまずいんじゃないか」

 「奇遇ね。私も今、同じ事を思ってたわ」

 「ブクブク泡さん。ヒュ〜、ヒュ〜呼吸さん」

 「って、ことみ、流石にそれはまずい!」

 「そうよ。やるなら、足がつかないようにしないと」

 「おい!」

 「あ、じゃなくて…」

 慌てて言い直すが、既に後の祭りだった。
 しかも、ことみは不思議そうに首を傾げ、二人を見上げてくる。

 「まずい? これ、食べ物?」

 「いや、違う。腹壊すから、絶対に止めておけ」

 「分かった」

 そう言うと、ことみは顔を蒼白くさせて痙攣していた物体から手を離す。
 瞬間、杏が一歩踏み込み、

 「証拠隠滅シュート!」

 その物体を遠くへと飛ばすのだった。

 「ふ〜」

 「って、お姉ちゃん!?」

 「どうしたの。あいつなら、あれぐらい大丈夫だって」

 「そ、そうじゃなくて、もう告知する時間が残ってないよ」

 「な、何でよ!」

 「いや、お前が浩を虐めてたから…」

 「アンタは黙ってなさい!」

 「ぐげっ」

 「春原、学習するという言葉と、とんと縁のない男だ」

 崩れ落ちる春原に合掌する朋也だった。



 「全く、あいつらは揃いも揃って何をしているのやら。
  仕方がないから、私から手短に告知をしよう。
  CLANNAD SS タイトル未定、アップ日未定、乞うご期待。
  ……って、これで何を期待しろというのだ、あのアホは!」

 「風子とヒトデの大冒険です。可愛いヒトデと風子の活躍を期待してて……。
  可愛いヒトデと一緒に…………ホワワ〜ン」

 「って、二人ともちゃっかり、何してるのよ」

 「何とは心外だな。私はただ、こうして告知を…」

 「ふっふっふ。そう、告知をね」

 「ああ、そうだぞ」

 「って、二人共、落ち着け。と言うか、本当に時間がな……」



美姫 「って、何よこれは!?」

というより、俺の扱いって……(涙)

美姫 「いや、そこは良いんだけれど」

良いのかよ!

美姫 「所で、本当に書くの?」

あははは。そんな訳ないって。

美姫 「よね〜。と言うか、これの所為で、結構、時間取ったじゃない」

まあ、仕方がないさ。

美姫 「全部、アンタのせいでしょうが!」

うぅぅ。ひ、酷い……。

美姫 「とりあえず、また来週ね♪」

ではでは。



 「あなたじゃないわよ。織葉よ。私の名前は、織葉」

 「……そうか。思い出した」

 恭也の傍に現われた、織葉と名乗る女性。
 彼女は果たして、何者なのか。
 そして、その目的は。

 『恭也と守護霊さま』 本日アップ予定!


4月15日(金)

美姫 「美姫ちゃんのハートフルデイズ〜」

シクシク。

美姫 「って、初っ端からなによ!」

ぐげっ!

美姫 「まったく、もう」

そんな事を言われてもな〜。
いい加減、ネタが辛いっス!

美姫 「そこを何とかするのが、アンタの役目でしょう」

自分でなんとかしようとは思わないんだな。

美姫 「何か言った?」

ブンブンブン! 何も言ってません!
と、とりあえず、CMへ〜。



ある日、恭也は遥か昔に御神より別れし分家、倉木家から連絡を受ける。
倉木家は、既に御神より離れて数百年を数え、御神流とは全く関係がないはずであった。
それなのに、何故、今になってと思いつつ、恭也はその倉木家へと向かう事になる。
しかし、そこへ辿り着く前、恭也は疲れからか倒れてしまうのだった。
次に恭也が気が付いた時には、見慣れぬ天井に部屋、そして、ベッドの上だった。
彼は、その時、ふと人の気配を感じて、横を見る。と、そこには……。

(女神か、精霊か……)

月の光を背に浴び、一人言葉もなく立ち尽くす少女に見惚れる恭也。
同じく、目を覚ました恭也に気が付いたその女性は、無言でただ見詰め合う。

「何? 気が付いたの?」

その耳に心地良い声を聞きながら、恭也は再び意識を失うのだった。
次に彼が目覚めた時、その女性が自分の婚約者で、名を鈴菜という事や、
倉木家の当主として迎えられることになるなど知らずに…。

 No Surface Triangle



さて、今週も元気に行ってみよう〜。

美姫 「それじゃあ、次はSSの進行状況よね」

が、頑張ってます。
って言うか、とらハ学園とマリとら2nd以外の長編は、全く進んでません!

美姫 「威張るな!」

ぐげっ!

だ、だって……。

美姫 「だってじゃないわよ。何だって、アンタはそう」

ううぅぅぅ。俺だって、俺だって、もっと早く書けるようになりたいよ。

美姫 「努力が足りないのよ、努力が!」

シクシク。

美姫 「それじゃあ、次!」







ある日、気が付くとそこは見知らぬ世界だった。
ここは何処か分からない恭也。
また、どうしてこんな所にいるのか。
記憶も曖昧となっているらしく、彷徨う恭也の前に一人の女性が現われる。
これが、後の彼の運命を大きく変えることになるなど、この時は思いも寄らないままに。

穏やかに流れる時間の中、恭也はバリハルト神殿より邪神討伐を命じられ、その前に行われた試練を乗り越える。
そして、神格と名と剣を手に入れる。
シルフィル。風に愛されし御子、恭也・シルフィルの誕生であった。
恭也は、神剣スティルヴァーレを手に、邪神と闘う。
そして、その邪神とは、あの彼女だった。
話し合おうとする恭也に、神殿の神官たちの力が注ぎ込まれ、意に反して身体や口が動き出す。
古の女神アストライアを討たんがために。

どのぐらいの時間が流れたのか。
あらゆる感覚が欠如してしまった恭也には、それを窺い知る事ができなかった。
恭也の肉体は勝手に動き、限界を超えた速さで剣を振るう。
その口は信じられないほどの速さで呪文を紡ぎ、今まで使ったことのない魔法によって、天変地異すら引き起こす。
しかし、それでもアストライアに傷一つ付けることは出来なかった。
腕が千切れ跳び、右足がなくなり、生きているのか、死んでいるのかさえ分からなくなり始めた頃、その脳裏に声を聞く。
アストライアの声を。
神の名と力を用いた呪縛により、恭也の精神と肉体は崩壊し、
アストライアの肉体へと宿る事によって、完全な崩壊を免れている状態である事。
その事実を静かに聞く恭也へと、アストライアは続ける。
恭也が生きるためには、アストライアの力と肉体が強すぎるため、アストライアは、自分と恭也の一部をここに捨てるという。
恭也を失いたくないという、それだけの為にそこまでしようとするアストライアを止める恭也だったが、
しかし、彼女は首を縦に振る事はしなかった。
ただ、恭也に何があっても生きてと言い、それを約束させて。
そして、今ここに、一人の男が誕生する。
風に愛されし名と、女神の体を持つ、神を殺した忌まわしき者として。

 ── 神殺し恭也の誕生した瞬間だった。

こうして、恭也の長い長い旅が幕を開けた……。







うーん、実際にやるとしたら、無茶苦茶長そうな話だな。

美姫 「で、やるの?」

ははは〜。これ以上の長編は無理だって言ってるだろう。

美姫 「まあ、それもそうね」

さて、今週はこの辺かな?

美姫 「そうみたいね。それじゃあ、また来週ね〜」

ではでは。


4月8日(金)

美姫 「浩〜〜〜〜!」

美姫ーー!

