2008年11月〜12月

12月26日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、今年最後の放送だ、とお届け中!>



今年最後のハートフルデイズですよ。

美姫 「今年は200回も突破したしね」

うんうん。思い出に残る一年だね。
……というか、やっぱり今年も一年を振り返ってみても、お前に殴られている所ばっかりだよ!

美姫 「まあ、私の愛がいっぱいね」

どこがだ!
うぅぅ、物悲しくなってきたよ。

美姫 「はいはい。ところで、ちょっと早いけれど来年に向けて何かある?」

そうだな……。
来年からはぶべらっ! じゃないもっと違った叫び声をあげて吹っ飛ぼう、うん。

美姫 「吹っ飛ばされる事が既に前提というのがアンタらしいわね」

いや、だってお前に俺を殴らないと言う選択肢は存在しないだろう。

美姫 「まあね」

やっぱりかよ!

美姫 「って、ついついアンタとバカな話をしてしまったわね」

おおう、そういえば今年最後のゲストが。

美姫 「という訳で、どうぞ〜」

夕凪 「お邪魔します〜」

夜上さんの所から来てくれた夕凪ちゃんだ〜。

美姫 「久しぶり〜」

夕凪 「久しぶりです、美姫さん。勿論、お土産もどうぞ」

美姫 「ありがとう、夜上さんがはりきって書いてくれたのよね」

夕凪 「はい、今年最後のご奉仕だと喜んで書いてました」

……すみません、すみません夜上さん。

美姫 「何で謝ってるのよ」

俺が事実を知らないと思うなよ!
例によって夕凪が二重の極みで脅して書かした上に、書きあがった後にちゃっかりとお見舞いしたのは知っている!

夕凪 「いやですね、あれはご褒美ですよ」

いやいやいや!
久しぶりに喰らって、夜上さん、直前までダウンしてただろう!
と言うか、虫の息に近かったぞ!

美姫 「つまり、アンタへと密告したと」

夕凪 「ふ〜ん。帰ったら楽しみだわ」

……あれ? もしかしなくても、俺余計な事言ったり?

美姫 「でしょうね。まあ、大丈夫よ」

あ、あははは。この先の展開がよく分かるよ、うん。
責任を取って俺も今、この場で、って奴だよね。

美姫 「せ・い――」

夕凪 「――かいです」

ぶべらぼげっ! だ、ダブルはきついぃぃぃぃっ!!

美姫 「さ〜て、それじゃあ早速お土産を」

夕凪 「どうぞどうぞ」

美姫&夕凪 「それじゃあ、CMで〜す」







「那美さん、一体何処に行ったんだ?」

 そう呟くと、恭也は周囲をぐるりと見回した。
 ここは愛知県にあるとある地方都市だ。
 過疎という程でもないが、それなりに寂れていて人の気配が遠くにしか感じられない。
 そんな町の中を、延々と一人の行方不明者を探してすでに数ヶ月を経過していた。
 
 神咲那美――。

 高町恭也の親友の一人で、大切な仲間だ。
 しかし、そんな彼女はとある雨の日に退魔師の仕事――つまり神咲那美の一族は霊媒を生業としているのだ――
に出向いたきり、下宿先のさざなみ寮に連絡もないまま失踪してしまった。
 当初、下宿先の人々も仕事が長引いてしまって、
連絡も入れられないくらいバタバタしているのだろうと思っていたが、
那美の姉である神咲薫が顔色を変えてさざなみ寮に駆け込んだ事で、那美が行方不明である事態が発覚した。
 それから警察機構にコネのあるリスティ=槙原や、ボディガードを不定期ながら行っている恭也が、
仕事や互いのコネを使って情報を収集するが、那美を発見する事ができなかった。
 今回愛知県の重役のボディガードに出向いていた恭也は、
そこで夜な夜な町を駆け巡る巫女服姿の少女の噂を聞いた。
 それで今回仕事が終了したと同時に出向いた訳だが……。

「それでも町一つを探し尽くすには時間がかかる、か」

 町自体は大きいものではなかったが、恭也一人で探索するには大きかった。
 彼是町に滞在して四日を過ぎる。
 それでも那美の情報は一件も入ってはこなかった。

「今回もハズレか」

 そう一人ゴチる。
 さすがに連日の精神的疲労は、肉体が疲労していなくとも体力を削り取っていく。
 だからだろうか。
 普段ならば気付くおぞましい気配に気付かなかった。
 突然、恭也の背後に力強く、それでいて激しい足音が響いた。
 はっとし、振り返る前に体が反応した。右斜め前に向けて地面を転がるようにその場から離れる。
 と、同時に耳元を風が切り裂かれる音が聞こえたところをみると、
回避するのが後一歩遅ければ恭也は何某かのダメージを負っていた事だろう。
 三回転程して、ようやく回転が弱まったところで左足を軸にする形で上半身を大きく振り上げて体勢を整えると、
そのまま腰に差した小太刀を引き抜いた。

「誰だ!」

 そして小太刀を強襲した相手を向けて――・

「……!」

 恭也は硬直した。
 人気のない街頭の少ない町外れ。
 そんな街頭の光が届かない中で、浮かび上がったシルエットが彼を硬直させたのだ。
 姿は男だろう。肉付きや胸部のふくらみ具合からそれは判断がつく。
 ただ問題はその外見だ。ボロボロの衣服に、染み付いた悪臭を放っている液体の跡。
 そして体半分の皮膚がこそげ落ちて、すでに生きているとは思えない状態で動いているのだから。

 ゾンビ?

 あまり持ち得ない退魔関連の知識から、映画や小説などで有名なヴードゥー教発祥の"動く屍"の名が頭を過ぎる。
 だが現状を把握するべく思考が動き出したのを見計らってか、男は思いがけない速度で襲い掛かってきた。

「――!」

 本能が即座に恭也を神速の領域へと導く。
 視界がグレーアウトし、彼には全ての動きが三分の一程度まで速度が遅く見える……筈だった。

「なっ!」

 驚愕が口をつく。
 それもその筈だろう。遅くした視界に映った男は、まるで神速前の状態と変わらぬ速度で襲ってきたのだ。
 慌てて防御するべく両腕を眼前で交差させるも、基本速度が違いすぎるため間に合わない。

――命中する!

 そんな予測から衝撃に耐えるべく下半身に力を篭めた時、ソレは現われた。
 闇の中から男に向かって白い風が奔ったと思いきや、唐突に静かな住宅地に響く銃声を聞きながら、
恭也は呆然とその場に立ち尽くしていた。神速が解けたのも気付かず、風をただ見つめた。
 皺のない白い羽織に、染み一つない朱袴。そして淡い栗色の滑らかな髪。
 それは今まで探し続けていた掛け替えのない親友であった。

「――那美、さん」
「恭也さん……」

 二人は再会した。
 生ある者が息を潜める闇の中で、片や拳銃を持ち、片や小太刀を携えながら、
血の臭いが充満し始めた路地で再開した。
 これが、悲劇以外に何の救いもない物語の始まりだった――。



「死して尚、強い妄執にとり憑かれ、生ある者に対して本能的な憎悪をぶつけながら、
己が欲望の成就だけを只管願い続ける歪んだ存在。それが屍だ」

 光言宗の葬儀と名乗る僧が、驚愕する恭也に説明していく。

「神咲さんは……退魔の仕事に失敗して亡くなった。でも、彼女には屍姫の素養があった。
たまたまそこに居合わせた僕が仮契約を行ったんだ」

 屍姫――。
 それは大師系真言密教「光言宗」において、蔑み使われる不死殺しの猟犬。
常に嘲笑と憐憫の眼差しに背に受けながらも、屍を百八葬り去る事で、
天国へと至る契約を結ばれた少女達の屍である。

 知ってしまった真実に、恭也は苦悩し、那美は涼やかに決断を下す。

「良いですか? 私はもう人間じゃないんです。だから私の事は忘れてください」
「できる訳ないだろう! 美由希だって忍だって……耕介さんやさざなみ寮のみんなだって待ってるんだ!」
「……みんなには、私は仕事でしばらく戻れないと伝えてください」

 そんな彼女の背中を見て、少年もまた決意する。

「いいのかい?」
「ええ」
「ダメです! 恭也さんには海鳴のみんなが帰りを待ってるんですよ!」
「それは那美さんも一緒だ」

 僧衣を纏い、漆黒の瞳で見据えるは、親友の魂を救うための悲しき道のみ。


 ――殺せよ乙女。


 銃弾が飛び交う。
 霊力ではなく、経文を刻んだ銃弾が腐敗した屍を打ち砕いていく。

「くぅ!」

 しかし、屍は強靭で、体の半分が吹き飛んだまま那美の左腕に喰らいつくや、そのまま腕を食い千切った。

「こんな闘いを何時まで続ければいいんだ?」

 屍姫のルール。
 @百八人の屍を殺せば天国へ行ける。
 A一度選んだら途中退場は出来ない。
 B例え殺されても文句は言わない。

「まだまだ先は長い、よね」

 己が血で真っ赤に染まった羽織で顔に飛んだ返り血を拭いながら、自嘲気味に那美が呟いた。



――屍(シ)を重ねて天国へ臻れ。



『屍姫 燦』 ――それは、死ぬための闘い……。







ふぅ、流石にダブルはききますな〜。
さて、夜上さんからの素敵なプレゼントも頂いた事だし、うん、今週はこの辺で――ぶべらっ!

美姫 「はいはい、寝言は寝て言おうね♪」

夕凪 「は、速い。私の攻撃が間に合わないなんて……」

いや、バトルっぽくするのは構わないんだけれどね、互いに戦わずに標的俺だよね。
そこはどうなのよ。と言うか、何で俺の早叩きになってるの!?

美姫 「そんな今更説明を求めるの?」

夕凪 「と言うか、美姫さんと浩さんが揃っていたら、それは当然のことなんじゃ?」

ええ、何その認識!?
ちょっと落ち着こうか。……コホン。
何故に俺と揃ったが美姫った場合、俺が吹っ飛ばされて、あばばやややぶげってのは決定事項になってるんだ!?

美姫 「とりあえず、アンタが落ち着け!」

ぶべらっ!
いやいや、俺、管理人。美姫、アシスタント。オッケー?

夕凪 「ううん、世間の認識では、美姫さんボス。浩さん、パシリ兼殴られ専用もしくは、美姫さん専用殴られ人」

…………ははは、またまた冗談を。

夕凪 「いや、多少の違いはあるかもしれませんけれど、世間様の認識はこうですよ」

えっと〜。はい?

美姫 「つまり、上下関係で言うと、私が上。間に電化製品や食品などがあって、そのずっと下にアンタ」

いやいや、途中さっきまでなかったものが加わったよ!

夕凪 「上下関係でも、それぐらいの開きがあるって事ですよ」

いや、そんな良い笑顔であっけらかんと酷いことを……。

美姫 「現実ってのはいつだって辛いものよ。でも、それを受け入れなさい」

うん……って、いやいや。
と言った所で無駄なんだよな、きっと。うぅぅぅ。

夕凪 「あらら、流石にいじけちゃいましたね」

美姫 「まあ、すぐに立ち直るでしょうから、その間にまたCMにいっちゃいましょう」

夕凪 「ですね。それじゃあ、せ〜の〜」

美姫&夕凪 「再びCMで〜す」







「さようなら……」

その言葉に何と返したのかはっきりと思い出せない。
ふらつく頭を振り、改めて自分の置かれた状況を見てみる。
見慣れた、けれども懐かしいと感じる自分の部屋。
そこまで周囲を見渡し、武は自分が記憶を持っている事に驚く。

「何で覚えているんだ……」

呆然となるもすぐに行動を開始する。
この時間になっても純夏がやって来ない事を考えると、もしかしてという思いが強く浮き上がる。
逸る気持ちを押さえ、制服に着替えると部屋を飛び出す。
外を飛び出した武は幼馴染である純夏の家を見て、そこに倒れこむ人型兵器を見上げる。

「戦術機……。という事は、やっぱり三回目なのか」

信じられないという思いで呟かれた言葉であったが、すぐに武は拳を握り締める。
原因は分からないが、自分は再びループしたのではないかと。
だとするなら、今度こそ誰も犠牲を出す事無く。
その決意を胸に秘め、武は現状を把握すべく元の世界では毎日通っていた学校、
恐らくこの世界では極東の基地へと向かうのだった。

前回、前々回の記憶と経験を活かし、武は夕呼の助けとなるべく動き出す。

「あまり早くに未来を知ると、それこそどうなるか分かりませんから」

「ふーん、それも前回で私が言っていたのかしら」



未来の経験を活かす武であったが、そこにイレギュラーが。

「父様〜」

霞と話をしている武の下へと一人の少女が駆け寄って来る。
長い髪を背中に流した意志の強さを秘めた瞳を持つ4、5歳の少女。

「はい!?」

驚く武の足にしがみ付き、少女は武を見上げる。

「母様の言った通り、帰ってきてくれたのですね」

「えっと……」

訳が分からないといった顔をする武に少女もまたきょとんとした顔を見せる。

「父様、どうしたのですか」

「あー、って、待て待て霞。誤解だ」

武からすすっと離れていく霞を呼び止め、武は少女と目線を合わす。

「とうやってここまで来たのかは知らないけれど、君は誰の子かな?」

途端に少女は涙を目の端に為、懐から一枚の写真を取り出す。
それは207B分隊の皆と一緒に写っている写真であった。

「父様じゃないの」

「確かにここに写っているのは俺だけれど……」

そこまで言って武はふと違和感に気付く。
それが何か少し考え、すぐにその違和感の正体に気付く。
現在、武は既に任官しており、三回目の今回は207の皆とは教導官として会っているのだ。
だが、写真の中で武の服装は訓練兵のもの。
つまり、この写真は最初にこの世界に来た時のものか、二回目のものという事になる。
だが、二回目でこんな写真を撮った記憶はない。

「つまり最初の時か。いや、だとしてもどうして俺の子供が」

そこまで呟いた時、武の脳裏に一人の女性が浮かび上がる。
暗闇に包まれた戦術機の中で抱き合う武と冥夜。

「おいおい……」

恐る恐るといった感じで武は写真の冥夜を指差し、

「もしかして、お母さんは」

「うん、母様」

「あ、あははは……。ゆ、夕呼先生!」

少女と霞の手を取り、武は混乱気味に夕呼の研究室へと飛び込むのだった。



「あのね、00ユニット以外にも私はやらないといけない事があるのよ」

「それはそうなんですけれど……」

混乱しつつも現状を説明すると、夕呼の唇がにやりと笑みの形を作る。
相談したのは失敗かもと思いつつ、このような事態に答えを出せるような人物もまた、
目の前の人物意外に浮かばない。

「すぐには結論は出せないわね。まあ、その辺りはこれから考えてあげるわ。
 それにしても……」

楽しそうに笑いながら、夕呼は武に解剖させてくれと頼んでくる。
当然それを断ると、少女、悠冥(ゆめ)に大人しくこのフロアから出ない事を約束させて武は訓練兵の鍛錬へと向かう。
まりもにより既に訓練が始まっているのを見ながら、武もまりもの隣に立つ。

「皆の調子はどうですか」

「白銀少尉、お疲れ様です」

「いや、ですから敬礼は良いですって」

律儀に敬礼してくるまりもに苦笑しつつ武は冥夜たちの様子を眺める。
全員を見ているつもりなのだが、やはりあんな事の後では冥夜の方へと注意が向いてしまう。
やがて、走り終えた冥夜たちが武たちの前へと戻ってくる。
武に敬礼をして横に並ぶのだが、分隊長の千鶴が言い辛そうにしつつも武に発言を求める。
普段は敬語などもなしと言い聞かせているが、やはりまりもの前で訓練中でもあるのでその口調は上官に対するもの。

「白銀少尉、その……隣に居る女の子は」

「はぁっ!?」

千鶴の言葉に驚いて横を見れば、いつの間に来ていたのか武のズボンの裾を握り締めて立つ悠冥。
武が何か言う前に悠冥は冥夜の元に掛けて行く。
まずいと止めるよりも先に冥夜は悠冥の前でしゃがみ込む。

「ここは訓練する場所で……」

「母様!」

冥夜の言葉を遮り、冥夜に抱き付く悠冥。
その言葉に言われた冥夜も含めて全員が声を上げる中、武は一人ややこしい事になったと天を仰ぐ。

「母……って、冥夜、あなた」

「そんな訳なかろう。そなたも誰と間違えているのかは知らないが……」

「母様の言ったように父様は格好良い人でした」

悠冥の言葉に傷付けないように母親ではないと言おうと言葉を選ぶ冥夜。
その間にも悠冥は母親から聞いたと言って千鶴たちの名前を当てていく。
武が流石に自分が父親だと知られるのは避けた方が良いと考えて悠冥の名前を呼ぶのだが、
自分の名前を初めて父親に呼ばれた悠冥は嬉しそうに駆け寄り、

「父様!」

足元に抱き付く悠冥を見下ろし、武はただただ天を仰ぐ。
遅れる事数瞬、千鶴たちの叫び声が響くのだった。



説明を求めるように囲まれた武と冥夜。
だが、冥夜の方も身に覚えなどなく、自分と間違える可能性のある人物に思い至り、まさかという思いに武を見る。
何を考えているのか分かった武は一つ息を吐くと、

「信じられないかもしれないが、この子は未来から来たんだ。
 ほら、香月博士の研究に巻き込まれたみたいで」

我ながら良い言い訳だと納得する。
とりあえず夕呼の所為にしておけば、とんでもない事でも納得できるだろうと。
案の定、付き合いの長いまりもは納得してしまう。

「これ以上は機密が関わるから秘密だ。まあ、未来の事だから気にしなくても良いだろう」

「……つまり、将来白銀少尉御剣は」

ぽつりと呟かれた慧の言葉に、一度は収まった空気が再び緊張を見せる。
唯一、冥夜だけは顔を真っ赤にして俯いてしまう。
そんな冥夜の様子を見て、武は可愛いと思ってしまう。

(純夏、違うんだこれは)

必死に心の中で言い訳をする武であったとさ。



マブラヴ 〜CROSS LOOP〜







さて、今年も本当に終わりが近付いてきたな。

美姫 「本当よね。最終更新は来週の月曜日になるかしら」

夕凪 「月曜というと29日ですね」

ああ。それが最後かな。

美姫 「来年は?」

うーん、いつになるかな〜。
よし、ハートフルは一回休み――ぶべらっ!

