2006年11月〜12月

12月29日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより過ぎ去りし日々を惜しみながら、絶賛お届け中!>



うぅ、水が、水が冷たい…。

美姫 「そりゃあ、そうよ。温かかったらそれはお湯よ」

いや、そういう事じゃなくてですね。

美姫 「良いから、さっさと雑巾がけをする! もたもたしてたら、大掃除も終わらないでしょう」

づめだい〜〜。

美姫 「って、そこはもう私がやったんだったわ」

ううぅ、明らかに苛めですよね?

美姫 「そこは掃除してあげたんだから、感謝されこそすれそんな事を言われる覚えはないわよ」

こんな仕打ちがなければ感謝するんだけど…。

美姫 「とまあ、大掃除はその辺にして…」

うーん、本当に今年ももう終わりなんだな〜。

美姫 「後三日あるけどね」

しみじみと時の速さを時間するよ。

美姫 「本当よね〜。でも、過ぎ去る過去ばかり見ていても仕方ないわ!
    来るべき未来に目を向けるのよ」

おおっ!

美姫 「という訳で、SSできた?」

お前の未来はそこか。

美姫 「まあ、幾つかあるうちの一つではあるわね」

ま、まあ、何だ。とりあえず、年末年始ぐらいはゆっくりとだな。

美姫 「ゆっくりとネタを繰るのね」

いやいや。

美姫 「一体、来年はどんなSSを見せてくれるのかしら」

えっと、それに関しては精進します。頑張ります。努力します。

美姫 「そうそう。そうやって頑張りなさい」

へいへい。

美姫 「今日はゲストも来る予定なんだけれど…」

ちょっと遅れているみたいだな。渋滞にでも巻き込まれたか?

美姫 「とりあえず、先にCMいっちゃいましょ〜」







それは春麗らかな昼下がりであった。



それはまだ寒さの残る、だけれど春めいた温かさも出て来だした春先の昼下がりであった。



「あ、キョン君こんにちは。今、御茶淹れますね」

と、ノックの後で開いたドアの向こうで微笑んでくれたのは、朝比奈みくるさんだ。
一年年上とは思えない幼い顔立ちに似合わない見事な体を
ハルヒがどこからともなく入手してきたメイド服に身を包みながら、
今日も今日とてSOS団専属メイドとしてガスコンロに火をかけた。



「ふぅ。温かくなりつつあるとは言え、やはり日本茶は熱いものに限るな」

縁側でそう呟きながら、湯飲みを手にするのは言わずとも知れた男。
大学入試も無事に乗り切り、今はのんびりとお茶を啜る。
その姿を目撃した一家の大黒柱が嘆こうが、弟子兼妹が枯れていると言おうが、
恭也にとってこうしてお茶を啜りながら手入れの終えた盆栽を眺めるのは何よりも楽しいのである。



「いや、遅れてしまいました。おや? 涼宮さんはまだですか?」

SOS団で俺以外男団員で、二枚目で頭もいいという嫌味を具現化させたらこんなになるだろうなと思える
好青年の古泉一樹は相変わらずの微笑フェイスを張り付かせながら部室へ入ってきた。
因みに、SOS団残り最後の団員にして、SOS団きっての万能選手、
文芸部の部室にオプションとして着いてきた長門有希は俺よりも早く着ており、いつもの定位置に陣取り、
既に何やら難しそうな事が延々と書かれているであろう文字を追っている。
まだ最後の団員が残っているって?
良いんだよ。あいつは団長だから、団員とは違うらしいからな。
まあ、ともあれ、今は特にやる事もないし、古泉が持ち出してきたオセ…リバーシの相手でもするか。



「ふぅぅぅ」

たった今さっきまで振るっていた小太刀を鞘へと仕舞い、恭也は大きく息を吐く。
静かに呼吸を整え終えると閉じていた目を開き、持ってきていたタオルで汗を拭く。
時刻は夕暮れ。
場所はいつも深夜の鍛錬で使う神社の裏。
そこで恭也は完全装備に近い状態で一人鍛錬をしていたのである。
最近、益々力をつけ始めた美由希に、まだまだ教えなければならない事はたくさんある。
そのためにも、自分は少しでもその前を長く歩かなくてはならない。
だからこそ、美由希が那美と遊んでいない今、たった一人で鍛錬を行う。
言わば、この鍛錬は自身を鍛える意味もあるが、多分に美由希を成長させるためのものなのである。
美由希の成長に本人にははっきりとは言わないが、その努力、出来に満足げな笑みを知らず浮かべつつ、
恭也はじくじくと痛む右膝をそっと手で押さえる。
僅かなりとも自身も剣士として成長は可能。
だが、その限界が低い事も理解している。
それでも、美由希が更なる高みへと登るために、その為に美由希の前をまだ走っていられるように、
いま少しだけ付き合ってくれと。
そう思いつつも、やはり剣士としての性か、恭也自身も見極めたいのかもしれない。
果たして、この故障を抱えた身体でどこまで登りつめる事ができるのかを。
とは言え、無茶は決してしないように恭也は右膝を特に入念にマッサージしながら、
身体をクールダウンさせる。



「みんな揃ってる? 勿論、団長の私が来ているんだから揃っているわよね。
 揃ってない奴が居たら、そいつは…って揃ってるわね。
 うんうん。皆の熱意をひしひしと感じるわ。
 その熱意に敬意を示す意味でも、明後日の予定は空けておく事を勧めるわ。
 いえ、寧ろ空けてなさい。
 抗議や苦情、実は予定が入ってましたなんて寝言は、来週の月曜日以降に聞いてあげるわ」

とまあ、いきなりノックもなしに部室に入ってくるなり、歩みを止める事なく捲くし立てるのは、
言わずもがな、全校生徒に変人としてその名を轟かせる、SOS団団長涼宮ハルヒその人である。
ハルヒの奴は入ってくるなり団長席へと真っ直ぐ向かい、朝比奈さんにお茶の注文をすると、
さっきの続きとばかりに話し続ける。

「という訳で恒例にして皆も楽しみにしている市内探索を行うわよ」

楽しみにしているのはお前だけだろうと思いつつも、勿論、そんな事を口にするつもりは毛頭ない。
沈黙を肯定と自分の都合の良い方に受け取ると、ハルヒは何かを思いついたのか、
輝んばかりの笑みを見せる。
正直、その満面の笑顔には思わず見惚れてしまうかもしれんが、それはあくまでもこいつの性格を知っていなければ、
という前提条件が必要であろう。まあ、知っていても思わず見惚れそうにはなるんだが。
だが、俺の今までの経験が告げていたね。
こいつのこんな笑顔が出た時は、ろくな事が起こらないと。
まあ、いざとなったら頼むぜ長門。

「こら、キョン! 団長の私が話をしているというのに、なに有希に見惚れているのよ!」

誰も見惚れてなんかいないだろう。それよりも、いつものように探索をするんだろう。
そう話を元に戻すと、ハルヒはまるでそれを待っていたとばかりに首を横へと振り、

「今回の探索は新しい場所へ乗り込むわ!
 同じ場所も相手がこちらの油断を見て出てくる事も考えられるけど、
 やっぱり未知の世界へ乗り出していくのが人間としての本質よね!
 だから明日は――駅ね。いい? 遅刻は厳禁だからね!」

まあ、どこに行こうが結果は変わらない。
しいて上げれば、遠くへと出掛けるほど俺の気苦労が増えるって事か。
だが、天気が良いようなら遠出も悪くないかもな。
何といっても我が心のマイエンジェルにして、SOS団のマスコット朝比奈さんの私服姿が拝めるんだし。
そんな甘い考えが悪かったのか、まさかこの時点での俺は、
その探索がとんでもない事になるなんて思いもしなかった。
ま、まあ、今回に関してはハルヒの奴だけじゃなく、俺にも責任の一旦はあるんだが…。



で、その当日がやって来たわけだが。
まあ、細かい事はこの際省くとして、大まかに簡単に説明をするとだ。
その事件の始まりは午後の探索から始まった。
まあ、厳密にはこれが原因ではないんだがな。だが、ここが起点だったと思うね。
いつもの如くくじ引きによる班分けで、俺は朝比奈さんと一緒になり、目新しい町並みを子供の頃、
見知らぬ隣町まで自転車で漕いで広がった景色を胸高鳴らせて眺めている気分を思い出しながら散策いている時、
彼女が誤って転んでしまったのだ。
俺は何とか後ろから支える事ができたんだが、その時だった。
支える事には成功したんだが、俺も慌てていたんだろうな。
差し出したその手が問題だった。
いや、俺的は全然問題ないどころか、むしろ…いやいや、これは決して俺だけじゃないはずだ。
思春期の男子であれば間違いなく誰でも俺と同じ事を思うはずだと断言するね。
ましてや、相手はあの朝比奈さんだぞ。
これでそんな事を思わない奴がいるのなら、そいつはきっと女に興味がないに違いない。
とまあ、言い訳がましく色々と述べたが、要は朝比奈さんを支えようとして差し出した俺の手が、
女性の中でも格段の柔らかさを持つ箇所を力いっぱい握ってしまった訳だ。
つまり、朝比奈さんの胸を俺の手は掴んでしまった訳だな。
うーん、普段から目にする機会もそれなりにあり、服越しとはいえその大きさは知っていたが。
やはり、見るのと触るのとではまた違うもので…。
とまあ、ちょっとばかしそんな事を考えている俺へと、朝比奈さんは顔を真っ赤にしながら御礼を言ってくる。
いえいえ、こちらこそ大変素晴らしいものを。

「ふぇっ! あ、あわわわ。そ、そんな、こ、こちらこそ、こんな粗末な…」

いえいえ、何を仰いますか。
あなたのソレが粗末なんて言ってしまったら、世の大半の女性たちの立場は。
今思えば、俺も朝比奈さんもかなり動揺していたんだろうな。
そんな、お互いに訳の分からない事を述べつつ、お互いにこの事は忘れようと約束をした。
だが、そうそう簡単に忘れれるような事でもなく、掌に残った感触をほんの少し反芻してしまうのは、
同じ年齢の男子諸君であれば絶対に理解して頂けるだろう。
しかし、タイミングが悪かった。そう、あまりにも悪かった。
駅前に戻り、全員から探索結果を聞いているハルヒの前でフィードバックしてしまったのだ。
だが、間違いなく緩んでいるであろう口元をこれでも急いで隠したはずだ。
なのに、この団長さんは聡いというか、何というか。
多分、一瞬だったはずのそんな俺の様子を、きっちりはっきりばっちりと目撃しやがった、コノヤロー。

「キョン! 何ニヤニヤ気持ち悪く笑ってるのよ!
 探索中に何かみくるちゃんにエッチな事でもしたんじゃないでしょうね!」

と鼻っ柱にすらりとした指を突きつけて怒鳴った。
正直、もう少し場所を考えろと言いたい。家に帰ってからでもいいだろう?
だけどその場に目が合った瞬間に顔を真っ赤にしながら俯いて、
体の前で組んだ指をモジモジさせている朝比奈さんがいてみろ。
そんな思考なんてあっさりと雲の彼方に消えてしまうぞ。
さりとて本当の事を言うなんて自殺行為はできず、長門の無感情な瞳と、知っているのかいないのか、
古泉の楽しげな微笑スマイル、そしてハルヒのご機嫌斜め、
まあこいつの場合は斜めじゃない時のが珍しいかもしれんが、
ともあれ、そんな顔でまるで肉を貫いたフォークのように俺を串刺しにしてくる。
どうやら、朝比奈さんは問い詰め免除らしく俺に的を絞ったハルヒの目が怪しく光る。
沈黙する俺と、口を開きかけるが恥ずかしそうに再び口を閉じるという可愛らしい仕草を繰り返し、
時折ちらりとこちらを見ては、慌てて目を伏せるといった朝比奈さんを交互に見遣り、
ハルヒは更に口を笑みの形に強引に曲げる。
あくまでも笑みの形であって、決して笑っていない事は決して短くない付き合いから良く分かる。
まるで浮気を見つかった夫とその愛人といったような図に、その例えに自分自身に突っ込みを入れておく。
と、その無言をどう受け取ったのか、俺を指していた指を更に進め、遂にはハルヒの指が鼻にめり込む。
いかん、本気で怒ってきている。
さっきも言ったが、いい加減長い付き合いだ。
この一年弱という時間の中で長門、古泉、朝比奈さん、そしてハルヒウォッチャーとなっていた俺は、
その表情が導火線に火がついたばかりだという事実に気付いた。
いかん。このままだと濡れ衣を十二単以上に着せられてヘタをしたら学校でまで大声で責め立てられてしまう。
結果は本人非公認朝比奈ファンクラブの学校男子生徒全員からの拳のプレゼントだ。
近い将来に起こりえかけえいる未来予想図に、背筋がそら寒くなる。
だから――俺は――。

「お前、入学した時の自己紹介で未来人と宇宙人と超能力者と異世界人とか行ってたけど、
 異世界人ってどんなのを希望しているんだ?」

なんて口走ってしまったんだ。
もう瞬間的に。
条件反射で。
自己防衛本能と言い換えてもいい。
聴いた瞬間に長門が数ミリ単位で目を見開き、古泉が笑顔を固まらせ、
朝比奈さんが恥ずかしさを忘れてあんぐりと口を大きく開きっぱなしにした。
その様子を視界に入れて、俺はようやく何を口走ったのかを悟った。
だけど俺の口はそんな失態にひっぱられて次の言葉を吐き出していた。

「一口に異世界人と言っても、異世界な訳だからな。やっぱり俺たちと同じような人型なのか。
 俺としては、どうせだったら朝比奈さんクラスの美人な異世界人を期待しないでもないがな。
 とまあ、そんな事を話していただけだ」

ここまできたらとやや強引にそう話を締め括り、俺と朝比奈さんの間で交わされた会話をでっちあげる。
正直、この時に戻れるというのなら、自分の頭を殴り倒してでも止めたね。
だけど、この時の俺は呑気にも後で長門に何か変な事でもおきてやしないか確認しようという程度だった。
まあ、ともあれそんな俺の言葉に、ハルヒはしかめっ面を修復もせずに腕を組むと、
冬眠前の熊が威嚇するようなうなり声を上げた。

「そうね。まぁちゃんと話ができればそれ以上望まないわ。一緒に遊ぶのに容姿は関係ないもの。
 あ、でもコミュニケートしやすいから、一応人型希望よね。
 ったく、そんなスケベな妄想するんだったら不思議の一つでも発見しなさいよね!」

いやいや、お前の周囲にいる三人はそんな不思議の塊だぞ。
とは口にもできず、自らの迂闊さと、朝比奈バストによって妄想していた頭を軽く小突いた。



でだ、問題はここからだ。
探索が終わった後、すっかりSOS団不思議三人組と待ち合わせをする定番となった、
長門の高級マンションの近くで再び待ち合わせした時に、それは起こった。
最初は何か変化がないか長門に聞こうとした時、古泉が開口一番言いやがった。

「幾ら話を誤魔化すためとはいえ、もう少し上手くできませんでしたか」

「悪かったな。咄嗟に思いつく訳ないだろう。それよりも…」

長門へと顔を向け、今度こそ何か変な事になってないのか尋ねようとした時、またしても俺の台詞は遮られる。
それも、その長門本人から。
とても短い言葉で。

「来る」

その言葉が示す通り、俺たちの見ている前で空間がぐにゃぐにゃと歪みやっがた。
しかも、そこから全身黒ずくめで短めの日本刀を二本持った精悍な美青年が現れた。
それを見たとき、俺は何処か達観したような顔で、ああ、やっぱりか。
何て意見を呟いてしまったんだ。

「こ……こは? 海鳴じゃないのか?」

高町恭也と名乗った青年は、周囲を見渡した後、俺たちへとそう訪ねた。
これだけなら迷子として処理しても良かったんだが、目の前でのあの怪奇な現象。
そして、海鳴なんて地名は聞いたこともない。
まあ、俺が知らないだけで存在しているのかもしれないが、そんな考えは綺麗に払拭された。
長門が揺ぎ無い目で淡々とこの現象に付いて説明をしてくれたから。

「カレイドスコープ現象による平行次元軸内第七千六億八千五十五万千二百二:三次元より
 異次元時空列同位体である事を確認」

とは言え、いつもの事ながら俺にはまったくもってちんぷんかんぷんな訳で、
すぐに理解できない説明を、例の如く訳知り顔でさも当然とばかりに古泉が約してくれる。

「なるほど。つまり彼もまた三次元の生命体ですが、我々の住んでいるこの次元ではない……、
 つまり異次元からやってきたという訳ですね?
 そう、何処かの誰かさんが興味を持ったと思い、異世界人だけでも見つけたいと強く思った彼女の力で」

嫌味っぽくこちらを見てくる古泉。
普段なら何か言い返すのだろうが、その誰かさんは間違いなく俺だろう。
何でハルヒがそこまで強く思ったのかは分からないが、俺に責任があるのは確かなようだ。

「本当に分からないと。
 涼宮さんは、この手の事に急に関心を示した貴方のために強く願ったんでしょうね」

だから、何で強く願ったんだって事なんだが。まあ、この件に関しては論じるだけ無駄だろうな。
そう思い、微笑を浮かべる古泉から目を逸らせば、

「え? え? 緊急最優先コール?」

朝比奈さんが未来から指令を受けているようであった。
えっと、何かあったんでしょうか朝比奈さん。

「く、詳しくは禁則事項で言えないんですけれど…」

そう言って本当に訳の分からない説明をしてくれる朝比奈さん。
いや、あなたの熱意は伝わってくるんですが、言葉の半数以上が禁則事項では流石に意味がさっぱり分かりません。
それは、俺だけでなく今まで放って置かれる形となっていた高町さんも同じらしく、
唯一、会話に参加していない俺へと尋ねてくる。

「一体何がどうなってるんだ?」

「いや、それが俺にもさっぱりで」

まあ、原因は分かっているんですけれどね。
それを説明するにはハルヒの事も説明しないといけなくて。
結果として、高町さんを元の世界へと帰すのは呼んでしまった俺としては当然と言うか、
機関や未来、宇宙人にとってもそうらしく、高町さんを元の世界へと帰す方法を探す事となるのである。
勿論、その説明のためにもハルヒの事にも触れる必要があり、自然と場所を長門の部屋に移す事となった。



とらいあんぐるハート3 X 涼宮ハルヒの憂鬱 全500話
発案:夜上璃斗
書く人:氷瀬浩
監修:紅美姫
超監督:涼宮ハルヒ
提供:PAINWEST







「勿論、この私が監督をするんだから、大船に乗った気でいなさいっていうのよ!」

「タイタ○ックっていう名前の大船のような気もするがな。
 って、ハルヒ。本当に全500話にする気じゃないよな」

「問題ないわよ! ほら、一行を一話にすれば、500行で500話よ!」

「どこの詐欺だ、どこの…」

「所で、私は恭也が異世界人と知っているのかしら」

「何故、俺に聞く、俺に。自分のことなんだから、知っているかどうかなんて分かるだろう」

「うーん、どうなんだろうね。まあ、良いわ。
 兎も角、2007年、我がSOS団は更なる飛躍をするのよ!」

「はぁー、俺の苦労が増えなければ良いけどな」

「2007年を楽しみに待ってなさい!」

涼宮ハルヒの挑戦、高町恭也の消失 2007年1月スタート!







それにしても、しみじみと今年も後僅かか。

美姫 「本当よね〜」

来年はどんな年になるかな。

美姫 「猪ね」

いや、そんなお約束は良いって。

美姫 「うーん、じゃあ真面目に答えてあげるわ。
    見える、見えるわ。来年の光景が」

おお。で?