かくして、異世界へと飛ばされたPAINWEST一同。
彼らは無事に元の世界へと戻れるのか!?

美姫 「次回、熱血α波は、天気の予感。暁燈、ついに壊れる!?」

K、走る走る、馬車馬の如く。

美姫 「式、意味不明の電波を受け取る」

の、三本でお送りします〜。

美姫 「って、私たちの出番がないじゃない!」

というか、なんつー、始まり方だ。

美姫 「たまには、変わった始まり方を、と思って」

変わりすぎだ! 何で、オープニングで次回予告なんだよ。
しかも、変なタイトルばっかり。

美姫 「言いながら、浩もノリノリでやってたじゃない」

それはそれ。

美姫 「はいはい。さーて、それじゃあ、今週も美姫ちゃんのハートフルデイズ、始まるよ〜」

この番組は、メイドによる、メイドだけの、メイドのための ネコ耳を提供しつづけて、はやウン百年の猫のマークの提供でお送りします。



美姫 「いやー、意外と続いてるわね、これ」

俺は、いい加減に疲れたよ(涙)

美姫 「さーて、それじゃあ、ショートショート、もしくは、ボツSSのコーナー」

最早、この件に関する意見は無視される事は決定ですか……(泣)







「恭也、いいバイトがあるんだけれど、やらないか」

「いきなりだな、九峪」

突然、クラスメイトの九峪から、恭也はアルバイトへと誘われる。
それを承諾した恭也だったが、これが彼の今後の運命を大きく変える事になるとは、この時は知る由もなかった。



「う……うぅ、こ、ここは……」

「きょ、恭也か。ここは、一体、何処なんだ」

二人は辺りを見渡し、巨木が林立する原生林を見て、全く身に覚えの無い光景にそう呟く。

「一体、どうなってるんだ」

九峪の呟きに、恭也が応じるように口を開く。

「よく分からんが、さっきまで居た場所とは違うようだな」

「ああ」

二人して顔を見合わせていると、そこへ第三者の声が響く。

「あ、あれれ〜。どうして君たちが?」

その声の主を探し、辺りを見渡す二人の目の前。
すぐそこに、これまた見慣れない物体が浮遊していた。

「お前は何者だ」

「ぼくは、天魔鏡の精、キョウとでも呼んでくれたら良いよ」

「天魔鏡?」

「そう、天魔鏡」

「ああ、もしかして、あの時、日魅子が触っていた銅鏡の事か」

「多分、それの事だと思うけれど、どうして君たちはそんなに落ち着いているのかな…。
 普通だったら、僕を見て、何らかのリアクションを取ると思うんだけど」

何故か寂しそうに言うキョウに、恭也は、

「何だ、驚いて欲しかったのか」

「……いや、今更、もう良いけど」

身の周りで嫌というほど、非常識な経験をしてきた二人に取って、キョウ自体はそんなに驚くような事でもなかった。

「まあ、恭也がやっている剣術も、俺にしたら非常識なんだけどな」

「失礼な」

九峪の言葉に憮然と答える恭也。
そんな二人を眺めつつ、キョウは話を元に戻す。

「それよりも、ここが何処かという事なんだけど」

「そうだった。おい、日魅子は無事なのか!?」

「ちょ、お、落ち着いてよ! それを今から説明するから!」

慌てて今にも飛び掛らんとする九峪を落ち着かせつつ、恭也はキョウへと続きを促がす。
キョウの話で、二人は手違いでここへと呼ばれた事、そして、ここは恭也たちの世界から見えば、三世紀の九州である事。
しかも、恭也たちの知る過去とは違う歴史の流れの九州らしい事だった。
そして、最も大事な事として、キョウには二人を元の世界へと戻す力がない事。
元の世界に戻るためには、女王火魅子の力が必要だという。
しかし、狗根国が火魅子のいる耶麻台国を滅ぼしたため、現在は国そのものがない事。
その為、火魅子の資質を持つ者を九州の何処からか探してきて、耶麻台国を復興させる必要があると締め括る。

「どう思う、恭也」

「どうも、こうも……」

恭也は素早く手を伸ばすと、キョウを捕まえる。

「全ての元凶はこいつだからな。とりあえず、こいつを痛めつければ、ひょっとしたら戻れるかもしれん」

「成る程。確かに、そっちの方が国を復興させるよりも早いな」

「ああ。第一、現状は狗根国が新たな支配者として九州を治めているんだぞ。
 耶麻台国を復興させるなんて、一体どれぐらいの時間が掛かるか。
 おまけに、何処にいるのかも分からない火魅子の資質を持った者を探すなんて、俺と九峪の二人だけでは、無理だ」

「わわわ。ま、待って! お願い! ぼくをどうにかしても、君たちは戻れないよ。これ、本当!
 それよりも、ぼくは火魅子の資質を持つ火魅子候補を見つける能力があるから。
 だから、ぼくを生かしておいた方が、絶対に良いよ! ね、そうすれば、耶麻台国を復興させて、すぐに帰れるし」

「さて、こいつの戯言は以上らしいが…」

恭也は九峪へと視線を移す。
キョウがすがるような目で九峪を見詰める中、九峪は口を開く。

「火魅子候補が見つかっても、そう簡単に国が復興できるかよ。
 今までの歴史がそれを物語っているだろう」

「だよな」

歴史には強い九峪がそうはっきりと言う。
まあ、歴史にあまり強くなくても、それが難しい事は分かるが。

「そ、そんな。でも、本当に君たちが元の世界に戻るには、それしかないんだよ」

「まあ、それしか手がないと言うのなら、そうするしかないんだがな」

「恭也の言う通りだな。しかし、それはそれとして……」

「だな」

二人は目を合わせると頷き合う。

「あ、あれ? 何、二人して言葉は無くても通じ合ってるのかな。
 何か、目付きが怖いよ。って言うか、ぼく、何だかとても嫌な予感を感じるんですけど……」

「勘違いで、こんな状況に放り出された俺たちの気持ちが分かるか?」

「九峪の言う通りだ。よって、それなりの制裁を加えないと、気がすまない」

「あ、あははは」

二人の言葉に、キョウは力なく笑うしか出来なかった。
かくして、恭也と九峪は元の世界へと戻るため、奇しくも一国を復興させなければならなくなったのであった。







美姫 「さて、これは言わずもがな、とらハとアレのクロスね」

おう。 実は、このクロス。かなり昔のネタだったりする。

美姫 「へー、そうだったんだ」

うん。マリとらを書いている時に思いついた奴だからな。
勿論、2ndじゃないぞ。

美姫 「だとしたら、かなり前よね」

まあな。結局は、ボツにしたんだが。

美姫 「何で?」

いや、何となく?

