『マリアさまはとらいあんぐる』



最終話 「心」






明けた翌日。
恭也が全ての用意を終え、リビングへと顔を出すと、既に全員が揃って待っていた。

「どうしたんですか、皆さん」

「簡単に言えば、お見送りね」

恭也の言葉に蓉子が答える。
その言葉に、付け加えるように江利子が口を出す。

「まあ、今日は学校があるから駅まで行けないからね」

「そういう事。だから、ここで恭也くんのお見送りって訳」

江利子に続き聖が言う。その言葉に恭也は頷き、礼を言う。

「そんなお礼なんて…」

慌てて言う祐巳に、祥子も頷いて答える。

「そうですよ。本当にお礼を言わないといけないのは、私なんですから」

「…お礼はもう貰いましたよ」

照れたように言う恭也に、今度は志摩子が話し掛ける。

「本当は、最後までお見送りしたいのですけど…」

「いえ、ここで充分ですよ」

「いや、途中までは一緒ですよ。私たちも学校に行きますから」

恭也の言葉をやんわりと訂正するのは令。
そんな令の言葉に、恭也は答える。

「そうでしたか。では、途中まで一緒に行きましょうか」

それに全員が頷く中、由乃が声を掛ける。

「短い間でしたけど、楽しかったですよ」

「俺も楽しかったですよ」

そう言った恭也に、聖が意地悪そうに聞き返す。

「仕事だったのに?」

「聖」

蓉子が窘めるが、恭也はそれに笑顔ではっきりと答える。

「ええ、仕事でしたけど、本当に楽しかったですよ。それに、皆さんと会えて本当に良かったですよ」

その笑顔に暫し見惚れながらも、もう簡単に見る事が出来ないのかと寂しく感じる。
それを顔に出さないようにしつつ、祥子たちは家を後にした。
話しながら歩いているうちに、あっという間に別れの時が来る。
恭也と美由希はここまでで良いと言うと、祥子たちと最後の挨拶をする。
皆寂しさを感じさせつつも、笑顔で恭也たちを見送る。
そんな祥子たちに一度だけ手を上げると、恭也は振り向かずに駅の中へと消えて行った。
祥子たちはその後ろ姿を最後まで見送ると、誰ともなくその場を離れて行く。
たった一人だけを残して。
その一人は、山百合会の仲間たちの去って行く背中と、恭也が消えた先を何度も交互に眺め、
やがて決心したように、恭也の後を追う。
その事に気づいた者はいなかった。
そして、その人物とは……。



  1.またいつか
  2.別れと約束と
  3.お返しに愛を込めて
  4.刻む時
  5.同道罷り越す
  6.夢の足跡






<あとがき>

はい、選択肢です。
美姫 「え?エンディングは一つだったんじゃ」
そうだったんだけど、急遽増やした。
とりあえず、最初から考えていたエンディングをトゥルーエンドとしてます。
そして、トゥルーエンドは隠し!
美姫 「頑張って探してください」
まあ、それぞれのエンドの後書きにキーワードを置いてますので。
美姫 「それを参考にしてね。では、トゥルーエンドで会いましょう」




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Truth END