美姫 「寝言は寝てから言いなさいって」

夕凪 「やっぱり速いです」

うぅぅ、痛すぎる。

夕凪 「こっちも速いですね」

はっはっは。って、嬉しくないよ!

美姫 「はいはい、馬鹿なこと言ってないで、そろそろ時間よ」

もうそんな時間か。
ゲストが居ると、いつもより早く感じるな。

夕凪 「ありがとうございます」

美姫 「さて、終わったらまたお茶会しましょうね」

夕凪 「はい」

わーい。甘いものが良いな〜。

美姫 「はいはい。それじゃあ、締めましょうか」

おうともさ。
それじゃあ、今週――ぶべらっ!

美姫 「今年は……」

夕凪 「この辺で」

ま、また来年――ぶべらっ!

美姫&夕凪 「また来週〜」

……い、今のは別に訂正しなくても良くないか?

美姫 「確かにそうかもね♪」

夕凪 「あははは、ごめんね」

う、うぅぅ……がくっ。


12月19日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、一足お先にメリクリ、とお送り中!>



残念かな、曜日の都合上一足先にメリクリ!

美姫 「一週間近く早いけれどね」

とは言え、来週だと既に過ぎているからな。

美姫 「ああ、でもそうやって考えれば今年のハートフルデイズも今回を入れてあと二回になるのね」

だな。しみじみと今年を振り返るのは来週にして。

美姫 「そうね。今週はまだまだ突っ走るわよ!」

とは言え、本当に更新が殆ど出来ていないという有様。

美姫 「全てアンタが悪い!」

ぶべらっ! うぅ、反論できないです、はい。
色々とあるんだよ、うん。

美姫 「言い訳は無用よ」

ぶべらっ!
うぅぅ、猛省してます。

美姫 「さて、腑抜けは放置するとして、今年も既にクリスマス色が強くなってきたわよ」

サンタさん、お願いです。時間をプレゼントしてください。

美姫 「良い子じゃないから駄目ね」

うわーい。予想通りの答えだ〜♪ って、誰が喜ぶか!
まあ、赤い服を着たお爺さんは兎も角として、十二月はクリスマスに年末と大忙しだな。

美姫 「そうね。流石に年の瀬を感じ始めるわ」

毎年の事ながら、一年の早さもな。

美姫 「本当に」

って、ちょっと今年を振り返り掛けてますぜ、姐さん。

美姫 「誰が姐さんか!」

ぶべらっ! うぅぅ、痛いよ。

美姫 「はいはい。それじゃあ、今週もCMいってみよ〜」







「せんせー、晶ちゃんとレンちゃんがまた喧嘩してる」

「ああ、はいはい」

そう言って先生の足元に駆け寄って来たのは、那美であった。
それに笑顔で返すのは、ここ高町桃子が経営する私立高町幼稚園の先生である所の槙原耕介である。
耕介は二人の傍に近付き、

「この亀、亀、鈍亀ー!」

「煩いわ、このおサル!」

ポカポカと腕を振り回して殴りあう二人の間に割って入るなり、それぞれの手で二人の襟首を掴む。

「ほら、二人共喧嘩しないで」

「だけど、先生この亀が」

「先生、このおサルが先に」

同時に耕介へと自分は悪くないと訴える二人を落ち着かせ、

「二人が喧嘩したら、他の子たちも不安になっちゃうだろう。
 だから、ほら仲直り」

半ば強制的に仲直りの握手をさせる。
流石に先生に注意され、他の園児たちの手前もあってか二人は言われるままに握手をするも、
その顔は互いを見ておらず、あさっての方向へと背けられている。
それに苦笑をしつつ、もう一度ちゃんと仲直りさせる。
それで一安心したのも束の間、耕介の元にまた一人の園児がやって来る。

「せんせ、あの……」

「どうしたんだい、望ちゃん」

内気な少女を怖がらせないように屈みこみ、優しく訪ねてやれば、望は泣きそうになりながらも教室の隅を指差す。

「あ、あの、に、仁村さんが……」

望の指す先を見れば、真雪がポケットをごそごそと弄り、そこから白い箱を取り出す。
更に、その箱をトントンと慣れた手つきで軽く叩き、箱から棒状の何かを取り出して口に咥える。

「って、真雪ちゃん、何をしているの!」

未成年が、と叫んで真雪の手からソレを取り上げる。

「んおー、何するんだよ耕介」

「先生と呼びなさい。それに、何をするもないだろう。
 こんな小さな頃からタバコなんて……」

「違うよ。それはタバコに見えるけれどチョコだよ」

言われて取り上げた物を見れば、確かにタバコのように見えるが白い包装紙を剥がせば、
それはステック状のチョコレートだった。

「ま、紛らわしい物を……」

「と言うわけで、返して」

「ああ……って、勝手にお菓子を持って来るのも駄目でしょうが」

思わず返しそうになるも箱ごと取り上げる。
文句を言う真雪を宥めていると、今度は泣き声が聞こえてくる。

「うわーん、あーん」

「あーあ、真一郎が小鳥を泣かした〜!」

「ああ、ごめん小鳥。って、唯子もだろう!」

「えぇ、唯子悪くないもん」

「そんな訳ないだろう!」

「う、うえぇぇ……」

泣いている小鳥をそっちのけで喧嘩を始める二人。
それを見て更に火がついたように泣く小鳥。
耕介は慌てて三人の下に向かい、原因を聞きながら泣く小鳥を必死であやす。
その間にも耕介の足元に七瀬がやって来る。

「先生、端島くんがまた女の子のスカートを捲ってます」

「いやー、やめてー」

「えへへへ、ななかちゃん今日は白だ〜」

「えーん、やめてよー」

報告に来た七瀬に礼を言って頭を一撫ですると、耕介はまだぐずる小鳥を抱いたまま、
もう一方の腕でななかを抱き上げ、端島大輔を叱る。
反省したように謝る大輔に素直に謝るのは偉いと褒めてやり、ななかを下ろしてやると二人で仲良く遊ぶように言う。
そして何とかあやした小鳥を真一郎と唯子の元へと連れて行き、三人にも仲直りさせる。
そこへ今度は小さいながらも物騒な爆発音と煙が立ち込める。

「せんせー、また忍ちゃんが」

さくらが煙の上る辺りから耕介の下へと走って何が起こったのか言ってくる。
聞くなり耕介は煙の傍に行き、近くにいた忍をまずは安全な場所へと連れ出す。
その上で危険がないのか確認し、何も問題ないようだと胸を撫で下ろす。

「はぁ、忍ちゃん今度は何をしたんだい」

「ちょっとした実験よ。ちょっと二つの薬品を混ぜたらどうなるかを」

「お願いだからここでそんな危ない事はしないで」

「大丈夫よ、だって私はちぇんちゃいだもの」

「忍ちゃん、天才って言いたいんだろうけれど言えてないよ」

「む〜」

「はいはい、拗ねないの。とりあえず、もう禁止だからね」

「分かった」

約束をして忍を解放すると、耕介は後片付けを手早くする。
ようやく片付いて一つ息を吐いた所で園内を汚れた足で数匹の猫が走り抜けていく。
その後を元気の塊といった感じの少女、美緒が一緒に走っていく。
裸足のまま外を走り回り、そのまま室内へと飛び込んだ所為で拭いたばかりの床が美緒と猫の足跡で汚れていく。

「ああ、勝手に猫を入れたら駄目だって言っただろう美緒ちゃん。
 それと、足、足を拭いて! ああ、もう」

美緒たちの後を雑巾片手に床を拭きつつ追いかける。
ようやく捕まえた美緒にもう一度言い聞かせ、猫たちを外にやると美緒の足を拭いてから室内に入れる。
思わず零れそうになった溜め息を飲み込みながら、汚れた床を拭く耕介の耳にガラスの割れる音がする。
すぐにその音の元へと向かえば、割れたガラスの傍で大人しそうな少女が目に涙をためて耕介を見てくる。

「ご、ごめ……」

「ああ、大丈夫だから。それよりも、美由希ちゃんは怪我はない」

「うん」

「どうしてガラスが割れたのかな?」

危ないから美由希たちを割れたガラスの傍から遠ざけ、破片を集めながら美由希に尋ねるのだが、
耕介はすぐに原因らしきものを割れたガラスの中から見つける。
木で出来た細長い棒のような物で、恐らくはこれがぶつかったのだろう。

「これ美由希ちゃんのかな?」

「う、うん。ごめんなさい」

「あはは、それを投げて割れたのかな。
 今回はガラスで他に人も居なかったから良かったけれど、それが人に当たってたら危ないよ。
 だから、投げて遊ぶのならボールにしようね」

言ってガラスを片付けてボールを美由希に渡してやる。
それを受け取りながら、美由希は少しだけ不満そうな顔を見せる。

「遊びじゃないもん、たんれんだもん」

「そうか、そうか。でも、危ないからここではしないようにね」

「うん」

美由希の言葉を肯定し、その上で釘を刺しておく。
耕介の言葉に納得したのか、美由希は素直に頷くとボールを手に走り去っていく。
その背中を微笑ましく見守る耕介であったが、再び園児の悲鳴じみた声が聞こえてくる。

「せんせー、おしっこ」

「ああ、はいはい。すぐに連れて行くから、もう少し我慢してね勇吾くん」

やって来た勇吾を抱えてトイレに連れて行く。
それが済んだ耕介の下へとまた一人やって来る。

「先生、お歌、お歌」

「ああ、お歌の時間はまだだよ。今は外で遊ぼうねゆうひちゃん」

「うち歌いたい〜。先生のいけず〜」

「えっと、ああ分かったから落ち着いて」

ゆうひに玩具のマイクを渡すと、それで満足したのかゆうひは一人で歌いだす。
その後も続く園児たちの声に走り回り、流石に少し疲れたかなといった所で昼寝の時間となる。
ここでも中々寝付かない園児などもいたが、ようやく全員が大人しく眠りだす。
それを見届けて耕介は部屋を出て一休みとばかりに腰を下ろす。
この時間にするべき事は色々とあるのだが、少しだけ休憩とばかりに。
そんな耕介の手元に湯飲みがそっと差し出される。

「お疲れ様です、耕介先生」

「ああ、ありがとう恭也くん」

自分も手に湯飲みを持ち、耕介の隣に座る恭也。
礼を言う耕介にいえ、と短く返し美味しそうにお茶を啜る。

「ふぅ。今日も大変でしたね」

「いや、そんな事はないよ。子供はやっぱり元気なのが一番だからね。
 それに子供は好きだから」

「そうですか。でも、だからこそ皆も耕介先生を慕っているんでしょうね」

「そうだと嬉しいな」

恭也の言葉に本当に嬉しそうな笑顔を見せ、お茶を一口啜ると不意に真面目な顔を見せる。

「ところで恭也くん」

「はい、何でしょか」

「今はお昼寝の時間なんだけれど? どうして君は起きているのかな」

あまりにも自然な態度や雰囲気だったためにそのまま流してしまいそうになった事など微塵も出さず、
耕介は目の前で湯飲みを傾ける少年、恭也を見詰める。

「いえ、この時間にあまり寝る習慣がないもので。
 それに昼寝をすると夜に寝れませんから。ああ、僕の事は気にせずお仕事を続けてもらって構いませんので。
 僕はここで大人しくお茶を片手に日向ぼっこでもしてますから」

「いや、そう言われても……」

子供かと疑いたくなるような態度でお茶を啜る恭也を何とも言えない表情で見遣り、
耕介はさっきまでとは違う意味で溜め息を吐くのだった。







しかし、今年の冬は言うほど寒くないような気がするな。

美姫 「確かにちょっと温い気がするわね」

だろう。まあ、偶にもの凄く冷え込んだりするけれど。
それにしても、何か冬! って感じがあまりしないかも。

美姫 「まあ、これから冷え込むでしょうけれどね」

果たして、本当にそうかな。
このまま温いまま春が、なんて事になるかもしれないぞ。

美姫 「そうなると、本当に冬という気がしないかもね」

だろう。まあ、それなりに寒くはなってはいるんだけれどな。

美姫 「去年はどうだったかしらね」

流石に寒かったとは思うが、この時期どれぐらいだったかまでは覚えてないって。
寒くなると風邪とかの心配も出てくるが、それでも冬なら寒くないと駄目だよな、うん。

美姫 「暑いのは苦手だもんね、アンタ」

ああ。なので、折角来た冬だ。やはり寒さ恋しだよ。

美姫 「とは言え、急に冷えたら文句言いそうだけれどね」

はっはっは。
まあ、何はさておき今週も後少しでお終いだな。

美姫 「そうね〜。私としてはアンタにもっと書かせたかった」

うっ。まだ言いますか。

美姫 「言いますとも」

うぅぅ、言葉一つ一つが鋭い刃となって俺の心をずたぼろに切り裂くのですよ。

美姫 「それでも止めない私♪」

いやいや、滅茶苦茶楽しそうですよ!

美姫 「や〜ね〜、ちょっと本音と建前を逆にして出しただけじゃない」

つまり、さっきのが本音ですよね!

美姫 「あ、時間だ」

わざとらし過ぎるっての!

美姫 「やっぱり?」

ったく。まあ、既に諦めの境地だから良いんだけれどね。

美姫 「そこで悟られてもね。と言うか、元を辿ればアンタがちゃんと更新すれば問題ないんだけれどね」

ぐっ。おおう、そろそろ時間だな。

美姫 「そっちこそわざとわしいわよ」

ぐぬぬ。

美姫 「はいはい、おバカはこれぐらいにして、本当に時間よ」

だな。それじゃあ、今週はこの辺で。

美姫 「それじゃあ、また来週〜」


12月12日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、寒くなったり暖かかったり! とお届け中!>



早いもので今年も……、と言う前に。

美姫 「クリスマスよね」

みたいだな。
ちらほら、どころか結構クリスマスっぽいのを見かけるようになってきましたな。

美姫 「本当よね。サンタさん、私は国宝級の刀が欲しいです」

サンタに何を願っている! 以前に最早プレゼントを貰うような年でも――ぶべらっ!

美姫 「ふっ、女の子はいつまで経っても夢見る乙女なのよ」

な、何か違わないか。それ以前に、年は兎も角としてお前の何処が良い子――ぶべらっ!

美姫 「どこからどう見ても良い子でしょうが。この品性……」

良い子がプレゼントに刃物なんて強請るか!

美姫 「最近は物騒だから護身用よ」

過剰防衛だろうが、お前の場合――ぶべらっ!

美姫 「目に見えない言葉の暴力に対しては、これぐらの防衛は必要よね」

う、うぅぅ。何故に初っ端からHPはもう0よ! 止めてあげて! みたいな状態に……。

美姫 「いやいや、まだ0じゃないでしょう」

って、やめ――ぶべらっ!
いやいや、今のは何故に!?

美姫 「それじゃあ、今週も元気にCMいってみましょう!」

って、何気にいつもより酷くない?