美姫 「何よ、その理由は!」

あ、あははは〜。
と、とりあえず、次のSS〜。







水を被ると女になってしまうようになってしまった高町恭也。
そんな彼を更なる試練が襲う。

「ハイ、恭也〜」

「リスティさん、どうかしたんですか」

「うん、これがしたんだな〜。所で、もう一年、学園生活を送る気はない?」

「あの、言っている意味がよく分からないんですが」

「うんうん、そうだろうね〜。実は、天下に名立たるあの小笠原グループの会長からの依頼なんだけれど…」

「どこかで聞いた事のあるような話ですね。いや、俺の年齢的に言うと、未来で聞きそうな話ですね」

「まあ、何処にでもあるような話だしね。それに、アイツの頭じゃ、新しいネタは出せないって事だよ」

「あいつ?」

「ああ、こっちの話って。僕も一体、何を言ってるんだろう。まあ、良いや。
 兎も角、一年ちょっとの大プロジェクトらしくてさ。
 その期間、万が一の事を考えて、護衛が欲しいんだって」

「護衛ですか。しかし、小笠原の会長ともなれば、既に護衛の一人や二人」

「いや、護衛するのは、孫娘の方」

「ああ、そういう事ですか」

「そういう事。だから、恭也にはそのお嬢様の通う学園へと行ってもらいたいって訳」

「それで、そのプロジェクトが終るまでですか」

「そういう事。一年、留年することになるけど、一応、あっちの学園で卒業できるからさ」

「まあ、それは別に問題なくはないですが、この場合、仕方ないですね。
 でも、実際に狙われているとか、そういった事は?」

「いや、ない。だから、万が一を言っただろう。会長は、孫娘がとても可愛いらしいからね」

「そういう事ですか」

「そういう事。他に適任者も思い浮かばないから、恭也に頼もうと思って。どうする?」

「分かりました。引き受けます。で、俺が行く事になる学園というのは?」

「そうこなくっちゃね。恭也に言ってもらうのは、東京にあるリリアン女学園だから」

「へっ? あの、俺の聞き間違いでしょうか」

「ううん。聞き間違いなんかじゃないよ、女子校だよ。
 ほら、今の恭也なら問題ないだろう」

そう言ってリスティは何処からかバケツを呼び寄せて、中に入っていた水を恭也へと掛ける。
ずぶ濡れになった恭也は、男の姿ではなく、女になっていた。

「ほら、これで完璧♪」

「……これで卒業した場合、高町恭也という人物の学歴はどうなるんでしょうか」

「だから、リリアンを卒業した事になるって…………あっ!」

「……男の俺が、リリアン女学園卒業ですか」

「あ、あはははは〜。ごめん、機がつかなかった。
 えっと、そっちは何とかするよ、うん。とりあえず、護衛の件、お願い」

リスティは一方的にそう言うと、その場から姿を消す。
何か言おうとして開いた口に、呼び止めようとして伸ばした手が虚しく空を切る。
暫らく、そのままで呆けていた恭也だったが、秋も深まり、一段と寒さをました夕暮れという事もあり、軽く身震いをすると、家の中へと入る。

「……とりあえず、風呂に入ろう」

恭也の呟きは、赤く染まった夕暮れへと消えていった。







さて、次は何かな〜。

美姫 「恒例のSSの進行具合ね」

あ、あははは〜。が、頑張りますよ!
で、ではでは。

美姫 「勝手に終らさない!」

で、でもでも。

美姫 「でもも、かかしもない」

いや、案山子はあるだろう。

美姫 「五月蝿いわよ!」

うぅ、ごめんなさいぃぃ。

美姫 「さて、それで、どんな感じなのかしら?」

って、ほら、本当にもう時間だ!

美姫 「あっ! もう、何でよ〜」

文句を言わない、言わない。そ、それじゃあ、また来週!

美姫 「まあ、良いわ。今日という日はまだまだあるものね」

う、うぅぅぅ。

美姫 「帰ってから、ゆっくりと聞いてあげるわ。勿論、状況によっては……」

あ、た、助けて! まだ、時間あるよね、ねね。
えっ、本当にないって? そ、そんな事、言わな……。



この番組は、明日へ羽ばたくメイド育成スクールの提供でお送りしました。


4月1日(金)

美姫 「美姫ちゃんのハートフルデイズ〜」

…………。

美姫 「何故か、初っ端か倒れている浩は無視して、この番組は、雑記のコーナーを乗っ取ってお送りしてます」

美姫 「今日から4月ですね。新社会人の方、頑張って下さいね。
     新入生の皆も、頑張ってね。そして、それ以外の人たちも、頑張っていきましょう〜。
     私も頑張って行きますよ。では、最初のコーナーはこちら……」

…………。

美姫 「いい加減に起きなさい!」

ぐげっ! ピクピク
……モ、モウカンベンシテクダサイ。ウソハツキマセン、ユルシテクダサイ……。

美姫 「全く、何を言っているのか良く分からないわね。
     この馬鹿は放っておいて、雑記SSへ行ってみましょう♪」




朝の通学路を走る、二つの影。
周りには既に他の生徒の姿が見当たらない事からして、恐らく遅刻ギリギリなのだろう。

「はぁ、はぁ、全く、たまには、ゆっくりと登校してみたいな」

「うぅ、ごめんね、祐一〜」

「悪いと、思うなら、たまには、早く、起きろ」

「それは無理だよ〜」

「くっ。笑顔で、あっさりと、言うな!
 と言うか、お前だけ、まだ、余裕が、あるのは、納得が、いかないぞ」

「そんな事、言われても〜」

走りながら会話をする二人の後ろから、物凄い速さで掛けてくる生徒の姿があった。
どうやら、二人同様、遅刻ギリギリなのだろう。

「はー、はー、このペースなら……。って、祐一に水瀬!」

「おお、浩平か」

「おはよう、折原くん」

「うがぁー、もっと急がないと、遅刻しちまう」

「失礼な奴だな」

「本当だね。いつもギリギリだけど、遅刻はしてないよ」

「つまり、お前たちより後の奴は遅刻という事だろう。
 それで付いた呼び名が、最終レッドライン」

「それは、お前が勝手に付けたんだろうが!」

「うぅー、あんまりだよ」

「しかし、今では全校生徒の殆どが知っているぞ」

「それも、お前があちこちで言うからだ!」

「まあまあ。ある意味、名物となっているんだ」

「そんなのに、なりたくねーっての」

言い合いつつも、足だけは動かしていた三人の後ろから、微かに声が聞こえてくる。

「待ってよー、浩平」

「おい、浩平。ひょっとしなくても、長森を置いて来たのか」

「失礼な。途中までは一緒だったぞ。ただ、気が付いたら、横にいたはずのあいつの代わりに、お前らが居たんだ。
 驚きだな」

「そんなの驚きでも何でもないよ。単に、折原くんが瑞佳を置いて来ただけじゃない」

そう言って、名雪は走る速度を落とす。
仕方が無さそうに、祐一と浩平も速度を落とすと、暫らくして瑞佳が追いついてくる。

「酷いよ、浩平。一人で先に行くんだもん」

「遅いお前が悪い」

「何だよ、それは。と、おはよう、名雪に相沢君」

挨拶を返してくる二人に笑いかけると、今度は一転して浩平へと詰め寄る。

「全く、毎朝起こしてあげてるのに、危なくなったら、先に行くなんて酷いよ」

「ああー、悪かったって」

「本当に酷い奴だな。俺の身近にいる奴みたいだ」

「私は、先に行ったりしてないよ」

「当たり前だ。一度でも、先に行ったりしたら、次の日からは起こしてやらん」

「それは困るよ。でも、置いていかなければ、これからも祐一が起こしてくれるって事だよね」

「だから、その前に、起きる努力をしろ!」

「うぅ、一応、努力はしてるよ」

「あははは。でも、まだ起きようとする意志があるだけ良いよ、名雪は」

「そうか。結果が伴わなければ、意味が無いんじゃないか」

「そうでもないよ。だって、浩平の努力は起きることじゃなくて、逆に、如何に多く惰眠を取るかだもん」

「ふっ、長森には分かるまい。あの一度、目が覚めた後に再び眠りへと向かう、あの瞬間の心地良さが。
 あれを味わうためならば、例えベッドの下や、クローゼットの中で寝る事になろうとも…」