美姫 「中々SSがアップできずに、私に吹き飛ばされているわね」

……ある意味、いつもの光景だな。

美姫 「自分で言う、普通?」

わはははは〜。

美姫 「と、馬鹿笑いはその辺にして、お客さんが来みたいよ」

では、早速登場願おう。

フィーア 「という訳で、華麗に登場!
      ごめんなさい、遅くなっちゃいました〜」

美姫 「いらっしゃ〜い。今年最後のゲスト、フィーアちゃんです〜」

フィーア 「もうギリギリまで監視してたから、遅くなっちゃって」

監視、監視ね〜。
ま、まあ、服の所々が赤いのは見なかった事にしよう、うん。
きっとちょっと遅いクリスマスでもやっていて、フィーアがサンタの格好をしたんだろう、うん。

美姫 「その場合、服を脱いだら赤い部分は残らないんだけどね」

人が気持ちを切り替えているのに邪魔するなよ。

美姫 「はいはい。それよりも、ようこそフィーアちゃん」

フィーア 「はい♪ 今年最後のハートフルデイズですから、是非とも参加しなければとこうして」

わざわざすまないね〜。
婆さんや、何かお菓子でもあったんじゃないかい。

美姫 「そうでしたね〜爺さん。うーん、漬物でも良いかい?」

フィーア 「いや、急に老け込まれても」

まあ、冗談はさておき、本当にあっという間の一年。

美姫 「考えて見れば、アハトさんとの付き合いはうちが始まってからすぐだから長いわね」

いや、本当にお世話になってますな〜。

フィーア 「こちらこそ〜」

美姫 「うちも来年で等々…」

四年目?

美姫 「だったわよね」

フィーア 「いや、どうして二人が二人して私に聞くんですか」

いや、こういう事って式が殆どやってるというのも変だが、はっきり言って覚えてないから。

美姫 「私もね。とりあえず、こいつにひたすら書かせるようにするのに夢中で」

俺はいかに美姫の目を、お仕置きを掻い潜ってサボるのかで必死で。

美姫 「ほほ〜う」

あ、あはは、じょ、冗談だよ。
一生懸命にSSを書くのに夢中で……。

美姫 「問答無用!」

ぶべらっ!

フィーア 「あ、あははは。年末でも変わらないですねお姉さまたちは」

美姫 「まあね」

……す、少しは変わってくれ。

フィーア 「この場合、変わるのは浩さんなんじゃ」

ひどっ!

美姫 「はいはい。馬鹿はそこまでにしなさい」

いや、別に好きでやってるわけじゃ…。

フィーア 「あ、そうでした、そうでした。今日、遅れてまで用意させたものをどうぞ〜」

美姫 「いつもありがとうね、フィーア」

最早、突っ込む気もしないけど、一応、言っておく。
その言葉はアハトさんに捧げてくれ。

フィーア 「いつもの如く無視して…」

するな!

フィーア 「お姉さま、やっちゃいましょう」

美姫 「そうね。それじゃあ…」

美姫&フィーア 「CMよ〜」

アハトさん、ありがと〜〜〜〜〜!!







「まさか……こんな事になるとはな……」

目の前で巨大な女神のような姿をした死体を眺めながら、男は呟く。
「これが、神殺しの代償か」
そう言って、男は自分の手を見る。
まるで、砂のように消えかかっていた。

「……トレイター」
「なんだ?」

男は持っていた剣の名前を呼び、剣がそれに答える。

「戻って、あいつらに伝えてくれ…神は滅びた、と」
「よいのか?」
「あぁ、俺はもう長くはない……だが、神が消え去った事は、伝えねばならんだろう」
「……了解した」

言葉と共に、トレイターは男の手から消え去っていった。

「すまんな、ロベリア、イムニティ……」
自分が護りきったものたちに、謝罪の言葉をする。
届きはしないとわかっていても、そういわずにはいられなかった。

「マスター」
そんな男に、もう片方の手に握られていた小太刀が話しかける。

「どうした、エレクトラ?」
「マスターを生き残らせるための方法があります」
その言葉に、男は驚く。

「この根幹の世界アヴァターで、マスターは神殺しの業を背負いました……
ですが、その枝の世界にいけば」
「俺の業が消えるとでも言うのか?」
「いえ、薄れはしますが、消えはしません。
それに、その枝の世界においても、長くは滞在できないでしょう」
エレクトラの言葉に、男は押し黙る。

「ここで潔く消えるか、しぶとく生に追い縋るか……」
ポツリと、男が呟く。
「マスター、私はマスターに生き残ってほしいです。
それは、我ら7人全員の想いです」
「……そう、だな」
男は小太刀を握り締めながら、そう答える。

「生きてさえすれば、どうにでもなるか」
「その通りです、マスター」
嬉しいのか、小太刀を光らせながらエレクトラが言う。
「ではマスター、別世界へと逆召喚を行います」
「あぁ、頼む」
言葉の後、恭也の足元に巨大な魔法陣が出来上がる。

そして数瞬の後、男の姿はどこにもなかった。


神殺しの業を背負いし、堕ち鴉……今、異世界へと渡る。







ここから始まる新たな伝説。

美姫 「消滅から免れるためにとった男の行動」

フィーア 「けれど、同時にそれは一つの世界に長く入れないというもう一つの宿命を背負う事でもあった」

神を殺したためか、それとも神殺しの業によるためか、男は半不老不死を手に入れた。

美姫 「けれども、それは男に悲しき別ればかりが待つ運命を辿らせる」

フィーア 「堕ちた鴉の背負いし神殺しの業。手に入れしは望まぬ長寿と神殺しの技」

だが、運命は決して安息の日々を彼に与えない。

美姫 「神の不在に気付くもの、次の神の座を狙うもの」

フィーア 「様々な思惑が織り成し、自ずと神殺しの業を背負いし鴉はその渦中の中心となる」

そして、その魔の手は彼が全てを捨ててまで守ろうとした者たちにも伸び始める。

美姫 「渦巻く多次元世界に渡る陰謀…」

フィーア 「巨大な力が悪意を持って彼女らに向かうとき、男は再びその身を闘争の中へと飛び込ませる」

美姫 「闇夜に煌く黒き剣閃」

神堕とし鴉の牙が、再び翻る。

フィーア 「な〜〜んてね」

あはははは〜。いやー、便乗してついついやってしまったな。

フィーア 「でも、面白かったです」

美姫 「でしょう」

だろだろ。ついついやってしまう俺の気持ちが分かるだろう。

美姫 「と、いつまでも遊んでられないわね」

ああっとそうだった。告知をしなければ。

フィーア 「告知? ああ、ある意味恒例のやつですね」

美姫 「そうよ」

という訳で、告知!
例によって例の如く、

美姫 「12月30日から、来年の1月……」

フィーア 「どうかしたんですか、お姉さま」

美姫 「いや、その後何も書いてないから。浩〜」

うーん、やっぱり1月9日から活動開始するか。

フィーア 「おそっ」

いや、そんな事を言われてもな。

美姫 「まあ、確実に3日までは休むでしょうけれどね」

いや、せめてそこは4日までにしてくれよ…。

フィーア 「お正月SSはないんですか!」

ない!

美姫 「威張るな!」

ぶべらっ!

フィーア 「あ、あははは。えっと、それじゃあ、来週はハートフルデイズどうなっちゃうんですか」

勿論、な…。

美姫 「やるに決まってるじゃない」

いや、あの、美姫?

フィーア 「さすがお姉さま」

いや、こら、待て。

フィーア 「それじゃあ、PAINWESTは1月5日にはスタートですね」

美姫 「その通りよ!」

…………えっと、とりあえず、明日から少なくとも3日までは確実に更新が止まります。

美姫 「そんな訳です」

フィーア 「これが今年最後の更新って訳ですね」

美姫 「そういう事よ」

ってな訳で、ちょっと早いが年末年始SS、ここで公開!

フィーア 「え、本当に!?」

いや、冗談。

美姫 「本当は、31日か1日にアップしたいんだけど出来ないから、ちょっとだけ公開って所ね」

そいうこと。とは言え、本当にちょっとだけですが。

美姫 「そうね。たったの4行程度の予告」

フィーア 「それって予告って言うんでしょうか」

まあ、先行アップかな?

美姫 「また変な言葉を勝手に作って」

あ、あははは〜。
とりあえず、どうぞ〜。



「二年参りってなに、お兄ちゃん」

「二年参りというのはな、その年最もお世話になった人を人気のない所に誘い出して…」

「恭ちゃん、それはお礼参りだから」

呆れながら告げる美由希の言葉に、なのははまた嘘を教えられたと頬を膨らませる。

とらハSS短編『二年参り』は、2007年1月アップ!

美姫 「現在、作成中〜」

フィーア 「で、いつアップするんですか」

……5日?

美姫 「遅いわね」

うっ。それは許してくれーー!

美姫 「浩の叫びが木霊する」

フィーア 「お姉さまの剣技が冴え渡る」

そんな新年2007年のアップを、餅をたらふく食べながら、御節もいいけどカレーもね、と叫びつつ待て!



美姫 「って、滅茶苦茶な予告よね」

だよな。ま、まあ、いつもこんなもんだろう。

フィーア 「自分で言いますか」

あははは。と、そろそろ時間かな。

美姫 「今年最後という事で、いつもより少しだけ長めにお送りしました」

本当にちょっとだけどな。

フィーア 「それじゃあ、お姉さま、浩さん。今年一年お世話になりました」

いえいえ、こちらこそアハトさんとフィーアにはお世話になりまして。

美姫 「来年も宜しくね」

フィーア 「勿論です!」

皆さんにも、今年一年お世話になりました。

美姫 「来年も宜しくお願いしますね」

フィーア 「それじゃあ、そろそろ…」

美姫 「また来年、来週に〜」

よいお年を。

美姫&フィーア 「よいお年を〜」


12月22日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーよりジングルベルでお届け中!>



ジングルベル〜♪ ジンブルベ〜ル〜♪

美姫 「腕が鳴る〜」

今日は楽しい。

美姫 「時期ネタSSを書かせれる日〜」

……いや、まだクリスマス違うし。

美姫 「知ってるわよ。アンタが歌ってたから、一緒に歌っただけじゃない」

…微妙に、いや、かなり歌詞が違うんですが。

美姫 「細かい事に拘ったら駄目よ」

いや、細かくないから。

美姫 「何はともあれ、メリークリスマス!」

いや、だから早いって。

美姫 「仕方ないじゃない! 次回のハートフルデイズだと過ぎちゃってるんだから」

まあ、それはそうなんだが。

美姫 「という訳で、一足先にメリクリ〜。という訳で、衣装もこれでどうよ!」

おお! サンタさん!
しかもミニスカとは。中々ツボを心得ているな、おぬし。

美姫 「ふっふっふ〜。勿論よ♪ という訳でメリークリスマス」

おお、メリークリスマス〜。

美姫 「という訳で、プレゼント頂戴」

って、逆、逆。サンタが良い子にくれるもんだろう。

美姫 「良い子?」

いや、そこで思いっきり首を傾げられても。

美姫 「締め切りを守る良い子はどこかな〜」

うぅぅ、すいません、ここにはいません……(涙)

美姫 「分かればよいのよ。という訳で、私にプレゼント頂戴」

サンタに上げる必要はない!

美姫 「じゃあ、サンタやめよ〜」

はやっ!

美姫 「だってね〜。サンタだって偶にはあげるだけじゃなくて貰いたいわよ」

何て欲望にまみれたサンタなんだ。
というよりも、お前はサンタ違う。

美姫 「まあまあ。とりあえず、CM〜」

って、脈略なさすぎ!







一体、何が起こったんだ。
それが、今目の前の状況を鑑みて、恭也が真っ先に思い浮かべた事である。
すぐ目の前に、息も掛からんばかりの距離に少女の顔。
瞼は閉じられ、眠っているのか呼吸は至って普通。
少女は恭也の上に乗りかかるようにして、ただ静かに目を閉じていた。
恭也は冷静にと自身に言い聞かせつつ、事ここに至るまでの事を思い出そうと、
時間を少し遡って思い出してみる。



恭也は自室でいつになく真剣な顔で何かをやっていた。
その指先は規則的に動き、その視線は外れる事無くただ一点へ。
部屋に流れるのは軽い電子音。
恭也の視線の先には一台のテレビが。
そして、その手に握るものには幾つかのボタンと十字型キーが着いたコントロール。

「ふむ。これでレベルマックスか。ようやくラスボスの所へといけるな」

呟く恭也の視線はやはりテレビ画面に向かっていた。
ことの始まりは今から二週間ほど前。
忍が半ば強引に貸し出した一つのゲームにあった。
忍自身が嵌ったゲームでもあり、
恭也にもやって欲しいとゲーム機本体とテレビまで付も恭也の部屋に置いていったのだ。
そこまでされては恭也としてもやってみるかとなり、今に至るという訳である。
やり始めると中々に面白く、恭也も中々楽しんでいた。
だが、ここで忍の悪戯が発生する。
ラスボスと闘うにはレベルをマックスである99まで上げないと駄目という嘘を吐いたのだ。
勿論、すぐに嘘だと気付くだろうと忍は思っていた。
だが、言った相手はあの恭也である。
今まで、この手のゲームをまともにやった事のない男。
そして、真面目な男である。
結果、忍の言葉を鵜呑みにして、今日までせっせとレベル上げに勤しんでいたのである。
そして、ようやくレベル99へと到達したのであった。

「ふー、長い道のりだった。しかし、これでクリアできるな。
 しかし、レベルを99まで上げたのに、賢さは40か……」

かなりお馬鹿な勇者であるが、恭也はこういうものかとラスボスの待つステージへと進めていく。
その時、事件は起きた。
何の事はない、ただ大きな落雷が起こったのだ。
だが、同時に停電でも起きたのか、テレビ画面がブラックアウトする。
折角、いよいよクリアかという時に水を刺され、少しだけ憮然とするも慌てず状況を分析する。

(かなり大きな雷だったようだが、この分だと当分は電気は通じないか?)

そう状況を判断し、まだ日が落ちきらない今の内に灯りを用意しようと腰を上げようとして、
恭也の耳は小さなノイズのような音を捉える。
動きを止めて耳に集中すると、やはり気のせいではなくノイズ音が聞こえてくる。
しかも、その音は極めて近く恭也はその音の元がこの部屋だと悟る。
音を辿り視線を向ければ、さっきまでゲームをやっていたテレビ画面から蒼白い雷が発生していた。
まさか、さっきの雷で。
そんな馬鹿なと思いつつも、このまま爆発したら大変だと部屋を出ようとしたその時、
テレビ画面から腕が生えた。
あまりの事態に思わず呆然となる恭也が見守る中、腕から肩、綺麗な金髪が零れ落ち、整った顔が現れる。
そのまま止まる事無く、テレビ画面より少女の上半身が現れ、ついに腰、足と出てくる。
少女の瞳は閉じられ、眠っているのか気を失っているのか、
僅かに宙に浮いた状態でテレビから出てきた少女は、ようやく重力なるものに気付いたとばかりに、
ゆっくりと前方に倒れてくる。
咄嗟に駆け寄って支えた恭也だったが、その足が放り出していたコントローラーを踏み付けてしまい、
バランスを崩して少女と共に倒れてしまう。
結果、少女は恭也に馬乗りするような態勢で、恭也が下から支えるという状況が出来上がるのである。



ようやく事態を理解した恭也であったが、それで好転するはずもなく、
どうしたものかと悩む。
恭也の頬へと少女の背中より流れ落ちた金髪が触れ、くすぐったさに僅かに身を捩る。
と、恭也はここで目の前の少女に見覚えがあると気付く。
何処かで見たようなと考えるまでもなく、すぐに思い至る。
見覚えも何も、ここ二週間ほどよく見ている顔である。
まさかと思いつつ、恭也は首を捻り、部屋の隅に転がる一つの箱を見る。
それは忍から借りたゲームの入っていた箱であり、
そのゲームのタイトル、『ドラゴンブレスV エテルナの姫勇者』の文字が目に飛び込んでくる。
だが、恭也が確認したいのはタイトルではなく、その下。
そこに描かれている、このゲームの主人公である姫勇者ロザリーの個所である。
果たして、パッケージに描かれているロザリーと、今恭也の目の前にいる少女は非常によく似ていた。
姿形が似ているだけではない。
鎧を身に纏い、マントをしているという格好までも。
思わず見惚れる恭也であったが、少女の口元から小さな呻き声が零れ、ゆっくりとその瞳が開かれる。



ゲームから現れた姫勇者ロザリー。
彼女は当然自分がゲーム世界の住人などとは知らず、現実世界でも普段と変わらぬ行動を取る。

「む、箪笥か。……何もないな。こっちは壺か。
 壺は割って中にアイテムがないかを確認しなければ……」

しかも不運(?)な偶然から、恭也はロザリーに婚約相手だと思い込まれてしまう。

「やっぱり、あなたはキョウヤなのだな。
 旅を始めてからずっと誰かに見守られているような視線を感じていたが、それはキョウヤなのだろう。
 私は村で神であるキョウヤと婚約イベントをした。そうであろう」

純粋で気高く、人々を救うことを何よりの喜びとする美しい女勇者。
その行為は全て純粋な善意からのものであり、恭也も頭ごなしに起こる事もできない……のだが。

「ロザリー、やりすぎだ。何処の世界に魔法で国会議事堂を打ち抜く奴がいる」

「だが、あそこは悪の親玉たる魔王が居る城だと聞いた。
 困っている人を助けるのが、私の喜びだ」

現実世界の事を当然ながら何も知らないロザリー。
その行動は、はちゃめちゃにして破天荒。
決して、賢さ40の所為ではないと思いたい恭也であった。

「むむ。キョウヤ! このシュークリームという奴は強いな!」

「強い? ああ、美味いという事か。気に入ったんなら、まだあるから遠慮するな」

「おお、こんなに!」

そこに、言わずもがなのメンバーも集まり、恭也の日常は更なる騒々しさを加速させていく。

「恭ちゃん、婚約って何!? どういう事!」

「きょ、恭也さ〜ん。私は信じていますから」

「あー、ちょ〜〜っと聞きたいことがあるんだけど、恭也?
 あの、姫勇者ロザリーそっくりなコスプレイヤーさんは誰かな〜?」

そこに何かと恭也に難癖を付けてくるお嬢様までが加わり、事態は更にややっこしい方向へと転がり出す。

「この私、冷泉院撫子が直々に声を掛けるなんて事は本来ならありえないのですが、
 まあ、これも生徒会長たる者の務めとあらば仕方ありません。
 決して、あなたと話したいとかではないので勘違いしないように」

そんな日々に頭を抱える恭也の前に、またしても新たな人物が立ち塞がる。

「初めまして。私、世界管理協会巡検士の白金碧空と申します」

果たして、恭也の日常はどうなる!?

とらゆう 〜姫勇者ロザリー現る!!〜 近日……。







うーん、しっかしもうすぐでクリスマスか〜。

美姫 「なになに、やっぱりプレゼントをくれる気になったとか」

なるか。

美姫 「ケチ〜」

まあ、それはさておき、SSの方なんだが。

美姫 「ああ、そうそう。それを聞かないとね」

忘れてたのかよ。うぅぅ、だったら黙っているんだった。

美姫 「その場合、いつもよりもきついお仕置きになるわよ」

だよな。まあ、良い。
とりあえずは、次は何を書こうかな〜って所だ。

美姫 「それって、何も進んでないって事じゃないの!」

ぶべらっ!
……う、うぅ。いや、ほら。

美姫 「言い訳無用!」

ごばらっ! ぶぎょわっ! めぎゃにゃっ!
う、うぅぅ。何を書くか悩んでるだけなのに…。

美姫 「さっさと書き始めれば良いのに」

天星かとらハ学園の更新をしたいが、今年中にリリカルをもう一本ぐらいは書きたいとも思うし。

美姫 「うん、全部書けば良いのよ」

…………返事がない、ただのぶべらぁっ!