それは昔、昔のお話。
御伽噺として語られる事もなく、誰からの記憶からも忘れ去られるほどの遠い昔話。
けれども、確かに実在した物語――



その力は天を裂き、地を割り、光さえも闇に飲み込む。
ただその者が現れるだけで、空気までもが震える。
美しくも恐ろしい力を持った存在、それが魔王。

≪どうじゃ、少しは我の偉大さが分かったか≫

「とりあえず、お前がまだこの世界の常識を理解していないという事はよく分かった」

≪ぐぬぬ、家来の癖に生意気な≫

「勝手に家来にするな」

頭の中で響く異世界の自称魔王レミアから、元の世界での話を聞いた、
いや、無理矢理聞かせられた恭也はげんなりした表情を隠そうともせず、疲れの滲む声を出す。
いきなり頭の中というか、勝手に融合してくれた魔王レミアに言いたい事はそれこそ色々とあるが、
何よりもまずこの世界の常識を学べと言いたい。
このレミア、魔王と名乗るだけあってか、すぐに世界征服だの、残虐しろだのと恭也の頭でがなりたてる。
正直、鬱陶しいことこの上ない存在である。
だが、身体の主導権が恭也にある故に、すぐさま実行するような事がないのは救いだろうか。
頭で響く声もどうやらある程度は調整できるらしき、恭也の意志で端に追いやる事も出来た。
尤も、それをすると後で散々喚かれたりして余計に鬱陶しいのだが。

≪ぬぬ、やはり我が手足となる配下が必要じゃな。恭也、とりあえずは竜族を狩るぞ≫

「はぁ、何度も言わせるなレミア。ここはお前の居た世界と違――」

口を開きかけた恭也であるが、部屋に近付いてくる足音に口を噤み、続く言葉は脳内で伝える。
恭也の言葉に現状を思い出したのか、レミアからは落胆したような声が返ってくる。

≪全くもって不可思議な世界じゃな……≫

その呟きに答える事無く、恭也は部屋の前で立ち止まった気配へと声を掛ける。

「何か用か、美由希」

「あ、うん。ちょっと走ってくるけれど、恭ちゃんはどうするかなと思って」

「そうだな……」

少し考え込む恭也の脳裏に、またしてもレミアの嘲笑が響く。
それに若干顔を顰める恭也だが、それにも構わずレミアはひとしきり笑うと嘲るような口調で言い捨てる。

≪今更、お主が鍛錬のために走った所で何がどうなる。
 既にその身は人ならざるものと変じておるのじゃぞ? その程度の鍛錬など意味あるまい。
 そうじゃ、強くなりたいのなら実戦が一番じゃ。我自らが力の使い方を教えてやろうではないか。
 と言うわけで、近くの城へと攻め込め≫

≪だから何度も言わせるなよ、レミア。
 俺は世界を征服しようなんて考えていないし、お前の世界と色々と違うんだ≫

≪そうであったな。じゃが、城はなくとも国に喧嘩は売れるじゃろう。
 いきなり一国を相手にするのがあれなら、そうじゃな最初は力に慣れるためにも、
 お主の言っておった騎士団みたいな国を守る部隊に喧嘩を売ろう。少々不満だが、それで我慢してやろう≫

最早、こいつには何を言っても無駄だと悟り、恭也は無言で立ち上がると部屋の扉を開く。
恭也の返事を待っていた美由希は突然開いた扉に少しだけ驚きつつ、
恭也も一緒に行くという返事に頷くと先に外で待っていると残して去って行く。
その背中を見送り、恭也は一旦自室へと戻るとトレーニングウェアに着替える。
その間も頭の中では、無視するな、とか、下僕のくせにといういつもの言葉が響くのだが、それらも無視する。

≪分かった。なら、お主の妹を我が配下にしてやろう。
 これならお主も文句あるまい。まあ、戦力としては少々物足りないが、なにそこは鍛え方次第じゃ。
 場合によっては我の秘術で人の身を捨てさせれば良いしな。これでどうじゃ?≫

≪最初に言ったはずだぞ。俺の家族や友人に手を出すなと≫

≪だから、我が配下にしてやると言っておるではないか。
 何が不満なんじゃ≫

≪とりあえず、お前はもっとこの世界の常識を知れ≫

≪貴様、我に命令するか! 下僕のくせに生意気な!≫

≪あー、はいはい。魔王様、この下僕めは忙しい故に少しお静かにお願います≫

言うなりレミアの意識を片隅に追いやる。
なにやら文句を並び立てているようではあったが、既に端に追いやったために殆ど聞こえない。
ようやく恭也はすっきりした顔をして部屋を出るのだった。



その日の夜、頭の中で反響する声に眠りを邪魔され顔を顰める。
最初は気のせいかと思っていたのだが、意識しだすと途端に現実めいた肉声を持って頭の中で暴れ回る。
流石に我慢できなくなり身体を起こす美由希。

「うぅ、一体なに?」

≪おお、やっと身体が動かせたわ。なら、早く魔王さまを探しに行かないと≫

「……うん、今日は疲れているかね。きっと幻聴だよ」

言って夢だと再び布団へともぐりこもうとするのだが、そこに戸惑ったような、驚いたような声が響く。

≪な、違うわよ。私は起きようとしたのに……。
 って、どうして思うように動かないのよ!≫

「……あ、あのー、お、お化けとかじゃないよね」

頭の中で響く声はすれど姿も気配も見えない相手に美由希は半分涙目になりながらも訪ねる。
同時に枕元にあった携帯電話を手に取り、那美のアドレスを呼び出す。
一瞬、夜中に迷惑かなと思い、指は最後のボタンを押さずに止まる。

≪もしかして、貴女、意識があるの? ちょっとどういう事よ、これ。
 まさか、復活を予兆して予め何らかの魔術でも施していたというの!?≫

「う、うぅぅ、やっぱり声がするよ。お、お化けは嫌……」

最早悩んでいる暇などなく、美由希の指は躊躇う事無く那美へと。
そこへ部屋をノックする音がする。
心臓が飛び出るぐらいに驚き、文字通りベッドの上で飛び跳ねる美由希。
だが、続いて部屋の外から聞こえた恭也の声に安堵し、同時に部屋に入ってきてくれるように頼み込む。
先程の驚きで少し腰が抜けて、力がろくに入らないのだ。
呆れられるか怒られるか、そんな考えよりもやはりお化けに対する恐怖の方が大きかった。
一方の恭也も美由希のいつにない声音にすぐさま部屋に入る。
見れば、美由希は怖い夢でも見たかのように目の端に涙を浮かべて縋るように恭也を見てくる。
まるで小さい頃を彷彿させる様子に思わず苦笑を浮かぶも、美由希の傍に近付く。
恭也が傍に来るなり、美由希は恭也の腕を掴み、

「きょ、恭ちゃん、おば、お化けが。わ、私の傍にいるの。
 今日は恭ちゃんの部屋で寝て良い? と言うか、お願いだからそうさせて!
 あ、あと一緒に寝てくれるともっと嬉しいんだけれど。うぅぅ、また声が聞こえてくる」

最後の方は涙声にまでなりながら一気に言ってくる美由希を見詰めながら、
恭也はここに来る事となった原因であるレミアへと質問を投げる。

≪で、どうなんだ。人の睡眠を邪魔してまで俺にここに来るように言ったのはお前だぞ≫

≪少し待て。…………ふむ、やはりな。こやつの中には間違いなく我の腹心、シルフィアが存在しておる。
 しかし、どうやらシルフィアの奴も我と同じ状況のようじゃな≫

レミアの言葉に溜め息を吐くも、それは美由希が自分に対してだと受け取る。
いつもならそこで引き下がるか、落ち込んだようにぼやくのだが、今回はいつもとは違っていた。

「うぅぅ、信じてない。本当に声が聞こえるの〜。
 今日だけ、今日だけだからお願い〜」

本気で怖がっている美由希を眺めつつ、恭也はとりあえず落ち着かせようとするのだが、
美由希は中々落ち着かず、仕方なく恭也は部屋へと連れて行く。
その間も声が聞こえるのか、美由希は後ろを振り返ったり、周囲を忙しなく見渡す。
見かねた恭也が美由希の中にいるシルフィアへと話しかける。

「シルフィアだったか? 少し黙っていてくれ。話が全く進まない」

自分の名を呼んだ恭也に驚くシルフィアであったが、何かを感じ取ったのか急に静かになる。
その事に不思議そうな顔をする美由希を連れ、自室へと戻るとそこで恭也はゆっくりと話し始めるのだった。



「えっと、つまり私の中にその何とかっていう人が……」

≪何とかじゃなくてシルフィアよ。それと、人じゃなくて魔族≫

「うぅぅ、何か可笑しな気分……」

「その内慣れる」

経験者は語る、である。
美由希は恭也の順応能力の高さに呆れつつ、シルフィアがせがむので魔王との会話の橋渡しをする。

「本当に魔王が恭ちゃんの中に居るのかって聞いているけれど」

「いるぞ。と言うか、少々面倒だな。何故、俺たちの貴重な睡眠時間を削ってまで、
 世界征服などと馬鹿げた事を言う奴らとの通訳めいた事をせねばならないのか」

喚くレミアに顔を顰め、美由希の方でも何か言われているのか若干顔を顰めている。

「ああ、もう本当に煩いな。恭ちゃん、那美さんに頼んでお払いとかしてもらえないかな」

「無理なんじゃないか。レミアが言うには融合しているみたいだからな。
 二つの液体が混ざっているようなもので、元には戻せないと言っているぞ」

美由希の問い掛けに返しつつ、恭也はいい加減やり取りに疲れ始めてきていた。
もう後は勝手にやってくれという心境で、美由希の方も同じらしくげんなりした顔をしている。

≪おお、そうじゃ。ちょっと待て≫

何かを思い出したのか、ぶつぶつとなにやら呟くレミア。
全て言い終えて、これでどうだと宣言するも特に変わった様子はない。

≪ぬぬ、ええい、お主我の言った通りに言え。それと、自身の中にある魔力を感じて……≫

レミアに言われた通りにするのに不安はあったが、現状を解決する手段と言われて試してみる。

≪ええい、違うわ! 何度言えば分かる。そこで魔力を編み上げて……!≫

「その魔力が分からないと言っているんだ!」

そんなこんなで三十分ほどが経過し、ようやくレミアの満足のいく結果へと落ち着く。

≪くっ、このような初歩的な、それも我の眷属と念話するだけという本来なら手順も何もいらない魔術ごときで……≫

「知るか。何度も言うが俺には魔術なんて言われても――」

≪魔王さま!≫

恭也の言葉を遮るように、新たな声が恭也の脳裏に響く。
対し、美由希の方にも魔王の言葉が伝わったのか驚いたような顔を見せる。
困惑する二人をよそに、魔王とその腹心であった魔族との再会が繰り広げられる。

≪目覚めてすぐに会えるなんて思ってませんでした。この喜びを何と言えば……≫

≪ああ、本当に懐かしいの。しかし、互いに自由にならぬ身とは口惜しいな≫

「……現状解決の手段と言っていたな。
 確かに通訳する必要はなくなったが、お前ら二人の声が聞こえる時点で迷惑なんだが」

「うん。何とかならないの?」

≪もう、折角の魔王さまとの再会なんだから邪魔しないでよ。貴女、そこの男に抱き付きなさい。
 本当なら魔王さまじゃないのに抱き付くなんて嫌なんだけれど我慢してあげるわ。
 一応、魔王さまの身体でもあるのだしね≫

「ふぇぇっ! い、いや、抱き付くって、そんな事を言われても……」

顔を赤くして困惑した顔を恭也へと向ける美由希。
対する恭也も困惑した顔を見せるも、美由希より幾分早く立ち直ると、

「残念ながら、身体は俺たちのものなんでな。そんな提案は却下だ」

≪良いじゃない、少しぐらい。本当に融通が利かないわね。
 ああ、こんな男の中に居るだなんて、魔王さまおいたわしや≫

≪やはり、お主は我の苦労を分かってくれるか。全くこやつと来たら……≫

「煩いぞ」

いい加減二人のやり取りにも飽きたのか、恭也はレミアを追いやる要領でシルフィアを追いやる。
すると、今まで聞こえていたはずのシルフィアの声が聞こえなくなった。

「ほう、これは便利だな」

≪お、お主あれほど魔術に梃子摺ったくせに遮断だけは何故、こうも手馴れておる!≫

「いや、俺も出来るとは思わなかった。単に邪魔だからこう糸電話の糸を切るようなイメージだったんだが」

≪……益々、お主の事が分からんわ。まあ、良い。今の我は機嫌が良い故にな。
 くっくっく、今までは散々恭也に邪魔されてきたが、それも今日までよ!
 明日からは好きにはさせぬぞ。我が腹心が復活した今、我を止めても意味など成さぬわ!≫

「美由希、始めに話したようにこいつらの目的は世界征服らしからな。
 こいつらから言われた事をそう鵜呑みにするなよ」

「う、うん、それは分かったけれど……」

頭の中で何か言われているのか、煩そうに眉を顰める美由希。
それを見ながら、恭也は睡眠を邪魔してくれたレミアへと少しだけ仕返しをする。

「そうそう、レミア。今日までと言った以上は、今日一日は大人しくしておけよ。
 とっくに日付は変わって今日になっているんだからな。
 少なくとも今から20時間以上は静かにしていると分かれば、これほどの安心もない」

≪貴様はすぐにそうやって屁理屈を、って、人の話を聞け! おい、こら、きょ――≫

レミアをからかうだけからかって後は無視を決め込む。
その間に美由希の方もシルフィアと何やら話していたらしい。

≪そんな訳で、不本意だけれど魔王さまのお世話をする役を貴女に任せるわ。
 これもまた不本意だけれど、お世話する対象は厳密には魔王さまではないみたいだけれど……≫

だったら何もしなければ良いのにと反論しようとするのだが、

≪ああ、以前の魔王さまとは似ても似つかないお姿。まあ、少しはましなのが救いと言えば救いだけれど。
 それにしても、私の方も身体付が変わってしまっているし……。
 嘆いていても仕方ないわね。美由希だったわね。
 貴女、今日は魔王さまも慣れない身体で魔術を行使してお疲れでしょうから、床に着く様に進言しなさい。
 私も疲れたから、魔王さまが床に着いたら、魔王さまに寄り添って共に床に――≫

≪えっ! そ、それってつまり恭ちゃんと一緒に……って事?
 あ、でもでも、仕方ないよね、うん。私じゃなくて魔王とその配下としてだものね≫

驚きのあまりか、それとも恭也に聞かせられない話だからか、
いきなり口にださずにシルフィアとの会話を成功させる美由希。
その事に魔術師としての適正が美由希の方が高いのかと思い込むシルフィアであったが、
そんな事はお構いなしに美由希は恭也へと寝るように進言していたりする。

「そ、それと恭ちゃん。初日で何があるか分からないから、一緒に寝ても良い?」

そう尋ねて来る美由希に恭也は少しだけ考え、仕方ないと布団を譲ってやる。

「いや、でも、それだと恭ちゃんはどこで寝るの」

「一日ぐらいなら布団なしでも問題ないから気にするな」

「気にするよ。えっと、ほら私は端の方だけ借りるから……」

などとレミアやシルフィアそっちのけで恭也と交渉する美由希だった。



高町恭也の魔王物語2







それにしても、急に寒くなったと思ったのに、ちょっと暖かい日が続いたり。

美姫 「確かに、こんな調子だと体調も狂いそうよね」

だよな。
まあ、それでも今年の冬は全体的に冷え込む見込みらしいぞ。

美姫 「防寒はしっかりとしないとね」

ああ。何をするにも健康体じゃないとな。
健康体じゃないと!

美姫 「強調しなくても分かっているわよ。そんなに私の心配をしなくても大丈夫よ」

いや、そうじゃなくてですね。
健康体、つまり、病気だけじゃなくて怪我もなく……。

美姫 「だから、大丈夫だって。勿論、気をつけるに越した事はないけれどね」

いやいや、美姫の身体じゃなくて俺の――ぶべらっ!

美姫 「だから分かっているって言っているじゃない。ほら、私のこの通り健康よ」

う、うぅぅ。俺は既に健康じゃないです。

美姫 「師走だからって本当に慌てて走るからよ」

いやいや、俺何もしてませんでしたよね今!

美姫 「あ、もう時間だわ」

また、このパターンで行くのか……。

美姫 「今年いっぱいわね」

じゃあ、来年は違うのか?

美姫 「さあ? 今からそんなの考えても仕方ないじゃない」

その目はこのままで行くつもりだな!
少しは――ぶべらっ!