「見つけ難い所に隠れるのはやめてよね」

「簡単な所に隠れたら、すぐに起こされてしまうではないか」

「だから、どうして起こされないように隠れるんだよ」

「浩平、お前、いつもそんな事をしてるのか」

呆れたように訊ねる祐一に、浩平は少し胸を張りつつ、

「まあな。って、流石に毎回ではないぞ。たまにだ、たまに」

「たまにでも、やってるのか」

「起こす方の身にもなってほしいよ。もし、見つけられなかったら、遅刻だよ」

「そこは、長森の腕の見せ所だな」

「そんな腕なんていらないよ」

「何ぃぃ、俺を起こすマスターの言う言葉とも思えんぞ」

「そんなマスターになった覚えはないんもん」

「そうだったな。長森はだよもん星人だったな」

「だから、何だよ、そのだよもん星人っていうのは」

「だから…」

「説明は要らないよ」

説明しようとした浩平の言葉を遮り、瑞佳がきっぱりと言う。
そんな二人の話を聞いていた祐一は、名雪へと顔を向ける。

「名雪は差し詰め、イチゴ星人か」

「祐一まで、変な事言わないでよ」

「だって、お前、苺ばっかり食べてるだろう」

「そんなに食べてないよ」

「だったら、今日の朝食はなんだった」

「トーストとコーヒーだよ。って、祐一は知ってるでしょう」

「ああ。イチゴジャムたっぷりのな。で、昨日の昼がAランチで、放課後にはイチゴサンデーを食べてたよな」

「だって、苺だよ、苺。苺なんだよ」

「いや、それは分かってるって」

「うぅ、祐一の虐めるよ、瑞佳〜」

「いや、待て。それは大いに誤解だぞ」

「浩平といい、相沢くんといい。二人は極悪コンビだよ」

「そうだよ、祐一と折原くんは極悪コンビだ」

「だったら、長森はだよもん星人だろうが」

「名雪はイチゴ星人だろうが」

「二人は、極悪というより、変な事ばっかり言ってるから、へんてこ星人だよ」

「瑞佳の言う通りだね。今度から、二人を呼ぶときは、へんてこ星人て呼んであげるよ」

「「呼ぶな!」」

そんな事を言いながら端っていた所為か、走る速度はかなり遅くなっていた。
それに気付いた浩平は、何気なく時計を見て声を上げる。

「って、時間!」

残る三人も揃って時間を確認すると、

「まずい、急ぐぞ、長森」

「う、うん」

「祐一、急ぐよ」

「分かってるよ!」

言うが早いか、先程よりも早くペースで四人は走り出す。
暫らく走っていると、徐々に差がつき始める。
先頭を駆けて行くのは、陸上部である名雪だった。
その後を、少し遅れながら浩平が続く。
そんな二人を眺めつつ、祐一は呼吸を吐き出すと共に、深く溜め息を吐くという器用な事をしながら、横を走る瑞佳を見る。

「なあ、理不尽だと思わないか」

「な、何が?」

喋るのも辛そうに、しかし、律儀に答えてくる瑞佳に、祐一は続ける。

「何で、寝ていて遅刻しそうだという事で、わざわざ起こしてやった俺たちが、こうして置いてけぼりの目に合ってるんだろうな」

「あ、あははは。た、確かにね」

祐一の言葉に、瑞佳は苦笑しながら答えるのだった。



  CM、CM、CM流れてます〜♪
  一生懸命ネタを考えてます♪
  流石にそろそろしんどいです♪
  CMネタ、まだまだ頑張ってます! のPAINWEST



三時間目も終った休み時間。
一人の生徒が鞄を持って教室に入ってくると、自分の席へと着く。
その顔はどこかむすっとしていて、機嫌があまり良くない事を示していた。
そんな生徒に、隣に座っていた生徒が話し掛ける。

「よお、どうかしたのか、春原」

「どうかしたのか、じゃないよ。そう、それは今日の朝の事だよ…。
 僕はいつも、朝食を終えると、とびっきりのコーヒーを淹れて部屋に戻ってくるんだ」

「急げよ、お前」

「そして、部屋でゆっくりとコーヒーを飲みながら、お気に入りの曲を聴く。
 まさに、優雅な朝の一時だね。
 今日もいつものように、コーヒーを淹れて部屋に戻って来て、音楽を掛けた瞬間……」

『Yo! Yo! 俺、岡崎。おまえは…、おまえは、ビビデバビデブ。
 って、これは呪文じゃないか。よし、たった今からお前は蛙になっている。
 いいな、蛙になってろよ。……って、馬鹿馬鹿しい。何で、俺がアイツのためにこんな事をしなきゃならないんだ。
 帰ろう…』

「思わず、飲んでたコーヒーを噴き出しただろうが!」

「それ、俺か?」

「岡崎って名乗ってただろう! 何で、俺のマイベストが、お前の訳の分からないラップになってるんだよ!」

「俺は、お前のいい所をラップにしてやろうと思ってだな」

「その割には、何も浮んでませんでしたよね! おまけに、ビビデバビデブって何ですか!?
 しかも、蛙になれって命令してますよね!」

「そう言えば、何で蛙になってないんだよ」

「なれません!」

「ちっ、根性なしめ」

「根性の問題なんですか! 高町も何とか言ってくれよ!」

春原は、岡崎の前に座っている生徒に声を掛ける。
今まで、二人のやり取りを聞いていた高町恭也は、一つ頷くと、

「ふむ。岡崎…」

「そうそう。ここは、ずばっと頼みます」

「春原は、ビビデバビデブという呪文が気に入らなかったみたいだ。
 恐らく、リリカルマジカルの方が良かったんだろう」

「ああ、そうだったのか。それは悪い事をした」

「って、そんな問題じゃないよ! それに、お前あの後、停止ボタンを押してなかっただろう。
 お陰で、全部消えてしまったじゃないか!」

「まあ、そう怒るな。俺はお前の朝の一時を、より和やかに過ごせるようにしてやったんだから」

「思いっきり、神経逆撫でしてるんですけど」

「春原」

「何だ、高町。悪いが、止めないでくれよ」

「いや、別に止めるとかそういうのではなくてだな。うるさいから、少し静かにしてくれ」

「確かにな」

「あんたら、妙に息合ってますね! くっそーー!」

春原は叫ぶなり、教室を飛び出して行く。
それを不思議そうに見遣り、岡崎と恭也は顔を見合わせると首を捻るのだった。



美姫 「さて、次のコーナーは、浩のSSはどこまで進んだかな〜、の予定だったんですが……」

う、うぅぅぅ。
ゆ、許して……。

美姫 「はぁ〜。まあ、あれだけの攻撃を喰らって、既に原形が元に戻っているというのは、ある意味凄いわよね。
     でも、意識が戻らないんじゃ、ただのゴミじゃない。
     あ、リサイクルにも出せないし、生ゴミでもないし。うーん、ゴミですらないわね。
     ただの邪魔じゃないのよ! もう、さっさと目を覚ましなさいよね!」

ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
う、うぅぅ、許して。

美姫 「……ごほん。 あー、あー。よし。この手だけは使いたくなかったんだけど、仕方がないわね。
     流石に、一人だと辛くなってきたわ。はい、そこ、耳を塞いでおくように。
     こほん、それじゃあ……。
     ご主人様、そろそろ起きてください

がばっ!
勿論、起きるともさ!
……って、あれ、あれ? 俺のメイドは?

美姫 「そんなもの、いないわよ」

う、うぅぅぅ、夢だったのか。

美姫 「夢で終わらせておく方が、人類のためよ」

そこまで言いますか。

美姫 「言うわよ」

うぅぅ。美姫メイドVerは夢だったのか……。

美姫 「って、何で、私で夢を見るのよ!」

そんな事を言われても、俺が知るか!

美姫 「ま、まあ、良いわ。それよりも、もう始まってるわよ」

…………馬鹿か、お前は!
何故、こんな状況の俺をここに連れて来ている!