美姫 「制裁完了!」

…………。

美姫 「それじゃあ、今週はこの辺でね。また来週〜」


12月15日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより真心を込めて送信中!>



う、うぅぅ。
全然、SSが書けないよ(涙)

美姫 「自分からそんな事を言い出すなんて。大変だわ! 風邪でも引いたの」

いや、真顔で体温を測られても。

美姫 「うーん、熱はないみたいだけど…」

いや、本当に勘弁してください。
悲しくなるから。

美姫 「はいはい。で、どうしたのよ、いきなり」

いや、だって。
最近、以前よりも書く速度が遅いから。

美姫 「確かにね」

う、うぅぅ、時間が欲しいよ。
俺だって書きたいんだよ〜〜!

美姫 「壮絶な叫びね」

色々と妄想、もとい構想が出来て。

美姫 「でも、全部、今書いているSSに関係ないと」

あ、あははは。全部じゃないぞ。
いくつかは関係あるし。

美姫 「まあ、私としては書いてくれるなら文句はないんだけどね」

頑張る!
とりあえず、今年中に極上とリリカルは新作を上げたいところだな。

美姫 「とらハ学園や天星、込められしは」

う、が、頑張る?

美姫 「そこで何故に疑問系かっ!」

ぶべらっ!

美姫 「全く、アンタがそんな調子だから、私が苦労するのよ」

う、うぅぅ。俺も苦労してるんだよ(涙)

美姫 「はぁぁぁ。アンタがバカな所為で、私がCMネタを用意しなきゃならなくなったじゃない」

えっ!?

美姫 「何よ、その驚きの顔は」

いや、だってなぁ。お前が書いたのか?

美姫 「まさか。私が書かせたのよ」

……誰に? K? 式?

美姫 「ううん、アインさん」

…………っ!! お、おまっ、おまえなんて事を!

美姫 「喜んで書いてくれたわよ」

怖がってじゃないのか…。

美姫 「なに?」

い、いや。う、うぅぅ、すいません、アインさん。
本っっっっっ当〜〜〜〜〜っに、ごめんなさい!

美姫 「まあ、半分は冗談で」

半分は本当なのかよ!

美姫 「冗談よ、冗談よ。本当は、送ってくださったのよ」

ありがたや〜〜。

美姫 「もっと感謝しなさい! 頭の下げ方がなってないわよ」

ぐえっ! い、いや、確かに感謝の気持ちを示す事に異論はない。
だが、何故、俺はお前に頭を踏まれなければならないんだ?

美姫 「ほら、顔を上げない」

ぐぇっ! ぐぬぬぬ。

美姫 「とりあえず、感謝の言葉が先でしょう」

く、屈辱的な格好だが、それは確かに。
アインさん、ありがとうございます。

美姫 「ほら、もっと下げる」

ぐげぇっ! って、ここ床! 床にもう着いているから!
それに、感謝も済んだんだから、のけれ!

美姫 「……うふふふ♪」

そ、その怪しい笑みをやめれ!

美姫 「はぁぁ。その這い付くばって、今にも泣き出しそうな、怯えた顔、最高♪」

おいおい(汗)

美姫 「私の前に許しを乞うその姿、たまらないわ」

いやいや、本気で待て。

美姫 「と、冗談はさておき」

ほ、本当に冗談か。

美姫 「当たり前じゃない」

……そ、そっか(ほっ)

美姫 「とりあえず、それじゃあ…」

アインさんから頂いた。

美姫 「CMへとゴ〜」







「おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

黒尽くめの青年、恭也と長い髪を三つ編みに結った少女、美由希が勢いよく異形の物体に詰め寄っていく。

−御神流奥義之六 薙旋−

−御神流奥義之参 射抜−

恭也の斬撃が異形を切り刻み、美由希の勢いに乗った刺突がその息の根を止める。
異形が地に倒れ付すのを見届けた二人はその乱れた呼吸を整える。

「これでとりあえず全部か」

あたりを見回しながら確認する恭也に美由希も同じように見回しながら、

「そうだね。…………いつまでこんな事が続くんだろう?」

と疲れきった表情で恭也に問いかける。
バダンと名乗った謎の組織が現れてから
世界各地の主要都市は瞬く間にその組織の送り込む怪人達によって壊滅に追い込まれ、
日本各地は謎のピラミッドと怪人達によって次々と占拠されていった。

「海鳴がたいした町ではない事だけが救いといえば救いだが……
やはり自分達さえ良ければという考えはもう通用せんな」

「うん。日本が無くなったらもうそんな事意味がなくなっちゃうもんね」

「ああ。噂では仮面ライダーと名乗る人達が各地で奮闘しているらしい。
たしかに強大な力を持っているのは確かなようだが、
その人たちだけにこの国の命運を預けるのは間違っている気がする」

何か力強い決意を宿した目でそう言う恭也を見て、美由希はその考えを悟る。

「恭也、こっちも片付いたよ」

「お二人共、お怪我はありませんか?」

声に恭也と美由希が振り向くと、忍とノエルが歩み寄っている。
バダンに洗脳されている人間が戦闘員として向かってくるため、恭也と美由希が怪人の相手をし、
ノエルがそれらを無力化、忍が夜の一族の力を使って洗脳を解く。

「二人共いつもすまないな。俺たちでは無力化は出来ても洗脳を解いてやる事はできん。
忍には本当に危ない思いをさせて……」

「ストップ! もうそれは何度も聞いたよ。
ノエルもいるし、それに本当に危ない時は恭也が助けてくれるんでしょ?」

すまなそうに頭を下げる恭也に忍はそう言ってはにかんでみせる。
そんな忍に対して恭也は少し苦笑をもらしたが、すぐに真剣な表情で、

「すまんが暫くの間俺は海鳴を離れていようと思う」

と美由希とノエルも含めた三人に告げた。

「リスティさんの話、やっぱり行くんだね?」

先ほどの恭也の表情から同じく話を聞いていた美由希は察しがついていたらしい。
しかし忍とノエルには話が見えず、恭也は混乱する二人に事情を説明する。

「バダンと戦うための組織……恭也もそれに参加するの?」

「ああ。早くこんな事は終らせないといけない。
そのために俺の力が少しでも役にたつなら、俺はいこうと思う」

引き止めようと思った忍だったが、恭也のその真剣な眼差しに言葉を無くす。

「ご家族の皆様はどうなさるおつもりですか?」

ノエルの問いに恭也は軽く頷くと美由希に向き直る。

「美由希、俺が戻るまで家はお前に任せる」

「そ、そんな! 私も一緒に行くよ!? 私だって戦える!」

必死な表情の美由希に恭也はいつになく優しげな微笑を向けると、

「だからこそだ。俺が帰る場所、お前に護っていてもらいたい」

と頭を撫でる。
頼んだぞ。そう言われた美由希は渋りながらも頷いて見せた。
それを見た恭也は忍に再度向き直る。

「忍、お前とノエルも一緒に家にいてくれ。その方が俺も安心できるし……」

そこで言葉を区切る恭也。
その表情が少し赤らんでいる事を訝しげに見ていた忍だったが、
その後の恭也の言葉に涙を流しながらも恭也を笑顔で送り出す決心を固めた。
その言葉は、

「俺の帰る場所には、お前がいて欲しい」



そして恭也は海鳴に戻らずその足でリスティの元へ向かい、そしてその数日後……

ズダンッ

100キロを軽く超えていそうな体格のゴードンと名乗ったアメリカ人を投げ飛ばした日本人、滝和也。
2500名を超える人数のこの急造の部隊のリーダーとして呼ばれた滝は、
自分の目の前で体を改造すればバダンなど恐れるに足らずといった三人を猫の手と言ってのけ、
いきなり後ろから殴りかかったゴードンを軽々と組み伏せた。

「お前ら、改造手術を望んで受けようってのか。やめとけやめとけ。仮面ライダーなんざロクな事ねえぞ」

ゴードンを組み伏せたまま滝は笑いながらそう言った。
子供の手も握れない。好きな女性も愛せない。老いの来ない体で平和が来てしまえば必要とされなくなる存在。
そんな生き様は務まらない。
ゴードンを解放し、先ほどの三人の前でそう言った滝の表情は何処か寂しそうで、
そして何処か悲しそうに恭也には映った。

(仮面ライダー…………望まずに力を持たされ、それを自らの意思で他人の為に使う生き方を選んだ人達。
強いな……。それに……)

「そうよ……。この体じゃあライダーの能力には遠く及ばねぇ。だがな……魂くらい……魂くらいは……」

そう言って滝は自分の胸を親指で指差す。
その表情には強い決意。

(この人は……この人なら…………!)

「なあにをウダウダぁ!!!!」

そんな時後ろからゴードンがまた襲いかかる。
恭也は躊躇うことなく距離をつめ、

「!」「!」

同じく飛び出してきた挑発の少年と共に恭也は鳩尾、少年は顎に一撃を加えて意識を刈り取った。
少年と視線を交わし、軽く微笑み会う恭也。

「言言肺腑を衝く」

滝に向き直った少年はゴードンを担ぎながらそう言ってその猫のような目を向ける。
声に振り返る滝。

「熱い想いの籠もった言葉が聞く人の心の底に染み渡るという意味ですよ」

そして、ね? と恭也に微笑む少年。
恭也はそれに軽く頷く。

「貴方の想い、確かに俺達には伝わりました」

そして二人は滝を真直ぐ見据える。

「「俺(僕)達は、貴方の魂に参加します」」



仮面ライダーHEART/SPIRITS −仮面の戦士と漆黒の守護者−

もしかしたら公開!(でも今の所は書いたことをちょっと後悔……







仮面ライダーとのクロス〜。

美姫 「平和を守るため、恭也はライダーへとなる!」

って、燃えるな。

美姫 「熱い戦いが待っているのね」

勿論、それだけじゃないだろうけれど。

美姫 「色々と想像できて楽しいわね」

確かに。

美姫 「これに触発されて、浩もババンと100本ぐらい書いちゃえ」

おう! って、無理じゃ!

美姫 「ちっ」

そこ、舌打ちするとこちゃう!

美姫 「はいはい。やってられないわね」

って、それは俺の台詞だと思うんですが。

美姫 「じ〜〜」

あ、あうあう。む、無言で見ないで〜〜。

美姫 「まあ、さっさと書いてくれるのなら、ある程度は我慢してあげるんだけどね」

う、うぅぅ。それを言われると、こう胸のこの辺りがぎゅぅっと痛くなる。

美姫 「なら、私がとどめを…」

さしてどうする!
そこは優しくしろよ!

美姫 「見せ掛けの優しさだけじゃ意味ないのよ」

心も込めろよ(涙)

美姫 「厳しさの中にある優しさを感じて」

無理っす!

美姫 「さて、バカなことをやってないで」

って、俺だけのせいかよ!

美姫 「CMよ〜」

って、聞けよ!







目を覚ました恭也は、やけに静か過ぎると思いつつもゆっくりと身体を起こす。
鍛錬の時間かと時計を見るも、どうした事か既に学校へと出なければならない時間。
そんなに眠りこけてしまったかと首を傾げるが、同時に鍛錬に顔を出さなかったのなら、
美由希が起こしに来そうなものを、と更に不思議に思いつつ素早く制服へと着替える。
いや、着替えようとして、ここでも恭也は首を傾げることになる。
今まさに着替えようとした制服で、どうやら自分は寝ていたらしいと気付いたからだ。
よく思い返してみると、昨日の記憶が非常に曖昧であった。
兎も角、学校へ行こうと部屋から出て恭也はまたしても不審に思う。
やけに静かなのだ、家全体が。誰の気配もしない。
皆、既に出たのかと思いつつ、恭也は一人家の外へと出て、動きを止める。

「何だ、これは…」

目を疑うような光景。
道路は所々罅割れ、電柱も倒れている。
近所の家の塀も崩れているもの、欠けているものなど様々で、まるで大きな事故があったようでもある。
と、恭也はふと目を細め、数歩だけ歩くとしゃがみ込み、アスファルトにそっと手を触れる。

「これは銃痕か…? 一体、何があったんだ」

不意に恭也は姿の見えない家族の安否が気になり、
いざという時の避難場所となっている学園へと弾かれたように走り出すのだった。



走り続け、ようやく学園の姿が見えてくると、その無事な様子に思わず胸を撫で下ろす。
必要以上に張り詰めていたらしく、いつになく息が上がり気味になっている。
少し速度を落とし、呼吸を整えながら近付いた恭也は、またしても驚愕する事となる。
学園は無事。
確かに無事である。
だが、その校門が異常であった。

「一体、どうなっているんだ。何故、こんな大仰な」

まるで重大な研究施設か軍事施設を思わせるような頑強な作りに、門番らしき男が二人。
どちらも銃を手にしており、恭也に気付いて近付いてくる。
この時、確かに静かにではあるが運命の歯車が回り出したのである。



混乱した恭也を前に、夕呼は落ち着いた声で話し始める。

「どうやら、ここはあなたの知っている世界じゃないみたいね」

「はい?」

「今までのあなたの話を聞く限り、それが最も妥当な判断だと思うわよ。
 第一、あなたの記憶では私は教師をしていたんでしょう」

「はい」

「でもね、私はあなたに物を教えた記憶はないわ。
 それにBETAを知らないってのは、どう考えても可笑しいもの」

「その、さっきから言われているBETAというのは」

「Beings of the Extra Terrestrial origin which is Adversary of human race
 まあ早い話が地球を侵略しに来た宇宙人よ」

夕呼の言葉に声を無くす恭也を前に、夕呼はそんな反応はどうでも良いと一人続ける。

「で、人類はその宇宙人、BETAの所為で居住区域を減らされてしまったのよ。
 これまた厄介な連中でね。ともあれ、ここはそのBETAと闘う衛士を育てる訓練所も兼ねているわ」

「闘うって、自衛隊とかですか」

「そうね、彼らも先頭に立って闘ってはいるけどね。
 数が多い上に、制空権を取られた所為で上空からの攻撃は一切出来ない。
 おまけに、戦車やそういった兵器もそんなに多くある訳じゃない。作るにも資源すら限りあるって訳。
 BETA自身、でかいもので5メートル程度。
 主に戦力となっている奴らは、私たちと殆ど変わらないか、虎やライオンなどの大型獣より少し大きい程度。
 結果、そう言った兵器を多く作るよりも、銃器など人の扱う武器の開発の方が資源もコストも安くつくって訳よ」

「ですが、それで負けたら意味がないんじゃ…」

「だからこその訓練校って訳。それに、全く作っていない訳じゃないわ。
 ただ、戦果をデータ化して比べてみても、武器の方が良いのよ。言ったでしょう。資源は限られているってね。
 だから、銃だけでなく、剣や鈍器の扱いもここでは教えているわ。
 そう言った意味でも、貴方にはかなり期待してるわよ」

その後も夕呼はこの世界の事を恭也へと説明し、恭也もまた夕呼の質問へと応える。
恭也の話を聞く夕呼の顔は何処か嬉しさが滲み出ているようであったが、それは恭也の知る夕呼と比べての事で、
果たして自分の読みが正しいかどうかまでは確信の持てない恭也だった。



恭也もまた元の世界へと戻る方法が分かるまでの間、生き残るためにも訓練兵として訓練を受ける事となる。
同時に、夕呼の呼び出しに応じる事も約束され、
恭也は訳が分からないまま第207衛士訓練部隊の所属となるのだった。
その初日、恭也は教官となる神宮司まりもに連れられ、教室へと向かう道すがら信じられない者を目にした。

「冥夜!」

そこで自主鍛錬を行っていたのは、恭也の前に突如現れた御剣冥夜その人であった。
突然名前を呼ばれて驚く冥夜を見て、恭也は現状を思い出して少し落ち込みながらも謝罪するのだった。

こうして、高町恭也の戦いの日々が、運命の日々が幕を開ける。
果たして、その先に待つものとは…。

マブハート アンリミテッド

滅びゆく人類に持たらされた希望となるか何も変わらぬか――
  それは小さな切っ掛け
  それは大きな分岐点
  そして未来は紡がれる







ふ〜。

美姫 「戦術機のないパターンって訳ね」

おう。これはこれで面白いかな〜と。

美姫 「戦闘シーンが大変そうね」

まあ、実際にやる訳じゃないしね。

美姫 「いい加減ね」

あはははは、今更だな〜。

美姫 「確かに。でもね……。自分で言うな!」

ぶべらっ!

美姫 「バカにつける薬はないわ」

だからって、殴らんでもよかとね。

美姫 「じゃあ、蹴るわ」

ぎょばぼえっ!

美姫 「ほらほら、バカやってないで。そろそろ時間よ」

う、うぅぅ。またしても、俺一人のせいですか。

美姫 「いいから、ほら」

う、うぅぅ(涙)って、このぐらいで落ち込んでたら、やってられません!

美姫 「いいから、さっさと締めの挨拶をしなさい!」

ぐげっ! いててて。少しは手加減してくれよ。
コホン…。それじゃあ、今週はこの辺で。

美姫 「また来週〜」


12月8日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより過ぎ去りし日々を懐かしみながら送信中!>



うーん、不意に、無性に永遠のアセリアを書きたくなった。
それも、クロスして恭也Xヘリオンで。

美姫 「行き成りね。でも、まあ良いわ。それじゃあ、悠人は?」

アセリアルートにしようかな。
って、まだ書くって言ってないからな!
ここだけは強く主張を!

美姫 「分かってるわよ。まあ、やるなら長編だろうし」

だろう。しんどそうだな。

美姫 「へたれ〜」

ほっとけ!
まあ、それはさておき、何とか今年中にDUELは完結できそうで良かった。

美姫 「その後は、リリカル? 極上?」

天星とかもあるしな。
のんびりと…。

美姫 「却下よ! すぐに書かせる!」

ぐっ。と、とりあえず、DUELを優先で頑張るっす。

美姫 「キリキリと書きなさいよ」

へいへい。

美姫 「全く、やる気がない返事ばっかりね」

あははは。と、とりあえず…。

美姫 「今週もCMよ〜」







それは今から数十年前の事。
海鳴で起こった大きな地震と共に、それは現れた。

「……ふぅ。さて、次の依頼は、と」

「ねぇ、恭ちゃん」

「なんだ、美由希」

「私もそろそろ迷宮に行きたい。異界守になりたい」

「……そうは言われてもな。それは俺の一存では」

「うぅぅ。恭ちゃんの役に立ちたいのに。大体、どうして隊を組まないの」

「お前が異界守になったら組んでくれるんだろう」

「も、勿論だよ!」

歪みの主根と呼ばれる地下深く、そして広く広がる迷宮が現れた。
混乱する人々に対し、この世を裏から支える退魔の一団がこの迷宮を調べ始めた。
結果、迷宮の出入り口近くから幾人者人が発見され、彼らの口からこの迷宮に関する貴重な話がもたらせれた。
常に歪み続ける迷宮。
そこにはあらゆる世界から宝物が流れてくると。
その話を聞き、世界中のトレジャーハンタたちが我先にと迷宮へと潜り込んだが、
彼らは誰一人として帰ってこなかった。
それもそのはず、何も流れてくるのは宝だけとは限らないのだから。

「がはははは。なかなか良い動きをするではないか」

「あなたは?」

「儂か。儂はこの主根を住みかとするものよ」

「もしかして、あなたが有名な…」

この世にあらざるもの、魔物。
そう呼ばれる生物もまた流れて来ては、迷宮を住みかとしているのだから。
出入り口や、各階層に施された女神のは強力な結界により、魔物は地上には出れないという事ではあったが、
決して楽観できるものでもなかった。
そこで日本政府は退魔の一族たちに声を掛け、迷宮究明のために潜る事を依頼した。
その声に応え、神咲を始め、世界中の退魔士や魔術師が調査した結果、
この迷宮は内部が複雑に歪んではいるが、最深部が存在するという事。
そして、最深部に辿り着ければ、そこに元に戻す手掛かりがあるかもしれないという事。
当然、最深部へと辿り着くように政府からは依頼される。
だが、迷宮に巣くうものは手強く、また知恵持つものさえもいた。
未だ迷宮の謎を完全に解き明かす事もできず、また最深部に辿り着いた者もいない。

「日本政府の要請により、この地に派遣されたフォーチェラ・シード」

「その耳…。失礼ですが、ひょっとしてエルフですか」

「ええ。エルフを見るのは初めてか?」

「そうですね。この迷宮が出来てから、様々な人種の方たちを見ましたけれど、エルフは初めてです」

故に政府は次の政策を打ち出す。
それが、民間から広く腕に自信があり、迷宮へと潜ろうとする者を募集するといったものであった。
最深部へと潜る者の募集故、審査があり勿論、簡単に誰もがなれるといったものではなかった。
同時に、国によって魔物退治専門の学校が数校建てられ、若者たちの中にはそこで学ぶ者たちも居た。
前者を「異界守」と呼び、後者を「騎士」と呼び慣わすようになって数年。
数多く居た異界守も徐々に数を減らしていった。

「やったよ、恭ちゃん。私も明日から迷宮に言っても良いって」

「そうか。で、誰かと隊を組むのか?」

「えっ!? 恭ちゃんが組んでくれるんじゃなかったの?」

「……そう言えば、そんな事を言ったような」

「ひ、酷いよ恭ちゃん」

「じょ、冗談だ。まあ、とりあえずは俺と一緒に行動するか」

「うん、よろしくね」

「ああ。とは言っても、俺も異界守になってまだ二月程度だがな」

「あははは。お互い、新人だね」

「だな。だが、必ず最深部に辿り着いて、あの迷宮を絶対に安全なものにしてみせる」

「うん。じゃないと、いつ魔物が出てくるか分からないものね」

これは、異界守に成り立ての少女と、その少女よりも少しだけ経験のある青年の物語。
二人は果たして最深部へと辿り着けるのか。

峰深き海鳴にたゆたう唄







うーん、しかし時間の過ぎるのを早く感じるな。

美姫 「年末が近付くと、特にそう感じるわね」

だな。このまま、ぼーっとしてたら、あっという間に気が付いたら来年って事にもなりそうだな。

美姫 「それは幾らなんでもぼーっとし過ぎだって」

ぼ〜〜。

美姫 「って、誰がさせるか!」

ぶべらっ!