美姫 「ほら、ごちゃごちゃ騒いでないで、さっさと恒例の挨拶しなさい」

う、うぅぅ……。世はいつも無情なり。
それじゃあ、今週はこの辺で。

美姫 「また来週〜」


12月5日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、パンパカパーン! とお送り中!>



祝……。

美姫 「200回放送〜」

遂に200に到達〜。

美姫 「うんうん、よく頑張ったわ」

思えば遠い道のりのような気もするが、最近だったような気もするな。

美姫 「日々、胸を痛めつつも頑張って浩を叱責した甲斐があったというものよ」

いやいや、思いっきり楽しんでましたよ。
しかも、叱責というよりは暴力と言った方が……。
えっと、200回おめでと〜!
美姫のお蔭だよ、うんうん。

美姫 「分かれば良いのよ。この調子でまだまだ上を目指すわよ」

……そろそろ俺を楽にしてあげようよ。

美姫 「何、甘えた事を言っているのよ!」

ぶべらっ!
え、えぇっ! 今の何処にぶつ要素が!?

美姫 「気分よ!」

うわ〜い。まったくもって予想通りかつ、変わらない発言をありがとう。

美姫 「あら、お礼を言えるようになったのね。成長したわね〜」

勿論、皮肉だよ!

美姫 「それじゃあ、次は跪いて頭を垂れなさい」

聞けよ、俺の話!
って、無理矢理頭を押さえつけるな! ふみぎぃぃ!
ふ、踏むな! って、や、やめ、は、鼻がつぶれるぅぅ!
って、本気で痛いわっ!

美姫 「冗談じゃないの」

冗談で俺の鼻はこんなに赤くならねぇ!

美姫 「あら、トナカイみたいね。丁度、12月だし良かったじゃない」

なにがっ!
俺の鼻を地面に無理矢理擦って赤くしてくれてありがとう、と言えと?

美姫 「そんな礼には及ばないわよ」

って、だから礼なんて言ってねぇ!

美姫 「もう煩いわね」

いやいや、色々とおかしいですから!

美姫 「可笑しいのなら笑いなさい」

あーはっはっはっはっはー! あーはっはっはー。
って、何でだよ!

美姫 「いつになくテンション高いわね」

いや、だからね……。う、うぅぅ、もう良いです。

美姫 「さて、落ち着いたところでCMに行ってみよ〜」

シクシク。







ゼロの神殺しと救世主



ギーシュとの決闘から明けて翌日。
朝食を食べるために食堂へと向かう恭也の前に一人の女性が立ちふさがる。
燃えるような赤い髪を指先で弄りつつ、大きく開かれた胸を強調するように恭也へと近付いてくる。
訝しげに見遣る恭也に手を伸ばし、その腕を胸へと引き寄せる。

「あなた確か、キョウヤと言ったわよね。あたしはキュルケ。二つ名は微熱よ」

流し目を送りながら身体を密着させ、恭也の肩に頭を寄せる。
恭也が戸惑っているとキュルケとの間にルイズが割って入ってくる。

「ちょっとツェルプストー! 人の使い魔になに手を出しているのよ!」

「仕方ないじゃない。あたし、彼に恋しちゃったんだもの。
 二つ名の微熱は情熱のことなのよ」

「へ、へー、使い魔相手に恋とは、流石は色ボケのツェルプストーらしわね」

「あら、使い魔といっても人よ」

「だとしても、平民相手に……」

「そんなもの関係ないわ。恋と炎はフォン・ツェルプストーの宿命。
 彼がギーシュを相手にした時、あたしの心には熱い恋の炎が」

二人が言い合いを始めたのを見て、恭也は掴まれていた腕を外すと二人から離れる。
だが、それに気付いたキュルケが更に恭也へと迫ろうとして、そこで動きを止める。
突然動きを止めたキュルケへと訝しげに見ていたルイズであったが、すぐにその理由を察する。
恭也の後ろから美由希たちの視線がキュルケだけでなくルイズにも注がれており、
そこに込められた無言の威圧に流石に二人も僅かに身を引く。
当然、美由希たちの無言の抗議は二人だけでなく、恭也にも向けられるのだが、
当の恭也はキュルケの冗談にそこまで本気で起こらなくても良いだろうという顔を見せる。
いつもの事とはいえ、呆れるしかない美由希たちであったが、気付いていないのなら逆に好都合と考え、
特にその勘違いを正すことなく恭也の周りに集まり、二人から隠すように取り囲むと食堂へと向かうのだった。



 ◇ ◇ ◇



この世界の魔法に興味を覚えたのか、ルイズの授業にリリィとベリオ、ルビナスは参加している。
尤もルビナスの方はいざ戦闘となった時の対処法を考えるためといった感じであったが。
そんな訳で、特に興味のない者たちは適当に時間を潰すべく中庭の一角で何をするでもなく過ごしていた。

「うぅ、こっちの文字を覚えようかな」

図書館からいつの間にか借りてきた本を手に、涙する美由希。
どうやら本の虫は健在のようで、恭也としては苦笑をするしかないのだが、
美由希を主とするイムニティは美由希の真剣な声に講師役を買って出る。
流石はあらゆる知識を持つ白の書である。感謝する美由希に嬉しそうに早速文字を教え始める。
それに付き合う未亜とやはり勉学家なのだろう、クレアも参加する。

「私はこの中では最も戦力的には弱いからな。
 いざという時の為にも文字は覚えておいた方が良いだろうと思ったまでよ」

恭也が見ているのに気付き、またその表情から疑問を感じ取ったのかクレアはそう言う。
それに感心しつつ、恭也は頑張れと声援を送ると勉強はごめんだとばかりに寝転がる。
それに付き合うのは、この師匠にしてこの弟子ありとも言えるカエデで、
こちらもまた勉強という事に嫌な顔を見せる。
マスターである恭也の傍に控えるリコと共に、こちらもまただらけるように寝転がる。
そんな一同を見渡し、ロベリアは呆れたような顔を見せる。

「美由希、だけじゃなく恭也たちも気付いていないみたいだけれど、
 私たち召還器を持つものは異世界の言葉を勝手に理解しているんだぞ。
 つまり文字なんて一通り読めば、自然と理解する。と言うより、脳内で勝手に変換しているはずだ。
 まあ、だからと言って無理に勧めはしないさ」

言ってロベリアも寝転がると吹き抜ける風に気持ち良さそうに目を細める。
それを実証するかのように、美由希と未亜から感嘆の声が上がる。
イムニティに一度教えられた文字は次からは自然と読めたのだ。
だが、二人だけでなくクレアからも同様の感嘆の声が上がり、当然のように疑問が浮かぶ。

「ロベリア、どうして私にも同じような現象が起こっておるのじゃ?」

「そりゃあ、貴女も召還器を持っているからでしょう。
 まだ目覚めては居ないみたいだけれど、そもそも言語とかはおまけみたいなものだからね。
 半覚醒状態でもそれぐらいなら効果を発揮するんでしょう」

さらりと言われた衝撃的な内容に驚くクレアに、イムニティやリコの方が驚いたような顔を見せる。
それはクレアも召還器を持っていたという事に対してではなく、
クレアがそれに気付いていなかったのかという事に対してであった。

「そもそも、どうしてクレアさんにしか魔導兵器が操作できないのか――」

「つまり、血として召還器が受け継がれているのよ。
 もっとも、レベリオンなどの魔導兵器を操作する能力に特化という召還器のために、
 本人も気付かないぐらいに弱い力しか持っていないみたいだけれど」

「つまり、呼び出しても恭也たちのように身体能力が上がったりはしないと」

「そこまでは分かりませんが。そもそも呼び出せるかどうか」

「アルストロメリアがどうやってそんな事を可能としたのかは分からない……、
 もしかしたら、元からそういう召還器だったのかもしれないわね。
 流石の私たちも召還器の全てを知っている訳ではないのよ」

「だから、召還器があると思って油断するのは止めておいた方が良いでしょう。
 クレアさんは今まで通りにしていた方が」

リコとイムニティが交互に説明するのを聞き、クレアは納得したように数回頷き、
こちらを見ていた恭也と視線が合うと微笑を見せる。

「そうじゃな。まあ、ここで何かが起こるとは限らないが、
 そうなったとしても無理に戦場に出ては足を引っ張る事になるじゃろうしな。
 私は今まで通りに大人しくしていよう。それに、好きな男性に守ってもらえるというのも、これはこれで良い」

クレアの最後に放った言葉にイムニティ以外が反応する中、不意に声が掛けられる。
そちらを見れば、先日ギーシュに絡まれていたメイドのようで、その事について礼を言いに来たらしい。
シエスタと言うらしいメイドは興奮したようにメイジに勝つ事の凄さを語ると、最後にもう一度礼を言って去って行く。
その後姿を見送ると、美由希たちは途端に輪になって顔を寄せ合う。

「今のどう思う?」

「拙者の意見としては黒に近い灰色といった感じでござるが」

「私は完全に黒だと思いますが……」

美由希が発した主語がないような質問に、しかしカエデとリコはすぐさま答える。
三人がそろって残る三人へと視線を向けると、

「正直、私も黒だと睨んでいる。そもそも礼を言うのなら、最初に庇った私たちにも言うべきだろう」

「ロベリアの意見に賛成じゃな。
 尤もお主らが最初に庇ったかどうかは少々怪しい故、その件の礼云々という理由ではないがな」

「私もクレアさんの意見に賛成かな。あの顔は憧れを通り越しているような気がするよ」

六人で輪になってこそこそと話し始めた美由希たちを見て、恭也は何をやっているんだかと肩を竦める。
傍から見れば怪しい光景にイムニティは少しだけ頭を抱え、元凶である恭也を睨みつけるのだった。



 ◇ ◇ ◇



午前の授業も終わり昼食も終えた一同はまた同じように時間を潰していた。
そこで、ふと恭也は思い出した事があってリコに話しかける。

「リコ、飛針や鋼糸を補充したいので一旦、元の世界に戻りたいんだが」

それを聞き、リコは謝りだす。
言うのを忘れていたと前置き、

「咄嗟のことで元の世界にポイントを置く暇もなく飛んだために、すぐには戻れません。
 本当にすみません、マスター」

そもそも世界を単独で超えるという事だけでも相当の技量がいるのだ。
リコはそれに加え、イムニティと力を合わせたとしても美由希たち全員と跳躍したのだ。
慌てていた上に急いでいて、そこまでの余裕はなかったのだろう。
恭也はそんなリコを責める事はなく、慰めるように頭を撫でてやる。

「まあ、以前のようにルインの鞘がないという部分はルイン自身のお蔭で問題なくなっているからな」

「あ、そう言えばそれ不思議だったんだ。恭ちゃん、ルインを呼び出したとき、鞘も呼び出せるじゃない。
 どうしてなの?」

「さあ、俺も詳しくは知らないな。
 ただ、以前作った鞘だけを持ち歩くのも変だし、元の世界でルインを使う事もないだろうと思っていたんだが。
 ある日、ルインが呼んでくれと言うので呼んだら鞘も付いていた。
 抜刀が出来ないと困るだろうからと言っていたが、どうやったのかは聞いてないな」

「ルインは少々特殊な召還器ですからね」

「そうだな。それに、美由希の召還器だって鞘があるだろう」

「うん。龍鱗が目覚めた時に何故かセリティにも鞘が」

二人揃って今更ながらに顔を見合わせ、困るどころか寧ろ戦術の幅が広がったから良いかと頷き合う。
こちらの師弟もやはりこういう所はよく似たものである。

「とは言え、飛針や鋼糸は消耗品だからな」

「代用出来る物を探すしかないね」

恭也と美由希が自分たちの武装の件で話していると、クレアが思いついたように言う。

「なら、街にでも出てみるか。聞いた話ではここから馬で二時間ほど行けば街があるらしいからな。
 恐らく武器を売る店があるやもしれんぞ」

「はぁ、これだから元王族ってのは。
 例え武器屋があったとしても、私たちには肝心の金がないんだよ。
 それでどうやって買うつもりだい?」

ロベリアの言葉にクレアだけでなく恭也や美由希までも小さな声を漏らす。
どうやら、この二人もすっかり失念していたらしい。
勿論、お金を払うという事は理解していたが、異世界という事を忘れていた。

「よく考えたら、こっちは使い魔として雇われているんだから給金を貰ってもいいはずだと思うんだけれど。
 よし、あのコルベールとかっていう教師か学園長に貰おう」

そう言って今にも走っていきそうなロベリアの腕を咄嗟に掴む恭也。
その顔は明らかにこれ以上の騒動は勘弁してくれと物語っている。

「とは言っても、ロベリアの言うように文無しじゃこれから先困ることになると思うんだけれど」

イムニティもロベリアの意見に賛成とばかりにそう言う。
判断基準はあくまでもマスターである美由希と未亜優先で、今回は美由希の為であろうが。
他の者たちも口々に話し始め、結果として十分後に恭也たちの姿は学園長室にあった。

「ふーむ、話は大体分かった。まさか、そのような事になっておったとはの。
 所でものは相談なんじゃが……」

「使い魔の契約ならお断りします」

「そうか、それは残念じゃ」

即座に返した恭也の言葉に、しかし学園長であるオスマンは特にそんな素振りも見せずに言うと、
細めていた目を片方だけ開き、恭也たちを見る。

「とは言え、このまま知らん顔もできんか。
 フリとは言え、使い魔をしてもらっておるという事になるみたいじゃしの。
 ……本来ならミス・ヴァリエール自身に支払ってもらいたいのじゃが、致し方あるまいて」

言って杖を振ると部屋の隅にあった棚が開き、中から金貨の入った袋が宙を飛んでオスマンの手の中に納まる。

「丁度、明日は虚無の日で休みじゃて、これで必要な物を揃えると良い。
 足に関しても話は通しておこう」

オスマンの好意に礼を述べ、学園長室を後にする。
その話を授業に参加していたリリィたちにも話した所、一緒に話を聞いていたルイズも何やら考える素振りを見せた後、
自分も行くと言い出す。こうして恭也たちは街へと出掛けることとなったのだった。







それにしても、200回。されど、200回。
書けども書けども、我が待遇は改善せず。ただじっと耐えて掌を見る。

美姫 「そんな暇があったら手を動かせ!」

ぶべらっ!
な、何か最近益々、俺の扱いが酷くない?

美姫 「気のせいよ」

またそれかよ!
明らかに痛みを訴えているんですけれど――ぶべらっ!

美姫 「痛いみはそれ以上の痛みで感じなくなるわ」

いや、それだと更に痛いだけじゃ……。
と言うか、酷くない?

美姫 「さて、それじゃあ、そろそろ二本目のCMにいってみよ〜」

またこの扱い!?







「ここならあの連中も追っては来ないだろう。来たとしても、すぐには見つからないはずだ」

「ごめんね、お兄ちゃん」

「なのはの所為じゃないんだから、気にするな」

そう言って恭也はなのはの頭を撫で、なのははなのはで嬉しそうな顔をするのだが、
その雰囲気を壊すかのように、二人のお腹が盛大な音を立てて鳴り響く。
二人して顔を見合わせ、次いで自分の腹を見下ろすと声を揃えて呟く。

「「お腹が空いた……」」



なのはが魔王となってから逃亡の日々。
既にあれから何年経ったか。
よく分からない異世界で、恭也となのはの二人はこうしてまだ無事に生き抜き、
そして、今は極東の国はJAPANへとやって来ていた。
恭也の腰に下げた日本刀から女性の声が響く。

「恭也、なのは、始めにも言いましたがこのJAPANは今、各国の大名が争う群雄割拠の時。
 魔人たちもそう簡単に私たちを見つける事はできないでしょう。
 ですが、この地には――」

「確か妖怪が居るんだったな」

「ええ、その通りです。今更言う事ではないかもしれませんが、用心に越した事はありませんよ」

魔人を倒すための武器、聖刀日光。
この日光が居ればこそ、慣れぬ異世界でも何とかやってこれたのだと思っている二人は日光の言葉に頷く。

「それにしても、腹が……」

「わたしも」

二人してまたお腹を鳴らし、山道を進んでいく。
幾つかの山を越え、ようやく開けた平原へと辿り着くと役に立たなかった地図を取り出す。

「お兄ちゃん、あれ!」

現在地を確認しようと取り出した地図をすぐさま仕舞い込み、恭也はなのはが指差す先を見る。

「戦、か」

「そうみたい。でも、あの女の人一人しかいないよ」

「みたいだな。とは言え、山賊が相手と言う訳でもないみたいだし、
 迂闊に肩入れすればそれだけで相手側からは仲間だと思われるし、下手をすれば助けた側からも敵視される」

「うん、そうだよね……」

恭也の言葉に納得しつつも、なのはは顔を曇らせる。
その表情を見て恭也は小さく嘆息すると、既に恭也が下すであろう決断を予想していた日光が語りかける。

「恭也、一撃入れたらすぐにあの人を抱えて逃げましょう。
 上手くすれば顔を見られる事もないでしょうし、もしかしたらご飯ぐらいは頂けるかもしれませんよ」

恭也の決断を後押しするように発言してくる日光に胸中で礼を言い、
恭也はなのはを肩に担ぐと戦場へと走り出すのだった。

「毘沙門天の加護ぞある!」

声高らかに叫ぶと、女性は刀を抜き放ち大軍へと突っ込んでいく。
まるで舞でもしているかのように足運びは美しく、一撃を繰り出すたびに速度をあげていく。
鋭く早く、そして重い太刀筋に恭也は感嘆の声を漏らす。