美姫 「うるさいわね。気絶しているアンタが悪いんでしょう」

誰のせいだ、誰の!

美姫 「へー、そんな事を言うんだ」

すいませんでした、全て私の不徳の致す所でございました。

美姫 「全く、分かっているんなら、いちいち言わないでよね」

はっは〜。仰る通りでございます。
因みに、詳しくは、秘密の部屋にある『美姫さまの素敵なエイプリルフール』を参照……。

美姫 「何を言ってるのよ!」

ぐげろっぴょぉぉぉ〜。

美姫 「あれは、フィクションです。全ての事柄は、嘘ですので」

う、うぅぅぅ。……って、痛いわ!

美姫 「更に回復が早くなったような気が…」

うむ、レベルアップしたんだな、きっと。

美姫 「虚しいレベルアップね」

ははは、言うなよ(涙)
って、それは兎も角、知らない間に、何か書いてあったSSらしきものが公開されてるんですけど……。

美姫 「良いじゃない、ボツだったんでしょう」

……うぅぅ。

美姫 「え、まさか、本当に書くつもりだったの」

いや、流石にこれ以上の長編は、無理だろうから、良いんだけどね。

美姫 「そうよね〜。あー、びっくりした」

美姫 「って、アンタがくだらない事を言っている間に、時間になったじゃないのよ」

俺のせいかよ! 第一、俺は目覚めたばかりで、どれぐらいやってたのか知らなかったんだぞ!

美姫 「何よ、じゃあ、私が悪いって言うの?」

いえ、俺が悪かったです。

美姫 「分かれば良いのよ。全く、SSの状況が聞けなくなったじゃない」

ほっ。

美姫 「何か言った?」

ブンブンブン、ブンブンブン。
な、何も言ってないぞ。

美姫 「はぁー、何か、いつもより疲れた気がするわ。
     帰ったら、マッサージお願いね」

……了解っす(泣)

美姫 「それじゃあ、また来週お会いしましょうね♪」

ではでは。


3月25日(金)

美姫 「美姫ちゃんの」

ハートフルデイズ〜。

美姫 「この番組は、PAINWESTの雑記を快く借りてお送りしています」

…………。

美姫 「何よ」

何でもありません。
まあ、やってることは変わらないから、良いんだけどね。

美姫 「そんなこんなで浩のSSはどうなってるの?」

なにが、そんなこんななのかは分からんが…。

美姫 「まあまあ。にしても、先週言ってた長編、まさか書くとはね〜」

ああ、自分でも驚きだ。
マリとら2ndを書いていたはずなのにな。
人生、何が起こるのか分からないや。あはははは〜。

美姫 「笑い事じゃないわよ。一体、今、どんな状況になてるのよ!」

新しい長編とAn unexpected excuseをアップしたから…。
おお、前と変わってないぞ〜。

美姫 「……この馬鹿ぁぁぁぁぁ!」

のぎょりょぴょぉぉぉ〜!

美姫 「とりあえず、ショートSSよ!」



  ある日、買い物帰りの恭也が商店街の福引で引き当てた、家族中国旅行への招待券。
  たまにはという事で、出掛ける事に。
  所が、そこである噂を耳にした事から、事態は可笑しな方向へと動き出す。
  中国の奥地に、古より伝わる修行場がある。
  それを聞いた恭也は、美由希を伴って、桃子たちとは一日だけ別行動を取る事に。
  二日目、朝早くからそこへと向かった恭也と美由希。
  ガイドに案内されて辿り着いたまでは良かったが…。

  「ここが、噂の修行場なのか」

  「何か、そんなに凄い所じゃなさそうだね、恭ちゃん」

  「アイヤー、何言うアルカ、お客さん。ここは、数多くの伝説が生まれた場所アルヨ」

  「まあ、確かにあちこちが泉だらけで足場は悪そうだが」

  「とりあえず、鍛練してみようよ」

  「だな」

  言うなり、恭也と美由希は荷物をその場に置き、走り出す。
  それを見て、ガイドが慌てたような声を上げるも、二人には届いていない。

  「お客さん、何するアルカ! アイヤー」

  二人へと近づこうとした瞬間、その足元に飛針が数本突き刺さり、ガイドはその場にへたり込む。
  そんな事にも気付かず、二人は互いしか目に入っておらず、激しい攻防が繰り返される。
  何度目かの攻防の折、小太刀による鍔競り合いから、美由希の蹴りが跳んでくる。
  それを軽く躱し、逆にその軸足を刈り取る。地面へと倒れながらも、美由希は飛針を数本投げ飛ばし、
  それを小太刀で弾き、躱す恭也へと鋼糸を巻き付ける。
  鋼糸を小太刀で切ると、恭也は美由希へと迫る。
  再び飛針で牽制してくる美由希に対し、同じように恭也は小太刀で弾く。
  所が、今度は弾いた飛針の一本が、ガイドへと向かって飛んで行った。
  恭也は舌打ち一つすると、神速を使ってガイドへと向かって飛んで行った飛針を叩き落とす。
  しかし、かなり無理な態勢となっており、それを隙とみた美由希の蹴りが見事に恭也の背中へと決まる。

  「ば、馬鹿! 関係ない人がいるだろう」

  「あ、ごめっ、駄目、止まらないよ」

  綺麗に決まった蹴りによって、恭也は近くの泉へと落ちてしまった。
  それを見て、ガイドが大声を上げる。

  「アイヤー! その泉は1500年前に、美少女が溺れてしまった悲劇的伝説ある泉アルヨ。
   以来、そこで溺れた者、皆、女になってしまうアル」

  「え、嘘!」

  ガイドの言葉に驚いてそちらを見た美由希へと、泉から飛び出してきた恭也の飛び蹴りが綺麗に入る。
  その衝撃によって、美由希は恭也が落ちたのとは違う泉に落ちる。

  「アイヤー! そこは、1700年前に、猫が溺れてしまった悲劇的伝説ある泉アルヨ。
   以来、そこで溺れた者、皆、猫になってしまうアル」

  「はっ? 何を言ってるんだ」

  「嘘ジャナイアルヨ。お客さん、自分の姿見るヨロシ」

  そう言って鏡を差し出すガイド。
  それを受け取り、鏡を覗き込んだ恭也は、言葉を失う。
  次いで、美由希が落ちた泉へと視線を向けると…。

  「にゃ〜」

  猫がそこから出てくる所だった。

  「な、な、何じゃそりゃー!」

  恭也の絶叫が、誰も居ない山へと虚しく響くのだった。
  ショックを受けた恭也と美由希を、ガイドは町まで連れて帰り、二人は茫然自失ながらもなんとか桃子たちと合流する事が出来たのだった。
  日本に帰ってから、美由希は恭也が落ちた泉にもう一度落ちていれば、元に戻れた事に気付くのだが、既に後の祭りだった。



美姫 「さて、復活した?」

あ、ああ、何とか。

美姫 「じゃあ、さっさとSSを書いてね♪」

いやいや、その前にやらないといけないことが。
いや、やりたい事が。

美姫 「何をよ」

うむ、掲示板なんだがな。

美姫 「それがどうかしたの」

うん。アイコンを増やそうと思うんだが、アイコンの数に制限があるんだよな。

美姫 「じゃあ、仕方がないわね」

そこでだ。掲示板そのものを変えてしまうというのは、どうだろう。

美姫 「また、思い切ったことを」

どう思う?