美姫 「今年中に100本のSSを上げてもらうという目標があるんだから、ぼうっとしない」

って、そんな自分勝手な目標。
しかも、先週も同じような事を言ってたような。

美姫 「あら、先週よりもノルマは減ってるはずよ」

いや、あんまり変わんないっす(涙)
って言うよりも、無理だから。

美姫 「何事もチャレンジよ」

いや、どう考えても俺には無理だろう!

美姫 「……うん、信じてる!」

いや、そこは信じないで。寧ろ、出来ない事を信じて。

美姫 「ちっ。根性なしね」

ひ、酷い。

美姫 「まあ、冗談はこのぐらいにして…」

目は真剣だったんけどな。

美姫 「なに?」

ブンブンブン。えっと、それで何かな。

美姫 「まあ、今更だけどね。実際、後どのぐらいアップできるのかなと」

どうだろう。出来る限り、頑張ってはいるんだがな。

美姫 「アンタが、変なものを書かなければ、その分の時間も使えるのにね」

ぎくぅっ! ほ、ほら、あれは暇つぶし?

美姫 「いや、私に聞かれても」

ほら、たま〜に、無性につよきすとかネギま!が書きたくなるというか。

美姫 「その余計なものを書く時間を他のSSに使いなさいっての!」

ぶべらっ!

美姫 「はぁー、はぁー」



「姫なら恋と野望の両方とれる」

レオはずかずかとエリカへと近付き、真剣な表情でエリカへと語り掛ける。
二人きりの生徒会室で、レオはエリカの肩を掴み、半分押し倒すように更に詰め寄る。
尚もエリカへと言葉を投げるレオへ、エリカは無情にもレオを捨てるという事のみを何度も伝える。
だが、レオは一歩も引かず、エリカの言葉尻を捉えては反論をする。
そして、遂にレオの反論がエリカにとって痛い部分を突く。
一瞬だけ言葉に詰まるも、すぐにレオとこれから出会うであろう男たちに比べる発言をして逃げるエリカ。
だが、レオはそれでも引く事なく、エリカへと自分の気持ちをぶつける。
幼馴染たちに熱血モードと呼ばれる状態へと入ったレオの行動に、次第に押され始めるエリカ。
そして、遂にその口からは…。

「姫は本当に俺が嫌いか」

「嫌いな訳ないじゃない! むしろ、好きよ」

言ってから自分の言葉に気付いたエリカは、少し照れたように頬を染めつつ失言に顔を顰める。
一方、それを聞いたレオは嬉しそうな顔を見せるも、そこで終わらず更に続ける。
そして、等々エリカも自身の気持ちを素直にレオへと吐露し始め、レオが喜んだのも束の間、
いつものような不敵な笑みを一瞬だけ覗かせると、不機嫌そうに眉を顰める。

「ふん。随分好き勝手な事を言ってくれたじゃない。
 男一人とれないで世界なんて取れない? 中々痛いところを突くじゃない。
 見てなさい。その両方をとるところを」

「姫!」

嬉しそうに自分を呼ぶレオにやや照れつつも、エリカはびしっと指を突き刺して告げる。

「私の隣という特等席で、それを見せてあげるわ対馬クン!
 その代わり、そこまで私にお熱だと言うのなら、盾になって死ぬ覚悟をしてもらうからね」

その言葉に怯む事無く。レオは頷く。
そんなレオを呆れたように見遣りつつ、エリカは強張っていた肩の力を抜く。
それを見計らった訳ではないが、レオはタイミング良くエリカへと告げる。

「姫ならきっと両方取れると思うよ。そして、俺も両方取るから」

「はぁっ!? なにを言ってるの? 対馬クンが私と何を取るって言うの?
 まさか、対馬クンも何か野望を持っているの」

珍しく驚くエリカへと、レオは一つ頷くと、ここに来る前に良美に告白された事を告げる。
それをそそのかしたのは、目の前の当人、エリカ自身であるため、エリカはそれを教えて知っていると告げる。
何となく予想していたのか、レオは大して驚く事もなく、ただ拳を握り締めながら宣言する。

「俺は姫と佐藤さんの両方を取る!」

「……あー、対馬クン?」

「なに、姫」

眉間に皺を寄せ、そこを人差し指でトントン突付きながら、エリカはすっと目を細める。

「世間一般でそう言うのを二股って言うの知ってる?」

「違う! 俺はただ二人のどちらかを選べないだけだ!
 だから、両方取る! 勿論、どちらも好きだ!」

「だから、一般的にそれを二股って言うのよ!」

「姫が一般論を言うんだ」

「ぐっ…。って、ちょっと待って。この場合は、私は間違ってないんじゃないの」

ふと呟くエリカの肩を掴み、レオは姫と良美の両方を好きだと延々言葉を変えて語る。
そして、等々エリカの方が根負けする。

「わ、分かったわ。さすがにこの距離でずっと愛の言葉を囁きかけられるのは堪えるわ。
 ま、まあ、よっぴーなら良いか。卒業したら私の秘書をやってもらうつもりだったし。
 それに、よっぴーが対馬クンの愛人なら、私の愛人でもある訳だし」

何やら大きく間違っている事を呟くエリカであったが、ここには二人だけ。
否定する者もおらず、エリカはそのまま自分を納得させてしまう。
納得すると、目付きも鋭く、レオを見詰める。

「ただし、これ以上は許さないからね」

「勿論だよ」

「なら、良し。それと、私とよっぴーの二人を取ると言うのなら、ちゃんと平等に愛しなさいよ!」

「分かってる」

「はぁ、何でこんなバカを好きになっちゃったんだろう」

溜め息と同時に零れた言葉に、しかし、レオは奇妙な声で答える。
それを睨み付けるエリカに、レオは慌てたようにエリカの背後を指差す。

「ひ、姫、放送マイク!」

「えっ!? お、オン!? あ、さっきの放送の後、切ってなかった……。
 って事は、今の全部校内に流れて……!? ぬ、ぬかったぁ!」

慌ててマイクに向かって誤魔化すような事を述べるも、恐らく時既に遅しであろう。
まあ、この放送で喜んだ女子生徒が一人、屋上で飛び跳ねていたという目撃情報もあったり、なかったり。
因みに、翌日からレオのあだ名が『二股野郎』になったのは言うまでもない。

更に、フカヒレが血の涙を流しながらレオに襲い掛かり、
姫と良美に迎撃されたのもまた、言うまでもない事であり、どうでも良いことである。



美姫 「こんなの書いている暇があったら、さっさと他のを書きなさいよね」

う、うぅぅ。だって、不意に浮かんだんだもん。
浮かんだら書かないと勿体無いじゃない。

美姫 「はぁー、このバカは駄目だわ」

あは、あは。って、これを普通に短編としてアップすれば良かったんじゃないのか?

美姫 「……ま、まあ、人間誰にでも間違いはあるわよ」

ひ、酷い……。

美姫 「ま、まあ、来週ぐらいにアップすれば良いんじゃない」

う、うぅぅ。それは年間SS本数に加算されるのでしょうか。

美姫 「されない」

ぐわぁぁっ!

美姫 「……合掌」

死んでねぇよ!

美姫 「あ、そろそろ時間だわ」

って、逃げるな!

美姫 「じゃあ、逃げないわ。とことんまでやりあいましょうか」

……もう時間ですね。

美姫 「でしょう」

はい。それじゃあ、今週はこの辺で!(涙)

美姫 「また来週ね〜」


12月1日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより絶賛放映中!>



パンパカパ〜ン!

美姫 「ヒューヒュー」

祝、ハートフルデイズ98回〜。

美姫 「後二回で、100になるのね」

ああ。……と言いたいところだが、難しいんだよな。

美姫 「どういう事?」

いや、そもそもハートフルデイズとして週一になったのは、お前が雑記に姿を見せてから。

美姫 「確か、7月頃よね」

ああ。だが、これは後書きみたいな会話を希望されてやっただけで。

美姫 「ああ、まだハートフルデイズって言ってないのね」

ああ、予告SSもないしな。
だから、勿論、カウントしてない。
最初にハートフルデイズと口にしたのは。

美姫 「私が冗談で口にしたのが始まりね」

ああ、そういうことだ。それが12月3日。

美姫 「わぁ〜、丁度じゃないけれど、今日で二周年ね♪」

まあ、その後も二週間、計三回やった訳だな。

美姫 「あ、予告SSもやってるのね」

ああ。
で、その後、元々ハートフルデイズと言っていたのは冗談だったんで、普段の談話に戻ったんだ。

美姫 「でも、予告SSは入ってたのよね」

ああ。それが3回。
で、ハートフルデイズの週間化を希望されて、本当にそうなったのは。

美姫 「2005年の2月25日ね」

そういう事だ。だから、そこからのスタートだと考えると、まだ92回。
この時点で93回な訳だ。

美姫 「むむっ。じゃあ、正確には2月スタートだから、まだ100には遠いわね」

そういう事だ

美姫 「それじゃあ、100回を目指して後7回、頑張るわよ!」

おう!

美姫 「あれ? って事はさ、冒頭の騒いだのって無駄?」

ギクギクギク。

美姫 「って言うか、まだ100に遠いのにどうしてそんな話をしたの?」

あ、あははは。怒らない?

美姫 「良いわ、怒らないであげる」

うむ、実は俺は純粋に98回目だと思っていてだな。
おお、今年中に100回いくぞと勇んだまでは良かったんだが……。

美姫 「それで?」

ああ。このネタを今回やろうと決めた時に、偶々式が居て否定された。
で、冒頭の部分を言われたと。
だが、既にネタとして考えていたため、もうやっちゃえってなノリで。

美姫 「ノリだけでするな!」

ブミョラモ〜。
……お、怒らないって言ったのに。

美姫 「怒ってないわよ〜。ただ殴っただけ」

ひ、酷いっ!

美姫 「とりあえず、アンタのお仕置きをしている間にCMよ〜」

って、ちょっ、何だその不吉なCMへの入り方は…や、やめ…………。







再興を目指しアヴァターに住む人々。
破滅を打ち倒した事により、ようやく平和が訪れた世界。
だが、それは一つの始まりでしかなかった。
平和の裏で忍び寄る魔の手。
その存在に人々はまだ気付いていなかった……。

「聞け、愚かなる者どもよ。
 我は主らの創造主にして、支配者。
 我が望む世界は力のみの世界。力なき者は滅びよ!
 我に忠誠を誓う者のみ生きることを許す」

突如として現れた白銀の髪を靡かせる女性。
破滅の再来かと危惧する人々を護るため、再び救世主たちが立ち上がる。

「次から次へと、一体なんなのよ!」

「この戦いが終われば、本当の平和が来るのでしょうか」

「今、それをここで論じていても仕方あるまい。
 やるべき事をまずは成すのだ、救世主たちよ! 民の為に今一度、頼むぞ」

救世主を迎え撃つのは、

「へっへっへ。力が全て。いい言葉だぜ。
 おまけに、こんな力まで貰ったらやるしかねぇわな」

「兄貴、火事場泥棒からかなりの出世ですね」

「がははは、本当にな!」

人類を裏切った人々と――

「私が興味あるのはたが一人。あのお方が気に掛ける、あの男のみ。
 後は好きにすると良い」

「お前たちの相手は私がしよう」

「ならば、あちらの騎士共は私が」

謎の女戦士たち。

「一体、何がどうなっているんでござるか」

「…分からないわ。でも、彼女たちの実力は確かよ」

「ちっ。何て厄介な奴らだ。だけど、このロベリア様を舐めるんじゃないわよ!」

その実力は救世主たちと互角以上に渡り合う程であった。

「……そ、そんな、まさか」

「どうしたの、リコさん」

「って、イムニティも顔が真っ青じゃない」

「あ、ありえないわ。そんなのあるはずないじゃない!」

驚愕に固まる書の精たち。戦況が劣勢へと傾き始めた時、黒幕と思しき白銀の女性が救世主の前に姿を見せる。

「お前は何者なんだ」

「久しぶりと言っておきましょうか。元、主」

「主だと……。まさか、お前は。
 だからなのか、俺だけが召還器を呼べなくなったのは…」

「察しが良いですね。
 我が名はルイン。
 かつて神に挑み破れ、召還器へと変えられし、神に背く王、魔王ルイン」

ルインを名乗る女性から語られた衝撃の事実の慄く一同。
神と同等の力を振るう者を前に、救世主たちにも悲壮感が漂う。

「主…いや、恭也。我と共に来る気はないですか。
 選択肢は一度きり。よく考えて今、ここで決めてください」

「……答えは一つだ、ルイン」

「そうですか、非常に残念です。貴方を殺さなければならないとは…」

魔王ルインが敵として恭也たちの前に立ち塞がる!
神を討ち滅ぼす剣を無くした今、この強大な敵を前にどう立ち向かう!

DUEL TRIANGLE(偽) 第七十四章 真の敵、現る!







………………。

美姫 「美姫ちゃんの〜」

フィーア 「ハートフルデイズ〜」

美姫 「はっじまるよ〜」

フィーア 「この番組は、浩さんが絶賛居眠り中のため」

美姫 「美少女二人でお送りします♪」

フィーア 「という訳で来ました〜」

美姫 「ようこそ、フィーア」

フィーア 「しかし、行き成り眠るなんて酷いですね」

美姫 「本当にね。
    本来なら、あの後フィーアを紹介するはずだったのに、このバカの所為でCMにいっちゃったじゃない」

フィーア 「本当に酷いです!」

美姫 「まあ、それはそうと、退院おめでとう」

フィーア 「ありがとうございます!」

いや、退院したのはフィーアじゃなくてアハトさんだから。

フィーア 「っ!」

美姫 「何を言ってるのよ。その間、フィーアがどれだけ苦労したか」

いや、寧ろアハトさんの方が苦労したみたいなんだが…。
って、どうしたんだ、フィーアの奴は。

美姫 「何か驚いているみたいだけれど、大丈夫?」

フィーア 「い、いえ、大丈夫です。いきなり普通に会話に混ざってくるからちょっと驚いてしまって」

失敬な。

美姫 「うーん、私は慣れてるけどフィーアたちにしてみればそれが当たり前なのかもね」

フィーア 「大丈夫です! その内、慣れます!」

って、人を可笑しな生物みたいに……。

美姫 「はいはい」

って、そこは軽く流す所じゃないだろう!

美姫 「で、復活したんなら丁度良いわ」

フィーア 「あ、SSの進み具合ですね」

美姫 「そういう事よ。で、どうなの」

まあ、前にも言った通りにDUELを今年中に完結させるつもりだ。
で、他の長編に取り掛かる。
リリカルとか、極上とか。

フィーア 「新しい長編が始まったりは?」

今のところは予定にないかな(にやり)

美姫 「いや、そんな怪しい笑み全開で言われても」

あははは。とりあえず、DUELをメインに。

美姫 「って、よく考えたらDUELって後一話だけよね」

ギクッ。

フィーア 「ああー、ひょっとしなくても誤魔化す気だったわね」

オウッ、バレテ〜ラ。

フィーア 「って、ばれるに決まってるでしょう」

美姫 「はぁ、相も変わらずねぇ」

そんなに褒めるなよ〜。

美姫&フィーア 「褒めてないから」

え、えっと、とりあえず、アハトさんから頂いた…。

美姫 「お土産SSね」

フィーア 「それじゃあ…」

美姫&フィーア 「CMで〜す」







女子校巡り、嫁探しとこなしてきた不破 美影。
だが、物語はそんなところでは終わらない。
否、終わらせなどはしない……



「今度は、あなたもグルですか、ティオレさん」
半分諦めの溜息をついて、美影は目の前で微笑む女性を見る。
目の前にはクリステラソングスクールの校長、ティオレ・クリステラが座っていた。
「あら、そんな言い方はないんじゃないかしら」
小さく微笑みながら、ティオレは言う。
「恭也、今日は貴方にお願いがあってきたのよ」
真剣な表情になって、ティオレは切り出す。
それを見た美影の方も、真剣な表情になる。
「私の知り合いが船長をしている、学園船があるのだけれど」
「学園船、ですか?」
美影が尋ね返すと、ティオレは頷く。
「ハンキング・バスケット・ポーラスター……それが、学園の名前」
「そこが、なにか?」
「そこでね、少し前連続暴行事件がおきたの」
その言葉に、美影は更に鋭くなる。
「その事件は解決したのだけれど、また起きないとは限らないわ」
「……判りました」
言いたい事を理解し、美影は頷く。
「この御神の剣は護るためのものです」
「ありがとう、恭也」
美影の言葉に、ティオレは満足そうに頷いた。
そして、美影はそのH・B・ポーラスター号へと……



「君がティオレの紹介があった不破 美影かい」
美影がその船に乗り込み、船長室に案内された。
そして、美影の目の前にはこの船の船長、けーこ船長がいた。
「本来なら、君のように途中編入なんて認めてはないんだが……」
小さく溜息をつきながら、けーこ船長は持っていた書類を美影に投げる。
「小笠原財閥の令嬢小笠原 祥子、鏑木財閥の御曹司、鏑木 瑞穂」
その書類には、美影がこれまで出会ってきた人の何人かが書かれていた。
「天地財閥の天地ひつぎに、魔法の世界じゃ有名な式守家次期当主式守 伊吹。
さらには三千院家の当主三千院 ナギにキリヤコーポレーション社長の霧夜 エリカ。
こんだけの人の推薦だ、認めないわけにはいかないだろう」
「ご迷惑をおかけします」
「いやいや、そう思うんなら頑張ってくれ」
その言葉に、美影は頷き船長室を出て行った。
「楽しくなりそうだねぇ……」




「新しく、このクラスでお世話になります……不破 美影です。よろしくお願いします」
美影は、再び学園生活を送る。


「年上だけど、嫌いじゃないかな」
恭也に近づく、レズの王子様の異名を持つ、杏里・アンリエット


「美影? 見たことがあったような、なかったような……」
杏里の友人、美影と同じサードクラスの天才天京院 鼎


「よろしく、頼みます」
美影はその二人と仲良くなり、どんな学園生活を送るのか。
お嬢様ばかりの学園船、ハンキング・バスケット・ポーラスター。
美影の物語は、三度その幕を開ける……





心の舷窓 TRIANGLE Epic



「美少女は、世界の宝だーー!!」
「うるさいぞ、杏里っ!!」
「言いつつ、鼎さんも顔が赤いですよ」



世紀末ごろ、連載開始!!