(美由希以上、それどころか日光を手に入れる前の俺よりも強い)

それでも多勢に無勢だろうと女性の下へと向かう足を止める事無く進むのだが、

「……ひょっとして助けはいらないんじゃないか」

思わずそう零してしまうほどに女性の戦いぶりは凄いものであった。
近付くにつれ、向こうの方でも恭也たちに気付いたのか、時折矢が飛んでくるが、それを日光で打ち落とす。
女性も恭也の接近に気が付いたのか、新手の敵かと構えるのだが、敵ではないと宣言して近付いてきた者を斬る。
その言葉を信じたのか、それとも別の理由からか女性は再び大群へと向かって突っ込んでいく。

「……さて、どうしたものか。強引にでも連れ戻すか」

元々恭也たちの予定では女性を連れてこの場から離脱するつもりだったのだ。
だと言うのに、女性は更に本陣へと向かって行く。
思わず途方に暮れる恭也であったが、ここは戦場。
流れ矢とも言うべきものが肩に乗ったなのはへと飛ぶ。
それを打ち払い、仕方ないと女性の後を追って本陣へと攻め入るのだった。
それから数分後、撤退していく敵陣を見送りながら、恭也は日光を鞘に納める。

「どうやら本当に手助けはいらなかったみたいだな」

「いや、そんな事はない。ありがとう。私の名は上杉謙信と言う」

その名に驚きの声を上げそうになるも飲み込む。
何も元の世界の武将の名前だからと言う理由だからではない。
既にJAPANに来てから大体の情報は集めているのだ。
今更その程度では驚かない。二人が驚いた理由はその名前などではなく、その名を持つものの立場を知っているから。
故に驚く二人であったが、とりあえずはそれを隠して二人も名乗る。
改めて謙信と向き合い、恭也は何処にあれ程の力があるのか不思議そうに見詰める。
一方の謙信は恭也の顔をじっと見たまま、まるで動くという行動を忘れたかのように瞬きさえもせずに見詰める。
次いで顔を真っ赤にして、俯くともじもじと落ち着きを無くす。
本人も理由が分かっていないのか、不思議そうに自分の身に起こった現象に悩み出す。
恭也の方も急に俯いた謙信を心配して声を掛けるも、曖昧な返事しか返ってこない。
そんな状況を破るかのごとく、腹の音が三人分響く。

「「「お腹空いた……」」」

期せず、三人の声が重なり誰からともなく笑い出す。
この後、軍を引き連れて遅れてやってきた軍師を名乗る直江愛に謙信が説明をし、改めて礼を言われる恭也となのは。
そこでも三人の腹が鳴り、せめてものお礼にと待望のご飯にありつける事となるのだった。
これが軍神と呼ばれる上杉謙信と、魔人から逃亡を続ける恭也、なのはとの出会いであった。
そして、それは同時に恭也となのはがこのJAPANにおいて巻き込まれる事となる事件の幕開けでもあった。

戦国リトルプリンセスなのは 「時は乱世、群雄割拠」







それにしても、今年もあと一ヶ月だぞ。

美姫 「毎度の事ながら早いわよね」

本当に。今年を振り返るのはもう少し先にするとしても、めっきり寒くなってきて。
もうイヤッホー! だな。

美姫 「本当に寒いの好きよね」

まあ、限度はあるがな。
だが、寒いとコタツや鍋と色々と楽しいのも事実。

美姫 「確かにね。とは言え、こう急に冷えたりすると体調をくずしたりってのもあるかもね」

だな。身体には気をつけねば。

美姫 「皆さんもくれぐれも気を付けてくださいね」

うんうん。また今年もインフルエンザが猛威を振るいそうだしな。

美姫 「本当に体調だけはね」

さて、何はともあれ今年もあと僅か。
ラストスパートの如く、がんがんいくぜ! ……というかいきたいな〜。

美姫 「と言うか、やれ!」

ぶべらっ!
い、いい加減、身体がぼろぼろです。

美姫 「はいはい」

いや、軽くスルーする所違うし!

美姫 「まあ、もう良い時間だし、今日はこれぐらいにしておいてあげるわ」

わーい、って初めから殴らないという選択肢も偶には選んでください!

美姫 「分かった、分かった。前向きに検討しておくわ」

うぅぅ、全く信用できない言葉をありがとう。

美姫 「それよりも、締めるわよ」

へいへい。お蔭様で200回到達しました。

美姫 「これからも頑張りますので宜しくお願いします」

それじゃあ、今週はこの辺で。

美姫 「また来週〜」


11月28日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、いよいよ200回目前、とお届け中!>



いよいよ200回が目の前だぞ。

美姫 「驚きよね〜」

いや、本当に。
100回目の時にも言ったかもしれないけれど、まさかおふざけで始めたのがここまで続くとは。

美姫 「びっくりね」

うんうん。さて、200回を目前にして、何とこの方が
って、無理して来なくても良かったんですよ。いや、本当に――ぶべらっ!

美姫 「折角来てくれたゲストになんて事を言っているのよ!」

だ、だって、来る度に俺燃やされていないか?

美姫 「さあ? さて、この台詞で分かった人も居るかもしれないけれど、本日のゲストは……」

安藤さんの所から――ぶえらっ!

蓉子 「お久しぶりです、美姫さん。とりあえず、挨拶代わりに燃やしましたけれど」

美姫 「うん、OKよ。問題ないし、いい登場だわ」

蓉子 「ありがとうございあmす」

いやいやいや、可笑しいでしょう、それ!
と言うか、登場早々に何故に燃やしますか!?

蓉子 「え、だから挨拶って言ったじゃない」

美姫 「言ったわよね。全く人の話を聞いてないのかしら?」

いやいや、その反応違う!
と言うか、どうして俺が悪いみたいな雰囲気に!?

美姫 「あー、もう煩いわね。ちょっと黙ってなさい!」

ぶべらっ! いや、予想はしてたけれどね。
あんまりだよ。

蓉子 「と言うわけで、お土産です」

美姫 「あら、ありがとう」

それでは、ありがたく。

蓉子 「それでは……」

美姫 「CMで〜す」







 ――西暦2198年……。

太陽系外より飛来した謎の電磁波により、人類は未曾有の大災害に見舞われることとなった。
地球圏全域に吹き荒れた兇悪なECMの嵐によって、すべての電子機器が停止し、
デジタル媒体に記録されていた情報のすべてを破壊された人類は、
その文明の中枢たる電子の恩恵を完全に受けることが出来なくなってしまったのだ。
 しかし、文明のレベルを幾つか下げられながらも、人類が滅びることはなかった。

 ――西暦2203年……。

 復興を始めたとある町の一角に、忙しく動き回る数人の少女たちの姿があった。
クラシカルなエプロンドレスに身を包んだ彼女たちは、
IMO“国際メイド機構”災害救助部門より派遣されたレスキューメイドである。
 世界は未だ人々が電子文明の恩恵を受けるのが困難な状況にあって、
あらゆる状況下で主人を支えるべく様々な技能を修得している彼女たちメイドの存在は、
文字通り人類の支えとなっていた。

 ――西暦2248年……。

 未曾有の大災害から半世紀。
復興期に権力基盤の強化を果たした国際連合は地球連合と名を変え、地球圏全域をその支配下に納めつつあった。
 宇宙災害への対応と混乱期の犯罪対策に託けて、国連軍の設立と急速な軍備増強が進められ、
それらはスペースコロニー群を始めとする幾つかの国家や団体の独立運動に対する抑止力として用いられることとなった。
 そんな中、地球連合宇宙災害対策研究所のアーセン=フレドリック博士より、
新たな脅威の襲来を示唆する論文が発表される。
だが、その内容は地球外起源種による侵略という荒唐無稽なものであったため、
彼の周辺以外で信じるものは誰もいなかった。
 しかし、博士は独自に開発した技術により、半世紀前の災厄を引き起こした電磁波の逆探知に成功していたのだ。
しかも、その発生源は火星であり、その原因が何らかの科学的実験によるものだということまで分かっていた。
 そう、脅威はすぐそこまで迫っていた。
アーセン博士は自身に出来る範囲で対策を進めながら、人類に対して警告を発し続けた。
 だが、彼の健闘虚しく、人類は再び滅亡の脅威に曝されることとなる。

 ――西暦2253年……。

 人類は謎の地球外起源種との戦争に突入。
当初、圧倒的な数の優位を誇っていた地球連合軍は、オーバーテクノロジーの塊である敵戦力に蹂躙され、
各地で敗退を重ねることとなる。
 後に第一次星間戦争と呼ばれることとなるこの戦いは、ある時期を境に投入された新兵器の活躍で、
辛うじて人類側の勝利で幕を閉じた。だが、知性を持たない生体兵器群である敵を完全に駆逐するには至らず、
会戦から二十年が経過した現在も残敵掃討が続けられている。

 ――そして、西暦2273年4月……。

 わたし、マリアベル=フローライトは、念願だったIMOのメイド養成学校、
メイドアカデミアへの入学を果たしていた。
 入学式の朝、真新しいメイド服に袖を通したわたしは、たくさんの期待と不安を抱えながら、
中等教育課程の三年間を過ごした我が家を後にする。
晴天の下、満開の桜から零れた花びらの舞う並木道を、新しい出会いの予感に胸を高鳴らせながら歩いた。

 ――そして、訪れる運命の刻……。

 学園の門の傍らに佇み、そっと空を見上げる一人の少女。
儚くも美しいその姿は宛ら一枚の絵画のようで、わたしは思わず足を止めて見惚れてしまった。
 その時から、わたしは気づけば彼女の姿を探していた。
視界の端に特徴的な純白の髪を捉えるたび、何度も後を追いかけて、
けれど、決して捕まえることの出来ない妖精のような人……。
 まるでわたしにしか見えていないかのように、誰に聞いてもそんな人は知らないと答えられる。
そんなことが一週間も続いて、本格的に授業が始まる頃にはわたしもすっかり忘れてしまっていた。
 忘れたことの重大さに気づかないまま、
PML“プロフェッショナル・メイド・ライセンス”取得のための濃密なカリキュラムに、
それなりに親しい友人を得て、わたしは忙しくも充実した日々を過ごしていた。
そして、そんなある日の放課後、図書館で調べ物をしていたわたしは、
立ち並ぶ本棚の合間に純白の影を見つけることになる。
 唐突に思い出される入学式の日の記憶。気づけば、わたしは図書館の奥へと消えたその影を追いかけていた。
 すぐに見失ってしまっていた今までとは違い、まるでわたしを誘うかのように、図書館の奥へ奥へと進んでいく影。夢中でその後を追っていたわたしは、いつしかまったく知らない場所へと迷い込んでしまっていた。
 そこでようやく捕まえることの出来た白い少女の口から語られる学園の真実。
民間主導での対威勢人プロジェクトと、それによって開発された新型機動歩兵、メイダリオン。
 新たな威勢人の襲来から済し崩し的にその試作一号機のパイロットとなったわたしは、
わたしを選んだという白い少女と共に戦乱の渦に巻き込まれていくことになる。

  萌戦機メイダリオン
  2009年……。







戦うメイドさん。良いね〜。

蓉子 「これに関してはかなり設定とかも練っているから、もしかしたらその内本編化するかも、と言ってたわね」

ほうほう。それはそれは楽しみなことで。だが、やはりメイドさんには剣だろう。

美姫 「いやいや、それもどうなのよ」

ふむ。メイド服と剣とか。

蓉子 「セーラー服と〜、とかみたいな言い方ね」

よし、もう一つ足してメイドさんと剣と魔法、ってのは?

美姫 「いや、さっきから何を言っているのよ。しかも、いつの間にか服からメイドさんになってるし」

ははは。冗談だとも。……とりあえず、主人公は最弱の男の子で、その子を守護するために来たメイドさんとか。

蓉子 「どんな設定でそうなるのか不思議ね」

美姫 「何故、守護するの、とか突っ込みたいし、剣を所持しているのなら銃刀法はとか突っ込みたいわね」

そんな事を気にしてはいけません! いや、待てよ。もう一層のことメイドさんを主役にして……。
ご主人様を探す旅に、いや、やっぱり仕えるべき人を探している途中とか。

蓉子 「これ、どうしましょう?」

美姫 「とりあえず燃やしといて」

蓉子 「了解」

ぐぎょぉぉぉっ!
た、食べるんじゃなくて自分が焼かれるのなら、ミ、ミディアムは嫌、せめてレアにして……。

蓉子 「それじゃあ……って、どうします?」

美姫 「勿論、燃えカスも残らないほどに」

蓉子 「だそうよ。諦めなさい」

いやいや、何故に美姫の意見を!?

蓉子 「だって、あなたの所有者でしょう」

断じて違うわ!

美姫 「私もコレの所有者は嫌かも」

って、酷い! って、にゅぎょわぁぁ! も、もえ……。

蓉子 「そうそう、もう一つお土産があったんです」

美姫 「あら二本もだなんて、ありがたいわね。それじゃあ、早速だけれど……」

美姫&蓉子 「もう一本CMで〜す」







 ――よく晴れたある春の日。
 満開の桜に彩られた臨海公園を、なのはと二人で散歩していたわたしは、懐かしい気配を感じて足を止めた。
 自分のそれとよく似た、けれど、何処か違う魔力の発現。
 微かに感じたそれを辿って、視線を向けたその先に、一人の少女が立っていた。
 年の頃は、八つか九つといったところだろうか。
 腰まで届くサラサラの金髪に、ルビーのような赤い瞳が印象的な女の子だった。
 女の子は、わたしたちに気づくと、軽く会釈して挨拶してきた。
 それになのはが、少し慌てたように返すのを、何処か遠くに聞きながら、
 わたしは呆然と目の前の少女を見つめていた。

「アリシア……」

 思わず呟いたその名前は、目の前の少女のもの。そして、二度と会えるはずのないわたしの姉妹の名前だった。

   * * *

「久しぶりだね、フェイト。わたしのこと、まだ覚えてるかな」

 そう言って本当に嬉しそうに笑うのは、何年か前のわたしと瓜二つの姿をした少女。

「本当に、アリシアなの?」

「そうだよ。って言っても、信じられないよね。わたしの姿、あの時のままだし」

   * * *

「フェイトは背、伸びたね。胸も大きくなってるみたいだし、あれからどれくらい経ってるのかな」

 後ろで手を組んで、まじまじとわたしのことを見上げながらそんなことを言ってくる。
 彼女が本物のアリシア=テスタロッサであることは、わたしには疑いようも無い。
 だけど、あの時、崩壊する時の庭園で、彼女はプレシア母さんと一緒に虚数空間に落ちたはずだ。
 闇の書事件の折に出会うことが出来たのは、あれがそういうものだったからに過ぎない。
 ――では、今、ここにいるアリシアは何なのだろう。

「えっと、四年になるのかな。
 フェイトちゃんがアリシアちゃんと会ったっていう、闇の書事件があったのが、
 わたしたちが小学三年生の頃だったから」

 考え込んでしまったわたしの代わりに、なのはがアリシアにそう答える。そうか、もうそんなになるんだ。

「わたしが通常空間に復帰する形でこっちの世界に来たのは、二週間くらい前のことだよ」

 執務官としての立場からアリシアの事情を尋ねたわたしに、彼女はそう言って答えてくれた。
 それまではずっとあのカプセルの中で眠っていたのだという。
 アリシアが目覚めるまで身体を保っていられたのは、プレシア母さんが持っていたジュエルシードの残留魔力を、
 すべて生命維持カプセルの機能の維持に回してくれたおかげだそうだ。
 わたしはそれを聞いて可笑しいと思った。
 アリシアがどれくらいの間、虚数空間を漂っていたのかは分からないけれど、
 なのはの言うように、通常空間では四年が経過しているのだ。
 いや、例え数時間であっても生命維持カプセルの機能を維持するには、かなりの量の魔力が必要になるはずだ。
 病気のせいで余命幾ばくもない身体を限界まで酷使したプレシア母さんに、
 それだけの魔力を制御する余力があったとは思えない。
 わたしがそのことを尋ねると、アリシアは辛そうに表情を曇らせた。