美姫 「別に、今のままでも困らないと思うけど?」

確かに。うーん、どうしようか。

美姫 「それよりも、SS〜」

だぁー、分かったよ。書くよ、書きますよ。

美姫 「うん、頑張ってね。それじゃあ、今回は早いけれど、この辺で」

また来週なのである。

美姫 「まったね〜」


3月19日(土)

美姫 「美姫ちゃんの…」

いや、今日はないからな。

美姫 「え〜」

えー、じゃない。昨日、やったでしょう。

美姫 「つまんない、つまんない、つまんなーい」

何度言っても駄目なものは駄目!
と、そうじゃなくて、連絡があったんだった。

美姫 「そうよ、そうそう。ずばり、明日から火曜日まで、ネットが出来なくなるのよね」

その通りです。
ですので、更新が出来なくなります。申し訳ございません。

美姫 「次の更新は、水曜日になります」

という訳で、今回はこの辺で。

美姫 「ぶ〜、ぶ〜」

はいはい。


3月18日(金)

美姫 「美姫ちゃんのハートフルデイズ〜」

チャカチャカチャンチャン〜♪

美姫 「この番組は…」

雑記の殆どを奪ってお送りしています。
萌えないメイドに意味はあるのでしょうか、のメイド育成スクールの提供でお送りします。

美姫 「いや、メイドって、召し使いさんの事でしょう。
     別に萌える必要なんて…」

はいはい〜、真面目に考えない!

美姫 「と、それもそうね。それじゃあ、早速。この番組で唯一、固定となっているコーナー…」

いかに、行き当たりばったりか分かる発言だ。

美姫 「(無視) 浩のSS、どこまで〜、のコーナー」

やる事は一緒だが、コーナータイトルは変わるんだな。

美姫 「はいはい、そんな事は良いのよ。さっさと、さくさくと言っちゃいなさい」

へいへい。
えーと、まずはブロードアピールさんのきりリクが八割方完成。

美姫 「おお、まずまずね」

でも、これは、ネタ的に3月31日にアップしますので。

美姫 「そういう事ですので、これに関しては、少し待ってて下さいね」

で、マリとら2ndが、何と驚け!

美姫 「ほうほう」

まだ、前半の触りだけ。

美姫 「この馬鹿!」

ぐげろぉ!

美姫 「違う意味で驚いたわよ。他は!」

えっと、とらハ学園とMoon Heartが、共に30%といった感じで、短編の構想が一つ。
で、新たな長編ネタが一つ。

美姫 「この馬鹿! これ以上、長編を増やしてどうするのよ!」

わ、分かってるって。だ、だから、書いてないだろう。

美姫 「書けないだけじゃないの?」

そうとも言うな……。

美姫 「他はどうなっているのよ」

えっと、An unexpected excuseシリーズが書きかけ状態。

美姫 「他は、天星とか、込められしとか」

ああ、そんなのもあったな…って、嘘です!
りょ、両方とも、10%程度しか出来てません(泣)

美姫 「KanonのSSは?」

手付かずです。

美姫 「…投稿用は」

あ、あははは〜。

美姫 「この馬鹿は! 一遍、死んで詫びて、新たな気持ちで生まれ変わってきなさい!」

ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。

美姫 「謝って済む訳ないでしょう。このバカ、バカ、バカ〜」

うげ、ぐがっ! がはぁっ!

美姫 「全く、どうしようもないバカなんだから。とりあえず、CMです〜」



  「エルフはぬがーす!」

  「エ、エルフは……。美由希、変わりに頼む」

  「えー、また私が。まあ、仕方がないけど。ごめんね、私たちが元の世界へと帰るためなのよ。
   という訳で、エルフはぬがーす!」

  ある日、世界を征服しようとする魔術師を倒すために、日本から異世界へと召還された恭也たち。
  何とか、その魔術師を倒したものの、日本へと帰るためにの還元呪文が飛び散ってしまったからさあ、大変。
  異世界を東へ西へと走り周り、還元呪文の欠片を探す旅が始まった。
  しかし、その呪文の欠片は、女のエルフの肌へと刻印されているというから、困ったことに。
  素直に脱いで裸を点検させてくれるなら、それで良し!
  しかし、実際にはそう簡単に行く訳もなく。
  結局は、力尽くとなるのだった。
  そんなこんなで飛ばされた異世界で、今日も今日とて日本へ帰るためにエルフを脱がして行く高町家。
  エルフを狩る高町家、毎週金曜日、夜?時より放送中!




美姫 「浩〜、生きてる?」

な、何とか……。

美姫 「それじゃあ、次は、ショートSSのコーナー。今回は、何かな〜」



  「え〜っと、地図だと確か、この辺りなんだけど……」

  家の庭で周りを見渡す怪しい人影に、恭也は眉を顰めてじっと見詰める。
  その視線に気付いていないのか、庭に立っているは少女は手元の紙をじっと見詰める。
  やがて、恭也に気付いたのか、女性は慌てて地図をポケットへと仕舞いこむと、別のポケットから、一枚の布切れを取り出す。

  「あらら、見つかっちゃった。仕方がないわね。ここは、このステルス効果マントで」

  女性はそう言うと、その布切れ、女性の言葉を借りるなら、マントを被る。

  「ふっふっふ。これで、私の姿は消えたはず」

  そう言って恭也の方を見ると、恭也は困ったような顔をして、じっと女性を見詰めている。
  それに満足げな笑みを零すと、女性は靴を脱ぎ、縁側へと足を掛ける。

  「ふっふっふ。突然、私が消えたものだから、茫然としてるわね。今のうちに試験を…」

  どうしようか困っていた恭也だったが、女性が家の中へと入ろうとしているのを見て、仕方が無さそうに声を掛ける。

  「それは、不法侵入というものだぞ」

  「…………」

  恭也がじっと自分を見ているのを受け、女性はキョロキョロと周りを見渡し、恐る恐るといった感じで訊ねる。

  「ひょっとして、見えてる?」

  「ああ、ばっちり、くっきり、はっきりとな」

  「う、嘘ー! だって、ステルス効果付きのマントを着てるのに。何で!?」

  「どうでも良いが、お前は何をするつもりだったんだ」

  「くっ! 姿を見られた以上、仕方がないわ。
   悪いけれど、貴女にはここで死んでもらいます」

  「何でそうなる」

  疲れた口調でそう告げる恭也に、女性は人差し指をビシッと突き付ける。

  「あー、その顔は信じてないわね。私は、やると言ったら、やるわよ。
   冷酷非道なマッドサイエンティスト、忍ちゃん言えば、ちょっとは有名なんだからね」

  「なるほど、名前は忍というのか」

  「な、何でそれを! ま、まさか、エスパー?」

  「さっき、自分から言ったじゃないか」

  疲れたように呟いた恭也の言葉に、忍はじっくりと思い出すように目を閉じる。

  「……ああ! 何て見事な誘導尋問」

  「んな訳あるか」

  「こうなったら、秘密兵器を出すしかないわね。
   これを見たら、貴方もその偉そうな態度を改めるはずよ」

  「いつ、偉そうな態度を取った。
   そもそも、無断で人の家に上がりこもうとするお前は、傍若無人だろうが」

  「ふっ、その余裕も今のうちよ。出でよ、我が造りし、三つ(予定)の僕の一つ、音速丸!」

  「マ〜ベラス! 呼んだか〜、忍〜」

  丸い物体が高速で飛んできたかと思うと、その勢いのまま、地面へとめり込む。

  「ああ、音速丸、しっかりして」

  「忍よ、俺はもう駄目だ」

  「そ、そんな……」

  「皆には、俺はよく闘ったと伝えておいてくれ。
   くっ、数々の武勇伝を持つ俺も、300人を相手に立ち回っている時には、
   遠く離れた所からの射撃を躱す事が出来なかったってことよ。
   お前だけでも生き残れ」