も〜うい〜くつ寝ると〜、世紀末〜♪

美姫 「どれだけ寝る気よ」

フィーア 「先の長い話というか」

まあまあ。と、そろそろ時間じゃないのか。

美姫 「まだ大丈夫よ」

フィーア 「ええ、その通りです」

あ、あはははは。えっと、おお、今年も後一月だな。
いやー、早いものだ。

美姫 「アンタの執筆速度も速ければね〜」

うっ。

フィーア 「まあ、まだ今年はありますからお姉さま」

美姫 「そうね。今から一日10本ペースで書かせれば…」

絶対に無理じゃ!

美姫 「浩が十人いれば可能よね」

お、おいおい、何の冗談だ。
何で、二人してそんな物騒な物を振りかざすのかな?

フィーア 「何ででしょうね〜」

い、言っておくが!
例え俺が十人居たとしても、絶対に早くならないぞ!

美姫 「ほう、その心は?」

十人が十人とも人任せにするだろうから!

美姫 「…………」

フィーア 「…………」

美姫 「…………」

フィーア 「…………」

美姫 「何て言うか、そうはっきりと断言するぐらいちゃんと自身を理解していると言うべきか」

フィーア 「所詮、0には何を掛けても0なんですね」

美姫 「しかも、それを否定できない所に説得力を感じるわね」

フィーア 「はい。それじゃあ、今回は大人しく仕舞いますかお姉さま」

美姫 「そうね。でも、分割は諦めるけれど…」

あ、あれあれ、あれ〜?
どうして、美姫だけは剣を仕舞わないのかな?

美姫 (にっこり)

あ、あはっはっはっは。
(にっこり)

美姫 「とりあえず、少しは己を省みて反省して来なさい!」

ぶべらぼえぇぇぇぇぇぇっっっっ!!

フィーア 「流石です、お姉さま!」

美姫 「まあね〜。それじゃあ、あいつが帰ってくるまで、のんびりとお茶でもしてましょうか」

フィーア 「はーい」

美姫 「そんな訳で、今週はここまでよ」

フィーア 「それじゃあ…」

美姫&フィーア 「また来週〜」


11月24日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより寒さにも負けず、風邪にも負けずに送信中!>



うーん、最近身体がだるい。

美姫 「って、のっけから不健康な話ね」

うーん、やる気が消えるぅぅぅ。

美姫 「それはいつもの事よね」

ひ、酷い!

美姫 「はいはい。さて、今日も素敵なゲストが」

フィーア 「という訳で、お邪魔しまーす」

邪魔するんやったら帰ってや〜。

フィーア 「ひどいっ!」

美姫 「フィーアになんて事を言うのよ、このお馬鹿!」

ぶべらっ!
う、うぅぅ、ギャグなのに……。

美姫 「いらっしゃい、フィーア」

フィーア 「はーい。最近、ちょっと退屈してたんですよ」

そういえば、アハトさんは大丈夫なのか。

フィーア 「うーん、もうすぐ退院すると思うけど…」

いや、いきなり驚きに事実だな。
えっと、お大事にと伝えておいてくれ。

フィーア 「OK〜」

美姫 「でも、それで暇を持て余していたのね」

フィーア 「そうなんですよ、お姉さま」

美姫 「よしよし」

フィーア 「あ、それでこれがいつものお土産になります」

美姫 「ありがとうね〜」

って、ちょっと待て! 今までの会話の流れから、それはおかしいだろう!

美姫&フィーア 「どこが?」

いや、だってそのお土産ってアハトさんが。

フィーア 「書かせました♪」

いや、笑顔でさらりと怖いことを。

フィーア 「寝ているだけですから」

美姫 「えらい!」

…………う、うぅぅぅ。アハトさん、俺たちの扱いって本気で酷いですよ(大涙)

美姫 「今更ね」

う、うぅぅ。アハトさん、本当に早く元気になってください(しみじみ)

美姫 「さーて、それじゃあ元気にいってみようかしら」

フィーア 「はい!」

こ、こいつら、鬼だ……。

美姫&フィーア 「それじゃあ、CMで〜〜す♪」







神殺し…それは、禁忌。
禁忌を犯したものは、その世界に存在できない。
例え、それが全ての生ける者達の為だとしても……


「俺は、この世界に存在できない……ならば」
異世界に、己が存在を移していくのみ。




第一世界 瑞穂坂の出会い

「まさか、魔法が存在する世界に来るとはな……」
男は苦笑しながら、目の前の尊大な少女を見る。
「貴様、何者だ?」
その少女は、キッと男を睨みつけながら尋ねる。
「ただの男だ…と言っても、納得しないか」
「当たり前だ!! 私を馬鹿にしているのかっ!!?」
男の答えに、少女怒りをあらわにして叫ぶ。
その手には、傘のようなものが握られている。
「我が名は恭也、根幹の世界アヴァターにて神殺しの業を背負った、堕ち鴉」
そんな少女に、男……恭也は厳粛に答えた。
それは、神に反逆を抱いた男の名前だった……





第二世界 終焉の番人、刻の守護者

「この身は、やはり平穏とは程遠いか」
「そうね、神殺しの業を背負った者に、平穏なんてありはしないわ」
男の言葉に、女は無機質な声で答える。
「それは、お前もだろう? 神殺しと親殺しを一度に犯そうなどと考えているのだからな」
笑いながら言う男に、女はそうねと小さく笑った。
「貴方も、手を貸してくれるのかしら?」
女の言葉の後、女の後ろに顔を仮面で隠した青髪の少女が現れる。
「……嗚呼」
「それじゃぁ、終焉の刻に、再び会いましょう……」
男の言葉を聞いて、女と少女は闇へと消えていった。
それは、神殺しの盟約……神への反逆者達。





第三世界 魔火螺

「今度は吸血鬼か…世界も、飽きんものだ」
男は小さくため息をついて、呟いた。
「貴様、私が恐ろしくはないのか?」
対する吸血鬼の少女は、不愉快気に尋ねる。
「あぁ、これでも吸血鬼は見慣れているし、何より吸血鬼程度なら恐れる事もない」
そんな少女に、男は事も無げに言い放った。
「ほぅ…貴様、死ぬ覚悟は出来ているのだろうな?」
少女の癇に障ったのか、魔力を体中から放出しながら少女は怒りを露にする。
「殺せるものならな……この神殺しの鴉…そう易々とは殺せんぞ?」
手にした小太刀の切っ先を少女に向け、男は言った。
一時の戯れ……神殺しの罪を、忘れる円舞曲。





閑話休題 集う女達

「ふむ、恭也を追って来ては見たが……ここはどこだ?」
銀色の髪をたなびかせた少女、式守 伊吹は辺りを見回しながら言う。
「伊吹様、ここは麻帆良学園と言う場所かと」
そんな伊吹に、伊吹の背中に背負われている傘が話しかける。
この傘は伊吹のマジックワンド、ビサイムである。
「そうか、ここに恭也はいるのだな」
「恭也様の魔力を辿ってきていますので、その可能性は高いかと」
ビサイムがそう答えると同時に、辺りの空気が一瞬重くなる。
「何者だ?」
そんな中、伊吹はビサイムを構えながら言う。
「貴様こそ、この学園に不法侵入とはやってくれるな」
伊吹の目の前に現れたのは、金の髪の少女。
吸血鬼、エヴァンジェリン・A・K・マクドゥエルである。
「こちらは今非常に機嫌が悪いんだ……怨むなら自分の不幸を怨めよ」
そう言って、エヴァは手に魔力を集めだす。
「ふん、そちらこそ後悔させてやるぞ、行くぞ、ビサイム!!」
「御意」
女の戦いが始まる、鴉の知らぬ所で……





第四世界 うたわれるからす

「俺が会って来た神とは、随分とイメージが違うな」
苦笑しながら、男は目の前の男に言う。
「お前が会って来た神がどういうものかは知らんが、私は至って普通のつもりだ」
そんな男に、言われた男も笑いながら言う。
「二回、俺は神殺しをしている……まぁ、二人とも気にいらん神だったな」
「ならば、私はお前から見てどうだ?」
男に言われ、男は考える。
「お前は、いい皇だ……人の傷みの判る、な」
苦笑しながら答える男に、男も小さく笑った。
のどかな、男二人の雑談。
神殺しの鴉に訪れた、わずかな平穏。





第五世界 吸血鬼達の宴

「壮絶な姉妹喧嘩だな……いくら付き合うとはいえ、ここまでとはな」
小さくため息をついて、男は言った。
「あら、貴方は私が守るわよ?」
そんな男に、黒いドレスに身を包んだ少女は言う。
「ふっ、そうもいかんだろう」
苦笑しながら言って、男は少女の頭を撫でる。
「護るのは俺の分野だ…例え相手が誰であれ」
小太刀を握り締め、男は目の前の白いドレスを着た女を見る。
「護り抜いてみせる」
厳粛に、そう宣言した。
再び、護るために剣を振るうと誓った、堕ち鴉。





終幕之世界 赦罪の堕ち鴉

「まさか、ここに帰ってこれるとはな……」
男は、目の前に広がる景色にそう呟く。
自分が生まれた街、自分の生きていた街。
ここで、これからどう生きていくのか……
「辛気臭い顔をするな」
そんな男の後ろから、男に声がかけえられる。
そこには……






様々な世界へと、堕ち鴉は行く。
神殺しの業を背負いて、それでもなお……護る為に。


堕ち鴉と異世界放浪譚




「今度は、お前を幸せにしたいんだ」








2007年 反響があれば、書くかも。







うわぁぁ、とても面白そう。しかも、実際にやるとなるとかなりの長編になる予感。

美姫 「本当よね」

フィーア 「うーん、私もビシバシとやれそうね」

……(ガクガク)

美姫 「そして、今回はちょっと変わったパターン」

フィーア 「いきなりだけど…」

美姫 「多分、初となる試み。連続CM」

フィーア 「という訳で…」

美姫&フィーア 「続けてCMよ〜」

って、ちょっと待て! じゅ、準備がぁぁ!!







第六世界 二人の神殺し

「神殺し、か」

自嘲めいた笑みを貼り付ける赤髪の男。
それに対し、黒髪の男――恭也は同じく自嘲めいた笑みを見せる。

「似たような業を背負う者と出会えるとはな。
 本当に世界というのは面白い」

「ふっ、その世界を創造した神を殺した者が口にするには、いささか皮肉めいた言葉だな」

「かもな」

共に通じる部分があったのか、打ち解ける二人の神殺しセリカと恭也。
ここで恭也は暫しの平穏を手にする。





第七世界 神殺しのラプソディー

「天使…か。本来の意味で言うのならば、神に仕えるものだったな。
 神を殺したんだ。今更天使殺しが加わった所で、どうという事もないだろう」

天使のフォルムと似ているが故に天使と呼ばれる生体兵器。
それを前に、恭也は不敵な笑いを浮かべて静かに己が愛剣、相棒を取り出す。

「神を殺した鴉の刃、その身で受けてみろ!」

助けられた少年は、恭也に剣の鍛錬をつけて欲しいと頼み込む。

「ハヤウェイと言ったか。俺の剣は人に教えるようなものじゃない。
 まして、騎士を目指す君には合わないだろう。
 だから、戦いにおける心構えや生き残るための術で良ければ、稽古してやる。
 場所はここ、時間は夜にだ。今日はもう遅いから、明日にまた来い」

騎士を目指す少年の瞳に何を見たのか、恭也は久方ぶりに人へとものを教える事にした。
暫しの間、師匠の真似事へと没頭する恭也。





第八世界 無限の修羅道

「ここは…」

「ここは文字通り地獄さ、若いの」

「お前は…?」

「俺? 俺か? 俺はここから先に広がる地獄の案内人って所だ。
 ここから先はただ殺戮のみの世界。朝も昼も夜も関係ねぇ。
 あるのは、殺る(やる)か、殺られる(やられる)かだ。まさに、修羅の世界よ」

「地獄、か。まさにこの身には相応しいかもな」

男の横をすり抜け、地獄と呼ばれる世界へと足を踏み入れる恭也。
その背中へと男が最後の言葉を投げかける。

「最後に一つだけ忠告だ。これは他の奴らにもしている事だが、ここでは言葉などまさに無用、無駄。
 ただ力が暴力が全てを支配する。ほんの一時の油断も命取りだ」

言って恭也の背中へと斬り掛かる男の刃はしかし、何もない空間を斬り裂く。

「それこそ今更だ。このような状況は、今まで嫌というほど知っている。
 そして、血の匂いもな。騙すのなら、もっと血の匂いを隠すんだったな」

既に首が身体から離れて倒れ伏す死体へと恭也はただ静かに淡々と語ると、
いつの間にか手にしていた愛刀を再びしまい込み、地獄と呼ばれる世界へと今度こそ本当に踏み込む。
堕ちた鴉は更なる修羅の道へと突き進む。



調子に乗って、またまた便乗CM。
まさに神(作者)をも恐れる行為!(って、ごめんなさい! ごめんなさい!)
必死に謝りつつ、気が向いたらアハトさんが書いてくれるだろうな〜と他人事!
果たして、どうなる?







はぁー、はぁー。
い、いきなりCMをふるなよ〜。

美姫 「言いながら、ちゃっかり人様のネタを」

新鮮なうちにね♪

フィーア 「って、威張れる内容じゃないし」

美姫 「しかも、全然可愛くないのよ!」

ぶべっ、ぴょぉぉみょん!

フィーア 「お姉さま、そんなのは放っておいて、さっさとお茶にしましょうよ」

美姫 「それもそうね。どうせ、SSも進んでないんだろうし」

ピクピク……。

美姫 「良いわ。今日はここまでにしましょう」

フィーア 「やった〜」

って、お前の都合で終わるのかよっ!

フィーア 「むっ、お姉さまのする事に文句があるの?」

いや、えっと、って、あるわ!

美姫 「却下」

うっ! それじゃあ仕方ないか。

フィーア 「はやっ! よわっ! って言うか、本当に文句言うだけ!?」

美姫 「これも調教……もとい、愛の成果ね」

フィーア 「流石です」

う、うぅぅぅ。なんでだろう。目から大粒の汗が出て止まらないよう。

美姫 「冗談はさておき、本当にそろそろ時間だから」

フィーア 「今週はここまでですね」

だったら、初めからそう言ってくれ。

美姫 「いや、あの方が面白いじゃない」

俺は面白くなかった。

美姫 「贅沢ね」

いや、そんな問題じゃないと思うんだが。

フィーア 「えーい、いつまでも煩いですよ! って言うか、浩さんばっかりお姉さまと話し過ぎ!」

ぶべらっ! って、それって単に八つ当たり……。

美姫 「よしよし、フィーア」

フィーア 「えへ〜」

う、うぅぅ。今週の俺の扱いって、いつにも増して酷くないか?

美姫 「そう? いつも通りでしょう」

いつもって……。それはそれで嫌だが。
まあ、いつも通りなら良いか〜。

フィーア 「って、良いんだ」

美姫 「ふっ、これも偏に私の教育の賜物ね」

フィーア 「さすがです!」

ほら、時間、時間。

フィーア 「あ、そうでした」

それじゃあ、今週はこの辺で。

美姫&フィーア 「また来週ね〜」


11月17日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより今年も後何日と数えつつ送信中!>



も〜い〜くつ寝ると〜。

美姫 「SSできる〜」

……ったく、美姫の所為で正月気分が吹き飛んだよ!

美姫 「って、まだ早すぎるって」

じゃあ、年末気分。

美姫 「変わらないわよ。そもそも、私の所為じゃなくて、アンタの所為でしょうが!
    アンタがちゃんと書いていれば、全然問題ないんだからね」

それを言われると、アイタタタッ。

美姫 「で、どうなのよ」

えっと、今年中には何とかDUELが完結できるかな〜。

美姫 「他の長編は」

えっと、えっと、頑張ります。

美姫 「そればっかりね」

う、うぅぅ。

美姫 「はぁー、やらないよりは良いけどさ」

だろだろ。

美姫 「少しは反省しなさい!」

ぶべらっ!

美姫 「それじゃあ、とりあえずCMで〜す」







秋も深まりつつある11月のとある休日。
恭也の姿は電車で数駅行った先にある街にあった。
どこか疲れたような表情を見せて、呆れたように元気な友人の一人を見遣る。
同じく、恭也のようにやや疲れた顔を見せるもう一人の友人も、その友人を見遣り、二人は揃って溜め息を吐く。

「要平、俺はいい加減に帰りたい気分だぞ」

「奇遇だね。僕も全く同じ気持ちだよ」

二人は共に同じ気持ちを抱きつつ、改めて残る一人、柳篤史へと視線を飛ばす。
疲れた顔を見せる二人とは別に、篤史は一人元気に二人から離れた場所で誰かに話し掛けていた。
それをぼんやりと眺めていると、やがて柳はその女性に手を振ってこちらへと戻ってくる。
が、その顔は落胆の色が濃く、やって来た篤史へと静上要平は遠慮の欠片もなく断言する。

「断られたんだな」

「うぅ、うるさい! そもそも、お前たち二人が傍に居ればナンパの成功率ももっと上がるというのに」

憤慨する篤史の言葉はいい加減聞きなれたもので、恭也たちはさらりと聞き流すと、帰るように促す。
しかし、篤史は素直に応じず、寧ろナンパをしなかった二人へと文句を並べ出す。
すったもんだの挙句、要平が声を掛けるという事で何とか落ち着かせた二人だったが、
篤史に見えない所で申し合わせたように、再び溜め息を吐くのだった。
この時、この後に起こる事を知っていたのなら、恭也は必死になって要平を止めたであろう。
だが、後悔とは得てして後でするものなのである。
この時の恭也が、早く帰りたいために要平にさっさと声を掛けて断られるように促したとして、
誰が彼を責められるだろうか。
結論から言えば、要平が声を掛けた人物が悪く、三人の良く知る、それでいて最悪な相手であった。

「ふふふ、三人揃って中々楽しい事をしてるわね」

「先輩……」

げっという顔を咄嗟に隠し、要平は半笑いでそう口にする。
今、三人の目の前に立つ長く綺麗な髪を背中に流し、堂々と立っている女性は、
恭也たち三人のクラスメイトにして、病気による留年で先輩でもある人物、稲山優奈その人であった。

「んふふふふ〜」

優奈は本当に楽しそうに三人をじっくりと見ると、これまた楽しそうに口を開く。

「さ〜〜って、この事を白バラ会に報告したら、どうなるかしらね〜」

優奈の言葉に要平たちは顔を顰め、言葉を無くす。
白バラ会、それは三人が通う学院の生徒会の別名であった。
その権力は強力で、教職員でさえもおいそれと口出しは出来ない。
厳しい院則の取り締まりも白バラ会の仕事の一つで、三人は、主に篤史の所為ではあるのだが、
何かと騒動を起こしては目を付けられているのであった。
因みに、この白バラ会は会長を支える二人の者と合わせて計三名おり、
白バラ三聖女として学院の男女を問わずに慕われている。
ともあれ、恭也たちとすれば、この様な自体が白バラ会の耳に入り、
説教をもらう事になるのは何としても避けたい事態であった。
必死に優奈にこの件を黙っていて貰えるようにと、口止めを頼む三人の姿がそこにはあった。