「目を覚ました時、わたしは一人だった。
 ううん、本当はそうじゃないんだけど、母さんの姿は何処にも見えなかったわ」

「そう。でも、それじゃあ、アリシアちゃんはどうやってこっちの世界に来たの?」

「それは……」

   * * *

「ふむ、突然現われたわたしたちを見ても混乱しないところを見ると、二人とも魔法関係者かしら。
 実力の程は魔導師ならミッドチルダ規格でランクSってところね」

「ターゲットと一緒のようですが、どうします?」

 顎に手を当てて思案するような仕草を見せる女性に、男性の一人がそう尋ねる。
 ターゲットって、もしかしてアリシアのことだろうか。

「あの、あなたたち、管理局の人ですよね。わたし、武装隊所属の高町なのはって言います。何かあったんですか?」

「いえ、大したことではないのだけれどね。ちょっと、そこのお嬢さんの持っている宝石に用があるの」

 なのはの質問に、女性はそう言ってアリシアを見る。

「渡さないわ。これは元々、わたしたちのものだもの」

「そう、困ったわね。あなたが大人しくそれを渡してくれないと、
 ここにいるお姉さんたちに痛い思いをしてもらわなきゃならなくなるのに」

 女性のその言葉になのはが顔色を変え、わたしはすぐさまバルディッシュを機動させようとする。

「待ってください!この子が何をしたのかは知りませんけど、いきなり脅迫するなんて酷いじゃないですか」

「おやおや、自分が人質にされているというのに、元気の良いお嬢さんだこと。
 でも、身の程を弁えなさいね。……アリオス、エルト」

「はっ!」

 女性の命令を受けて、男性二人がわたしとなのはに向けてデバイスを構える。
 ストックされているのは、義兄のクロノが不意打ちなんかによく使っていたスナイプショットだ。

   * * *

「アクセルシューター!」

「プラズマランサー!」

 わたしとなのはの声が重なり、同時に死角から飛来した桜色と金色の魔弾が男性二人を捉える。

「後はあなただけです。わたしたちもこれ以上手荒な真似はしたくないので、出来れば投降してもらえませんか?」

「ふん、カオスロイドを倒したくらいで、いい気にならないでもらいたいわね。
 ……ブラッティシューター、マルチショット!」

 投降を呼び掛けるなのはに対して、女性の手から五つの赤黒い魔弾が放たれる。
 淡い光を周囲に撒き散らしながら飛来するそれらに、わたしの背筋を悪寒が駆け抜けた。

「なのは、逃げて!」

「えっ?」

 咄嗟に叫んだわたしの声に反応して、なのはが一瞬動きを止める。
 だけど、彼女がその意味に気づいた時にはもう遅かった。

「弾けよ、グラビティインパクト!」

 なのはの目の前で五つの魔弾が弾け、魔力とは違う何かを辺り一帯に撒き散らす。
 以前、なのはと二人で行ったプラネタリウムで見た、ブラックホールを髣髴とさせるその黒は、
 まるでヴァインドの魔法のように、わたしの身体に空気を重く圧し掛からせた。

「ソニックムーブ!」

 空気の拘束を引き千切るように瞬間加速の魔法を発動させて、
 なのはの下へと向かおうとするけど、後一歩届かない。

「万物は摂理のままに、歪なる大気は清浄へと還る。ヴァニッシュシールド!」

 減速する身体に魔力を足して届けと願うわたしの耳に、そんな声が聞こえた。
 瞬間、なのはを守るように、薄い半透明の幕が現われる。
 圧倒的な重力を伴って吹き荒れる黒い何かは、その幕に触れた途端、力を失って霧散した。
 なのはは何が起きたのか分からない様子で、着地したわたしのほうを見てくるけれど、
 わたしにだって何が何だか……。

「ふぅ、危なかった……。ちょっと、あなた、正気ですか。幾らこれが欲しいからって、
 通常空間のそれも地上でそんなものを使うなんて」

 自分の身の丈ほどもある長さの杖を掲げて、女性を批難するのはアリシアだ。
 その手に握るデバイスらしき杖を、そして、彼女自身を包み込む魔力の波動に、わたしは思わず愕然とした。

「ジュエルシード……」

 なのはもそれに気づいたのか、震える唇にその名を載せる。
 ジュエルシードの魔力で命を繋いだと言うアリシア。
 その言葉を信じるのなら、彼女が力を失った後のジュエルシードを持っていても可笑しくは無い。
 だけど、アリシアの手にしたデバイスに埋め込まれたジュエルシードは発動時のそれに近い魔力を保っていた。
 それも一つや二つじゃない。
 感じることの出来る魔力の波動を辿れば、その発生源は合計九つ。
 これは、最期にプレシア母さんが持っていた数と一致する。
 そして、驚くべきことに、アリシアはそのうちの五つまでを同時に発動させていたのだ。

   * * *

 ――我、盟約により、願いを見定めるもの。

   * * *

 再び始まるジュエルシードを巡る戦い……。

   * * *

 星は天より流れて夢を運び、歌は風に乗って幻へと誘う。

   * * *

 管理局に潜む闇と、ジュエルシードに込められた願い。
 アリシアが受け取ったアルハザードからのメッセージって……。

   * * *

 そして、数多の願いはこの胸に、集い満ちて力と成る。

   * * *

「ディサイヤー、スターゲイザー、セットアップ!」

   * * *

 様々な思いを胸に、次元世界の明日を賭けた戦いが今、幕を開ける。

 ――魔法少女リリカルなのは spiral☆dimension
  始まります!







美姫 「こちらのCMネタはリリカルなのはなのね」

蓉子 「ええ。アリシアが生きて、というネタです」

ほうほう。どうして生き返ったのか、何故ジュエルシードをああも使いこなせるのか。
また、なのはたちの前に現れたのは一体。
色々と想像が膨らむネタですな〜。

蓉子 「いや、まあ、もういい加減慣れたけれどね」

美姫 「考えるだけ無駄よ。さて、こうして200回目を目前としている訳だけれど……」

まあ、これといって何かある訳でもないな、うん。
そもそも、いつもただだらだらと話をしているだけだしな。
まあ、流石にCMネタもそろそろきついが。

蓉子 「あ、あはははは。慣れたはずなんだけれど、やっぱり美姫さんみたいにすんなりとはいかないわね」

美姫 「まあ年季の違いよ」

って、人を変な生き物みたいに。

蓉子 「自覚なかったんだ」

美姫 「みたいね」

ひ、酷い! と、まあ、冗談はさておいてだな。

蓉子 「結構、本気なんだけれど」

おいておいて!
おっと、今週もそろそろ時間――ぶべらっ!

美姫 「寝言をほざいた奴が眠っている間に……」

蓉子 「え、えっと……まあ、美姫さんが良いと言っているんだし放っておきましょう。CMで〜す」







ピンポンパンポ〜ン

美姫 「この間抜けな音は何なのよ」

いやいや、一般的な放送前の音じゃないか。
それよりも聞いたか?
ハートフルデイズが何と200回を迎えるんだぞ。

美姫 「本当に驚きよね」

いや、全く。しかも、200回を記念して。

美姫 「記念して?」

何と俺たちのCDが――

美姫 「出るの!?」

んな訳ないってぶべらっ!

美姫 「嘘を吐くな!」

じょ、冗談はさておき、次回の200回記念は時間拡大ヴァージョンだ!

美姫 「それって今までとどう違うのかしら」

……いや、まあ確かにページの都合上、長さは変わらないかもしれないが。

美姫 「それって全く意味ないわよね。単にカットされるのが分かっていて会話をしろと」

あれれ、200回記念なのに可笑しいね。あははは……。

美姫 「うふふふふ。公開処刑なんてどうかしら?」

い、いやー、許してー!

美姫 「で、実際200回記念では何があるのよ」

まあ、単にCMが二本って所かな。

美姫 「あまりお得な感じがないわね」

い、言わないでー!

美姫 「そんなこんなで何かプレゼントがある訳ではないけれど、200回特別版は来週放送」

いざ行かん、記録への第一歩へ!

美姫 「大した記録でもないけれどね」

うぎゃぁ! そげな事言わんでも……。

美姫 「何はともあれ、待て来週!」

美姫ちゃんのハートフルデイズ200回記念だよ特別版、12月5日(金)放送予定!







今回はネタじゃなく、本当にそれっぽくCMなどを。

美姫 「うーん、手抜き?」

ひ、酷いな、おい。

蓉子 「まあ、その辺りはあとじっくりといたぶる為の口実にするとして……」

いやするなよ! というか、本人の前で言うな!

美姫 「はいはい、いちいち突っ込みありがとうございます〜」

なんて嫌味ったらしい……。

蓉子 「とりあえず、200回おめでとうございます」

ありがとう!
安藤さんにも宜しく言っておいてくれ。

蓉子 「伝えておきますね」

美姫 「さて、それじゃあ今週はこの辺りにしましょうか」

だな。

蓉子 「そうですね。後で浩を……ふふふ」

美姫 「くすくす」

いやいや、滅茶苦茶怖いんですけれど!?

蓉子 「さっさと終わりなさい」

うおっ! 何故、お前にまで命令されなきゃ――ぶべらっ!

美姫 「さっさとしなさいよね」

ふぁ、ふぁ〜い。
って、何で自分で自分の首を絞めるような真似を!?
これが終わったらお前らによる虐めが――ぶべらっ!

蓉子 「それじゃあ、今週は――」

それは俺の台詞だ!
今週はこの辺で。って、しまった!

美姫&蓉子 「それじゃあ、また来週〜」



あ、あぁぁぁ。

蓉子 「それじゃあ、久しぶりに全力でやらせてもらおうかしら」

あうあうあう。

美姫 「とっても楽しみだわ♪」

ヘ、ヘルプミー!


11月22日(土)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、いやいや本当に急に寒くなったね、とお送り中!>



諸事情により、一日遅れで放送中!

美姫 「って、単なる迷子なだけでしょうが!」

いててて。
さて、どういう事かと言いますと。

美姫 「言うも何も言葉通り迷子になった所為でしょうが」

いやー、驚きだね。
元々方向音痴な俺だけれど、まさカーナビで見事に迷子に、それも目的地と正反対に走るとは。

美姫 「本当に驚きよね。何をどうすれば、反対に走るのかしら」

いや、元々あまり運転しないからな〜。

美姫 「それにしても、限度があるわよ」

いやいや、素直にカーナビに従ったんだよ?

美姫 「明らかに目的地の入力ミスでしょう!」

ほら、偶にカーナビって裏道を避けて少し遠回りかなって思う道を誘導するじゃないか。
だから、今回もてっきりそうなのかなと。

美姫 「高速道路で反対側を走っている時点で気付きなさいよね」

あははは。いやー、東を目指していて岡山の表示が見えたときはびっくりだよ。
慌てて降りたぞ、流石に

美姫 「もっと早くに気付いて、お願いだから」

いやー、うっかり、うっかり。
しかも、ちょっと所かかなり遅れる旨を伝えて、今どこの言葉に岡山手前と答えた時の電話の向こうの反応。
いやー、本当に驚くとあまり言葉って出ないものなのかな?
岡山!? とか素で聞き返されたよ。
向こうも驚くぐらい予想できない俺の行動。

美姫 「って、威張るな!」

ぶべらっ。
と、ともあれ、そんなこんなで一日遅れでお届けという事になってしまいました。

美姫 「全てアンタの責任だけれどね」

うぅぅ、猛省。何はともあれ、気を取り直して……。

美姫 「今週もCMいってみよ〜」







「はぁ、
「はぁ、一体何がどうしてこんな事に」

不本意である事がはっきりと分かる恭也の声。
しかし、それに対する答えなどどこからも返ってくる事はなく、周りから聞こえるのは恭也に対する声援。
そして……。

「君、ぼんやりしてもらっては困るね。流石に余所見していた所を襲うのは気が引けるからね」

気障ったらしく前髪を掻き揚げ、薔薇を口に咥える少年――ギーシュを前にして恭也は再び溜め息を吐く。
本当にどうしてこうなったんだろうかと胸中で己に問い掛けながら。



ゼロの神殺しと救世主



時は少し遡り、昼食時のことであった。初めて食堂を訪れた朝食の際、
ルイズの恭也に対する対応にぶち切れたリコたちによって破壊された食堂も既に元に戻っている。
何故か空いていた席に平然と座り、昼食を食べていた時のことである。

「どうしてくれるんだい!」

そんな怒鳴り声が聞こえ、そちらを見れば給仕の少女へと一人の少年が声を荒げて何事かを責めていた。
近くに居た少年を捕まえて話を聞けば、早い話が二股を掛けていたのがばれたという事らしい。
その原因となった香水を親切にも拾った少女に少年が怒っていると。

「自業自得じゃない」

「なに?」

リリィの放った言葉が聞こえたのか、件の少年――ギーシュはリリィたちの方を振り返る。
怒りの矛先をこちらへと移したのか、給仕の少女の事は既に放置してこちらへと向かってくると、

「駄目よ、リリィ。そんな本当の事を言ったら。
 ほら、この子も図星を指されて怒っちゃったじゃない」

「……前々から思っていたんだがルビナス。もしかして、お前は天然なのか?」

「ロベリア、考えるだけ無駄よ。私たちがどれだけルビナスの発言で苦労したのか、なんて今更でしょう」

「イムニティの言うとおりですね。天然にせよ、わざとにせよ、相手の神経を逆撫でするのは上手でした」

「ちょっと三人とも、それはどういう事よ」

傍にやって来たギーシュが何か言うよりも早く、四人が好き勝手に話し始め出鼻を挫かれる格好となったギーシュ。
だが、気を取り直すべく前髪を掻き揚げ、改めて口を開くのだが、またしても邪魔が入る。

「どうしよう、未亜ちゃん。きっと相手は貴族さまだから鞭で打たれたりするかもしれないよ。
 平民のくせにとかって言いながら」

「美由希ちゃん、今度はどんな本を読んだの?
 幾ら何でもそれはないんじゃないかな?」

「でも、私ここに来てまともだと思える貴族と一度も会ってないし……」

「そ、それはそうかもだけれど……」

この二人の発言に顔を引きつらせるギーシュだったが、やはり完全にその存在は無視され、
ルビナスが楽しそうに美由希と未亜の二人を指差し、イムニティへと顔を近づける。

「あれあれ? あの二人も怒らせたみたいだけれど?」

「……マスターたちの言葉はあくまでも正論で、かつ間違いではありません。
 それに個人を攻撃するものでもなく、ましてや誰かに向けて放たれた訳でもありません。
 ただの日常会話です。偶々、それを聞いた者がどう思うかなんて知りません」

「いつになく饒舌ですね、イムニティ」

「煩いわよ、リコ・リス」

「皆さん落ち着いてください」

「ベリオ殿の言う通りでござるよ。悪いのは二股を掛けた男子であって、拙者らが喧嘩する必要はないでござる。
 そもそも拙者たちにも関係ない事でござるからな。
 それ所か、この男子には頑張ってもらって二股所か三つ、四つと頑張ってもらいたい所でござるよ。
 流石にこれ以上ライバルが増えるのは問題でござるからな」

その言葉に思わず頷くも、リリィたちは改めてカエデを眺めやり、

「アンタ、結構えぐい事を考えるわね」

「そうでござるか? 忍者にとって策謀は手の一つでござるからな」

そんな感じでギーシュの存在は最早忘れられたかの如く進む会話に、ギーシュも相手が女性、
それも美人所とは言え我慢の限界が来たのか、テーブルへと拳を下ろす。
思ったよりも大きな音が上がり、痛かったのだがそれを我慢して顔を上げる。
幾らなんでもこれでこちらに気付くだろうと。
だが、その思惑は大きく外れる。
ギーシュが拳を振り上げるよりも前に、

「全く、飯ぐらい静かに食べたいものだ」

「恭也の言う通りだな。仕方ない、恭也、少し席を離れようか。
 丁度、あそこが空いたみたいだしな」

言うが早いか、恭也の腕を掴み移動しようとする。
だが、それを黙っているような者はここには一人もおらず、結果として恭也を中心とした騒ぎが起こる。

「クレア様? 流石、王族は策略がお上手ですわね」

リリィの皮肉たっぷりの声に、しかしクレアは平然とした態度で返す。
こうして、振り下ろされたギーシュの拳は見事に誰からも相手にされず、
ただギーシュの拳に痛みと、そして一部始終を見ていた者たちからの失笑を買うという役にしかたたなかった。
だが、これが余計にギーシュに対して引っ込みがつかない状況へと追いやる。
再び声を荒げると、ようやく注目された事に気を良くする。
だが、その視線に邪魔するなという意志と幾ばくかの怒りを感じて思わず後退る。
それから逃れるように視線をさ迷わし、唯一そんな視線を向けてこない恭也へと向けて啖呵を切る。

「二股云々以前に、そこに居る平民はどうなんだ!
 そもそも使い魔の癖にこんな美味しい状況……もとい、君の女が放った無責任な誹謗の責任を取りたまえ!
 決闘だ、決闘!」

全く無関係のはずの恭也へと向けて投げられた言葉に、本人はおろか流石に周囲の者たちも呆れたような顔をする中、
リリィたちの反応だけは違っており、一様に照れたような顔を見せる。