  「そ、そんな、音速丸を置いて行くなんて、出来ないよ」

  「馬鹿やろう。そんな泣かせるような事を言いやがって。
   なら、少しの間、そう、俺が息絶えるまでの間、その胸の中にいさせてくれ〜」

  「それは嫌」

  忍は無情にも音速丸を投げ捨てる。
  捨てられた音速丸は、地面に転がると、すぐに翼で飛び上がる。

  「おい、いきなり捨てる事はないだろう」

  「五月蝿いわね」

  「う、五月蝿いだと。一体、どの口がそんな事を言う!
   貴様、そこまで偉そうな事を言うのなら、勝負だ!」

  「良いわよ」

  そう呟いた忍の瞳が赤く染まる。
  それを宙に浮きながら見ていた音速丸は、僅かに後退して距離を取る。

  「へん、その程度の事で俺がビビルとでも思ったのか。
   あははは、愚かなリ、忍。貴様にはたっぷりと格の違いというものを教えてやろう。
   悔しかったら、自身の両手両足をロープでぐるぐる巻きにした後、そこの地面に横たわって掛かって来いや!」

  啖呵を切る音速丸と忍の間に入り込むように、恭也が遠慮がちに声を掛ける。

  「あー、その謎の生き物は…。いや、そもそも生き物なのか」

  恭也は目の前で飛んでいる、ほぼ球体の身体に手足と翼の生えた生き物を指差しながら訪ねる。
  それを聞いた一人と一匹(?)は、顔を見合わせると、

  「おいおい、聞いたか忍。こいつ、俺が何者かだってよ」

  「おかしいわね。まあ、でも、滅多に見る事もないから仕方がないかもね。
   そんな君に、忍ちゃんが教えてあげるわ。これは、鷹と言って鳥の…」

  「待て待て待て! 明らかに鷹と違うだろう」

  「おいおい、冗談はよしなよ、小僧。俺が鷹じゃないとしたら、何なんだ。
   まあ、俺ほどの色男を前にして、確かにただの鷹に見えないってのは分かるがな」

  「いや、冷静に見て、鷹じゃないだろう。鷹というのはだな、ちょっと待ってろ」

  そう言って、恭也は部屋から事典を持ってくると、鷹の写真が載っているページを開いて見せる。
  それを見て、忍が焦ったように音速丸を振り向く。

  「音速丸! あなた、一体、何者なの」

  「何者も何も、俺は音速丸。忍の三つの僕にして、超絶スーパーハンサムボーイだぜ。
   そして、勿論、鷹だ」

  「…だよね〜。一瞬、本気でびっくりしちゃったよ」

  「あっはっはっはっは。このお馬鹿さん」

  にこやかに笑い合う一人と一匹を前に、恭也は大きな溜め息を吐くのだった。
  …………。

  「あはははは〜、皆さんこんにちは。
   私はマッドサイエンティストを目指している、月村忍です。
   ここから先は、本編でね」

  「本編では、この俺様の活躍も倍だぞ、倍!」

  「勿論、私の優秀なマッドサイエンティストぶりも倍よ、倍。
   マッドが忍伝 近日公開」

  「俺様の活躍に期待!」



毎回、毎回、思うんだが、ここのショートSSや、CMを書く分で、他のSSが……。

美姫 「シャラァァァプ! それ以上は、放送コードに引っ掛かるわよ」

引っ掛かるのかよ!

美姫 「世知辛い世の中なのよ」

何か、違う気がする…。

美姫 「と、何はともあれ、今回も時間ね」

一体、いつまで続くのか……。

美姫 「それでは、またね〜」

ではでは〜。


3月11日(金)

美姫 「美姫ちゃんのハートフルデイズ、はっじまるよ〜」

…………。

美姫 「ほら、さっさと提供を言いなさいよ。

分かったよ。(はぁ〜)
このコーナーは雑記の一部、もとい、殆どを奪ってお送りしてます。
そして、提供は、メイドって良いですよね〜のMMMでお送りします。

美姫 「ってな訳で、早速だけど、現在のSSの状況は?」

…………前回と殆ど変わってなかったりして。

美姫 「アンタ、一週間も何してたのよ」

違う、違う。だって、マリとらはちゃんと一本上がってるだろう。
短編も。他の長編の方が、変わってないんだって。

美姫 「アンタね、やる気を見せなさいよ、やる気を」

やる気はあるが、身体がね〜。

美姫 「ほう」

あ、嘘です、ごめんさい。
だから、それをお仕舞い下さいませ。

美姫 「全く、この馬鹿だけはどうにかならないかしら」

うぅぅ、酷い…。

美姫 「はいはい。それじゃあ、CM〜」





  「あははは〜。呼ばれて飛び出ちゃいましたよ〜」

  「問います。貴方をマスターです」

  突如、目の前へと現われた、よく顔立ちの似た割烹着姿の女性とメイド服の女性。

  「な、何なんだ一体……」

  これから海鳴で始まる、たった一つの何でも願いを叶えるという聖杯を巡る闘い。

  「翡翠ー!」

  マスターを庇い倒れるサーヴァント。

  「あははは〜、問題ありませんよ恭也さん。いえ、マスター。
   言い換えるならば、無問題です」

  片割れが倒されても笑みを絶やさないサーヴァント。
  そこへ、ここぞとばかりに攻め来る敵。

  「やっちゃえー、バーサーカー」

  ピンチと思われたその時、新たなる救いの手が。

  「貴方をピンチです」

  「そんな馬鹿な。確かに、さっき倒したはずよ」

  「あははは〜。私たちを倒したければ、同時に倒さないと駄目ですよ〜」

  「クラス、ツインズ。厄介ね。
   おまけに、感応能力でお互いを強化なんて、ふざけた能力を…」

  「それだけではありませんよ。何と、私たちは二人居ますから、令呪も二倍なんです。
   これはもう、お得ですよね〜」

  「と、ところんふざけたクラスね。何よ、それは!」

  「そんな事、知りませんよ。とりあえず、今度は私たちの番ですよ。翡翠ちゃん、行きますよ」

  「はい、姉さん」



  とらハに月姫、Fateと、キャラがごちゃごちゃと入り乱れる。
  まさに、とらいあんぐる!
  果たして、勝者は!?
  『聖杯ロワイアル』 近日、忘却!





美姫 「そう言えば、他にも何か書きかけのSSがあったわよね」

目敏いな。SSというか、大まかなストーリーのみ考えてるやつだな。

美姫 「そっちはやらないの」

これ以上、長編を増やす事は出来ん。

美姫 「そっか。まあ、そんなに大したネタでもないしね」

うぅぅぅ、ぐすぐす。美姫が虐める〜。

美姫 「事実でしょう」

グサグサ。返す言葉がでない……。

美姫 「確か、Fateのキャスター編だったわよね」

ああ。殆ど、Fateの流れで、マスターを恭也、サーヴァントをキャスターに。

美姫 「その組み合わせの理由が……」

あ、あはははは。単に、前衛、恭也、後衛、キャスターだったから。

美姫 「だもんね。確かに、長編にしては無理があるわよね」

まあな。その部分しか考えていなかったからな。
単に、キャスターに肉弾戦を挑むサーヴァント。
取ったと思ったその時、ただの人間と思っていた恭也の反撃を喰らう。
みたいな場面から、思いついた話だしな。

美姫 「しかも、そのシーンって、実際に宗一郎がやってるしね」

そういう事だよ、美姫。
まあ、ちょっとした思い付き程度だから、これはボツという事だね。

美姫 「そんな感じで、数多くのボツ作品が……」

ああ、無情…。

美姫 「まあ、新作品は兎も角、既存の作品をちゃんと仕上げてくれれば、それで良いんだけどね」

グサグサグサ。
が、頑張ってるもん……。

美姫 「結果がなければ、意味がないわよ」

グサグサグサグサ。
く、苦しいぃぃ。美姫の言葉が、胸にくるよ…。

美姫 「さて、それじゃあ、ドンドン、書かせるわよ〜」

うぅぅぅぅぅ。涙で前も見えないよ……。

美姫 「いや、それって、ただの花粉症でしょう」

グスグス。

美姫 「とりあえず、一旦、CM〜」





  「あなたの鎧、脱がしちゃいます」

  金髪の閃士、琉朱菜。

  「避けきれないのなら、斬るのみ!」

  殿の死神、恭也。

  二人の閃士と剣士が出会った時、全ては動き出す。

  グレネーダーハート
  第一話 「金の閃士と黒の剣士」
  近日、脳内放送!