あの休日から数日後の休み時間の時、いつにも増して騒がしい雰囲気に恭也は首を傾げる。

「要平、何か騒々しくないか」

「まあね。ほら、今日は白バラの騎士の候補者が発表されるだろう。
 それの張り出しを皆、見に行ってるからじゃないかな」

「そう言えば、そうだったな。今年は立候補者もなく、確か生徒会長の嘉手納さんの推薦だったか」

「そういう事。何せ、全校の憧れとも言える嘉手納お嬢様が推薦するぐらいの人だ。
 一体、どんな人物なのかと、皆、興味津々ってわけ」

二人の会話に篤史も加わり、いつものように三人での会話が始まる。

「まあ、白バラの騎士というのは、この学院で唯一、生徒会長と同じ権限を持ち、会長に意見できる立場だからな。
 いやが上にも注目されるわけだな。で、二人はもう見に行ったのか」

「まだだよ。今は混雑してるだろうし、後でゆっくりと見に行こうと思ってる」

「まあ、そういう事だ。その後、その候補者の顔でもちょっと覗きに行こうぜ」

「まあ、それはどっちでも良いけどな」

篤史の言葉にそう返すと、今度は要平が話を振る。

「正式に白バラの騎士になるのは、確か文化祭の12月24日だったっけ?」

「確かそうだったと思うぞ。まあ、嘉手納さんが推薦したというのなら、ほぼ決まりじゃないのか」

恭也の言葉に二人とも頷き、この話はここでお終いとなった時、三人の元へ優奈がやって来る。

「あれ? 思ったよりも普通ね」

「先輩、何を言っているんですか。と言うか、その視線は恭也に行っているみたいだけど」

「うん? 俺に言ったのか。一体、何の話だ」

いまいち意思の伝達が上手く出来ていないなと優奈は眉を顰めるが、すぐにその理由に思い当たる。

「ああー。もしかしなくても、まだ白バラの騎士候補の張り出しを見てないんだ」

怪しげな笑みを浮かべる優奈に、三人は嫌な予感をひしひしと感じ、
その視線を、笑みを最も浴びている恭也が口を開く。

「あー、優奈先輩、もしかして…」

「んふふふ〜。秘密♪ その方が楽しいじゃない」

「楽しいのは優奈先輩が、でしょう」

恭也が疲れたような声を出した瞬間、校内放送を知らせる合図が鳴り響く。

「あ、もしかして氷澄かも」

「嘉手納さんが?」

「うん。白バラの騎士の発表でもするんじゃない」

優奈の言葉に、要平がそれはないだろうと口を挟む。

「今まで、白バラの騎士の発表は掲示板に張り出しだったじゃないですか」

「うーん、でもあの子、今までにない事を目指しているじゃない。
 それに、自分が推薦したんだから、自分の口でとか考えそうじゃない」

優奈の言葉に恭也たちは反論する言葉を持たなかった。
嘉手納氷澄に関しては、そんなに深い関わりがある訳ではないのだ。
文武両道にして、多くの者たちから慕われる人物。
その程度しか知らない。それに対し、優奈は昨年の白バラの騎士として、
今年で二期連続の生徒会長となる氷澄の傍に、昨年一年は居たのだから。
だから、優奈がそう言うのなら、そうなのかもしれないと三人は放送の内容へと耳を傾ける。

「白バラ会からのお知らせです。
 来る文化祭に向けて、白バラの騎士候補の発表をします。
 2−D、高町恭也くん。白バラ会会長、嘉手納氷澄は君を推薦します。
 つきましては、詳しい説明を放課後に行いたいので、生徒会室まで来てください。以上」

放送が終わっても数秒、恭也は教室内のスピーカーをじっと見詰め動けないでいた。
可笑しそうに笑いを堪える優奈を見て、次いで要平、篤史と視線を移すと、ようやくゆっくりと口を開く。

「聞き間違いか」

どうやら、自分の中でそう結論が出たらしく、
恭也は何事もなかったかのように机に突っ伏して居眠りとしゃれ込もうとして、

「いや、そんな訳ないよ。だって、僕もはっきり恭也の名前が聞こえたから」

「ああ、間違いなく高町恭也って言ってたね。しかも、ご丁寧にこのクラスまで指定して」

二人の友の言葉に眠るのを止め、暫し考えた後、恭也はようやく小さく頷く。

「同性同名か。まあ、そんなに珍しい名前でもないしな」

そう呟くと、再び眠る態勢を取ろうとして、今度は篤史に止められる。

「まあ、落ち着けって恭也。同姓同名かは置いておいて、放課後に来いって言ってるんだ。
 そこで断れば良いんじゃないか」

「それもそうだな。まあ、多分同姓同名の人違いだろうが、行って断るぐらいなら大して手間でもないしな。
 ふぅ、これで一安心だな」

本当に安堵したかのように一息吐くと、今度こそと眠ろうとするが、その襟首を優奈に掴まれる。

「……優奈先輩、離してもらえませんか」

「ええ、良いわよ。でも、私の話を聞き終えてからね」

笑顔でそう恭也へと告げた優奈は、恭也の返事を待たずに話し始める。

「このクラスに高町恭也は一人しかいないからね。勿論、今私の目の前に居る人物のことよ。
 で、氷澄の叔父さんがこの学院の理事長だって知ってる?
 更に、その理事長は氷澄には特に甘くて、大抵の事なら聞くし、
 もし氷澄に恥の一つでもかかせるような輩が居たら…。ねぇ」

「つまり、これだけ大々的に会長自らが恭也を推薦したと全校生、
 いや、今この学院に居る生徒や先生に知れ渡った今、それを断ると…」

「そう。氷澄の推薦を蹴って、氷澄を辱しめたと取られかねないわよ。
 さっきも言ったけれど、かなり馬鹿可愛がりしてるから」

「……よくて停学、悪くすれば退学もあるってか?」

要平の言葉を補足するように説明する優奈に、篤史がはっきりとした事を口にする。
それに優奈は曖昧な笑みを見せるも否定はせず、三人は揃って恭也を見詰める。

「…………俺に退路はないじゃないか」

憮然と呟く恭也へ、要平と篤史は同情的な目を向けるのだった。



放課後、生徒会室へとやって来た恭也は、そこで白バラ三聖女と対面を果たす。
断れないものと悩む恭也に対し、意外なところから助けの声が上がる。
それは他でもない、会長の嘉手納氷澄以外の二名、天野瀬華音と御堂橋純の白バラ三聖女の二人からだった。
声に出して二人を応援する訳にはいかず、心の内で二人の言葉を応援する恭也だったが、

「その事は既に話し合っただろう。私が決めた事だ
 それに、既に発表をしたんだ」

そう断言し、二人の意見を取り合わなかった。
恭也も口添えして、考えを改めるように進言するが、それに対して背後より新たな声が掛かる。

「残念だけれど、私も恭也を推薦したのよ。だから、票の上では2対2の同票ってわけ」

そう言って入って来たのは、要平と篤史の二人を従えた優奈であった。
確かに、まだ白バラの騎士の交代は行われておらず、優奈は生徒会へと関われる立場である。

「……という事は、初めから優奈先輩の企みなんじゃ」

疑わしそうに見詰める恭也に、優奈はそれはないとはっきりと否定する。

「そんな個人的な趣味で、こんな大事な事は流石に決めれないわよ」

「それもそうですね。ところで、どうして要平たちが」

「彼らは、私が連れてきてもらえるように頼んだんです。
 日曜日の件でね」

何処からか情報が漏れたらしく、その件での説教で呼ばれた二人は後に回し、
先に恭也の件からと、氷澄が口を開く。

「しかし、私も反対者が居る状況で無理に自分の意見だけを通そうとは思っていない。
 そこで、高町くんには試験期間として、来週から暫くの間、生徒会の仕事を手伝ってもらいたいんだ」

氷澄が言うには、二人の反対もあり強引に決定せずに、この試験の間に恭也の人となり、
そして、仕事ぶりを評価して改めて決めるとの事であった。
どちらにせよ、断れば停学や退学かと思っている恭也に否定する事も出来ず、
こうして恭也は来週から生徒会の手伝いをする事になるのだった。

「まあ、言うなら白バラの騎士候補の候補って所ね。
 しっかり頑張りなさい、恭也」

「頑張れば、白バラの騎士になってしまうではないか」

誰にも聞かれないように洩らす恭也であった。



「氷澄お姉さまに馴れ馴れしくするなっ!」

純の放った正拳突きを恭也は左腕で受け止める。
受け止めるも、その一撃の重さに思わず眉間に皺を寄せる。

(これはなかなか。重さはまだ及ばないが、早さに鋭さだけなら巻島館長に匹敵するんじゃないのか)

自分よりも年下の少女を見下ろし、恭也はその将来性に思わず口元を綻ばせる。
しかし、自分の正拳突きを受け止められて純にしてみれば、それは自分の未熟さを笑われたと取っても仕方なかった。
実家の空手道場では、警察の段持ちに稽古を付ける事もある自分の拳を止められたのだから。

「くっ! このぉぉっ!」

拳を納め、半歩下がってから上段蹴りを繰り出すも、これも簡単に止められてしまう。

「うぅぅ。高町のばか!」

とうとう、捨て台詞だけを残して純は走り去ってしまう。
その背中を見詰めながら、恭也は悪い事をしたと少しだけ反省するのだった。



「全国模試を受けたんですか、天野瀬さん」

「ええ。高町くんは受けなかったようね」

「ええ。えっと、結果とかを聞いても?」

「別に良いわよ。はい、これ」

言って華音は模試の結果が書かれた紙を無造作に恭也へと渡す。
それに興味を持ったのか、要平と篤史も近づき、恭也の後ろからそれを覗き込み、

「……全国1位」

「しかも、八教科の合計が800点って」

「それって、全教科満点って事かよ」

驚く三人の様子など気にも留めず、華音は黙々と書類の整理をするのだった。



「それにしても、恭也くんも大変な事になったね」

「まあな。僕は殆ど人事だけど」

「でも、少しはお手伝いするんでしょう、ようくん」

「うん。手伝いが必要な時はね」

「えへ〜、恭也くんには悪いけれど、ようくんが選ばれなくて良かったよ。
 選ばれていたら、帰るのが遅くなって一緒に帰れなくなるもんね」

言いながらみそ汁を啜る幼馴染の小夜子の言葉に、要平は全くだと相槌を打つ。
夕食の席にて、ここ静上家でいつものように夕食を作りに来た小夜子と楽しげに話をする要平。
そんな二人を、憮然とした表情で見遣りながら、恭也は食卓の上で醤油を探す。

「優奈先輩、醤油を取ってください」

「はいはーい。先に使わせてね」

「どうぞ」

「あ、恭也。使い終わったら俺にも貸してくれ」

目の前で醤油が回されていくのを見ながら、要平は小さく溜め息を吐く。

「いや、もう慣れたから良いんだけどね。どうして、先輩たちが家にいて普通にご飯を食べているんですか」

「いつものことじゃない」

「そうですけど、今日はまた急じゃないですか。小夜子だって準備に困るだろうし」

「大丈夫だよ、ようくん。買い物する前に連絡は貰ってたから」

「そういう事よ、要平。そこんところはぬかりなしよ」

そう言って笑う優奈に、何を言っても無駄だと要平もご飯をかき込む。
実際、偶にではあるがこうして要平の家で一緒に夕食というのは珍しくはないのである。
ただ、今回は急すぎると思った要平だったが、どうやら小夜子は先に連絡を受けていたらしい。
となれば、自分もこれ以上言う事はないと口を噤むのだった。

「で、どう、恭也? そっちは慣れた?」

「どうでしょうかね。まだ分かりませんよ」

「それもそっか。まあ、貴方は貴方らしくしてれば良いと思うわよ」

「はぁ。まあ、精々頑張る事にしますよ。
 俺を会長の嘉手納さんに推薦してくれた誰かさんの期待を裏切らない程度にはね」

そう皮肉る恭也だったが、当然如く、優奈はそれを涼しげに聞き流すのだった。



これは、本人は至って平凡だと信じ込んで学院生活を送っていた高町恭也が、
突然、波乱万丈な日常を過ごす事になる物語である。

CooL Heart!! プロローグ 「白バラの騎士候補の候補」 近日……







日に日に、お前の突っ込みが強くなる気が。

美姫 「アンタが弱くなってるだけじゃない?」

そ、そうなのか?

美姫 「さあ? まあ、アンタも日に日に頑丈になってるし、丁度良いんじゃない」

そっか? って、ちょっと待て!
その言い方だと、やっぱりお前の突っ込みが強くなってるって事じゃ。

美姫 「気にしちゃ駄目よ♪」

いや、思いっきりするから!
自分の身が掛かってるんだし!

美姫 「ほら、昔から言うじゃない。お前の命は私のもの。私の命は私のものって」

言わぇ! 更に言うと、元の言葉よりもたち悪いわっ!

美姫 「もう、そんな怒るなんて……うるる、酷い」

ぐっ。って、そうそうそんな手に騙されるか。

美姫 「ひ、酷い。騙すだなんて。バカバカ、浩の馬鹿〜」

イテテ。わ、悪かったから、泣き止めって…。

美姫 「バカバカ、ボケ、ナス、はナスに失礼ね。この人でなし。化け物。生ゴミ!」

テテテテテテッ! まじで痛いですよ!
って、何気に暴言!?
って、やめ、やめ……。ちょ、それ、掌じゃなくて、グー!?
それはグーじゃな、やめ、ちょっ…。

美姫 「バカバカ。バカばっか。じゃなくて、バカ以下のバカ」

……い、意味わからん。

美姫 「くっ、まだ意識があるなんて。こうなったら…」

って、しまった! つい、突っ込んじまったぁ!
って、ちょ、待て! おま、それ、剣。って、拳は兎も角、それはちょ、やめ……。
い、いや、いやいやいや、ぎゃぁぁぁ!!

美姫 「バカバカバカバカーー!!」

ブベラボシーーン!!

美姫 「……シクシク。皆〜、浩が苛めるぅぅぅ」

…………そ、そこだけは、全力で否定、さ、させていただ…………く。

美姫 「シクシク。うぅぅ。……ツンツン」

…………。

美姫 「はぁ〜、また本番中に寝て。何を考えてるのかしら」

…………。

美姫 「仕方ないわね。って、丁度時間なんだ。それじゃあ、また来週ね〜」


11月10日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーよりしみじみと時の流れの速さを感じつつお届け中!>



という訳で…。

美姫 「いや、どういう訳よ」

うわぁ〜い、いきなり腰を折りますか、あーた。

美姫 「ちなみに、話の腰を折られるのと、本当に腰を折られるのだったらどっちが良い?」

前者をいたく、痛切にお願いいたす所存なりにけり、けらけりけるけろよ、よよよよよ。

美姫 「いや、意味分からないから」

そこを何とか。

美姫 「いや、何とかって言われてもね」

まあ、冗談はさておき。

美姫 「やっぱり冗談だったのね。酷いわ。弄ぶだけ、弄んで」

騙される方が悪いのさ。

美姫 「こうなったら、あなたを殺して私はせせら笑ってやる!」

いや、そこは後を追うだろ、普通。

美姫 「普通を求めてどうするのよ」

いや、そうはっきりと断言するのもどうよ。

フィーア 「あー、何か前にも似たような感じだった記憶が…」

と、本当に冗談はこれぐらいにして。

美姫 「今回も何とフィーアちゃんの登場〜」

二週連続のゲスト参加〜。

フィーア 「勿論、お土産も二週連続持参です♪」

美姫 「偉いわ、よくやったわ」

フィーア 「えへへ、お姉さまに褒められちゃった♪」

…………ぐぅぅ。アハトさん、貴方の身に起きたであろう事を考えると……くぅぅっ。
暴力に屈する僕を許して(涙)

フィーア 「それじゃあ、お姉さま、早速ですけれど、これをどうぞどうぞ」

美姫 「ありがたく頂くわ。それじゃあ…」

いきなりだが、まあ定番の流れだな。

美姫&フィーア 「CMで〜〜す」







「はぁ、なんでまたこんなことになってるんだ……?」

晴天を仰ぎ、恭也……否、不破 美影は盛大にため息をついた。
無事幻想卿から帰ってきた美影に、さらなる試練(桃子さんのお遊び)が待っていた……!!
さらに、美影が幻想卿にいっている間に魔法が普及し、開門と言う世界的レベルの現象が起きていた。
神族、魔族の出現に、美影は半分現実逃避をしていた。
そして、今回の美影の目的は……




「なぜ、嫁探しなんだ……」




家長である桃子の絶対的発言によって再び全国の学校を巡る事になった美影。
だけど、今回はちゃんと共学、男もいる!
しかし、美影の受けた命は、自分の嫁を探すことだった……
今は女なのにそんな事をするのか、と言う美影の意見はサクッと無視して。
再び、物語が幕を開ける……






第一幕
桃子の言葉を頭の片隅に無理やり追いやって、美影は最初の学校……【瑞穂坂学園】へと編入する。
そこで美影は、幼い頃父つながりで知り合った式守家の次期当主である式守 伊吹と再会する。
そして、美影は【式守の秘宝】を巡る争いにいやがおうにも巻き込まれていく。
そんな中、美影は嫁を見つけられるのか……美影に襲い掛かる、渡良瀬 準の魔の手!!



第二幕
瑞穂坂学園で美影はその魅力を無自覚に遺憾なく発揮した後……【白皇学院】へ。
またもや美影は、父のつながりで知り合っていた三千院家の娘、ナギに出会う。
そしてさらに、嘗て仕事を共にした綾崎 ハヤテとも再会を果たす。
奇人変人、さらにはメカに喋る虎、何でもありの学院生活で、美影は目的を果たせるのか!



第三幕
よくよく父つながりの知人と顔をあわせると思っていた美影が次に向かったのは……【私立竜鳴館】
しかし、ここでも美影は父つながりの知人、鉄 乙女と再会する。
成り行き、と言うか生徒会長のエリカの提案で美影は生徒会に入ることに。
姫の魔の手、乙女の制裁を切り抜け、美影は無事でいられるのか!



第四幕
もはやこれは父の怨念か何かに縛られた旅か、と思いつつある美影が向かったのは……【私立バーベナ学園】
美影が父の怨念を感じ取ったのは、ここバーベナでも父つながりの知人である、神王と魔王の娘達と再会する。
嘗て士郎と共に神界、魔界を旅した事のある過去を思い出させられた美影は、
ここでも無自覚に女の子達を魅了していく。
男も一緒に魅了して凄惨な事になっていく中で、美影はどうなるのか!?



第五幕
危うく男の餌食になりかけた美影が次に向かった先は……【立橋院高校】へ。
持前(?)の強運を発揮し、美影はつつがない学校生活を送ろうとしていた。
だが、またしても父つながりの知人如月 香澄と再会する。
義理と人情、さらにはくじびきを中心として、ここでも美影は嫁探し。




全国津々浦々。
美影は東奔西走し嫁探し。
美影の意思などかなり無視されて、事態は大きく、ややこしい方向へと進んでいく。
そして、美影、ではなく恭也を好きな女性陣も黙ってはいない。
あの手この手で美影を追いかけていく。
そんな中、美影は誰を選ぶのか……







嫁を探して三千里




2007年、浩さんと共に執筆スタート!!



だったら、いいかなぁ……







うわぁぁ、面白そうな上に、かなりの長編を予感させるな〜。
さすがアハトさんだ。

美姫 「現実逃避している所悪いんだけど、ちゃんと最後の文見た?」

フィーア 「お姉さま、見たからこうなったんではないんですか」

美姫 「ええ、きっとそうね。でもね、フィーア。
    私は現実逃避したバカを現実に戻すのも使命の一つなのよ」

フィーア 「さすがです、お姉さま。
      こんなバ…もとい、浩さんなんて放っておけば、生ゴミの日にでも回収されるだろうに」

おいおい。さりげに酷くないか、お前。

フィーア 「やだな〜、冗談ですよ」

うぅぅ、真顔で言ってたような。

美姫 「それにしても、早くも来年の予定が埋まりまくりね」

あ、あはははは。って、これは幾らなんでも酷いよ…。

フィーア 「頑張って書いてね」

まあ、どこまでが本気かは置いておくとして、二章、三章辺りは面白いかもな。
むむむ。

フィーア 「あ、また何か悪巧みしてる」

美姫 「うーん、ちょっと違うわね。これは…。
    アンタ、まさか、この後…」

ふっ、さすが美姫。
本来、今週に書こうと思っていたCMSSは来週にして。

美姫 「また人様のお話を利用する気ね」

あははは、アハトさん、ちょっと借ります!