「恭也の……。あ、アンタ中々見る目だけはあるみたいね」

「うんうん。良い事を言うじゃない。お姉さんも関心したわよ」

「まあ、そういう訳だから恭也、私たちのためにも頑張ってくれ」

リリィに続き、ルビナス、ロベリアと勝手に話を進めていく。
そして、気がつけば何故か大層な名前の付いた広場でこうしてギーシュと向き合っていると。
思わず回想するぐらいに意識を飛ばし、現実逃避をしていた恭也であったが、

「という訳で、君みたいな平民と……って、君は僕の話を聞いているのかい!?」

ギーシュの延々と自慢を語る声に呼び戻される。

「ああ、すまなかった。全く聞いていなかった。
 少々、近頃の女難について考えていてな。で、なんだって?」

「…………もういい! やはり君みたいな平民と話すだけ無駄なようだ。
 すぐに決着をつけようじゃないか!」

言って薔薇を振れば、花びらが西洋の鎧を着込んだ人型ゴーレムへと変じる。
その数七つ。一体はギーシュの傍に立ち、残る六対が恭也と対峙する。
感心したように小さな声を上げ、周囲から聞こえるルビナスたちの自分の為に頑張れという声援に、
やる気を若干削られつつも恭也はルインを呼び出して構える。
慰めるような声がルインから発せられ、その事に恭也は幾ばくか励まされるように顔をあげる。

「流石に色々とストレスを感じているんでな。悪いが少々発散させてもらおう」

言うや走り出してすぐ近くのゴーレムを胴から真っ二つにする。
ギーシュが驚きの声を上げる間に二体を斬り伏せ、慌てて攻撃命令を出すと同時にもう一体縦に二つに切り裂く。
残る三体となったゴーレムをこれまたあっさりと切り捨てると、ギーシュへと向き合う。

「これで全力ではないだろう。次を出してみろ」

よほどストレスを発散したいのか、全力で壊しても問題ないゴーレムを挑発してまで作らせようとする。
だが、当のギーシュには既に戦意は消えており、ただ地面にへたり込んで少しでも恭也から離れようとする。
口から零れるのは謝罪の言葉ばかりで、呪文らしきものは全く出てこない。
やり過ぎたかと反省し、恭也はルインを消すと、騒ぐ美由希たちの方へと、
ギーシュと対決する時よりも重い表情で向かう。
この対決を見ていたルイズは自身の呼び出した使い魔に誇らしげに胸を張るも、
すぐに契約していない事を思い出して肩を落とす。

「……人を使い魔になんて聞いた事はないし、嬉しくはないけれど私が呼んだんだもの。
 絶対に契約してやるわ」

などと、美由希たちに聞かれたら物騒な事になりそうな事を考えていたり、いなかったり。
それを感じ取った訳ではないだろうが、恭也は突然悪寒に襲われ、思わず周囲を見渡すのだった。
恭也の災難はまだまだ続く……のかもしれない。







うーん、曜日が違うだけで何か斬新だな。

美姫 「そうかしら」

うっ。そ、そうだよ。
ほら、外をご覧。こんなにも良い天気。

美姫 「ここ室内だから見えないわね」

おおう! 何て横着な。
ちょっと窓を開ければ……ほら、見ろ!

美姫 「寒いわよ!」

ぶべらっ!
い、幾らなんでも酷くありませんか!?

美姫 「自業自得よ。今日のアンタに対する対応はこんなものだと思いなさい」

ひ、酷い……って、いつもと変わらないような。

美姫 「ほうほう、そんな事を言うのわこの口かしら?」

や、やめへ〜、祖、それいひょうはふりでしゅ〜〜。

美姫 「全く、本当にバカよね。改めて認識するわ」

全くだ。最近のカーナビは。

美姫 「アンタのことだっての!」

ぶべらっ!

美姫 「まあ、済んだ事は仕方ないとして」

そうそう。無事にこうして戻ってこれた事だしな。

美姫 「まあ、目的地に着いてからも色々とやらかしたみたいだしね」

いやいや、俺の所為じゃないって。
混んでいたから混雑を避けるルートを入力して、その通りに進めば……。
あれ、何故か田んぼ道を走り、おまけに行き止まり!?
おーい、道がないから引き戻すぞ〜。ってな感じで数台の車がその場でバック。
とは言え、この時カーナビ操作したのは俺じゃないぞ。
と言うか、俺は何度も本当にこの道かと聞いた側なのに。
どんどん道らしき道はなくなり、まさに田舎道といった感じ。
左右はどちらも田んぼで対向車が来たらすれ違うなんて無理ってな道だったしな。
なのに、大丈夫と言い張ったあいつが悪い!

美姫 「言い訳は良いわよ!」

ぶべらっ! ひ、酷いよ。うぅぅ、二度目の遭難は俺は被害者だって。

美姫 「聞いた話じゃ、アンタが曲がる箇所を間違えたと言う情報もあるわよ」

いやいや、それはないから。
俺はちゃんとそこ曲がってと言われた所で曲がったからね。
まあ、何はともあれ本当に戻ってこれて良かったよ。

美姫 「はぁ、何とも言えないわ。とは言え、戻ってこないと更新できないものね」

そうそう。ってな訳で来週も頑張るよ〜。

美姫 「死ぬ気で頑張ってよね」

おうともさ!
ってな感じで上手くまとまった所で。

美姫 「まとまったのかしらね」

まとまったの!
という事で、今週はこの辺で。

美姫 「また来週〜」


11月14日(金)

美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、あと少しで200回だよ、とお届け中!>



色々とネタを思いついたよ!
けれど、長編は無理っす! ってな感じで今週も頑張ろう。

美姫 「今週はもうお終いだけれどね。以前に、また使えそうもないネタばっかりね」

だろう。やはり、半分寝ているような状態だと駄目だな。
眠る寸前や風呂なんかでは良いネタだと思うんだけれど、何とかメモをしようとするとぼんやりとしか思い出せない。
しかも、書けた分だけを見るとう〜ん、こんなんだったか?
ってな具合だな。

美姫 「で、因みにどういうのがあるのかしら」

えっと……。うん、これは没にしておこう。
自分でも何を書いているのか読めないのもあるし。

美姫 「まあまあ、ちょっと見せなさいよ」

ああー、返してよジャイ――ぶべらっ!

美姫 「それ以上言ったら殴るからね」

も、もう殴ってます……。

美姫 「って、本当に汚い字ね。これなんて何を書いているのか分からないじゃない」

どれどれ……。あははは、さっき言った何を書いたか分からないって奴だな。
かろうじて『恭也』らしき文字があるかもしれないというぐらいは判別つくんだが。

美姫 「この3の倍数ってのは?」

えっと、それはうん。恭也と美由希の鍛錬ネタだな。
ただ一本にするにも短すぎるから。

美姫 「どんなのよ」

……よし、一層の事、今週のCMネタは墓場と称してネタだけをだらだらと述べるか。

美姫 「それは却下よ。もしかしたら、救済できるネタがあるかもしれないでしょう」

あるかな〜。
因みにさっきの3の倍数ってのは、いつも同じ鍛錬だねと漏らした美由希に対して、恭也が、

「よし、美由希の希望通りに今日の鍛錬は少し変化をつけてやろう。
 これからお前に打ち込むが、3の倍数と3が付く時は神速、もしくは奥義で攻撃してやる」

「ちょっ、ま、待ってよ恭ちゃん。い、いつもの鍛錬ばんざ〜い」

「もう遅い。しっかり数えながら受けるなり避けろ。勿論、反撃しても構わんぞ。
 と言うわけで、いくぞ」

「ま、待って、って、一、二、三! って、いきなり神速!?」

みたいなネタだな、うん。
だが、こういったネタは風化するからな〜。

美姫 「おまけに短いしね」

ああ。それはさっきも言っただろう。

美姫 「口答えしない!」

ぶヴェらっ!

美姫 「何か今、可笑しな悲鳴を上げたわね」

まあ、ちょっとして変化をと。

美姫 「くだらない事には一生懸命ねアンタって」

いや〜、それほ――ぶべらっ!

美姫 「褒めてないからね」

な、殴らなくても良いじゃないですか。

美姫 「私も変化を付けて、今まで殴っていた時は殴らず、殴らなかった時は殴るようにしたのよ」

いやいや、そんな変化はいらないから!

美姫 「残念。って、よくよく考えてみれば、逆にしても回数的には変わらなかったりしてね」

いやいや、流石にそれはないっての!
と、冗談はさておき、真剣に悩んだネタがあるんだよな。
これなんだが。

美姫 「いや、もうメモを取るつもりが本当にあったのかと思うぐらい、単語の羅列ね」

だろう。まあ、一応ネタ毎に線を引いて他との区分はしているが……。

美姫 「恭也、なのは、500、異世界、第三勢力。見事に何か分からないわね」

だろう。逆に何でもできそうだし。
果たして、これを思いついた時、俺は何を書こうと思ったんだろうか。
本気で思い出せないという、困ったもんだ。

美姫 「これはなに?」

えっと、『とらハ3・おとぼく・恋盾・春恋・マリみて→つよきす』
うん? あ、これは何か思い出しそう。
……ああ、これは姫のきまぐれで一クラス丸々交換留学生のクラスを作ると言う話だな。
当然ながら、キャラが多すぎたので没にしたというネタだ。いやー、懐かしいな、これ。
いや、本当に懐かしい。多分、去年か今年の頭ぐらいに考えていた奴じゃないかな。

美姫 「一回、本当にこのネタをメモしているノートを見直した方が良いかもね」

だな。ひょっとしたら、何か使えるのも出てくるかも。

美姫 「これは? シャナ・ゼロの使い魔・DUELクロス。封絶の中では誰も動けない。破滅でさえもって」

文字通りだな。まあ、殆ど一発ネタとして思いついた奴かな。
封絶、動けない、倒す、お終い。

美姫 「本当に一回限りになるわね。と言うか、ゼロの使い魔とクロスさせる意味は?」

それは単に声ネタのためだけに。

美姫 「うわー」

しかし、こうして見返すと本当に色々書いてるな。
と言うか、半分ぐらい思い出せないってどうなんだろう。

美姫 「書くだけ書いて、って感じね」

あははは。って、また意味不明のネタがあったな。
人外、背神、なのはを守護する恭也。尖兵:美由希
フェイト行方不明、はやて倒れる。騎士たちの力弱まる。
……俺は何を書きたかったんだろう。

美姫 「多分、フェイト云々より下は別ネタじゃない? ほら、ここで線引きしてあるみたいだし」

あ、本当だ。と言うか、線が薄すぎて気付かなかった。
とは言え、それでも思い出せませんが。おお、これは思い出せる。

美姫 「えっと貧力虚脱灸で弱くなる恭也。
    って、思い出せると言うよりも、何をしようと思ってたのかが分かるわね」

ああ。恭也最弱SSだな、うん。
美由希所かなのはにも負け、切腹しようかと悩む恭也というネタまで書いてある。
いやー、こうして読み返すと改めて思うな。

美姫 「混沌としたメモだってね」

いや、全く同意!
だが、このメモの中でもちゃんとSSやCMになったものもあるぞ。
これなんかは、CMでやったなのはが麻帆良にというネタだし、こっちはダーク恭也ネタだな。
おお、とらみてのエンドに関して走り書きしてあるし、こっちは……あー、これはあれだな、うん。

美姫 「BADENDネタね」

ああ。ふと思ったんだが、このメモ帳を落とすとちょっと洒落にならないような。

美姫 「落としましたとか言って名乗り出るのは難しいかもね」

な、中を見られてなければ問題ないんだが。
名前を書いてなかったら、やっぱり中身の確認とかされるのかな。

美姫 「どうなんでしょうね。財布とかならあり得るでしょうけれど。試しにやってみる?」

絶対に嫌じゃ!
かと言って、持って歩かないと思い付いても書けないしな。

美姫 「落とさないように気をつけるしかないわよね」

だな。と、思わずメモ帳の話で盛り上がってしまったな。

美姫 「他の人にしてみたら、どうでも良い話でしょうけれどね」

うぅ、そんな本当の事を……。

美姫 「さて、久しぶりにネタを思い返したところで……」

今週も時間――ぶべらっ!

美姫 「今週もCMいってみよ〜」







目も眩むような光に包み込まれ、気が付けば何故か空に居た。
比喩でもなんでもなく、正真正銘空である。
何故なら、今まさに重力に従って真っ直ぐに地面に向かって落下中だからである。
いついかなる時も冷静に状況を把握すること。
これは剣を握ってから散々に言われ続けてきた事である。
だが、いくら冷静に分析しようとも自分は今、空に居て落下しているという事実以外に良いようはない。
つまり、あと数分の命という奴である。
こんな時にまで忠実に冷静に判断してしまう自分に嫌気を覚えつつ……、

「って、冷静に分析なんて出来る訳ないじゃない! そもそも分析する以前にもう事実だよ、恭ちゃん!」

状況を把握した所で師へと文句の言葉を投げる。
死んだら枕元に絶対に立ってやるという決意と共に。
だが、その決意もすぐに消え去る。

「ああ、嘘、ごめん恭ちゃん。お願いだから、霊力は、霊力はや〜め〜て〜。
 と言うか、何で恭ちゃんが霊力を使えるの!」

あまりの事態からか、変な想像をしたままどうやら脳内での物語は進んでいるらしい。
そんな美由希へと掛けられる遠慮がちな声。

「えっと……、よろしいでしょうか」

眼鏡をかけたおっとりとした雰囲気の少女の声に、美由希は我に返ると今までの行動を誤魔化すように笑う。

「はい、何でしょうか」

改めて見れば、美由希と同様に落下しているのは美由希を含めて四人。
美由希の方だけでなく、向こうもこちらの顔を知っているかのような反応。
それもそのはずで、三人とは先程偶然にも顔を合わせた仲である。
いや、仲という程でもない。偶然、今日東京タワーへと訪れた四校の生徒たちで、偶々目が合ったという程度。
同時に変な声がして、気が付けばこうしてお空の旅という訳である。

「貴女も声を聞いたんですね」

「声? ええ、確かに聞きましたけれど……」

「ちょっと、今はそれ所じゃないでしょう!
 このままだと私たち数分後にはこの世にさよならよ!」

声を掛けてきた少女と話をしていると、美由希の丁度正面にいたロングヘアーの少女が叫ぶ。
その意見には美由希もまた同感ではあるのだが、

「とは言われましても、現状では何も出来ないですし」

「だからって――ぷわっ!」

喋っている間に大きな雲に突っ込み、少女の言葉が途切れる。
そして、雲を突き抜けるなり、今まで黙っていた残る一人が大きな叫び声をあげる。

「ああー! あれ、あれ見てよ!」

美由希同様、腰まである髪をみつあみにした少女の指差す先を見て、
言葉を無くす者、同じく叫ぶ者と反応は様々だが、一様に信じられないという顔を見せる。

「島が浮いている?」

あり得ない光景に呆然とする四人であったが、美由希はすぐさま下に視線を落とす。
広がる地表にはビル群は一切見当たらない。
仮に日本ではないとしても、この高度から見渡す限りにも見当たらない。
半分、冗談だよねという意味を込めて口を開けば、

「……もしかして、異世界とか言ったりして」

「つまり、私たちは不思議の国のアリスのアリスって訳?」

返ってきた答えも冗談を期待するような声であった。

「確かにその意見もあれを見る限りでは納得する所もありますが、それよりも現状をどうするかという問題の方が」

言われるまでもなく、その事は重々承知なのだが飛べるはずもなく、つまりはお手上げである。
最早これまでかと思われたその時、四人に向かって光が飛来し、
それに包まれた四人はまるで見えない力に吸い寄せられるように、その光が発せられた思しき場所へ。
そこで四人を待っていた一人の少年にも見える人物から、信じられない言葉を聞く事となる。



「拝啓、恭ちゃん。今、私は全く知らない土地で頑張ってます」

「美由希、現実逃避していないで手伝いなさいよね!」

「うぅぅ、お化けは、お化けは嫌〜」

「美由希ちゃん、どうやらお化けじゃないみたいだよ」

「そのようですね。これも魔法なのでしょうか?」

「さあ、早くこの森を抜けよう!」

「現金すぎるわよ、美由希」

海鳴を遠く離れた異世界セフィーロ。
そこで神官ザガートにより囚われの身となったエメロード姫を助ける旅が始まる。



「うぅぅ、皆魔法を使えるのに私だけまだ使えない」

「その内使えるようになるわよ。それよりも、さっさと行くわよ」

「海ちゃんが冷たいよ、光ちゃん〜」

「あははは、よしよし。私、末っ子だから妹ができたみたいで嬉しいな」

「がーん、私の方が年上なのに」

「そうは見えないというより、光の妹に見られるようじゃお終いよ。
 尤も、体つきだけを見れば、間違いなく姉って感じでしょうけれど」

「海ちゃん、セクハラ発言だよ、それ」

「美由希さん、ちゃんと前を見ないとぶつかり――、遅かったですね」

「風ちゃん、次からはもう少し早く教えて……」

異世界でもあまり変わらない待遇(?)の美由希に希望はあるのか。



「地の盾! ……って、魔法が使えた! やったよ、皆。
 ふっふっふ、これで元の世界に戻れば恭ちゃんから一本取れ……、って、攻撃魔法じゃなから無理かも!
 いや、上手く使えば。って、盾をどう使えば良いんだろう。いや、魔法を見て驚いた隙に?
 うぅぅ、でも神速を使われたら……。そう考えると、光ちゃんたちと同じ魔法を使えても一本は無理かも……」

「って、美由希、ちゃんと目の前の戦いに集中しなさいよね!」

「美由希ちゃん、前、前見て!」

「美由希さんの発言に対して、どうも人外にも感じられるお兄様の事を色々と聞きたくはありますが、
 今は海さんの言うように戦いに専念してください!」

「ああ、ごめん。ついイメージトレーニングをしてしま――って、目の前に来てる!?」

着実に力を身に付け、魔法を覚えつつ目的地を目指す一行。
果たして、四人が向かう先に待つものとは。

魔法騎士レイアース・ハート







うーん、懐かしいものを見た所為か、色々と書きたくなったな。

美姫 「とは言え、下手に長編は増やさないでよ」

……ワ、ワカッテルヨ、アタリマエジャナイデスカ。

美姫 「片言でどうもありがとう」

ナハハハ。

美姫 「ああ、前半で時間を使い過ぎたわね」

おおう、もう時間がないな。

美姫 「全くアンタの所為でね」

えぇー!
雑記のネタを提供した形になったじゃないか。

美姫 「問答無用よ。ここでふっ飛ばしておかないと、後半パートではアンタは無傷じゃない」

って、そんな理由かよ!
無傷でも良いじゃないか!
過去にだって、そんな事はあったはずだ! 断言できないのが悲しい所だが。

美姫 「まあまあ、折角だし」

何がだよ! その理由が分からないよ!
って、や、やめ、ぶべらぼげぇっ!