美姫 「さて、それじゃあ、次は何をしようかな〜」

いや、完全にその時次第な番組だな、おい。

美姫 「ふふふ。全ては私の心一つなのよ」

恐ろしい。何て、恐ろしいんだ。

美姫 「って、残念ね。そろそろお終いだわ」

おいおい…。まあ、良いんだけどさ。

美姫 「てな訳で、お時間です」

今回は、花粉症に苦しみつつ、お送りいたしました〜。

美姫 「まったね〜」


3月4日(金)

美姫 「美姫ちゃんの……」

ハートフルデイズ〜。
って、本当にまたやってるし。

美姫 「そう言いながらも、ノリノリでタイトルコールやってるじゃない」

うぅぅ〜。この現状を見せてあげたい。
って、刺さってるって! ちゃんとやったんだから、さっさとこの剣を退けろ!

美姫 「はいはい、分かってるわよ」

はぁ〜。これで、ほっと一息。

美姫 「それじゃあ、今週も元気にいってみよ〜」

……この番組は、病は気から、住まいは木から、メイドは娘からの、メイド育成スクールの提供でお送りします。





  超巨大校、天地学園。
  この学園には、剣技特待生、俗に『剣待生』と呼ばれる生徒たちが存在し、
  『刃友(しんゆう)』と呼ばれるパートーナーと二人組で戦う『星獲り』と呼ばれるシステムが存在する。
  星獲りは、勝ちつづけることでランキングが上がり、報奨金が出るなど富と栄誉が得られるものである。
  今、ここに一人の少女が通うこととなる。
  彼女の名は、黒鉄はやてといった。



  「刃友になってください!」

  自分が育った施設、たんぽぽ園の借金返済のために星獲りに参戦する少女、はやて。



  「…仕方がない。少しばかり、遊んでやるか」

  はやてと刃友となり、再び星獲りへと参戦する剣の天才、恭也。



  「根拠? そんなもの、生まれてこのかた、持って行動した事などありません」

  天地学園の生徒会長にして学園長。全ての剣待生の頂点に立つ者、ひつぎ。



  「…私の方が疾い(はやい)です」

  学園随一の疾さを誇り、常にひつぎの元に寄り添う刃友、静久。



  「早く、俺のランキングに追いついて来いよ、高町」

  かつて恭也の刃友であった剣待生、勇吾。



  「面白くなってきたのかな?」

  最高位ランキングの剣待生、美由希。



  様々な想いを胸に秘め、己が力を剣に託した戦いが今、始まる!



  「とにかくこの番戒(つがい)とかゆーの恭也の穴に通させてよ!
   そんであたしの穴も恭也のでつらぬいてよ!」

  「紛らわしい言い方をするな! しかも、そんな大声で!」



  はやてXハートブレード
  HAYATE CROSS HEARTBLADE

  近日公開!?





美姫 「さて、早速だけれど、浩のSSが何処まで進んだかな〜、のコーナー」

嫌なコーナーだな、おい。

美姫 「はいはい。で、どれぐらい進んだの」

浩は、黙秘権を行使した。

美姫 「しかし、私には効かなかった」

……逃げる!

美姫 「しかし、回り込んだ!」

えっと、え〜〜っと。
あ、あはははははは。

美姫 「笑って誤魔化すって事は…」

あははははは〜。

美姫 「この馬鹿! 一体、何やってたのよ!」

何って。ここの雑記のCM用のSSを書かされてたり…。

美姫 「うっ」

この雑記用のSSを考えさせられてたり…。

美姫 「あ、あはははは。って、そんな事はどうでも良いのよ!」

良いのか!?

美姫 「ほら、どんな状況なのよ!」

えっと、マリとら2ndが20%ぐらいかな。
で、Moon Heartが10%で、短編が一つ大まかな部分のみ完成。
とらハ学園が10%ぐらいで…。

美姫 「殆ど出来てないわね」

だから、言っただろう。

美姫 「はぁ〜。さっさと仕上げなさいよね」

分かっているが、強く言い返せない……。
出来る限り、頑張るよ……。

美姫 「頑張りなさいよ! それでは一旦、コマーシャル」





  『ミツケタ……』

  「え、何、今の声……」

  それを不審に思う間もなく目の前が真っ白に塗りつぶされて行く。

  「きょ、恭ちゃん!」

  「美由希!」

  咄嗟に駆けより、美由希の腕を掴むが、二人は共に白い光へと包まれ、意識を失うのだった。



  「ん………。こ、ここは。そうだ、美由希は!」

  目が覚めた恭也は、まず美由希が無事かを確かめるべく、周囲を見渡す。
  しかし、それほど時間も掛からず、すぐに美由希を見つける事ができる。
  美由希の手が、しっかりと恭也の手を握っていたからだ。
  とりあえず外傷はないと判断し、改めて周囲を見渡す。
  何処かの部屋なのだろう。恭也たちが今いる場所には、床一面に不思議な紋様が描かれている。

  (確か、魔法陣とか言ったか)

  なのはや美由希が読んでいた本で、ちらっとだけ見たのを思い出し、その名称を思い出す。
  そこまで考えてから、恭也は美由希を起こす。
  幸い、意識がすぐに戻り、美由希は薄っすらと目を開ける。
  そして、すぐに周囲の状況を見渡すと、至極まっとうな事を口にする。

  「恭ちゃん、ここ、何処?」

  「さあな。とりあえず、その辺の事は、あの人が説明してくれそうだが」

  そう言って恭也が振り向いた先の扉が、今しも外側から開けられる。

  「一体、何事なの〜。召喚をするなんて、聞いてなかったわよ〜」

  いやに間延びした口調で喋りながら入って来た女性は、恭也たちが見慣れぬ格好をしていた。

  その女性から、ここが根の国アヴァターだと教えられ、来たる破滅との戦いにおいて、
  救世主と呼ばれる者を育成するための学園だと教えられる恭也たち。
  そして、その救世主の候補が美由希だという。
  安全に還れる保証がないまま、この世界に留まらざるを得ない恭也たち。

  「私が救世主候補? そんな事を言われても……」

  「これから、その試験を受けてもらいます」

  「はぁー、はぁー。な、何とか勝てた……」

  「危ない、美由希!」

  「召還器!? そんな、ありえないわ。男の救世主だなんて」

  果たして、二人は無事に帰る事が出来るのか。

  『DUEL TRIANGLE』 好評妄想中





美姫 「いやはや、もうこんな時間に」

はやっ! って、殆どCMばっかりだし。

美姫 「とりあえず、それではまた次回で〜」

ではでは〜。
シクシク、SSが書けてない……。





美姫 「この番組は……、ここの提供でお送りしました」

何故、伏字にする?

美姫 「それは、ひ・み・つ」










          



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