フィーア 「お姉さま、よく分かりましたね」

美姫 「まあね。…って、事後承諾! これを見て駄目だった場合、既に時遅しじゃないの!」

あ、あはははは。

フィーア 「えっと、とりあえず殴って気絶させます」

美姫 「それをするのは簡単だけど、そうすると今週のCMSSがね〜」

フィーア 「まったく厄介な存在ですね。居れば居たで邪魔だし、居なくても迷惑を掛ける」

いや、こら待て。何だその自分本位な…。

美姫 「とりあえず、やっちゃえ」

フィーア 「いけいけ〜」

あ、こら、ちょっ、少しは俺の話もきい…。

美姫&フィーア 「CMよ〜」







「ナギじゃないか。久しぶりだな」

「?? 誰だ、お前。馴れ馴れしいぞ」

「お嬢様、幾ら何でもその言い方は…」

白皇学院の中庭で、中学生らしき女生徒に声を掛けた美影だったが、
知り合いに対するような言葉に、しかし帰ってきたのは冷たい声だった。
やはり、昔のことだったから覚えていないのかもしれないなと苦笑を見せる美影だったが、
自分がナギと呼んだ少女をお嬢様と呼んだ少年にも何処か見覚えがあった。

「もしかしなくても、ハヤテじゃないか」

「えっと、どこかでお会いしました……ぐぇ。
 お、お嬢様、離してください」

頭を掻きながら尋ねるハヤテのネクタイを力任せに引っ張ると、ナギはぐっと顔を近づける。
本来なら、身長差もあってここまで近くはならないのだが、ハヤテは今ネクタイを引っ張られ、
身を屈める形となっているため、ナギの顔がすぐ近くにある。
ナギは一瞬だけ照れるも、すぐに目を吊り上げる。

「貴様、どこで誑かしたんだ!」

「ちょっ、お嬢様、どこでそんな言葉を」

「ええい、うるさい。さっさと答えろ」

「誑かすも何も、初対面ですって!」

「本当か」

「勿論です」

疑うように見てくるナギに対し、ハヤテはやましい所はないと真剣な顔付きで見詰め返す。
そのハヤテの顔を見て、ナギは顔を赤くさせるとネクタイから手を離し、
くるりと背中を見せて照れたように小さな声で謝罪を口にする。

「……そ、そうか。すまなかったな」

「いえ」

そんな二人のやり取りが納まるのを待ってから、美影はようやく口を挟む。

「まあ、気付かないのは仕方ないけれど、俺だ。
 高町恭也。いや、ナギには不破と言った方が良いか」

「……え、えぇぇ。ひょっとして高町さん!?
 どうしたんですか、その格……。ま、まあ、その趣味は人それぞれですから」

「不破…、不破……。あ、恭也兄様!? いや、でも、恭也兄様は男で…」

二人揃って美影を疑わしい目付きで見詰める。
片や、偶に仕事で一緒になった頼れる兄のようだった人が女性に目覚めてしまったと思い、
片や、当時、唯一と言って良いほど信頼でき、初めてと言えるかもしれない、
呼び捨てではなく兄様と呼んで慕った思い出を、何故知っているのかと疑いの眼差しで。
そんなそれぞれの反応が手に取るように分かった美影は、疲れたような顔を見せると、
こうなった経緯を簡単に説明する。

「…まあ、そんな訳でな。こうして女性になってしまったんだ。
 言っておくが、変な趣味に目覚めたわけではないからな」

そう締め括ると、自分でも話していてこれまでの事を思い出して疲れたのか、大きく溜め息を吐く。
事情を察した二人は、純粋に再会できた事を喜んだが、美影の落ち込みように思わず顔を見合わせてしまう。

「だ、大丈夫だ、恭也兄様。そういう趣味じゃなくても、完全に女性になっているんだから。
 ハヤテなんかは、女装をした事もあるんだぞ。それに比べれば…」

「そうそう。僕に比べたら、全然まし……って、お嬢様!
 それは口外しない約束じゃないですか。第一、あれはお嬢様とマリアさんが無理矢理。
 う、うぅぅ。僕の消したい過去を…」

「あ、ああ、すまなかったハヤテ」

「えっと、元気を出せハヤテ」

慰められていた美影だったが、それも僅か数分にも満たない時間で、
今度は逆に落ち込んだハヤテを励ます。
ナギと二人掛りでハヤテを立ち直らせると、改めて美影は二人に手を差し出す。

「まあ色々ちあるが、とりあえずは久しぶりだな。
 少しの間になるだろうけれど、また宜しくな」

美影と握手を交わすと、ナギとハヤテはしっかりと頷くのだった。



「なあ、ハヤテ」

「何ですか、お嬢様」

「恭也兄様、いや、美影姉様はお嫁さんを探しているんだったな」

「ええ。本人は乗り気ではありませんが、逆らえない命令だとか」

「ふむ。その相手だが、ヒナギクか伊澄ではどうだろうか」

「うーん、それは高町さんが決める事ですからね。
 でも、どうしたんですか急に」

「いや、別に何でもない。
(あの二人はハヤテと少し怪しいからな。それに、恭也兄様だったら紹介しても問題ないだろう。
 まさに一石二鳥なんだが…)
 ハヤテ、私たちも恭也兄様の手伝いをするぞ!」

「まあ、高町さんにはお世話になりましたし、お嬢様がそう仰られるのでしたら」

美影の預かり知らぬ所で、勝ってに進んで行く事態。
気付いた時は既に遅いかもしれない!



「クラウスさん、どうかしたんですか」

「マリアか。実はな……年甲斐もなく、胸高鳴るときめく出会いをしてしまってな…」

「はぁ、そうですか」

更に知らぬ所で、とんでもない事態が起こる……?



「乙女ちゃん!?」

「……ん? ちゃん付けは珍しくはないが、名前でそう呼ばれるのは久しいな。
 だが、何か乙女らしくて良いぞ。で、すまないが誰だったかな」

「あ、ああー」

思わず昔の呼びかけをしてしまった美影は、乙女の言葉に少し照れたような表情を見せる。

「うん、どうかしたのか」

「その、驚かないで聞いてくれよ」

「ああ。話してみるといい」

「俺の名前は高町恭也、昔は不破恭也と名乗っていたが」

「不破恭也? おお、それは懐かしい名前だ。
 今まで出会った者たちの中でも、あいつほど強さと優しさ、そして正しい力の使い方を持った者は……。
 って、待て。お前、今、その不破恭也だと名乗ったのか」

「ああ」

「…………」

問い掛けに頷く美影を見て、乙女はまさに絶句すると、美影の全身を隈なく眺める。

「……そうか、分かった」

「分かってくれたか」

やがて静かに発せられた言葉に、美影は複雑な事情を察してくれたのかと思ったが、
すぐにそれが間違いだと気付く。
乙女の発した言葉に、何の感情も篭もっておらず、俯いてて顔は見えないが、その肩が小刻みに震え、
更に、その全身から殺気にも似た闘気が出ていたからだ。
声を掛けようと近づいた美影は、即座に後ろへと跳ぶ。
その半瞬後を、ブンという唸りを上げて何かが通過する。
見れば、舌打ちした乙女の足が片方だけ浮いていた。
今のは乙女の蹴りだと気付いた美影は、ここに来て、乙女が事情を察したわけではないと理解する。

「もう、昔の恭くんはいないんだな。ならば、今ここでその思い出もろとも、貴様を!」

「何故、そうなるんだ!」

叫びつつ、乙女から繰り出される拳を、蹴りを避けては受け流していく。
この騒動に気付き、廊下にはちょっとした人だかりが出来ていたが、
二人のうち一人が風紀委員長も兼ねる生徒会副会長鉄乙女だと分かると、
誰もが校則違反した者への粛清だろうと興味を無くす。
が、それから数分も経たないうちに、またしても人だかりが生まれる。
それもそのはずで、校内で鉄乙女は最強との声がある。
これまで校則違反を咎められ、暴力に訴えようとした者も数知れず。
しかし、それら全てを軽く撃退してきたのである。
その偉業は校内のみならず、校外にまで及ぶ程の武術家である。
その乙女の攻撃を、まだまともに喰らっていないという話が伝わり、
周辺にはちょっとした人だかりが出来ていたのだった。

「くっ。ちょこまかと」

「だから、話を聞いて」

「黙れ!」

乙女が繰り出した渾身の右に、ギャラリーたちから感嘆の声が上がる。
が、それを恭也が片手で受け止めると、更に大きなどよめきが走り抜ける。

「このっ! 離せ」

放たれた蹴りを後ろに跳んで躱す美影の前で、乙女に近づく鳥が一羽。

「おい、鉄。珍しくてこずっているじゃねぇか」

「黙れ、鳥」

「と、鳥ぃぃ。それはあんまりではないか! 我輩には土永さんという立派な名前があるんだぞ。
 お前も人間と呼ばれて嬉しいか!?」

「おい、私は黙れと言ったんだぞ」

「うおぉぉぉ。な、何を苛立っているのかは知らないが、マジで怖いぜ。
 見ろよ、鳥肌が立っちまったじゃねぇか」

どこからともなく鳥だろうお前というような声がしたような気もしたが、
美影はそれどころではなく、突然の珍妙な闖入者を見る。
美影の視線に気付いていないのか、土永さんは乙女へと告げる。

「折角、我輩が良い事を伝えに来たというのに」

「なんだ。言うのなら、さっさと言え」

「くっ、仕方あるまい。聞かせてやろう。
 館長からのお達しだ。地獄蝶々の抜刀を許可する。ただし、派手にやれとの事だ」

「そうか。了解した」

土永さんの言葉に乙女は小さく頷くと、片手に常に持っていた刀の鞘と柄にそれぞれ左右の手を当てる。

「さて、ここからが本気だ。見事、躱せるものなら躱してみろ」

ゆっくりと刀を抜刀する乙女を見て、ギャラリーの輪が広がる。
あちこちから、もうお終いかとか、美影を心配する声。
逃げるように忠告する声が囁かれる。
そんな中、僅かに乙女へと向けられる声もあった。
声援を送る女子の声とは別に、やり過ぎだ乙女さんとかそんな男子の声が聞こえてくる。
どうやら、乙女の後ろに居る一団は仲間らしく、乙女を止めようとする男子の他に、
事態を煽っている女子、オロオロしている女子に、その横で楽しげに観戦を決め込んでいる女子など、
数人の姿がちらりと見えた。
だが、それらよりも美影の視線はただ一つに向けられる。
抜き放たれた刀は間違いなく真剣。
そこまでするかと叫びたいのを堪え、恭也は少しだけ腰を下ろすと、
右手を少しだけ後ろ、腰の方へと移動させ、左手は自然に力を抜く。
その僅かな動きが切っ掛けとなったのか、乙女は刀を手に美影に斬り掛かる。
全く迷いのない一閃は、寸止めする自信があるのか、それとも本当に斬る気だからか。
どちらにせよ、美影は大人しく制裁を受けるつもりはなく、
腰の後ろへと回した右手を即座に制服の裾へと入れ、すぐさま引き抜くと前方へと掲げる。
甲高い金属音が鳴り響いたと思ったら、美影の右手には乙女の持つ刀よりも短い、
小太刀と呼ばれる刀の一種が握られていた。
乙女の斬撃を防いだ美影は、乙女の刀を絡め取ろうと小太刀を動かすが、
その動きに反応し、呆然としていたのも束の間、即座に乙女は後方に跳ぶとその顔に笑みを浮かべる。

「ふん。そんなナリになっても、剣だけは忘れていないという事か」

「だから、誤解だと言っているだろう。少しは人の話を…」

「問答無用!」

白昼の校内の廊下。
そこを白刃を煌かせ、翻しぶつけ合いながら掛ける二つの影。
正直、余所から見たら大事件以外の何者でもないのだが、ここが竜鳴館だと言われれば、
その名を知るものなら、何故か納得してしまう出来事でもあった。



「すまなかった、恭也くん。いや、今は美影さんか」

「いや、気にしてないから、乙女ちゃ…。いや、鉄」

「む、何故今更言い方を変える」

「いや、流石にちゃんは」

「やはり、私には似合わないか」

「そうじゃなくて、似合うとか似合わないじゃなくて、俺が恥ずかしいというか」

「そうか。ならば仕方ないな。だが、鉄ではなく乙女と呼べ」

「分かった。なら、俺の事は恭也で良い。
 いい加減、誰かがその名で呼んでくれないと、自分でも忘れそうだ」

少し泣きそうな顔で言う美影を見て、乙女は柔らかな笑みを見せる。
久しぶりの再会はとんでもない始まりだったが、こうして無事に終わりを見せる。



「んふふふふ〜」

「エ、エリー、また何か企んでない」

「あ、やっぱり分かる〜。流石はよっぴーね」

「そりゃあ、今のエリーの顔を見れば、誰だって分かるよ」

「美影先輩を生徒会に入れましょう。そして、あの乳を。うふふふふ」

「はぁぁ」

美影の知らないところで、またしても進む出来事。



「ふふふ。美影先輩って可愛いですね。これぐらいで照れるなんて。
 まるで対馬くんみたいですよ。ふふふふ。大丈夫。私に全てを任せて。
 今、ここには私と美影先輩しか居ないんだから…」

「だ、だから、そういう事じゃなくて…。
 じ、実は、俺はおと…」

「いただきま〜〜す」

美影に迫る魔の手。
それから美影は色々と守り抜く事ができるのか。



「美影せんぱ〜〜い。そのふくよかな胸で、この傷付いた俺様の心を癒して」

「フカヒレ、てめぇ、まじ煩い!」

「うぎゃぁっ」

「……えっと」

「高町先輩、気にしないで下さい。ここではこれが日常ですから」

「は、はははは」

本来の目的も忘れるほど、日々の騒動に巻き込まれていく美影。
果たして、美影はどうなるのか!?



「頼むから、静かに生活させてくれ」

美影の本当の望みが叶う日は来るのだろうか!?







ふぅ。満足。

美姫 「って、一人だけすっきりした顔して」

あはははは。

美姫 「で、それはそうと」

フィーア 「ああ、そうでしたね」

すいません!

美姫 「は、はやっ!」

いや、だって、ねぇ。既に分かってるし。
確かに、更新してないんだよな。
DUEL…。

美姫 「分かっているんなら、さっさとしなさいよ」

いや、そうなんだが。
ついつい、進みが遅く。
しかも、他のSSのネタが浮かんで……。

美姫 「滅殺!」

ぶべらぼぇっ!

フィーア 「これが自業自得というやつですね」

美姫 「ええ、そうよ。この世に悪の栄えたためしなし、よ」

フィーア 「悪はお姉さまの活躍により滅せられたのであった〜♪」

……って、誰が悪じゃ!

美姫 「全然、書かない浩」

フィーア 「イコール、極悪」

ぐっ。

美姫 「分かったら。さっさと書き上げる事ね」

フィーア 「そうそう。パッパとやっちゃってください」

う、うぅぅ。

美姫 「と、もうそろそろ時間だわ」

フィーア 「まったく、誰かさんが手間を取らせるから」

あうあう…。

美姫 「本当にバカよね」

フィーア 「本当にバカですよね」

うぎゅうぎゅ。

美姫 「まあ、追い詰めるのはこのぐらいにして」

フィーア 「そうですね」

それじゃあ、また。

美姫&フィーア 「って、立ち直りが早すぎる!」

ぶべらっ!

美姫 「ったく」

フィーア 「やっぱり、浩さんはどこまでいっても浩さんでしたね」

美姫 「はぁぁ。情けない。と、時間だったわね」

フィーア 「それじゃあ…」

美姫&フィーア 「また来週〜♪」


11月3日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより文化を祝いながらお送り中!>



祝日という事で、今週はおやす……ぶべらっ!

美姫 「寝言は寝てから言いなさい、の提供でお送りしま〜す」

フィーア 「凄い提供ですね、お姉さま」

美姫 「まあね。提供の名前を聞いただけで、浩が気を失うぐらいだからね」

……いや、それは単に暴力……。

フィーア 「お姉さまの言うことに反論するな!」

ぐにょうぶぅっ!

美姫 「ふっ、また腕を上げたわねフィーア」

フィーア 「日々、精進してますから♪」

……お、お前ら、開始早々にこの扱いはないんじゃな……。

美姫&フィーア 「ふっとべーー!!」

ぼみょにゅわぉぉぉ〜〜、ブローニュ!!(←熱気球初の有人飛行の出発地点)

美姫 「真上にふっ飛ばしたから、暫くしたら戻ってくるわね」

フィーア 「正確には落ちてくるですけどね」

美姫 「同じよ」

フィーア 「ですね♪」

のぉぉぉぉぉっ〜〜。
ぜったいにぃぃぃ、ちがぁぁぁぁ…ぶべっ! ピクピク

美姫 「それじゃあ、今週も元気にいってみよ〜」

フィーア 「おー!」



「神だか何だか知らないけれど、今まで好き勝手にしてくれたじゃない。
 その落とし前は、ここできっちりとつけてもらうわよ!」

――気高く熱い魂を持つ魔術師 リリィ
攻撃魔法のエキスパートにして、多種に渡る魔法は敵を選ばない魔導師。

「ユーフォニア、皆を守る力を」

――罪深き故にもっとも穢れなき魂を持つ者 ベリオ
回復に防御と援護魔法の優れた担い手にして、鞭による中距離からの素早い攻撃やトラップを得意とする、
二つの魂を宿すもの。

「相手が誰であろうと関係ない! 主様の敵は、我が敵。敵は殲滅するのみ」

――心優しき復讐者 カエデ
スピードと手数の多さを誇り、隠密行動に長ける忍。

「さっさと終わらせて、ゆっくりと休みたいわね」

――古の知識を持つ古き友 ルビナス
剣による近接攻撃から、魔法による遠距離まで多岐に渡る攻撃方法を持つ、稀代の剣士にして、錬金術師。

「私を騙して利用したのは許せないが、今の私の剣はただ一人の男のものだからな。
 私怨ではなく、誓約によってお前の邪魔をするぞ!」

――優しき孤高の暗黒騎士 ロベリア
剣を捧げた、多彩な攻撃を誇る剣士にして妖術師。

「私の創造主だとしても、私の意志は私のものです。好きにはさせません。全てはマスターのために」

――創造主に逆らう反逆の徒 リコ
随一の魔力量と知識量を誇る赤の書の精霊にして召喚士。

「それがマスターの望みならば、私はただ力を貸すだけ」

――己が主にのみ従う背信の徒 イムニティ
二人のマスターに使える白の書の精霊。

「もう哀しみにくれる人たちが生まれないように、ここで、今ここで全ての輪廻を断ち切る!」

――強き力を秘めし優しき者 未亜
救世主クラス随一の潜在能力を持ち、それに目覚めた白の主にして比翼の召還器の担い手。

「何かを壊すことしか出来ない忌み嫌われし剣。だけど、それで守れるものがあるから。
 私は誇りを持って、その剣を振るう。私の剣は、恭ちゃん以外には負けないよ!」

――計画の埒外にて、鍵として組み込まれし剣士 美由希
ポテンシャルの高さでは群を抜く二つの召還器の使い手にして白の主、ニ刀の剣士。

「神よ、お前が弄んだ者たちの魂を、救世主となる程の強さを持った人たちを侮るな。
 全てはこの一瞬のために。歴代の救世主の怒りと嘆きをその身に受けろ!」

――神の計画の埒外にして、神屠る刃を持つ者 恭也
原初にして神と同格の召還器を持つ、神を滅ぼす剣士。

決戦の火蓋は切って落とされる。
世界の命運を懸けた、神を相手とする最後の舞台が。
生き残るのは人類か、神か。

DUEL TRIANGLE 第七十章 近日アップ!