美姫 「うんうん。各パートで一回はふっ飛ばさないとね」

い、いらない、そんなお約束はいらない……。

美姫 「あ、そろそろ時間ね」

いや、本当にマイペースですね、あなた!

美姫 「ほら、さっさと締めなさいよ」

へいへい。
それじゃあ、今週はこの辺で。

美姫 「また来週〜」


11月7日(金)
美姫 「美姫ちゃんの〜」

ハートフルデイズ〜

美姫 「はっじまるよ〜」

<この番組は、PAINWESTの雑記コーナーより、おいおい今年もあと少しかよ、とお送り中!>



うがー!

美姫 「いきなり何よ」

いやいや、叫びたくもなるって。
PCトラブルに回線トラブル。
おまけにFTPトラブルでアップもできやしない。
BIOSの初期化?
モデムの端末台数?
ルーターのセキュリティ機能って、何も弄ってないし昨日まで使えてましたよ?
ってな感じで、もう、うがー! 一辺に何故襲ってくるかね。

美姫 「どうどう」

ブルルルル。って馬かよ!

美姫 「とりあえず落ち着け!」

ぶべらっ! って、落ち着かせるのにお前は殴るのかよ!

美姫 「対アンタ用では」

さいでっか。
とは言え、ここ数日で一個一個解決していって、今はこの通り。

美姫 「直ったの」

た、多分。流石に自信はないけれど、今の所は問題ない……よね。
いや、もう戦々恐々とはこの事だよ。一つの作業をする度にびくびくしながら祈ったり。

美姫 「今の所はこうして更新も出来ているみたいだから、問題はないのかもね」

いや、本当にそう願うよ。
これ以上のトラブルは勘弁してくだせ〜、お代官様〜。

美姫 「お代官に頼んでも意味はないんだけれどね。さて、そんな言い訳は兎も角として」

うぐぅ。当然ながら、SSの更新なんて出来てませんよ〜。
今週中に一本は更新したかった……。

美姫 「アンタの努力が足りないのよ!」

ぶべらっ!
いや、本当に返す言葉もありませんです、はい。

美姫 「まったく、最近たるんでるわよ」

いや、トラブルはたるんでいるからとかじゃな……いえ、なんでもないです。

美姫 「とりあえず、反省を促すためにも正座!」

えっと、冬の大三角形。

美姫 「星座なんて突っ込まないわよ。そもそも、そんなに詳しくないくせに」

はい、その通りです。けれど、偶にすごいと思うよな、昔の人。
どうやったら、白鳥とか大熊とかに見えたんだろう。

美姫 「それは言ってはいけない事なのよ、きっと」

そうなのか。なら、仕方ないな。ヒーローの変身中に攻撃しては駄目というぐらいの暗黙の常識なんだな。

美姫 「そうそう。って、そんな事で誤魔化されないわよ。さっさと正座する」

うぅぅ。これで良いですか〜。

美姫 「うん、よし♪ それじゃあ、このままでCMいってみよ〜」

えっ! あ、あの、当然CM中は正座のまま、何ですよね?

美姫 「当然でしょう」







「目覚めなさい、私の可愛い……って、いないじゃないの!」

ベッドの傍に立ち、息子を起こそうと手を伸ばすも、
膨らんでいた布団は誰もいないと主張するかのようにペタンと潰れる。
つまり、誰もベッドでは寝ていないという事である。
息子を起こしに来て思わず叫んでしまった桃子は誤魔化すように咳払いを一つすると、
徐に屈みこむとベッドの下を覗く。
が、やはりそこには誰もいない。

「あら、てっきり万が一に備えて、とか言ってここで寝ているかと思ったんだけれど」

そう呟いた桃子の背後、つまりは部屋の扉が開いて探し人である息子、恭也が部屋に戻ってくる。

「…………」

ベッドの下を覗き込んでいた桃子はゆっくりと振り返り、無言のまま見下ろしてくる恭也に愛想笑いを見せる。

「あははは。お、おはよう恭也。えっと、どこに行ってたのかな?」

「いつもの鍛錬だ。それよりも人の部屋で何をしているんだ?」

「あ、あははは。そう鍛錬なの。って、あんたこんな日にまで鍛錬?」

「そうだ。で、最初の質問に答えていないが?」

「起こしに来たのよ。なのに、アンタが居ないからベッドの下で寝ているんじゃないかと」

「中々面白い発想だな」

呆れ混じりに呟くと、恭也は今日に限って起こしに来た桃子の意図を探ろうと桃子を見つめる。
そんな様子に桃子もまた呆れたような声で返す。

「まさかとは思うけれど、今日が何の日か忘れてないわよね」

「当たり前だ。今日は王様に会いに行き、冒険に出る許可をもらう日だろう」

「覚えているんだったら良いわ。
 全然緊張もしていないし、いつもと変わらないから、忘れているのかと思ったわ」

皮肉るような言葉に対しても恭也はただ無言のままであった。
そんな本当にいつもと変わらない様子に苦笑を零し、桃子は優しく恭也の髪を手櫛で梳く。

「早いものね。あの人、勇者と言われた士郎さんが行方不明になってからもう……。
 って、朝から湿っぽい話はなしね。今日は恭也が勇者として士郎さんの後を継いで旅立つ日だもんね。
 ほら、早く支度してお城に行きなさい」

「ああ」

桃子の言葉に短く返事をすると、恭也は支度を整えるのだった。



魔王バラモス。それを倒すために勇者士郎が旅立ち、そのまま生死不明となって数年。
その後を継ぐべく恭也もまた今日旅立たんとしていた。

「とは言え、まずはFOLXの酒場に行って仲間を集めるんだったな。
 しかし、魔王と本気で戦おうというのなら、何故全ての国が協力して軍隊を派遣しないのだろうな」

「恭ちゃん、それは言ってはいけないんだよ」

「おお、遊び人の美由希か」

「戦士だよ! 酷いよ、恭ちゃん。今日旅立つって言うから、こうして準備して待ってたのに。
 バラモスを倒す旅だなんて、普通の人や冒険者なら尻込みする中、
 こうして一緒に行ってあげようとしている可愛い妹に対して、お礼よりも先にそれなの?」

何気に恭也の隣を歩きつつ美由希は自分の荷物を見せる。

「可愛い妹云々は別として、お前に関しては初めから拒否権などないし、選択の余地など与えていない。
 問答無用で嫌がっても連れて行く」

「うぅぅ、酷い言い草。って、逆に考えればそれだけ私を傍に置いておきたいという……」

淡い期待を込めて恭也を見るも、鼻で笑って返された上に、

「良い修行になると思え。あと、いざとなった時の囮や盾として頑張れよ」

「う、うぅぅ、やっぱり……。どっかの湖に恭ちゃんを落として、優しい恭ちゃんと交換したいです」

「馬鹿な事を言ってないで、さっさと行くぞ」

ぼやく美由希を軽く小突き、恭也は酒場へと向かうのだった。



「あ、恭也〜、こっちこっち」

恭也が店に入るなり、既にテーブルに着いていた忍が声を掛けてくる。
店中の視線が飛んでくるが、入って来たのが恭也で声を掛けたのが忍だと分かるとすぐに視線は外れる。

「仲間を探しに来たんでしょう。でも、そんな面倒な事しなくても、この忍ちゃんが一緒に行ってあげるわよ」

「忍、危険な旅だと理解しているのか?」

「勿論、しているわよ。だから、一緒に行くんだもの。
 良いでしょう?」

おねだりする様にしなだれかかってくる忍であったが、その目は本気であり、恭也も仕方ないと了解する。

「ありがとう。それで、ちょっと悪いんだけれど途中でちょっととある町に寄って欲しいのよ。
 ちょっと前にさくらから連絡があってね、ノエルにトラブルがあったみたいなの。
 で、その町から動けなくなっちゃったらしくてね」

「それぐらいなら構わないが。とりあえず、その町と言うのは?」

「近くに行ったら教えるわ。さて、それじゃあ早速行きましょうか」

「はい!」

言って忍の声に答えたのは、恭也や美由希ではなく、

「……あー、なのは? まさかとは思うが……」

「うん、なのはも一緒に行きます」

「却下」

即座に一言の元に切って捨てる恭也。
態度や声から絶対に許さないと言うオーラさえ滲み出している。
そんな恭也の態度に隅の方で美由希がいじけるのも無視し、恭也は言い聞かせるようになのはに言う。
だが、なのはも負けじと睨み返し、

「もし一緒に連れて行ってくれないなら、もうお兄ちゃんとは口をきかないもん」

「あのな……。遊びじゃないんだ。本当に危険なんだぞ」

「……」

恭也が何を言ってもなのはは一言も返さず、それどころか顔さえもそむける始末。
困ったように忍へと助けを求めるのだが、

「諦めた方が良いんじゃない?
 このままだと、残していっても後から一人で付いてくるわよ。
 だったら、初めから連れて行った方がまだましでしょう」

その言葉を認めるように頷くなのはを見て、恭也は渋々と、本当に渋々となのはの同行を認める。

「そうそう、教会で那美も待っているわよ。やっぱり長い旅に回復役は必要でしょう」

「分かった。なら、早速だが向かうとしよう」

改めてなのはに危なくなったら逃げるように言い聞かせ、恭也は教会へと向かうのだった。



「でもさ恭ちゃん。前衛が私と恭ちゃんの二人って辛くない?」

「……何となるだろう。いざとなれば、お前を囮にして逃げれば……」

「って、あれ冗談じゃなかったの!?」

真顔の恭也に突っ込む美由希の言葉を否定も肯定もせず、恭也はただ黙々と足を動かす。
項垂れる美由希を那美が慰め、忍が安心させるように笑いながら口を挟む。

「大丈夫だって、美由希ちゃん。私もいざとなれば前に出るし、普段は後ろから援護攻撃するからさ」

言って弓らしきものを見せる。
ただし、普通の弓とはかなり形が変わっており、弓の側面にL字型の台が取り付けられ、
その一方は手で握れるように改造されている。
それを手で持つと、弓は横にされたような形となる。

「ふっふっふ。これはね、こうやって矢をセットして弦を引いた後、この取っ手にある引き金を引くと……」

忍が説明しながら引き金を引くと、弦が元に戻りセットされていた矢が射出される。

「この機工師忍ちゃんの発明品を見た? 凄いでしょう」

「は、はぁ。えっと頼りにしてます」

「任せなさい!」

美由希の言葉に胸を叩いて力強く返す忍。恭也は特に何も言わず、ただなのはに大丈夫かと声を掛けていた。
まだまだ平和な風景であった。



「えっと……メラ」

「嘘っ! なのはちゃん、一回見ただけでメラを使えるようになっちゃった!?」

「それは凄いことなのか、忍?」

「凄い事ですよ! と言うか、私なんて初級の回復魔法を覚えるだけでもとっても苦労したのに……」

「ああ、那美さん、落ち込まないでください!」

冒険途中で魔法を覚えるなのは。



「特別な鍵? ああ、これぐらいならマイツールで……こうして、こうして。
 はい、開いたわよ恭也」

「いやいや、それは人としてどうなんだ?」

「あ、あははは。でも、鍵を手に入れて同じ事をするんだから、敢えて触れないでおこうよ恭ちゃん」

様々な技術を用いて困難を乗り越えていくパーティー。



「よし、闘技場で美由希を戦わせて美由希に賭けよう」

「って、私とうとうモンスター扱い!?」

「頑張れ、美由希」

「って、本気なの!?」

危うくモンスターとして闘技場に売り飛ばされそうになったり。



「金の冠探しなんて面倒よね〜。一層の事、詳しい形を聞いて作った方が早くない?」

「材料の金を買う金なんてないぞ、忍」

「あー、やっぱり取り戻すのが一番楽なのか〜。
 もしくは、無視しちゃうとか。別に勇者として認められなくても良いよね?」

「と、とりあえず困っているみたいですし、そういう人を見捨てるのも心苦しいじゃないですか」

「那美は良い子だね〜」

面倒くさいという理由で困っている人を無視しようとしたり。



「このバカオサルがっ! 何度同じ所で落ちとんねん!」

「だから、悪かったって言っただろうが! 大体、お前がノロノロと歩いているのが悪いんだろうが!」

「なんやと! うちは罠を回避するために慎重に歩いているだけや!」

「慎重過ぎるんだよ、おめぇは! 罠があるんなら罠ごとぶち破れば良いだろうが!」

「この力ばかが!」

「どうやら、喧嘩に白熱するあまり、俺たちに気付いていないようだな」

懐かしい顔ぶれとの再会があったり。



「その昔、勇者士郎様が村を訪れて、困っているわしらを助けてくれたんじゃ」

「そんな事があったんですか」

「しかし、士郎様の息子さんか。うん、よく似ておる。
 とは言え、金銭感覚はしっかりとしているようじゃがな。
 よく路銀が尽きたと言ってはわしらの所に来ておったよ、士郎様は。勿論、わしらは大歓迎じゃったがな」

「父さん、あなたは何をやっているんですか!」

意外な所で過去の父の軌跡に触れたり。



数々の困難を乗り越え、恭也たち一行はバラモスの待つ城を目指す!
ドラハV







あ、足がしびれ……。もう駄目。

美姫 「たるんでいる証よ!」

ぶべらっ!
い、いやいや、これぐらいで殴られていたら身が持ちませんが!

美姫 「またまた〜」

いや、何がだよ!
ったく、つつっ。

美姫 「さっさと書いていれば痛い目にもあわないのに」

へいへい。とは言え、本当に更新したいよ。

美姫 「さっさと書けば良いだけでしょうに」

う、その通りなんだけれどね。
はぁ、とりあえず頑張ります。

美姫 「何か投げやりに聞こえるわよ」

そんな事はないぞ!
ただ、中々出来ないだけで!

美姫 「威張るな!」

ぶべらっ!
う、うぅぅ、冗談なのに……。

美姫 「ったく、もう」

冗談はさておき、次は『ママは』辺りを更新したいかな。
もしくは、『極上』か。

美姫 「で、それ以外が更新したりするのよね」

それこそが氷瀬クオリティ!

美姫 「んな訳あるか! ただ単に計画性がないってだけでしょうが」

ぶべらっ!

美姫 「本当にどうしようもないんだから」

うぅぅ、反省……。とした所で、

美姫 「って、本当にしたの、今!?」

しましたよ。って、信じてない顔ですね。

美姫 「当たり前でしょうが」

どうどう。

美姫 「馬扱いするな!」

ぶべらっ!
じ、自分はしてたよね?

美姫 「私は良いのよ」

うわ〜い。言うと思ったけれどね。

美姫 「ほら、そろそろ時間じゃない」

ああ、だな。それじゃあ、今週はこの辺で。

美姫 「また来週〜」










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