美姫 「の提供でお送りしまーす」

フィーア 「ながっ! 提供、長すぎますよ!」

美姫 「本当に困るわよね〜」

フィーア 「あ、でもでも、普通は逆じゃないですか? これは作品で、提供がこっちになるんじゃ」

美姫 「まあ、細かい事は気にしたら駄目よ」

フィーア 「ですね♪」

……いや、ちょっと待て。
そんな事の為に労力を消費するのは俺なんだが?

美姫 「それこそ、気にしたら駄目よ」

フィーア 「そうそう」

そうか〜。って、絶対に違う!

美姫 「細かい事はさておき」

こ、細かいのか、今のは。

フィーア 「そこが細かいのよ」

え、えぇぇ! 当然の主張じゃないか!

美姫&フィーア 「却下」

ひ、一言の元に……。

美姫 「さて、浩いびりも飽きたところで」

あ、飽きたって……。

フィーア 「はいはいは〜い! これですね、お姉さま」

美姫 「恒例のお土産ね」

フィーア 「はい♪」

それでは…。

美姫&フィーア 「CMよ〜」







―――――――永全不動八門一派
それは、最狂にして最凶の八つの流派の総称――――

かの流派、極めしモノは狂ヒ、凶ツ。
永遠に表舞台に動かず、闇に生きし八つの、獣。







「なぁんていうかさぁ、八門同士の戦いって、憧れない?」
「いえ、お互い食い合うだけですので、不毛です」



「つまらん、先の見えた勝負などするだけ無駄」
「えぇ、あなたの敗北のヴィジョンが見えますよ?」



「何があっても、例え八門の掟が私達を別とうとも……私の魂は、あなたと共に」
「ありがとう……その言葉だけでも、嬉しいわ」



「護る、と言うことに固執したのは君達だけ、と言うことさ」
「ならば、何処までも護り抜いてみせるっ!!」






八門の継承者達が、揃う。
それは禁忌、それは、悲劇――喜劇
揃えば、お互いに食い合う……ただ、相手が死ぬまで。





振るうは神速の技、扱うは外道の秘技
「興味なーし、だってつまんないんだもん……人の生き死になんて特にね」
夜城槍剣術継承者―――夜城 沙耶




絶対なる捕殺者、張り巡らされた狡猾な罠
「私達の流派の意義をお忘れか……我らは永全に不動…戦うなど、もってのほかです」
九獲捕獲殺術継承者―――九獲 静




暗殺に特化した剣、対峙せし者皆死
「戦わなきゃわかんねぇみたいだな……クソどもが」
草薙暗殺剣術継承者―――草薙 志紅




呪い殺す陰陽の剣技、剣魔一対
「無様に這い蹲る、あなたのヴィジョンが見えますよ」
呪殺陰陽剣継承者―――安陪野 香奈




剣技に誇り無、矛盾を抱えて戦う流派
「護り奪う事にどうして矜持を抱けようか」
桐生院剣術継承者―――桐生院 時雨




哀しみを内包せし炎、燃え盛る深炎
「奪いたくなんてない…奪うしかできない剣なんて、私はいらないのに」
八尺瓊夢炎流継承者―――八尺瓊 氷雨




八門の終わりを望む剣、終幕の理
「私は、先代に言われた通りに事を進めているだけだよ…八門、終わるべきってね」
青山抜刀剣術継承者―――青山 馮河




護る事を選んだ異端の流派、信念宿りし二振りの小太刀
「例え、護り奪う事になろうとも……この剣は俺の誇りだ」
御神真刀流継承者候補―――高町 恭也






闇に生まれ、闇より出でて、闇に還る八つの獣
その行き着く先は……生か、死か……




八つの獣の物語
〜獣殺し編〜




惨劇の舞台は、整った―――――――







おお、バトルもの。

美姫 「燃えるわね」

フィーア 「血が騒ぎます♪」

いや、君たち?

美姫 「血が湧くわ〜」

フィーア 「一層の事、ここでバトルしましょうよ」

美姫 「いいわね」

あ、あのー…。

フィーア 「私はお姉さまと同じチームが良いです」

美姫 「そうね。それじゃあ、私とフィーアが同じチームで、後は浩のチームね」

お、おい! 後って、俺一人しかいないだろう!

美姫 「ほら、ここにソフィアにグレーにあと色々いるじゃない」

うわー、紙を適当に人型に切ってるよ。
って言うか、後半はもう切るのも面倒になったのね。
紙そのままですよ。

フィーア 「ああ、人数的には不利だわ〜」

明らかに俺のほうが不利どころか、既に勝負見えてるよ!

美姫 「ったく、やる前から諦めてどうするのよ」

いや、諦めるって。勝手に話を進めたのはお前たちであって。

フィーア 「ふーん、私たちのせいにするんだ」

いや、するも何も事実……。

美姫 「クスクス」

フィーア 「口は災いの元って、昔の人は良い事を言いますよね」

美姫 「本当よね」

あ、あは、あは、あははははは。

フィーア 「ラウ〜〜〜ンド…」

美姫 「ワンッ!」

のぉぉぉぉぉぉ〜〜〜!!

美姫 「その間に…」

美姫&フィーア 「CMへゴ〜♪」







「夏! それは暑い季節。
 人々は海へ、山へと出掛けていく!
 だぁぁが、しかぁぁしぃぃぃ。
 この熱い季節にこそ、人々はまるで何かに導かれたかのように、一つの場所へと集まるのだよぉぉぉ。
 分かったかね、マイブラザー」

「お前の言いたい事はよく分かってた。が、とりあえず一つ。
 さっさと今日のために用意した小銭を用意して、準備を手伝え」

熱く語る眼鏡の男へと、和樹は疲れたような顔を見せながら、ダンボール箱から本を取り出して並べていく。
他にも無数の長机とパイプ椅子が所狭しと並び、それぞれの場所で和樹と同じように何かの準備をする人達。
これから、ここで一つの大きなイベントが行われるのである。
和樹たちは売り手として参加し、その為の準備をしているのだった。



「……凄い人だな」

ようやく建物の中へと入った恭也は、中を見て更に驚く。
何処から来たのかと思うほどの人、人、人の波。
知らず足を止めた恭也の手を、彼の末の妹が引っ張る。

「お兄ちゃん、早く、早く」

「ああ、分かったからそう引っ張るな。しかし、これだけの中から忍の奴をどう探せば良いんだ」

「忍さんはコスプレイヤーとして参加するって言ってたから……。
 お兄ちゃん、あっちだよ」

手元のパンフレットを見て、それから頭上に所々付いている番号を見てなのはが一角を指す。

「うん? 一旦、出るのか」

「うん。出るというか、違う区画に行くんだけどね」

人の多さにはぐれてしまわないように、なのはの手をしっかりと握って恭也はなのはの指差した方へと向かう。
そもそもの事の起こりは数日前に遡る。
忍からの電話に出た恭也は、今日この日の予定を空けておくようにと言われたのだ。
何でも、大学で知り合った新しい友人に誘われて何かに出るので見に来て欲しいとの事だった。
特に予定もなく、それを了承した恭也は、一緒に忍に誘われたなのはとこうしてここに居るのだった。
そんな回想をする恭也へと、なのはの声が届く。

「お兄ちゃん、ここだよ。ここがコスプレ会場」

「ここか」

なのはに連れられて中へと足を踏み入れた恭也は、自分が何処に迷い込んだのかと一瞬考えてしまった。
普段、町を歩いていては見ることの出来ないような衣装を来た人々が、そこには何人もおり、
楽しそうにカメラの前でポーズを取っていた。

「これがコスプレか。仮装のようなものか」

「うーん、ちょっと違うんだけどな。
 あ、それよりも忍さんを探さないと」

なのはの言葉に恭也が周囲を見渡すが、この付近には居ないらしく、忍の姿は見えなかった。

「もうちょっと奥の方に行ってみるか」

「うん」

なのはは楽しそうに周囲を見渡しながら、恭也を見上げる。

(うーん、お兄ちゃんにも今度コスプレさせたいな。
 忍さんにお願いして、手伝ってもらおうかな)

妹がそんな事を考えているとは思いもせず、恭也は会場の中を歩く。
と、少し大きめの人だかりが出来ており、そこから目当ての人物の声が聞こえてくる。

「もう、しつこいわね!」

何かのトラブルかと恭也となのはは顔を見合わせると、その声の主の元へと足を向ける。



「うーん、忍ちゃん、似合うよ〜。やっぱり、俺の目に間違いはない。なんてね、にゃはは」

学生服を来た女の子の言葉に、忍は少し照れたようにはにかむ。

「玲子さん、本当に変じゃないですか?」

「そんな事ないない。よく似合ってるよ〜。
 それにしても、凄く上手に縫ってるわね、これ」

「ええ。ノエルはこういうも得意ですから」

「うわー、ここなんか凄い細かい。うーん、良かったら今度、教えてもらえないかな」

「別に良いと思いますよ。一応、ノエルに聞いてみます」

「うん、お願いね」

二人はそこで会話を打ち切ると、更衣室を出て会場となっている区画へと場所を移す。
暫くは玲子の顔見知りと挨拶をしていたのだが、
数分後には何人かのカメラを持った人たちに頼まれて、撮影のためのポーズを取っていた。
昼を少し回った頃、忍は時間を気にするようにしては、会場内をキョロキョロするようになる。
それに気付いた玲子が、口元に怪しい笑みを浮かべて近づく。

「忍ちゃ〜ん。さっきからキョロキョロして、愛しい王子様でも探しているのかな?」

「ち、違いますよ。別に恭也を探してなんて…」

「おやおや〜。誰も高町君だなんて言ってないよ〜」

「もう、玲子さん!」

「にゃははは、怒らない、怒らない」

そうやってふざけ合う二人の元へ、新しい撮影者がやって来る。
それに答えてポーズする二人だったが、この二人は今までの者たちとは違い、
忍と玲子に写真を送るからと、住所や電話番号などを聞き出し始めたのだ。

「だから、そういうのは教えられませんって」

「良いじゃないですか」

「そうそう、そんな事を言わずに」

「もう、君たちしつこいよ! 他の人たちにも迷惑が掛かっているでしょう」

「だったら、電話番号だけでも教えてくれよ」

「そしたら、すぐに大人しくなるからさ〜。何だったら、この後何処かでお茶でも良いけど」

あまりのしつこさに玲子が怒るよりも先に、忍の方が声を荒げる。

「もう、しつこいわね! ああー、もう本当に疲れるわ。
 はっきりと断られているのが分からないの。そのぐらいは理解できると思ったんだけどね。
 あのね、あなたたちのような人が居ると、普通に楽しんでいる人たちに迷惑なの。
 分かったら、さっさと消え…むぐむぐんんっ」

消えろと冷たい声で言おうとした忍の口と、その目が後ろから近づいた人物によって防がれる。
忍は仲間が居たのかと、周囲を注意していなかった自分を呪いつつ、必死に振り解こうと暴れようとするが、
その手の感触が馴染みあるような気がして少し大人しくなる。
そこへ、忍の想像通りの声がその耳に届く。

「落ち着け、忍。…もう大丈夫か」

小声で囁かれた言葉に、忍は自分の瞳の色が変化しかけていたのだと気付き、
すぐに心を落ち着かせると小さく頷く。
それを受けて恭也は手を除ける。

「まったく、もうちょっと周囲の状況を考えてから行動するようにしないと駄目だぞ」

「でも、私は悪くないし」

「誰も忍が悪いとは言ってないだろう。
 で、俺の友人になにかご用ですか」

忍を背後に庇うようにしながら、恭也は普通に問い掛ける。
大よその事情は悟っていたが、最初から見ていた訳ではないのでやんわりと尋ねたつもりであった。
ただし、その顔は知らぬ者が見ればどこか怒っているようにも見え、
おまけに無表情のままに少しも笑っていない。
恭也自身は睨んでいるつもりは欠片もないが、その鋭い目に思わず睨まれているように思える。
隣で見ていたなのはは、恭也が純粋に問い掛けていると理解したが、
目の前の男たち二人はそう受け取らなかったらしく、一目散に逃げて行った。

(あーあ、ご愁傷様)

思わず心の内でそう呟くと、なのはは不思議そうに男たちの去って行く方を見やる兄を苦笑して見上げる。
そこへ、玲子が片手を上げて近づいてくる。

「ごめんね、高町君。助かったわ」

「いえ、自分は何も」

本当に何もしていないのだから、恭也としてはこうとしか言えず、
玲子もなのはと同じように苦笑を洩らすと肩を竦め、

「本当にああいった連中のせいで、またコスプレが禁止になったらどうするのよ」

去っていた男たちに憤慨して見せると、恭也の後ろで少し顔を赤くしている忍をからかうために近づく。
それに気付いた忍は身構えるが、それを意にかけずに近づくと、その耳元で囁く。

「いやいや、お姫様のピンチを救う王子様ですね〜。忍ちゃんも惚れ直したんじゃないの〜」

「玲子さん!」

「きゃぁ〜。高町君助けて〜」

自分を巻き込んでふざける玲子へと、恭也は深い溜め息でもって応えるのだった。



あの後、忍たちと一緒に会場内を行動していた恭也だったが、ふと気が付くと一人になっていた。

「はぐれたのか」

どう見ても、それしかないのだが、恭也は至って落ち着いて周囲を見渡す。
しかし、見える範囲に忍たちの姿はなく、仕方なく恭也は適当に歩き始める。

「この辺りは比較的空いているかな」

少しだけましになった人込みに僅かに安堵すると、恭也は何気なく足を止める。
ここならば、止まっても迷惑にはなるまいと。
が、立ち止まった瞬間に強い視線を感じ、思わず周囲を見渡す。
だが、周囲には見知った顔はなく、だが視線だけは感じる。
もう一度見てみるが、こちらを見ているような人は何処にもいない……いや、一人居た。
その人は椅子に座り、じっと恭也へと視線を注いでいた。
すぐ目の前で。
どうやら、この女の子の目の前で立ち止まった事により、この子の本に興味を持ったと思われたらしい。
さっきまで忍たちと共に行動していた事もあり、恭也はここで行われているイベントを大体で把握していた。
しかし、目の前の女の子は何を言うでもなく、ただじっと見上げてくる。
今までの所では、手にとってくれとか、買ってくれと色々とアピールがあったのだが。
もしくは、自分が怖くて声を掛けれないのだろうか。
そこまで考え、恭也は怖がらせてはいけないと、極力笑顔になるように気を付けながら、
少女へと話し掛ける。

「えっと、見ても良いですか」

「えっ!?」

恭也の言葉に少女は驚いた様子で恭也をじっと見た後、左右を見渡して、
自分に言われたのだと把握すると、小さく一度だけ頷く。

(ここまで怖がらなくても良いのに)

少女の態度に少し傷付きつつも、恭也は本を手に取る。
別に興味があった訳ではない。
ただ、怖がらせてしまったかもという思いから、声を掛けただけであった。
しかし、恭也はその少女の本を開き、思わずその本に惹きつけられる。
普段、なのはたちが読むような漫画の絵とは違うタッチで、細かい所まで描かれている絵。
そして、その話に。
じっと不安そうに見詰めてくる少女に気付く事無く、最後まで読み終えた恭也はようやく少女の視線に気付く。

「あ、すいません。つい面白くて、最後まで読んでしまいました。
 えっと、これください」

「あ、ありがとうございます」

恭也の言葉に少女は嬉しそうに恭也からお金を受け取る。
と、恭也は手にしたのとはまた別の本があるのに気付き、そちらも手に取る。

「えっと、これも良いですか」

「あ、はい」

他のものも読んでみたいと純粋に思った恭也は、少女の所に並べられている本を全て手に取る。
それの代金を払った恭也へ、少女は机の下から何やら取り出す。

「あの、良かったらこれを」

「これは?」

「昔に書いたものです」

「あ、じゃあ、代金を」

「いえ、これは差し上げます」

「でも、それは悪いですから」

「…良いんです。その、面白いって言ってくれたのが嬉しかったから」

「そうですか。では、お言葉に甘えさせて頂きますね」

言って恭也は少女から本を受け取る。

「それにしても、こういうのを描けるなんて凄いですね」

「そ、そんな事はないです」

「いえ、何かを生み出せるというのは、それだけで凄いことですよ。
 それに、あなたの描いた漫画は本当に面白いです」

「あ、ありがとうございます。良かったら、また来てください」

「はい。あ、俺の名前は高町恭也と言います。長谷部さん」

「どうして、私の名前…」

言いかけた少女は、恭也が本を開き、一番最後のページ、奥付を見せる。
そこに少女の名前が書かれていた。

「俺だけ名前を知っているというのもあれから。それじゃあ、また」

「はい、お待ちしてます、高町さん」



――些細な事から始まった出会いは、

「にゃははは。高町君に売り子してもらえば、更に売上があがるかもね」

「玲子さん、それは流石にどうかと…」

――やがて、更なる出会いを導いていく。

「ぱきゅぅぅ、和樹さん、さっきの人は誰ですの?」

「うん? ああ、高町と言って、俺の学校の後輩だよ」

「マイブラザーと共に、世界征服を目指す仲間といった所か」

「いや、世界征服は一人でやってろよ、大志。って、どうかしたのか、すばる?」

「むむ。強者は強者を知るのですことよ」

――新たに吹く風は、

「いやー、兄ちゃんがまさかあの草薙まゆこの知り合いとはな〜。
 で、生原稿を見せてもらえたりせんやろうか」

「お、おい、由宇。高町が困っているって」

――どんな芽を育み、

「あ、あなたはこの前の…。高町さん」

「はい。また来ました」

「あ、これ新刊です」

――どんな花を咲かせる事になるのか。

「おぉぉ。良いで、良いでー! これはネタになるでーー!」

「って、あんた達、一般人である高町くんたちまで変な道に誘い込むなー!
 和樹、あんたも止めなさいよね! 高町くんまで私みたいにする気」

「み、瑞希、落ち着けって。その前に、私みたいって、お前もこっち側に染まったって自覚はあったんだな」

「うっ!」

――この出会いがもたらすものとは。

こみっくハ〜ト プロローグ 「集え熱き魂の祭典!」







美姫 「ふー。いい汗掻いたわ」

フィーア 「同じくです」

…………う、うぅぅ。いい血を流した。
って、死ぬわっ!

美姫 「あ、今日は途中で変な提供が入ったせいでもう時間が」

変なって、無理矢理やらせてそれはあんまりだ(泣)

フィーア 「ああ、本当に困ったもんですね〜。後先考えないから」

う、うぅぅ。俺が悪いのか?
誰か僕に優しくしてよ。

美姫 「それじゃあ、今週はこの辺にしておきましょうか」

フィーア 「そうですね♪」

あっさりと無視かよ!
全く、お前たちには優しさが足りないよ。

美姫 「こんなにも優しい私を捕まえて何を言ってるのよ」

どこがだ!

フィーア 「お姉さまに対する侮辱は許しませんよ」

ごめんなさい。

フィーア 「はやっ!」

美姫 「まあ、いつもの事だけどね」

あのー、それよりも時間なのでは?

フィーア 「ああー! お姉さま」

美姫 「もう、アンタのせいで」

うっ。俺のせいなのか……。

美姫 「何か言った?」

な、なにもいってないよ、うん。
えっと、そろそろおわりのじかんだね。

フィーア 「そうですよ。さっきから言ってるじゃない」

へいへい。俺が悪ぅございました!

美姫 「はいはい、二人ともその辺にしておきなさい」

フィーア 「はーい」

へーい。

美姫 「それじゃあ…」

美姫&フィーア 「また来週〜♪」










          



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